宅建業の免許と保証制度を出発点に、媒介契約、契約前後の書面、広告や売主の規制を整理します。誰が、いつ、何を行う義務があるかを取引の順に学びます。
仕組みを理解する
免許制度
宅地建物取引業の免許とは、宅地・建物の売買・交換を自ら行うこと、または売買・交換・貸借の媒介・代理を業として行う事業者を、国土交通大臣または都道府県知事が一定の要件で許可する制度です。

規制の対象は「宅建業を営む業者」であり、そこで働く宅地建物取引士の資格とは別の制度です。まず、誰に対する免許なのかを分けて考えます。媒介とは売り手と買い手をつなぐこと、代理とは本人に代わって契約することを指します。
免許が必要な取引と免許権者

免許権者は、事務所の設置状況で決まります。一の都道府県の区域内にだけ事務所を置く場合は都道府県知事免許、二以上の都道府県に事務所を置く場合は国土交通大臣免許です。取引する物件の所在地で決めるのではありません。
ここでいう事務所は、本店や支店など、継続的に宅建業の業務を行う場所です。看板や営業所の名称だけで判断せず、実態で判断します。
宅建業とは、不特定多数の者を相手に反復継続して、宅地・建物の売買・交換を自ら行うこと、または売買・交換・貸借の媒介・代理を行うことです。自己が所有する物件を貸す行為(貸借自体)は宅建業に含まれませんが、他人の物件の貸借を媒介・代理することは含まれます。
| 取引の形 | 免許の要否 | 理由 |
|---|---|---|
| 自ら宅地・建物を反復継続して売買・交換 | 必要 | 自ら行う売買・交換 |
| 自己所有物件の貸借 | 不要 | 自ら貸す行為は対象外 |
| 他人の売買・交換・貸借の媒介・代理 | 必要 | 取引の仲介・代理 |
| 自己所有物件を1回だけ売却 | 通常は不要 | 反復継続性がなければ業に当たらない |
欠格・有効期間・届出

免許の欠格事由は申請者本人だけでなく、法人の役員や政令で定める使用人にも及びます。役員等の1人が欠格事由に当たれば、法人も免許を受けられません。
欠格事由は、原因ごとに「いつから免許を受けられるか」が異なります。破産手続開始の決定を受けた者は、復権を得れば5年を待たずに免許を受けられます。
拘禁刑以上の刑、または宅建業法違反・傷害・暴行・脅迫等による罰金刑に処せられた者は、刑の執行を終わった日等から5年を経過するまで免許を受けられません。執行猶予が付いた場合は、猶予期間が満了すれば直ちに免許を受けられます。不正手段による免許取得など一定の理由で免許を取り消された者も、取消しから5年間は欠格です。
免許換えは、事務所の設置範囲が変わって免許権者が変わる場合に、新たな免許を受ける手続です。商号、役員・政令で定める使用人の氏名、事務所の名称・所在地、専任の宅建士の氏名が変わったときは、30日以内に免許権者へ変更の届出をします。廃業等の届出も30日以内ですが、届け出る者は原因ごとに異なり、死亡の場合は相続人が死亡を知った日から30日以内です。
宅建業の免許は5年間有効です。引き続き営業するには有効期間満了日の90日前から30日前までに更新申請をします。更新申請が受理され審査中に期限が来た場合も、処分があるまで旧免許は効力を保ちます。免許換えによって新免許を受けたときは旧免許が失効します。
申請先・名簿の改正と案内所

令和6年5月25日から、国土交通大臣免許の申請等は都道府県知事を経由せず、主たる事務所の所在地を管轄する地方整備局等へ直接提出します(eMLITによるオンライン申請も可能)。古い「都道府県を経由して申請する」という説明は現在の制度に合いません。
また、令和7年4月1日施行の改正で、宅地建物取引業者名簿の登載事項から「事務所ごとに置かれる専任の宅地建物取引士の氏名」が除かれました。ただし、免許申請書の記載事項としては残っているため、氏名が変わったときの変更の届出は引き続き必要です。標識では、専任の宅建士を氏名ではなく人数で表示します。
契約締結や申込みの受付を行う案内所等では、事務所とは別に届出と専任の宅建士(1人以上)の設置が必要です。届出は業務を開始する日の10日前までに、免許権者と案内所等の所在地を管轄する都道府県知事の両方へ行います。物件を展示するだけで契約や申込みを受けない場所なら、この届出と専任の宅建士の設置は不要ですが、標識の掲示は必要です。
試験に出る
- 「事務所が2つ以上の都道府県にあるか」で大臣免許・知事免許を分ける問題。物件の所在地と混同させる選択肢に注意します。
- 免許の有効期間は5年。更新の申請時期や、期限を過ぎた場合の扱いが問われます。
- 宅建業に当たるかどうかの判断。自社物件の貸借は含まれず、他人の物件の賃貸の媒介・代理は含まれます。
- 事務所かどうかは、本店・支店だけでなく「継続的に業務を行う場所」かで判断します。
- 欠格事由の「5年」と例外。破産者は復権を得れば直ちに、執行猶予付きの刑は猶予期間が満了すれば直ちに免許を受けられます。
- 免許換え・変更の届出・廃業等の届出について、誰がいつまでに届け出るか。
- 大臣免許の申請先は、令和6年5月25日から都道府県経由が廃止され、主たる事務所を管轄する地方整備局等へ直接提出(オンライン申請も可)となったこと。
- 宅地建物取引業者名簿の登載事項から、事務所ごとに置かれる専任の宅地建物取引士の氏名が除かれたこと。ただし、その氏名が変わったときの変更の届出(30日以内)は引き続き必要です。
重要な言葉
- 宅建業
- 不特定多数の者を相手に反復継続して、宅地・建物の売買・交換を自ら行うこと、または売買・交換・貸借の媒介・代理を行うこと。
- 事務所
- 本店・支店など、継続的に宅建業の業務を行う場所。
- 免許権者
- 事務所が一の都道府県内だけなら都道府県知事、二以上なら国土交通大臣。
- 宅地建物取引業者名簿
- 国土交通省と都道府県に備える業者の名簿。令和7年4月から、事務所ごとの専任の宅地建物取引士の氏名は登載事項から除かれた。
確認問題
宅建業の免許は、取引する物件の所在地によって大臣免許と知事免許に分かれる。
自己が所有する物件を貸す行為は、宅建業に含まれない。
個人の宅建業者が死亡したときの廃業等の届出は、相続人が死亡を知った日から30日以内に行う。
宅建業の免許の更新申請は、有効期間満了日の90日前から30日前までに行う。
更新申請をしても有効期間満了日までに処分がされなければ、旧免許は満了日に失効し、処分があるまで営業できない。
法人の役員の1人が欠格事由に該当しても、その者が代表者でなければ法人は免許を受けられる。
執行猶予付きの拘禁刑に処せられた者は、猶予期間の満了からさらに5年を経過しなければ免許を受けられない。
契約の申込みを受ける案内所を設ける業者は、業務開始日の10日前までに、免許権者と案内所の所在地を管轄する知事の両方へ届け出る。
専任の宅建士の氏名は宅地建物取引業者名簿の登載事項から除かれたので、その氏名が変わっても変更の届出は不要になった。
物件を展示するだけで契約の締結や申込みの受付をしない場所でも、標識の掲示は必要である。
知事免許の業者が他県にも事務所を設けて免許換えにより大臣免許を受けたときは、従前の知事免許は効力を失う。
二以上の都道府県に事務所を置く場合の免許権者は?
免許の有効期間は?
免許の欠格事由について、正しいものはどれか。
宅建業者が30日以内に変更の届出をしなければならない事項でないものはどれか。
契約の締結や申込みの受付を行う案内所等を設ける場合の届出期限はどれか。
法人である宅建業者が合併により消滅した場合、廃業等の届出をする者はどれか。
宅地建物取引業の免許とは、宅地・建物の売買・交換を自ら行うこと、または売買・交換・貸借の媒介・代理を業として行う事業者を、または都道府県知事が一定の要件で許可する制度です。
免許権者は、事務所の設置状況で決まります。一の都道府県の区域内にだけ事務所を置く場合は都道府県知事免許、二以上の都道府県に事務所を置く場合は免許です。取引する物件ので決めるのではありません。
ここでいう事務所は、本店や支店など、に宅建業の業務を行う場所です。看板や営業所の名称だけで判断せず、実態で判断します。
免許の欠格事由は申請者本人だけでなく、法人の役員やにも及びます。役員等の1人が欠格事由に当たれば、法人も免許を受けられません。
欠格事由は、原因ごとに「いつから免許を受けられるか」が異なります。破産手続開始の決定を受けた者は、を得れば5年を待たずに免許を受けられます。
拘禁刑以上の刑、または宅建業法違反・傷害・暴行・脅迫等による罰金刑に処せられた者は、刑の執行を終わった日等からを経過するまで免許を受けられません。執行猶予が付いた場合は、すれば直ちに免許を受けられます。不正手段による免許取得など一定の理由で免許を取り消された者も、取消しから5年間は欠格です。
免許換えは、事務所の設置範囲が変わって免許権者が変わる場合に、新たな免許を受ける手続です。商号、役員・政令で定める使用人の氏名、事務所の名称・所在地、専任の宅建士の氏名が変わったときは、に免許権者へ変更の届出をします。廃業等の届出も30日以内ですが、届け出る者は原因ごとに異なり、死亡の場合はが死亡を知った日から30日以内です。
宅建業の免許は5年間有効です。引き続き営業するには有効期間満了日のに更新申請をします。更新申請が受理され審査中に期限が来た場合も、処分があるまでは効力を保ちます。免許換えによって新免許を受けたときは旧免許が失効します。
令和6年5月25日から、免許の申請等は都道府県知事を経由せず、主たる事務所の所在地を管轄する等へ直接提出します(eMLITによるオンライン申請も可能)。古い「都道府県を経由して申請する」という説明は現在の制度に合いません。
また、令和7年4月1日施行の改正で、の登載事項から「事務所ごとに置かれる専任の宅地建物取引士の氏名」が除かれました。ただし、免許申請書の記載事項としては残っているため、氏名が変わったときの変更の届出は引き続き必要です。標識では、専任の宅建士を氏名ではなく人数で表示します。
契約締結や申込みの受付を行う案内所等では、事務所とは別に届出と専任の宅建士()の設置が必要です。届出は業務を開始する日のに、免許権者と案内所等の所在地を管轄する都道府県知事の両方へ行います。物件を展示するだけで契約や申込みを受けない場所なら、この届出と専任の宅建士の設置は不要ですが、標識の掲示は必要です。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は、宅建業の取引で重要事項説明や37条書面への記名など、法律が定めた業務を担う国家資格者です。

