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FP技能検定 · 学習ガイド

相続・事業承継

相続税の通し計算を軸に、財産評価と分割方法をつなげます。評価額が低いこと、納税資金があること、家族が納得することは別の課題として考えます。

仕組みを理解する

相続税の計算(通し計算)

相続税は、遺産全体の税額を法定相続分で計算してから、実際の取得割合で各人に配分する税です。総額の計算と配分を分けて考えます。

遺産全体から基礎控除を引き、法定相続分で税総額を求め、実際の取得割合へ配分する図
相続税は遺産全体から課税遺産総額を求め、法定相続分に応じて税の総額を計算します。その後、実際の取得割合や各人の加算・控除を反映します。

相続税は、各人が実際に取得した額だけで税率を決める制度ではありません。遺産全体に対する税の総額を法定相続分で求めてから、実際の取得割合で配分する順番です。

相続税の計算(通し計算)
計算の段階配偶者と子二人の例
課税価格の合計8,000万円
基礎控除を引く8,000−4,800=3,200万円
法定相続分で仮に分ける配偶者1,600万円・子各800万円
税率表で税総額を求める190+80+80=350万円
実際も法定相続分で取得した場合配偶者175万円・子各87万5,000円
配偶者軽減の要件等を満たし他調整なし配偶者0円・子各87万5,000円、納付合計175万円

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。上の「税総額350万円」から矢印を左右に分け、左に配偶者175万円、右に子各87万5千円を置く。左だけを「税額軽減で0円」へ下向き矢印でつなぎ、右は金額を変えず、下の仕切り線の下に「納付計175万円」を示す。
覚えること:要件満たし申告、他調整なしで計175万円

課税価格の合計8,000万円、相続人が配偶者と子二人なら基礎控除4,800万円、課税遺産総額3,200万円です。法定相続分で配偶者1,600万円、子は各800万円と仮に分け、速算表で税額を計算します。

相続税の速算表で計算すると、配偶者の仮税額は1,600万円×15%−50万円=190万円、子は各800万円×10%=80万円で、税の総額は350万円です。実際も法定相続分どおり取得したとすると、配偶者へ175万円、子へ各87万5,000円を配分します。

配偶者の税額軽減の要件を満たして申告し、他の調整がない場合、配偶者の納付税額は175万円から0円になり、子は各87万5,000円のままで、納付税額の合計は175万円です。

基本の仕組み
法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%―
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

課税価格から各人の納付額まで

課税価格から各人の納付額までの図解。1枚の計算シートに5つの枠を並べ、上段左→右、右端から下段へ、下段右→左の矢印でつなぐ。各人の課税価格を合計して基礎控除を引き、法定相続分で税の総額を仮計算した後、実際の課税価格の割合で配分し、各人の加算・控除へ進む。
覚えること:基礎控除後に仮計算→課税価格割合で配分

まず本来の相続財産にみなし相続財産等を加え、非課税財産、債務・葬式費用を差し引いて各人の課税価格を求めます。生前贈与加算や相続時精算課税の適用財産も加えます。次に課税価格の合計から「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除を引き、法定相続分で仮分割して税の総額を求めます。

法定相続人の数には相続放棄をした人も含め、養子は実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人までしか数えません。この人数は、基礎控除、死亡保険金・死亡退職金の非課税限度額、税の総額の計算に共通して使います。

債務控除では、借入金や未払いの税金などの確定した債務と、通夜・本葬の費用を差し引けます。香典返しや初七日などの法要の費用、墓地の購入費用は差し引けません。相続税の申告・納付期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。

税の総額は実際の課税価格の割合で各取得者へ配分し、各人に2割加算と税額控除を適用します。2割加算は配偶者と1親等の血族(子・父母)以外が対象で、代襲相続人となった孫は対象外、代襲相続人でない孫養子は対象です。

配偶者の税額軽減では、配偶者が実際に取得した正味の遺産額が1億6,000万円と法定相続分相当額のいずれか多い額までなら税額がかかりません。婚姻期間は問いませんが内縁の配偶者は対象外で、税額が0円になる場合も申告が必要です。

死亡保険金の非課税額は、相続人が受け取る場合に500万円×法定相続人の数で、遺産全体の基礎控除とは別に計算します。死亡退職金にも同じ算式の非課税限度額が別にあります。相続放棄した人も人数には含めますが、その人が受け取った保険金には非課税枠を適用できません。

課税価格から各人の納付額まで
順序計算するもの
1各人の課税価格と合計
2遺産全体の基礎控除・課税遺産総額
3法定相続分による仮計算と税の総額
4実際の取得割合への配分
5各人の加算・税額軽減・控除
課税価格から各人の納付額まで
加算・税額控除内容
相続税額の2割加算配偶者・1親等の血族以外(兄弟姉妹、代襲相続人でない孫など)
配偶者の税額軽減1億6,000万円と法定相続分相当額のいずれか多い額まで税額がかからない
未成年者控除18歳に達するまでの年数×10万円
障害者控除85歳に達するまでの年数×10万円(特別障害者は20万円)
贈与税額控除生前贈与加算した贈与に係る贈与税額を差し引く

