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登録販売者試験 · 学習ガイド

人体と医薬品(人体の働きと医薬品)

消化・呼吸・循環などの体の働きと、薬の吸収・分布・代謝・排泄をつなげます。目的の作用以外にも影響が及ぶ理由を学び、副作用の症状と対応を確認します。

仕組みを理解する

消化器系

消化器系とは、食物を分解して栄養素を吸収し、不要なものを体外へ出す器官のまとまりです。口から小腸・大腸へ進む流れと、肝臓・膵臓の働きを合わせて捉えます。

エルくんが説明する図解。口→胃→小腸→大腸、肝臓/胆汁の補助矢印を添える。
食物は口、食道、胃、小腸、大腸へ進みます。小腸は多くの栄養素を吸収する場所で、肝臓は吸収された物質の代謝などを担います。

食べ物を体へ取り込むには、小さく分解する過程と、体内へ吸収する過程が必要です。器官ごとの仕事を流れで追います。

消化器系
器官主な働き
唾液腺唾液アミラーゼ(プチアリン)でデンプンを分解
胃胃酸とペプシンでタンパク質を消化。主な栄養吸収部位ではない
小腸十二指腸・空腸・回腸。多くの栄養素を吸収
大腸水分・電解質を吸収。消化はほとんど行わない
肝臓・胆嚢肝臓が胆汁を産生し、胆嚢が濃縮して蓄える
膵臓消化酵素を含む膵液と、インスリン等のホルモンを分泌

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。中央に1本の消化管を大きく描き、上から「口→食道→胃→小腸→大腸」の順に矢印でつなぐ。小腸から外側へ栄養素を表す粒を描き、そこから吸収されることを強調する。
覚えること:多くの栄養素は小腸で吸収

食物は口、食道、胃、小腸、大腸へ進みます。小腸は多くの栄養素を吸収する場所で、肝臓は吸収された物質の代謝などを担います。

消化酵素は栄養素を分解し、胆汁は脂肪を細かく分散させ消化を助けます。胆汁自体が消化酵素であるわけではありません。

胃だけですべての栄養を吸収すると覚えないようにします。胃酸の働き、酵素の働き、吸収の場所を分けます。

肝臓は糖をグリコーゲンとして蓄えるほか、栄養素の代謝や胆汁の産生を担います。膵臓には消化酵素を十二指腸へ送る外分泌と、インスリン等を血液へ出す内分泌の働きがあります。胆汁は肝臓で作られ、胆嚢で蓄え濃縮されます。

器官ごとの消化・吸収・代謝

器官ごとの消化・吸収・代謝の図解。左上に胃、左下に膵臓、右に十二指腸を配置する。胃からの酸性内容物と膵臓からの膵液を矢印で十二指腸へ導き、合流点に「中和」を示す。下部の「覚えること」欄は横線で仕切る。
覚えること:弱アルカリ性の膵液が酸性内容物を中和

唾液には、デンプンをデキストリンや麦芽糖に分解する消化酵素(プチアリン。唾液アミラーゼともいう)が含まれます。咽頭では、嚥下の際に喉頭蓋が反射的に閉じて飲食物を食道へ送ります。

胃腺からは胃酸(塩酸)とペプシノーゲンが分泌され、ペプシノーゲンは胃酸によってタンパク質を消化するペプシンになります。胃酸は胃内を強酸性に保ち、内容物の腐敗や発酵を防ぎます。

小腸は全長6〜7mで、十二指腸・空腸・回腸に分かれます。十二指腸には膵液と胆汁が送り込まれ、小腸で多くの栄養素を吸収します。大腸では水分と電解質の吸収が行われ、消化はほとんど行われません。

膵液は弱アルカリ性で、胃で酸性になった内容物を中和し、トリプシノーゲン、アミラーゼ、リパーゼなどの消化酵素を含みます。膵臓はインスリンやグルカゴンを血液中へ分泌する内分泌腺でもあります。

胆汁に含まれる胆汁酸塩は脂質の消化を容易にし、脂溶性ビタミンの吸収を助けますが、胆汁は消化酵素ではありません。肝臓はグリコーゲンの貯蔵、アンモニアから尿素への代謝、ビリルビンの代謝、アルブミンや血液凝固因子の産生も担います。

肝機能が低下すると薬の代謝が変わり得ます。胃・小腸での吸収、門脈を経た肝臓での初回通過、全身への分布を一続きで追います。

試験に出る

  • 食物が口・食道・胃・小腸・大腸へ進む順序。
  • 小腸が主な吸収の場で、肝臓が代謝などを担う点。
  • 消化酵素は分解、胆汁は乳化して脂肪の消化を助ける点。
  • 胃だけでなく、吸収の場所と酵素・胃酸の働きを分けて整理する点。
  • 肝臓のグリコーゲン蓄積・胆汁産生、膵臓の外分泌と内分泌の区別。

重要な言葉

消化酵素
栄養素を分解する働きを持つ物質。
胆汁
肝臓で作られ胆嚢で蓄えられる液体。脂肪を乳化して消化を助ける。
グリコーゲン
肝臓などに糖を蓄えるときの形。
外分泌
膵臓が消化酵素を十二指腸へ送る働き。

確認問題

確かめよう胆汁は脂肪を分解する酵素そのもの?

いいえ。乳化して消化を助けます。

胆汁は脂肪を分解する消化酵素そのものである。

小腸は多くの栄養素を吸収する場所である。

糖をグリコーゲンとして蓄える器官は?

