日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
遺族基礎年金および遺族年金生活者支援給付金
ライフプランニングと資金計画 · 遺族基礎年金 / 子の要件 / 子の加算額 / 遺族年金生活者支援給付金
公的年金の遺族給付に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群から選びなさい。 Ⅰ「遺族基礎年金を受給することができる遺族の範囲は、国民年金の被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持されていた『子のある配偶者』または『子』です。『子』とは、( ① )歳到達年度の末日までの間にあるか、□□□歳未満で障害等級1級または2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻していない子を指します」 Ⅱ「Aさんが現時点(2025年5月25日)で死亡した場合、妻Bさんは遺族基礎年金および遺族厚生年金を受給することができます。妻Bさんの場合、遺族基礎年金の額(2024年度価額)は、『816,000円+子の加算額』の計算式により算出され、子の加算額は第1子・第2子までは1人につき□□□円、第3子以降は1人につき( ② )円となります。また、妻Bさんが遺族基礎年金を受給し、前年の所得が一定額以下である場合、妻Bさんは、( ③ )を受給することができ、その年額は63,720円(2024年度価額)となります」
- イ
- 18
- ロ
- 20
- ハ
- 25
- ニ
- 78,300
- ホ
- 234,800
- ヘ
- 612,400
- ト
- 死亡一時金
- チ
- 遺族年金生活者支援給付金
- リ
- 中高齢寡婦加算
解答・解説を表示
解答
① イ、② ニ、③ チ
解説
遺族基礎年金は、国民年金の被保険者等が死亡したときに、生計を維持されていた『子のある配偶者』または『子』に支給される年金です。亡くなった人に生活を支えられていた家族を守るための制度だからです。そのため、対象となる子の年齢や加算額、低所得者向けの給付金の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。
解き方
- 遺族基礎年金を受け取れる『子』の条件を確かめます。原則として、18歳の到達年度の末日までの未婚の子が対象です。
- 2024年度の子の加算額を確かめます。第1子と第2子は234,800円、第3子以降は78,300円です。
- 所得が一定以下の人に上乗せして支給される制度の名前が『遺族年金生活者支援給付金』だと確かめます。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 遺族基礎年金における「子」とは、18歳到達年度の末日(3月31日)までの間にあるか、20歳未満で障害等級1級または2級の障害の状態にあり、かつ現に婚姻していない子をいいます。したがって空欄①には「18」(イ)が入ります。
- 小問 ②:ニ
- 2024年度価額における遺族基礎年金の子の加算額は、第1子・第2子は1人につき各234,800円、第3子以降は1人につき78,300円となります。したがって空欄②には「78,300」(ニ)が入ります。
- 小問 ③:チ
- 遺族基礎年金の受給者で前年の所得が一定基準以下の者に支給される支援給付金は「遺族年金生活者支援給付金」であり、年額63,720円(月額5,310円、2024年度)が支給されます。したがって空欄③には「遺族年金生活者支援給付金」(チ)が入ります。
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覚えるポイント
- 遺族基礎年金の子の年齢要件は「18歳到達年度の末日まで(障害等級1・2級は20歳未満)」です。
- 子の加算額(2024年度)は第1子・第2子が各234,800円、第3子以降は各78,300円です。
間違えやすいところ
- 第1子・第2子の加算額234,800円と、第3子以降の78,300円を逆にしないよう注意します。
- 遺族基礎年金に上乗せされる給付金を、中高齢寡婦加算と間違えないようにします。
出題の前提:2024年10月1日現在施行の公的年金制度(2024年度年金額改定基準)
出典:金融財政事情研究会『2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 遺族厚生年金 / 短期要件 / 中高齢寡婦加算 / 300月みなし
設例に基づき、Aさんが現時点(2025年5月25日)で死亡した場合に妻Bさんが受給することができる遺族厚生年金の年金額(2024年度価額)を計算する下記の計算式の空欄①~③に入る数値を求めなさい(円未満四捨五入)。 〈計算式〉 遺族厚生年金の年金額 (( ① )円× 7.125 / 1,000 ×□□□月+□□□円× 5.481 / 1,000 ×□□□月)× ( ② )月 / 277月 × □□□ =( ③ )円(円未満四捨五入)
解答・解説を表示
解答
① 280,000、② 300、③ 467,770
解説
被保険者が死亡したときの遺族厚生年金の額は、原則として、死亡した人の報酬比例部分の4分の3です。亡くなった人が受け取るはずだった厚生年金を基に計算するためです。また、被保険者期間が300月(25年)未満のときは、300月として計算します。
解き方
- Aさんの厚生年金の加入期間を確かめます。2003年3月以前が12月(平均標準報酬月額28万円)、2003年4月以降が265月(平均標準報酬額38万円)で、合計277月です。
- 合計が277月で300月に足りないので、300月とみなす決まりを使います。空欄②は300です。
- 2003年3月以前の平均標準報酬月額は280,000円なので、空欄①は280,000です。
- 報酬比例部分を出し、300/277を掛けたあとに4分の3を掛けます。円未満を四捨五入して空欄③を出します。
答えの内訳
- ①:280,000
- 2003年3月以前の加入期間における計算では平均標準報酬月額を用います。設例資料より2003年3月以前の平均標準報酬月額は28万円であるため、280,000が入ります。
- ②:300
- 被保険者死亡による短期要件の遺族厚生年金では、厚生年金保険の被保険者期間の月数が300月未満の場合、300月として計算する最低保障(300月みなし)が適用されます。Aさんの被保険者期間は12月+265月=277月(300月未満)であるため、②には「300」が入ります。
- ③:467,770
- 計算手順: 1. 2003年3月以前分:280,000円 × 7.125 / 1,000 × 12月 = 23,940円 2. 2003年4月以後分:380,000円 × 5.481 / 1,000 × 265月 = 551,936.7円 3. 合計:23,940円 + 551,936.7円 = 575,876.7円 4. 300月みなし適用:575,876.7円 × 300月 / 277月 = 623,693.1768...円 5. 遺族厚生年金の額(報酬比例部分の3/4):623,693.1768...円 × 3 / 4 = 467,769.88...円 円未満を四捨五入して、467,770円となります。