試験に出る

  • 相続税は遺産全体の税額を求めてから実際の取得割合で配分する。
  • 課税遺産総額は課税価格の合計から基礎控除を引いて求める。
  • 基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数。放棄者も数え、養子は実子がいれば1人、いなければ2人まで。
  • 法定相続分で仮に分け、速算表で税総額を計算する。
  • 配偶者の税額軽減などの要件を満たすと納付税額が変わる。
  • 2割加算は配偶者・1親等の血族以外。代襲相続人の孫は対象外、孫養子は対象。
  • 未成年者控除は18歳までの年数×10万円、障害者控除は85歳までの年数×10万円(特別障害者20万円)。

重要な言葉

基礎控除
相続税の計算で課税価格の合計から差し引く金額。
法定相続分
民法が定める相続人の取得割合。
課税遺産総額
課税価格の合計から基礎控除を引いた金額。
相続税額の2割加算
配偶者と1親等の血族以外の人が財産を取得した場合に、その人の相続税額を20%増やす仕組み。
法定相続人の数
基礎控除や非課税限度額の計算に使う人数。相続放棄者を含み、養子の数に上限がある。

確認問題

確かめよう実際の分け方が変わったとき、最初から相続税率を当て直してよいでしょうか。

いいえです。税の総額は法定相続分による仮の分割で決まるため、「総額の計算」はやり直さず、変わるのは実際の取得割合による「各人への配分」です。

相続税は、各人が実際に取得した額だけに税率を当てて計算する。

相続税の税総額は、法定相続分で仮に分けて速算表で計算する。

代襲相続人でない孫を養子にした場合、その孫養子は相続税額の2割加算の対象となる。

未成年者控除の額は、18歳に達するまでの年数1年につき20万円である。

課税価格の合計8,000万円、基礎控除4,800万円のときの課税遺産総額は?

相続税の計算の順序として正しいものは?

相続人が配偶者、実子1人、養子2人の場合の相続税の基礎控除額は?

相続税は、各人が実際に取得した額だけで税率を決める制度ではありません。遺産全体に対するをで求めてから、実際の取得割合で配分する順番です。

課税価格の合計8,000万円、相続人が配偶者と子二人なら4,800万円、課税遺産総額です。法定相続分で配偶者1,600万円、子は各800万円と仮に分け、速算表で税額を計算します。

相続税の速算表で計算すると、配偶者の仮税額は1,600万円×15%−50万円=、子は各800万円×10%=80万円で、税の総額はです。実際も法定相続分どおり取得したとすると、配偶者へ175万円、子へ各87万5,000円を配分します。

相続財産の評価の詳細

相続財産の評価とは、相続税の計算のために、財産を取得時の評価ルールに従って金額に換算することです。買った値段や帳簿価額をそのまま使うわけではありません。

預金、土地、建物を別々の評価手順へ分け、土地は権利や利用状況で調整する図
財産は種類ごとのルールで評価します。土地も権利や利用状況、補正等を確認し、購入価格をそのまま相続税評価へ使わないようにします。

相続税では財産を取得したときの評価ルールに従って金額を求めます。買った値段や帳簿価額を、すべてそのまま使うわけではありません。

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。上段に土地の区画、下段に「路線価20万円 × 面積100㎡ × 補正率1.0 → 評価2,000万円」を左から右へ配置し、横線で仕切る。矢印は計算結果にだけ向ける。
覚えること:自用地=路線価×面積×補正率

路線価20万円、面積100㎡、補正率1.0という単純な土地なら、自用地の評価は20万円×100×1.0=2,000万円です。奥行等の補正や借地権等の権利、貸付状況があれば、該当する調整を順に加えます。

小規模宅地等の特例は、宅地等の用途や取得者、居住・保有等の要件と限度面積を確認して適用します。「自宅だから必ず大幅に減額できる」とは限りません。建物と土地も別々に評価します。

相続財産の評価では現預金、上場株式、生命保険、不動産を同じ方法で測りません。上場株式では課税時期の価格と一定の月平均等の比較条件、土地では路線価方式・倍率方式や利用状況を確認します。貸している土地・建物の権利関係は、自用の場合の評価と異なる場合があります。

死亡保険金の非課税枠は、受取人が相続人である場合に500万円×法定相続人の数です。契約者(保険料負担者)と被保険者が同じなら相続税、契約者と受取人が同じなら所得税、三者が異なれば贈与税の対象です。保険金は分割前の納税資金に役立つ一方、他の相続人との公平も確認します。

不動産を中心に相続する場合、財産価値があっても納税や生活費へすぐ使える現金が足りないことがあります。売却、共有、代償分割等の選択では税額だけでなく、住み続ける人、維持費、換金の時期を比較します。評価額が下がることだけを目的に、借入れや賃貸の負担を無視しません。

財産別の評価と宅地の特例

財産別の評価と宅地の特例の図解。画面左に宅地の区画を縦に3つ並べ、上から「特定居住用:330㎡」「特定事業用:400㎡」「貸付事業用:200㎡」と記す。各区画から右へ矢印を引き、上2つは「80%減」、下は「50%減」につなぐ。下部に申告の必要性を示す。
覚えること:特例の適用には申告が必要

宅地は、路線価地域なら路線価×奥行価格補正率などの補正率×地積、路線価のない地域なら固定資産税評価額×倍率で評価します。上場株式は、課税時期の終値と、課税時期の月・前月・前々月の毎日の終値の月平均額のうち最も低い額です。家屋は固定資産税評価額×1.0、貸家は固定資産税評価額×(1−借家権割合×賃貸割合)です。

借地権は自用地評価額×借地権割合、貸宅地は自用地評価額×(1−借地権割合)、貸家建付地は自用地評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)です。自用地6,000万円、借地権割合70%、借家権割合30%、賃貸割合100%なら、貸家建付地は6,000万円×(1−0.7×0.3×1)=4,740万円です。

