社会保険とは
社会保険の複合問題では、対象となる原因、被保険者区分、受給期間、他の収入との調整を順に判定します。制度ごとに条件が異なります。

社会保険の複合問題は、給付がありそうな制度を並べるだけでは解けません。被保険者区分、受給期間、他の収入との調整を順に判定する必要があります。
基本の仕組み

例えば病気休業中に給与が一部支払われ、その後退職する事例では、在職中の給付条件と退職後の継続給付条件を別々に確認します。「退職したから必ず終了」「一度受け始めたから無条件に継続」のどちらも飛躍です。
月額の給付を求めるときは、標準報酬月額等を基にする式か、実際の給与額を使う式かを確認します。仮に日額6,000円・対象日数20日なら12万円ですが、待期日や対象外日を含めて30日と数えてはいけません。
傷病・出産・育児・介護の入口

私傷病での傷病手当金は連続3日の待期後4日目から、支給開始日から通算1年6か月までが基本です。退職後の継続給付には退職日まで継続1年以上の被保険者期間と、退職時に受給中または受給できる状態であること等が必要です。退職日に出勤した場合は継続給付の条件を満たしません。
傷病手当金の日額は、支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額の平均÷30×3分の2です。給与が一部支払われた日は、給与が手当金より少なければ差額を支給します。退職後の継続給付中に老齢年金を受けられる場合や、同じ傷病で障害厚生年金を受ける場合も、年金との差額支給などの調整があります。
出産手当金、雇用保険の育児休業給付、介護休業給付、労災保険の休業補償給付は、それぞれ休業理由・被保険者資格・賃金支払・日数の条件が違います。育児休業給付金は休業開始から180日までは休業開始時賃金日額の67%、その後は50%です。介護休業給付金は対象家族1人につき通算93日(3回まで分割可)、67%です。
高額療養費は休業中の所得補償ではなく、同じ月の医療費の自己負担限度額の制度です。2026年8月診療分から限度額の改定と年間上限の新設が行われたため、2026年度試験の基準日(2026年4月1日)時点の問題では改定前の限度額で判定します。
同じ休業で給与・年金・保険給付が重なる場合は差額支給や支給停止を調べます。標準報酬月額、賃金日額、給付基礎日額は制度ごとに異なるので、一つの給与額を全式に流用しません。
| 事由 | 主な制度 | 照合する条件 |
|---|---|---|
| 私傷病 | 健康保険・傷病手当金 | 待期・労務不能・給与・退職 |
| 出産 | 健康保険・出産手当金等 | 被保険者と産前産後の期間 |
| 育児 | 雇用保険・育児休業給付金 | 180日まで67%、以後50% |
| 介護 | 雇用保険・介護休業給付金 | 通算93日・3回まで、67% |
| 業務上・通勤災害 | 労災保険 | 災害の認定・休業 |
| 高額な保険診療 | 高額療養費 | 月・年齢・所得区分 |
被保険者区分と短時間労働者

