契約不適合責任とは
契約不適合責任とは、引き渡された物の種類・品質・数量などが契約内容に合わないときに、買主が追完請求・代金減額・損害賠償・解除を求められる責任です。

契約どおりの物が届かなかった場合、すぐにすべて同じ救済が使えるわけではありません。不適合の内容と請求の条件を分けます。
契約不適合ごとの救済

注文した設備の性能が契約を満たさないなら、追完請求、代金減額、損害賠償、解除などを検討します。売主の責任や履行の催告の要否は請求ごとに確認します。
契約不適合は種類・品質・数量などが契約内容に適合しない問題です。債務不履行一般の規律と、買主の通知など売買の特則を組み合わせます。
「不具合がある」と「契約に適合していない」は同じとは限りません。合意した品質や内容が判断基準になります。
買主が追完を求めても、売主は買主に不相当な負担を課さない限り、買主が請求した方法と異なる方法で追完できます。代金減額は、原則として相当期間を定めて追完を催告し、その期間内に追完がないときに請求できます。追完が不能なときなどは催告は不要です。
損害賠償は、売主に帰責事由がないときは請求できません。これに対し、追完請求・代金減額・解除は売主の帰責事由がなくても行使できます。逆に、不適合が買主の責めに帰すべき事由によるときは、買主は追完請求・代金減額・解除ができません。
種類・品質の不適合については、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、原則としてその不適合を理由とする請求ができなくなります。ただし、売主が引渡しの時に不適合を知り又は重大な過失で知らなかったときは、この制限はありません。数量の不適合にはこの通知期間の制限がありません。宅建業者が自ら売主となる場合の特約制限とも分けて考えます。
| 売買の契約不適合 | 主な要件 | 見落としやすい区別 |
|---|---|---|
| 追完 | 契約内容に適合させる請求 | 修補・代替物など |
| 代金減額 | 原則として催告後。追完不能等は催告不要 | 損害賠償とは要件が異なる |
| 損害賠償 | 売主に帰責事由がないときは請求できない | 不適合だけで当然に認められない |
| 解除 | 催告解除・無催告解除の要件を確認 | 売主の帰責事由は不要。不適合が軽微なら催告解除できない |
| 種類・品質の不適合の通知 | 知った時から1年以内に通知 | 売主が悪意・重過失なら制限なし。数量の不適合は対象外 |
保証・個人根保証

保証は、主債務者が払わないときに別の者が代わって履行する仕組みです。保証契約は、書面又は電磁的記録でしなければ無効です。これは通常の保証にも連帯保証にも共通します。
個人根保証は、賃貸借から生じる一切の債務のように、一定範囲の不特定の債務を個人が保証する契約で、極度額を定めなければ無効です。特定の売買代金債務の保証には、この極度額の要件はありません。
連帯保証人には、「まず主債務者に請求せよ」という催告の抗弁権や、「まず主債務者の財産から執行せよ」という検索の抗弁権がありません。主債務者の委託を受けた保証人から請求があれば、債権者は主債務の履行状況に関する情報を遅滞なく提供しなければなりません。
履行遅滞と相殺

履行遅滞の責任が始まる時期は、期限の種類で異なります。確定期限がある債務は期限が到来した時、不確定期限がある債務は期限到来後に履行の請求を受けた時か期限の到来を知った時のいずれか早い時、期限の定めがない債務は履行の請求を受けた時からです。不法行為による損害賠償債務は、判例上、不法行為の時から遅滞となります。
相殺するには、原則として双方の債権が同種の目的で、自分の債権(自働債権)が弁済期にあることが必要です。相手方の債権(受働債権)は、期限の利益を放棄すれば弁済期前でも相殺できます。悪意による不法行為や人の生命・身体の侵害による損害賠償債務は、加害者側からこれを受働債権として相殺できません。被害者側から相殺することはできます。
| 債務の種類 | 遅滞となる時期 |
|---|---|
| 確定期限がある | 期限が到来した時 |
| 不確定期限がある | 期限到来後に請求を受けた時か、到来を知った時の早い方 |
| 期限の定めがない | 履行の請求を受けた時 |
| 不法行為による損害賠償 | 不法行為の時(判例) |
連帯債務と相対効

連帯債務者の一人について生じた事由は、原則として他の連帯債務者に効力が及びません(相対効)。2020年施行の改正で、履行の請求・免除・時効の完成は相対効になったため、旧法の知識で判断しないようにします。
例外として他の連帯債務者にも効力が及ぶ(絶対効)のは、弁済など債権を満足させる事由と、更改・相殺・混同です。相殺できる債権を持つ連帯債務者が相殺しないうちは、他の連帯債務者はその者の負担部分の限度で履行を拒めます。当事者の合意で、相対効の事由の効力を他の債務者に及ぼすこともできます。
| 一人について生じた事由 | 他の連帯債務者への効力 |
|---|---|
| 履行の請求・免除・時効の完成・時効の完成猶予や更新 | 原則及ばない(相対効) |
| 更改・相殺・混同 | 及ぶ(絶対効) |
| 弁済 | 弁済した範囲で全員の債務が消滅 |
事務管理・必要費・先取特権