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覚えるポイント
- 被保険者死亡による短期要件の遺族厚生年金では、被保険者期間が300月未満の場合は300月として計算されます。
- 遺族厚生年金の基本年金額は、原則として死亡した者の報酬比例部分の年金額の4分の3相当額です。
間違えやすいところ
- 277月をそのまま掛けて、300月とみなすのを忘れる間違いが多いので注意します。
- 報酬比例部分を出したあと、4分の3を掛けるのを忘れないようにします。
出題の前提:2024年10月1日現在施行の厚生年金保険法(2024年度価額)
出典:金融財政事情研究会『2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険の介護休業給付金の支給要件と給付内容
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険 / 介護休業給付金 / 支給限度日数 / 給付率
会社員Aさんが母Cさんの介護のために介護休業を取得する場合の雇用保険の介護休業給付について、次の記述①〜③の正誤を判定しなさい。①介護休業を分割取得する場合、介護休業を開始した日から通算して93日を限度に2回までに限り支給される。②介護休業期間中に賃金が支払われなかった場合、介護休業給付金の額は休業開始時賃金日額に支給日数を乗じた額の50%相当額となる。③介護休業期間中に休業開始時賃金日額に支給日数を乗じた額の80%相当額以上の賃金が支払われた場合、介護休業給付金は支給されない。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
介護休業給付金は、家族の介護で休む人の仕事が続くように支える制度です。そのため、対象の家族1人につき通算93日・最大3回まで支給されます。また、休業中の賃金があるかないかや額に応じて、休業開始時賃金日額の最大67%が支給されます。
解き方
- 介護休業給付金は、対象の家族1人につき3回まで、通算93日までという決まりを確かめて、記述①の正誤を判断します。
- 賃金が出ないときの給付率は休業開始時賃金日額の67%です。また、賃金が80%以上出たときは支給されません。これを確かめて記述②と③を判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 介護休業給付金は、対象家族1人につき通算して93日を限度に原則として3回まで分割して取得・受給することができます。記述の「2回まで」は不適切です。
- 小問 ②:×
- 介護休業期間中に賃金の支払がない場合、介護休業給付金の支給額は休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の67%相当額となります。記述の「50%相当額」は不適切です。
- 小問 ③:○
- 介護休業期間中に事業主から休業開始時賃金日額に支給日数を乗じた額の80%以上の賃金が支払われた場合、当該支給単位期間における介護休業給付金は支給されません。

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覚えるポイント
- 介護休業給付金の給付率は原則67%(育児休業給付金の当初180日と同水準)です。
- 分割取得の上限は対象家族1人につき通算93日・最大3回までとなります。
間違えやすいところ
- 昔の給付率40%や、改正前の50%と間違えやすいですが、今は67%です。
- 賃金が出たときは、80%以上なら全額支給されません。13%超80%未満なら一部が減って支給される点に注意します。
出題の前提:2024年10月1日現在施行の法令等(雇用保険法)
出典:金融財政事情研究会『2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資指標(PER・PBR)の計算
金融資産運用 · PER / PBR / 1株当たり当期純利益 / 1株当たり純資産
設例の〈X社およびY社に関する資料〉に基づいて、①X社株式のPER(株価収益率)および②Y社株式のPBR(株価純資産倍率)を求めなさい。なお、表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。
解答・解説を表示
解答
① 14.17(倍) ② 1.03(倍)
解説
PER(株価収益率)は、株価を1株当たり当期純利益(EPS)で割った指標です。企業のもうけに比べて株価が高いか安いかを測ります。PBR(株価純資産倍率)は、株価を1株当たり純資産(BPS)で割った指標で、会社を解散したときの価値に比べて株価が高いか安いかを見ます。
解き方
- X社の当期純利益と発行済株式数から、1株当たり当期純利益(EPS)を出します。株価をEPSで割ってPERを求め、端数を処理します。
- Y社の純資産額と発行済株式数から、1株当たり純資産(BPS)を出します。株価をBPSで割ってPBRを求め、端数を処理します。
答えの内訳
- ①:14.17(倍)
- X社の1株当たり当期純利益(EPS)は、当期純利益7,200百万円÷発行済株式数6,000万株=120円となります。したがってX社株式のPERは、株価1,700円÷EPS120円=14.166…倍となり、小数点以下第3位を四捨五入して14.17倍となります。
- ②:1.03(倍)
- Y社の1株当たり純資産(BPS)は、純資産の部合計48,000百万円÷発行済株式数3,000万株=1,600円となります。したがってY社株式のPBRは、株価1,650円÷BPS1,600円=1.03125倍となり、小数点以下第3位を四捨五入して1.03倍となります。
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覚えるポイント
- PER(倍)=株価÷EPS(1株当たり当期純利益)
- PBR(倍)=株価÷BPS(1株当たり純資産)
間違えやすいところ
- 純資産と当期純利益を逆にしたり、X社とY社の数値を入れ違えたりしないよう注意します。
- 単位(百万円と万株)の桁を間違えて計算しないように気を付けます。
出題の前提:2024年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の投資指標(ROE・配当性向)および投資スタイル
金融資産運用 · 自己資本利益率(ROE) / 配当性向 / グロース投資とバリュー投資
