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FP技能検定 · 学習ガイド

所得税の特殊論点

所得税の特殊論点とは

所得税の特殊論点とは、譲渡・退職・海外所得など、通常の計算に特例や申告上の調整が重なる論点です。

特例で現在の課税を繰り延べた場合に、将来の取得費や売却益へ影響する関係を示す図
課税繰延べの特例では、将来の取得費等へ影響がつながる場合があります。現在の納付額だけでなく、次の売却時の計算も確認します。

特殊な所得や譲渡の問題ほど、まず通常の計算に戻し、その後に特例の要件を重ねます。特例の名前を見つけた段階で適用すると、所有期間や対象者の条件を落としやすくなります。

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。左に「現在」の譲渡益、右に「将来」の買換資産を置き、中央の矢印で課税を将来へ繰り延べる流れを示す。買換資産の取得費等へは点線の矢印で「つながる場合がある」と示し、現在の税の減少と永久非課税を同一視しない。
覚えること:繰延べ時の納付ゼロ≠永久非課税

例えば譲渡益の課税を将来へ繰り延べる特例は、現在の税が減っても、買換資産の取得費等へつながる場合があります。現時点の納付ゼロと永久非課税を同じ意味にしないことが重要です。

退職所得では勤続年数、支給の性質、他の退職手当との期間重複などが計算に関わります。海外所得等では居住者区分、所得の源泉、外国での課税との調整を順に整理します。似た金額が出ても同じ控除表を使うとは限りません。

国税と地方税の申告・課税は完全には一致しません。所得税の確定申告が不要な条件を満たしても、住民税の申告が必要な場合があります。個人事業税では対象業種や事業主控除等を別に確認し、所得税の計算結果を無条件で転記しません。

国外に関わる所得では、居住者か非居住者か、所得の源泉地がどこかにより課税関係が変わります。日本と外国の両方で課税される場合には、外国税額控除や租税条約等の調整を確認します。海外で税を払ったことだけで、日本での申告が常に不要になるわけではありません。

税制の最新動向は、国税庁の改正案内で「何年分の所得・どの支払日から適用か」を確認します。大綱や法案の紹介だけで確定した計算へ置き換えず、成立後の説明と経過措置を見ます。例えば基礎控除は令和7年度・令和8年度と続けて改正され、同じ所得でも対象年と合計所得金額で控除額が変わります。過去年の控除額を現在の試算へそのまま使わず、給与の源泉徴収と年末調整の適用時期も分けます。

例外を適用年と納税者で分ける

例外を適用年と納税者で分けるの図解。上部の「令和8年分以後」から下へ線を伸ばし、中央の仕切りで左の「居住者」と右の「通年非居住者」に分ける。左には「特例加算」を置ける枠、右には「本則62万円」を配置する。
覚えること:令和8年分以後の特例加算は居住者のみ

退職所得は原則(収入金額−退職所得控除額)×1/2です。退職所得控除額は勤続20年以下が40万円×勤続年数(最低80万円)、20年超が800万円+70万円×(勤続年数−20年)です。1年未満の端数は切り上げ、障害者になったことによる退職は100万円を加算します。

役員等勤続年数5年以下の特定役員退職手当等は2分の1課税がありません。それ以外の勤続5年以下の短期退職手当等は、控除後300万円を超える部分に2分の1を適用しません。勤続4年の従業員の退職金1,000万円なら、控除額160万円、控除後840万円のうち300万円×1/2+540万円=690万円が退職所得です。

前年以前に受けた退職手当等と勤続期間が重なる場合は、重複期間分の退職所得控除を調整します。DC一時金を先に受け取っていた場合の調整期間は、令和8年1月1日以後に支払を受ける退職手当等から前年以前4年内が9年内に延長されました。退職金を先に受けてDC一時金を後で受ける場合は前年以前19年内です。譲渡所得の買換え特例は課税繰延べであり、将来の取得費や売却益に影響します。

外国で得た所得は居住者区分と国内源泉・国外源泉を判定し、外国税額控除や租税条約の適用を検討します。住民税は所得税と前年・当年の課税時点が異なり、所得税の確定申告不要が住民税の申告不要を意味するとは限りません。

令和8年度改正の基礎控除の引上げ等は令和8年12月1日施行で、令和8年分以後の所得税に適用され、同年12月の年末調整で精算します。基礎控除の特例加算は居住者だけが対象で、1年を通じて非居住者の人は本則の62万円です。同年11月30日以前に令和8年分の準確定申告書を出した場合は改正前の額で計算し、施行後の更正の請求で改正後の控除を受けられます。

