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電気工事士試験 · 学習ガイド

電気理論・電力(第一種電気工事士)

第二種の回路計算を土台に、静電気・磁気、交流の共振と力率改善、三相結線とV結線、線路の電圧降下・損失、%インピーダンス、需要率、変圧器の効率へ進みます。単位と線・相の区別を明確にして、受電設備を読む基礎を固めます。

仕組みを理解する

オームの法則と抵抗回路

オームの法則は、電圧V・電流I・抵抗Rの関係をV=IRで表す基本法則です。回路を一つの抵抗に置き換えると、複雑な図も整理できます。

同じ電圧で、流れ道の狭さを変える水路模型を操作し、抵抗の大小と電流の大小を比べる図。
電圧が同じなら、抵抗が小さいほど電流は大きくなります。矢印の太さは電流の大小を表しています。

同じ電源につないでも器具で電流が違うのは、電流の流れにくさが違うからです。電圧V・電流I・抵抗Rの関係はV=IRで表します。まず回路を一つの抵抗にまとめると、複雑な図も読みやすくなります。

オームの法則と抵抗回路
量・方式式・判断
直列抵抗Rを加算、電流共通
並列抵抗枝電流を加算、電圧共通
節点の法則流入電流=流出電流
ブリッジの平衡向かい合う辺の抵抗の積が等しい→中央の電流0
クーロン力F=k|Q1Q2|/r²、異符号は引力

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。中央の仕切りを挟み、左に12V電源と3Ωの抵抗2個を一直線につないだ直列回路、右に同じ電源と抵抗を二股につないだ並列回路を置く。左は各抵抗へ同じ向きの電流矢印、右は両枝に同じ電圧の印と、枝の電流が合流する矢印を描く。
覚えること:直列は電流、並列は両端の電圧が同じ

12Vの電源に3Ωと3Ωを直列接続した例では、合成抵抗は6Ω、電流は12÷6=2Aです。並列なら合成抵抗は1.5Ωとなり、電源から流れる電流は8Aになります。

直列は分かれ道がないので、各抵抗を流れる電流は同じです。並列は両端の電圧が同じで、枝の電流を足すと全体の電流になります。「何が同じか」を先に図へ書き込みましょう。

回路計算と電荷の力

回路計算と電荷の力の図解。左から4Ωの抵抗を通り、上下に分岐した3Ωと6Ωの抵抗を通って右で合流する、1つの回路を描く。並列部分を括って「並列:2Ω」、回路全体を括って「合計:6Ω」と示す。
覚えること:3Ωと6Ωを並列、4Ωを直列で6Ω

直列は電流が共通で抵抗を加算し、並列は電圧が共通で各枝電流を加算します。直並列に分けられない回路は、キルヒホッフの法則(節点で流入電流=流出電流、閉回路で起電力の和=電圧降下の和)で解きます。電流の仮の向きを決め、答えが負なら実際は逆向きです。

2026年上期出題例(問1)は、距離r離れた+Qと−Qの間の力を問います。クーロン力はF=k|Q1Q2|/r²なので、この場合はQ²/r²に比例します。距離を2倍にすると1/4、片方の電荷だけ2倍なら2倍、両方2倍なら4倍です。同符号は反発、異符号は引力です。

例えば3Ωと6Ωの並列は2Ω、これに4Ωを直列にすれば6Ωです。12Vなら全電流2A、並列部の電圧4V、3Ω側の電流4/3A、6Ω側2/3Aで、枝電流の和も2Aになります。

確認

確認の図解。中央に抵抗を含む2本の枝を並列に描き、右側に「合成抵抗<最小の枝の抵抗」を大きく配置する。枝から比較へ矢印を向け、通り道が増えた結果として大小を確かめられる構図にする。
覚えること:並列の合成抵抗は最小の枝より小さい

並列抵抗をそのまま足すのは誤りです。電流の通り道が増えるため、並列の合成抵抗は最も小さい枝の抵抗より小さくなります。計算結果の大小も確かめましょう。

試験に出る

  • 直列は電流が共通、並列は電圧が共通という「何が同じか」を押さえる。
  • 合成抵抗の計算。直列は足し算、並列は逆数の和の逆数で求める。
  • 並列の合成抵抗は、最も小さい枝の抵抗より小さくなる。
  • V=IRを使い、電圧・電流・抵抗のどれを問われているか整理する。
  • 計算結果の大小関係から、答えの妥当性を確認する。
  • ブリッジ回路は、向かい合う辺の抵抗の積が等しいとき平衡し、中央の検流計に電流が流れない。
  • キルヒホッフの法則:節点では流入電流=流出電流、閉回路では起電力の和=電圧降下の和で式を立てる。
  • クーロン力F=kQ1Q2/r²。+Qと−Qの間の力はQ²/r²に比例する(2026年上期出題例 問1)。

重要な言葉

オームの法則
電圧V・電流I・抵抗Rの関係をV=IRで表す法則。
合成抵抗
複数の抵抗を一つの抵抗に置き換えたときの抵抗値。
並列回路
各枝の両端電圧が同じで、枝の電流を足すと全体の電流になるつなぎ方。
ブリッジの平衡
ブリッジ回路で向かい合う辺の抵抗の積が等しく、中央の枝の両端が同電位になり電流が流れない状態。

確認問題

確かめよう6Ωを二つ並列にすると合成抵抗は?

3Ω。同じ抵抗二つなら半分になり、12Vなら全電流は4Aです。

直列回路では、各抵抗を流れる電流は同じである。

並列回路の合成抵抗は、最も小さい枝の抵抗より大きくなる。

3Ωと3Ωを直列接続したときの合成抵抗は?

6Ωを二つ並列にしたときの合成抵抗は?

ブリッジ回路で、向かい合う辺の抵抗が2Ωと6Ω、もう一組の向かい合う辺が3ΩとRxである。平衡するRxは?

同じ電源につないでも器具で電流が違うのは、電流の流れにくさが違うからです。電圧V・電流I・抵抗Rの関係はで表します。まず回路を一つの抵抗にまとめると、複雑な図も読みやすくなります。

12Vの電源に3Ωと3Ωをした例では、合成抵抗は6Ω、電流は12÷6=2Aです。なら合成抵抗は1.5Ωとなり、電源から流れる電流は8Aになります。

直列は分かれ道がないので、各抵抗を流れるは同じです。並列は両端のが同じで、枝の電流を足すと全体の電流になります。「何が同じか」を先に図へ書き込みましょう。

並列抵抗をそのまま足すのは誤りです。電流の通り道が増えるため、並列のは最も小さい枝の抵抗より小さくなります。計算結果の大小も確かめましょう。

交流の実効値・周波数・インピーダンス

実効値は、交流が発熱などの仕事で直流と同じ効果を生む値として表した大きさです。正弦波では最大値の1/√2倍になります。

正弦波交流と一定の直流による発熱を天秤で比較し、実効値の意味を示す図。
実効値は、同じ抵抗に同じ時間だけ流した直流と発熱の効果を比べる値です。交流の最大値とは区別します。

家庭の交流は電圧の向きと大きさが時間とともに変化します。それでも「100V」と一つの値で表せるのは、発熱効果を同じにする直流の値、実効値を使うためです。

交流の実効値・周波数・インピーダンス
量・方式式・判断
周期・角周波数T=1/f、ω=2πf
リアクタンスXL=2πfL、XC=1/(2πfC)
RLC直列Z=√{R²+(XL−XC)²}、力率=R/Z
RLC並列I=√{IR²+(IL−IC)²}、力率=IR/I
共振周波数f0=1/(2π√(LC))
交流の実効値・周波数・インピーダンス
静電気・磁気の量式・判断
静電容量C=εA/d(A:極板面積、d:間隔)
電荷Q=CV
静電エネルギーW=CV²/2=QV/2
コンデンサの合成並列はC1+C2、直列はC1C2/(C1+C2)
電磁力F=BIL(フレミングの左手の法則)
誘導起電力e=NΔΦ/Δt(向きはレンツの法則)
自己インダクタンスe=LΔI/Δt、磁気エネルギーW=LI²/2

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。左に正弦波とゼロ線、右に同じゼロ基準で実効値100Vと最大値100√2V(約141V)の長さを並べる。100Vから最大値へ「×√2」の矢印を引き、最大値の高さを波の山と細線で結ぶ。
覚えること:正弦波の実効値100V→最大約141V

正弦波交流の実効値が100Vなら、最大値は100√2Vで約141Vです。50Hzは1秒間に50回繰り返す意味で、一周期は1÷50=0.02秒になります。

交流では抵抗だけでなくコイルやコンデンサも電流の流れ方に影響します。それを合わせたものがインピーダンスです。直列のRとリアクタンスXだけなら、大きさは√(R²+X²)で求めます。

正弦波・RLC・コンデンサ

正弦波・RLC・コンデンサの図解。中央に1つの平行平板コンデンサ、左に電圧調整つまみを置く。つまみから「電圧2倍」の矢印をコンデンサへ向け、右側では「電荷2倍」と「静電エネルギー4倍」へ矢印を二股に分ける。コンデンサの上に「容量一定」と添える。
覚えること:容量一定で電圧2倍→Q2倍・W4倍