会社員のAさんは同業種の上場会社であるX社とY社の財務データをもとに投資指標を確認している。Mさんが説明した次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 〈資料:財務データ(単位:百万円)〉 ・純資産の部合計(=自己資本):X社 98,000、Y社 48,000 ・当期純利益:X社 7,200、Y社 4,600 ・配当金総額:X社 3,000、Y社 1,650 ① 「ROEは、Y社のほうがX社よりも高くなっています。一般に、ROEの数値が高いほど、経営の効率性が高いと判断されます」 ② 「配当性向は、X社のほうがY社よりも高くなっています。一般に、配当性向が高いほど、株主への利益還元の度合いが高いと考えることができます」 ③ 「株式投資において、企業の成長性が市場平均よりも高いと期待される銘柄に投資する手法は、一般に、バリュー投資と呼ばれます。バリュー投資は、投資対象の株価の割安さよりも企業の成長性を重視する投資家向けの投資手法といえます」
- ①
- ROEは、Y社のほうがX社よりも高くなっています。一般に、ROEの数値が高いほど、経営の効率性が高いと判断されます
- ②
- 配当性向は、X社のほうがY社よりも高くなっています。一般に、配当性向が高いほど、株主への利益還元の度合いが高いと考えることができます
- ③
- 株式投資において、企業の成長性が市場平均よりも高いと期待される銘柄に投資する手法は、一般に、バリュー投資と呼ばれます。バリュー投資は、投資対象の株価の割安さよりも企業の成長性を重視する投資家向けの投資手法といえます
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
ROE(自己資本利益率)は、株主のお金を使ってどれだけ効率よく利益を出したかを示す指標です。配当性向は、純利益のうち株主への配当にどれだけ回したかを示す指標です。また、銘柄の選び方には、成長を重視するグロース投資と、割安さを重視するバリュー投資があります。
解き方
- 例の財務データから純資産(自己資本)と当期純利益を取り出し、2社のROEを計算して高いか低いかを比べます。
- 配当金総額と当期純利益から、2社の配当性向を計算して高いか低いかを比べます。
- バリュー投資とグロース投資の意味を確かめ、問題の記述がどちらの特徴を説明しているかを判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- ROE(自己資本利益率)=当期純利益÷自己資本×100で求めます。X社は7,200百万円÷98,000百万円×100≒7.35%、Y社は4,600百万円÷48,000百万円×100≒9.58%であり、Y社のほうが高いため適切です。
- 小問 ②:○
- 配当性向=配当金総額÷当期純利益×100で求めます。X社は3,000百万円÷7,200百万円×100≒41.67%、Y社は1,650百万円÷4,600百万円×100≒35.87%であり、X社のほうが高いため適切です。
- 小問 ③:×
- 企業の成長性が市場平均より高いと期待される銘柄に投資する手法は「グロース投資」です。バリュー投資は株価が割安と判断される銘柄に投資する手法であるため不適切です。
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覚えるポイント
- ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本(純資産)× 100
- 配当性向(%)= 配当金総額 ÷ 当期純利益 × 100 = 1株当たり配当金 ÷ 1株当たり純利益(EPS)× 100
間違えやすいところ
- ROEの計算で、自己資本ではなく総資産(総資本)を使ったROAと間違えないよう注意します。
- グロース投資(成長性を重視し、PERなどが高め)と、バリュー投資(割安さを重視し、PERやPBRが低め)の意味を混同しないようにします。
出題の前提:2024年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
上場投資信託(ETF)の特徴と仕組み
金融資産運用 · ETFの運用形態(アクティブ型) / ETFの売買取引(信用取引) / ETFの分配金課税
MさんがAさんに対して説明した、上場投資信託(ETF)の特徴等に関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 「東京証券取引所に上場している上場投資信託(ETF)には、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの指標に連動した投資成果を目指す指標連動型の銘柄だけでなく、アクティブ運用型の銘柄もあります」 ② 「上場投資信託(ETF)の売買では、上場株式と同様に成行注文や指値注文が可能ですが、信用取引を行うことはできません」 ③ 「上場投資信託(ETF)の分配金には、普通分配金と元本払戻金(特別分配金)があり、税法上、普通分配金は所得税の課税対象となりますが、元本払戻金(特別分配金)は非課税となります」
- ①
- 東京証券取引所に上場している上場投資信託(ETF)には、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの指標に連動した投資成果を目指す指標連動型の銘柄だけでなく、アクティブ運用型の銘柄もあります
- ②
- 上場投資信託(ETF)の売買では、上場株式と同様に成行注文や指値注文が可能ですが、信用取引を行うことはできません
- ③
- 上場投資信託(ETF)の分配金には、普通分配金と元本払戻金(特別分配金)があり、税法上、普通分配金は所得税の課税対象となりますが、元本払戻金(特別分配金)は非課税となります
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
上場投資信託(ETF)は、取引所に上場している投資信託です。そのため、上場株式と同じように市場価格で指値注文や成行注文、信用取引ができます。また、ふつうの公募株式投資信託と違い、元本払戻金(特別分配金)のしくみはありません。分配金は原則として全額が配当所得として課税されます。
解き方
- 東証にあるETFの種類を確かめます。これまでの指標連動型に加え、近年解禁されたアクティブ運用型ETFもあります。
- ETFの取引方法を確かめます。株式と同じように指値・成行注文や信用取引ができます。これをもとに記述の誤りを判断します。
- ETFの分配金の税金の扱いを確かめます。元本払戻金はなく、全額が配当所得として課税されます。これをもとに判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 東京証券取引所では、特定の指数に連動しないアクティブ運用型ETFの上場が2023年に解禁されており、アクティブ運用型の銘柄も上場しているため適切です。
- 小問 ②:×
- ETFは金融商品取引所に上場されているため、上場株式と同様に成行注文や指値注文が可能であり、信用取引を行うことも可能です。