子などに土地を無償で貸し(使用貸借)、子が家を建てている場合は、借地権がないため自用地として評価します。生命保険契約に関する権利は課税時期の解約返戻金相当額で評価します。

小規模宅地等の特例は、特定居住用宅地等が330㎡まで80%減、特定事業用宅地等が400㎡まで80%減、貸付事業用宅地等が200㎡まで50%減です。特定居住用と特定事業用だけなら合計730㎡まで併用できますが、貸付事業用を含むと「特定居住用×200/330+特定事業用×200/400+貸付事業用≦200㎡」で調整します。

特定居住用宅地等は、配偶者が取得すれば居住・保有の要件はありません。同居親族は申告期限まで居住と保有を続けることが要件です。配偶者も同居親族もいない場合の別居親族(いわゆる家なき子)は、相続開始前3年以内に自己や配偶者等の持ち家に住んでいないことなどが要件です。特例の適用には申告が必要です。

財産別の評価と宅地の特例
宅地・家屋の区分評価額
自用地路線価方式または倍率方式による評価額
借地権自用地評価額×借地権割合
貸宅地自用地評価額×(1−借地権割合)
貸家建付地自用地評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
使用貸借で貸した土地自用地として評価
自用家屋固定資産税評価額×1.0
貸家固定資産税評価額×(1−借家権割合×賃貸割合)
財産別の評価と宅地の特例
宅地の利用限度面積減額割合
特定居住用330㎡80%
特定事業用400㎡80%
貸付事業用200㎡50%

取引相場のない株式の評価

取引相場のない株式の評価の図解。上の株式から下へ矢印を伸ばし、中央の仕切りで左右に分岐させる。左は「同族株主等」から「原則的評価方式」へ進み、その先で会社規模によって方式を決める流れ、右は「同族株主以外の株主等」から「配当還元方式」へ進む流れにする。
覚えること:通常は同族等が規模別、以外は配当還元

取引相場のない株式は、取得した株主の立場と会社規模で評価方式が決まります。同族株主等が取得した株式は原則的評価方式、同族株主以外の株主等が取得した株式は特例的評価方式である配当還元方式で評価します。

原則的評価方式は、大会社が類似業種比準方式、中会社が類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式、小会社が純資産価額方式を原則とします。大会社は純資産価額方式、小会社は類似業種比準価額と純資産価額を各50%とする併用方式も選べます。

類似業種比準方式は、上場している類似業種の株価を基に、1株当たりの配当金額・利益金額・純資産価額の三要素を比べ、斟酌率(大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5)を掛けます。純資産価額方式は、相続税評価額による純資産から評価差額に対する法人税等相当額(37%)を控除して求めます。

土地保有特定会社や株式保有特定会社、開業後3年未満の会社などの特定の評価会社は、原則として純資産価額方式で評価します。

取引相場のない株式の評価
株主・会社の区分評価方式
同族株主等・大会社類似業種比準方式(純資産価額方式も選択可)
同族株主等・中会社類似業種比準方式と純資産価額方式の併用
同族株主等・小会社純資産価額方式(併用方式も選択可)
同族株主以外の株主等配当還元方式
特定の評価会社原則として純資産価額方式

試験に出る

  • 相続財産は取得時の評価ルールで評価し、買値や帳簿価額をそのまま使わない。
  • 土地は路線価や面積、補正率で自用地評価を求める。
  • 小規模宅地等の特例は用途・取得者・要件・限度面積を確認する。
  • 上場株式や保険、不動産は評価方法が異なる。
  • 死亡保険金の非課税枠は受取人や法定相続人の数などで決まる。
  • 貸家建付地=自用地評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)。使用貸借の土地は自用地評価。
  • 小規模宅地等の特例の併用は、貸付事業用を含むと200㎡基準で調整する。
  • 取引相場のない株式は同族株主等なら原則的評価方式、それ以外は配当還元方式。

重要な言葉

路線価方式
道路に面した土地を、路線価と面積などから評価する方法。
倍率方式
固定資産税評価額に一定の倍率をかけて土地を評価する方法。
小規模宅地等の特例
相続した宅地等の評価額を要件に応じて減額する制度。
貸家建付地
所有者が自分の貸家を建てて賃貸している土地。借家人の権利の分だけ自用地より低く評価する。
配当還元方式
同族株主以外の株主が取得した取引相場のない株式を、配当金額をもとに評価する特例的な方式。
類似業種比準方式
類似業種の上場株価を基に、配当・利益・純資産の三要素を比べて評価する方式。

確認問題

確かめよう土地の価格を計算しているのか、土地を借りる権利を計算しているのかを説明できますか。

誰がどの権利を持つかで評価対象が違うということです。借地人の借地権は自用地評価額×借地権割合、地主の貸宅地は自用地評価額×(1−借地権割合)で評価します。

相続財産は、買った値段や帳簿価額をそのまま評価額に使う。

死亡保険金の非課税枠は、受取人や法定相続人の数などの条件に従う。

使用貸借で子に貸した宅地に子が自宅を建てている場合、その宅地は貸宅地として評価する。

同族株主以外の株主が取得した取引相場のない株式は、原則として配当還元方式で評価する。

路線価20万円、面積100㎡、補正率1.0の自用地の評価額は?

相続財産の評価について正しいものは?

