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FP技能検定 · 学習ガイド

リスク管理

法人保険の資産計上と取崩し・名義変更、保険差益と圧縮記帳、損害保険の支払方式、契約者保護と個人契約の課税を時系列で理解します。税額だけでなく、手元資金と事業継続への効果まで説明できることを目指します。

仕組みを理解する

法人契約の経理処理

法人契約の生命保険では、契約時から最高解約返戻率等に応じて資産計上と損金算入が変わります。前払部分を含む定期保険等は、契約内容を確認して処理します。

法人保険の支出を当期費用と資産計上に分け、後に資産を取り崩す流れを示す図
法人保険料は現金支出と当期の損金が同額とは限りません。契約時期や返戻率等に応じて資産計上し、後に取り崩す部分を分けます。

法人保険の経理は、契約した時点のルールと最高解約返戻率等によって変わります。契約内容を確認せず「定期は損金、終身は資産」とだけ覚えると、前払部分を含む定期保険等を誤ります。

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。左に「保険料100万円」を置き、下向き矢印の先に「現金減少100万円」を示す。右には仕切りのある1冊の帳簿を置き、保険料からの矢印の先を「資産40万円」「当期費用60万円」の2行に分けて、資産計上する条件での経理上の内訳を示す。
覚えること:100万円中40万円資産→費用60万円

例えば支払保険料100万円のうち40万円を資産計上する条件なら、現金減少100万円に対して、資産40万円と当期費用60万円が生じます。解約時に返戻金250万円を受け取り、計上資産が200万円なら、差額50万円が損益となる単純な構造です。

前払部分のある一定の定期保険等では、最高解約返戻率の区分で資産計上期間・割合・取崩期間が変わります。最高解約返戻「率」と解約返戻「金額」が最大になる時期は必ずしも同じではありません。問題の条件を年表に移します。

保険種類・受取人・返戻率で処理を決める

保険種類・受取人・返戻率で処理を決めるの図解。正方形の中央に養老保険の契約書を置き、「死亡保険金」「満期保険金」の2行を上下に並べ、それぞれの受取人欄から「法人受取」へ矢印を引く。2行を右側で括り、そこから「保険料を資産計上」へ矢印でつなぐ。
覚えること:養老保険は両方が法人受取なら資産計上

法人契約の養老保険では、死亡保険金と満期保険金の受取人をそれぞれ確認します。双方とも法人が受取人なら保険料を資産計上し、死亡保険金は遺族・満期保険金は法人の一般的な福利厚生型では原則2分の1を資産計上し、残りを期間経過に応じて損金算入します。特定役員だけを被保険者とする等の場合は給与扱いの検討が必要です。

2019年7月8日以後契約の、保険期間3年以上の定期保険・第三分野保険で最高解約返戻率50%超のものは、前払部分を資産計上します。50%超70%以下は当期分支払保険料の40%、70%超85%以下は60%を、保険期間の当初4割の期間に資産計上します。資産計上額は保険期間の7.5割を経過した後に均等に取り崩して損金に算入します。

50%超70%以下で被保険者1人当たりの年換算保険料相当額の合計が30万円以下なら、資産計上は不要です。85%超は、当初10年間は当期分支払保険料×最高解約返戻率×90%、11年目以降は×70%を資産計上し、資産計上期間と取崩期間は解約返戻金の推移で判定します。50%以下の契約は、保険期間の経過に応じて損金に算入します。

例えば最高解約返戻率65%・年払保険料540万円の定期保険なら、当初4割期間は216万円(40%)を前払保険料として資産計上し、324万円を損金に算入します。

資産計上額は後の所定期間に取り崩して損金に算入します。解約時は受取返戻金から帳簿上の保険積立金等を差し引いて損益を判定し、単年度の節税額だけで契約を評価しません。

保険種類・受取人・返戻率で処理を決める
保険・区分保険料の処理
養老保険・死亡/満期とも法人が受取保険料を資産計上
養老保険・死亡/満期とも被保険者側が受取給与
養老保険・死亡は遺族、満期は法人2分の1資産計上・2分の1損金(特定の役員等だけなら給与)
定期/第三分野・最高解約返戻率50%以下期間の経過に応じて損金
定期/第三分野・50%超70%以下当初4割期間は40%資産計上(年換算30万円以下は不要)
定期/第三分野・70%超85%以下当初4割期間は60%資産計上
定期/第三分野・85%超10年目まで返戻率×90%、11年目以降×70%を資産計上