資格は「試験に合格」しただけでは完結しません。試験合格、都道府県への資格登録、取引士証の交付という3段階を区別します。
登録・取引士証

登録には宅建試験合格に加え、原則2年以上の実務経験または登録実務講習の修了等が必要です。登録は試験を行った都道府県の知事から受けます。住所・氏名・勤務先などが変わったときは、遅滞なく変更の登録を申請します。
取引士証の有効期間は5年で、交付・更新には登録をしている知事が指定する講習(法定講習)を申請前6か月以内に受けます。試験合格から1年以内に交付を受ける場合は講習が免除されます。業者の免許更新とは別の制度です。
登録の移転は、他の都道府県にある事務所で働く(働こうとする)場合に、本人が任意で申請できる手続です。住所の移転だけでは申請できず、事務禁止処分の期間中も申請できません。移転すると従前の取引士証は効力を失い、新しい知事から残りの有効期間の取引士証が交付されます。登録が消除されたときは取引士証を返納し、事務禁止処分を受けたときは交付を受けた知事へ提出します。
宅建士の独占業務

宅建士だけが行う業務は①35条の重要事項説明、②35条書面への記名、③37条書面への記名の3つです。37条書面の交付そのものや、媒介契約書面への記名押印は宅建士の独占業務ではありません。
35条書面と37条書面には宅建士が記名しますが、書面を交付する義務を負うのは宅建業者です。記名した宅建士と説明する宅建士が同一人である必要はなく、専任の宅建士である必要もありません。
重要事項説明では、相手方から請求がなくても取引士証を提示します。それ以外の場面では、取引の関係者から請求があったときに提示します。
専任の宅建士の配置

事務所ごとに、業務に従事する者5人につき1人以上の、成年である専任の宅地建物取引士を置く必要があります。契約締結等を行う案内所等では1人以上です。退職などで不足が生じた場合は、宅建業者が2週間以内に補充などの必要な措置をとります。
未成年の宅建士でも、宅建業者本人や法人の役員であれば、自ら主として業務に従事する事務所等では成年者である専任の宅建士とみなされます。
| 場所 | 必要な専任の宅建士 | 人数の数え方 |
|---|---|---|
| 事務所 | 従業者5人につき1人以上 | 端数を切り上げる |
| 契約締結等を行う案内所等 | 1人以上 | 事務所とは別に配置 |
| 不足が生じた場合 | 2週間以内に措置 | 業者が補充する |
試験に出る
- 専任の宅建士の人数。従業者5人につき1人以上で、端数は切り上げて計算します。
- 重要事項説明は、宅建士が取引士証を提示して行う独占業務。誰が行うかを問う問題。
- 取引士証の有効期間は5年で、更新には法定講習が必要。業者の免許更新との違い。
- 名義貸しの禁止など、宅建士個人に課される禁止行為。
- 専任の宅建士は成年であることなど、置く人の要件。
重要な言葉
- 専任の宅地建物取引士
- 事務所ごとに置くことが義務づけられた、成年の宅地建物取引士。
- 取引士証
- 都道府県知事が交付する証明書。有効期間は5年で更新が必要。
- 法定講習
- 取引士証の更新時に受ける、都道府県知事が指定する講習。
確認問題
試験に合格すれば、すぐに重要事項説明を担当できる。
事務所には、業務に従事する者5人につき1人以上の専任の宅建士が必要。
宅建士の登録は、登録申請者の住所地を管轄する都道府県知事から受ける。
宅建士の住所が変わったときは、30日以内に変更の登録を申請しなければならない。
試験合格から1年以内に取引士証の交付を受ける場合は、法定講習の受講が免除される。
宅建士は、他の都道府県に住所を移転しただけでも、登録の移転を申請できる。
登録の移転後に交付される取引士証の有効期間は、交付の日から5年である。
37条書面の交付は、宅建士でなければ行うことができない。
35条書面に記名する宅建士と、重要事項を説明する宅建士は、別の者でもよい。
事務禁止処分を受けた宅建士は、取引士証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならない。
宅建業者である未成年の宅建士は、自ら主として業務に従事する事務所では、成年者である専任の宅建士とみなされる。
専任の宅建士が退職して法定数に不足したときは、30日以内に補充しなければならない。
取引士証の有効期間は?
宅地建物取引士でなければ行えない業務はどれか。
取引士証の提示について、正しいものはどれか。
業務に従事する者が12人の事務所に置かなければならない成年の専任の宅建士は、最少で何人か。
取引士証の交付・更新に必要な法定講習について、正しい組合せはどれか。
登録には宅建試験合格に加え、原則の実務経験または登録実務講習の修了等が必要です。登録はから受けます。住所・氏名・勤務先などが変わったときは、変更の登録を申請します。
取引士証の有効期間はで、交付・更新には登録をしている知事が指定する講習()を申請前に受けます。試験合格から1年以内に交付を受ける場合は講習が免除されます。業者の免許更新とは別の制度です。
登録の移転は、他の都道府県にある事務所で働く(働こうとする)場合に、本人が任意で申請できる手続です。だけでは申請できず、の期間中も申請できません。移転すると従前の取引士証は効力を失い、新しい知事からの取引士証が交付されます。登録が消除されたときは取引士証を返納し、事務禁止処分を受けたときは交付を受けた知事へ提出します。
宅建士だけが行う業務は①35条の重要事項説明、②35条書面への記名、③37条書面への記名の3つです。そのものや、への記名押印は宅建士の独占業務ではありません。
35条書面と37条書面には宅建士が記名しますが、書面を交付する義務を負うのはです。記名した宅建士と説明する宅建士が同一人である必要はなく、専任の宅建士である必要もありません。
重要事項説明では、相手方から取引士証を提示します。それ以外の場面では、取引の関係者から請求があったときに提示します。
事務所ごとに、業務に従事する者の、成年である専任の宅地建物取引士を置く必要があります。契約締結等を行う案内所等ではです。退職などで不足が生じた場合は、宅建業者がに補充などの必要な措置をとります。
未成年の宅建士でも、宅建業者本人やであれば、自ら主として業務に従事する事務所等では成年者である専任の宅建士とみなされます。
保証制度
保証制度は、宅建業者が債務を履行できなくなったときに取引の相手方を保護する制度で、営業保証金の供託か、宅地建物取引業保証協会への加入のいずれかが義務づけられます。

営業保証金は、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき1か所500万円を、支店の分もまとめて主たる事務所の最寄りの供託所に供託します。
営業保証金と保証協会

保証協会に加入する場合は営業保証金の供託は不要ですが、弁済業務保証金分担金として、本店60万円・支店1か所30万円を加入しようとする日までに協会へ納めます。協会は納付を受けた日から1週間以内に、同額の弁済業務保証金を供託します。分担金は金銭で納付します。営業保証金と違い、有価証券で充てることを認める規定はありません。
営業保証金は主たる事務所の最寄りの供託所に供託し、供託した旨を免許権者に届け出てからでなければ事業を開始できません。国債・地方債などの有価証券でも供託できますが、評価額は種類により額面の100%・90%・80%です。免許から3か月以内に届出がなければ免許権者が催告し、催告から1か月以内に届出がなければ免許を取り消すことができます。
| 比較 | 営業保証金 | 保証協会 |
|---|---|---|
| 納付先 | 主たる事務所の最寄りの供託所 | 協会へ分担金を納付 |
| 本店・支店の額 | 1,000万円・500万円 | 60万円・30万円 |
| 営業開始 | 供託と免許権者への届出後 | 加入と分担金納付後 |
| 相手方の還付 | 供託所へ請求 | 協会の認証後に供託所へ請求 |
還付・補充の流れ