正弦波では実効値=最大値/√2、周期T=1/f、角周波数ω=2πfです。2026年上期出題例(問3)は周期20ms(50Hz)の角速度を問い、答えはω=2π×50≒314rad/sです。実効値と最大値の√2の関係は正弦波が前提です。

XL=ωL、XC=1/(ωC)。RLC直列ではX=XL−XC、Z=√(R²+X²)、I=V/Z、力率=R/Zです。例えばR=4Ω、XL=8Ω、XC=5Ω、V=100VならZ=5Ω、I=20A、力率0.8、有効電力I²R=1.6kWです。XL=XCとなる共振周波数f0=1/(2π√(LC))ではZ=Rで電流が最大です。

平行平板コンデンサの静電容量はC=εA/d、蓄える電荷はQ=CV、静電エネルギーはW=CV²/2です。電圧を2倍にするとQは2倍、Wは4倍です。電圧一定で極板間隔を2倍にするとCとWは半分、面積を2倍にすると2倍です。

確認

確認の図解。上段に「電圧」「電流」の時間帯を上下に並べ、横方向の位置の違いで時間的なずれを示す。下段ではRとXからの矢印を「合成」に集め、間に足し算記号は置かない。
覚えること:RとXは電圧・電流のずれを考慮し合成

実効値を最大値と混同したり、RとXを単純に足したりしないようにします。両者は電圧と電流の時間的なずれを含めて合成するからです。

試験に出る

  • 実効値と最大値の関係(正弦波では最大値=実効値×√2)。
  • 周波数と周期の関係(周期=1÷周波数)。
  • インピーダンスはRとXを単純に足さず、√(R²+X²)で求める。
  • 実効値を直流と同じ発熱効果の値として理解する。
  • 電圧と電流の時間的なずれ(位相差)を考慮する。
  • 角周波数ω=2πf。50Hzならω≒314rad/s(2026年上期出題例 問3)。
  • 直列共振はXL=XCのときで、共振周波数f0=1/(2π√(LC))。Z=Rとなり電流が最大。
  • RLC並列は枝電流IR=V/R、IL=V/XL、IC=V/XCを求め、I=√{IR²+(IL−IC)²}、力率=IR/Iで計算する。
  • コンデンサはQ=CV、W=CV²/2。合成は並列が和、直列が逆数の和で、抵抗と逆になる。
  • 磁気:電磁力F=BIL、誘導起電力e=NΔΦ/Δt、自己誘導e=LΔI/Δt、コイルの磁気エネルギーW=LI²/2。

重要な言葉

実効値
交流が直流と同じ発熱効果を生む値。正弦波では最大値の1/√2倍。
インピーダンス
抵抗とリアクタンスを合わせた、交流の電流の流れにくさ。
リアクタンス
コイルやコンデンサが交流電流に与える影響の大きさ。
共振周波数
誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスが等しくなる周波数。f0=1/(2π√(LC))。
静電容量
コンデンサが1Vあたりに蓄える電荷の量。単位はF(ファラド)で、Q=CVの関係がある。
電磁誘導
コイルを貫く磁束が変化すると起電力が生じる現象。大きさは巻数と磁束の変化の速さに比例する。

確認問題

確かめようR=3Ω、X=4Ωならインピーダンスの大きさは?

5Ω。3+4=7Ωではなく、直角三角形の関係で考えます。

正弦波交流の実効値が100Vなら、最大値は約141Vである。

インピーダンスは、抵抗とリアクタンスをそのまま足せばよい。

RLC直列回路が共振すると、インピーダンスはRだけになり電流が最大になる。

正弦波交流で実効値が100Vのときの最大値はおよそいくら?

R=3Ω、X=4Ωの直列回路のインピーダンスの大きさは?

静電容量10μFのコンデンサに100Vを加えたとき、蓄えられる静電エネルギーは?

家庭のは電圧の向きと大きさが時間とともに変化します。それでも「100V」と一つの値で表せるのは、発熱効果を同じにする直流の値、を使うためです。

正弦波交流の実効値が100Vなら、は100√2Vで約141Vです。は1秒間に50回繰り返す意味で、一周期は1÷50=0.02秒になります。

交流では抵抗だけでなくコイルやコンデンサも電流の流れ方に影響します。それを合わせたものがです。直列のRとXだけなら、大きさは√(R²+X²)で求めます。

実効値をと混同したり、RとXを単純に足したりしないようにします。両者は電圧と電流の時間的なずれを含めて合成するからです。

電力・電力量・単位換算

電力量は、一定時間に使った電気エネルギーの量で、電力と時間の積で表します。電力が使う速さ、電力量が使った量という違いです。

同じ電力のブロックを時間方向に並べ、短時間と長時間の電力量をエルくんが比較する図。
電力はエネルギーを使う速さ、電力量は使った量です。同じ電力なら、使う時間が長いほど電力量が増えます。

電気料金に関わるのは、器具が何Wかだけでなく何時間使ったかです。電力はエネルギーを使う速さ、電力量は一定時間に使った量として区別します。

電力・電力量・単位換算
量・方式式・判断
W電力、1W=1J/s
Wh電力量、1Wh=3600J
kWh1000Wh=3.6×10⁶J
VA/var皮相電力/無効電力

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。左に800Wのヒーター、中央に「0.8kW×2時間」、右に「1.6kWh」を配置し、左から右へ矢印でつなぐ。800Wから0.8kWへの単位換算を、中央の式の手前に小さな矢印で示す。
覚えること:0.8kW×2h=1.6kWh

消費電力800Wのヒーターを2時間使う例では、0.8kW×2h=1.6kWhです。800Wをそのまま2倍した1600という数字には、Whという単位が必要です。

直流または純抵抗負荷ではP=VI=I²R。時間を秒で表すと発生する熱量はH=PtでJ、時間を時で表すと電力量はWhになります。1Whは3600Jです。

W・Wh・J・kWhを変換する

W・Wh・J・kWhを変換するの図解。上部の電熱器「500W・30分」から下へ矢印を2本に分け、縦線で仕切る。左は時間に換算して「0.5h→250Wh」、右は秒に換算して「1800s→900kJ」と示す。
覚えること:W×時間(h)でWh、W×秒(s)でJ

電力Pは単位時間当たりのエネルギーでW=J/s、電力量EはP×時間です。1Wh=3600J、1kWh=3.6×10⁶Jです。計算に秒を使うか時間を使うかで答えの単位が変わります。

抵抗だけの負荷はP=VI=I²R=V²/Rです。例えば100V・5Aの電熱器を30分運転すると電力500W、電力量250Wh=0.25kWh、発熱量は900kJです。力率が1でない交流負荷では、VIは皮相電力で有効電力ではありません。

設備の定格にはW(有効電力)、VA(皮相電力)、var(無効電力)、kWh(積算電力量)が出ます。数値だけを掛ける前に、求める量と単位を決めます。

確認

確認の図解。中央の仕切りを挟み、左に「電力・kW」、右に「電力量・kWh」の差し込み口を置く。両者の間には、置き換えられないことを示す×印付きの矢印を描く。
覚えること:kWとkWhは置き換え不可

kWとkWhは置き換えられません。また交流負荷では電圧×電流がそのまま有効電力になるとは限らず、力率の条件を確認します。

試験に出る

  • 電力P=VI=I²Rの使い分け。
  • 電力量は電力×時間(Wh、kWh)で、単位換算に注意する。
  • 1Wh=3600Jの関係。
  • kWとkWhを置き換えないこと。
  • 交流負荷では力率の条件を確認する。
  • P=V²/Rでは、抵抗が一定なら電圧2倍で電力4倍になる。
  • 発熱量H=I²Rt[J]。時間に秒を使うとJ、時を使うとWhになる。
  • 定格表示のW・VA・var・kWhは別の量で、求める量の単位を先に決める。

重要な言葉

電力
電気エネルギーを使う速さ。単位はW。
電力量
一定時間に使った電気エネルギーの量。電力×時間で求める。
ジュール熱
抵抗Rに電流Iがt秒流れたときに発生する熱。H=I²Rt[J]。

確認問題

確かめよう500Wを30分使った電力量は?

0.25kWh。30分を0.5時間、500Wを0.5kWへ直して掛けます。

電力量は、電力と使用時間の積で求められる。

電力と電力量は同じ意味で、どちらもWで表す。

消費電力500Wの器具を30分使った電力量は?