自用地評価額1億円、借地権割合60%、借家権割合30%、賃貸割合100%の貸家建付地の評価額は?

相続税では財産を取得したときのに従って金額を求めます。買った値段やを、すべてそのまま使うわけではありません。

20万円、面積100㎡、補正率1.0という単純な土地なら、自用地の評価は20万円×100×1.0=です。奥行等の補正や借地権等の権利、貸付状況があれば、該当する調整を順に加えます。

は、宅地等の用途や取得者、居住・保有等の要件とを確認して適用します。「自宅だから必ず大幅に減額できる」とは限りません。建物と土地も別々に評価します。

相続財産の評価では現預金、上場株式、生命保険、不動産を同じ方法で測りません。上場株式では課税時期の価格と一定の月平均等の比較条件、土地では・や利用状況を確認します。貸している土地・建物の権利関係は、自用の場合の評価と異なる場合があります。

の非課税枠は、が相続人である場合に500万円×法定相続人の数です。契約者(保険料負担者)と被保険者が同じなら相続税、契約者と受取人が同じなら所得税、三者が異なれば贈与税の対象です。保険金は分割前の納税資金に役立つ一方、他の相続人との公平も確認します。

不動産を中心に相続する場合、財産価値があっても納税や生活費へすぐ使えるが足りないことがあります。売却、共有、等の選択では税額だけでなく、住み続ける人、維持費、換金の時期を比較します。評価額が下がることだけを目的に、借入れや賃貸の負担を無視しません。

贈与税の詳細

贈与税とは、個人から財産をもらったときにかかる税です。暦年課税と相続時精算課税を、贈与した年だけでなくその後の相続まで含めて比較します。

暦年課税と相続時精算課税を二本の時間軸として示し、後者は将来の相続へ接続する図
暦年課税と相続時精算課税は贈与年だけでなく将来の相続まで含めて考えます。年ごとの基礎控除と累積の特別控除を区別し、選択後の扱いも確認します。

暦年課税と相続時精算課税は、贈与した年だけでなく、その後の相続まで含めて比較します。相続時精算課税を選択した贈与者について、自由に暦年課税へ戻れるわけではありません。

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。相続時精算課税による2024年以降の贈与を上に置き、下へ向かう矢印を「年110万円の基礎控除」→「累積の特別控除」の順に通す。二つの段階は仕切りで分け、基礎控除以内の部分を将来の相続税計算に加算する部分と同一視しない構図にする。
覚えること:2024年以降年110万円と特別控除は別

相続時精算課税で2024年以降の贈与を扱うときは、年110万円の基礎控除と累積の特別控除を別の段階で考えます。基礎控除以内の部分と、将来の相続税計算に加算する部分を同じものとして扱わないようにします。

暦年課税の税率も、贈与者との関係や受贈者の年齢等により一般税率・特例税率の別を確認します。例えば親からの贈与であっても、受贈者の年齢条件を省いて特例表を使うことはできません。

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税は、受贈者1人につき1,500万円まで(うち学校等以外への支払いは500万円まで)を非課税とする特例でしたが、適用期限が延長されず2026年3月31日で終了しました。同日までに適用を受けた分は引き続き特例が適用されますが、2026年4月1日以後は新たに適用を受けられません。

暦年課税と相続時精算課税を比較

暦年課税と相続時精算課税を比較の図解。正方形を縦線で左右に分け、左に暦年課税、右に相続時精算課税を置く。両側の贈与額からそれぞれ別の「年110万円控除」へ下向き矢印を引き、控除後は左を累進税率へ、右を累計2,500万円の特別控除、さらに超過分の一律20%へつなぐ。
覚えること:2024年以後は別枠で年110万円

暦年課税では、受贈者ごとに1年間の贈与を合計し、年110万円の基礎控除を差し引きます。直系尊属から贈与の年の1月1日に18歳以上の子・孫への贈与は特例税率、それ以外は一般税率です。申告・納付は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。

相続や遺贈で財産を取得した人が相続開始前の一定期間に被相続人から受けた暦年課税の贈与は、相続税の課税価格に加算されます。加算期間は、2026年12月31日までの相続開始なら3年以内、2027年から2030年は2024年1月1日以後の贈与、2031年以後は7年以内です。延長された4年間の贈与は合計額から100万円を控除して加算します。

相続時精算課税は、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与(年齢は贈与の年の1月1日現在)について、受贈者が贈与者ごとに選択します。最初の贈与の翌年2月1日から3月15日までに届出書を提出し、選択後はその贈与者からの贈与を暦年課税に戻せません。

2024年以後の贈与では、暦年課税とは別枠の年110万円の基礎控除を引き、超える部分に累計2,500万円の特別控除を適用し、なお超える部分に一律20%を課税します。特定贈与者が複数なら年110万円を贈与額で按分します。相続時には基礎控除後の贈与財産を贈与時の価額で加算し、納めた贈与税を差し引きます。

暦年課税と相続時精算課税を比較
項目暦年課税相続時精算課税
年110万円の控除受贈者1人につき年110万円の基礎控除暦年課税とは別枠の年110万円(特定贈与者が複数なら按分)
税率基礎控除後の額に累進税率(一般税率・特例税率)累計2,500万円の特別控除を超える部分に一律20%
相続時の加算相続開始前3年〜7年以内の贈与(経過措置あり)選択後の贈与をすべて加算(基礎控除分を除く)
制度の変更―選択した贈与者からの贈与は暦年課税に戻れない
暦年課税と相続時精算課税を比較
相続開始日暦年課税の贈与の加算対象
2026年12月31日まで相続開始前3年以内
2027年1月1日〜2030年12月31日2024年1月1日から相続開始日まで
2031年1月1日以後相続開始前7年以内