還付を受けられるのは、宅建業者と宅建業に関する取引をして債権を持つ者です。ただし、取引の相手方が宅建業者である場合、その業者は還付を受けられません。広告の印刷代など宅建業の取引以外で生じた債権も対象外です。還付の限度は、支店で取引した場合でも、その業者が供託している営業保証金の全額です。
還付で営業保証金が不足したときは、免許権者から通知を受けた日から2週間以内に不足額を供託し、その後2週間以内に免許権者へ届け出ます。
保証協会の社員と取引した相手方は、協会の認証を受けたうえで供託所に還付を請求します。弁済の限度は分担金の額ではなく、社員でなければ供託すべき営業保証金の額に相当する範囲です。還付があると社員は協会から還付充当金の納付を通知され、2週間以内に納付しなければ社員の地位を失います。社員の地位を失った業者は、1週間以内に営業保証金を供託しなければなりません。
営業保証金を取り戻すときは、原則として6か月以上の期間を定めて還付請求権者に申し出るよう公告します。保証協会に加入した場合、取戻し事由の発生から10年を経過した場合、主たる事務所の移転で新たに供託した場合の移転前の供託所の分は、公告なしで取り戻せます。
| 場面 | 期限・要件 | 義務を負う者 |
|---|---|---|
| 還付による不足 | 通知を受けてから2週間以内に供託 | 宅建業者 |
| 協会の還付充当金 | 通知を受けてから2週間以内に納付 | 社員 |
| 社員が事務所を新設 | 設置の日から2週間以内に分担金を納付 | 社員 |
| 協会の社員でなくなった | 1週間以内に営業保証金を供託 | 宅建業者 |
| 分担金を受け取った協会 | 1週間以内に弁済業務保証金を供託 | 保証協会 |
| 営業保証金の取戻し | 原則6か月以上の公告が必要 | 宅建業者であった者等 |
試験に出る
- 営業保証金の額(本店1,000万円・支店1か所500万円)と、保証協会の分担金(本店60万円・支店1か所30万円)。
- 営業保証金の供託先は、支店を増設した場合も「主たる事務所」の最寄りの供託所。
- 還付・補充・取戻しの期間(2週間以内の補充、6か月以上の公告など)。
- 営業保証金か保証協会への加入か、どちらか一方でよいという関係。
- 取引の相手方が弁済を受ける手続き(法務局からの還付か、協会からの弁済か)。
- 分担金の額と、実際に弁済される上限は別であること。
重要な言葉
- 営業保証金
- 業者が主たる事務所の最寄りの供託所に供託する保証金。本店1,000万円、支店1か所500万円。
- 弁済業務保証金分担金
- 保証協会の加入時に納める分担金。本店60万円、支店1か所30万円。
- 宅地建物取引業保証協会
- 営業保証金に代わる保証制度を運営する団体。
確認問題
保証協会に加入すれば、営業保証金を供託する必要はない。
営業保証金は本店1,000万円、支店1か所ごとに1,000万円。
弁済業務保証金分担金は、国債証券などの有価証券で納付することもできる。
営業保証金に地方債証券を充てる場合、その評価額は額面金額の90%である。
宅建業者は、営業保証金を供託すれば、免許権者に届け出る前でも事業を開始できる。
宅建業者と宅建業に関する取引をして債権を持つ者でも、その者が宅建業者であれば営業保証金から還付を受けられない。
支店で行った取引から生じた債権の還付は、その支店分として供託された500万円が限度となる。
保証協会の社員と取引した相手方は、協会の認証を受けたうえで供託所に還付を請求する。
還付充当金の納付の通知を受けた社員が期限内に納付しないと、社員の地位を失う。
営業保証金の取戻し事由が生じてから10年を経過したときは、公告をせずに取り戻すことができる。
保証協会の社員の地位を失った宅建業者は、2週間以内に営業保証金を供託しなければならない。
還付で営業保証金に不足が生じた業者は、通知を受けてから2週間以内に供託し、その後30日以内に免許権者へ届け出る。
保証協会の弁済業務保証金分担金(本店)は?
本店のほかに支店を3か所設ける宅建業者が供託すべき営業保証金の額はどれか。
本店のほかに支店を2か所設ける宅建業者が保証協会に加入する場合、納付すべき弁済業務保証金分担金の額はどれか。
保証制度の期限について、誤っているものはどれか。
営業保証金を取り戻すときに、原則どおり6か月以上の公告が必要となるのはどれか。
免許を受けた業者が営業保証金を供託した旨の届出をしない場合の扱いとして、正しいものはどれか。
営業保証金は、主たる事務所につき、その他の事務所につき1か所を、支店の分もまとめて主たる事務所の最寄りの供託所に供託します。
保証協会に加入する場合は営業保証金の供託は不要ですが、弁済業務保証金分担金として、本店・支店1か所を加入しようとする日までに協会へ納めます。協会は納付を受けた日からに、同額の弁済業務保証金を供託します。分担金は金銭で納付します。営業保証金と違い、有価証券で充てることを認める規定はありません。
営業保証金は主たる事務所の最寄りの供託所に供託し、供託した旨を免許権者に届け出てからでなければ事業を開始できません。国債・地方債などの有価証券でも供託できますが、評価額は種類により額面の100%・90%・80%です。免許からに届出がなければ免許権者が催告し、催告からに届出がなければ免許を取り消すことができます。
還付を受けられるのは、宅建業者と宅建業に関する取引をして債権を持つ者です。ただし、取引の相手方がである場合、その業者は還付を受けられません。広告の印刷代など宅建業の取引以外で生じた債権も対象外です。還付の限度は、支店で取引した場合でも、その業者が供託しているです。
還付で営業保証金が不足したときは、免許権者から通知を受けた日からに不足額を供託し、その後に免許権者へ届け出ます。
保証協会の社員と取引した相手方は、協会のを受けたうえで供託所に還付を請求します。弁済の限度は分担金の額ではなく、社員でなければ供託すべき営業保証金の額に相当する範囲です。還付があると社員は協会から還付充当金の納付を通知され、に納付しなければ社員の地位を失います。社員の地位を失った業者は、に営業保証金を供託しなければなりません。
営業保証金を取り戻すときは、原則としての期間を定めて還付請求権者に申し出るよう公告します。保証協会に加入した場合、取戻し事由の発生からを経過した場合、主たる事務所の移転で新たに供託した場合の移転前の供託所の分は、公告なしで取り戻せます。
媒介契約と代理契約
媒介契約は、宅建業者が依頼者のために不動産取引の成立を目指して活動する契約です。代理契約は、業者が依頼者本人の名で契約する権限を持つ点で異なります。

媒介には、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類があります。他業者へ重ねて依頼できるか、依頼者自身が見つけた相手と直接契約できるかで分かれます。
媒介の種類と期限

専任媒介は契約日から休業日を除いて7日以内、専属専任媒介は5日以内に指定流通機構(物件情報を登録する仕組み)へ登録します。業務報告は専任媒介が2週間に1回以上、専属専任媒介が1週間に1回以上です。
有効期間はどちらも3か月以内で、これより長く定めても3か月になります。自動更新の特約は無効で、更新には依頼者の申出が必要です。登録した業者は、登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡し、契約が成立したときは遅滞なく指定流通機構に通知します。
媒介契約の種類にかかわらず、目的物について売買・交換の申込みがあったときは、遅滞なく依頼者に報告します。一般媒介でもこの報告義務はあります。
令和7年1月1日施行の改正により、指定流通機構(レインズ)への登録事項に、物件の取引の申込みの受付に関する状況(ステータス管理機能に係る事項)が加わりました。売主が自分で申込み状況を確認できるようにするためで、業者が依頼者へ交付する登録証明書には2次元コードが掲載されます。
| 媒介契約 | 重ねて依頼 | 自己発見 | レインズ登録 | 業務報告 |
|---|---|---|---|---|
| 一般 | 可 | 可 | 法定義務なし | 法定義務なし |
| 専任 | 不可 | 可 | 休業日を除き7日以内 | 2週間に1回以上 |
| 専属専任 | 不可 | 不可 | 休業日を除き5日以内 | 1週間に1回以上 |
書面と代理の役割

売買・交換の媒介契約を結んだら、一般媒介を含めて遅滞なく媒介契約書面を作成し、宅建業者が記名押印して依頼者に交付します。宅建士の記名が必要な35条・37条書面とは異なります。貸借の媒介には、この書面の規定は適用されません。依頼者の承諾があれば電磁的方法で提供できます。
書面には物件の表示、売買すべき価額、有効期間・解除、指定流通機構への登録、報酬などを記載し、既存建物では建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項も記載します。売買すべき価額について業者が意見を述べるときは、根拠を明らかにします。代理契約にも同じ規定が準用されます。
報酬の上限は媒介と代理で異なります。代理では、依頼者から媒介の一方分の2倍まで受け取れます。相手方からも受け取るときは、依頼者と相手方からの合計がその2倍の額までです。
低廉な空家等の報酬特例

報酬の特例として、売買代金が800万円以下の低廉な空家等の売買・交換の媒介では、媒介契約の締結に際しあらかじめ報酬額を説明して依頼者の合意を得たうえで、通常の計算方法による額を超えて、消費税相当額を含め30万円の1.1倍(33万円)を上限に報酬を受け取れます。代理の場合はその2倍が上限で、相手方からも報酬を受ける場合は双方の合計がその額までです。
試験に出る
- 一般・専任・専属専任の3種類の違い。重ねて依頼できるか、自己発見取引ができるかで分けます。
- 指定流通機構への登録期限(専任は休業日を除き7日以内・専属専任は5日以内)と業務報告の頻度(それぞれ2週間・1週間に1回以上)を混同しないこと。
- 専任・専属専任の有効期間が3か月以内(3か月を超える定めは3か月に短縮)で、更新には依頼者の申出が必要であること。
- 媒介と代理の報酬上限の違い。代理は媒介の一方分の2倍までで、相手方からも受け取るときは双方の合計でその額までです。
- 媒介契約書面(34条の2書面)は売買・交換の媒介で必要で、貸借の媒介には適用されないこと。
- レインズ(指定流通機構)の登録事項に、取引の申込みの受付状況(ステータス管理機能)が加わったこと。
- 低廉な空家等(税抜800万円以下)の売買・交換の媒介では、事前の説明と合意により、通常の計算額を超えて30万円の1.1倍(33万円)まで報酬を受け取れる特例があること(代理は2倍まで)。
重要な言葉
- 専任媒介契約
- 他業者への依頼を制限するが自己発見取引はできる。レインズへの登録は休業日を除き7日以内、業務報告は2週間に1回以上。
- 専属専任媒介契約
- 自己発見取引もできない。レインズへの登録は休業日を除き5日以内、業務報告は1週間に1回以上。
- 指定流通機構
- 物件情報を登録する機構(レインズ)。
- 低廉な空家等
- 売買代金または交換の価額が800万円以下の宅地・建物。媒介報酬の特例が適用される。
- ステータス管理機能
- レインズで物件への取引の申込み状況を売主等が確認できる機能。令和7年1月から登録事項に加わった。
確認問題
専任媒介契約でも、依頼者自身が見つけた買主と直接契約できる。
専任媒介契約の有効期間は6か月以内である。
専属専任媒介契約では、業務の処理状況を1週間に1回以上依頼者に報告しなければならない。
専任媒介契約で有効期間を6か月と定めた場合、その媒介契約は全体が無効となる。
専任媒介契約では、依頼者の申出がなくても期間満了時に自動で更新される旨の特約を定めることはできない。
一般媒介契約では、目的物について売買の申込みがあっても依頼者に報告する義務はない。
建物の貸借の媒介契約を結んだときも、媒介契約書面を作成して依頼者に交付しなければならない。
媒介契約書面には、宅地建物取引士が記名しなければならない。
宅建業者が売買すべき価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
指定流通機構への登録期限(専任7日・専属専任5日)は、業者の休業日を除いて数える。
低廉な空家等の報酬特例は、売買代金が400万円以下の物件に限って適用される。
専属専任媒介契約の指定流通機構への登録期限は?
専任媒介契約について、正しいものはどれか。
売買の媒介契約書面について、誤っているものはどれか。
売買代金3,000万円(税別)の宅地の売買について、売主から代理の依頼を受けた宅建業者が売主から受け取れる報酬の上限(税別)はどれか。
令和7年1月1日施行の改正で、指定流通機構への登録事項に加わったものはどれか。
売買代金500万円(税別)の低廉な空家等の売買について、売主から媒介の依頼を受け、あらかじめ説明して合意を得た場合、売主から受け取れる報酬の上限(税込)はどれか。
専任媒介は契約日から休業日を除いて、専属専任媒介はに指定流通機構(物件情報を登録する仕組み)へ登録します。業務報告は専任媒介が2週間に1回以上、専属専任媒介が1週間に1回以上です。
有効期間はどちらもで、これより長く定めても3か月になります。自動更新の特約はで、更新には依頼者の申出が必要です。登録した業者は、登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡し、契約が成立したときは遅滞なく指定流通機構に通知します。
媒介契約の種類にかかわらず、目的物について売買・交換の申込みがあったときは、遅滞なく依頼者に報告します。でもこの報告義務はあります。
令和7年1月1日施行の改正により、(レインズ)への登録事項に、物件の(ステータス管理機能に係る事項)が加わりました。売主が自分で申込み状況を確認できるようにするためで、業者が依頼者へ交付する登録証明書には2次元コードが掲載されます。
売買・交換の媒介契約を結んだら、一般媒介を含めて遅滞なく媒介契約書面を作成し、が記名押印して依頼者に交付します。宅建士の記名が必要な35条・37条書面とは異なります。の媒介には、この書面の規定は適用されません。依頼者の承諾があれば電磁的方法で提供できます。
書面には物件の表示、売買すべき価額、有効期間・解除、指定流通機構への登録、報酬などを記載し、既存建物ではを実施する者のあっせんに関する事項も記載します。売買すべき価額について業者が意見を述べるときは、を明らかにします。代理契約にも同じ規定が準用されます。
報酬の特例として、売買代金がのの売買・交換の媒介では、媒介契約の締結に際しあらかじめ報酬額を説明して依頼者の合意を得たうえで、通常の計算方法による額を超えて、消費税相当額を含めを上限に報酬を受け取れます。代理の場合はその2倍が上限で、相手方からも報酬を受ける場合は双方の合計がその額までです。
重要事項説明(35条書面)
重要事項説明は、宅建業者が契約を結ぶ前に、買主や借主へ物件と取引条件、法令上の制限などを説明する義務です。その内容を記載した書面を35条書面といいます。