胆汁の主な働きは?

食べ物を体へ取り込むには、小さくする過程と、体内へする過程が必要です。器官ごとの仕事を流れで追います。

食物は口、食道、胃、、大腸へ進みます。小腸は多くの栄養素を吸収する場所で、は吸収された物質の代謝などを担います。

は栄養素を分解し、は脂肪を細かく分散させ消化を助けます。胆汁自体が消化酵素であるわけではありません。

胃だけですべての栄養を吸収すると覚えないようにします。の働き、酵素の働き、吸収の場所を分けます。

肝臓は糖をとして蓄えるほか、栄養素の代謝や胆汁の産生を担います。膵臓には消化酵素を十二指腸へ送る外分泌と、等を血液へ出す内分泌の働きがあります。胆汁は肝臓で作られ、胆嚢で蓄え濃縮されます。

呼吸器・循環器

呼吸器・循環器とは、酸素を取り込み全身へ運ぶ器官のまとまりです。肺でガス交換し、心臓を中心に肺循環と体循環がつながります。

エルくんが説明する図解。右心→肺→左心→全身→右心の循環、肺動脈を酸素少と明記。
右心室から肺へ出た血液は肺でガス交換し、左心房へ戻ります。その後、左心室から全身へ出て右心房へ戻ります。

肺で取り込んだ酸素は、血液を通して全身へ運ばれます。心臓を中心に二つの循環をつなぎます。

呼吸器・循環器
器官・区分機能・判断
肺胞ガス交換
肺動脈右心室から肺へ向かう
肺静脈肺から左心房へ戻る
赤血球酸素の運搬
血小板止血に関わる

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。左側に心臓、右側に肺を置き、右心室→肺動脈→肺→左心房の順に矢印で結ぶ。肺にはガス交換を示し、心臓と肺の間を往復する経路として描く。
覚えること:肺動脈は酸素の少ない血液を運ぶ

右心室から肺へ出た血液は肺でガス交換し、左心房へ戻ります。その後、左心室から全身へ出て右心房へ戻ります。

肺循環は心臓と肺、体循環は心臓と全身を結びます。動脈・静脈は酸素の多さではなく、心臓から出るか戻るかで区別します。

肺動脈は酸素の少ない血液を運ぶため、「動脈には常に酸素が多い」は誤りです。

空気と血液の二つの流れ

空気と血液の二つの流れの図解。左上から気道を通る空気の矢印を中央の肺胞へ、右側には右心室→肺動脈→肺胞に接する毛細血管→肺静脈→左心房の血液の矢印を描く。肺胞と毛細血管は薄い境界で仕切り、その境界をまたぐ酸素・二酸化炭素の交換を示す。
覚えること:肺胞と毛細血管でガス交換

空気は鼻腔・咽頭・喉頭・気管・気管支を通って肺胞へ届きます。肺胞と毛細血管の間で酸素と二酸化炭素を交換します。気道の粘液・線毛は異物を排出し、気管支平滑筋の収縮は気道を狭くします。

血液は右心室から肺動脈を経て肺へ、肺静脈から左心房・左心室へ戻り、全身へ出て右心房へ戻ります。動脈・静脈の名称は心臓から出るか戻るかで決まり、酸素量では決まりません。

赤血球は酸素運搬、白血球は防御、血小板は止血に関わります。血液を送る心臓、交換を行う毛細血管、酸素を運ぶ赤血球の役割を混ぜません。

心臓・血管・血液の要点

心臓・血管・血液の要点の図解。中央に心臓の断面模型を大きく置き、左の心房から中央の心室、右の拍出方向へ矢印をつなぐ。心室の取り込む側と送り出す側に、それぞれ弁を1つずつ描く。
覚えること:心房→心室→拍出、心室の両側に弁

肺自体には肺を動かす筋組織がなく、横隔膜や肋間筋によって拡張・収縮して呼吸運動が行われます。肺胞は粘液層や線毛で保護されておらず、侵入した異物は肺胞マクロファージが取り込みます。肺胞と毛細血管を取り囲んで支持する組織を間質といいます。

心臓は心房で血液を集めて心室へ送り、心室から拍出します。心室には血液を取り込む側と送り出す側にそれぞれ弁があります。静脈は動脈より血管壁が薄く、四肢の静脈には逆流を防ぐ静脈弁があります。消化管の毛細血管の大部分は門脈に集まって肝臓に入ります。

血漿は90%以上が水分で、アルブミンは血液の浸透圧を保つほか、医薬品の成分等と複合体を作って代謝や排泄を受けにくくします。白血球のうち好中球は約60%、リンパ球は約1/3を占めます。脾臓は古くなった赤血球を処理し、リンパ液の流れは主に骨格筋の収縮によって生じます。

試験に出る

  • 右心室→肺→左心房→左心室→全身→右心房の流れ。
  • 肺循環は心臓と肺、体循環は心臓と全身を結ぶ点。
  • 動脈・静脈は心臓から出るか戻るかで区別する点。
  • 肺動脈は酸素の少ない血液を運ぶ点。
  • 「動脈には常に酸素が多い」が誤りである点。
  • 肺自体には筋組織がなく、横隔膜や肋間筋によって呼吸運動が行われる点。

重要な言葉

肺循環
心臓と肺を結ぶ血液の流れ。
体循環
心臓と全身を結ぶ血液の流れ。
肺動脈
心臓から肺へ向かう血管。酸素の少ない血液を運ぶ。

確認問題

確かめよう肺動脈が動脈と呼ばれる理由は?