電気料金に関わるのは、器具が何Wかだけでなく何時間使ったかです。はエネルギーを使う速さ、は一定時間に使った量として区別します。

消費電力800Wのヒーターを2時間使う例では、0.8kW×2h=です。800Wをそのまま2倍した1600という数字には、という単位が必要です。

直流または純抵抗負荷では。時間を秒で表すと発生する熱量はH=PtでJ、時間を時で表すと電力量はWhになります。は3600Jです。

とは置き換えられません。また交流負荷では電圧×電流がそのまま有効電力になるとは限らず、力率の条件を確認します。

力率・皮相電力・無効電力

力率は、皮相電力のうち実際に仕事をする有効電力の割合で、P/Sで表します。

仕事へ向かう有効電力と、電源・負荷間を行き来する無効電力を別色の矢印で区別する図。
有効電力は仕事に使われ、無効電力は電源と負荷の間を行き来します。力率は皮相電力に対する有効電力の割合で、無効電力をそのまま損失とみなしません。

交流では電圧と電流を掛けた量のすべてが、熱や回転などの仕事になるとは限りません。設備に必要な大きさと、実際に仕事をする大きさを分けるのが力率の考え方です。

力率・皮相電力・無効電力
量・方式式・判断
皮相電力SVI[VA]
有効電力PVIcosφ[W]
無効電力QVIsinφ[var]
コンデンサ容量Qc=P(tanφ1−tanφ2)[var]
直列リアクトル付きQ=V²/(XC−XL)
改善後同じPなら力率上昇で電流低下

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。正方形の中央に直角三角形を置き、底辺を右向きの有効電力800W、右端から上向きの高さを無効電力600var、左下から右上への斜辺を皮相電力1000VAとする。三角形の脇に「S²=P²+Q²」と「力率=P/S=0.8」を小さく添える。
覚えること:単相100V×10A×0.8=800W

単相で100V・10Aなら皮相電力は1000VAです。力率0.8なら有効電力は800Wとなります。正弦波の条件では無効電力は√(1000²−800²)=600varです。

皮相電力S、有効電力P、無効電力QはS²=P²+Q²の関係で、力率はP/Sです。三つの単位VA・W・varも分けて書くと式を選びやすくなります。

電力三角形と力率改善

電力三角形と力率改善の図解。中央に改善前の電力三角形を置き、横辺を一定のP=8kW、縦辺をQ=6kvar、斜辺をS=10kVAとする。左の誘導負荷に並列接続したコンデンサから縦辺を打ち消す下向き矢印を描き、改善後は横辺と重なるS=8kVAになることを示す。
覚えること:P一定・力率0.8→1で電流0.8倍

正弦波の単相負荷ではS=VI、P=VIcosφ、Q=VIsinφ、S²=P²+Q²です。遅れ力率の誘導負荷に進相コンデンサを並列接続すると、必要な無効電力を負荷側で補い、同じ有効電力を送る線路電流を減らせます。電力計の有効電力Pがゼロになるわけではありません。

例えばP=8kW、力率0.8ならS=10kVA、Q=6kvarです。6kvarのコンデンサで力率を1にすれば皮相電力は8kVAとなり、線路電流は改善前の0.8倍に下がります。改善前後で有効電力が同じという条件を確認します。

必要なコンデンサ容量は改善前後の無効電力の差で、Qc=P(tanφ1−tanφ2)です。直列リアクトル付きの回路の無効電力(設備容量)はV²/(XC−XL)で、2026年上期出題例(問9)のXL=9Ω、XC=150ΩならV²/141です。

確認

確認の図解。中央上に「有効電力は同じ」と置き、細い縦の仕切りを挟んで左に力率ダイヤル、右に電流計を配置する。左の力率が低くなる向きから右の必要な電流が大きくなる向きへ矢印でつなぐ。
覚えること:同じ有効電力なら低力率ほど大電流

同じ有効電力なら、力率が低いほど必要な電流は大きくなります。力率0.8を「電力量の20%が必ず熱で消えた」と解釈するのは誤りです。

試験に出る

  • 皮相電力S=VI(VA)、有効電力P=VIcosφ(W)、無効電力Q(var)の関係。
  • 力率=P/Sで、有効電力と皮相電力の比。
  • S²=P²+Q²の関係を使った計算。
  • 力率が低いほど同じ有効電力で必要な電流が大きい。
  • 単位VA・W・varを区別する。
  • 力率改善に必要なコンデンサ容量Qc=P(tanφ1−tanφ2)。改善前後で有効電力Pは変わらない。
  • 同じ有効電力なら、線路電流は皮相電力に比例して減る(力率0.8→1.0で電流は0.8倍)。
  • 直列リアクトル付き進相コンデンサの回路の無効電力はV²/(XC−XL)(2026年上期出題例 問9)。

重要な言葉

力率
皮相電力に対する有効電力の割合。P/Sで表す。
皮相電力
電圧と電流の積で求める見かけの電力。単位はVA。
無効電力
仕事をしないが設備に必要な電力。単位はvar。
進相コンデンサ
遅れ力率の負荷と並列に接続し、進みの無効電力を供給して力率を改善するコンデンサ。

確認問題

確かめよう有効電力800W、皮相電力1000VAの力率は?

0.8、80%。単位の違う二つを取り違えず、PをSで割ります。

力率は、有効電力を皮相電力で割って求める。

力率0.8とは、電力量の20%が熱として必ず消えるという意味である。

有効電力800W、皮相電力1000VAの力率は?

皮相電力1000VA、有効電力800Wのときの無効電力は?

有効電力8kW、遅れ力率0.8の負荷の力率を1.0に改善するのに必要なコンデンサ容量は?

交流では電圧と電流を掛けた量のすべてが、熱や回転などの仕事になるとは限りません。設備に必要な大きさと、実際に仕事をする大きさを分けるのがの考え方です。

単相で100V・10Aなら皮相電力はです。力率0.8なら有効電力はとなります。正弦波の条件では無効電力は√(1000²−800²)=600varです。

皮相電力S、有効電力P、無効電力Qはの関係で、力率はP/Sです。三つの単位VA・W・varも分けて書くと式を選びやすくなります。

同じ有効電力なら、力率が低いほど必要なは大きくなります。力率0.8を「電力量の20%が必ず熱で消えた」と解釈するのは誤りです。

三相交流の電圧・電流・電力

三相交流は、大きさと周波数が同じ三つの交流の位相を120度ずつずらして組み合わせた方式です。

エルくんが説明する三相交流。等しい長さの3本の矢印が同じ中心から120度ずつ離れ、位相差とモーターの回転を対応させた図。
考え方の例:三相交流は同じ周波数の三つの交流が120度ずつ位相をずらして組み合わされます。ここでは三つの位相の関係を、同じ中心から伸びる等しい長さの矢印で表しています。

モーターへ大きな電力を送る場面では三相交流が使われます。大きさと周波数が同じ三つの交流を、位相を120度ずつずらして組み合わせたものです。

三相交流の電圧・電流・電力
量・方式式・判断
平衡三相P√3×線間V×線I×cosφ
平衡三相S・QS=√3VI、Q=√3VIsinφ
抵抗から求めるP3×(相電流)²×R
Y結線相電圧線間電圧/√3
不平衡負荷相ごとに電流・電力を確認

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。正方形の上段に3つの入力値を並べ、下向きの矢印で中央の「P=√3VIcosφ」へつなぐ。式の下に「√3×200×10×0.8≒2771W」から「約2.77kW」への右向き矢印を置き、最下部を仕切って結論を示す。
覚えること:平衡三相は線のV・Iと力率、×3不要

平衡三相負荷で線間電圧200V、線電流10A、力率0.8なら、有効電力は√3×200×10×0.8≒2771W、約2.77kWです。図の電圧と電流が「線」の値かを先に読みます。

平衡三相全体の有効電力はP=√3VIcosφです。三つの相の電力を合計した式なので、これにさらに3を掛ける必要はありません。

線間・相の値から三相電力へ

線間・相の値から三相電力への図解。正方形の中央に、上段「P=3×相電圧×相電流×力率」、下段「P=√3×線間電圧×線電流×力率」を等号で結ぶ計算盤を置き、上に「平衡三相」と明示する。下段の線間電圧・線電流の入力口から式へ矢印を向け、式の後に「さらに×3」を足さないことを小さな打ち消し線で示す。
覚えること:平衡三相は線間電圧×線電流×√3×力率

平衡三相ではP=3×相電圧×相電流×力率=√3×線間電圧×線電流×力率です。式に線間電圧と線電流を入れたあとでさらに3倍しません。単相負荷のP=VIcosφと区別します。

2026年上期出題例(問5)は、線間200VのY結線(各相R=8Ω・X=6Ω)で抵抗の電圧を問います。相インピーダンス10Ω、相電圧200/√3≒115.5V、線電流=相電流≒11.55A、抵抗の電圧は11.55×8≒92Vです。相電圧を200Vと読み誤らないようにします。

不平衡負荷では各相の電圧・電流が異なるので、平衡三相の√3式を無条件に使えません。結線と中性線の有無を図で読みます。

確認

確認の図解。左の「不平衡な負荷」から右の「平衡三相の式」へ向かう矢印の途中に、「条件未確認」の仕切りを置いて矢印を止める。エルくんが仕切りを操作する一場面に絞る。
覚えること:不平衡負荷に平衡三相式は条件確認必須

単相のVIcosφと混同しないことが重要です。また不平衡な負荷に、条件を確認せず平衡三相の式を当てはめることはできません。

試験に出る

  • 三相の有効電力P=√3VIcosφで、線間電圧と線電流を使う。
  • 平衡三相では3をさらに掛けない。
  • 単相のVIcosφとの違い。
  • 三相は位相を120度ずつずらした方式。
  • 不平衡負荷には平衡三相の式をそのまま当てはめない。
  • 三相電力は各相の抵抗からP=3I²R(Iは相電流)でも求められ、√3VIcosφと一致する。
  • Y結線で線間200V・各相R=8Ω、X=6Ωなら線電流約11.55A、抵抗の電圧約92V(2026年上期出題例 問5)。
  • 皮相電力S=√3VI、無効電力Q=√3VIsinφも線間電圧・線電流で表す。

重要な言葉

三相交流
位相を120度ずつずらした三つの交流を組み合わせた方式。
線間電圧
電源線と電源線の間に加わる電圧。
線電流
電源線を流れる電流。

確認問題

確かめよう他条件が同じで線電流が半分なら電力は?