目的は、相手が契約するかどうかを判断する前に、必要な情報を理解できるようにすることです。契約成立後では判断材料として遅すぎます。
説明する人・時期・相手

原則として宅地建物取引士が行い、取引士証を提示して、法定事項を記載した35条書面を交付して説明します。
説明を受けるのは買主・借主(交換では各当事者)であり、売主・貸主に対しては説明義務はありません。説明の場所に制限はなく、事務所以外でも行えます。
買主・借主が宅建業者である場合は、35条書面を交付すれば足り、宅建士による説明は不要です。書面の交付と宅建士の記名は省略できません。
一定の条件を満たせば、テレビ会議等で行うIT重説や、相手方の承諾を得た電子書面の交付も認められます。IT重説でも、宅建士は取引士証を画面上で相手方が視認できるように示します。
複数の宅建業者が共同売主となる場合や、売主業者と媒介業者が関与する場合は、各業者が説明義務を負います。説明自体は一社の宅建士が代表して行えますが、重要事項説明書には関与する各社の宅建士の記名が必要です。
取引別の説明事項

35条書面は物件と契約判断に必要なリスクの説明です。売買・交換では登記された権利、法令上の制限、私道負担、飲用水・電気・ガス・排水施設の整備、未完成物件の形状・構造、手付金等の保全措置などを確認します。
貸借でも登記された権利や設備などの共通事項がありますが、法令上の制限は対象となる規定が売買等と異なります。建物賃貸借では台所・浴室・便所等の整備状況、契約期間・更新、用途その他の利用制限、管理委託先などの追加事項も問われます。
水害ハザードマップ上の所在地は、売買・貸借のどちらでも説明事項です。物件が浸水想定区域の外にあっても、マップ上の位置を示して説明します。
区分所有建物の売買・交換では、敷地に関する権利、共用部分に関する規約、専有部分の用途制限、専用使用権、修繕積立金・管理費、管理の委託先、維持修繕の実施状況の記録などを説明します。規約が案の段階でも、その案の内容を説明しなければなりません。
区分所有建物の貸借で説明するのは、専有部分の用途制限と管理の委託先だけです。敷地に関する権利、共用部分の規約、修繕積立金・管理費は売買・交換だけの説明事項です。
手付金等の保全措置の概要は、宅建業者が自ら売主となり保全措置が必要な場合の説明事項です。保全措置が必要なのに概要を記載しなければ違反になります。
石綿使用調査の記録や耐震診断は、「記録や診断結果があればその内容を説明する」事項であり、業者に調査の実施を義務づけるものではありません。「調査結果がない」ことと「調査を必ず実施する」ことを混同しません。
| 説明事項の種類 | 売買・交換 | 貸借 |
|---|---|---|
| 登記された権利・設備 | 説明 | 説明 |
| 法令上の制限 | 対象となる制限を説明 | 貸借に適用される制限を説明 |
| 手付金等の保全措置 | 該当すれば説明 | 対象外 |
| 建物の賃貸借の期間・更新・利用制限 | 対象外 | 説明 |
| 区分所有建物:敷地権・共用部分の規約(案) | 説明 | 原則対象外 |
| 区分所有建物:専有部分の用途制限・管理委託先 | 説明 | 説明 |
| 区分所有建物:修繕積立金・管理費 | 説明 | 原則対象外 |
| 35条の確認範囲 | 売買・交換/貸借で見るもの | 判定時の注意 |
|---|---|---|
| 物件・権利 | 登記された権利、法令上の制限、私道負担 | 貸借の法令制限は対象規定が異なる |
| 設備・災害 | 上下水道・電気・ガス、水害ハザードマップ上の所在地 | 整備予定やマップの有無・所在地を確認 |
| 既存建物・健康安全 | 建物状況調査、石綿調査記録、耐震診断 | 対象・実施や記録の有無を区別 |
| 取引条件・金銭 | 手付金等の保全、契約解除、損害賠償予定等 | 取引と定めの有無を確認 |
| 区分所有建物 | 専有部分の用途制限、管理委託先、売買時の敷地権・管理費等 | 売買と貸借で範囲が異なる |
区分所有の改正と37条書面との違い

2026年4月施行の改正により、区分所有建物の売買・交換では、マンション管理業者が管理者等を兼ねる管理業者管理者方式が採用されている場合、その旨も重要事項説明の対象になりました。管理業務を行う者と管理組合を代表する管理者が同一になる利益相反の可能性を、相手方が確認できるようにするためです。
35条には、契約解除や損害賠償額の予定など「定めがあるときに説明する」項目と、登記された権利や法令上の制限のように必ず調査して説明する項目があります。
代金・借賃の額、引渡時期、移転登記の申請時期は37条書面の必須事項ですが、35条の説明事項ではありません。逆に、登記された権利や法令上の制限は35条の説明事項ですが、37条書面の記載事項ではありません。代金・借賃以外に授受される金銭(手付金・敷金など)の額と目的は、両方に出てきます。
試験に出る
- 誰に(買主・借主)、誰が(宅建士)、いつ(契約前)行うかの3点。
- 35条書面と37条書面の違い(時期・目的・説明か交付か)。
- 売主・貸主には説明義務がなく、買主・借主が宅建業者なら書面交付だけでよく説明は不要なこと。
- IT重説や電子書面交付が認められるための要件。
- 説明する事項の範囲と、取引の種類による特則。
- 2026年4月施行の改正で、管理業者管理者方式が採用されている旨も重要事項説明の対象に加わったこと。
重要な言葉
- 35条書面
- 重要事項を記載し、契約前に交付して説明する書面。
- IT重説
- テレビ会議等で行う重要事項説明。相手方の同意などの要件があります。
- 管理業者管理者方式
- マンション管理業者が管理組合の管理者等を兼ねる方式。採用されている場合はその旨が重要事項説明の対象となる。
確認問題
重要事項説明は、契約成立後にまとめて行えばよい。
重要事項説明は、原則として宅建士が取引士証を提示して行う。
重要事項説明は、宅建業者の事務所で行わなければならない。
買主が宅建業者である場合は、35条書面の交付も省略できる。
IT重説では、取引士証を画面上で相手方が視認できるように示す必要がある。
売主業者と媒介業者が関与する取引では、重要事項説明書に関与する各業者の宅建士の記名が必要である。
水害ハザードマップ上の物件の所在地は、建物の貸借では説明しなくてよい。
区分所有建物の貸借の媒介では、修繕積立金の額を説明しなければならない。
区分所有建物の売買で、共用部分に関する規約がまだ案の段階であっても、その案の内容を説明する。
石綿使用調査の記録がない場合、宅建業者は自ら石綿使用調査を実施し、その結果を説明しなければならない。
手付金や敷金など、代金・借賃以外に授受される金銭の額と目的は、35条書面と37条書面の両方に出てくる。
2026年4月施行の改正により、区分所有建物の売買で管理業者管理者方式が採用されている場合は、その旨も重要事項説明の対象になった。
重要事項説明を受ける相手は?
区分所有建物の貸借の媒介で、重要事項として説明しなければならないものはどれか。
宅地の売買において、35条の重要事項説明の説明事項でないものはどれか。
買主が宅建業者である売買の場合、35条の重要事項説明について正しいものはどれか。
建物の賃貸借では説明事項となるが、建物の売買では説明事項とならないものはどれか。
原則としてが行い、を提示して、法定事項を記載した35条書面を交付して説明します。
説明を受けるのは買主・借主(交換では各当事者)であり、・貸主に対しては説明義務はありません。説明の場所に制限はなく、事務所以外でも行えます。
買主・借主が宅建業者である場合は、35条書面を交付すれば足り、は不要です。書面の交付と宅建士の記名は省略できません。
一定の条件を満たせば、テレビ会議等で行うや、相手方の承諾を得た電子書面の交付も認められます。IT重説でも、宅建士は取引士証を画面上で相手方が視認できるように示します。
複数の宅建業者が共同売主となる場合や、売主業者と媒介業者が関与する場合は、各業者が説明義務を負います。説明自体は一社の宅建士が代表して行えますが、重要事項説明書には関与するが必要です。
上の所在地は、売買・貸借のどちらでも説明事項です。物件がにあっても、マップ上の位置を示して説明します。
区分所有建物の売買・交換では、敷地に関する権利、共用部分に関する規約、専有部分の用途制限、専用使用権、修繕積立金・管理費、管理の委託先、維持修繕の実施状況の記録などを説明します。規約がでも、その案の内容を説明しなければなりません。
区分所有建物の貸借で説明するのは、とだけです。敷地に関する権利、共用部分の規約、修繕積立金・管理費は売買・交換だけの説明事項です。
石綿使用調査の記録や耐震診断は、「記録や診断結果があればその内容を説明する」事項であり、業者にを義務づけるものではありません。「調査結果がない」ことと「調査を必ず実施する」ことを混同しません。
2026年4月施行の改正により、区分所有建物の売買・交換では、マンション管理業者が管理者等を兼ねるが採用されている場合、その旨も重要事項説明の対象になりました。管理業務を行う者と管理組合を代表する管理者が同一になる利益相反の可能性を、相手方が確認できるようにするためです。
、、は37条書面の必須事項ですが、35条の説明事項ではありません。逆に、登記された権利や法令上の制限は35条の説明事項ですが、37条書面の記載事項ではありません。代金・借賃以外に授受される金銭(手付金・敷金など)の額と目的は、両方に出てきます。
37条書面(契約書面)
37条書面とは、宅建業者が契約成立後に、成立した契約の内容を記載して相手方へ交付する書面です。