- 小問 ③:×
- ETFの分配金には公募追加型株式投資信託のような元本払戻金(特別分配金)の仕組みはなく、支払われる分配金はすべて普通分配金として課税対象となるため不適切です。
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覚えるポイント
- ETFは上場株式と同様に指値・成行注文や信用取引が可能
- ETFの分配金はすべて課税扱い(元本払戻金・特別分配金の非課税枠組みはない)
間違えやすいところ
- 上場していない公募株式投資信託の、普通分配金(課税)と元本払戻金(非課税)のしくみがETFにも当てはまると誤解しやすいので注意します。
出題の前提:2024年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
退職所得控除額および退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得 / 退職所得控除 / 勤続年数
会社員のAさん(60歳)は、2024年11月に定年を迎え、勤務先のX社から退職金2,200万円の支給を受けました。定年を迎えるまでの勤続期間は33年2カ月であり、「退職所得の受給に関する申告書」を提出しています。また、Aさんにはこれ以外に退職手当等の収入はありません。このとき、退職所得の金額を算出する以下の計算式の空欄①~④に入る数値を求めなさい。 〈退職所得控除額〉 800万円+( ① )万円×{( ② )年-20年}=( ③ )万円 〈退職所得の金額〉 (2,200万円-( ③ )万円)×□□□=( ④ )万円
解答・解説を表示
解答
① 70(万円)、② 34(年)、③ 1,780(万円)、④ 210(万円)
解説
退職所得の金額は、原則として『(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2』で計算します。退職所得控除額は、長く働いた人ほど大きくするためです。勤続年数に1年未満の端数があるときは、切り上げて1年とします。控除額は、20年以下の期間は年40万円、20年を超える期間は年70万円です。
解き方
- 勤続期間は33年2カ月です。1年未満の端数を切り上げて、勤続年数を34年にします。
- 勤続年数が20年を超えるときの式『800万円+70万円×(勤続年数-20年)』に当てはめて、退職所得控除額を出します。
- 『(退職金の額-退職所得控除額)×1/2』に数を入れて、退職所得の金額を出します。
答えの内訳
- ①:70
- 勤続年数が20年を超える場合、20年を超える年数1年あたりの控除額は70万円となります。
- ②:34
- 勤続期間が33年2カ月であるため、端数の2カ月を1年に切り上げ、勤続年数は34年となります。
- ③:1,780
- 退職所得控除額は、800万円+70万円×(34年-20年)=800万円+980万円=1,780万円となります。
- ④:210
- 退職所得の金額は、(収入金額2,200万円-退職所得控除額1,780万円)×1/2=420万円×1/2=210万円となります。
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覚えるポイント
- 勤続年数の端数は月単位であっても切り上げて1年とする点。
- 勤続年数20年超の退職所得控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」である点。
間違えやすいところ
- 33年2カ月の端数を切り捨てて、33年で計算してしまう間違いです。
- 退職所得控除額を引いたあとに、『×1/2』を忘れてしまうことです。
出題の前提:2024年10月1日現在施行の所得税法等法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
上場株式の譲渡損失の損益通算・社会保険料控除・扶養控除の判定
タックスプランニング · 上場株式等の譲渡損失 / 損益通算 / 社会保険料控除 / 扶養控除
Aさんの2024年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 特定口座(源泉徴収あり)内で生じた上場株式の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、不動産所得の金額や給与所得の金額と損益通算することができる。 ② Aさんが長女Cさんの国民年金保険料を支払った場合、その支払った保険料はAさんの社会保険料控除の対象となる。 ③ Aさんが適用を受けることができる扶養控除の額は、121万円である。
- ①
- 特定口座(源泉徴収あり)内で生じた上場株式の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、不動産所得の金額や給与所得の金額と損益通算することができます。
- ②
- Aさんが長女Cさんの国民年金保険料を支払った場合、その支払った保険料はAさんの社会保険料控除の対象となります。
- ③
- Aさんが適用を受けることができる扶養控除の額は、121万円です。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ○
解説
所得税では、上場株式等の譲渡損失は、他の総合課税の所得と損益通算できません。上場株式等の損失は分離課税として扱うためです。また、生計を一にする親族の社会保険料を納税者が支払ったときは、社会保険料控除の対象になります。扶養控除は、生計を一にする合計所得金額48万円以下の親族等で16歳以上の人が対象です。特定扶養親族(19歳以上23歳未満)は63万円、同居老親等(70歳以上の同居の直系尊属)は58万円です。
解き方
- 上場株式等の譲渡損失を通算できる相手は、株式等の譲渡所得と申告分離課税の配当所得だけです。これを確かめて記述①を判断します。
- 生計を一にする親族(長女のCさん)の社会保険料を自分が支払ったときの控除の条件を確かめ、記述②を判断します。
- 家族それぞれの所得と年齢を確かめます。妻Bは配偶者、長女Cは特定扶養親族で63万円、母Dは同居老親等で58万円です。扶養控除に当たるかと控除額を合計して記述③を判断します。
- 選択肢 ①不正解
- 上場株式等の譲渡損失は、確定申告をすれば上場株式等の配当等所得とは損益通算できます。しかし、不動産所得や給与所得とは通算できないので誤りです。
- 選択肢 ②正解
- 生計を一にする親族が負担すべき国民年金保険料を、本人が実際に納めたときは、全額が自分の社会保険料控除の対象になるので正しいです。
- 選択肢 ③正解
- 長女Cさんは特定扶養親族で63万円、母Dさんは同居老親等で58万円です。合計は63万円+58万円=121万円になるので正しいです。なお、妻Bさんは配偶者控除の対象です。
答えの内訳
- ①:×