名義変更・払済保険・保険金受取の経理

名義変更・払済保険・保険金受取の経理の図解。中央の保険証券から矢印を左右に分け、左に原則の洗替え、右に同じ種類の払済保険へ変更する場合の例外を配置する。左は解約返戻金相当額と資産計上額の差額を益金または損金へ、右は従来の資産計上額をそのまま先へ運ぶ流れにする。
覚えること:養老・終身・定期等は同種払済で引継可

法人が契約者の保険を役員等に譲渡(名義変更)すると、その権利の評価額が役員給与や退職金になります。評価額は原則として支給時の解約返戻金相当額です。2021年7月1日以後の支給で、返戻率区分により資産計上した定期保険等のうち解約返戻金が法人の資産計上額の70%未満のものは、資産計上額で評価します。法人は資産計上額と評価額の差額を損益に計上します。

払済保険へ変更すると、原則としてその時の解約返戻金相当額と資産計上額との差額を益金または損金に算入します(洗替え)。ただし養老保険・終身保険・定期保険等を同じ種類の払済保険に変更する場合は、洗替えをせず従来の資産計上額を引き継ぐことができます。

法人が受取人の死亡保険金や解約返戻金は、受取額から資産計上額を差し引いた差額を雑収入(マイナスなら雑損失)とします。受け取った保険金を死亡退職金として遺族へ支払えば損金算入を検討しますが、役員の場合は不相当に高額な部分は損金になりません。

試験に出る

  • 法人保険は契約時点のルールと最高解約返戻率等で資産計上・損金算入が決まる。
  • 前払部分を含む定期保険等は、最高解約返戻率の区分で資産計上期間・割合・取崩期間が変わる。
  • 最高解約返戻率と解約返戻金額が最大になる時期は同じとは限らない。
  • 解約時は、受け取る返戻金と計上資産の差額が損益になる。
  • 課税の時期が変わることと、生涯の支出がなくなることを区別する。
  • 返戻率50%超70%以下は40%、70%超85%以下は60%を保険期間の当初4割期間に資産計上し、7.5割経過後に均等取崩し。85%超は当初10年間は最高解約返戻率×90%、11年目以降は×70%を資産計上。
  • 役員へ名義変更した保険の評価は原則解約返戻金相当額。解約返戻金が資産計上額の70%未満の定期保険等は資産計上額で評価(2021年7月1日以後の支給)。

重要な言葉

最高解約返戻率
保険期間を通じて「解約返戻金相当額÷それまでの払込保険料累計」が最も高くなる割合。定期保険等の資産計上割合の区分に使う。
資産計上
支払った保険料のうち、前払部分を資産として計上すること。
取崩期間
資産計上した前払部分を、費用として取り崩す期間。
名義変更
法人契約の契約者を役員等に変更し、保険契約の権利を支給すること。評価額が役員給与や退職金になる。

確認問題

確かめよう現金支出、損金算入、資産残高を三列に分けて各年を書けますか。

支払年は「現金支出=損金+資産増加」、取崩期間は支払保険料の損金に取崩額が加わり、解約時に資産残高と返戻金の差額が雑収入または雑損失になる表です。課税の時期が変わることと、生涯の支出がなくなることを区別します。

法人保険の経理処理は、契約時点のルールと最高解約返戻率等によって変わる。

定期保険はすべて損金として処理する。

支払保険料100万円のうち40万円を資産計上する条件で、当期費用は?

2019年7月8日以後に契約した保険期間100歳満了の定期保険(受取人は法人、最高解約返戻率65%、年払保険料540万円)。初回保険料支払時に損金算入する額は?

法人保険の経理は、契約した時点のルールと等によって変わります。契約内容を確認せず「定期は損金、終身は資産」とだけ覚えると、を含む定期保険等を誤ります。

例えば支払保険料100万円のうち40万円をする条件なら、現金減少100万円に対して、資産40万円と当期費用60万円が生じます。解約時に返戻金を受け取り、計上資産が200万円なら、差額50万円が損益となる単純な構造です。

前払部分のある一定の定期保険等では、最高解約返戻率の区分で・割合・が変わります。最高解約返戻「率」と解約返戻「金額」が最大になる時期は必ずしも同じではありません。問題の条件を年表に移します。

圧縮記帳

圧縮記帳は、一定の保険差益等で代替資産を取得するとき、課税を将来へ繰り延べる仕組みです。永久に非課税になるわけではありません。

直接減額方式で資産の帳簿価額を下げると将来の償却の基礎も小さくなる関係を示す図
直接減額方式の圧縮記帳では帳簿価額を下げるため、将来の償却の基礎にも影響します。当期の税負担が抑えられることと永久非課税は違います。