心臓から肺へ向かう血管だからです。

動脈とは、酸素を多く含む血液だけを運ぶ血管である。

肺動脈は心臓から肺へ向かう血管である。

心臓から肺へ血液を運ぶ血管は?

動脈と静脈の区別は?

肺で取り込んだは、血液を通して全身へ運ばれます。心臓を中心に二つのをつなぎます。

右心室から肺へ出た血液は肺でし、左心房へ戻ります。その後、から全身へ出て右心房へ戻ります。

は心臓と肺、は心臓と全身を結びます。動脈・静脈は酸素の多さではなく、心臓から出るか戻るかで区別します。

は酸素の少ない血液を運ぶため、「動脈には常に酸素が多い」は誤りです。

泌尿器・感覚器・運動器

泌尿器・感覚器・運動器とは、老廃物の排出や刺激の受容、体の支持と運動を担う器官のまとまりです。腎臓の濾過と再吸収、感覚器の刺激の変換、骨・筋肉の働きを区別します。

エルくんが説明する図解。血液から原尿へのろ過と、原尿から血液へ戻る再吸収、残りが尿となる関係を示す模式図。
血液から原尿へのろ過と、原尿から血液へ戻る再吸収、残りが尿となる関係を示す模式図。

腎臓は血液から不要な物質を排出するだけでなく、体内の水分や電解質の調整にも関わります。

泌尿器・感覚器・運動器
器官・区分機能・判断
腎臓腎小体で濾過、尿細管で再吸収。赤血球産生を促すホルモン、ビタミンDの活性化
眼水晶体の厚みで焦点調節、網膜の視細胞で受光
耳蝸牛は聴覚、前庭(耳石器官・半規管)は平衡感覚
皮膚表皮(角質層)・真皮・皮下組織。バリアと体温調節
骨格筋横紋あり。随意筋で体性神経が支配
平滑筋・心筋不随意筋で自律神経が支配。心筋は横紋あり

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。正方形の左上に腎臓、中央に原尿を置き、そこから右上の「体へ戻る」経路と右下の「尿→尿管・膀胱」経路へ矢印を分ける。再吸収される側を太く、尿になる側を細く描き、2つの行き先を仕切りで明確に分ける。
覚えること:原尿の多くは再吸収され、残りが尿になる

腎臓で血液から濾過された原尿の多くは再吸収され、必要な水分等が体へ戻ります。残ったものが尿として尿管・膀胱へ進みます。

感覚器は光・音などの刺激を神経情報へ変え、骨や筋肉は体を支え動かします。器官の名前と、受け取る刺激・行う調整を対応させます。

尿量が多いことを、腎機能が必ず良い証拠と決めつけないようにします。排泄と再吸収は異なる働きです。

眼の角膜・水晶体は光を屈折させ、網膜で光を神経の情報へ変えます。耳の蝸牛は音、前庭(半規管を含む)は平衡感覚に関係します。皮膚は表皮・真皮等からなり、バリアと体温調節も担います。器官の名前を症状だけでなく働きと結び付けます。

腎・眼・耳・皮膚・筋骨格

腎・眼・耳・皮膚・筋骨格の図解。上から腎盂、尿管、膀胱、尿道を一本の通路としてつなぎ、尿が下へ流れる向きを矢印で示す。エルくんは通路の横に1体だけ配置する。
覚えること:尿は腎盂→尿管→膀胱→尿道

腎臓では、糸球体とそれを包むボウマン嚢からなる腎小体で血液が濾過され、尿細管でブドウ糖・アミノ酸、水分・電解質などが再吸収されます。腎小体と尿細管で腎臓の機能単位(ネフロン)を構成します。尿は腎盂から尿管、膀胱、尿道へ流れます。

腎臓は骨髄での赤血球の産生を促すホルモンを分泌し、ビタミンDを活性型に転換します。副腎皮質から分泌されるアルドステロンは、体内に塩分と水を貯留しカリウムの排泄を促します。薬物の排泄は腎機能で変わるため、腎機能低下を尿量だけで判断しません。

眼では、角膜・房水・水晶体・硝子体を透過した光が屈折して網膜に焦点を結びます。主に水晶体の厚みを毛様体で変えて遠近の焦点調節を行い、近くを見るときは水晶体が丸く厚くなります。網膜の視細胞のうち、わずかな光に反応する細胞の働きにはビタミンAが不可欠で、不足すると夜盲症を生じます。

耳では外耳・中耳が音を伝え、内耳の蝸牛が聴覚を担います。前庭は、水平・垂直方向の加速度を感知する耳石器官と、体の回転や傾きを感知する半規管に分けられます。鼻腔上部の粘膜にある嗅細胞がにおいを感じ、鼻汁は吸った空気に湿り気を与えます。

皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層からなり、バリア、体水分の保持、熱交換、皮膚感覚に働きます。表皮の角質層はケラチンでできた角質細胞とセラミドを主成分とする細胞間脂質からなり、バリア機能を担います。メラニン色素は表皮の最下層にあるメラノサイトで産生され、紫外線から皮膚を守ります。

真皮はコラーゲンなどの線維性タンパク質からなる結合組織で、毛細血管や知覚神経の末端が通ります。汗腺には腋窩などに分布するアポクリン腺(体臭腺)と、全身に分布するエクリン腺があります。