- 上場株式等の譲渡損失は、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等の金額と損益通算することはできますが、不動産所得や給与所得などの総合課税の所得と損益通算することはできません。
- ②:○
- 納税者が自己と生計を一にする配偶者その他の親族が負担すべき社会保険料を実際に支払った場合、その支払った金額は納税者自身の社会保険料控除の対象となります。
- ③:○
- 控除対象扶養親族は、特定扶養親族に該当する長女Cさん(20歳、合計所得金額48万円以下:63万円)と同居老親等に該当する母Dさん(84歳、合計所得金額48万円以下:58万円)の2名となり、合計額は63万円+58万円=121万円となります。
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覚えるポイント
- 生計を一にする親族の社会保険料を支払ったときは支払った人の社会保険料控除となる点。
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の控除額は63万円、同居老親等(70歳以上直系尊属で同居)は58万円である点。
間違えやすいところ
- 株式等の譲渡損失を、総合課税の所得(給与所得や不動産所得など)と通算できると勘違いすることです。
- 配偶者を扶養控除の計算に入れてしまう間違いです。配偶者は配偶者控除などの対象です。
出題の前提:2024年10月1日現在施行の所得税法等法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
給与所得および総所得金額の計算
タックスプランニング · 給与所得控除 / 所得金額調整控除 / 一時所得 / 総所得金額
会社員Aさんの2024年分の収入資料等に基づき、次の①・②の金額を求めなさい。なお、所得金額調整控除の要件を満たす場合は同控除額を控除することとし、解答は万円単位とすること。 ① 総所得金額に算入される給与所得の金額 ② 総所得金額 〈資料:Aさんの2024年分の収入等〉 ・給与収入:950万円 ・退職手当等:2,200万円(勤続年数33年2カ月、「退職所得の受給に関する申告書」提出済) ・不動産所得:20万円(白色申告) ・上場株式の譲渡損失:80万円(全額特定口座・源泉徴収あり) ・一時払養老保険(10年満期、2014年10月契約):満期保険金560万円、正味払込保険料500万円(契約者・被保険者・満期保険金受取人:Aさん) ・家族関係:妻(給与収入95万円)、長女(20歳、大学生・収入なし)、母(84歳、年金80万円)と同居・生計を一にする。
解答・解説を表示
解答
① 745(万円) ② 770(万円)
解説
総所得金額は、総合課税の対象となる各種所得を合計して出します。たとえば給与所得、不動産所得、一時所得の2分の1などです。給与収入が850万円超で23歳未満の扶養親族がいるときは、所得金額調整控除が使えます。分離課税の退職所得や株式等の譲渡所得は、総所得金額に含まれません。
解き方
- 給与収入950万円から、給与所得控除195万円と所得金額調整控除10万円を引いて、給与所得745万円を出します。
- 満期保険金から払込保険料と特別控除50万円を引いて一時所得を出し、その2分の1の金額(5万円)を計算します。
- 総合課税になる給与所得745万円、不動産所得20万円、一時所得の算入額5万円を合計して、総所得金額770万円を出します。
答えの内訳
- ①:745(万円)
- 給与収入が850万円超であるため給与所得控除額は一律195万円となり、控除前給与所得は 950万円-195万円=755万円です。また、同居・生計を一にする23歳未満の扶養親族(20歳の長女Cさん)がいるため所得金額調整控除((950万円-850万円)×10%=10万円)が適用されます。したがって、給与所得の金額は 755万円-10万円=745万円 となります。
- ②:770(万円)
- 総所得金額は総合課税の対象となる所得の合計額です。一時払養老保険(保険期間5年超)の満期保険金差益は一時所得となり、その金額は 560万円-500万円-特別控除50万円=10万円、総所得金額への算入額はその2分の1の5万円です。上場株式の譲渡損失(分離課税)や退職所得(分離課税)は合算されないため、給与所得745万円+不動産所得20万円+一時所得の算入額5万円=770万円 となります。
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覚えるポイント
- 給与収入850万円超で23歳未満の扶養親族等がいる場合の所得金額調整控除額=(給与収入額[上限1,000万円]-850万円)×10%
- 一時所得の総所得金額への算入額は「(総収入金額-支出金額-特別控除50万円)×1/2」で計算する。
間違えやすいところ
- 特定口座(源泉徴収あり)の上場株式の譲渡損失は申告分離課税です。不動産所得や給与所得などの総合課税所得とは損益通算できないのを見落としがちです。
- 一時所得の金額をそのまま総所得金額に足して、2分の1を掛けるのを忘れる間違いが多いです。
出題の前提:2024年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築面積および延べ面積の最高限度の計算
不動産 · 建蔽率の緩和 / 前面道路幅員制限 / 延べ面積の上限
甲土地(敷地面積300㎡)と乙土地(敷地面積300㎡)を一体とした敷地上に耐火建築物を建築する場合における、次の①建蔽率の上限となる建築面積、および②容積率の上限となる延べ面積を求めなさい。 〈敷地の概要〉 ・敷地全体の面積:600㎡(甲土地300㎡+乙土地300㎡) ・用途地域:第一種住居地域 ・指定建蔽率:60%、指定容積率:300% ・前面道路:北側道路(公道・幅員7m)、東側道路(公道・幅員6m) ・道路幅員による容積率の制限:前面道路幅員×4/10 ・防火規制:準防火地域 ・敷地の状況:特定行政庁が指定する角地である。
解答・解説を表示
解答
① 480(㎡) ② 1,680(㎡)
解説
建築面積の上限は『敷地面積×適用建蔽率』で求めます。角地の指定や、準防火地域内の耐火建築物には緩和の決まりがあります。延べ面積の上限は『敷地面積×基準容積率』で求めます。基準容積率は、指定容積率と前面道路幅員による制限(広い方の道路幅員×法定乗数)のうち、小さい方を使います。
解き方
- 建蔽率の緩和の条件を確かめます。特定行政庁の角地指定で+10%、準防火地域の耐火建築物で+10%です。適用建蔽率80%に敷地面積600㎡を掛けて、建築面積480㎡を出します。
- 前面道路の広い方(7m)に、住居系の法定乗数4/10を掛けて道路幅員の制限(280%)を出します。指定容積率(300%)と比べて、小さい方の基準容積率280%を決めます。
- 決めた基準容積率280%に敷地面積600㎡を掛けて、延べ面積の最高限度1,680㎡を出します。
答えの内訳
- ①:480(㎡)