半分。式の中で何が変わったかを一つずつ追うと判断できます。

平衡三相の有効電力はP=√3VIcosφで表し、3をさらに掛ける必要はない。

三相交流の三相の位相は、それぞれ90度ずつずれている。

平衡三相で線間電圧200V、線電流10A、力率0.8のときの有効電力はおよそ?

線間電圧200Vの平衡三相電源にY結線負荷(各相R=8Ω、X=6Ωの直列)をつないだ。抵抗の両端電圧はおよそ?

モーターへ大きな電力を送る場面ではが使われます。大きさと周波数が同じ三つの交流を、位相をずつずらして組み合わせたものです。

平衡三相負荷で線間電圧200V、線電流10A、力率0.8なら、有効電力は√3×200×10×0.8≒、約です。図の電圧と電流が「線」の値かを先に読みます。

平衡三相全体の有効電力はです。三つの相の電力を合計した式なので、これにさらに3を掛ける必要はありません。

単相のと混同しないことが重要です。またな負荷に、条件を確認せず平衡三相の式を当てはめることはできません。

三相負荷の結線と相順

スター結線とデルタ結線は、三相負荷の三つの要素をY字または三角につなぐ方式で、線の値と相の値の関係が異なります。

A→B→CとA→C→Bの二つの相順に、互いに逆向きの回転矢印を対応させた図。
三相の順序が変わると回転方向に関係します。A・B・Cは原理を理解するための表示で、端子の施工指示ではありません。

三相回路では、負荷の一相にかかる電圧と電源線間の電圧が同じとは限りません。スター結線とデルタ結線の違いは、負荷三つのつなぎ方を描くと理解できます。

三相負荷の結線と相順
量・方式式・判断
Y結線V線=√3V相、I線=I相
Δ結線V線=V相、I線=√3I相
Δ→Y変換(平衡)各相インピーダンス×1/3
V結線の出力√3×変圧器1台の容量
V結線の利用率√3/2≒0.866(Δ結線3台の約57.7%の出力)
相順の逆転3線のうち任意の2線を入れ替える

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。1枚の結線比較図を中央で左右に仕切り、左に平衡スター結線、右に平衡デルタ結線を置く。両側の線間電圧を200Vと示し、各負荷にかかる相電圧を左は200/√3V、右は200Vと記す。
覚えること:平衡結線は線間200Vでも相電圧が異なる

平衡スター結線では線間電圧200Vに対し相電圧は200/√3Vです。平衡デルタ結線では各負荷が線間につながるので相電圧は200Vになります。

スターでは線電流と相電流が同じ、デルタでは線電流が相電流の√3倍です。電圧か電流か、線の値か相の値かを二軸で整理します。

Y・Δ結線と回転方向

Y・Δ結線と回転方向の図解。左から右へ3本の線を1組だけ描き、中央でR線とS線を入れ替えて「R-S-T」→「S-R-T」を示す。右端の誘導電動機には、回転方向が逆になり得ることを示す曲矢印を添える。
覚えること:2線交換で相順逆、誘導電動機も逆転し得る

Y結線は線間電圧=√3×相電圧、線電流=相電流です。Δ結線は線間電圧=相電圧、線電流=√3×相電流です。各相に同じインピーダンスZをつなぐ場合も、結線が変わると相に加わる電圧と線電流が変わります。

三相の相順はR-S-Tなど位相の現れる順序で、任意の2線を入れ替えると逆になります。誘導電動機では回転方向の確認に関係し、検相器を使います。電圧値が正常でも相順が違えば回転方向が逆になり得ます。

同じ線間200V、各相10ΩならY結線の線電流は約11.55A、Δ結線は相電流20A・線電流約34.6Aで、Δの線電流と電力はYの3倍です。平衡負荷のΔ→Y変換では各相インピーダンスを1/3にします。

確認

確認の図解。上段は左から三相の位相が現れる順番を並べ、矢印の先にモーターの回転方向を置く。下段は仕切り線で分けて電圧の大きさを配置し、相順の確認とは別の確認として示す。
覚えること:相順と電圧の大きさは別に確認

相順は三相の位相が現れる順番で、モーターの回転方向にも関係します。相順の確認と、電圧の大きさが合っているかの確認は別です。

試験に出る

  • スターは線間電圧=√3×相電圧、線電流=相電流。
  • デルタは線間電圧=相電圧、線電流=√3×相電流。
  • 線の値と相の値を区別する。
  • 相順はモーターの回転方向に関係する。
  • 相順の確認と電圧の大きさの確認は別である。
  • 平衡負荷のΔ→Y変換は各相インピーダンスを1/3、Y→Δ変換は3倍にする。
  • 同じインピーダンスをΔ結線にすると、Y結線に比べて線電流と消費電力が3倍になる。
  • V結線の三相出力は変圧器1台の容量の√3倍。利用率は√3/2≒0.866、Δ結線(3台)の出力の約57.7%。

重要な言葉

スター結線
負荷をY字につなぐ方式。線間電圧=√3×相電圧。
デルタ結線
負荷を三角につなぐ方式。線電流=√3×相電流。
相順
三相の位相が現れる順番。モーターの回転方向に関係する。
V結線
単相変圧器2台で三相電力を供給する結線。出力は1台の容量の√3倍に限られる。

確認問題

確かめよう平衡スターで相電流が5Aなら線電流は?

5A。√3を掛けるのはこの関係ではありません。

平衡スター結線では、線電流と相電流の大きさは等しい。

平衡デルタ結線では、線間電圧は相電圧の√3倍である。

平衡デルタ結線で相電流が5Aのとき、線電流は?

容量10kV・Aの単相変圧器2台をV結線したとき、供給できる三相負荷の最大容量はおよそ?

三相回路では、負荷の一相にかかる電圧と電源線間の電圧が同じとは限りません。との違いは、負荷三つのつなぎ方を描くと理解できます。

平衡スター結線では線間電圧200Vに対しは200/√3Vです。平衡デルタ結線では各負荷が線間につながるので相電圧はになります。

スターでは線電流とが同じ、デルタでは線電流が相電流のです。電圧か電流か、線の値か相の値かを二軸で整理します。

は三相の位相が現れる順番で、モーターの回転方向にも関係します。相順の確認と、電圧の大きさが合っているかの確認は別です。

電線抵抗と電力損失

電力損失は、電線抵抗などで消費され、負荷へ届かない電力で、I²Rで表します。

電線の抵抗で熱が生じる。同じ抵抗の電線に小さい電流と大きい電流を流す比較。
電線の抵抗が同じでも、電流が大きくなると発熱による電力損失が増えます。電流を二乗して考える関係が計算の土台になります。

電線で発生する熱は、負荷へ届けたかったエネルギーの一部です。長い配線や大きな電流を考えるとき、電圧降下に加えて電力損失を評価します。

電線抵抗と電力損失
量・方式式・判断
単相2線片道抵抗rなら損失2I²r
三相3線1線抵抗rなら損失3I²r
三相PからII=P/(√3Vcosφ)
三相損失P²r/(V²cos²φ)
電線抵抗と電力損失
変圧器の損失・効率式・判断
鉄損Pi負荷によらずほぼ一定
銅損負荷率αのときα²Pc(Pc:定格時の銅損)
効率出力÷(出力+Pi+α²Pc)
最大効率の条件Pi=α²Pc(鉄損=銅損)
全日効率1日の出力電力量÷(出力電力量+Pi×24h+銅損電力量)

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。中央に「合計抵抗0.4Ω」の電線を使った一つの回路図を置き、その下に同じ抵抗での比較を左右に並べる。左の「10A・40W」から右の「20A・160W」へ矢印を引き、電流は2倍、損失は4倍と示す。
覚えること:同じ抵抗なら電流2倍で損失4倍

電流10A、回路の合計抵抗0.4Ωなら、損失は10²×0.4=40Wです。同じ抵抗で20Aになると160Wとなり、電流が2倍でも損失は4倍になります。

抵抗で消費される電力はI²Rです。R=ρL/Aから、同じ材質なら長さを短く、断面積を大きくするほど抵抗は小さくなります。相ごとの損失を足すと全体になります。

損失を電力と線路条件から求める

損失を電力と線路条件から求めるの図解。1枚の三相線路図の左に電圧調整ダイヤル、右に抵抗損の表示を置き、左から右へ太い矢印を引く。ダイヤルの「V→2V」に対応して損失表示を「1/4」へ変え、下にP・r・力率が同じという条件をまとめる。
覚えること:同じP・r・力率ならV2倍で損失1/4