圧縮記帳は、一定の保険差益等で代替資産を取得する場合などに、課税を繰り延べる仕組みです。受け取った利益が永久に非課税になるという理解では、後の減価償却を説明できません。

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。単純化した例として、左に取得価額1,000万円のバーを置き、中央で200万円分を外して、右の帳簿価額800万円のバーへ矢印でつなぐ。右のバーから下向きの矢印を伸ばし、将来の減価償却の基礎も小さくなることを示す。
覚えること:直接減額後は償却の基礎も縮小

直接減額方式の仕組みを単純化し、代替資産の取得価額1,000万円、圧縮額200万円とすると、圧縮後の帳簿価額は800万円です。当期の課税を抑える一方、将来の減価償却の基になる価額も小さくなります。

実際の圧縮限度額は、滅失資産の帳簿価額、保険金、損失に伴う経費、代替資産の取得価額等から制度所定の計算で求めます。保険金の全額がそのまま圧縮額になるわけではありません。

保険差益と代替資産を順に計算

保険差益と代替資産を順に計算の図解。正方形の上段に「2100−100−800=1200万円」、下段に「1200×1500÷(2100−100)=900万円」を置き、太い下向き矢印で計算順を示す。下段の横に代替資産を描き、保険金から取得に充てる1500万円の流れを矢印で示す。「同種・原則同年度」は代替資産に添える。
覚えること:同種・原則同年度取得で限度900万円

固定資産が滅失等し保険金を受けた法人が代替資産を取得する場合、保険差益金=保険金等の額−滅失経費−被害資産の被害直前の帳簿価額(被害部分)です。圧縮限度額=保険差益金×代替資産の取得等に充てた保険金等の額(分母の額が限度)÷(保険金等の額−滅失経費)で、保険金全額を圧縮する計算ではありません。

例えば保険金2,100万円、滅失経費100万円、帳簿価額800万円、代替資産の取得価額1,500万円なら、保険差益金は2,100−100−800=1,200万円、圧縮限度額は1,200×1,500÷(2,100−100)=900万円です。代替資産は滅失資産と同一種類で、原則として保険金の支払を受けた事業年度に取得したものが対象です。

個人が受け取る資産の損害に基因する保険金は、棚卸資産等に係るものを除き原則非課税なので、保険差益の圧縮記帳は主に法人税の論点です。

直接減額方式では代替資産の帳簿価額を下げ、積立金方式では剰余金の処分で積立金を計上するなど処理が異なります。税務上の課税繰延べ額が同じでも、会計上の表示と将来の償却費・取崩し時期を確認します。保険金の確定や代替資産の取得が事業年度をまたぐ場合は、特別勘定を設けて原則2年以内に取得する方法もあります。

保険差益と代替資産を順に計算
段階確認する数値・条件
保険差益保険金−滅失経費−旧資産の帳簿価額
圧縮限度額保険差益金×代替資産に充てた保険金÷(保険金−滅失経費)
直接減額代替資産の帳簿価額を下げる
積立金方式積立金と後年の取崩しを管理

試験に出る

  • 圧縮記帳は課税を将来へ繰り延べる仕組みで、永久非課税ではない。
  • 圧縮後の帳簿価額が小さくなるため、将来の減価償却費も小さくなる。
  • 圧縮限度額=保険差益金×代替資産の取得に充てた保険金等(分母が限度)÷(保険金等−滅失経費)。
  • 保険金の全額がそのまま圧縮額になるわけではない。
  • 今の圧縮損と将来の償却費を時間軸で対応させて理解する。
  • 代替資産は滅失資産と同一種類で、原則として保険金等の支払を受けた事業年度(特別勘定を設ければ原則2年以内)に取得したもの。

重要な言葉

圧縮記帳
保険差益等で代替資産を取得したとき、課税を繰り延べる会計処理。
圧縮限度額
制度所定の方法で計算する、圧縮できる金額の上限。
直接減額方式
代替資産の取得価額から圧縮額を直接差し引く方式。
保険差益金
受け取った保険金等から、滅失経費と被害資産の帳簿価額(被害部分)を差し引いた利益。

確認問題

確かめよう当期に減った税負担は、将来のどの計算へつながるでしょうか。

代替資産の減価償却費です。圧縮で帳簿価額が下がった分だけ将来の償却費が小さくなり、その期間の所得が増えるため、課税が後へ繰り延べられます。

圧縮記帳を使うと、受け取った保険差益は永久に非課税になる。

圧縮後の帳簿価額は、圧縮前より小さくなる。

取得価額1,000万円の代替資産を200万円圧縮した後の帳簿価額は?

