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日商簿記検定 · 学習ガイド

原価要素の分類

原価要素とは

原価要素とは、製品の原価を構成する材料費・労務費・経費を、発生形態や製品への追跡可能性、操業度との関係など複数の軸で分類したものです。

上段で注文にひもづく木材と工場全体の照明を直接費・間接費に分け、下段では生産量が変わっても一定の家賃を固定費として示す図。
特注机に使った木材は直接材料費、工場全体の照明電気代は製造間接費です。工場家賃は製造量にかかわらず一定なら固定費としても整理できます。

原価は、何に使ったかだけでなく、どの製品に使ったかが分かるかでも分類します。異なる分類軸を重ねて考えます。

原価要素の分類
分類軸区分判定する問い
形態材料費・労務費・経費何に使ったか
追跡可能性直接費・間接費特定製品へ直接結び付くか
操業度変動費・固定費生産量に応じて変わるか

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。中央の「工場の電気代」から左右に矢印を伸ばし、縦の仕切りで分けた左側に「追跡可能性→間接費」、右側に「製造量で変化→変動費」を配置する。右の矢印には「製造量で変化する場合」という条件を添える。
覚えること:間接費も製造量で変化すれば変動費

特注机に使った木材は直接材料費、工場全体の照明電気代は製造間接費です。工場家賃は、製造量にかかわらず一定なら固定費としても整理できます。

材料費・労務費・経費は形態別、直接費・間接費は製品への追跡可能性、変動費・固定費は操業度との関係による分類です。

間接費がすべて固定費というわけではありません。工場の電気代のように、製造量に応じて変化する間接費もあります。

材料の消費量は、継続記録法なら材料元帳の払出記録から、棚卸計算法なら月初在庫+当月購入−月末在庫で求めます。直接材料費は仕掛品へ、間接材料費は製造間接費へ振り替えます。直接工の賃金でも、間接作業時間や手待時間の分は間接労務費です。段取時間は加工時間とともに直接作業時間に含まれ、直接労務費になります。人の肩書きではなく、何の作業時間かで確認します。

三つの分類軸を重ねる

三つの分類軸を重ねるの図解。中央の「原価要素」カードに、エルくんが透明な分類シートを重ねる。シートは上下3段に分け、上段に形態別の「材料費・労務費・経費」、中段に製品への追跡可能性による「直接費・間接費」、下段に操業度との関係による「変動費・固定費」を配置し、三つの軸が同じ原価要素にかかることを示す。
覚えること:形態・製品への追跡・操業度で分類

形態別には材料費・労務費・経費、製品への追跡可能性では直接費・間接費、操業度との関係では変動費・固定費です。直接材料費は特定製品へ追跡できる材料、間接材料費は工場全体の消耗品等です。直接工の賃金でも、間接作業時間と手待時間の分は製造間接費(間接労務費)です。

2026年公開第4問(1)の購入代価は、素材5,000kg×800円+買入部品300個×125円=403万7,500円です。購入代価の8%を材料副費として予定配賦するので32万3,000円を加え、材料の購入原価は436万500円です。仕訳は(借)材料4,360,500/(貸)買掛金4,037,500・材料副費323,000です。

材料の消費単価・予定価格・棚卸減耗

材料の消費単価・予定価格・棚卸減耗の図解。正方形の左に月初分100kgと購入分400kgを順に並べ、右の消費箱へ月初分100kg→購入分250kgの順で矢印を引く。購入分は仕切りで250kgと残り150kgに分け、消費箱の下に「100×500+250×550=18万7,500円」を置く。
覚えること:先入先出法は先に受け入れた分から払出す

同じ材料を異なる単価で購入したときは、消費単価を先入先出法か平均法で決めます。月初100kg(@500円)、当月購入400kg(@550円)、当月消費350kgなら、先入先出法の消費額は100×500+250×550=18万7,500円です。総平均法では(5万円+22万円)÷500kg=@540円なので18万9,000円です。

予定価格を使う場合は、予定価格×実際消費量で消費額を計上し、実際消費額との差を材料消費価格差異とします。予定価格@520円なら予定消費額は18万2,000円です。先入先出法による実際消費額18万7,500円との差5,500円は不利差異(借方差異)で、(借)材料消費価格差異5,500/(貸)材料5,500と振り替えます。

帳簿棚卸数量と実地棚卸数量の差は棚卸減耗です。先入先出法で帳簿残高150kg(@550円)、実地棚卸145kgなら、減耗5kg×550円=2,750円です。正常な範囲の減耗は間接経費として、(借)製造間接費2,750/(貸)材料2,750と処理します。