事務管理は、法律上の義務がないのに他人のために事務を処理する場合の制度です。請負人が自分の請負契約の履行として工事をしたときは、それだけで建物所有者に対する事務管理は成立しません。
賃借人が賃貸人の負担に属する必要費(雨漏りの修理など)を支出したときは、賃貸人に直ちに償還を請求できます。有益費は、賃貸借の終了時に、価格の増加が現存する場合に限り、賃貸人の選択で支出額か増価額を償還させます。
不動産工事の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額について成立します。効力を保存するには、工事を始める前に費用の予算額を登記する必要があります。賃借人が請負人に発注した工事の代金を、請負人が当然に賃貸人へ請求できるわけではありません。
典型契約と債務引受

売買は財産権の移転と代金支払、請負は仕事の完成と報酬、委任は法律行為の事務処理、準委任は法律行為以外の事務処理を目的とします。委任・準委任の受任者は、無償でも善良な管理者の注意義務を負い、特約がなければ報酬を請求できません。
委任は、各当事者がいつでも解除できます。ただし、相手方に不利な時期に解除したときなどは、やむを得ない事由がない限り損害賠償が必要です。委任者・受任者の死亡や破産手続開始、受任者の後見開始で委任は終了します。
債務引受には、元の債務者も債務を負い続ける併存的債務引受と、元の債務者が債務を免れる免責的債務引受があります。どちらも債権者と引受人の契約でできます。債務者と引受人の契約でする場合は、債権者の承諾が必要です。免責的債務引受を債権者と引受人の契約でするときは、債権者が債務者に通知した時に効力が生じます。
| 類型 | 中心となる義務 | 区別 |
|---|---|---|
| 売買 | 財産権移転と代金支払 | 契約不適合責任 |
| 請負 | 仕事の完成と報酬 | 完成した仕事の不適合 |
| 委任・準委任 | 事務の処理と善管注意義務 | 法律行為かそれ以外か |
| 併存的債務引受 | 引受人が加わる | 元の債務者は残る |
| 免責的債務引受 | 引受人が代わる | 元の債務者は免責される |
試験に出る
- 追完請求・代金減額・損害賠償・解除はそれぞれ要件が異なり、常にすべてが直ちに使えるわけではありません。
- 売主の帰責事由が必要なのは損害賠償だけで、追完・代金減額・解除には不要です。種類・品質の不適合では、知った時から1年以内の通知も問われます。
- 「不具合」と「契約不適合」は同じではなく、合意した品質・内容が判断の基準になります。
- 連帯保証と通常保証は扱いが異なり、個人根保証では極度額の定めが重要です。
- 相続では権利だけでなく債務も承継され、単純承認・限定承認・放棄を区別します。
重要な言葉
- 契約不適合
- 引き渡された物の種類・品質・数量などが契約内容に適合しないこと。
- 追完請求
- 契約に適合させるため、修補や代替物の引渡しなどを求めること。
- 個人根保証
- 個人が一定の範囲で継続的な債務を保証するもので、極度額の定めが要件となる。
確認問題
確かめよう追完請求と損害賠償は同じ要件で必ず認められる?
いいえ。請求ごとに条件を確認します。
契約不適合があれば、買主は催告なしに必ず直ちに解除できる。
相続では、被相続人の権利だけでなく債務も承継の対象になる。
契約不適合を理由とする代金減額請求や解除は、売主に帰責事由がなければすることができない。
買主が引き渡された土地の数量不足を知ってから1年以内に売主へ通知しなかったとしても、数量不足を理由とする代金減額請求ができなくなるわけではない。
売主が引渡しの時に品質の不適合を知っていた場合でも、買主が不適合を知った時から1年以内に通知しなければ、買主は不適合を理由とする請求ができない。
個人が、建物賃貸借から生じる賃借人の一切の債務を保証する契約は、極度額を定めなければ効力を生じない。
連帯保証人は、債権者から請求を受けたとき、まず主たる債務者に催告するよう請求することができる。
連帯債務者の一人に対して債権者が履行の請求をすると、他の連帯債務者についても時効の完成が猶予される。
連帯債務者の一人が債権者に対する反対債権で相殺を援用したときは、その範囲で他の連帯債務者の債務も消滅する。
悪意による不法行為の被害者は、加害者に対する損害賠償債権を自働債権として相殺することができない。
不確定期限のある債務は、期限到来後に履行の請求を受けた時又は期限の到来を知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。
建物の賃借人が雨漏りの修理費用(必要費)を支出したときは、賃貸借の終了を待たずに直ちに償還を請求できる。
債務者と引受人との契約で免責的債務引受をするには、債権者の承諾が必要である。
契約不適合で買主が求められるものに含まれないのは?
個人根保証で特に重要となる条件は?
売買の契約不適合責任に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A・B・Cが債権者Dに対して900万円の連帯債務(負担部分は各3分の1)を負っている。次の記述のうち、正しいものはどれか。
売買の目的物の種類・品質に関する契約不適合について、買主が売主に通知しなければならない期間は、原則として買主が不適合を知った時からいつまでか。
委任・債務引受に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
