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宅地建物取引士 · 学習ガイド

民法総則

民法の意思表示とは

民法の意思表示とは、契約などの法律効果を生じさせようとする意思を外部に示すことです。無効・取消しや代理の効果は、要件ごとに判断します。

エルくんが説明する図解。本人←代理権→代理人→相手方、効果が本人へ戻る矢印。
代理権のある代理人が本人のために相手方とした契約の効果は、本人に帰属します。図は本人・代理人・相手方の関係を示します。

契約の効力を判断するときは、誰がどんな意思で行動したかを確認します。無効と取消しも区別が必要です。

行為能力と意思表示

行為能力と意思表示の図解。正方形の図を上下2段に仕切り、左に取消し、右に共通の「善意無過失の第三者」を置く。上段の詐欺による取消しの矢印は第三者の手前で止め、下段の強迫による取消しの矢印だけを第三者まで通す。
覚えること:詐欺は善意無過失を保護、強迫は対抗可

未成年者が法定代理人の同意なく契約した場合、原則としてその契約を取り消せます。最初から無効になるわけではありません。単に権利を得る・義務を免れる行為、処分を許された財産の処分、営業を許された営業に関する行為は、同意がなくても取り消せません。

意思能力がない状態でした意思表示は無効です。制限行為能力を理由とする取消しとは効果が違うため、「無効」か「取り消せる」かを区別します。

当事者間で取り消せるかと、第三者へその効果を主張できるかは別の問題です。第三者が善意であればよいのか、善意無過失まで必要なのかは、意思表示の種類ごとに違います。

意思表示の問題は、心裡留保・通謀虚偽表示・錯誤・詐欺・強迫に分けます。心裡留保は原則有効、通謀虚偽表示は当事者間で無効、錯誤と詐欺・強迫は取消しの問題です。「無効」と「取り消せる」を入れ替えた肢に注意します。

第三者の保護も同じではありません。通謀虚偽表示の無効は善意の第三者に対抗できず、錯誤・詐欺による取消しは善意無過失の第三者に対抗できません。強迫による取消しには第三者保護の規定がなく、善意無過失の第三者にも対抗できます。

行為能力と意思表示
意思表示当事者間の効力保護される第三者
心裡留保原則有効。相手方が真意でないと知り又は知り得たときは無効善意の第三者を保護
通謀虚偽表示無効善意の第三者を保護
錯誤要件を満たせば取消し善意無過失の第三者を保護
詐欺取消し善意無過失の第三者を保護
強迫取消し保護規定なし(善意無過失の第三者にも対抗できる)

代理と無権代理

代理と無権代理の図解。左に「無権代理」の契約、右に「本人への効果」を置き、中央で上下に分岐させる。上段は「追認なし」の矢印を本人の手前で止め、下段は「本人の追認」から本人へ矢印を通し、「契約時」へ遡る曲線矢印を添える。
覚えること:本人が追認すれば原則契約時に遡る

代理では代理権の範囲内で本人のためにすることを示した意思表示が、原則として本人へ効果を生じさせます。代理人自身が買主などの契約当事者になるわけではありません。

代理権のない者が代理人として契約すると無権代理となり、本人が追認しない限り本人に効果は生じません。本人が追認すれば、原則として契約時に遡って効力が生じます。相手方は、本人に追認するかの催告ができ、善意であれば本人の追認前に契約を取り消せます。

表見代理は、無権代理でも相手方を保護して本人に効果を及ぼす例外です。代理権授与の表示、権限外の行為、代理権消滅後の行為の3類型があり、いずれも相手方の善意無過失が中心の要件です。表見代理が成立しなくても、相手方は要件を満たせば無権代理人に履行又は損害賠償を請求できます。