目的は、合意した内容を明確にして、後の紛争を防ぐことです。契約前に判断材料を提供する35条書面とは役割が違います。
交付の時期・相手・方法

37条書面は、契約が成立したら遅滞なく交付します。交付する義務を負うのは宅建業者で、記名は宅地建物取引士が行います。35条書面と違い、宅建士による説明は義務づけられていません。
交付先は、自ら売主なら相手方、代理なら相手方と代理を依頼した者、媒介なら契約の各当事者です。相手が宅建業者でも37条書面の交付義務はなくなりません。
交付先の承諾を得れば、書面に代えて電磁的方法で提供できます。承諾を得ないままメールで送るだけでは足りません。
必須記載事項を取引別に判定

必ず記載する事項(売買・交換)は、①当事者の氏名・住所、②土地・建物を特定する表示、③代金または交換差金の額と支払時期・方法、④引渡時期、⑤移転登記の申請時期です。既存建物の売買・交換では、構造耐力上主要な部分等の状況について当事者双方が確認した事項も記載します。
貸借では当事者、物件の表示、借賃の額・支払時期・方法、引渡時期が必須です。借賃以外の金銭の授受、解除、損害賠償・違約金、不可抗力の負担は定めたときに記載します。移転登記の申請時期や既存建物の状況について双方が確認した事項は、貸借の37条書面の法定記載事項ではありません。
| 記載事項 | 売買・交換 | 貸借 |
|---|---|---|
| 当事者の氏名・住所と物件の表示 | 必須 | 必須 |
| 代金・交換差金/借賃の額と支払時期・方法 | 必須 | 必須(借賃) |
| 引渡時期 | 必須 | 必須 |
| 移転登記の申請時期 | 必須 | 対象外 |
| 既存建物の状況について双方が確認した事項 | 既存建物なら記載 | 対象外 |
| 代金・借賃以外の金銭、解除、違約金、不可抗力 | 定めがあるとき | 定めがあるとき |
| 融資不成立時の措置、契約不適合責任・保証、租税公課 | 定めがあるとき | 対象外 |
定めがあるときの事項と35条との違い

定めたときに記載する事項(売買・交換)は、代金等以外の金銭の額・授受時期・目的、解除、損害賠償額の予定・違約金、融資あっせんが成立しないときの措置、不可抗力による損害負担、契約不適合責任やその保証措置、租税公課の負担です。特約がなければ、これらを一律に書く義務はありません。
敷金・共益費は借賃以外の金銭に当たり、その定めがあれば額・授受の時期・目的を書きます。一方、登記された抵当権の内容は35条の説明事項ですが、37条の法定記載事項ではありません。取引当事者の承諾があっても必須事項は省略できません。
試験に出る
- 契約成立後「遅滞なく」交付すること。
- 売買・交換と貸借に共通する必須事項、売買・交換だけの必須事項、定めがあるときの記載事項を分けること。
- 35条書面との違い。37条書面は宅建士の説明義務ではないこと。
- 電子交付が認められるための要件と相手方の承諾。
- 交付先(自ら売主・代理・媒介で異なる)と、相手が宅建業者でも交付を省略できないこと。
重要な言葉
- 37条書面
- 契約成立後の契約内容を記載した書面。
- 契約不適合責任
- 引き渡した目的物が契約の内容に適合しない場合に負う責任。
確認問題
37条書面は、契約成立後に遅滞なく交付する。
37条書面は、宅建士による説明を一律に義務づけている。
宅建業者が媒介した売買契約では、37条書面を売主と買主の双方に交付する。
契約の相手方が宅建業者であれば、37条書面の交付を省略できる。
交付先の承諾を得ていなくても、37条書面の内容をメールで送れば書面の交付に代えられる。
建物の貸借の37条書面には、移転登記の申請時期を記載する必要はない。
既存建物の売買では、構造耐力上主要な部分等の状況について当事者双方が確認した事項を37条書面に記載する。
損害賠償額の予定について定めがない売買でも、37条書面にはその旨を記載しなければならない。
建物賃貸借で敷金の定めがあれば、その額・授受の時期・目的を37条書面に記載する。
登記された抵当権の内容は、37条書面の必須記載事項である。
取引当事者全員の承諾があれば、37条書面から代金の額の記載を省略できる。
37条書面を交付する時期は?
宅建業者が売主から代理を依頼されて売買契約を成立させた場合、37条書面の交付先として正しいものはどれか。
宅地の売買の37条書面で、定めがあるときに限り記載する事項はどれか。
建物の貸借の37条書面の法定記載事項でないものはどれか。
35条書面と37条書面の比較として、正しいものはどれか。
目的は、合意した内容を明確にして、後の紛争を防ぐことです。契約前に判断材料を提供するとは役割が違います。
37条書面は、契約が成立したら交付します。交付する義務を負うのはで、記名は宅地建物取引士が行います。35条書面と違い、宅建士による説明は義務づけられていません。
交付先は、自ら売主なら相手方、代理なら相手方と、媒介ならです。相手が宅建業者でも37条書面の交付義務はなくなりません。
交付先のを得れば、書面に代えて電磁的方法で提供できます。承諾を得ないままメールで送るだけでは足りません。
必ず記載する事項(売買・交換)は、①当事者の氏名・住所、②土地・建物を特定する表示、③代金または交換差金の額と支払時期・方法、④引渡時期、⑤です。既存建物の売買・交換では、構造耐力上主要な部分等の状況についても記載します。
貸借では当事者、物件の表示、借賃の額・支払時期・方法、が必須です。借賃以外の金銭の授受、解除、損害賠償・違約金、の負担は定めたときに記載します。移転登記の申請時期や既存建物の状況について双方が確認した事項は、貸借の37条書面の法定記載事項ではありません。
定めたときに記載する事項(売買・交換)は、代金等以外の金銭の額・授受時期・目的、解除、損害賠償額の予定・違約金、が成立しないときの措置、不可抗力による損害負担、契約不適合責任やその保証措置、の負担です。特約がなければ、これらを一律に書く義務はありません。
敷金・共益費は借賃以外の金銭に当たり、その定めがあればを書きます。一方、の内容は35条の説明事項ですが、37条の法定記載事項ではありません。取引当事者の承諾があっても必須事項は省略できません。
広告と業務上の規制
広告などの表示には、誇大広告の禁止や取引態様の明示など、宅建業法上の規制があります。

誇大広告等の禁止により、存在しない物件や実際より著しく有利な条件で集客するおとり広告は認められません。
広告と契約を始められる時期

広告では、業者が「売主」「代理」「媒介」のどれであるかを、取引態様として明示しなければなりません。
取引態様は、広告のたびに明示するほか、注文を受けたときにも遅滞なく明らかにします。
広告の開始時期と契約締結時期は別に判定します。工事完了前の物件では、必要な開発許可・建築確認等を受ける前に広告できません。これは売買・交換・貸借のすべてに適用され、「建築確認申請中」と表示しても広告はできません。
契約締結時期の制限は、売買・交換の契約(自ら当事者、代理、媒介)が対象です。貸借には適用されないため、建築確認前でも貸借の契約や媒介はできますが、広告はできません。
表示・従業者・取引時確認

事務所等には、公衆の見やすい場所に標識(宅地建物取引業者票)を掲げ、事務所ごとに従業者名簿を備え、従業者には従業者証明書を携帯させなければなりません。
令和7年4月1日施行の改正で、従業者名簿の記載事項から性別・生年月日が削除されました。標識には「この事務所の代表者氏名」が加わり、専任の宅地建物取引士は氏名ではなく人数を、あわせて宅建業に従事する者の数を表示します。標識の大きさも、令和7年12月1日以降は縦25cm以上・横35cm以上(A3判程度)に見直されています。
従業者証明書は、代表者や一時的に業務を手伝うアルバイトも含め、業務に従事するすべての者に携帯させ、取引の関係者から請求があれば提示します。取引士証を持っていても従業者証明書の代わりにはなりません。従業者名簿は事務所ごとに備えて最終の記載をした日から10年間保存し、取引の関係者から請求があれば閲覧させます。
宅建業者は犯罪収益移転防止法の特定事業者でもあります。不動産売買などの特定取引では取引時確認、確認記録・取引記録の作成保存、疑わしい取引の届出が問題になり、宅建業法の37条書面や従業者名簿とは目的が異なります。
犯収法上の確認記録は取引時確認後7年間、取引記録は取引の日から7年間保存します。宅建業法の業務帳簿の保存期間(各事業年度末から原則5年間、新築住宅に関する取引は10年間)とは起算点も目的も異なります。
受領できる報酬

報酬では媒介と代理、売買と貸借、依頼者の一方・双方から受ける額を分けます。売買媒介の一方からの上限(税別)は、価格200万円以下が5%、200万円超400万円以下が4%+2万円、400万円超が3%+6万円です。実際の受領額には消費税相当額を加えます。
居住用建物の貸借媒介では、原則として依頼者の一方から賃料の0.5か月分以内、双方の合計で1か月分以内(いずれも税別)です。媒介の依頼を受ける際に依頼者の承諾を得ていれば、その依頼者から1か月分まで受け取れます。長期の空家等の貸主側の特例は別に判定します。
居住用建物以外(店舗・事務所や宅地)の貸借で権利金(返還されないもの)を授受するときは、権利金の額を売買代金とみなして売買の計算式で上限を求めることもできます。居住用建物ではこの方法は使えません。
報酬とは別に受け取れるのは、依頼者の依頼によって行った広告の料金と、依頼者の特別の依頼で行う遠隔地での現地調査等の費用(事前に依頼者の承諾があるもの)に限られます。依頼のない通常の広告費を別に請求することはできません。
| 取引 | 通常の媒介報酬上限(税別) | 確認する点 |
|---|---|---|
| 売買・交換:200万円以下 | 価格×5% | 一方の依頼者から |
| 売買・交換:200万円超400万円以下 | 価格×4%+2万円 | 一方の依頼者から |
| 売買・交換:400万円超 | 価格×3%+6万円 | 一方の依頼者から |
| 居住用建物の貸借 | 原則一方0.5か月、双方計1か月 | 承諾や特例を別に確認 |
| 800万円以下の低廉な空家等の売買等 | 要件を満たせば税込33万円まで | 事前の説明・合意 |
勧誘時の禁止行為

