本文へ移動

FP技能検定 · 学習ガイド

損害保険の詳細

損害保険とは

損害保険では、保険価額・保険金額・損害額を区別します。実損てん補の原則のもと、支払限度・免責・評価基準も確認します。

同じ建物に保険価額、保険金額、実際の損害額という三つの物差しを並べる図
保険価額、保険金額、損害額は別の概念です。時価・再調達価額や比例てん補等の支払方式を確認してから計算します。

損害保険では、保険価額・保険金額・損害額を区別します。保険価額は対象の価値、保険金額は契約の上限、損害額は実際に生じた損害で、同じ数字とは限りません。

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。左に建物価額1,000万円・保険金額500万円の建物、中央に損害400万円、右に支払250万円を置き、左から右へ矢印でつなぐ。矢印の下に「400×500÷(1,000×80%)=250(万円)」を示し、下部の結論とは横線で仕切る。
覚えること:一部保険・80%条項で250万円

価値1,000万円の建物に保険金額500万円を設定した一部保険では、契約条件によっては損害全額ではなく比例的な支払になります。いわゆる80%条項付きなら、損害400万円の保険金は400万円×500万円÷(1,000万円×80%)=250万円です。ただし現在の契約には実損払など別の支払方式もあるため、問題文の方式を確認して計算します。

再調達価額は同等のものを新たに取得する費用、時価は使用による価値の減少を反映したものです。再購入に100万円かかる物でも、時価が60万円なら、どちらを基準にする契約かで補償額が違います。

保険金額が保険価額を上回る超過保険でも、損害額を超えては支払われません(利得禁止の原則)。保険価額と同額の火災保険で保険金が支払われても、1回の支払額が保険金額の80%未満なら、その後の保険金額は減りません。

損害保険の対象と計算条件

損害保険の対象と計算条件の図解。左に「地震による火災」、右上に「火災保険」、右下に付帯した「地震保険」を配置する。火災保険へ向かう矢印は×で止め、地震保険へ向かう矢印はつなぐ。
覚えること:地震火災は付帯する地震保険で備える

火災保険は火災だけでなく契約に応じ落雷・風災・水災、消火活動による水濡れなども扱いますが、経年劣化による損害は対象外です。地震・噴火・津波による損害は地震による火災も含めて火災保険では補償されず、火災保険に付帯する地震保険で備えます。

自動車保険は強制加入の自賠責保険が対人賠償の基本部分を担い、任意保険が対人・対物・車両・人身傷害等を契約に応じて補います。任意保険の対人賠償は自賠責保険で支払われる部分を超える額を補償します。

賠償責任保険は第三者への法律上の賠償責任を対象とし、自分の財物の損害を補う火災保険や車両保険とは役割が違います。傷害保険は急激・偶然・外来の事故によるけがが基本で、疾病を対象とする医療保険と区別します。

実損払・比例てん補・新価払など支払方式を問題文で確認します。保険金額を上げても実際の損害・免責・支払限度を超えて支払われるわけではありません。

損害保険の対象と計算条件
保険主な対象
火災保険建物・家財の火災等、契約した事故
地震保険地震・噴火・津波による損害(火災保険に付帯)
自賠責保険自動車事故の対人賠償の基本部分
任意自動車保険対人・対物・車両・人身傷害等
傷害保険急激・偶然・外来の事故によるけが
賠償責任保険第三者への法律上の賠償責任

地震保険と自動車保険

地震保険と自動車保険の図解。中央に大きな「火災保険」の書類を置き、その右端に「地震保険」のカードを留め具で付ける。カードが書類から離れて単独で置かれた状態は描かない。
覚えること:地震保険は火災保険に付帯

地震保険は単独では加入できず、火災保険に付帯します。保険金額は火災保険の30〜50%で、建物5,000万円・家財1,000万円が上限です。保険料は建物の構造と所在地で決まり、同じ条件なら保険会社による差はありません。建築年・耐震等級・免震建築物・耐震診断の割引(最大50%)は重複して使えません。

地震保険の損害区分は全損・大半損・小半損・一部損の4つで、保険金額のそれぞれ100%・60%・30%・5%が支払われます(時価が限度)。

自賠責保険は対人賠償だけで、被害者1人あたり死亡3,000万円、傷害120万円、後遺障害は最高4,000万円が限度です。原動機付自転車も加入が義務で、被害者が保険会社に直接請求(被害者請求)することもできます。

任意保険の対人賠償保険・対物賠償保険は、運転者本人とその父母・配偶者・子への賠償は対象外です。自宅の車庫など自分の財物の損害も対物賠償の対象外ですが、他人のペットは財物として対象になります。