保険金2,100万円、滅失経費100万円、滅失資産の帳簿価額800万円、代替資産の取得価額1,500万円のときの圧縮限度額は?

圧縮記帳は、一定の等でを取得する場合などに、課税を繰り延べる仕組みです。受け取った利益が永久に非課税になるという理解では、後の減価償却を説明できません。

直接減額方式の仕組みを単純化し、代替資産の取得価額、圧縮額とすると、圧縮後の帳簿価額は800万円です。当期の課税を抑える一方、将来の減価償却の基になる価額も小さくなります。

実際のは、滅失資産の、保険金、損失に伴う経費、代替資産の取得価額等から制度所定の計算で求めます。保険金の全額がそのまま圧縮額になるわけではありません。

損害保険の詳細

損害保険は、物の損害だけでなく、休業による利益減少や他人への賠償など、経営への影響も対象にします。損害額・保険金額・免責金額は別の数字です。

工場火災から設備損害、休業利益の減少、第三者への賠償へ分岐する図
企業の事故は設備の修理費だけではありません。休業による利益減少や賠償責任など、損失ごとに補償範囲と支払条件を確認します。

企業の損害は、建物や設備の修理費だけではありません。休業中の利益減少、他人への賠償、情報漏えい対応など、物の損害と経営への影響を分けて備えます。

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。中央に損害額100万円の帯を置き、左端の10万円を免責金額、残る90万円を保険金として仕切る。帯の上に「差額払い」「支払限度内」を条件として並べる。
覚えること:差額払い・限度内なら保険金90万円

工場の修理に500万円かかり、停止期間中に利益が300万円減る例では、財物の損害500万円だけを補償する契約で全体800万円を埋められるとは限りません。利益保険等の対象や計算条件を別に確認します。

賠償責任保険でも、法的な賠償責任、対象業務、免責、支払限度などが関わります。事故に関係した支出がすべて対象になるという推測は避けます。免責金額と保険価額・保険金額の違いも維持します。

損害額、保険金額、免責金額は違う数字です。損害額は事故による損失、保険金額は契約上の支払限度、免責金額は自己負担を表します。例えば損害100万円・免責10万円で、その差額を払う条件かつ支払限度内なら、保険金は90万円です。比例払いなど別の条件がある契約へ、この計算を無条件に使いません。

免責事項は「その事故では払われない条件」で、免責金額とは意味が違います。火災という名前が同じでも、原因や対象財物、休業損害の扱いを確認します。必要な保険の検討は、最大損失から自己資金で負担できる額を分け、残る損失をどの契約で補うか考える順序です。

一事故から損失を分けて保険を選ぶ

一事故から損失を分けて保険を選ぶの図解。左上の工場火災から右へ3本の矢印を分け、仕切られた3段に「建物・設備の損壊→財物保険」「操業停止による利益減少→利益保険」「第三者への法律上の賠償責任→賠償責任保険」を対応させる。各段は損失を左、保険を右に置く。
覚えること:火災の損失別に保険を検討

工場火災なら財物の損害、操業停止中の利益損失、第三者への賠償責任を別々に見積もります。財物保険は建物・設備等、利益保険・休業損失補償は利益減少や固定費、賠償責任保険は法律上の賠償責任を対象とします。サイバー事故では復旧費・情報漏えい対応・第三者賠償のいずれを約款が扱うかを調べます。

損害保険は保険価額、保険金額、実際の損害、免責金額、新価・時価の評価基準を分けます。不足保険なら比例てん補となる契約もある一方、実損払の契約もあります。契約方式を確かめてから計算し、同じ火災でも地震を原因とする火災は地震保険の要否を別に検討します。

一事故から損失を分けて保険を選ぶ
損失保険で検討する対象
建物・設備の損壊火災等の財物保険
操業停止による利益減少利益保険・休業損失補償
第三者の身体・財物への損害賠償責任保険
情報漏えい・システム復旧サイバー保険等の約款
欠陥製品の回収(リコール)生産物回収費用保険(PL保険は対象外)

支払方式・賠償責任・税務

支払方式・賠償責任・税務の図解。左に保険価額2,000万円・保険金額1,200万円・損害額800万円を縦に置き、中央の計算機へ矢印でつなぐ。計算機に「800×1,200÷(2,000×80%)=600万円」を表示し、右の保険金600万円へ矢印を伸ばす。
覚えること:80%条項:保険金額<価額×80%で按分