勧誘に先立ち、業者名・担当者名・勧誘目的を告げます。相手方が契約しない意思を示した後の再勧誘、長時間の電話など私生活や業務の平穏を害して困惑させる勧誘は禁止されます。将来の利益など不確実な事項を確実であるかのように告げることもできません。
申込みの撤回や契約解除を妨げたり、受領済みの預り金の返還を不当に拒んだりしてはいけません。撤回を申し出た者に事務所への来訪を強要したり、威迫したりすることも禁止です。
手付について貸付けその他の信用の供与をして契約の締結を誘引することも禁止です。手付の分割払い・後払いを認めることも信用の供与に当たり、実際に契約が成立しなかったとしても違反になります。一方、手付の額を減額すること自体は信用の供与に当たりません。
| 場面 | 禁止・必要な対応 |
|---|---|
| 勧誘開始前 | 業者名・担当者名・勧誘目的を告げる |
| 断られた後 | 再勧誘しない。長時間電話等で困惑させない |
| 見込みの説明 | 不確実な利益を断定しない。虚偽を告げない |
| 申込み撤回・預り金 | 撤回を妨げず、返還を不当に拒まない |
| 手付 | 貸付け・分割払い・後払いで契約締結を誘引しない |
関連する告知義務:物件内での人の死

国交省の「人の死の告知に関するガイドライン」は、自然死や日常生活上の不慮の死(特殊清掃等がない場合)について原則告知不要と整理します。一方、賃貸借の対象不動産や日常使用する共用部分で生じたこれ以外の死は、事案から概ね3年を経過すると原則告知不要とされます。売買にこの3年の扱いをそのまま当てはめません。
買主・借主から事案の有無を尋ねられたときや、社会的影響が大きいなど取引判断に重要な事情があるときは、死因や経過年数にかかわらず告げる必要があります。売主・貸主への告知書等による確認が通常の調査方法です。
| 事案・取引 | 原則的な告知の判断 | 注意 |
|---|---|---|
| 自然死・日常生活の不慮の死 | 原則告知不要 | 特殊清掃等を要した場合は別 |
| 賃貸でのそれ以外の死 | 概ね3年経過後は原則告知不要 | 売買に3年の基準を流用しない |
| 買主・借主から質問された | 告知が必要 | 死因・経過年数だけで省略しない |
試験に出る
- 取引態様の明示は、契約時ではなく「広告のとき」から必要であること。
- 誇大広告やおとり広告の禁止。
- 建築確認などを受ける前は、広告を開始できない場合があること。
- 小さな注意書きを付けても、表示全体の印象で判断されること。
- 契約締結時期の制限など、広告以外の業務上の規制。
- 標識の掲示、従業者名簿・帳簿の備付け、従業者証明書の携帯は宅建業者の義務。令和7年4月から従業者名簿の性別・生年月日が不要となり、標識には事務所の代表者氏名・専任の宅建士の人数・従事者数を表示する。
重要な言葉
- 取引態様の明示
- 広告時に、売主・代理・媒介のどれであるかを示す義務。
- 誇大広告
- 実際より著しく有利・優良であると誤解させる広告。
- 標識(宅地建物取引業者票)
- 事務所等に掲げる表示。令和7年4月から事務所の代表者氏名や専任の宅地建物取引士の人数を表示する。
- 従業者名簿
- 事務所ごとに備え付ける従業者の名簿。令和7年4月から性別・生年月日の記載が不要となった。
確認問題
取引態様の明示は、契約を結ぶときから必要になる。
小さな注意書きを付ければ、誇大な表現は問題にならない。
未完成の建物について「建築確認申請中」と明示すれば、建築確認を受ける前でも広告できる。
建築確認を受ける前の未完成建物であっても、貸借の媒介契約を締結することはできる。
従業者名簿は、最終の記載をした日から10年間保存しなければならない。
取引士証を携帯している宅建士には、従業者証明書を携帯させなくてよい。
居住用建物の貸借の媒介では、依頼者の承諾がない限り、依頼者の一方から受け取れる報酬は賃料の0.5か月分(税別)以内である。
居住用建物の貸借でも、返還されない権利金の額を売買代金とみなして報酬の上限を計算できる。
依頼者の依頼によって行った広告の料金は、報酬とは別に受け取ることができる。
手付の分割払いを認めて契約締結を誘引しても、実際に契約が成立しなければ違反にならない。
手付の額を減額して契約締結を勧めることは、手付の信用の供与に当たらない。
賃貸物件で自然死以外の死が生じた場合、概ね3年を経過すれば原則告知不要とされ、この扱いは売買にもそのまま当てはまる。
犯罪収益移転防止法上の確認記録は、取引時確認をした日から7年間保存する。
未完成物件で広告を開始できるのは?
売買代金1,000万円(税別)の宅地の売買を媒介した宅建業者が、売主から受け取れる報酬の上限(消費税込み)はどれか。
月額賃料10万円(税別)の居住用建物の貸借を媒介した宅建業者が、貸主・借主の双方から受け取れる報酬の合計の上限(消費税込み)はどれか。
宅建業者が報酬とは別に受け取ることができるものはどれか。
保存期間の組合せとして、正しいものはどれか(業務帳簿は新築住宅以外の取引)。
宅建業者の勧誘・契約締結に関する行為のうち、宅建業法に違反しないものはどれか。
広告では、業者が「売主」「代理」「媒介」のどれであるかを、として明示しなければなりません。
取引態様は、広告のたびに明示するほか、注文を受けたときにも明らかにします。
広告の開始時期と契約締結時期は別に判定します。工事完了前の物件では、必要な開発許可・建築確認等を受ける前に広告できません。これは売買・交換・貸借のすべてに適用され、「」と表示しても広告はできません。
契約締結時期の制限は、売買・交換の契約(自ら当事者、代理、媒介)が対象です。には適用されないため、建築確認前でも貸借の契約や媒介はできますが、広告はできません。
事務所等には、公衆の見やすい場所に(宅地建物取引業者票)を掲げ、事務所ごとにを備え、従業者にはを携帯させなければなりません。
令和7年4月1日施行の改正で、従業者名簿の記載事項から性別・生年月日が削除されました。標識には「この事務所の代表者氏名」が加わり、専任の宅地建物取引士は氏名ではなくを、あわせて宅建業に従事する者の数を表示します。標識の大きさも、令和7年12月1日以降は縦25cm以上・横35cm以上(A3判程度)に見直されています。
従業者証明書は、代表者や一時的に業務を手伝うアルバイトも含め、業務に従事するすべての者に携帯させ、取引の関係者から請求があれば提示します。取引士証を持っていても従業者証明書の代わりにはなりません。従業者名簿は事務所ごとに備えて最終の記載をした日から保存し、取引の関係者から請求があれば閲覧させます。
犯収法上の確認記録は取引時確認後、取引記録は取引の日から7年間保存します。宅建業法の業務帳簿の保存期間(各事業年度末から原則、新築住宅に関する取引は10年間)とは起算点も目的も異なります。
報酬では媒介と代理、売買と貸借、依頼者の一方・双方から受ける額を分けます。売買媒介の一方からの上限(税別)は、価格200万円以下が5%、200万円超400万円以下が、400万円超がです。実際の受領額には消費税相当額を加えます。
居住用建物の貸借媒介では、原則として依頼者の一方から賃料の、双方の合計で1か月分以内(いずれも税別)です。媒介の依頼を受ける際に依頼者の承諾を得ていれば、その依頼者から1か月分まで受け取れます。長期の空家等の貸主側の特例は別に判定します。
居住用建物以外(店舗・事務所や宅地)の貸借で権利金(返還されないもの)を授受するときは、権利金の額を売買代金とみなして売買の計算式で上限を求めることもできます。ではこの方法は使えません。
報酬とは別に受け取れるのは、によって行った広告の料金と、依頼者の特別の依頼で行う遠隔地での現地調査等の費用(事前に依頼者の承諾があるもの)に限られます。依頼のない通常の広告費を別に請求することはできません。
手付について貸付けその他の信用の供与をして契約の締結を誘引することも禁止です。手付のを認めることも信用の供与に当たり、実際に契約が成立しなかったとしても違反になります。一方、手付の額をすること自体は信用の供与に当たりません。
国交省の「人の死の告知に関するガイドライン」は、自然死や日常生活上の不慮の死(特殊清掃等がない場合)について原則告知不要と整理します。一方、賃貸借の対象不動産や日常使用する共用部分で生じたこれ以外の死は、事案から概ねを経過すると原則告知不要とされます。売買にこの3年の扱いをそのまま当てはめません。
自ら売主となる場合の8種制限
8種制限は、宅建業者が自ら売主となって宅建業者以外の者へ売る場合に、買主を保護するため民法の規定を上回って適用される8つの規制です。

適用されるのは、宅建業者(売主)と宅建業者以外(買主)の取引です。業者間の取引には原則として適用されません。
8種類の全体像と適用範囲

8種制限は、宅建業者が自ら売主となり、宅建業者ではない者が買主となる売買に適用される買主保護の規制です。業者が媒介・代理をするだけの取引、業者間売買、貸借にはこの8つを一括して適用しません。ただし、広告・重要事項説明・37条書面などの別の義務は取引に応じて残ります。
8つを「契約できる物件か」「申込みを撤回できるか」「金銭をいくら・いつ受け取れるか」「品質について不利な特約を置けるか」「割賦販売でどう回収するか」に分けると、問題文の条件から適用する条文を選べます。
| 8種制限 | 条文 | 何を防ぐか・主な判断点 |
|---|---|---|
| ①自己の所有に属しない物件の売買契約締結の制限 | 33条の2 | 取得できない他人物を売る危険。取得契約済み等の例外 |
| ②クーリング・オフ | 37条の2 | 事務所等以外での申込み・契約。告知から8日等 |
| ③損害賠償額の予定等の制限 | 38条 | 損害賠償予定額と違約金の合計は代金の20%以下 |
| ④手付の額の制限等 | 39条 | 手付は代金の20%以下。性質にかかわらず解約手付 |
| ⑤契約不適合責任の特約の制限 | 40条 | 買主に不利な特約は原則無効。通知期間2年以上の特約は例外 |
| ⑥手付金等の保全 | 41条・41条の2 | 完成前後の閾値を超える手付金等は受領前に保全 |
| ⑦割賦販売の契約解除等の制限 | 42条 | 支払遅滞時は30日以上の期間を定め書面で催告 |
| ⑧所有権留保等の禁止 | 43条 | 割賦販売の引渡し・代金3割超の受領と登記義務を確認 |
①他人物売買と②クーリング・オフ