電線の抵抗はR=ρL/Aで、同材質なら長さに比例し断面積に反比例します。抵抗分の線路損失は単相2線なら往復2I²r、三相3線なら3I²rです。rが「1線当たり」か「往復合計」かを図で確かめます。

平衡三相で有効電力P、線間電圧V、力率cosφならI=P/(√3Vcosφ)です。したがって1線抵抗rの三相線路損失は3I²r=P²r/(V²cos²φ)になります。2026年上期出題例(問7)はこの式を問うため、PとVのどちらが二乗されるかを導出で確かめます。

同じ有効電力を送るなら電圧を2倍にすると抵抗損は1/4、力率が低下すれば電流と損失は増えます。変圧器でも巻線の銅損はI²Rで負荷率の二乗に比例し、鉄損は負荷によらずほぼ一定です(効率は下の表)。

確認

確認の図解。画面を上下2段に分け、上段は「電圧降下 IR」から「単位 V」へ、下段は「電力損失 I²R」から「単位 W」へ、それぞれ右向き矢印で結ぶ。段の間には仕切り線を引き、式と単位の対応を比較できるようにする。
覚えること:電圧降下IRはV、電力損失I²RはW

電圧降下IRと電力損失I²Rを混同しないことが重要です。前者の単位はV、後者はWなので、答えの単位でも式を確認できます。

試験に出る

  • 抵抗で消費される電力はI²R。
  • 損失は電流の二乗に比例する(電流2倍で4倍)。
  • 電線抵抗は長さに比例し、断面積に反比例する。
  • 電圧降下IRと電力損失I²Rは単位が異なる。
  • 相ごとの損失を合計して全体を求める。
  • 三相3線の線路損失は3I²r=P²r/(V²cos²φ)(2026年上期出題例 問7)。電圧・力率の二乗に反比例する。
  • 変圧器の効率が最大になるのは鉄損=銅損のとき。負荷率αでの銅損は定格時の銅損のα²倍。
  • 全日効率は1日の出力電力量÷(出力電力量+鉄損×24h+1日の銅損電力量)で求める。

重要な言葉

電力損失
電線抵抗などで消費され、負荷に届かない電力。I²Rで求める。
抵抗損
抵抗で電気エネルギーが熱として失われる損失。
導体抵抗
導体の長さに比例し断面積に反比例する抵抗。
全日効率
変圧器の1日を通じた効率。1日の出力電力量を、それに1日の鉄損・銅損の電力量を加えた入力電力量で割る。

確認問題

確かめよう電流が半分になり抵抗が同じなら電力損失は?

4分の1。電流の二乗に比例する点が設計上の重要な理由です。

電線の電力損失は、電流が2倍になると4倍になる。

電圧降下と電力損失は同じ単位で表される。

変圧器の全日効率を求めるとき、鉄損は負荷がかかっている時間だけ計上すればよい。

電流10A、抵抗0.4Ωのときの電力損失は?

定格負荷時の銅損が400W、鉄損が100Wの変圧器で、効率が最大となる負荷率は?

電線で発生する熱は、負荷へ届けたかったエネルギーの一部です。長い配線や大きなを考えるとき、電圧降下に加えてを評価します。

電流10A、回路の合計抵抗0.4Ωなら、損失は10²×0.4=です。同じ抵抗で20Aになるととなり、電流が2倍でも損失は4倍になります。

抵抗で消費される電力はです。R=ρL/Aから、同じ材質なら長さを短く、を大きくするほど抵抗は小さくなります。相ごとの損失を足すと全体になります。

IRと電力損失I²Rを混同しないことが重要です。前者の単位は、後者はWなので、答えの単位でも式を確認できます。

電圧降下計算の基礎

電圧降下は、電線抵抗などで生じ、負荷に届く電圧が電源電圧より下がる現象です。

電線で電圧が下がる。電源→長い電線→負荷の横一列。
電線にも抵抗があるため、電流が流れると電源側と負荷側の間に電圧の差が生じます。負荷で必要な電圧を確保できるかという視点で考えます。

長い配線の先で電源と同じ電圧が得られるとは限りません。電線にも抵抗があるため、電流が流れると電線部分で電圧を使い、負荷に届く電圧が下がります。

電圧降下計算の基礎
量・方式式・判断
単相2線・抵抗分ΔV=2Ir
単相2線・遅れ力率ΔV≈2I(Rcosφ+Xsinφ)
三相3線・遅れ力率ΔV≈√3I(Rcosφ+Xsinφ)
負荷端電圧送電端電圧−電圧降下

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。左に電源100V、右に負荷側96Vを置き、単相2線式の往路・復路を上下2本の電線と矢印で示す。各電線に片道0.2Ωを記し、2本をまとめる括弧で往復0.4Ωを示す。
覚えること:抵抗分のみ、往復0.4Ω×10A=4V

単相2線式で片道の電線抵抗が0.2Ω、負荷電流が10Aという例なら、往復で0.4Ωなので電圧降下は4Vです。電源が100Vなら負荷側は96Vになります。

抵抗分だけの簡単な回路では電圧降下はIRです。電線が長いほど抵抗は増え、断面積が大きいほど抵抗は減ります。長さが片道か往復かで計算に入れる値が変わります。

交流の電圧降下を分けて計算

交流の電圧降下を分けて計算の図解。三相3線・遅れ力率の例として、左に抵抗分とリアクタンス分の札を上下に置き、2本の矢印を中央の加算枠へ集める。そこから右の電圧降下の式へ矢印を伸ばし、下部を仕切って「覚えること」を置く。
覚えること:遅れ三相3線は合算して√3I倍

単相2線の抵抗分は片道抵抗rに対してΔV=2Irです。三相3線で1線当たり抵抗R・リアクタンスX、遅れ力率cosφの場合、近似式はΔV≈√3I(Rcosφ+Xsinφ)です。進み力率ではX項の符号に注意します。

2026年上期出題例(問6)はR=0.8Ω、X=0.6Ω、遅れ力率0.8なのでsinφ=0.6、括弧内は0.8×0.8+0.6×0.6=1.0Ωです。電圧降下300VならI=300/√3=100√3≒173Aです。抵抗分だけの式や単相2線の式を使うと誤ります。

負荷端電圧=送電端電圧−線路の電圧降下という向きを図で確認します。電圧降下Vと線路損失Wは別の量で、交流では力率・リアクタンスが降下に関わります。

確認

確認の図解。回路全体を示す大きな枠の中で、電線1本だけを色で強調する。その電線の「抵抗×電流」から「1本分の降下」へ矢印を引き、「回路全体の降下」へは等号で結ばない。
覚えること:1本分を回路全体の降下としない

電線一本の抵抗に電流を掛けた値を、回路全体の降下としないよう注意します。三相や交流のより詳しい問題では、相の関係やリアクタンスも条件に入ります。

試験に出る

  • 抵抗分だけの回路では電圧降下=IR。
  • 単相2線式では往復の電線抵抗を計算に入れる。
  • 電線が長いほど、断面積が小さいほど抵抗と降下が大きい。
  • 電圧降下は電流に比例する。
  • 三相・交流の詳細では相の関係やリアクタンスも考慮する。
  • 三相3線の電圧降下は√3I(Rcosφ+Xsinφ)、単相2線は2I(Rcosφ+Xsinφ)。R・Xは1線当たりの値。
  • R=0.8Ω、X=0.6Ω、遅れ力率0.8で電圧降下300Vなら、I=300/√3=100√3A(2026年上期出題例 問6)。

重要な言葉

電圧降下
電線抵抗などで負荷に届く電圧が下がる現象。IRで求める。
電線抵抗
電線が持つ抵抗。長さに比例し断面積に反比例する。
送電端電圧
線路の電源側(変電所側)の電圧。受電端電圧との差が線路の電圧降下になる。

確認問題

確かめよう同じ電線で電流が20Aになったら、この例の降下は?

8V。抵抗が同じなら電流に比例します。

単相2線式では、電圧降下の計算に往復の電線抵抗を使う。

電圧降下は、電流が変わっても一定である。

片道0.2Ωの単相2線式で負荷電流10Aのときの電圧降下は?

三相3線式で線電流100A、1線当たりR=0.2Ω、X=0.1Ω、遅れ力率0.8のときの電圧降下はおよそ?