人身傷害保険は、自分や同乗者のけがを過失割合にかかわらず損害額(保険金額の範囲内)で補償します。車両保険(一般型)は単独事故や洪水による水没も補償しますが、地震・噴火・津波による損害は特約がなければ対象外です。

地震保険と自動車保険
地震保険の損害区分支払われる保険金
全損保険金額の100%(時価が限度)
大半損保険金額の60%(時価の60%が限度)
小半損保険金額の30%(時価の30%が限度)
一部損保険金額の5%(時価の5%が限度)

賠償責任・傷害保険と保険金の税務

賠償責任・傷害保険と保険金の税務の図解。中央の仕切りで、左に借りた部屋、右に隣家を配置する。軽過失の失火について、左はエルくんから家主へ「原状回復」の矢印、右は隣家への賠償矢印に×印を付けて対比する。
覚えること:借りた部屋の失火は家主へ原状回復

失火責任法により、軽過失の失火で隣家を焼いても損害賠償責任を負いません(重過失は負います)。ただし借家人は、借りた部屋を焼くと家主に対して原状回復の責任を負うため、借家人賠償責任保険で備えます。

個人賠償責任保険は、日常生活で他人にけがをさせたり物を壊したりした賠償を補償し、1契約で生計を共にする家族も対象です。業務中の事故、自動車の事故、借りた物の損害は対象外です。原動機付自転車の事故は、自動車保険のファミリーバイク特約で備えます。

普通傷害保険は国内外の日常生活のけがを補償しますが、細菌性食中毒や地震によるけがは対象外です。国内旅行傷害保険は細菌性食中毒を補償し、海外旅行傷害保険は細菌性食中毒と地震によるけがも補償します。

企業向けには、製造・販売した製品や仕事の結果による事故の生産物賠償責任保険(PL保険)、施設の欠陥や業務中の事故の施設所有(管理)者賠償責任保険、工事中の事故の請負業者賠償責任保険、労災の上乗せ補償の労働災害総合保険などがあります。

個人が受け取る火災保険金、車両保険金、入院保険金、損害賠償金は非課税です(車を修理しなくても非課税)。積立型の傷害保険の満期返戻金は一時所得です。法人が受け取った保険金で代替資産を取得した場合は、保険差益について圧縮記帳ができます。

試験に出る

  • 保険価額・保険金額・損害額の違い。
  • 保険金額が保険価額を下回ると、比例的な支払となる場合がある。
  • 再調達価額と時価の違い。
  • 実損てん補の原則により、損害を超える支払はない。
  • 支払限度・免責・評価基準を分けて考える。
  • 一部保険の比例てん補の計算(損害額×保険金額÷(保険価額×80%))。
  • 地震保険の付帯方法・保険金額の上限・損害区分・割引制度と、自賠責保険の支払限度額。
  • 失火責任法・個人賠償責任保険・傷害保険の対象外となる事故、企業向け賠償責任保険の区別。
  • 個人が受け取る損害保険金の非課税と、法人が受け取る保険金の圧縮記帳。

重要な言葉

保険価額
保険の対象の価値。
再調達価額
同等のものを新たに取得するための費用。
実損てん補
実際に生じた損害の範囲で補償する原則。
比例てん補
保険金額が保険価額に対して不足する一部保険で、不足の割合に応じて保険金を減らして支払う方式。

確認問題

確かめよう「保険金額が大きいから損害より多くもらえる」と考えてよいでしょうか。

いいえ。実損てん補の原則で損害額を超えては支払われず、支払限度・免責金額・時価か再調達価額かという評価基準も差し引いて保険金を考えます。

保険金額が大きければ、損害額を超える保険金を受け取れる。

再調達価額は、使用による価値の減少を反映した価格である。

使用による価値の減少を反映した価格は?

損害保険で「契約の上限」を表すのは?

では、・保険金額・損害額を区別します。保険価額は対象の価値、保険金額は契約の上限、損害額は実際に生じた損害で、同じ数字とは限りません。

価値の建物に保険金額500万円を設定した一部保険では、契約条件によっては損害全額ではなく比例的な支払になります。いわゆる80%条項付きなら、損害400万円の保険金は400万円×500万円÷(1,000万円×80%)=250万円です。ただし現在の契約には実損払など別のもあるため、問題文の方式を確認して計算します。

は同等のものを新たに取得する費用、時価は使用による価値の減少を反映したものです。再購入に100万円かかる物でも、が60万円なら、どちらを基準にする契約かで補償額が違います。

出典・参考資料

試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。

編集:Pinternet Works · 更新日:

教材の編集方針・訂正について