骨は支持・臓器保護・運動・造血・カルシウム等の貯蔵の機能を持ち、成長が止まった後も骨吸収と骨形成が繰り返されます。骨格筋は横紋があり意識どおりに動かせる随意筋で体性神経に支配され、平滑筋と心筋は不随意筋で自律神経に支配されます。心筋には骨格筋と同じく横紋があります。

試験に出る

  • 腎臓が不要な物質の排出と水分・電解質の調整を行う点。
  • 糸球体とボウマン嚢からなる腎小体と尿細管がネフロンを構成し、原尿の多くが再吸収される点。
  • 尿量の多さが腎機能の良さの証拠とは限らない点。
  • 水晶体の厚みで遠近の焦点調節を行い、網膜の視細胞の働きにビタミンAが必要な点。
  • 内耳の蝸牛は聴覚、前庭(耳石器官と半規管)は平衡感覚を担う点。
  • 皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層で、角質層がバリア機能を担う点。
  • 骨格筋は随意筋で体性神経、平滑筋・心筋は不随意筋で自律神経に支配される点。

重要な言葉

原尿
腎小体で血液から濾過された液体。多くが尿細管で再吸収される。
再吸収
原尿から必要な水分等を体へ戻す働き。
水晶体
眼で光を屈折させる部分。近くを見るときは丸く厚みが増し、遠くを見るときは扁平になる。
半規管
内耳の前庭の一部で、体の回転や傾きを感知する。
ネフロン
腎小体と尿細管からなる腎臓の基本的な機能単位。
随意筋
自分の意識どおりに動かせる筋組織。骨格筋がこれにあたる。

確認問題

確かめよう濾過された水分はすべて尿になる?

いいえ。多くが再吸収されます。

濾過された原尿は、そのすべてが尿として排出される。

尿量が多いことは、腎機能が必ず良い証拠である。

眼で光を神経の情報へ変える部分は?

平衡感覚に関係する器官は?

は血液から不要な物質を排出するだけでなく、体内の水分やの調整にも関わります。

腎臓で血液から濾過されたの多くはされ、必要な水分等が体へ戻ります。残ったものが尿として尿管・膀胱へ進みます。

は光・音などの刺激を神経情報へ変え、骨やは体を支え動かします。器官の名前と、受け取る刺激・行う調整を対応させます。

尿量が多いことを、が必ず良い証拠と決めつけないようにします。と再吸収は異なる働きです。

眼の角膜・は光を屈折させ、で光を神経の情報へ変えます。耳の蝸牛は音、前庭(半規管を含む)は平衡感覚に関係します。皮膚は表皮・真皮等からなり、バリアと体温調節も担います。器官の名前を症状だけでなく働きと結び付けます。

脳神経系

脳神経系とは、脳と脊髄を中心に体の各部の情報を伝え、意識せず働く自律神経も含む仕組みです。交感神経と副交感神経が臓器の働きを調整します。

エルくんが説明する図解。交感=活動/副交感=休息の心臓・消化管への作用を対比。
交感神経が優位な場面では心拍増加などが起こり、副交感神経は消化管の活動を促す方向に働きます。ただし、すべての器官で単純な反対作用になるわけではありません。

緊張すると心拍が速くなり、休息時には消化が進みやすくなります。自律神経は意識せず体の状態を調整します。

脳神経系
器官・区分機能・判断
中枢神経脳・脊髄
体性神経知覚・随意運動
交感神経瞳孔散大・心拍数増加・気管支拡張・腸の運動低下
副交感神経瞳孔収縮・心拍数減少・腸の運動亢進・排尿促進
神経伝達物質交感神経はノルアドレナリン、副交感神経はアセチルコリン(エクリン腺は例外)
抗コリン作用口渇・便秘・排尿困難・眼圧上昇の理由

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。左の薬から右へ矢印を分岐させ、上段は「目的の器官」、下段は「抗コリン作用」を経て口と膀胱につなぐ。下段の矢印は点線にし、目的以外にも影響が及ぶ場合を示す。
覚えること:抗コリン作用で口渇・排尿困難も

交感神経が優位な場面では心拍増加などが起こり、副交感神経は消化管の活動を促す方向に働きます。ただし、すべての器官で単純な反対作用になるわけではありません。

中枢神経は脳・脊髄、末梢神経はそこから伸びる神経です。自律神経に作用する薬は、目的の器官以外にも影響を及ぼすことがあります。

抗コリン作用による口渇や排尿困難などは、薬効と別の不思議な現象ではなく、作用部位の広がりから理解できます。

中枢・末梢と自律神経

中枢・末梢と自律神経の図解。中央の交感神経の節後線維を左右に分け、左は通常の末端からノルアドレナリンが出る図、右はエクリン腺につながる末端からアセチルコリンが出る図にする。左右を仕切り、どちらも末端から放出物質へ短い矢印を向ける。
覚えること:エクリン腺の交感神経末端はアセチルコリン

中枢神経は脳と脊髄、末梢神経は体性神経と自律神経などに分けます。体性神経は随意運動や知覚、自律神経は心拍、気道、消化、排尿、発汗など無意識の調節に関わります。小児は血液脳関門が未発達で、医薬品の成分が脳に達しやすくなります。

交感神経の活動では瞳孔散大、心拍数増加、気管支拡張、腸の運動低下、排尿筋の弛緩(排尿抑制)、発汗亢進などが起こります。副交感神経では瞳孔収縮、心拍数減少、胃液分泌亢進、腸の運動亢進、排尿筋の収縮(排尿促進)などが起こります。汗腺は交感神経だけが支配し、単純に逆とは限りません。