契約どおりの物が届かなかった場合、すぐにすべて同じ救済が使えるわけではありません。の内容と請求の条件を分けます。
注文した設備の性能が契約を満たさないなら、、代金減額、損害賠償、解除などを検討します。売主の責任やの要否は請求ごとに確認します。
は種類・品質・数量などが契約内容に適合しない問題です。一般の規律と、買主の通知など売買の特則を組み合わせます。
「不具合がある」と「契約に適合していない」は同じとは限りません。合意したや内容が判断基準になります。
買主が追完を求めても、売主は買主に不相当な負担を課さない限り、買主が請求した方法と異なる方法で追完できます。代金減額は、原則として相当期間を定めて追完をし、その期間内に追完がないときに請求できます。追完が不能なときなどは催告は不要です。
損害賠償は、売主にがないときは請求できません。これに対し、追完請求・代金減額・解除は売主の帰責事由がなくても行使できます。逆に、不適合が買主の責めに帰すべき事由によるときは、買主は追完請求・代金減額・解除ができません。
種類・品質の不適合については、買主が不適合を知った時からに売主へ通知しないと、原則としてその不適合を理由とする請求ができなくなります。ただし、売主が引渡しの時に不適合を知り又は重大な過失で知らなかったときは、この制限はありません。の不適合にはこの通知期間の制限がありません。宅建業者が自ら売主となる場合の特約制限とも分けて考えます。
保証は、主債務者が払わないときに別の者が代わって履行する仕組みです。保証契約は、又は電磁的記録でしなければ無効です。これは通常の保証にもにも共通します。
は、賃貸借から生じる一切の債務のように、一定範囲の不特定の債務を個人が保証する契約で、を定めなければ無効です。特定の売買代金債務の保証には、この極度額の要件はありません。
連帯保証人には、「まず主債務者に請求せよ」というや、「まず主債務者の財産から執行せよ」というがありません。主債務者の委託を受けた保証人から請求があれば、債権者は主債務の履行状況に関する情報を遅滞なく提供しなければなりません。
履行遅滞の責任が始まる時期は、期限の種類で異なります。確定期限がある債務は期限が到来した時、不確定期限がある債務は期限到来後に履行の請求を受けた時か期限の到来を知った時のいずれか早い時、期限の定めがない債務はを受けた時からです。不法行為による損害賠償債務は、判例上、から遅滞となります。
相殺するには、原則として双方の債権が同種の目的で、自分の債権()が弁済期にあることが必要です。相手方の債権()は、期限の利益を放棄すれば弁済期前でも相殺できます。悪意による不法行為や人の生命・身体の侵害による損害賠償債務は、加害者側からこれを受働債権として相殺できません。被害者側から相殺することはできます。
連帯債務者の一人について生じた事由は、原則として他の連帯債務者に効力が及びません()。2020年施行の改正で、履行の請求・免除・時効の完成は相対効になったため、旧法の知識で判断しないようにします。
例外として他の連帯債務者にも効力が及ぶ()のは、弁済など債権を満足させる事由と、です。相殺できる債権を持つ連帯債務者が相殺しないうちは、他の連帯債務者はその者の負担部分の限度で履行を拒めます。当事者の合意で、相対効の事由の効力を他の債務者に及ぼすこともできます。
賃借人が賃貸人の負担に属する(雨漏りの修理など)を支出したときは、賃貸人に直ちに償還を請求できます。は、賃貸借の終了時に、価格の増加が現存する場合に限り、賃貸人の選択で支出額か増価額を償還させます。
不動産工事の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額について成立します。効力を保存するには、工事を始める前に費用のを登記する必要があります。賃借人が請負人に発注した工事の代金を、請負人が当然に賃貸人へ請求できるわけではありません。
売買は財産権の移転と代金支払、請負は仕事の完成と報酬、委任は法律行為の事務処理、準委任は法律行為以外の事務処理を目的とします。委任・準委任の受任者は、無償でもを負い、特約がなければ報酬を請求できません。
委任は、各当事者が解除できます。ただし、相手方に不利な時期に解除したときなどは、やむを得ない事由がない限り損害賠償が必要です。委任者・受任者の死亡や破産手続開始、受任者の後見開始で委任は終了します。
債務引受には、元の債務者も債務を負い続ける併存的債務引受と、元の債務者が債務を免れる免責的債務引受があります。どちらも債権者と引受人の契約でできます。債務者と引受人の契約でする場合は、が必要です。免責的債務引受を債権者と引受人の契約でするときは、債権者が債務者に通知した時に効力が生じます。
出典・参考資料
試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。
- 不動産適正取引推進機構:宅建試験の概要 ↗
- 国土交通省:宅地建物取引業法関係 ↗
- 法務省:2026年4月施行の区分所有法改正 ↗
- 法務省:相続登記の申請義務化 ↗
- 法務省:住所等変更登記の義務化 ↗
- e-Gov法令検索:民法 ↗
- e-Gov法令検索:借地借家法 ↗
- e-Gov法令検索:建物の区分所有等に関する法律 ↗
- e-Gov法令検索:不動産登記法 ↗
- 法務省:配偶者居住権について ↗
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