適正使用情報とは
適正使用情報とは、添付文書や製品表示など、薬を安全に使うために必要な情報で、禁止条件と相談条件を区別して読みます。

添付文書の注意欄は、禁止条件と相談条件を区別して読めることが重要です。すべてを同じ強さの注意として扱いません。
| 区分 | 読む内容 |
|---|---|
| してはいけないこと | 該当時に使用・併用・運転・授乳・飲酒・長期連用などを避ける |
| 相談すること | 使用前に相談すべき人、使用後に中止・相談が必要な症状 |
| その他の注意 | 容認される軽微な症状(「次の症状が現れることがある」) |
| 製品表示(外箱等) | 効能・効果、用法・用量、添加物、禁止事項、相談勧奨、保管上の注意等 |
添付文書の全体像

一般用医薬品の添付文書は、①改訂年月、②添付文書の必読及び保管に関する事項、③販売名・薬効名・リスク区分、④製品の特徴、⑤使用上の注意、⑥効能又は効果、⑦用法及び用量、⑧成分及び分量、⑨病気の予防・症状の改善につながる事項(いわゆる養生訓)、⑩保管及び取扱い上の注意、⑪消費者相談窓口、⑫製造販売業者の名称及び所在地の順に記載されます。
重要な内容が変更された場合は改訂年月を記載し、改訂箇所を明示します。添付文書は開封時に一度読めば済むものではなく、購入者以外の家族が使う時や、使用後に医療機関を受診する時にも持参・参照できるよう保管します。養生訓は必須の記載ではありません。
使用上の注意は枠囲いや文字の色などで目立つように記載され、効能・効果より前に置かれます。効能・効果や用法・用量に関連する注意は、それぞれの項目に続けて区別して記載されます。一般用検査薬では、効能・効果が「使用目的」、用法・用量が「使用方法」となります。
成分及び分量の項には、有効成分のほか添加物も記載されます。添加物はアレルギーの原因となり得るため、その成分でアレルギーの既往歴がある人は使用を避けます。尿や便の着色、検査値への影響などの注意も、この項に続けて記載されます。
保管及び取扱い上の注意では、シロップ剤などは変質しやすいため開封後の冷蔵庫保管が望ましい一方、錠剤・カプセル剤・散剤は取り出した時の温度差で湿気を帯びるため冷蔵庫保管は不適当です。小児の手の届かない所への保管、他の容器に入れ替えないこと、点眼薬を他の人と共用しないことも記載されます。
医療用医薬品は令和3年8月1日から紙の添付文書の同梱が廃止され、容器等の符号(バーコード又は二次元コード)から最新の情報を電子的に確認します。一般用医薬品は使用時にすぐ内容を確認できるよう、添付文書がある場合は引き続き紙の添付文書が同梱されます。
注意事項を使う人に当てはめる

「してはいけないこと」は、守らないと症状が悪化する事項や副作用・事故等が起こりやすくなる事項です。「次の人は使用(服用)しないこと」「次の部位には使用しないこと」「本剤を使用(服用)している間は、次の医薬品を使用(服用)しないこと」のほか、運転操作・授乳・飲酒・長期連用に関する注意があります。
医療用医薬品との併用は、処方薬の使用を自己判断で控えるのは適当でないため、「相談すること」の「医師(又は歯科医師)の治療を受けている人」として記載されます。一般用検査薬では、検査結果だけで確定診断はできないため、陽性なら速やかに医師の診断を受ける旨が「してはいけないこと」に記載されます。
「相談すること」には、使用前に相談すべき人(医師の治療を受けている人、妊婦、授乳中の人、高齢者、アレルギーの既往歴がある人、次の症状がある人・次の診断を受けた人)が記載されます。使用上の注意の「高齢者」は、およその目安として65歳以上を指します。
使用後については、副作用と考えられる症状が現れた場合、薬理作用から予測される軽微な症状(抗ヒスタミン薬の眠気等)が持続・増強した場合、一定期間使っても改善しない場合に、いったん使用を中止して相談する旨が記載されます。重篤な副作用の症状が現れたら、ただちに医師の診療を受けます。
「その他の注意」には、容認される軽微な症状が「次の症状が現れることがある」として記載されます。妊婦が「相談すること」に記載される場合は、ヒトでの具体的な悪影響が判明しているとは限らず、使用経験のデータが限られ安全性の評価が難しいためです。
成分と使用者を照らし合わせます。例えばプソイドエフェドリン塩酸塩は、心臓病・高血圧・甲状腺機能障害・糖尿病の診断を受けた人や、前立腺肥大による排尿困難がある人は「使用しないこと」です。抗コリン成分は緑内障の人が「相談すること」です。主な記載を下の表で整理します。
| 記載(手引き別表) | 主な成分 | 理由 |
|---|---|---|
| 15歳未満の小児は使用しない | アスピリン、アスピリンアルミニウム、サザピリン、サリチル酸ナトリウム | 外国でライ症候群との関連性が示唆されている |
| 15歳未満の小児は使用しない | プロメタジンを含む成分 | 外国で乳児突然死症候群などの致命的な呼吸抑制が報告されている |
| 15歳未満の小児は使用しない | イブプロフェン、オキセサゼイン | 一般用医薬品に小児向けの製品がない |
| 15歳未満の小児は使用しない | ロペラミド | 外国で乳幼児の過量摂取による中枢神経系障害、呼吸抑制、麻痺性イレウスが報告されている |
| 12歳未満の小児は使用しない | コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩 | 重篤な呼吸抑制が現れるおそれ |
| 6歳未満の小児は使用しない | アミノ安息香酸エチル | メトヘモグロビン血症を起こすおそれ |
| 出産予定日12週以内の妊婦は使用しない | アスピリン、アスピリンアルミニウム、イブプロフェン | 妊娠期間の延長、胎児の動脈管の収縮・早期閉鎖、分娩時出血の増加等のおそれ |
| 授乳中は服用しないか、服用する場合は授乳を避ける | ジフェンヒドラミンを含む成分 | 乳児に昏睡を起こすおそれ |
| 授乳中は服用しないか、服用する場合は授乳を避ける | コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩 | 母乳への移行により乳児でモルヒネ中毒が生じたとの報告 |
| 授乳中は服用しないか、服用する場合は授乳を避ける | ロートエキス(内服薬、坐薬・注入軟膏) | 乳児に頻脈を起こすおそれ |
| 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしない | 抗ヒスタミン成分、コデイン類、ブロモバレリル尿素等 | 眠気等 |
| 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしない | スコポラミン臭化水素酸塩水和物、メチルオクタトロピン臭化物 | 眠気、目のかすみ、異常なまぶしさ |
| 相談すること:インターフェロン製剤で治療を受けている人 | 小柴胡湯、小柴胡湯が配合されたかぜ薬 | 相互作用により間質性肺炎を起こしやすくなる |
製品表示の読み方