交感神経の節後線維の末端からはノルアドレナリン、副交感神経の節後線維の末端からはアセチルコリンが放出されます。ただし、全身に分布するエクリン腺を支配する交感神経線維の末端では、例外的にアセチルコリンが放出されます。

抗コリン作用はアセチルコリンの働きを抑え、口渇、便秘、排尿困難、眼圧上昇の懸念などを生じ得ます。緑内障や前立腺肥大症がある人の使用上の注意と結び付けます。

試験に出る

  • 交感神経が優位なときの心拍増加など、副交感神経との働きの違い。
  • 自律神経は意識せず体の状態を調整する点。
  • 中枢神経(脳・脊髄)と末梢神経の区別。
  • 自律神経に作用する薬は目的以外の器官にも影響し得る点。
  • 抗コリン作用による口渇や排尿困難の理由。
  • 交感神経はノルアドレナリン、副交感神経はアセチルコリンを放出し、汗腺(エクリン腺)では例外的にアセチルコリンが放出される点。

重要な言葉

自律神経
意識せずに体の状態を調整する神経。
交感神経
心拍増加など、体を活動方向へ導く神経。
副交感神経
消化管の活動を促すなど、休息方向に働く神経。
抗コリン作用
口渇や排尿困難などの症状に関わる薬の作用。

確認問題

確かめよう抗コリン作用と口の渇きは関係する?

はい。唾液分泌の抑制などが関係します。

自律神経は、意識して体の状態を調整する神経である。

自律神経に作用する薬は、目的の器官以外にも影響を及ぼすことがある。

心拍を増加させる方向に働くのは?

抗コリン作用で起こることがある症状は?

緊張するとが速くなり、休息時には消化が進みやすくなります。は意識せず体の状態を調整します。

が優位な場面では心拍増加などが起こり、は消化管の活動を促す方向に働きます。ただし、すべての器官で単純な反対作用になるわけではありません。

中枢神経は脳・脊髄、はそこから伸びる神経です。自律神経に作用する薬は、目的の器官以外にも影響を及ぼすことがあります。

によるや排尿困難などは、薬効と別の不思議な現象ではなく、作用部位の広がりから理解できます。

薬が働く仕組み

薬が働く仕組みとは、飲んだ薬が体内で吸収・分布・代謝・排泄される流れと、作用部位に届くまでの過程です。この薬物動態をADMEとして整理します。

消化管から血管、作用部位へ薬の模型を移し、肝臓の代謝と腎臓の排泄を別の矢印で示す図。
消化管から吸収された成分は血液で分布し、主に肝臓などで代謝され、腎臓などから排泄されます。各段階の機能が変わると血中濃度も変わります。

飲んだ薬はすぐに作用部位へ瞬間移動するのではありません。体内の移動と変化を順に追います。

薬が働く仕組み
過程内容
吸収投与部位から血液中へ移る。内服薬は主に小腸で吸収
分布血流に乗って全身の組織・器官へ運ばれる
代謝主に肝臓で化学的に変化し、不活性化や代謝的活性化が起こる
排泄主に腎臓から尿中へ。胆汁中・呼気中にも排出される
血漿タンパク質との結合代謝・排泄されにくく、作用が持続する

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。左の消化管から中央の肝臓などを経て、右の全身循環へ向かう一本の矢印で示す。全身循環の手前に仕切り線を置き、その前に起こる代謝を強調する。
覚えること:消化管吸収後、全身循環前に肝臓などで代謝

消化管から吸収された成分は血液で分布し、主に肝臓などで代謝され、腎臓などから排泄されます。各段階の機能が変わると血中濃度も変わります。

吸収・分布・代謝・排泄をADMEとして整理します。初回通過効果は、消化管から吸収された薬が全身循環へ入る前に肝臓などで代謝される影響です。

外用薬なら全身への影響が絶対にないわけではありません。投与経路が違っても吸収される成分があり、使用量・部位などを確認します。

ADMEと剤形・投与経路

ADMEと剤形・投与経路の図解。画面を上下に仕切り、上段は経口薬が小腸→門脈→肝臓での代謝→全身循環へ進む矢印を描く。下段は舌下錠が口腔粘膜から吸収され、肝臓を経由せず心臓へ至る矢印を描く。
覚えること:経口は肝臓経由、舌下は肝臓を経ず心臓へ

有効成分は主に小腸で吸収され、消化管からの吸収は濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散する現象です。経口薬は吸収後、門脈を経て肝臓で代謝を受けてから全身循環に入るため、全身に届く量は吸収量より少なくなります(肝初回通過効果)。

坐剤は直腸内壁の粘膜から、舌下錠などは口腔粘膜から吸収され、肝臓を経由せずに心臓へ至るため初回通過効果を受けません(坐剤でも直腸上部から吸収された分は肝臓で代謝を受けます)。坐剤は内服より全身作用が速やかに現れます。外用薬でも皮膚・粘膜から吸収された成分は肝臓で代謝を受ける前に全身へ分布するため、使用量や使用回数によっては全身作用が現れます。

多くの有効成分は血液中で血漿タンパク質と複合体を形成し、その分子は代謝されず、腎臓で濾過もされないため、作用が持続する原因になります。有効成分の多くは腎臓から尿中へ排泄されるため、腎機能が低下した人では血中濃度が下がりにくく、効き目が過剰に現れたり副作用が生じやすくなったりします。