- 指定建蔽率は60%ですが、「特定行政庁が指定する角地(+10%)」かつ「準防火地域内の耐火建築物(+10%)」に該当するため合計20%が緩和され、適用される建蔽率は 60%+10%+10%=80% となります。したがって、建築面積の最高限度は 600㎡×80%=480㎡ です。
- ②:1,680(㎡)
- 敷地が2つ以上の道路に接する場合、幅員の広い方の道路幅員(北側7m)を採用します。第一種住居地域における前面道路幅員制限は「7m×4/10=28/10=280%」となり、指定容積率300%よりも厳しいため、基準容積率は280%となります。したがって、延べ面積の最高限度は 600㎡×280%=1,680㎡ です。
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覚えるポイント
- 準防火地域内の耐火建築物・準耐火建築物は建蔽率が10%緩和される。
- 2面以上道路に接している場合、前面道路幅員による容積率制限は最も広い道路幅員を採用する。
間違えやすいところ
- 準防火地域内の耐火建築物による建蔽率10%の緩和を忘れて、角地の緩和だけの70%で計算してしまう間違いが多いです。
- 容積率の計算で狭い方の道路(6m)を使ってしまったり、指定容積率と道路幅員制限の小さい方を使う原則を見落としたりしがちです。
出題の前提:2024年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産を譲渡した場合の税制上の特例
不動産 · 居住用財産の譲渡所得の特別控除 / 軽減税率の特例 / 特例の重複適用
自宅(建物とその敷地である甲土地)の譲渡に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ①「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」(軽減税率の特例)の適用を受けるためには、譲渡した年の1月1日において自宅の所有期間が20年を超えていなければなりません。相続により取得した不動産は被相続人の取得時期を引き継ぐため、Aさんは本特例の適用を受けることができます。 ②仮に、Aさんがマンションに転居し、現在の自宅が居住の用に供されなくなった場合であっても、当該自宅が居住の用に供されなくなってから5年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すれば、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の適用を受けることができます。 ③「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」と「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」(軽減税率の特例)は、重複して適用を受けることができます。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
居住用財産(マイホーム)を売ったときの税金を軽くする特例には、3,000万円の特別控除と、所有期間が10年を超える場合の軽減税率の特例があります。これらの特例はどちらも使えますが、所有期間や住まなくなった日からの期限などの条件を満たす必要があります。
解き方
- 軽減税率の特例の所有期間の条件(売った年の1月1日で10年超)を確かめ、記述①の正誤を判断します。
- 3,000万円特別控除の期限(住まなくなってから3年を過ぎる日の属する年の12月31日まで)を確かめ、記述②の正誤を判断します。
- 3,000万円特別控除と軽減税率の特例を重ねて使えることを確かめ、記述③の正誤を判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 居住用財産の軽減税率の特例の要件は、譲渡した年の1月1日現在における所有期間が「10年超」であり、記述の「20年超」は誤りです。
- 小問 ②:×
- 居住用財産の3,000万円特別控除は、住まなくなった日から「3年を経過する日の属する年の12月31日」までに譲渡することが要件であり、記述の「5年」は誤りです。
- 小問 ③:○
- 居住用財産を譲渡した場合の「3,000万円の特別控除」と「軽減税率の特例」は、要件を満たせば重複して適用を受けることができます。
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覚えるポイント
- 居住用財産の軽減税率特例の所有期間要件は「譲渡年の1月1日時点で10年超」であること。
- 居住用財産の3,000万円特別控除は転居後「3年を経過する日の属する年の12月31日まで」の譲渡が要件であること。
- 3,000万円特別控除と軽減税率の特例は併用可能であること。
間違えやすいところ
- 贈与税の配偶者控除の婚姻期間の条件「20年」と、軽減税率の特例の所有期間の条件「10年超」を混同しないようにします。
- 住まなくなったときの猶予期間を「5年」と思い込まず、「3年を経過する日の属する年の12月31日」と正しく覚えます。
出題の前提:2024年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
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等価交換方式と立体買換えの特例
不動産 · 等価交換方式の仕組み / 立体買換えの特例の課税繰り延べ割合 / 買換資産の取得時期および取得価額の引継ぎ
等価交換方式による甲土地と乙土地を一体とした土地の有効活用に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ①等価交換方式とは、Aさんが所有する土地の上に、X社がマンション等を建設し、完成した建物の住戸等をAさんとX社がそれぞれの出資割合に応じて取得する手法です。 ②等価交換方式による有効活用にあたり、所定の要件を満たせば、譲渡益に対する課税を80%繰り延べることができる「既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」(立体買換えの特例)の適用を受けることができます。 ③「既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」(立体買換えの特例)の適用を受けた場合、買換資産は譲渡資産の取得時期および取得価額を引き継ぎます。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
等価交換方式は、土地の持ち主が土地を出し、その土地の上に建てた建物の一部を出資の割合に応じて受け取る取引です。税金の面では売ったことになり課税されますが、「立体買換えの特例」の条件を満たせば課税を100%先送りできます。このとき取得価額は引き継ぎますが、取得時期は引き継ぎません。
解き方