代理人が自分や第三者の利益を図る目的で権限内の行為をした場合(代理権の濫用)、相手方がその目的を知り又は知ることができたときは、無権代理とみなされます。

時効の援用と期間

時効の援用と期間の図解。左の「期間経過」から右の「裁判所」へ向かう矢印を途中で遮り、経過だけでは自動的に扱われないことを示す。エルくんが中央の「援用」レバーを動かすと矢印がつながる、一続きの図にする。
覚えること:裁判所が扱うには当事者の援用が必要

時効は、期間が経ったことだけで裁判所が自動的に扱うものではありません。当事者の援用が必要で、完成猶予・更新の事由があれば期間の進行も変わります。

取得時効は、所有の意思をもって平穏・公然に占有を続けた場合に成立し、占有開始時に善意無過失なら10年、それ以外は20年です。債権の消滅時効は、権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年のいずれか早い方で完成します。

相続と代襲相続

相続と代襲相続の図解。中央の「子」から右の「子の子」へ向かう1つの判定図。上側では「開始前死亡(同時含む)」「欠格・廃除」から代襲を示す矢印を右へ通し、下側の「相続放棄」からは矢印を引かず、仕切り線と×で区別する。
覚えること:開始前死亡・欠格・廃除は代襲、放棄は不可

相続では、配偶者は常に相続人となり、子・直系尊属・兄弟姉妹が順位に従って相続します。相続人が引き継ぐのは財産だけでなく債務も含むため、単純承認・限定承認・放棄を区別します。相続放棄をした者は、初めから相続人でなかったものとみなされます。

子が相続開始以前に死亡したとき(同時死亡を含む)や、相続欠格・廃除で相続権を失ったときは、その子の子が代襲相続します。相続放棄は代襲原因ではありません。兄弟姉妹が相続人となる場合の代襲は甥・姪までで、再代襲はしません。

遺産分割前に相続財産である賃貸不動産から生じた賃料債権は、各共同相続人が相続分に応じて取得します。後の遺産分割でその不動産を一人が取得しても、既に生じた賃料債権の帰属を当然には変えません。

相続と代襲相続
子の相続権を失う原因子の子が代襲するか判断の理由
相続開始以前の死亡(同時死亡を含む)する民法887条2項の代襲原因
相続欠格・廃除する民法887条2項の代襲原因
相続放棄しない初めから相続人でなかった扱い

相続に関連する配偶者の居住権

相続に関連する配偶者の居住権の図解。「遺産分割時」の枠内で、上段の「帰属確定日」と下段の「開始から6か月」を日付札として並べ、両方から中央の比較枠へ矢印を向け、その先に「遅い日まで」を置く。二つの日の前後関係や時間の長さは固定して描かない。
覚えること:分割時は帰属確定日と6か月の遅い日まで

配偶者居住権は、被相続人が所有し、相続開始時に配偶者が住んでいた建物に、配偶者が無償で住み続けられる権利です。遺産分割・遺贈等で取得し、期間は原則として終身です。建物の所有権とは別の権利で、配偶者は譲渡できず、所有者の承諾がなければ第三者に賃貸できません。配偶者居住権の登記をすれば第三者に対抗でき、所有者は配偶者に登記を備えさせる義務を負います。

配偶者短期居住権は、相続開始時に無償で住んでいた配偶者が、一定期間そのまま住み続けられる権利で、遺産分割や遺言がなくても当然に成立します。遺産分割をする場合は、帰属が確定した日と相続開始から6か月を経過する日のいずれか遅い日までです。登記はできず、譲渡もできません。

相続に関連する配偶者の居住権
権利成立・期間注意
配偶者居住権遺産分割・遺贈等で取得し、原則として終身譲渡不可。登記すれば第三者に対抗できる
配偶者短期居住権相続開始時に無償で居住していれば当然に成立。遺産分割をする場合は帰属確定日と相続開始から6か月のいずれか遅い日まで登記・譲渡はできない

不在者の財産管理

不在者の財産管理の図解。中央に不在者の財産管理人を置き、左に「保存・管理」、右に「不動産処分」を配置する。両者を境界線で分け、右へ進む矢印の途中に「家庭裁判所の許可」の門を置く。
覚えること:保存・管理を超す不動産処分は家裁許可