血中濃度が最小有効濃度(閾値)を超えると薬効が現れ、ピークの後は代謝・排泄により低下します。一度に大量に摂取しても薬効は頭打ちになる一方、副作用や毒性は現れやすくなります。使用量と使用間隔は、血中濃度が有効域(治療域)に保たれるよう定められています。

剤形ごとの特徴

剤形ごとの特徴の図解。中央を縦線で仕切り、左に錠剤を水で飲み込んで胃・腸で崩壊するまでを下向きの矢印で示す。右は小さな口の模式図で、口腔内崩壊錠が唾液で溶け、水なしで服用できる例外を示す。
覚えること:錠剤は原則、適量の水で飲む

錠剤(内服)は胃や腸で崩壊して有効成分が溶け出すことが薬効発現の前提なので、例外を除いて口中で噛み砕かず、適切な量の水とともに飲み込みます。特に腸溶錠は噛み砕いてはなりません。口腔内崩壊錠とチュアブル錠は水なしで服用できます。

経口液剤は比較的速やかに吸収されて血中濃度が上昇しやすく、習慣性や依存性がある成分では不適正な使用につながることがあります。カプセル剤の原材料のゼラチンはブタなどのタンパク質を主成分とするため、ゼラチンにアレルギーがある人は注意します。

軟膏剤は油性の基剤で皮膚への刺激が弱く、患部が乾燥していても浸潤していても使えます。クリーム剤は油性基剤に水分を加えたもので、患部を水で洗い流したい場合等に用いますが、刺激が強いため傷等への使用は避けます。外用液剤は患部が乾きやすく、貼付剤は薬効が持続する反面かぶれを起こすことがあります。

剤形ごとの特徴
剤形特徴・注意点
口腔内崩壊錠唾液で速やかに溶け、水なしで服用できる
チュアブル錠舐めたり噛み砕いたりして服用し、水なしでも服用できる
舌下錠舌下で溶かして口腔粘膜から吸収させる
散剤・顆粒剤顆粒剤は表面がコーティングされたものもあり、噛み砕かない
カプセル剤ゼラチンのアレルギーに注意。水なしで飲むと喉や食道に貼り付くことがある
軟膏剤・クリーム剤軟膏剤は刺激が弱く、クリーム剤は刺激が強いため傷には避ける

試験に出る

  • 薬が作用部位へすぐ移動するわけではない点。
  • 有効成分は主に小腸で吸収され、消化管からの吸収は濃度の高い方から低い方への受動的な拡散である点。
  • 坐剤・舌下錠などは肝臓を経由せずに全身循環に入り、初回通過効果を受けない点。
  • 血漿タンパク質と結合した成分は代謝・排泄されにくく、作用が持続する原因になる点。
  • 最小有効濃度を超えると薬効が現れ、量を増やしても薬効は頭打ちになる一方で副作用は現れやすくなる点。
  • 剤形ごとの特徴(口腔内崩壊錠、チュアブル錠、腸溶錠、カプセル剤、軟膏剤とクリーム剤など)。

重要な言葉

ADME
吸収・分布・代謝・排泄の4段階を表す言葉。
初回通過効果
吸収された薬が全身循環へ入る前に肝臓などで代謝される影響。
薬物動態
薬が体内で吸収・分布・代謝・排泄される動き。
最小有効濃度
薬効が現れ始める血中濃度(閾値)。これを下回ると薬効は消失する。
腸溶錠
腸内での溶解を目的に表面をコーティングした錠剤。口中で噛み砕いてはならない。

確認問題

確かめよう腎機能の低下が排泄される薬の作用に関係する?

はい。体内に残る量が変わる場合があります。

飲んだ薬は、すぐに作用部位へ届いて働く。

外用薬でも、全身への影響がまったくないとは言い切れない。

ADMEに含まれないものは?

初回通過効果が起こる主な場所は?

飲んだ薬はすぐにへ瞬間移動するのではありません。体内の移動と変化を順に追います。

消化管からされた成分は血液で分布し、主になどで代謝され、腎臓などから排泄されます。各段階の機能が変わると血中濃度も変わります。

吸収・分布・代謝・排泄をとして整理します。は、消化管から吸収された薬が全身循環へ入る前に肝臓などで代謝される影響です。

なら全身への影響が絶対にないわけではありません。投与経路が違っても吸収される成分があり、使用量・部位などを確認します。

主な副作用

主な副作用とは、薬を使った後に現れる、望ましくない症状や反応です。緊急性の高いものを見逃さず、中止や相談、受診へ結び付けることが大切です。

エルくんが説明する図解。薬使用→息苦しさ/皮膚症状→緊急対応の赤い短い経路。
急な息苦しさ、じんましん、血圧低下などが重なる場合は、アナフィラキシーなど緊急性のある反応が疑われます。重い症状では救急要請等の対応が必要です。

薬を使った後の症状には、早急な対応が必要なものがあります。初期症状と重篤な副作用の結び付きを学びます。

主な副作用
初期症状の組合せ疑う副作用・対応
蕁麻疹・息苦しさ・顔面蒼白・冷や汗などが急に現れるショック(アナフィラキシー)。直ちに救急救命処置が可能な医療機関へ
38℃以上の高熱・目の充血・口唇のただれ・広範囲の発赤SJS・TEN。使用を中止し直ちに皮膚科の専門医へ
全身の倦怠感・黄疸・発疹・掻痒感肝機能障害。使用を中止し医師の診療へ
手足の脱力・血圧上昇・むくみ・こむら返り偽アルドステロン症。使用を中止し医師の診療へ
息切れ・空咳・発熱間質性肺炎。使用を中止し速やかに医師の診療へ