添付文書は外箱に封入されているため、開封後に自分に合わないと分かる事態を防ぐ目的で、外箱等にも効能・効果、用法・用量、添加物のほか、「次の人は使用(服用)しないこと」「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないこと」等の副作用・事故を避けるための注意が記載されます。
外箱等には、添付文書の必読、専門家への相談勧奨、保管に関する注意も記載されます。1回服用量中0.1mLを超えるアルコールを含む滋養強壮目的の内服液剤では、アルコールを含有する旨と分量が記載されます。
使用期限は、適切な保存条件の下で製造後3年を超えて性状及び品質が安定であることが確認されている医薬品では法的な表示義務がありません。ただし流通管理等の便宜上、外箱等に記載されるのが通常です(配置販売品では「配置期限」の場合があります)。
表示された使用期限は未開封で保管した場合の期限で、開封後はその期日まで品質が保証されない場合があります。開封後の品質保持期間は包装形態や使用・保管状況によるため、質問にはそれらを踏まえて説明します。
法定表示のほか、他の法令に基づく表示もあります。可燃性ガスを噴射剤とするエアゾール製品や消毒用アルコール等の危険物には消防法に基づく「火気厳禁」等、エアゾール製品には高圧ガス保安法に基づく「高温に注意」や使用ガスの名称、容器包装には資源の有効な利用の促進に関する法律に基づく識別マークが表示されます。
購入者と使用者が異なる場合も、実際に使う人の年齢、妊娠・授乳、基礎疾患、併用薬を確かめます。以前の製品知識に頼らず改訂年月と最新の情報を見ます。
試験に出る
- 添付文書は改訂年月から製造販売業者の名称・所在地までの順に並び、使用上の注意が効能・効果より前に置かれること。
- 医療用医薬品との併用は「してはいけないこと」ではなく「相談すること」の「医師(又は歯科医師)の治療を受けている人」に記載されること。
- 使用期限は、適切な保存条件の下で製造後3年を超えて性状・品質が安定な医薬品では法的な表示義務がなく、表示された期限は未開封時のものであること。
- 別表の成分と理由の組(15歳未満・12歳未満などの年齢制限、授乳中、運転操作、基礎疾患)。
重要な言葉
- 適正使用情報
- 添付文書や製品表示など、安全に使うための情報。
- してはいけないこと
- 守らないと症状の悪化や副作用・事故等が起こりやすくなる禁止事項。
- 相談すること
- 使用前に専門家へ相談すべき人と、使用後に中止・相談が必要な症状。
- 高齢者
- 使用上の注意では、およその目安として65歳以上を指す。
- 使用期限
- 未開封の状態で保管した場合に品質が保持される期限。
確認問題
確かめよう使用期限はすべての一般用医薬品に必ず表示される?
いいえ。適切な保存条件の下で製造後3年を超えて性状・品質が安定な医薬品には、法的な表示義務がありません。
禁止事項に該当しても、少量なら自己判断で使ってよい。
添付文書は改訂されることがある。
使用期限の表示義務はすべての一般用医薬品にある。
医療用医薬品との併用は、「してはいけないこと」の項に「次の医薬品を使用しないこと」として記載される。
錠剤やカプセル剤は、開封後は冷蔵庫内で保管するのが望ましい。
添付文書の注意欄で区別して読むべきものは?
効能効果が示すものは?
コデインリン酸塩水和物を含む一般用医薬品で、「次の人は使用(服用)しないこと」に記載される年齢区分は?
の注意欄は、禁止条件と相談条件を区別して読めることが重要です。すべてを同じ強さの注意として扱いません。
出典・参考資料
試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。
- 東京都:登録販売者試験 ↗
- 東京都:2025年度問題・正答 ↗
- 厚生労働省:登録販売者試験問題作成の手引き(令和8年4月) ↗
- 厚生労働省:試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月一部改訂)本文 ↗(第5章 医薬品の適正使用と安全対策、第5章別表)
- PMDA:医薬品副作用被害救済制度の給付対象 ↗
編集:Pinternet Works · 更新日:
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