従来の住所・居所を去って財産管理人がいない不在者については、利害関係人等の請求により家庭裁判所が財産管理人を選任するなど必要な処分を行います。財産管理人が保存・管理の範囲を超えて不動産を処分するには、家庭裁判所の許可が必要です。所有者不明土地管理制度とは、管理対象と要件が異なります。

試験に出る

  • 未成年者の契約は「当然無効」ではなく「取消し」が原則。無効との区別を問う正誤問題に注意します。
  • 取消しや無効を第三者に主張できるかは、意思表示の種類ごとに第三者の要件(善意か、善意無過失か)が変わります。
  • 無権代理と表見代理は別制度。表見代理は相手方保護のための例外で、要件を混同させる選択肢に注意します。
  • 時効は期間経過だけで自動的に成立せず、援用が必要。取得時効と消滅時効は目的や起算点が異なります。
  • 代理の効果は本人に帰属する点、代理人自身が契約当事者になるわけではない点が問われます。

重要な言葉

制限行為能力
未成年者や成年被後見人など、単独で契約すると取消しの対象になり得る者のこと。
表見代理
代理権が実際になくても、相手方保護のため本人に効果を及ぼすことがある制度。
時効の援用
時効の効果を受けるために当事者がそれを主張すること。期間経過だけで自動的には成立しない。

確認問題

確かめよう未成年者の同意のない契約はいつでも当然無効?

いいえ。原則として取消しの問題で、例外もあります。

未成年者が法定代理人の同意なくした契約は、原則として取り消すことができる。

時効は期間が経過すれば、援用しなくても裁判所が自動的に認める。

AがBの詐欺によって土地をCに売却し、その後に詐欺を理由として契約を取り消した。取消し前にCから土地を買い受けたDが詐欺の事実を知らなかったのであれば、知らなかったことに過失があっても、AはDに取消しを対抗できない。

AがBに強迫されて土地をBに売却し、Bがその土地を善意無過失のCに転売した後、Aが強迫を理由に売買契約を取り消した。この場合、AはCに取消しを対抗できない。

通謀虚偽表示による無効を対抗できない第三者として保護されるには、善意であれば足り、無過失までは要求されない。

無権代理人がした契約を本人が追認した場合、別段の意思表示がなければ、契約は追認をした時から将来に向かって効力を生じる。

無権代理人と契約した相手方は、契約時に代理権がないことを知らなかったときは、本人が追認をしない間であれば契約を取り消すことができる。

所有の意思をもって平穏・公然に他人の土地の占有を始めた者は、占有開始時に善意であれば、過失があっても10年間の占有で所有権を時効取得する。

被相続人の子が相続を放棄した場合、その子の子(被相続人の孫)が代襲して相続人となる。

配偶者短期居住権は、遺産分割や遺言がなくても成立するが、登記をして第三者に対抗することはできない。

配偶者居住権を取得した配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なくても、その建物を第三者に賃貸することができる。

不在者の財産管理人が、保存・管理の範囲を超えて不在者の土地を売却するには、家庭裁判所の許可を得る必要がある。

未成年者が法定代理人の同意なく契約した場合の原則は?

表見代理が問題となるのはどのような場合?

意思表示に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

Aの代理人と称するBが、代理権がないのにA所有の土地をCに売却した。この場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

債権の消滅時効について、債権者が権利を行使することができることを知った時から何年間行使しないと時効によって消滅するか(人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権を除く)。

Aが死亡した。Aには配偶者Fと子B・Cがいたが、BはAより先に死亡しており、Bには子Dがいる。Cは相続を放棄し、Cには子Eがいる。Aの相続人となる者の組合せとして正しいものはどれか。