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。正方形の中央に添付文書の副作用欄を大きく置き、「急な息苦しさ」「じんましん」「血圧低下」の3つを矢印で「症状が重なる」に集める。そこから右下へ矢印を伸ばし、「重い症状なら救急要請等」と示す。
覚えること:重い症状では救急要請等

急な息苦しさ、じんましん、血圧低下などが重なる場合は、アナフィラキシーなど緊急性のある反応が疑われます。重い症状では救急要請等の対応が必要です。

重篤な皮膚粘膜障害では高熱、皮膚や粘膜の異常などが現れることがあります。添付文書の副作用欄は、名称だけでなく気付くための症状と対応をセットで読みます。

軽い副作用と自己判断して服用を続ける案内をしないようにします。症状だけから販売者が病名を確定することもできません。

間質性肺炎では空咳、息切れ、発熱等、肝機能障害では全身の倦怠感、黄疸(皮膚や白目の黄染)等が手掛かりになる場合があります。偽アルドステロン症では手足の脱力、血圧上昇、むくみ等に注意します。症状だけで診断するのではなく、服用後の異常を見逃さず中止・相談へ結び付けます。

重篤な副作用の初期症状と対応

重篤な副作用の初期症状と対応の図解。左の「重い副作用の疑い」から中央の「使用中止」へ矢印を引き、右側で「緊急性に応じて」を挟んで「救急」「医療機関」へ矢印を分ける。仕切りで左側の疑いと右側の対応を区別し、全体を一つの場面に収める。
覚えること:重い副作用疑いは中止、緊急度で救急・受診

全身的に現れる副作用には、ショック(アナフィラキシー)、重篤な皮膚粘膜障害、肝機能障害、偽アルドステロン症、病気等に対する抵抗力の低下等があります。ショック(アナフィラキシー)では顔や上半身の紅潮・熱感、皮膚の痒み、蕁麻疹、口唇や舌・手足のしびれ感、むくみ、顔面蒼白、冷や汗、息苦しさなどの複数の症状が現れ、通常2時間以内に急変します。

皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群、SJS)は38℃以上の高熱を伴い、発疹・発赤、火傷様の水疱等が全身の皮膚や口・眼等の粘膜に現れます。中毒性表皮壊死融解症(TEN、ライエル症候群)は38℃以上の高熱を伴い、全身の10%以上に火傷様の水疱、皮膚の剥離、びらん等が認められます。発生頻度は人口100万人当たり年間SJSが1〜6人、TENが0.4〜1.2人と報告されています。

SJSとTENはいずれも原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多いものの、1か月以上経ってから起こることもあります。両眼に現れる急性結膜炎は、皮膚や粘膜の変化とほぼ同時期又は半日〜1日程度先行して生じることがあり、前兆として重要です。

肝機能障害は、有効成分又はその代謝物の直接的肝毒性による中毒性のものと、抗原抗体反応によるアレルギー性のものに大別されます。主な症状は全身の倦怠感、黄疸、発熱、発疹、皮膚の掻痒感、吐きけ等で、軽度では自覚症状がなく血液検査で判明することが多いです。

偽アルドステロン症は、体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、カリウムが失われて生じます。手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、こむら返り、倦怠感、むくみ等が現れ、低身長・低体重など体表面積が小さい人や高齢者で生じやすく、長期服用後に初めて発症することもあります。

白血球(好中球)の減少では突然の高熱、悪寒、喉の痛み、口内炎等、血小板の減少では鼻血、歯ぐきからの出血、手足の青あざ(紫斑)等が現れることがあります。精神神経系には精神神経障害や無菌性髄膜炎(首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、発熱、吐きけ・嘔吐、意識混濁等)があります。

重い副作用が疑われたら使用を中止し、緊急性に応じて救急・医療機関へつなぎます。受診を勧める際は、その一般用医薬品の添付文書等を見せて説明するとよいでしょう。症状だけで販売者が確定診断することはできず、副作用報告や救済制度の説明は緊急対応の代わりではありません。

局所に現れる副作用

局所に現れる副作用の図解。中央のエルくんが腕から剥がした貼付剤を持ち、左上から紫外線の矢印が腕の皮膚へ向かう。腕の発疹に「光線過敏症」を添え、場面は分割しない。
覚えること:貼付剤を剥がした後も紫外線で発症

消化器系では、消化性潰瘍(胃のもたれ、胸やけ、空腹時のみぞおちの痛み、消化管出血による黒い便など)や、腸管運動の麻痺によるイレウス様症状(激しい腹痛、ガス排出の停止、嘔吐、腹部膨満感を伴う著しい便秘)が起こることがあります。イレウス様症状は小児や高齢者、便秘傾向のある人で発症リスクが高くなります。

呼吸器系では、間質性肺炎が医薬品の使用開始から1〜2週間程度で起きることが多く、必ずしも発熱は伴いません。喘息はアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症成分を含む解熱鎮痛薬などの使用後、1時間以内に鼻水・鼻づまりが現れ、続いて咳、喘鳴、呼吸困難を生じます。内服薬のほか坐薬や外用薬でも誘発されます。

循環器系ではうっ血性心不全や不整脈、泌尿器系では腎障害、排尿困難・尿閉、膀胱炎様症状があります。抗コリン作用がある成分では、排尿困難のほか、眼房水が排出されにくくなって眼圧が上昇することがあり、閉塞隅角緑内障がある人では厳重な注意が必要です。