例外を適用年と納税者で分ける
本人の合計所得金額基礎控除(令和7年分)基礎控除(令和8年分・令和9年分)
132万円以下95万円104万円
132万円超336万円以下88万円104万円
336万円超489万円以下68万円104万円
489万円超655万円以下63万円67万円
655万円超2,350万円以下58万円62万円
2,350万円超2,500万円以下48万円・32万円・16万円と逓減48万円・32万円・16万円と逓減
2,500万円超0円0円
例外を適用年と納税者で分ける
改正項目内容適用年分
給与所得控除の最低保障額65万円→69万円(本則)+5万円の特例で74万円令和8年分・令和9年分は74万円
扶養親族等の合計所得金額要件58万円以下→62万円以下令和8年分以後
青色申告特別控除e-Taxでの申告を要件に65万円、帳簿の電磁的記録保存等も満たせば75万円令和9年分以後
例外を適用年と納税者で分ける
特殊論点先に確かめること
退職所得勤続年数・他の退職金との重複期間・2分の1課税の例外
買換え特例の対象・取得費への繰延べ
国外所得居住者区分・源泉地・外国税額控除
基礎控除対象年・合計所得金額・居住者かどうか
住民税前年所得と所得税とは別の申告

試験に出る

  • 特殊な論点では、通常の計算に戻してから特例の要件を重ねる手順。
  • 繰延べ特例は、現在の税が減っても将来の取得費等に影響する点。
  • 特定役員退職手当等は2分の1課税なし、短期退職手当等は控除後300万円超の部分だけ2分の1課税なし。
  • 海外所得は居住者区分と所得の源泉地で整理し、外国税額控除や租税条約を確認する。
  • 所得税の確定申告が不要でも住民税の申告が必要な場合がある点。
  • 基礎控除は令和8年分・令和9年分で合計所得金額489万円以下なら104万円。給与所得控除の最低保障額は同期間74万円。

重要な言葉

繰延べ
課税を将来の時点へ先送りする取扱い。
外国税額控除
外国で課税された税額を国内の税から控除する仕組み。
租税条約
二国間で課税関係を調整する条約。
経過措置
制度改正時につなぎとして設けられる取扱い。
特定役員退職手当等
役員等としての勤続年数が5年以下の人が受け取る退職手当等。退職所得の2分の1課税が適用されない。

確認問題

確かめよう特例を使った計算で、通常計算との違いを説明できますか。

特例を外した通常計算の税額と特例適用後の税額を並べ、どの要件を満たしたためにどの金額が変わったかを示します。

譲渡益の課税を繰り延べる特例は、永久に非課税となる制度である。

所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要な場合がある。

譲渡益の課税を将来へ繰り延べる特例の説明として正しいものは?

海外所得の課税関係を判断するときに確認するものは?

勤続4年の従業員(役員ではない)が退職金1,000万円を受け取った。退職所得の金額は?

令和8年分の所得税で、合計所得金額400万円の居住者の基礎控除額は?

特殊な所得や譲渡の問題ほど、まず通常の計算に戻し、その後にの要件を重ねます。特例の名前を見つけた段階で適用すると、や対象者の条件を落としやすくなります。

例えば譲渡益の課税を将来へ特例は、現在の税が減っても、の取得費等へつながる場合があります。現時点の納付ゼロと永久非課税を同じ意味にしないことが重要です。

では、支給の性質、他の退職手当との期間重複などが計算に関わります。海外所得等では居住者区分、所得の源泉、外国での課税との調整を順に整理します。似た金額が出ても同じ控除表を使うとは限りません。

国税と地方税の申告・課税は完全には一致しません。所得税の確定申告が不要な条件を満たしても、の申告が必要な場合があります。では対象業種や事業主控除等を別に確認し、所得税の計算結果を無条件で転記しません。

国外に関わる所得では、か非居住者か、所得の源泉地がどこかにより課税関係が変わります。日本と外国の両方で課税される場合には、や租税条約等の調整を確認します。海外で税を払ったことだけで、日本での申告が常に不要になるわけではありません。

税制の最新動向は、国税庁の改正案内で「何年分の所得・どの支払日から適用か」を確認します。大綱や法案の紹介だけで確定した計算へ置き換えず、成立後の説明とを見ます。例えばは令和7年度・令和8年度と続けて改正され、同じ所得でも対象年と合計所得金額で控除額が変わります。過去年の控除額を現在の試算へそのまま使わず、給与の源泉徴収と年末調整の適用時期も分けます。

出典・参考資料

試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。

編集:Pinternet Works · 更新日:

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