一部保険で付保割合条件付実損払(80%条項)の契約なら、保険金=損害額×保険金額÷(保険価額×80%)です。保険価額2,000万円、保険金額1,200万円、損害額800万円なら、800×1,200÷1,600=600万円です。保険金額が保険価額の80%以上なら、保険金額を限度に損害額が支払われます。

地震保険は火災保険に付帯し、保険金額は火災保険の30~50%(建物5,000万円・家財1,000万円が上限)です。損害区分は全損・大半損・小半損・一部損で、保険金額の100%・60%・30%・5%(時価が限度)が支払われます。地震を原因とする火災は火災保険では補償されません。

企業の賠償では、製造物の欠陥による事故はPL保険(生産物賠償責任保険)、施設の欠陥や業務中の事故は施設所有(管理)者賠償責任保険、請負作業中の事故は請負業者賠償責任保険、預かった物の損害は受託者賠償責任保険が中心です。PL保険は製品のリコール費用を補償せず、生産物回収費用保険で備えます。

失火責任法により、軽過失の失火で隣家を焼いても不法行為の賠償責任は負いません(重過失は除く)。一方、借家人が借りた部屋を焼けば家主への債務不履行責任は残るため、借家人賠償責任の補償を検討します。

法人が支払う掛捨ての損害保険料は期間の経過に応じて損金に算入し、積立型の積立保険料部分は資産計上して満期返戻金等の受取時に取り崩します。個人が受け取る火災保険金・車両保険金・損害賠償金は非課税、積立型傷害保険の満期返戻金は一時所得です。

試験に出る

  • 企業の損害は、物の損害と経営への影響(休業利益・賠償・情報漏えい)を分けて考える。
  • 財物保険だけでは、休業による利益減少まで補償されるとは限らない。
  • 損害額・保険金額・免責金額は別の数字で、それぞれ意味が違う。
  • 免責事項(払われない条件)と免責金額(自己負担)は区別する。
  • 最大損失から自己資金で負担できる額を引き、残る損失をどの契約で補うか考える。
  • 80%付保割合条件付実損払の一部保険は、保険金=損害額×保険金額÷(保険価額×80%)。
  • 製造物の事故による賠償はPL保険の対象だが、製品のリコール費用は対象外で生産物回収費用保険で備える。
  • 軽過失の失火で隣家を焼いても失火責任法により不法行為責任は負わないため、隣家への賠償を前提にしない。

重要な言葉

免責金額
事故のたびに契約者が自己負担する金額。
保険金額
契約上の支払限度額。
保険価額
保険の対象となる財物などの経済的価値。
比例てん補
保険金額が保険価額に対して不足する一部保険で、不足の割合に応じて保険金を減らして支払う方式。

確認問題

確かめよう同じ火災から「建物」「休業利益」「近隣への賠償」という三本の損失を描けますか。

描けます。建物は財物保険、休業利益は利益保険・休業損失補償、近隣への賠償は賠償責任保険と、一つの事故でも保険種目は一対一になりません。ただし軽過失の失火なら、失火責任法により隣家への賠償責任は生じません。

免責事項と免責金額は同じ意味である。

損害100万円・免責10万円で、差額を払う条件なら保険金は90万円。

損害額、保険金額、免責金額の説明として正しいものは?

80%付保割合条件付実損払の火災保険で、保険価額2,000万円、保険金額1,200万円、損害額800万円のときの支払保険金は?

企業の損害は、建物や設備の修理費だけではありません。休業中の、他人への賠償、など、物の損害と経営への影響を分けて備えます。

工場の修理にかかり、停止期間中に利益が減る例では、財物の損害500万円だけを補償する契約で全体800万円を埋められるとは限りません。利益保険等の対象や計算条件を別に確認します。

賠償責任保険でも、法的な賠償責任、対象業務、免責、などが関わります。事故に関係した支出がすべて対象になるという推測は避けます。と保険価額・保険金額の違いも維持します。

損害額、保険金額、免責金額は違う数字です。損害額は事故による損失、保険金額は契約上の、免責金額はを表します。例えば損害100万円・免責10万円で、その差額を払う条件かつ支払限度内なら、保険金は90万円です。比例払いなど別の条件がある契約へ、この計算を無条件に使いません。

免責事項は「その事故では払われない条件」で、免責金額とは意味が違います。火災という名前が同じでも、原因や対象財物、の扱いを確認します。必要な保険の検討は、最大損失からで負担できる額を分け、残る損失をどの契約で補うか考える順序です。