長い配線の先で電源と同じ電圧が得られるとは限りません。電線にもがあるため、が流れると電線部分で電圧を使い、負荷に届く電圧が下がります。

単相2線式で片道の電線抵抗が0.2Ω、負荷電流が10Aという例なら、往復で0.4Ωなのではです。電源が100Vなら負荷側は96Vになります。

抵抗分だけの簡単な回路では電圧降下はです。電線が長いほど抵抗は増え、が大きいほど抵抗は減ります。長さが片道か往復かで計算に入れる値が変わります。

電線一本の抵抗に電流を掛けた値を、回路全体の降下としないよう注意します。三相や交流のより詳しい問題では、の関係やも条件に入ります。

短絡電流と保護機器選定の基礎

短絡電流は、短絡によって本来より小さなインピーダンスの経路に流れる、非常に大きな電流です。

上段は負荷を通る通常回路、下段は低抵抗の短絡回路として、流れる電流の違いを比較する図。
短絡では抵抗の小さい経路に大きな短絡電流が流れます。通常の負荷を通る回路と比べて考えましょう。この図は短絡の原理を示し、保護機器の結線や動作を示すものではありません。

短絡では負荷を通る本来の経路より小さなインピーダンスの経路ができ、大きな電流が流れます。負荷を普段どれだけ使うかとは別に、事故時の大きさを見積もります。

短絡電流と保護機器選定の基礎
量・方式式・判断
%Zの換算%Znew=%Zold×Snew/Sold
直列の合成同じ基準に直してから加算
短絡容量Ss=Sbase×100/%Z
短絡電流Is=In×100/%Z(In=Sbase/(√3V))
遮断器定格電流と定格遮断容量を別に照合

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。中央に、100Vの電源→事故経路の合成インピーダンス0.1Ω→短絡電流1000Aを左から右へ並べ、「簡単な計算モデル」と明示する。短絡点から下向き矢印を伸ばし、細い仕切りの下に、その地点の事故電流を安全に遮断できる保護機器が必要だと示す。
覚えること:その地点の事故電流を安全に遮断できる機器

簡単な計算モデルで電圧100V、事故経路の合成インピーダンス0.1Ωなら、短絡電流は1000Aです。通常の器具の使用電流とは桁が違うことが分かります。

実際の短絡電流は電源や変圧器、配線のインピーダンスで制限されます。保護機器はその地点の事故電流を安全に遮断できる能力を持つ必要があります。

%インピーダンスと遮断容量

%インピーダンスと遮断容量の図解。正方形の中央を縦線で「換算」と「加算」に分け、左の変圧器18%(30MV・A基準)から右向き矢印で6%(10MV・A基準)へ換算する。右側では電源2%・変圧器6%・線路3%を一列に並べ、矢印の先に合成11%を置く。
覚えること:基準容量をそろえてから加算

短絡電流は電源・変圧器・線路の合成インピーダンスで制限されます。百分率インピーダンスを直列に加算する前に基準容量をそろえます。同じ基準電圧で新基準容量Snewへ換算すると%Znew=%Zold×Snew/Soldです。

2026年上期の出題例では、変圧器18%(30MV・A基準)を10MV・A基準へ直すと6%です。電源側2%、線路3%を足すと受電点の合成は11%。比率が同じという問題条件により、抵抗分・リアクタンス分を同じ割合で換算して加算できます。基準が異なる18+2+3=23%は誤りです。

三相短絡容量はSs=Sbase×100/%Z、短絡電流はIs=In×100/%Z=Ss/(√3V)です。保護装置の定格遮断容量が想定短絡電流に足りるかを確認し、通常の負荷電流に対する定格電流とは分けて判断します。

確認

確認の図解。中央に遮断器を置き、左側の「定格電流」は仕切りで分離する。右側では「定格遮断容量」と「想定する事故電流」を横に並べ、両者の間に照合を示す両向き矢印を描く。
覚えること:定格遮断容量と想定事故電流を別に照合

遮断器の定格電流だけを見て短絡時も切れると決めないことが重要です。定格遮断容量と、想定する事故電流を別に照合します。

試験に出る

  • 短絡電流はI=V/Zで概算でき、インピーダンスに反比例する。
  • 短絡電流は通常の負荷電流より桁違いに大きい。
  • 保護機器は定格電流だけでなく定格遮断容量を照合する。
  • 実際の短絡電流は電源・変圧器・配線のインピーダンスで制限される。
  • 事故電流に見合う遮断能力が必要である。
  • %Zは基準容量に比例して換算する(%Znew=%Zold×Snew/Sold)。基準をそろえてから加算する(2026年上期出題例 問8)。
  • 三相短絡電流Is=In×100/%Z(In:基準容量に対する定格電流)、短絡容量Ss=Sbase×100/%Z。

重要な言葉

短絡電流
短絡時に小さなインピーダンスの経路へ流れる大きな電流。
遮断容量
保護機器が所定条件で安全に遮断できる事故電流の能力。
回路インピーダンス
短絡電流の大きさを決める回路の合成インピーダンス。
百分率インピーダンス
定格電流が流れたときのインピーダンスによる電圧降下を、基準電圧に対する百分率で表した値。%Zと書く。

確認問題

確かめよう電源電圧が同じで事故経路のインピーダンスが半分なら?

短絡電流が2倍。I=V/Zで向きを確かめます。

事故経路のインピーダンスが半分になると、短絡電流は2倍になる。

遮断器の定格電流が同じなら、遮断容量も同じである。

電圧100V、事故経路のインピーダンス0.1Ωのときの短絡電流は?

受電点から電源側の合成%Zが基準容量10MV・Aで11%のとき、三相短絡容量はおよそ?

短絡では負荷を通る本来の経路より小さなの経路ができ、が流れます。負荷を普段どれだけ使うかとは別に、事故時の大きさを見積もります。

簡単な計算モデルで電圧100V、事故経路の合成インピーダンス0.1Ωなら、はです。通常の器具の使用電流とは桁が違うことが分かります。

実際の短絡電流は電源や、配線のインピーダンスで制限されます。保護機器はその地点の事故電流を安全にできる能力を持つ必要があります。

遮断器のだけを見て短絡時も切れると決めないことが重要です。と、想定する事故電流を別に照合します。

発電・送電・変電・配電の役割

発電・送電・変電・配電は、電気を造り、運び、電圧を変え、利用場所へ分配するまでの一連の過程です。

電気が届くまで。発電所→送電鉄塔→変電所→街の四つを左から順に大きく並べる。
発電した電気は送電・変電・配電を経て利用場所へ届きます。各設備が流れのどこで何を担うかを順番に整理します。

コンセントの電気は、発電してすぐ同じ電圧のまま届くわけではありません。発電・送電・変電・配電を分けると、各設備が電力を届ける過程のどこを担当するかが見えます。

発電・送電・変電・配電の役割
量・方式式・判断
発電電気エネルギーを生み出す
送電高電圧で遠方へ運ぶ
変電電圧変換と開閉・保護
配電需要場所へ分配
受電設備供給側と需要家設備の境界

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。左の発電所から右の工場まで一本の矢印を通し、途中の街に近い変電所で電圧を変えてから、利用場所へ配電する。工場の受電設備は、矢印が工場に入る入口に置く。
覚えること:街に近い変電所で電圧を変えて配電

発電所から遠くの街まで運び、街に近い変電所で電圧を変え、利用場所へ分配する流れを一本の矢印で描きます。工場の受電設備は、その利用側の入口に位置します。

同じ電力を送るなら電圧を高くすると電流を小さくでき、抵抗損を減らせます。一方、利用機器に合う電圧へ変える必要があるため、変圧器や変電設備が使われます。

電力系統の各段階

電力系統の各段階の図解。正方形の中央に「発電→高電圧で送電→変電→配電→需要場所」を左から右へ一本の矢印で配置する。変電の位置に区切り線を入れ、送るための高電圧を利用場所に合う電圧へ変える段階として示す。
覚えること:高電圧で送り、場所に合う電圧に変え配電

発電はエネルギーを電力に変え、送電は高電圧で遠方へ運び、変電は電圧を変えるとともに開閉・保護を担い、配電は需要場所へ分配します。高圧需要家の受電設備は供給系統と建物内の負荷設備の境目です。

同じ電力なら高電圧で送るほど電流を小さくでき、抵抗損I²Rを抑えます。一方、絶縁・離隔・保護の条件は厳しくなるため、利用場所に合う電圧へ段階的に変換します。送電と配電の境界は設備の役割と電圧区分で読みます。

変電設備では断路器は主に無負荷時の切離し、遮断器は事故電流を切るなど役割が異なります。避雷器は過電圧を制限し、雷電流を大地へ流す機器です。系統の全機器を「電圧を変える装置」と考えません。

確認

確認の図解。中央の縦線で左右を分け、左に発電所、右に変電所を配置する。右側には「電圧を変える」と「系統の開閉・保護」を別々に示し、両施設の役割を対比する。
覚えること:変電所は電圧変更・系統の開閉・保護

変電所は電圧を変えるだけでなく、系統の開閉や保護なども担います。発電所と変電所を、どちらも電気を作る施設として覚えないようにします。

試験に出る

  • 発電・送電・変電・配電の各設備の役割を区別する。
  • 高電圧で送ると電流が小さくなり、抵抗損を減らせる。
  • 変電所は電圧変換のほか、開閉や保護も担う。
  • 変圧器は電圧と電流の関係を変えるが、電力を増やす装置ではない。
  • 受電設備は利用側の入口に位置する。
  • 同じ電力なら送電電圧をn倍にすると電流は1/n、抵抗損は1/n²になる。
  • 断路器は無負荷時の切離し、遮断器は事故電流の遮断、避雷器は過電圧の制限と、機器の役割を区別する。

重要な言葉

送電
発電所から遠方へ電気を運ぶ過程。
変電所
電圧の変換や系統の開閉・保護を担う施設。
配電
変電した電気を利用場所へ分配する過程。

確認問題

確かめよう変圧器で電圧を上げればエネルギーも増える?