短時間労働者は、2026年4月1日時点では、従業員51人以上の企業等で、週の所定労働時間20時間以上、所定内賃金月額8.8万円以上、2か月を超える雇用見込み、学生でないことの要件をすべて満たすと、厚生年金・健康保険の被保険者になります。
賃金要件(106万円の壁)は2026年10月1日に撤廃され、企業規模要件も2027年10月から段階的に縮小されます。問題の基準日でどの要件を使うかを先に決め、被保険者になるかどうかで保険料と給付(傷病手当金・出産手当金の有無)を分けて判定します。
試験に出る
- 社会保険の複合問題は、原因・被保険者区分・受給期間・他収入との調整を順に判定する。
- 在職中の給付条件と、退職後の継続給付条件は別に確認する。
- 月額給付は、標準報酬月額等を基にする式か実給与を使う式かを確認する。
- 対象日数を数えるとき、待期日や対象外日を含めない。
- 同じ病気や休業でも、制度ごとに支給日数や調整額が異なる。
- 傷病手当金の日額は、支給開始日以前の継続12か月の標準報酬月額の平均÷30×3分の2。
- 短時間労働者の賃金要件(月8.8万円以上)は2026年10月1日に撤廃。2026年4月1日基準の問題では要件が残る。
- 高額療養費は2026年8月診療分から限度額を改定。2026年4月1日基準の問題では改定前の限度額で判定する。
重要な言葉
- 被保険者
- 医療や年金などの社会保険に加入し、給付の対象となる人。
- 標準報酬月額
- 報酬月額を等級表に当てはめた額。健康保険・厚生年金の保険料と、傷病手当金などの給付額の計算に使う。
- 待期日
- 傷病手当金では、労務不能となった連続3日間。この日数には手当金が支給されない。
確認問題
確かめよう制度間で同じ病気や休業を扱っても、支給対象の日数や調整額は同じでしょうか。
同じとは限りません。傷病手当金は待期3日の後から標準報酬月額を基に、育児・介護休業給付は休業開始時賃金日額を基に計算するなど、制度ごとに日数と基礎額が違います。共通する事実と制度ごとの判定欄を分けた表で計算します。
病気で退職すれば、在職中に受けていた給付は必ず終了する。
同じ病気や休業でも、制度によって支給日数や調整額は異なる。
病気休業後に退職する事例で、確認すべきことは?
支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均が30万円の被保険者の、傷病手当金の日額は?(1円未満四捨五入)
社会保険の複合問題は、給付がありそうな制度を並べるだけでは解けません。、、他の収入との調整を順に判定する必要があります。
例えば病気休業中に給与が一部支払われ、その後退職する事例では、の給付条件との継続給付条件を別々に確認します。「退職したから必ず終了」「一度受け始めたから無条件に継続」のどちらも飛躍です。
月額の給付を求めるときは、等を基にする式か、実際の給与額を使う式かを確認します。仮に日額6,000円・対象日数20日ならですが、待期日や対象外日を含めて30日と数えてはいけません。
出典・参考資料
試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。
- 日本FP協会:2級・3級FP技能検定 試験要綱 ↗
- きんざい:FP技能検定 ↗
- 日本年金機構:老齢年金の受給要件と仕組み ↗
- 厚生労働省:iDeCoの概要 ↗
- 国民年金基金連合会:iDeCoの特徴 ↗
- 日本年金機構:2026年4月以降の在職老齢年金の計算方法 ↗
- 厚生労働省:確定拠出年金制度の拠出限度額 ↗
- 日本FP協会:1級 試験範囲の細目(2026年9月確認) ↗
- 日本年金機構:年金額改定の確認 ↗
- 日本FP協会:FP実務の6ステップ ↗
- 日本税理士会連合会:税理士の業務 ↗
- 日本司法書士会連合会:司法書士の業務 ↗
- 日本土地家屋調査士会連合会:調査・測量と表示登記 ↗
- 日本FP協会:2025年9月1級実技試験問題 ↗
- 協会けんぽ:傷病手当金のよくある質問 ↗
- 日本年金機構:加給年金額と振替加算 ↗
- 日本年金機構:令和4年4月から在職定時改定制度が導入されました ↗
- 日本年金機構:令和8年4月分からの年金額等について ↗
- 日本年金機構:離婚時の年金分割の請求期限が改正されました ↗
- 厚生労働省:2025年の確定拠出年金制度改正 ↗
- 財務省:令和7年度税制改正の大綱(退職所得控除の調整規定の見直し) ↗
- 国税庁:退職金を受け取ったとき(退職所得) ↗
- 中退共:制度の特色(掛金・国の助成) ↗
- 厚生労働省:社会保険適用拡大特設サイト ↗
- 厚生労働省:高額療養費制度を利用される皆さまへ(令和8年8月改定) ↗
編集:Pinternet Works · 更新日:
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