配偶者控除・非課税特例と民法の贈与

配偶者控除・非課税特例と民法の贈与の図解。左の「婚姻20年以上」という条件の下、配偶者からの居住用不動産・取得資金を中央から右の控除枠へ矢印で移す。右側は仕切りで「基礎控除」と「最高2,000万円」を別枠にし、下に申告が必要なことを示す。
覚えること:婚姻20年以上の配偶者から居住用贈与

贈与税の配偶者控除は、婚姻期間20年以上の配偶者から居住用不動産またはその取得資金の贈与を受けた場合に、基礎控除とは別に最高2,000万円を控除できる特例です。同じ配偶者からは一生に1回だけで、控除を受けた部分は生前贈与加算の対象外です。税額が0円でも申告が必要です。

直系尊属からの住宅取得等資金の贈与は、2026年12月31日までの贈与について、省エネ等住宅1,000万円、それ以外500万円まで非課税です。受贈者は贈与の年の1月1日に18歳以上で、合計所得金額2,000万円以下などの要件があり、申告が必要です。

民法上、贈与は当事者の合意で成立する契約です。書面によらない贈与は、履行が終わった部分を除き各当事者が解除できます。負担付贈与では贈与者が負担の限度で売主と同じ担保責任を負い、死因贈与には遺贈の規定が準用されます。

保険料負担者と受取人が異なる満期保険金、著しく低い価額での財産の譲受け、債務の免除などは、贈与税の課税対象となるみなし贈与財産です。一方、扶養義務者から受ける通常必要な生活費・教育費や、法人からの贈与(所得税の対象)には贈与税がかかりません。

配偶者控除・非課税特例と民法の贈与
特例主な要件限度額
贈与税の配偶者控除婚姻期間20年以上。居住用不動産またはその取得資金。同じ配偶者から一生に1回2,000万円(基礎控除と合わせ2,110万円)
住宅取得等資金の非課税2026年12月31日までの直系尊属からの贈与。受贈者18歳以上・合計所得金額2,000万円以下など省エネ等住宅1,000万円、それ以外500万円
教育資金の一括贈与の非課税2026年3月31日で終了。4月1日以後は新たに適用を受けられない受贈者1人1,500万円(契約時30歳未満)

試験に出る

  • 暦年課税と相続時精算課税は贈与年だけでなく相続まで含めて比較する。
  • 相続時精算課税を選ぶと、自由に暦年課税へ戻れない。
  • 相続時精算課税では年110万円の基礎控除と累積の特別控除を別に考える。
  • 暦年課税は贈与者との関係や受贈者の年齢で一般税率・特例税率が分かれる。
  • 贈与税がゼロでも将来の相続税に影響し得るため、制度と贈与日を記録する。
  • 教育資金の一括贈与の非課税は2026年3月31日で終了し、4月1日以後は新たに適用を受けられない。
  • 生前贈与加算は2027年〜2030年の相続開始なら2024年1月1日以後の贈与、2031年以後は7年以内。
  • 贈与税の配偶者控除は婚姻20年以上・居住用不動産等・最高2,000万円で、生前贈与加算の対象外。
  • 書面によらない贈与は履行済みの部分を除き解除できる。

重要な言葉

暦年課税
1年間に受けた贈与ごとに課税される方式。
相続時精算課税
贈与時に一定の控除を適用し、相続時に精算する方式。
特例税率
一定の関係・年齢の贈与に適用される税率。
教育資金の一括贈与
直系尊属から教育資金を一括で贈与した場合に、受贈者1人1,500万円まで贈与税を非課税とした特例。2026年3月31日で終了。
生前贈与加算
相続等で財産を取得した人が相続開始前の一定期間に受けた暦年課税の贈与を、相続税の課税価格に加える仕組み。
贈与税の配偶者控除
婚姻期間20年以上の配偶者から居住用不動産等の贈与を受けた場合に、最高2,000万円を控除できる特例。

確認問題

確かめよう贈与税がその年ゼロなら、将来の相続税にも影響しないと言えるでしょうか。

いいえです。暦年課税でも加算期間内の贈与は相続財産に加算され、相続時精算課税では基礎控除後の贈与がすべて加算されるため、選んだ制度と贈与日を記録します。

相続時精算課税を選択すると、同じ贈与者について自由に暦年課税へ戻れる。

贈与税がゼロでも、将来の相続税の計算に影響することがある。

相続時精算課税の年110万円の基礎控除以下の贈与も、相続時には相続財産に加算される。

贈与税の配偶者控除は、婚姻期間20年以上の配偶者から居住用不動産またはその取得資金の贈与を受けた場合に適用できる。

書面によらない贈与は、すでに履行が終わった部分も含めて解除できる。

相続時精算課税で2024年以降の贈与を扱うとき、別の段階で考えるものは?

暦年課税の税率について正しいものは?

2028年に相続が開始した場合、暦年課税の贈与で生前贈与加算の対象となるのは?