リスクマネジメント

リスクマネジメントは、回避・低減・移転・保有を組み合わせてリスクに対応します。保険は主に経済的損失を移転する手段です。

製品事故等のリスクに対する回避・低減・移転・保有を四つの具体的行動で示す図
保険は主に経済的損失を移転する手段です。事故を避ける、起こりにくくする、自分で負担できる資金を備える対策と組み合わせます。

リスク対応には、回避、低減、移転、保有があります。保険は主に経済的損失を移転する手段で、事故そのものを防ぐ手段とは役割が違います。

リスクマネジメント
対応製品事故への例
回避危険な製品を取り扱わない
低減検査や品質管理を強化する
移転契約条件に合う賠償責任保険等を使う
保有負担可能な小損失に自己資金を用意する

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。中央に「製品事故」を置き、そこから四方向に矢印を伸ばして、回避・低減・移転・保有を一つの図で比較する。四つの区画は細い仕切りで分け、下部の「覚えること」へ視線が流れる配置にする。
覚えること:対策は一つに絞らず組合せを考える

例えば製品事故への対策なら、危険な製品を扱わないのが回避、検査を強化するのが低減、賠償責任保険等を使うのが移転、一定の小損失を自己資金で負うのが保有です。どれか一つだけでなく組合せを考えます。

発生頻度が低くても損失が事業を止めるほど大きいなら、優先して備える理由があります。反対に小さな損失へ高い保険料を払い続けるより、予防と自己資金で対応する選択肢もあります。

必要保障額は、遺族の生活費や教育費等から、遺族年金、配偶者の収入、金融資産などを差し引いて考えます。必要資金3,000万円、公的給付等1,500万円、充てられる資産500万円という単純な条件なら、不足は1,000万円です。現在の保険金額をそのまま必要額としません。

保険制度では契約者・被保険者・受取人を区別し、告知義務、免責、保険料払込み、失効等の条件を確認します。保険会社が破綻した際の生命保険契約者保護は、原則として責任準備金等を基準にするもので、受け取る保険金の一定割合を一律に保証する意味ではありません。

個人の生命保険では、一定期間の死亡保障を中心とする定期保険、一生涯の死亡保障の終身保険、満期時にも給付を受ける養老保険を目的で比べます。第三分野の医療・がん・介護等の保険では、診断、入院、所定の介護状態など給付の条件が異なります。保険名だけで必要な場面に払われると判断しません。

リスクを整理するときは、まず事故の原因、起こる頻度、一度起きたときの最大損失を並べます。例えば毎年起こり得る少額の修理と、一度で会社の支払能力を超える賠償では、必要な備えが違います。過去に起きなかったことだけを理由に、損失の大きいリスクを無視しません。

生命保険の比較では、死亡保障が必要な期間と、生存中に使いたい資金を分けます。子どもの独立までの不足には期間を定めた保障を検討でき、一生涯の死亡時資金とは目的が異なります。満期保険金は生存して満期を迎えた場合の給付で、途中解約の返戻金と同じではありません。

第三分野では、病気の名称だけでなく支払事由を読みます。例えば「がんと診断されたときの一時金」と「治療のため入院した日数に応じる給付」は別の保障です。診断だけでは入院給付の条件を満たさず、通院治療でも支払われるかは契約次第です。責任開始、待ち期間(がん保険の責任開始前90日など)、支払回数・限度、公的保障で補える部分を順番に確認します。

最新のリスク管理では、金融庁の保険監督指針や契約時の説明書・約款が更新されていないかを確認します。外貨建保険を「利率が高い預金」として比較せず、円換算、解約時の市場価格調整、費用、保障の条件を分けるのが一例です。制度変更や商品改定があれば、古い試算に同じ利率だけを当てはめず、支払事由や解約条件から再確認します。

頻度・最大損失・対応方法を組み合わせる

頻度・最大損失・対応方法を組み合わせるの図解。正方形を上下2段に仕切り、各段を左のリスクから右の対応案へ矢印でつなぐ。上段は「低頻度・存続危機の賠償」→「移転・資本準備」、下段は「頻繁な小損失」→「予防と保有を比較」とし、いずれも検討する案として描く。
覚えること:頻度と最大損失で対策を検討

リスクの特定、頻度と影響度の評価、対策の選択、実行と見直しの順で考えます。保険に加入しても、事故予防や事業継続の手順は必要です。

低頻度でも会社の存続を脅かす賠償には移転や資本準備を検討し、頻繁な小損失は予防と保有を比較します。保険料、免責額、支払限度、保険金支払までの資金繰り、代替拠点や連絡網まで含めて実行可能性を判断します。