契約の効力を判断するときは、誰がどんな意思で行動したかを確認します。とも区別が必要です。

がの同意なく契約した場合、原則としてその契約を取り消せます。最初から無効になるわけではありません。単に権利を得る・義務を免れる行為、処分を許された財産の処分、営業を許された営業に関する行為は、同意がなくても取り消せません。

がない状態でした意思表示は無効です。制限行為能力を理由とする取消しとは効果が違うため、「無効」か「取り消せる」かを区別します。

当事者間で取り消せるかと、へその効果を主張できるかは別の問題です。第三者がであればよいのか、善意無過失まで必要なのかは、意思表示の種類ごとに違います。

意思表示の問題は、心裡留保・通謀虚偽表示・錯誤・詐欺・強迫に分けます。心裡留保は原則有効、通謀虚偽表示は当事者間で、錯誤と詐欺・強迫はの問題です。「無効」と「取り消せる」を入れ替えた肢に注意します。

第三者の保護も同じではありません。通謀虚偽表示の無効は善意の第三者に対抗できず、錯誤・詐欺による取消しはの第三者に対抗できません。強迫による取消しにはの規定がなく、善意無過失の第三者にも対抗できます。

代理ではの範囲内で本人のためにすることを示した意思表示が、原則として本人へ効果を生じさせます。代理人自身が買主などの契約当事者になるわけではありません。

代理権のない者が代理人として契約するととなり、本人が追認しない限り本人に効果は生じません。本人が追認すれば、原則としてに遡って効力が生じます。相手方は、本人に追認するかのができ、善意であれば本人の追認前に契約を取り消せます。

は、無権代理でも相手方を保護して本人に効果を及ぼす例外です。代理権授与の表示、権限外の行為、代理権消滅後の行為の3類型があり、いずれも相手方のが中心の要件です。表見代理が成立しなくても、相手方は要件を満たせば無権代理人に履行又は損害賠償を請求できます。

代理人が自分や第三者の利益を図る目的で権限内の行為をした場合()、相手方がその目的を知り又は知ることができたときは、とみなされます。

時効は、期間が経ったことだけで裁判所が自動的に扱うものではありません。当事者のが必要で、完成猶予・更新の事由があれば期間の進行も変わります。

は、所有の意思をもって平穏・公然に占有を続けた場合に成立し、占有開始時に善意無過失なら、それ以外はです。債権の消滅時効は、権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年のいずれか早い方で完成します。

相続では、配偶者は常に相続人となり、子・直系尊属・兄弟姉妹が順位に従って相続します。相続人が引き継ぐのは財産だけでなく債務も含むため、単純承認・限定承認・放棄を区別します。相続放棄をした者は、ものとみなされます。

子が相続開始以前に死亡したとき(同時死亡を含む)や、相続欠格・廃除で相続権を失ったときは、その子の子がします。は代襲原因ではありません。兄弟姉妹が相続人となる場合の代襲は甥・姪までで、再代襲はしません。

配偶者居住権は、被相続人が所有し、相続開始時に配偶者が住んでいた建物に、配偶者が無償で住み続けられる権利です。遺産分割・遺贈等で取得し、期間は原則としてです。建物の所有権とは別の権利で、配偶者は譲渡できず、所有者の承諾がなければ第三者に賃貸できません。配偶者居住権のをすれば第三者に対抗でき、所有者は配偶者に登記を備えさせる義務を負います。

配偶者短期居住権は、相続開始時に無償で住んでいた配偶者が、一定期間そのまま住み続けられる権利で、遺産分割や遺言がなくても当然に成立します。遺産分割をする場合は、帰属が確定した日と相続開始からを経過する日のいずれか遅い日までです。登記はできず、譲渡もできません。

従来の住所・居所を去って財産管理人がいない不在者については、利害関係人等の請求により家庭裁判所が財産管理人を選任するなど必要な処分を行います。財産管理人が保存・管理の範囲を超えて不動産を処分するには、が必要です。所有者不明土地管理制度とは、管理対象と要件が異なります。

出典・参考資料

試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。

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