とは、贈与した年だけでなく、その後の相続まで含めて比較します。相続時精算課税を選択した贈与者について、自由に暦年課税へ戻れるわけではありません。

相続時精算課税で2024年以降の贈与を扱うときは、年の基礎控除と累積のを別の段階で考えます。基礎控除以内の部分と、将来の相続税計算に加算する部分を同じものとして扱わないようにします。

の税率も、贈与者との関係や受贈者の年齢等により一般税率・の別を確認します。例えば親からの贈与であっても、受贈者の年齢条件を省いて特例表を使うことはできません。

は、受贈者1人につきまで(うち学校等以外への支払いは500万円まで)を非課税とする特例でしたが、適用期限が延長されずで終了しました。同日までに適用を受けた分は引き続き特例が適用されますが、2026年4月1日以後は新たに適用を受けられません。

事業承継

事業承継とは、経営権や株式、事業用資産、技術や取引関係を次の担い手へ引き継ぐことです。親族内・従業員・第三者への承継で必要な準備が異なります。

エルくんが後継者へ株式を渡し、経営の承継と他の相続人への配慮・納税資金を分けて示す図。
事業承継は経営者名の変更だけではありません。経営権の安定、株式の承継、他の相続人への配慮、資金の準備を分けて検討します。

事業承継は社長の名前を替えるだけではありません。経営権、株式、事業用資産、技術や取引関係を次の担い手へ引き継ぐ課題です。親族内承継、従業員承継、第三者への承継では必要な準備が異なります。

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。1枚の盤面を縦線で仕切り、左に相続人三人へ株式が均等に分かれた配置、右に後継者へ株式を集中させた配置を置き、左から右へ矢印を引く。左には合意形成が難しくなる場合があることを示し、右には他の相続人の遺留分への配慮を添える。
覚えること:株式集中でも他の相続人に配慮

会社の株式が相続人三人へ均等に分かれると、後継者が重要な意思決定を単独で行えなくなることがあります。一方、株式を後継者へ集中すると、他の相続人との公平感や遺留分への配慮が必要になります。

事業承継税制は一定の要件の下で税の納付を猶予・免除する仕組みです。税負担を軽くすることと、会社の資金繰りや経営を安定させることは別なので、税制だけで計画を完結させません。

事業承継は株式の移転だけでなく、経営を担う人、議決権、借入保証、納税資金を整理します。株式を複数人へ分散すると合意形成が難しくなる場合がありますが、後継者へ集中させる場合も他の相続人の権利への配慮が必要です。

贈与・相続の制度を比較するときは、贈与日と相続開始日を別に記録します。生前贈与の加算期間や事業承継の特例は、対象日と経過措置によって扱いが変わるためです。制度名が同じでも、古い事例の計算期間を別の年の相続へそのまま当てはめません。

承継方法と税制の適用条件

承継方法と税制の適用条件の図解。中央の会社から上下に二つの経路を分ける。上段は株主だけが替わり契約は会社に残る様子、下段は資産・負債・契約を個別に移す様子を矢印で示す。
覚えること:事業譲渡は契約ごとに同意などが必要

承継先は親族内、役員・従業員、第三者(M&A)の三つが基本です。親族内では株式の集約と遺留分、従業員承継では株式取得資金と個人保証、第三者承継では企業価値・契約・従業員の処遇が課題になります。誰が代表者になるかと誰が議決権を持つかを分けて計画します。

法人版事業承継税制は、後継者が都道府県知事の認定を受けた非上場会社の株式等を贈与・相続で取得した場合に、贈与税・相続税の納税を猶予し、後継者の死亡等で免除する制度です。一般措置と特例措置があり、どちらも認定、申告、継続届出などの手続が必要です。

特例措置は、2027年9月30日までに特例承継計画を提出し(令和8年度改正で2026年3月31日から延長)、2027年12月31日までに贈与・相続を行う場合が対象です。対象株式は発行済議決権株式の全部、猶予割合は100%、後継者は最大3人です。一般措置は対象株式が3分の2まで、相続税の猶予割合は80%です。

経営承継円滑化法には遺留分に関する民法の特例があります。後継者と推定相続人全員の合意により、贈与した自社株式を遺留分算定の基礎から除外する除外合意や、価額を合意時の評価額に固定する固定合意ができます。経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可が必要です。

第三者承継(M&A)のうち株式譲渡は株主が替わるだけで、会社の契約や許認可は原則そのまま残り、売り手の個人株主には譲渡所得課税が生じます。事業譲渡は個別の資産・負債・契約を移すため、契約ごとに相手方の同意などが必要です。

承継方法と税制の適用条件
承継先主な確認事項
親族内後継者の育成・株式・遺留分
役員・従業員株式取得資金・個人保証
第三者(M&A)企業価値・契約・雇用
承継方法と税制の適用条件
法人版事業承継税制一般措置特例措置
承継計画不要2027年9月30日までに特例承継計画を提出
贈与・相続の期限なし2027年12月31日まで
対象株式発行済議決権株式の3分の2まで全株
納税猶予割合贈与税100%・相続税80%贈与税・相続税とも100%
後継者1人最大3人

試験に出る

  • 事業承継は経営権・株式・事業用資産・技術や取引関係を引き継ぐ課題。
  • 株式が均等に分かれると後継者が単独で意思決定しにくくなる。
  • 株式を集中すると他の相続人との公平感や遺留分への配慮が必要。
  • 事業承継税制は一定の要件で納付を猶予・免除するが、資金繰りとは別。
  • 贈与日と相続開始日を記録し、加算期間や経過措置を確認する。
  • 特例措置は特例承継計画を2027年9月30日まで提出、贈与・相続は2027年12月31日まで。全株・猶予100%。
  • 一般措置は対象株式3分の2まで、相続税の猶予割合80%。
  • 遺留分の民法特例(除外合意・固定合意)は推定相続人全員の合意・経済産業大臣の確認・家庭裁判所の許可が必要。