材料の消費単価・予定価格・棚卸減耗
方法消費単価の決め方設例の消費額
先入先出法先に受け入れた分から順に払い出す18万7,500円
平均法(総平均法)月初在庫と当月受入の平均単価@540円×350kg=18万9,000円
予定価格あらかじめ定めた単価@520円×350kg=18万2,000円(実際との差5,500円は不利)

賃金消費額と作業時間

賃金消費額と作業時間の図解。正方形の中央に、予定賃率1,800円を掛ける計算機を置く。左の3枚の時間カードから右へ矢印を伸ばし、直接作業は上段の仕掛品へ、間接作業と手待時間は合流させて下段の製造間接費へ送る。
覚えること:直接工は就業時間全体×予定賃率

2026年公開第4問(1)では、直接工の予定賃率1,800円×直接作業1,200時間=216万円が直接労務費(仕掛品)です。間接作業300時間分の54万円と手待時間5時間分の9,000円は、製造間接費へ振り替えます。直接工の消費額は、直接作業時間だけでなく就業時間全体に賃率を掛けて計算します。

間接工の消費額は要支払額で、当月支払40万円−前月未払18万円+当月未払22万円=44万円を製造間接費とします。仕訳は(借)仕掛品2,160,000・製造間接費989,000/(貸)賃金・給料3,149,000です。当月の支払額と当月の消費額は一致しません。

予定賃率による消費額と実際消費額(要支払額)の差は賃率差異です。仮に直接工の実際消費額が275万円なら、予定消費額270万9,000円(1,800円×1,505時間)との差4万1,000円は不利差異で、(借)賃率差異41,000/(貸)賃金・給料41,000と振り替えます。

試験に出る

  • 材料費・労務費・経費は、発生形態による分類である。
  • 直接費は特定の製品に直接対応する費、間接費は複数製品に共通して配賦する費である。
  • 変動費は操業度に比例して変化し、固定費は操業度にかかわらず一定である。
  • 間接費でも変動費はあり、直接性と変動性は別の軸である。
  • 直接工の賃金は、直接作業時間(段取時間+加工時間)分が直接労務費、間接作業時間・手待時間分が間接労務費となる。
  • 材料の購入原価は、購入代価に材料副費(予定配賦額を含む)を加えて計算する。
  • 間接工の消費額は、当月支払高−前月未払高+当月未払高の要支払額で計算する。
  • 予定価格・予定賃率で計上した消費額と実際消費額の差は、材料消費価格差異・賃率差異とする。

重要な言葉

形態別分類
材料費・労務費・経費という発生形態による分類。
直接費
特定の製品に直接対応させられる費用。
製造間接費
複数の製品に共通し、配賦して各製品に割り当てる費用。
変動費
操業度の変化にほぼ比例して増減する費用。
材料副費
引取運賃や検収費など、材料の購入や保管に付随する費用。購入代価に加えて購入原価とする。
材料消費価格差異
予定価格で計算した材料消費額と、実際の消費額との差。
要支払額
当月支払高から前月未払高を引き、当月未払高を加えた、当月に消費した賃金の額。

確認問題

確かめよう特定製品に直接対応しない費用は必ず固定費ですか。

いいえ。直接性と変動性は別の軸です。

特定の製品に直接対応しない費用は、必ず固定費である。

直接工が段取りに要した時間の賃金は、間接労務費とする。

予定賃率で計上した直接工の消費額が実際消費額より小さい場合、賃率差異は不利差異になる。

工場全体の照明電気代のように、複数製品に共通する費用はどれか。

変動費と固定費を分ける視点は?

間接工の前月未払高18万円、当月支払高40万円、当月未払高22万円のとき、当月の消費額は?

原価は、何に使ったかだけでなく、どの製品に使ったかが分かるかでも分類します。異なるを重ねて考えます。

特注机に使った木材は、工場全体の照明電気代は製造間接費です。工場家賃は、製造量にかかわらず一定なら固定費としても整理できます。

材料費・労務費・経費は、直接費・間接費は製品への追跡可能性、変動費・固定費は操業度との関係による分類です。

がすべてというわけではありません。工場の電気代のように、製造量に応じて変化する間接費もあります。

材料の消費量は、継続記録法なら材料元帳の払出記録から、棚卸計算法なら月初在庫+当月購入−月末在庫で求めます。直接材料費は仕掛品へ、間接材料費は製造間接費へ振り替えます。直接工の賃金でも、間接作業時間や手待時間の分はです。段取時間は加工時間とともに直接作業時間に含まれ、直接労務費になります。人の肩書きではなく、何の作業時間かで確認します。

出典・参考資料

試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。

編集:Pinternet Works · 更新日:

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