- 等価交換方式の意味(土地を出し、建築資金も出して割合に応じて分ける)を確かめ、記述①の正誤を判断します。
- 立体買換えの特例の課税繰り延べの割合(全額を充てたときは100%)を確かめ、記述②の正誤を判断します。
- 買換えの特例を使ったときの取得価額と取得時期の引き継ぎ(価額は引き継ぐが時期は引き継がない)を確かめ、記述③の正誤を判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 等価交換方式は、土地所有者が土地を提供し、デベロッパー等が建築資金を拠出して建物を建築し、完成した土地・建物の専有部分等をそれぞれの出資割合(等価)に応じて取得・配分する手法です。
- 小問 ②:×
- 立体買換えの特例では、譲渡代金の全額を買換資産の取得に充てた場合、譲渡益に対する課税を最大で100%繰り延べることができます(80%ではありません)。
- 小問 ③:×
- 立体買換えの特例の適用を受けた場合、買換資産は譲渡資産の取得価額を引き継ぎますが、取得時期(所有期間)は引き継がれません。
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覚えるポイント
- 等価交換方式は自己資金なしで建築できる有効活用法であること。
- 中高層耐火建築物等の建設のための立体買換えの特例は課税繰り延べ割合が最大100%であること。
- 買換えの特例では買換資産は「取得価額」を引き継ぐが、「取得時期」は引き継がれないこと。
間違えやすいところ
- 事業用資産の買換え特例(ふつうは80%の繰り延べ)と、立体買換え特例(100%の繰り延べ)の割合を混同しないようにします。
- 相続の取得時期・取得費の引き継ぎと、買換え特例の「取得価額だけ引き継ぎ、取得時期は引き継がない」ルールの違いを混同しないようにします。
出題の前提:2024年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
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自筆証書遺言・遺留分・小規模宅地等の特例
相続・事業承継 · 自筆証書遺言書保管制度 / 遺留分 / 小規模宅地等の特例
設例のAさんの相続に関する記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 遺産分割をめぐる争いを防ぐ手段として、遺言書の作成をお勧めします。自筆証書遺言は、法務局における保管制度を利用することで、遺言書の紛失等を防ぐことができ、相続開始後、家庭裁判所における検認が不要となります。 ② Aさんの相続に係る遺留分を算定するための財産の価額を5億円とした場合、長女Dさんの遺留分の金額は、1億2,500万円となります。 ③ 長男CさんがX社本社敷地および建物を相続により取得し、当該敷地(相続税評価額7,500万円)について、特定同族会社事業用宅地等として限度面積まで『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、相続税の課税価格に算入すべき価額を3,500万円とすることができます。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
自筆証書遺言は、法務局の保管制度を使うと、家庭裁判所の検認が要らなくなります。遺留分は、配偶者と子が相続人のときは全体で2分の1です。小規模宅地等の特例では、特定同族会社事業用宅地等は400㎡まで80%減額できます。
解き方
- ①について、法務局の遺言書保管制度を使うと検認が要らないという決まりを確かめ、正誤を判断します。
- ②について、配偶者と子が相続人のときの全体の遺留分割合(2分の1)と、子の人数に応じた割合を計算し、遺留分の額を求めます。
- ③について、特定同族会社事業用宅地等の限度面積400㎡と減額割合80%を使って、減額される額と課税価格に入る額を計算します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 法務局(遺言書保管所)における自筆証書遺言書保管制度を利用した場合、家庭裁判所の検認手続は不要となります。
- 小問 ②:×
- 相続人が配偶者と子(2人)の場合、全体の遺留分割合は2分の1です。長女Dさんの法定相続分は4分の1であるため、遺留分割合は8分の1(1/2×1/4)となり、遺留分の額は5億円×1/8=6,250万円となります。
- 小問 ③:○
- 特定同族会社事業用宅地等の限度面積は400㎡、減額割合は80%です。敷地600㎡のうち400㎡分について80%減額されるため、減額される金額は7,500万円×(400㎡/600㎡)×80%=4,000万円となり、課税価格に算入すべき価額は7,500万円-4,000万円=3,500万円となります。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 自筆証書遺言保管制度を利用すると家庭裁判所の検認が不要になる。
- 特定同族会社事業用宅地等の限度面積は400㎡で80%減額。
間違えやすいところ
- 特定同族会社事業用宅地等の限度面積400㎡を、特定居住用宅地等の330㎡と混同しないよう注意します。
- 遺留分の計算で、全体の遺留分割合(2分の1)を掛け忘れ、法定相続分をそのまま掛けてしまう誤りが多いです。
出題の前提:2024年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
相続・事業承継 · 住宅取得等資金の贈与税の非課税 / 床面積要件 / 生前贈与加算 / 相続時精算課税制度との併用
「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(本特例)に関する文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を〈語句群〉から選びなさい。 Ⅰ 「長女Dさんが2025年5月にAさんから住宅取得等資金の贈与を受け、本特例の適用を受ける場合、本特例による非課税限度額は、原則として、取得等する住宅が一定の省エネ等住宅であれば( ① )万円、それ以外の住宅であれば□□□万円となります。なお、本特例の適用を受けるにあたって、取得等する住宅用家屋は、長女Dさんの居住の用に供する家屋で、床面積は□□□㎡以上( ② )㎡以下であることなどの要件を満たす必要があります」 Ⅱ 「長女DさんがAさんから贈与を受けた住宅取得等資金について本特例の適用を受け、その後、Aさんの相続が開始した場合、本特例の適用を受けたことにより贈与税の課税価格に算入されなかった金額は、相続税の課税価格に( ③ )」 Ⅲ 「本特例と相続時精算課税は、併用して適用を受けることが( ④ )」
- イ
- 150
- ロ
- 240
- ハ
- 300
- ニ
- 330
- ホ
- 500
- ヘ
- 1,000
- ト
- 加算しなければなりません