業者が自ら所有していない宅地・建物を売主として売る契約は原則禁止です。所有者との取得契約を締結済みなら例外となりますが、取得契約が停止条件付きで所有権を得られるか不確実な場合は、この例外を使えません。未完成物件で法定の手付金等保全措置を講じる場合なども例外です。「他人物売買」と、建築確認等を受ける前の未完成物件の契約禁止とは別に判断します。
クーリング・オフは、事務所等以外の場所で買受けを申し込み、または契約した買主が、申込みの撤回や契約の解除をできる制度です。クーリング・オフできることと方法を書面で告げられた日から起算して8日を経過すると、できなくなります。
申込みの場所で判断するため、事務所等で申し込んでから別の場所で契約した場合は対象外です。「事務所等」には、事務所のほか、専任の宅建士を置くべき案内所等や、買主が自ら申し出た買主の自宅・勤務先が含まれます。業者から申し出た自宅訪問や、喫茶店・ホテルのロビーは事務所等に当たりません。
物件の引渡しを受け、かつ代金全額を支払った場合も対象外です。撤回・解除は書面で行い、書面を発した時に効力が生じます。業者は損害賠償や違約金を請求できず、受け取った手付金等を速やかに返還します。買主に不利な特約は無効です。
③損害賠償予定・④手付・⑥手付金等保全

損害賠償額の予定と違約金の合計が代金の20%を超えると、超過部分は無効です。手付は代金の20%を超えて受領できず、性質を別に定めても解約手付として扱われます。相手方が履行に着手するまでは、買主は手付放棄、売主は倍額を現実に提供して解除できます。自分が履行に着手しただけでは相手の解除権を奪えません。
手付金等には、名目にかかわらず契約締結後から引渡し前までに授受する代金充当金も含みます。未完成物件で代金の5%以下かつ1,000万円以下、完成物件で10%以下かつ1,000万円以下なら保全不要です。いずれかを超えれば受領前に保全します。買主名義の所有権登記が済んだ場合の例外もあります。
未完成物件の保全は金融機関等の保証または保険、完成物件はこれらに加えて指定保管機関による保管も認められます。買主は必要な保全措置が講じられるまで手付金等の支払を拒めます。手付の20%上限と保全の5%・10%基準は別の規制です。
| 条件 | 未完成物件 | 完成物件 |
|---|---|---|
| 保全が不要な受領額 | 代金の5%以下かつ1,000万円以下 | 代金の10%以下かつ1,000万円以下 |
| 閾値を超える場合 | 受領前に保証または保険 | 受領前に保証・保険または指定保管機関による保管 |
| 手付の額そのもの | 代金の20%以下 | 代金の20%以下 |
⑤契約不適合責任の特約

種類・品質が契約内容に適合しない場合の売主責任について、民法より買主に不利な特約は原則無効です。ただし、民法の「不適合を知った時から1年以内に通知」という期間を、引渡しの日から2年以上とする特約は認められます。「引渡しから2年」と「知った時から1年」は起算点が異なるため、数字だけで比較しません。
この規制と、新築住宅の構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分についての10年の責任、住宅瑕疵担保履行法による供託・保険を混同しません。
⑦割賦販売の解除と⑧所有権留保

割賦販売で買主が賦払金を遅らせても、売主業者は直ちに解除したり、未到来の賦払金を一括請求したりできません。30日以上の相当期間を定め、書面で支払を催告し、その期間内に支払われなかった場合に限ります。
割賦販売では、売主業者は原則として引渡しまでに所有権移転登記など引渡し以外の義務を履行します。引渡しまでに代金の10分の3を超える額を受け取っていないときは、その額を超えて受け取るまでが履行期限です。買主が代金債務の担保となる抵当権等の登記や保証人を用意する見込みがない場合など、法定の例外も確認します。引渡し後に担保目的で買主から物件を再取得する行為も原則禁止です。
関連制度:住宅瑕疵担保履行法

住宅瑕疵担保履行法は8種制限とは別の法律です。宅建業者が自ら売主として新築住宅を宅建業者以外の買主に引き渡すときは、住宅販売瑕疵担保保証金の供託または保険加入で資力を確保します。買主が宅建業者なら、この義務はありません。
毎年3月31日の基準日から3週間以内に、資力確保措置の状況を免許権者へ届け出ます。届け出なければ、基準日の翌日から50日を経過した日以後、新たに新築住宅の売買契約を締結できません。手付金等の保全措置とは目的も時期も異なります。
試験に出る
- 8種類を名称・条文・適用条件まで対応させ、どの規制を問うか先に特定します。
- 手付金は代金の20%を超えて受け取れないこと。
- 損害賠償額の予定と違約金の合計は、20%を超える部分が無効になること。
- 適用されるのは宅建業者が売主・買主が業者でない取引。業者間には原則として適用されません。
- 保全措置を講じても、手付金の20%という上限は超えられないこと。
重要な言葉
- 8種制限
- 宅建業者が自ら売主となる取引に適用される、買主保護の規制。
- 手付金等の保全措置
- 未完成物件等で手付金等を保全するための措置。
- クーリング・オフ
- 一定期間内に、無条件で申込みの撤回や契約の解除ができる制度。
確認問題
宅建業者どうしの取引にも8種制限が適用される。
手付金は、保全措置を講じても代金の20%を超えて受け取れない。
宅建業者が自ら売主となる売買でも、買主が宅建業者なら8種制限は原則適用されない。
割賦販売の買主が賦払金を遅らせたら、売主業者は催告せずに直ちに契約解除できる。
売主業者が売る未完成物件の手付金等は、代金の5%以下なら金額に関係なく保全不要である。
宅建業者でない買主が喫茶店で買受けの申込みをし、クーリング・オフについて書面で告げられていない場合、申込みを撤回できる。
買主が自ら申し出て自宅で買受けの申込みをした場合でも、クーリング・オフができる。
事務所で買受けの申込みをし、後日ホテルのロビーで契約を締結した場合、クーリング・オフはできない。
クーリング・オフによる申込みの撤回は、宅建業者がその書面を受け取った時に効力を生じる。
物件の引渡しを受けていれば、代金を一部しか支払っていなくてもクーリング・オフはできない。
売主業者は、買主が履行に着手するまでは、手付の倍額を現実に提供して契約を解除できる。
契約不適合を売主に通知すべき期間を「引渡しの日から2年間」とする特約は有効である。
通知期間を「引渡しの日から1年」とする特約は、期間の起算点が明確なので有効である。
売主業者が所有者と締結した取得契約が停止条件付きであっても、その物件を宅建業者でない者に売る契約を締結できる。
住宅瑕疵担保履行法の資力確保措置の状況は、基準日から3週間以内に免許権者へ届け出る。
損害賠償額の予定と違約金の合計の上限は?
割賦販売で代金の3割超を受け取る時期と登記義務が問題になるのは8種制限のどれ?
宅建業者が自ら売主となる未完成物件(代金4,000万円)の売買で、保全措置を講じずに受け取れる手付金等の上限はどれか。
宅建業者が自ら売主となる完成物件(代金1億2,000万円)の売買で、保全措置を講じずに受け取れる手付金等の上限はどれか。
宅建業者でない買主がクーリング・オフをできる場合はどれか(書面による告知から8日以内とする)。
住宅瑕疵担保履行法の資力確保措置の届出をしなかった宅建業者は、基準日の翌日から何日を経過した日以後、新たに新築住宅の売買契約を締結できなくなるか。
8種制限が適用される売買はどれか。
適用されるのは、宅建業者(売主)と宅建業者以外(買主)の取引です。の取引には原則として適用されません。
業者が自ら所有していない宅地・建物を売主として売る契約は原則禁止です。所有者との取得契約を締結済みなら例外となりますが、取得契約がで所有権を得られるか不確実な場合は、この例外を使えません。未完成物件で法定の手付金等保全措置を講じる場合なども例外です。「他人物売買」と、建築確認等を受ける前の未完成物件の契約禁止とは別に判断します。
クーリング・オフは、事務所等以外の場所で買受けを申し込み、または契約した買主が、申込みの撤回や契約の解除をできる制度です。クーリング・オフできることと方法を書面で告げられた日から起算してを経過すると、できなくなります。
で判断するため、事務所等で申し込んでから別の場所で契約した場合は対象外です。「事務所等」には、事務所のほか、専任の宅建士を置くべき案内所等や、買主が買主の自宅・勤務先が含まれます。業者から申し出た自宅訪問や、喫茶店・ホテルのロビーは事務所等に当たりません。
物件の引渡しを受け、かつを支払った場合も対象外です。撤回・解除は書面で行い、書面をに効力が生じます。業者は損害賠償や違約金を請求できず、受け取った手付金等を速やかに返還します。買主に不利な特約は無効です。
損害賠償額の予定と違約金の合計が代金のを超えると、超過部分は無効です。手付は代金の20%を超えて受領できず、性質を別に定めてもとして扱われます。相手方が履行に着手するまでは、買主は手付放棄、売主はして解除できます。自分が履行に着手しただけでは相手の解除権を奪えません。
手付金等には、名目にかかわらず契約締結後から引渡し前までに授受するも含みます。未完成物件で代金の5%以下かつ1,000万円以下、完成物件で10%以下かつ1,000万円以下なら保全不要です。いずれかを超えればに保全します。買主名義の所有権登記が済んだ場合の例外もあります。
未完成物件の保全は金融機関等の保証または保険、完成物件はこれらに加えてによる保管も認められます。買主は必要な保全措置が講じられるまで手付金等の支払を拒めます。手付の20%上限と保全の5%・10%基準は別の規制です。
種類・品質が契約内容に適合しない場合の売主責任について、民法より買主に不利な特約は原則無効です。ただし、民法の「不適合をに通知」という期間を、引渡しの日から2年以上とする特約は認められます。「引渡しから2年」と「知った時から1年」は起算点が異なるため、数字だけで比較しません。
この規制と、新築住宅の構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分についてのの責任、住宅瑕疵担保履行法による供託・保険を混同しません。
割賦販売では、売主業者は原則として引渡しまでになど引渡し以外の義務を履行します。引渡しまでに代金の10分の3を超える額を受け取っていないときは、その額を超えて受け取るまでが履行期限です。買主が代金債務の担保となる抵当権等の登記や保証人を用意する見込みがない場合など、法定の例外も確認します。引渡し後に担保目的で買主から物件を再取得する行為も原則禁止です。
住宅瑕疵担保履行法は8種制限とは別の法律です。宅建業者が自ら売主として新築住宅を宅建業者以外の買主に引き渡すときは、の供託または保険加入で資力を確保します。買主が宅建業者なら、この義務はありません。
毎年の基準日からに、資力確保措置の状況を免許権者へ届け出ます。届け出なければ、基準日の翌日からを経過した日以後、新たに新築住宅の売買契約を締結できません。手付金等の保全措置とは目的も時期も異なります。
監督処分と罰則
監督処分は、免許権者等が宅建業者や宅地建物取引士に対して行う行政上の措置で、罰則(刑事罰)とは別の制度です。