皮膚では接触皮膚炎、光線過敏症、薬疹があります。接触皮膚炎は医薬品が触れた部分にのみ生じ、正常な皮膚との境界がはっきりしています。光線過敏症は紫外線に曝されて起こり、全身へ広がることがあり、貼付剤では剥がした後でも発症します。薬疹は使用後1〜2週間で起きることが多いものの、長期使用後に現れることもあります。

局所に現れる副作用
部位主な副作用押さえる症状・特徴
消化器系消化性潰瘍・イレウス様症状黒い便、激しい腹痛、ガス排出の停止、著しい便秘
呼吸器系間質性肺炎・喘息息切れ・空咳・発熱、使用後1時間以内の鼻水・鼻づまりから喘鳴
循環器系うっ血性心不全・不整脈息切れ、足のむくみ、動悸、脈の欠落
泌尿器系腎障害・排尿困難・膀胱炎様症状尿量の減少、尿が出にくい、頻尿・排尿時の疼痛
感覚器系眼圧上昇眼痛・充血・急激な視力低下。閉塞隅角緑内障で要注意
皮膚接触皮膚炎・光線過敏症・薬疹触れた部分に限局、紫外線で発症、使用後1〜2週間

試験に出る

  • ショック(アナフィラキシー)は即時型のアレルギー反応で、通常2時間以内に急変する点。
  • SJSとTENは38℃以上の高熱を伴い、原因医薬品の使用開始後2週間以内の発症が多いが1か月以上経ってからのこともある点。
  • 偽アルドステロン症は塩分と水が貯留しカリウムが失われる病態で、体表面積が小さい人や高齢者で生じやすい点。
  • 間質性肺炎(息切れ・空咳・発熱)は使用開始から1〜2週間程度で起きることが多く、発熱を伴わないこともある点。
  • 肝機能障害には中毒性とアレルギー性があり、軽度では自覚症状がないことが多い点。
  • 抗コリン作用による排尿困難は前立腺肥大等の基礎疾患がない人や女性でも起こる点。
  • 軽い副作用と自己判断して服用を続けない点。

重要な言葉

アナフィラキシー
生体異物に対する即時型のアレルギー反応。蕁麻疹、息苦しさなど複数の症状が現れ、急速に悪化する。
間質性肺炎
肺胞と毛細血管を取り囲む間質の炎症。空咳・息切れ・発熱などが手掛かりになる。
肝機能障害
全身の倦怠感や黄疸などが手掛かりになる副作用。中毒性とアレルギー性がある。
偽アルドステロン症
アルドステロン分泌が増えていないのに、塩分と水が貯留しカリウムが失われる病態。
無菌性髄膜炎
髄液に細菌が検出されない髄膜炎。全身性エリテマトーデスなどの基礎疾患がある人で発症リスクが高い。

確認問題

確かめよう薬の後の息苦しさを「慣れるまで続ける」で済ませてよい?

いいえ。緊急性を考えて医療につなげます。

薬の後の息苦しさは、慣れるまで服用を続けてよい。

副作用の症状は、販売者がそれだけで病名を確定できる。

医薬品の副作用による排尿困難は、前立腺肥大等の基礎疾患がない人や女性でも現れることがある。

アナフィラキシーで疑われる症状の組み合わせは?

間質性肺炎の手掛かりになりやすい症状は?

薬を使った後の症状には、早急な対応が必要なものがあります。初期症状との結び付きを学びます。

急な、じんましん、血圧低下などが重なる場合は、など緊急性のある反応が疑われます。重い症状では救急要請等の対応が必要です。

重篤なでは高熱、皮膚や粘膜の異常などが現れることがあります。添付文書の副作用欄は、名称だけでなく気付くための症状と対応をセットで読みます。

軽い副作用と自己判断して服用を続ける案内をしないようにします。症状だけから販売者がを確定することもできません。

では空咳、息切れ、発熱等、では全身の倦怠感、黄疸(皮膚や白目の黄染)等が手掛かりになる場合があります。偽アルドステロン症では手足の脱力、血圧上昇、むくみ等に注意します。症状だけで診断するのではなく、服用後の異常を見逃さず中止・相談へ結び付けます。

覚えるポイント

  • 消化器系:消化酵素は栄養素を分解し、胆汁は脂肪を細かく分散させ消化を助けます。胆汁自体が消化酵素であるわけではありません。
  • 呼吸器・循環器:肺循環は心臓と肺、体循環は心臓と全身を結びます。動脈・静脈は酸素の多さではなく、心臓から出るか戻るかで区別します。
  • 泌尿器・感覚器・運動器:感覚器は光・音などの刺激を神経情報へ変え、骨や筋肉は体を支え動かします。器官の名前と、受け取る刺激・行う調整を対応させます。
  • 脳神経系:中枢神経は脳・脊髄、末梢神経はそこから伸びる神経です。自律神経に作用する薬は、目的の器官以外にも影響を及ぼすことがあります。
  • 薬が働く仕組み:吸収・分布・代謝・排泄をADMEとして整理します。初回通過効果は、消化管から吸収された薬が全身循環へ入る前に肝臓などで代謝される影響です。
  • 主な副作用:重篤な皮膚粘膜障害(SJS・TEN)は38℃以上の高熱を伴い、原因医薬品の使用開始後2週間以内に発症することが多いものの、1か月以上経ってから起こることもあります。添付文書の副作用欄は、名称だけでなく気付くための症状と対応をセットで読みます。

出典・参考資料

試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。

編集:Pinternet Works · 更新日:

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