いいえ。損失を無視すれば電力は対応し、電流との関係が変わります。

同じ電力を送るとき、電圧を高くすると電流を小さくできる。

変圧器は電圧を変えると同時に電力を増やす装置である。

電圧を高くして送電する主な理由は?

コンセントの電気は、発電してすぐ同じ電圧のまま届くわけではありません。・・変電・配電を分けると、各設備が電力を届ける過程のどこを担当するかが見えます。

発電所から遠くの街まで運び、街に近いで電圧を変え、利用場所へ分配する流れを一本の矢印で描きます。工場のは、その利用側の入口に位置します。

同じ電力を送るなら電圧を高くするとを小さくでき、を減らせます。一方、利用機器に合う電圧へ変える必要があるため、変圧器や変電設備が使われます。

変電所は電圧を変えるだけでなく、系統のやなども担います。発電所と変電所を、どちらも電気を作る施設として覚えないようにします。

需要率・不等率・負荷率

需要率は、設備容量に対する最大需要電力の割合で、最大需要電力÷設備容量で表します。

需要電力の折れ線で最大と平均を分け、最大需要のブロックを設備容量の枠へはめる図。
最大の負荷、時間平均の負荷、設備容量を別々に読み取ります。需要率・負荷率・不等率では分子と分母が異なるため、同じ比率として扱いません。

設備はいつも一斉に最大出力で動くわけではありません。設置量、ピーク、平均、各負荷のピーク時刻を分けると、需要率・不等率・負荷率の三つが整理できます。

需要率・不等率・負荷率
量・方式式・判断
需要率最大需要/設備容量
負荷率平均需要/最大需要
不等率個別最大の合計/合成最大
合成最大需要電力Σ(設備容量×需要率)/不等率
目安需要率・負荷率≤1、不等率≥1

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。中央に設備100kWを表す横長の枠を置き、その左端から最大60kWを表す色付きの棒を枠の6割まで入れる。枠の下に「最大÷設備」、右側に「需要率60%」を配置する。
覚えること:需要率=最大÷設備=60%

設備100kW、最大60kW、平均30kWなら需要率は60%、負荷率は50%です。別々の負荷の最大値の合計が90kW、同時に合わせた最大値が60kWなら不等率は1.5です。

需要率=最大/設備、負荷率=平均/最大、不等率=個別最大の合計/合成最大です。割合の基準を日本語で言ってから割り算にすると、分母の取り違えを防げます。

設備・ピーク・平均・同時性

設備・ピーク・平均・同時性の図解。左に共通の時刻軸を持つ2本の横レールを上下に並べ、個別最大60kWと50kWの印を別々の時刻に置く。仕切りの右に「個別最大の和110kW」と「合成最大80kW」を並べ、和から合成最大へ「÷」の矢印を引いて不等率1.375を示す。
覚えること:個別最大が別時刻なら合成最大は和未満

需要率=最大需要電力/設備容量、負荷率=平均需要電力/最大需要電力、不等率=各需要家等の個別最大需要電力の合計/合成最大需要電力です。需要率・負荷率は通常1以下、不等率は通常1以上となり、結果の大小も検算に使えます。

設備容量120kW、最大需要90kW、平均45kWなら需要率75%、負荷率50%です。個別ピーク60kWと50kWに対し同時ピーク80kWなら不等率110/80=1.375です。個別最大が同じ時刻に生じないと合成最大は和より小さくなります。

需要率を勝手に置いて幹線を細くせず、問題文・設計条件の需要率を使います。負荷率は期間平均の指標なので、瞬時の短絡電流や遮断容量を直接示す値ではありません。

確認

確認の図解。中央の一つの図に二つの山形のピークを上下に重ね、頂点の位置を左右にずらす。各頂点から点線を下ろし、その間を両矢印で結んで「ピークのずれ」を示す。
覚えること:不等率は各ピークのずれを表す

需要率と負荷率は同じ「率」でも分母が違います。不等率は各ピークのずれを表し、単純に平均電力を最大電力で割る値ではありません。

試験に出る

  • 需要率=最大需要電力÷設備容量。
  • 負荷率=平均需要電力÷最大需要電力。
  • 不等率=個別最大の合計÷合成最大。
  • 三つの率は分母が異なるので取り違えない。
  • 不等率はピークのずれを表し、平均÷最大ではない。
  • 合成最大需要電力=Σ(設備容量×需要率)÷不等率。変圧器容量の選定に使う。
  • 需要率・負荷率は通常1以下、不等率は通常1以上。結果の大小で検算する。

重要な言葉

需要率
設備容量に対する最大需要電力の割合。
負荷率
最大需要電力に対する平均需要電力の割合。
不等率
個別最大の合計を合成最大で割った値。ピークのずれを表す。

確認問題

確かめよう最大40kW、平均24kWの負荷率は?

60%。設備容量が書かれていても、この計算の分母には使いません。

負荷率は、平均需要電力を最大需要電力で割って求める。

需要率と負荷率はどちらも分母が最大需要電力である。

設備100kW、最大需要電力60kWの需要率は?

最大需要電力40kW、平均需要電力24kWの負荷率は?

二つの負荷の最大需要電力が50kWと30kW、合成最大需要電力が64kWのときの不等率は?

設備はいつも一斉に最大出力で動くわけではありません。設置量、ピーク、平均、各負荷のを分けると、・不等率・負荷率の三つが整理できます。

設備100kW、最大60kW、平均30kWなら需要率は、負荷率はです。別々の負荷の最大値の合計が90kW、同時に合わせた最大値が60kWなら不等率は1.5です。

=最大/設備、=平均/最大、不等率=個別最大の合計/合成最大です。割合の基準を日本語で言ってから割り算にすると、分母の取り違えを防げます。

需要率と負荷率は同じ「率」でもが違います。は各ピークのずれを表し、単純に平均電力を最大電力で割る値ではありません。

保護協調の基礎

保護協調は、事故を確実に除去しつつ、健全な回路への不要な停電を抑えるように保護装置を組み合わせることです。

上位と健全側の遮断器を閉じたまま、故障側の下位遮断器だけを開く保護協調の図。
故障に近い保護装置を先に動かせれば、健全な回路まで止める範囲を小さくできます。保護協調は複数の保護装置の役割分担です。

一つの分岐回路の故障で建物全体が止まると、健全な設備まで影響を受けます。保護協調は、事故を確実に除去しつつ、停止させる範囲を適切にする考え方です。

保護協調の基礎
量・方式式・判断
短絡・過負荷過電流継電器・遮断器等
地絡地絡継電器・漏電遮断器等
下位装置故障箇所に近い側を先に遮断
上位装置下位不動作時のバックアップ

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。上に上位の遮断器、下に左右二つの分岐を描く。左だけを短絡した故障側とし、近くの保護装置が先に働く順序を矢印で示し、右の健全な分岐には供給が続く様子を示す。
覚えること:事故を確実に遮断し故障側を先に

上位の遮断器の下に二つの分岐があり、一方だけ短絡した例を考えます。故障側に近い保護装置が先に働けば、もう一方の健全な分岐の供給を維持しやすくなります。

電流の大きさと動作時間の特性を照合し、保護する範囲を調整します。ただし事故の確実な遮断が前提であり、速さだけ、定格値だけで決まるものではありません。

事故除去と選択遮断

事故除去と選択遮断の図解。電源から下へ伸びる回路を左右に分け、左の事故回路では事故箇所に近い下位遮断器を開いた状態、右の健全回路はつながった状態で描く。分岐より上の遮断器は閉じてバックアップとして示し、事故箇所から下位遮断器へ「先に遮断」の矢印を付ける。
覚えること:下位の遮断容量と上位との時間差を確保

保護協調では、短絡・過負荷・地絡など事故の種類を特定し、事故箇所に近い装置が先に遮断して、上位装置はバックアップとして働くようにします。時限や電流整定を組み合わせ、健全回路への停電を抑えます。

高圧側の過電流継電器と遮断器、地絡継電器と開閉器、低圧側の分岐遮断器など、検出と遮断を行う機器の組を確認します。継電器だけでは電路を開けず、遮断器だけでは適切な整定・検出が不足する場合があります。

下位装置の遮断容量不足や上位装置との時間差不足があると、狙った範囲だけを切れません。「すべてを最速にする」のでなく、確実な事故除去と選択性を両立させます。

確認

確認の図解。上に「上位の遮断器」、下に「下位の遮断器」を縦に配置する。両方が同時に止まる様子を赤い×で示し、上位まで一斉に止める考えを否定する。
覚えること:上位まで一斉停止は選択的保護にならない

「すべての遮断器を最短時間で動作させればよい」という考えは誤りです。上位まで一斉に止まれば、選択的な保護の目的を果たせません。

試験に出る

  • 保護協調は事故の除去と健全回路の供給維持を両立させる。
  • 故障に近い保護装置が先に動作するようにする。
  • 保護装置の電流-時間特性を照合する。
  • すべてを最短時間で止めるのは誤り。
  • 確実な遮断が前提である。
  • 過電流は過電流継電器(OCR)と遮断器、地絡は地絡継電器(GR)と開閉器・遮断器の組で保護する。
  • 上位装置の動作時間を下位装置より長く整定し、時間差で選択遮断する。
  • 需要家の保護装置は、配電用変電所の保護装置より先に動作するよう整定し、波及事故を防ぐ。

重要な言葉

保護協調
事故を除去しつつ健全回路への停電を抑える保護装置の組合せ。
遮断特性
電流の大きさと動作時間の関係。
選択遮断
故障に近い保護装置だけを動作させ、範囲を限定する遮断。

確認問題

確かめよう保護協調で守りたいものは故障回路だけ?