重要な言葉

事業承継税制
一定の要件の下で、事業承継に伴う税の納付を猶予・免除する仕組み。
議決権
株主が会社の意思決定に参加するための権利。
遺留分
相続人に保障される最低限の取り分。
特例承継計画
法人版事業承継税制の特例措置を受けるため、認定経営革新等支援機関の助言を受けて都道府県に提出する計画。
除外合意
後継者が贈与を受けた自社株式を、遺留分を算定するための財産の価額から除外する合意。

確認問題

確かめよう「誰が経営するか」「誰が株式を持つか」「納税資金をどう準備するか」を三行に分けると、何が見えますか。

この三つがずれる場面です。後継者が代表者でも株式が分散していれば決議を通せず、株式を集めても納税資金がなければ承継が止まります。このずれを埋めるのが承継対策です。

株式を後継者へ集中させれば、他の相続人への配慮は不要になる。

事業承継税制は税の納付を猶予・免除する仕組みだが、会社の資金繰りとは別である。

法人版事業承継税制の特例措置では、相続税の納税猶予割合は80%である。

株式が相続人三人へ均等に分かれると生じやすい問題は?

事業承継の比較で別に記録すべきものは?

令和8年度税制改正後の、法人版事業承継税制(特例措置)の特例承継計画の提出期限は?

事業承継は社長の名前を替えるだけではありません。、株式、、技術や取引関係を次の担い手へ引き継ぐ課題です。親族内承継、従業員承継、第三者への承継では必要な準備が異なります。

会社の株式が相続人三人へ均等に分かれると、後継者が重要なを単独で行えなくなることがあります。一方、株式を後継者へ集中すると、他の相続人との公平感やへの配慮が必要になります。

は一定の要件の下で税の納付を猶予・免除する仕組みです。税負担を軽くすることと、会社のや経営を安定させることは別なので、税制だけで計画を完結させません。

事業承継は株式の移転だけでなく、経営を担う人、、借入保証、納税資金を整理します。株式を複数人へ分散するとが難しくなる場合がありますが、後継者へ集中させる場合も他の相続人の権利への配慮が必要です。

贈与・相続の制度を比較するときは、とを別に記録します。生前贈与の加算期間や事業承継の特例は、対象日と経過措置によって扱いが変わるためです。制度名が同じでも、古い事例の計算期間を別の年の相続へそのまま当てはめません。

遺産分割

遺産分割とは、相続した財産を相続人で分けることです。現物分割・換価分割・代償分割を、財産をどう動かす方法かで理解します。

現物で分ける、売って現金を分ける、一人が取得し他方へ代償金を払う違いを示す図
分割方法によって、不動産を残せるか、売却するか、代償金を用意するかが変わります。評価額の公平さと資金を払えることは別に確認します。

分けやすい預金と分けにくい不動産では、同じ金額でも分割の難しさが違います。現物分割、換価分割、代償分割を、財産をどう動かす方法かで理解します。

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。左に自宅3,000万円を取得するA、右にBを置き、縦の仕切りで分ける。A側の現金からB側へ「代償金1,500万円」の矢印を引き、支払う現金が必要なことを示す。
覚えること:代償分割には支払う現金が必要

現物分割は自宅をA、預金をBのように分けます。換価分割は売却してお金を分ける方法。代償分割はAが自宅を受け取り、代わりにBへ代償金を支払う方法です。

自宅3,000万円をAが取得し、Bへ1,500万円を支払うなら、Aには代償金を用意する力が必要です。評価上公平でも現金がなければ実行しにくい点が重要です。共有にすれば解決というわけでもなく、将来の売却等に共同判断が必要になります。

分割方法・遺言・期限

分割方法・遺言・期限の図解。左の「開始を知った翌日」から右の期限線へ、一本の矢印を引く。期限線の手前に未分割の財産と申告書を並べ、分割が決まらなくても法定相続分で申告し、原則10か月以内の申告・納付期限は延びないことを示す。
覚えること:未分割でも申告・納付期限は延びない

分割方法は現物・換価・代償・共有の四つです。共有は将来の管理・処分に全員の調整が必要になりやすく、代償分割は財産を受ける人に現金準備が必要です。換価分割は売却に伴う譲渡所得税や売却費用も見込みます。

遺言は満15歳以上なら作成でき、いつでも撤回できます。自筆証書遺言は全文・日付・氏名を自書して押印しますが、財産目録はパソコン作成も可能で、各ページに署名押印します。公正証書遺言と秘密証書遺言には証人2人以上が必要です。

検認は、自宅等で保管した自筆証書遺言と秘密証書遺言で必要で、法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言と公正証書遺言は不要です。内容が矛盾する複数の遺言があれば、矛盾する部分は後の遺言が優先します。推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族、未成年者は証人になれません。

相続税の申告・納付期限は原則、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内で、分割が決まらなくても延びません。未分割なら法定相続分で取得したものとして申告し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておけば、3年以内に分割した後に配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けられます。

分割方法・遺言・期限
分割方法何を分けるか注意点
現物分割財産そのもの価額の偏り
換価分割売却代金売却費用・譲渡所得税
代償分割特定財産と代償金支払資金
共有持分将来の共同判断