頻度・最大損失・対応方法を組み合わせる
対応例残る課題
回避危険な活動をしない機会を失う
低減検査・訓練・代替設備損失をゼロにはできない
移転保険・契約免責・限度・支払時期
保有自己資金で負担最大損失に耐える資金

保険法・保険業法と契約者保護

保険法・保険業法と契約者保護の図解。対象となる契約について、左に「申込日」と「契約内容記載書面交付日」の2枚の札を並べ、遅い日から右へ矢印を伸ばす。矢印の先に「8日以内」と、行う方法である「書面・電磁的記録」を置く。
覚えること:遅い日から8日以内に書面か電磁的記録

保険法の告知義務は、保険会社が質問した事項に答える義務(質問応答義務)です。告知義務違反による解除権は、保険会社が解除の原因を知った時から1か月、または契約締結時から5年で消滅します。保険金の請求権は、行使できる時から3年で時効消滅します。保険法の規定より契約者等に不利な約款は無効です(片面的強行規定)。

保険業法のクーリング・オフは、申込日と契約内容を記載した書面の交付日のいずれか遅い日から8日以内に、書面または電磁的記録で行います。保険期間1年以下の契約や医師の診査後の契約などは対象外です。ソルベンシー・マージン比率が200%を下回ると、早期是正措置の対象になります。

生命保険契約者保護機構は、原則として破綻時の責任準備金等の90%(高予定利率契約を除く)を補償し、保険金額の90%を保証するものではありません。損害保険契約者保護機構は、自賠責保険・地震保険は100%、自動車保険や個人等の火災保険は破綻後3か月間は100%・その後80%、疾病・傷害保険は原則90%を補償します。少額短期保険業者と共済は対象外です。

個人契約の保険金の課税

個人契約の保険金の課税の図解。死亡保険金を受け取るときの関係を、横線で区切った3段の対応表にする。各段で左から「保険料負担者・被保険者・受取人」の順に人物カードを並べ、A・A・B→相続税、A・B・A→所得税、A・B・C→贈与税へ右向きの矢印でつなぐ。
覚えること:死亡保険金の税目は三者の関係で決まる

個人の死亡保険金は、保険料負担者・被保険者・受取人の関係で税目が決まります。負担者=被保険者なら相続税(相続人の受取分は500万円×法定相続人の数まで非課税)、負担者=受取人なら所得税(一時金は一時所得、年金は雑所得)、三者が別人なら贈与税です。満期保険金・解約返戻金は、負担者=受取人なら所得税、異なれば贈与税で、負担者が複数なら負担割合で按分します。

一時所得は(受取額−払込保険料−特別控除最高50万円)の2分の1を総所得金額に算入します。一時払養老保険など保険期間5年以下の契約や、5年以内に解約した一定の契約の差益は、金融類似商品として20.315%の源泉分離課税です。一時払終身保険は金融類似商品に当たりません。

年金形式の死亡保険金は、受給権が相続税等の対象となり、毎年の年金は相続税等の課税部分を除いた部分だけが雑所得になります。被相続人が保険料を負担し、被保険者が別人で契約が続く場合は、生命保険契約に関する権利として解約返戻金相当額で相続財産に含めます。

被保険者本人や配偶者・直系血族・生計を一にする親族が受け取る入院給付金、手術給付金、特定疾病保険金、リビング・ニーズ特約の保険金は非課税です。リビング・ニーズで受け取った保険金を使い残して死亡した場合、残額は現金等として相続財産になります。

生命保険料控除(2012年以後の新契約)は、所得税で各区分4万円・合計12万円、住民税で各2.8万円・合計7万円が上限です。2026年分・2027年分の所得税では、23歳未満の扶養親族がいれば一般生命保険料控除の上限が6万円になり、合計上限12万円は変わりません。

個人契約の保険金の課税
保険料負担者被保険者受取人税目
AAB(相続人)相続税(非課税枠あり)
ABA所得税(一時所得・雑所得)
ABC贈与税

試験に出る

  • リスク対応は回避・低減・移転・保有の組合せで考える。保険は主に移転の手段。
  • 発生頻度が低くても損失が大きいリスクは優先して備える。
  • 必要保障額は遺族の生活費等から遺族年金・収入・資産を差し引いて求める。
  • 第三分野は保険名ではなく支払事由(診断・入院・介護状態)で確認する。
  • 契約者保護は、生保が責任準備金等の90%(高予定利率契約を除く)。損保は自賠責・地震保険100%、自動車・個人等の火災保険は破綻後3か月100%・以後80%。少額短期保険・共済は対象外。
  • 死亡保険金の税目は、負担者=被保険者で相続税、負担者=受取人で所得税、三者が別人なら贈与税。
  • 告知義務違反の解除権は、解除の原因を知った時から1か月、または契約締結時から5年で消滅する。