- チ
- 加算する必要はありません
- リ
- できます
- ヌ
- できません
解答・解説を表示
解答
① ヘ ② ロ ③ チ ④ リ
解説
直系尊属(親や祖父母)から住宅の取得資金をもらったときの贈与税には、非課税になる特例があります。非課税の限度額は省エネ等住宅で1,000万円、それ以外の住宅で500万円です。床面積にも条件があります。この特例で非課税になったお金は、相続が始まっても相続税の課税価格に加算する必要はなく、相続時精算課税とも併用できます。
解き方
- ①について、省エネ等住宅の非課税限度額(1,000万円)にあたる選択肢を選びます。
- ②について、家屋の床面積の上限の条件(240㎡以下)にあたる選択肢を選びます。
- ③について、特例で非課税になった分は相続税の課税価格に加算しなくてよいことを確かめます。
- ④について、相続時精算課税制度と併用できるかを確かめます。
- 選択肢 イ不正解
- 150は、この特例の限度額や床面積などの基準にはなりません。
- 選択肢 ロ正解
- 240は、床面積の条件の上限(240㎡以下)として空欄②に当てはまります。
- 選択肢 ハ不正解
- 300は、この特例の床面積の条件や金額の基準にはなりません。
- 選択肢 ニ不正解
- 330は特定居住用宅地等の限度面積などで、この特例の床面積の条件ではありません。
- 選択肢 ホ不正解
- 500は一般住宅のときの非課税限度額(500万円)ですが、①は省エネ等住宅を聞いています。
- 選択肢 ヘ正解
- 1,000は省エネ等住宅の非課税限度額(1,000万円)として空欄①に当てはまります。
- 選択肢 ト不正解
- この特例で非課税になった分は、相続が始まっても相続税の課税価格に加算しません。
- 選択肢 チ正解
- この特例を使った分は、相続税の課税価格に「加算する必要はありません」として空欄③に当てはまります。
- 選択肢 リ正解
- この特例と相続時精算課税は、併用して「受けることができます」として空欄④に当てはまります。
- 選択肢 ヌ不正解
- この特例と相続時精算課税は併用が認められているので、不適切です。
答えの内訳
- ①:ヘ
- 質の高い住宅(省エネ等住宅)を取得等する場合の非課税限度額は1,000万円(ヘ)です。一般住宅の場合は500万円となります。
- ②:ロ
- 住宅取得等資金の非課税特例における家屋の床面積要件は、原則として50㎡以上240㎡以下(ロ)です(所得制限を満たせば40㎡以上)。
- ③:チ
- 本特例の適用を受けた金額については、贈与者が死亡した場合の相続税の生前贈与加算の対象とはならないため、「加算する必要はありません」(チ)が入ります。
- ④:リ
- 住宅取得等資金の非課税特例は、暦年課税だけでなく相続時精算課税制度とも併用して受けることが「できます」(リ)。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 住宅取得等資金の非課税限度額は、省エネ等住宅で1,000万円、一般住宅で500万円。
- 住宅取得等資金の非課税適用部分は、相続開始時の生前贈与加算の対象外。
間違えやすいところ
- 省エネ等住宅(1,000万円)とそれ以外の住宅(500万円)の限度額を取り違えないよう注意します。
- 床面積の上限の条件(240㎡)を200㎡などと混同しないようにします。
出題の前提:2024年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額 / 相続税の総額
被相続人Aさんの相続に係る相続税の課税価格の合計額が4億2,000万円である場合における、①遺産に係る基礎控除額、②長男Cさんの相続税の総額の基となる税額、③相続税の総額をそれぞれ求めなさい。なお、法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの3人である。
解答・解説を表示
解答
① 4,800(万円) ② 2,090(万円) ③ 9,920(万円)
解説
相続税の総額は、まず課税遺産総額(課税価格の合計額から基礎控除額を引いた額)を求めます。それを各法定相続人が法定相続分どおりに取得したと仮定して分け、それぞれに高い税率を適用した税額を合計して出します。
解き方
- 法定相続人の数(3人)を確かめ、基礎控除額(3,000万円+600万円×3=4,800万円)を計算します。
- 課税価格の合計額から基礎控除額を引いて、課税遺産総額(3億7,200万円)を計算します。
- 各法定相続人(妻は2分の1、子はそれぞれ4分の1)の法定相続分に応じた取得金額を出し、速算表を使ってそれぞれの税額を求めます。
- 各人の税額(妻5,740万円、長男2,090万円、長女2,090万円)を合計して、相続税の総額(9,920万円)を出します。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。法定相続人は妻B、長男C、長女Dの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:2,090
- 課税遺産総額は4億2,000万円-4,800万円=3億7,200万円です。長男Cさんの法定相続分は1/4であるため、法定相続分に応ずる取得金額は3億7,200万円×1/4=9,300万円となります。速算表より税率30%・控除額700万円を適用し、9,300万円×30%-700万円=2,090万円となります。
- ③:9,920
- 妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額は3億7,200万円×1/2=1億8,600万円で、税額は1億8,600万円×40%-1,700万円=5,740万円です。長女Dさんの税額は長男Cさんと同じ2,090万円です。これらを合計した相続税の総額は、5,740万円+2,090万円+2,090万円=9,920万円となります。

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覚えるポイント
- 基礎控除額の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」であること。
- 相続税の総額は実際の遺産分割割合ではなく、法定相続分で按分した仮定の金額に税率を適用して算出すること。
間違えやすいところ
- 孫がいるときに、代襲相続でないのに法定相続人の数に含めてしまうミスがあります。
- 実際の遺産の取得割合で速算表を使い、税額を求めてしまう計算ミスがあります。
出題の前提:2024年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2025年5月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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