いいえ。故障を除去し、健全な回路への不要な停電も抑えます。

保護協調では、すべての遮断器をできるだけ速く動作させるのがよい。

保護協調では、電流の大きさと動作時間の特性を照合する。

保護協調の目的として適切なものは?

一つの分岐回路ので建物全体が止まると、な設備まで影響を受けます。保護協調は、事故を確実に除去しつつ、停止させる範囲を適切にする考え方です。

上位のの下に二つの分岐があり、一方だけ短絡した例を考えます。故障側に近い保護装置が先に働けば、もう一方のな分岐の供給を維持しやすくなります。

電流の大きさとの特性を照合し、保護する範囲を調整します。ただし事故の確実な遮断が前提であり、速さだけ、だけで決まるものではありません。

「すべての遮断器を最短時間で動作させればよい」という考えは誤りです。上位まで一斉に止まれば、な保護の目的を果たせません。

電熱のエネルギーと加熱効率

熱効率は、加えた電気エネルギーのうち、実際に加熱に使われた割合です。

エルくんが入力Ptの帯を有効分ηPtと損失分に切り分け、同じ長さの合計を保つ図。
有効な熱は入力エネルギーに効率を掛けます。PをW、tを秒で扱えばPtはJです。効率は百分率のまま掛けず割合へ直します。

電熱器の定格電力が分かっても、目的の温度まで何秒かかるかは、そのままでは分かりません。必要な熱量と、単位時間に使えるエネルギーを結び付けます。

電熱のエネルギーと加熱効率
量・方式式・判断
必要な熱Q=mcΔT
有効熱ηPt
電気入力Q/η
単位W×s=J、kW×h=kWh

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。中央に水入り容器を大きく描き、左から「電気エネルギー」の矢印を入れる。矢印を水と容器へ分け、さらに容器の外へ「周囲へ逃げる熱」の矢印を出して、実際の加熱では水だけにエネルギーが使われないことを示す。
覚えること:実際は容器も温まり熱が逃げる

電力Pを一定として時間tだけ使うと、電気エネルギーはPtです。Wと秒で計算すれば単位はJです。電力と電力量の区別を、そのまま加熱にも使います。

加熱に必要な熱量は、質量・比熱・温度上昇の積で考えます。水だけを温める理想条件と、容器も温まり周囲へ熱が逃げる実際の条件では、必要な電気エネルギーが異なります。

熱量から電気入力を逆算

熱量から電気入力を逆算の図解。左に電熱器、右に水2Lの容器を置き、左から右へ加熱の矢印を引く。間に「効率50%」の仕切りを置き、水が得た84kJから入力168kJへ戻る逆向きの矢印に「84÷0.5」を添える。
覚えること:入力は水の熱量÷効率

物体の加熱に必要な熱量はQ=mcΔTです。水の比熱は約4.2kJ/(kg・K)で、水1Lを約1kgとして計算します。電熱器の電力P、時間t、熱効率ηなら有効に使われる熱量はηPtで、入力電力量はQ/ηです。

2026年上期出題例(問12)は水2Lを10K上げ、効率50%とする問題です。水を約2kgとすると水が得る熱は2×4.2×10=84kJ、電熱器が発生した熱は84/0.5=168kJです。効率を掛けて42kJとする向きの誤りに注意します。

W×秒はJ、kW×時間はkWhです。容器や周囲への損失をまとめた効率が与えられた場合、その効率をさらに別の損失として二重に差し引きません。

確認

確認の図解。正方形の中央に「電気エネルギーPt」→「熱効率η」→「対象の熱量ηPt」を左から右へ一続きの矢印で配置する。熱効率ηの下に「百分率→小数」を添え、下部は仕切り線で区切って「覚えること」を置く。
覚えること:対象の熱量=ηPt(ηは小数)

熱効率ηが与えられる場合、対象に使われる熱量はηPtです。効率が低いほど、同じ温度上昇に必要な時間や電気エネルギーが増えます。百分率の効率は小数に直して計算します。

発熱の仕組みも区別します。抵抗加熱は電流によるジュール熱を利用し、電磁調理器の誘導加熱は変化する磁束によって鍋などに生じる渦電流を利用します。同じ電熱器でも、電気から熱への変換の仕方が異なります。

試験に出る

  • 電気エネルギーはPtで表し、Wと秒ならJになる。
  • 必要な熱量は質量×比熱×温度上昇で求める。
  • 熱効率ηを使うと加熱に使われる熱量はηPt。
  • 効率が低いほど必要な時間や電気エネルギーが増える。
  • 抵抗加熱はジュール熱、誘導加熱は渦電流を利用する。
  • 水の比熱は約4.2kJ/(kg・K)。水1Lを約1kgとして計算する。
  • 発熱量(入力)=水が得た熱量÷熱効率。効率を掛ける向きを誤らない。
  • 2Lの水を10K上げ、効率50%なら電熱器の発熱量は168kJ(2026年上期出題例 問12)。
  • 加熱時間t=mcΔT/(ηP)[s]。Pは[W]、熱量は[J]で単位をそろえる。

重要な言葉

熱効率
加えた電気エネルギーのうち加熱に使われた割合。
ジュール熱
抵抗に電流が流れて発生する熱。抵抗加熱で利用する。
誘導加熱
変化する磁束による渦電流を利用する加熱方式。

確認問題

確かめよう周囲へ熱が逃げるのに、使った電気エネルギーすべてが水の温度上昇になる?

いいえ。問題の熱効率や損失の条件を反映します。

熱効率が低いほど、同じ温度上昇に必要な電気エネルギーは増える。

抵抗加熱も誘導加熱も、電気を熱に変える仕組みは同じである。

熱効率ηのとき、対象の加熱に使われる熱量は?

電磁調理器の加熱方式は?

消費電力1kW、熱効率80%の電熱器で10Lの水を20K上昇させるのに要する時間はおよそ?

電熱器のが分かっても、目的の温度まで何秒かかるかは、そのままでは分かりません。必要なと、単位時間に使えるエネルギーを結び付けます。

電力Pを一定として時間tだけ使うと、電気エネルギーはです。Wと秒で計算すれば単位はです。電力と電力量の区別を、そのまま加熱にも使います。

加熱に必要な熱量は、・・温度上昇の積で考えます。水だけを温める理想条件と、容器も温まり周囲へ熱が逃げる実際の条件では、必要な電気エネルギーが異なります。

熱効率ηが与えられる場合、対象に使われる熱量はです。効率が低いほど、同じ温度上昇に必要な時間や電気エネルギーが増えます。百分率の効率はに直して計算します。

発熱の仕組みも区別します。は電流によるを利用し、電磁調理器の誘導加熱は変化する磁束によって鍋などに生じる渦電流を利用します。同じ電熱器でも、電気から熱への変換の仕方が異なります。

覚えるポイント

  • 直列は分かれ道がないので各抵抗の電流が同じです。
  • 交流では抵抗だけでなくコイルやコンデンサも電流の流れ方に影響します。
  • 直流または純抵抗負荷ではP=VI=I²R。
  • 正弦波交流では、皮相電力S、有効電力P、無効電力QはS²=P²+Q²の関係で、力率はP/Sです。
  • 平衡三相全体の有効電力はP=√3VIcosφです。
  • 平衡三相では、スターでは線電流と相電流が同じ、デルタでは線電流が相電流の√3倍です。
  • 抵抗で消費される電力はI²Rです。
  • 抵抗分だけの簡単な回路では電圧降下はIRです。
  • 実際の短絡電流は電源や変圧器、配線のインピーダンスで制限されます。
  • 同じ電力を送るなら電圧を高くすると電流を小さくでき、抵抗損を減らせます。
  • 需要率=最大/設備、負荷率=平均/最大、不等率=個別最大の合計/合成最大です。
  • 電流の大きさと動作時間の特性を照合し、保護する範囲を調整します。
  • 一定電力では電気エネルギーはPt、対象の加熱に使われる分はηPtです。質量・比熱・温度上昇と結び付け、容器や熱損失の条件を確認します。
  • 力率改善に必要なコンデンサ容量はQc=P(tanφ1−tanφ2)です。
  • V結線の出力は変圧器1台の容量の√3倍で、利用率は√3/2≒0.866です。
  • 変圧器の効率は鉄損=銅損のとき最大になり、負荷率αでの銅損は定格時のα²倍です。
  • 三相短絡電流はIs=In×100/%Zで、%Zは基準容量をそろえてから加算します。

出典・参考資料

試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。

編集:Pinternet Works · 更新日:

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