宅建業者に対しては、指示処分、業務停止処分、免許取消しなどの監督処分があります。
業者と宅建士の監督処分

業者への監督処分は指示・業務停止・免許取消し、宅建士への処分は指示・事務禁止・登録消除です。事務禁止期間は1年以内で、業者の業務停止期間も1年以内です。
業者への指示・業務停止は、免許権者のほか、業務を行った都道府県の知事も行えます。免許取消しは免許権者だけが行います。
宅建士への指示・事務禁止は、登録をしている知事のほか、違反行為のあった都道府県の知事も行えます。登録消除は登録をしている知事だけが行います。
免許取消しには、必ず取り消す場合(必要的)と取り消すことができる場合(任意的)があります。欠格事由に該当するに至った、不正の手段で免許を受けた、業務停止処分に違反した、業務停止事由に当たり情状が特に重い、免許を受けてから1年以内に事業を開始しない・引き続き1年以上休止した、などは必要的です。事務所の所在地や業者の所在を確知できず、公告から30日を経過しても申出がない場合は任意的です。
| 処分の相手 | 指示 | 一定期間の禁止 | 資格の消滅 |
|---|---|---|---|
| 宅建業者 | 指示 | 業務停止(1年以内) | 免許取消し |
| 宅建士 | 指示 | 事務禁止(1年以内) | 登録消除 |
処分手続と刑事罰

監督処分は行政上の措置、罰則は刑事上の制裁です。同じ行為について両方が問題となることもあり、従業者の違反では法人を罰する両罰規定が適用されることがあります。
刑法の改正により、2025年6月から懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。宅建業免許や宅建士登録の欠格事由、宅建業法上の罰則の表記も「拘禁刑」に変わっているため、古い過去問の「懲役」を現在の用語としてそのまま使わないようにします。
監督処分をするには、あらかじめ聴聞を行い、その審理は公開で行います。所在不明を理由とする免許取消しは例外で、聴聞は不要です。
業務停止処分と免許取消しをしたときは、処分をした者が官報や都道府県の公報等で公告します。業者への指示処分や、宅建士への処分は公告の対象ではありません。事例では、業者と宅建士のどちらが処分対象か、どの処分かを主語から判定します。
試験に出る
- 業者への処分(指示・業務停止・免許取消し)と、宅建士個人への処分(指示・事務禁止・登録消除)の違い。
- 免許取消しと登録消除を混同させる選択肢。
- 監督処分(行政上の措置)と罰則(刑事罰)は別の制度であること。
- 両罰規定の有無。
- 処分の原因となる行為の違い(必要的・任意的)。
- 2025年6月から懲役・禁錮が拘禁刑に一本化され、欠格事由や罰則の表記も「拘禁刑」になっていること。
重要な言葉
- 監督処分
- 免許権者等が行う行政上の処分。指示・業務停止・免許取消しなど。
- 事務禁止処分
- 宅地建物取引士個人に対する監督処分の一つ。
- 両罰規定
- 従業者等の違反行為について、法人も罰する規定。
- 拘禁刑
- 2025年6月に創設された刑罰。従来の懲役と禁錮を一本化したもので、宅建業法の欠格事由や罰則にも用いられる。
確認問題
監督処分と罰則は同じ制度である。
業者の業務停止と、宅建士の事務禁止は同じ対象への処分である。
宅建士に対する事務禁止処分の期間は、1年以内である。
宅建業者に対する業務停止処分は、免許権者のほか、業務を行った都道府県の知事も行える。
宅建業者の免許取消処分は、業務を行った都道府県の知事も行うことができる。
宅建士の登録消除処分は、違反行為のあった都道府県の知事も行うことができる。
免許を受けてから1年以内に事業を開始しないときは、免許権者は免許を取り消さなければならない。
業者の所在を確知できず、公告から30日を経過しても申出がないときは、免許権者は必ず免許を取り消さなければならない。
監督処分に先立つ聴聞の審理は、非公開で行う。
所在不明を理由に免許を取り消す場合は、聴聞を行う必要はない。
宅建業者に指示処分をしたときは、官報や公報で公告しなければならない。
業務停止処分をしたときは、処分をした者が官報や都道府県の公報等で公告する。
宅建業者の従業者が業務に関して罰則に当たる違反をした場合、両罰規定により法人にも罰金刑が科されることがある。
宅建業者に対する処分でないものは?
宅地建物取引士に対する処分と、処分できる者の組合せとして正しいものはどれか。
宅建業者の免許を必ず取り消さなければならない場合(必要的取消し)に当たらないものはどれか。
処分をした者が公告しなければならないものはどれか。
監督処分の手続について、正しいものはどれか。
宅建業者に対しては、指示処分、、などの監督処分があります。
業者への監督処分は指示・業務停止・免許取消し、宅建士への処分は指示・事務禁止・登録消除です。事務禁止期間はで、業者の業務停止期間も1年以内です。
業者への指示・業務停止は、免許権者のほか、も行えます。免許取消しはだけが行います。
宅建士への指示・事務禁止は、登録をしている知事のほか、も行えます。登録消除はだけが行います。
免許取消しには、必ず取り消す場合(必要的)と取り消すことができる場合(任意的)があります。欠格事由に該当するに至った、不正の手段で免許を受けた、業務停止処分に違反した、業務停止事由に当たり情状が特に重い、免許を受けてから1年以内に事業を開始しない・引き続き1年以上休止した、などは必要的です。事務所の所在地や業者の所在を確知できず、公告からを経過しても申出がない場合は任意的です。
監督処分は行政上の措置、罰則は刑事上の制裁です。同じ行為について両方が問題となることもあり、従業者の違反では法人を罰するが適用されることがあります。
刑法の改正により、2025年6月からとはに一本化されました。宅建業免許や宅建士登録の欠格事由、宅建業法上の罰則の表記も「拘禁刑」に変わっているため、古い過去問の「懲役」を現在の用語としてそのまま使わないようにします。
監督処分をするには、あらかじめを行い、その審理はで行います。所在不明を理由とする免許取消しは例外で、聴聞は不要です。
業務停止処分と免許取消しをしたときは、処分をした者がや都道府県の公報等で公告します。業者への指示処分や、宅建士への処分は公告の対象ではありません。事例では、業者と宅建士のどちらが処分対象か、どの処分かを主語から判定します。
覚えるポイント
- 免許制度:二以上の都道府県に事務所を置くかが免許権者の基本的な分岐です。自己所有物件の貸借は宅建業に含まれず、他人の貸借の媒介・代理は含まれます。
- 宅地建物取引士:宅建士は重要事項の説明や法定書面への記名などを担います。事務所に置く成年者である専任の宅建士は、業務に従事する者の数に対する法定割合を満たす必要があります。
- 保証制度:営業保証金は業者が供託し、保証協会の制度では社員が分担金を納め協会が弁済業務保証金を供託します。誰が誰へ納めるかを矢印で整理します。
- 媒介契約と代理契約:一般媒介は複数業者へ依頼でき、専任・専属専任には契約期間や業務報告、指定流通機構への登録などの規律があります。代理は本人に代わって意思表示する点で媒介と異なります。
- 重要事項説明(35条書面):原則として宅建士が法定事項を記載した書面を交付して説明します。所定の条件でIT重説や相手方の承諾を得た電子書面交付も可能です。
- 37条書面(契約書面):宅建業者が契約成立後遅滞なく交付し、宅建士が記名します。法定要件を満たす電子交付も可能ですが、相手方の承諾など必要な手続を確認します。
- 広告と業務上の規制:未完成物件では、必要な開発許可や建築確認等を受けた後でなければ広告を開始できない場合があります。広告開始と契約締結の規制対象を分けて確認します。
- 自ら売主となる場合の8種制限:自ら売主として業者以外へ売る取引に、クーリング・オフ、損害賠償額の予定等の制限、手付の額の制限・解約手付、他人物売買の制限、手付金等の保全措置、割賦販売の契約解除等の制限、所有権留保等の禁止、契約不適合責任の特約の制限が適用されます。業者間取引には原則として適用されません。
- 監督処分と罰則:免許権者等による行政処分は適正な業務を確保するための措置で、刑事罰は法定の違反に対する制裁です。同じ行為で両方が問題になることもあります。
出典・参考資料
試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。
- 不動産適正取引推進機構:宅建試験の概要 ↗
- 国土交通省:宅地建物取引業法関係 ↗
- 国土交通省:宅地建物取引業法 法令改正・解釈について(令和8年4月1日以降) ↗
- 法務省:令和7年版犯罪白書(拘禁刑の創設等) ↗
- e-Gov法令検索:宅地建物取引業法 ↗
- 国土交通省:宅地建物取引業の免許申請等のオンライン化について(大臣免許の都道府県経由事務廃止) ↗
- 内閣府:宅地建物取引業法施行規則等の一部改正について(令和6年6月28日通知・従業者名簿・標識・レインズ登録事項) ↗
- 鹿児島県:宅地建物取引業者票と従業者名簿が変わりました(令和7年4月1日) ↗
- 国土交通省:宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(報酬告示) ↗
- 国土交通省:空き家等に係る媒介報酬規制の見直し(令和6年7月1日施行) ↗
- 国土交通省:住宅瑕疵担保履行法の事業者向け案内 ↗
- 国土交通省:不動産業における犯罪収益移転防止法 ↗
編集:Pinternet Works · 更新日:
教材の編集方針・訂正について