重要な言葉

リスクマネジメント
回避・低減・移転・保有を組み合わせてリスクに対応すること。
必要保障額
遺族の生活費等から公的給付や資産を差し引いた、不足する保障額。
支払事由
保険金や給付が支払われる条件となる事由。
片面的強行規定
保険法の規定より保険契約者等に不利な約款の定めを無効とする規定の性質。

確認問題

確かめよう「保険に入ったので事業継続計画は不要」はなぜ誤りでしょう。

保険金が出ても、人員・代替設備・顧客対応が整わなければ営業を再開できないからです。

保険に加入していれば、事業継続計画は不要である。

発生頻度が低くても、損失が事業を止めるほど大きいリスクは優先して備える。

リビング・ニーズ特約で被保険者が受け取った保険金を使い残して死亡した場合、残額は非課税のまま相続財産に含まれない。

製品事故への対策で「検査を強化する」対応は?

契約者(保険料負担者)と受取人が本人の養老保険を解約し、解約返戻金800万円を受け取った(払込保険料600万円、他の一時所得なし)。総所得金額に算入する額は?

リスク対応には、、、移転、保有があります。保険は主に経済的損失を移転する手段で、事故そのものを防ぐ手段とは役割が違います。

例えば製品事故への対策なら、危険な製品を扱わないのが回避、検査を強化するのが低減、等を使うのが、一定の小損失を自己資金で負うのが保有です。どれか一つだけでなく組合せを考えます。

が低くても損失が事業を止めるほど大きいなら、優先して備える理由があります。反対に小さな損失へ高い保険料を払い続けるより、予防とで対応する選択肢もあります。

は、遺族の生活費や教育費等から、遺族年金、配偶者の収入、金融資産などを差し引いて考えます。必要資金、公的給付等1,500万円、充てられる資産500万円という単純な条件なら、不足は1,000万円です。現在の保険金額をそのまま必要額としません。

保険制度では契約者・被保険者・を区別し、、免責、保険料払込み、失効等の条件を確認します。保険会社が破綻した際の生命保険契約者保護は、原則として責任準備金等を基準にするもので、受け取る保険金の一定割合を一律に保証する意味ではありません。

個人の生命保険では、一定期間の死亡保障を中心とする、一生涯の死亡保障の、満期時にも給付を受ける養老保険を目的で比べます。第三分野の医療・がん・介護等の保険では、診断、入院、所定の介護状態など給付の条件が異なります。保険名だけで必要な場面に払われると判断しません。

リスクを整理するときは、まず事故の原因、起こる頻度、一度起きたときのを並べます。例えば毎年起こり得る少額の修理と、一度で会社のを超える賠償では、必要な備えが違います。過去に起きなかったことだけを理由に、損失の大きいリスクを無視しません。

生命保険の比較では、が必要な期間と、生存中に使いたい資金を分けます。子どもの独立までの不足には期間を定めた保障を検討でき、一生涯の死亡時資金とは目的が異なります。は生存して満期を迎えた場合の給付で、途中解約の返戻金と同じではありません。

では、病気の名称だけでなくを読みます。例えば「がんと診断されたときの一時金」と「治療のため入院した日数に応じる給付」は別の保障です。診断だけでは入院給付の条件を満たさず、通院治療でも支払われるかは契約次第です。責任開始、待ち期間(がん保険の責任開始前90日など)、支払回数・限度、公的保障で補える部分を順番に確認します。

最新のリスク管理では、の保険監督指針や契約時の説明書・約款が更新されていないかを確認します。外貨建保険を「利率が高い預金」として比較せず、円換算、解約時の、費用、保障の条件を分けるのが一例です。制度変更や商品改定があれば、古い試算に同じ利率だけを当てはめず、支払事由や解約条件から再確認します。

覚えるポイント

  • 法人保険は現金・損金・資産残高を分けて時系列で追う。
  • 圧縮記帳は当期と将来の課税時期をつなぐ仕組み。
  • 事故を防ぐ対策と、起きた後の経済的損失を移転する保険を組み合わせる。
  • 名義変更の評価は原則解約返戻金相当額。低解約返戻金型は資産計上額で評価する例外を確認する。
  • 保険金の税目は、負担者・被保険者・受取人の関係で相続税・所得税・贈与税に分ける。

出典・参考資料

試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。

編集:Pinternet Works · 更新日:

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