相続人・相続分・遺留分

相続人・相続分・遺留分の図解。中央に同じ長さの分割バーを縦に3本並べ、左側を配偶者、右側を血族の相続分として、上から「子:1/2対1/2」「直系尊属:2/3対1/3」「兄弟姉妹:3/4対1/4」を示す。直系尊属と兄弟姉妹の行には、それぞれ上位順位の血族がいない場合に適用することを小さく添える。
覚えること:配偶者は常に相続人、相手で割合が変わる

配偶者は常に相続人で、血族は第1順位が子、第2順位が直系尊属、第3順位が兄弟姉妹です。同じ順位の人は均等に分け、実子と養子、嫡出子と非嫡出子の相続分は同じですが、父母の一方だけが同じ兄弟姉妹(半血)は父母の双方が同じ兄弟姉妹の2分の1です。

子が相続開始前に死亡していれば孫が代襲相続し、兄弟姉妹の代襲はその子(甥・姪)までです。相続放棄した人の子は代襲しません。限定承認と相続放棄は、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述し、限定承認は相続人全員が共同で行います。

遺留分は兄弟姉妹以外の相続人にあり、全体の割合は直系尊属のみが相続人なら3分の1、それ以外は2分の1で、各人の遺留分は全体の割合×法定相続分です。侵害された人は侵害額に相当する金銭を請求でき、相続の開始と侵害を知った時から1年、相続開始から10年で請求できなくなります。

相続開始前に遺留分を放棄するには家庭裁判所の許可が必要です。配偶者居住権は、相続開始時に被相続人所有の建物に住んでいた配偶者が、遺産分割や遺贈によって原則として終身、無償で住み続けられる権利で、登記すれば第三者に対抗でき、譲渡はできません。

相続人・相続分・遺留分
相続人配偶者の相続分血族の相続分
配偶者と子1/21/2
配偶者と直系尊属2/31/3
配偶者と兄弟姉妹3/41/4
相続人・相続分・遺留分
遺留分内容
遺留分権利者配偶者・子(代襲相続人を含む)・直系尊属。兄弟姉妹にはない
全体の割合直系尊属のみが相続人なら1/3、それ以外は1/2
請求の期限相続の開始と侵害を知った時から1年、相続開始から10年

試験に出る

  • 預金と不動産では同じ金額でも分割の難しさが違う。
  • 現物分割・換価分割・代償分割の違いを財産の動かし方で理解する。
  • 代償分割では代償金を用意する力が必要。
  • 評価上公平でも現金がなければ実行しにくい。
  • 共有は将来の売却等に共同判断が必要になる。
  • 法定相続分は配偶者と子1/2、直系尊属1/3(配偶者2/3)、兄弟姉妹1/4(配偶者3/4)。
  • 遺留分は兄弟姉妹になし。全体は直系尊属のみなら1/3、それ以外は1/2。
  • 限定承認・相続放棄は知った時から3か月以内。限定承認は全員共同。
  • 自宅保管の自筆証書遺言と秘密証書遺言は検認が必要。法務局保管と公正証書は不要。

重要な言葉

現物分割
財産そのものを相続人に分ける方法。
換価分割
財産を売却してお金に換えて分ける方法。
代償分割
一人が現物を取得し、他の相続人へ代償金を支払う方法。
代襲相続
相続人となるはずの子や兄弟姉妹が先に死亡していた場合などに、その子が代わって相続すること。
遺留分侵害額請求
遺留分を侵害された相続人が、侵害額に相当する金銭の支払を求めること。
検認
家庭裁判所が遺言書の形状や内容を確認し、偽造・変造を防ぐ手続。遺言の有効性は判断しない。

確認問題

確かめよう財産の評価額が同じなら、どの分け方でも同じ負担でしょうか。

いいえです。住み続けられるか、売却で譲渡所得税が生じるか、代償金などの現金が必要かによって負担が変わります。

代償分割では、現物を取得する相続人に代償金を用意する力が必要である。

共有にすれば、将来の売却等に共同判断は不要になる。

兄弟姉妹が相続人となる場合、兄弟姉妹にも遺留分がある。

相続放棄をした人の子は、放棄した人に代わって代襲相続する。

自宅3,000万円をAが取得し、Bへ1,500万円を支払う分割方法は?

遺産分割を比べるときに確認すべきことは?

相続人が配偶者と被相続人の母の場合、配偶者の法定相続分は?

分けやすい預金と分けにくい不動産では、同じ金額でも分割の難しさが違います。、、代償分割を、財産をどう動かす方法かで理解します。

は自宅をA、預金をBのように分けます。は売却してお金を分ける方法。代償分割はAが自宅を受け取り、代わりにBへ代償金を支払う方法です。

自宅3,000万円をAが取得し、Bへを支払うなら、Aには代償金を用意する力が必要です。評価上公平でも現金がなければ実行しにくい点が重要です。にすれば解決というわけでもなく、将来の売却等に共同判断が必要になります。

覚えるポイント

  • 相続税の総額計算と実際の取得割合による配分を分ける。
  • 財産は種類・権利・利用状況を確かめてから評価する。
  • 評価額の公平さと代償金・納税資金を用意できるかは別に考える。
  • 生前贈与加算は相続開始日で加算期間が変わる(2027〜2030年は2024年1月1日以後の贈与)。
  • 取引相場のない株式は株主の立場と会社規模で評価方式を決める。

出典・参考資料

試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。

編集:Pinternet Works · 更新日:

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