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日商簿記検定 · 学習ガイド

商業簿記

資産の評価、収益を認識する時点、株式会社の資本と税金を整理します。取引の目的や契約の内容に応じて、記録する科目と金額を考えます。

仕組みを理解する

資産・負債の会計処理

資産の期末評価とは、資産を取得した金額のままにせず、保有目的や回収可能性に応じて決算日に見直す手続きです。有価証券や固定資産、債権などで測り方が異なります。

エルくんが説明する図解。取得10万円→時価11万円、差1万円が評価益へ移る図。
考え方の例(売買目的有価証券の評価益):売買目的有価証券を10万円で買い、期末時価が11万円なら、評価額を1万円増やして評価益を計上します。短期売買の成果に時価変動を反映するためです。

資産は取得した金額のままずっと表示されるとは限りません。保有目的や回収可能性に応じて、期末の評価を考えます。

資産・負債の会計処理
資産・負債の論点最初の分類決算時の処理
銀行勘定調整企業側の誤記か銀行との時間差か企業帳簿修正と調整表を分ける
建設中の固定資産完成前か引渡し後か建設仮勘定を建物等へ振替
売買目的有価証券短期売買目的時価差額を損益
満期保有目的債券満期まで保有金利調整差額は償却原価
その他有価証券上記等以外の保有時価差額を原則純資産へ

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。左に購入時の10万円、右に期末時価の11万円を置き、左から右への矢印の上に「+1万円」を示す。右側の下に評価益1万円を配置し、時価の上昇分が評価益になる関係を見せる。
覚えること:売買目的は期末の時価上昇分を評価益に

売買目的有価証券を10万円で買い、期末時価が11万円なら、評価額を1万円増やして評価益を計上します。短期売買の成果に時価変動を反映するためです。

有価証券は保有目的によって処理が変わります。固定資産では減価償却、債権では貸倒見積りなど、それぞれ何を測る調整なのかを区別します。

すべての有価証券の評価差額を当期損益へ入れてよいわけではありません。まず区分と問題の指定を確認します。

銀行勘定調整では、企業と銀行の記録時点の違いと、企業側の記帳漏れを分けます。銀行だけが先に記録した振込入金は企業の帳簿を直しますが、未取付小切手は企業が既に支払いを記録しているため、同じ支払仕訳を重ねません。

満期保有目的債券を額面10万円、取得価額9万7千円で買い、差額3千円が金利の調整で、取得日から満期日まで3年の定額法なら、1年の償却額は1,000円です。その他有価証券の評価差額は純資産へ計上するため、売買目的の評価損益と分けます。

取得に直接必要な付随費用は、固定資産の取得原価へ含めるのが基本です。修繕費となる維持・原状回復と、価値や耐用年数を増す資本的支出を区別します。2級のソフトウェアは自社利用に限られ、完成前の支出はソフトウェア仮勘定、完成後はソフトウェア(無形固定資産)として償却します。

現預金・債権を期末残高へ直す

現預金・債権を期末残高へ直すの図解。中央で左右に仕切り、左に企業側の記帳漏れ・誤記→企業帳簿の修正、右に銀行との時間差→調整表で残高を合わせる流れを描く。エルくんは左の企業帳簿だけを修正する。
覚えること:記帳漏れ・誤記は帳簿、時間差は調整表

銀行勘定調整表では、企業側の記帳漏れや金額誤記は企業帳簿を修正し、未取付小切手や未取立小切手など銀行との時間差は調整表で残高を合わせます。同じ支払を再仕訳しません。

債権では、売掛金・受取手形・電子記録債権などの営業債権と、土地など固定資産の売却代金である未収入金・営業外電子記録債権などの営業外債権を区別します。どちらも貸倒引当金の対象ですが、繰入額の表示区分が異なります。

建設代金720万円の倉庫について480万円を工事中に支払い、完成時に残額240万円を小切手を振り出して払うなら、完成前の支出は建設仮勘定としておきます。引渡し時は「建物720万円/建設仮勘定480万円・当座預金240万円」と仕訳し、完成時の支払額240万円だけを建物に計上しません。

手形・電子記録債権の割引・裏書と不渡り

手形・電子記録債権の割引・裏書と不渡りの図解。左に「受取手形10万円」、その下に現金で支払う「償還請求費用1千円」を置き、右の「不渡手形10万1千円」へ2本の矢印で合流させる。左右は仕切らず、一つの振替として描く。
覚えること:不渡り時、償還請求費用も不渡手形に

受け取った手形や電子記録債権は、期日前に銀行で割り引いたり、仕入先へ裏書・譲渡記録して支払いに充てたりできます。割引では額面と入金額の差額を手形売却損(電子記録債権なら電子記録債権売却損)とし、売掛金などを他社へ譲渡したときの差額は債権売却損とします。

手形が期日に支払われない(不渡り)ときは、受取手形を不渡手形へ振り替え、償還請求にかかった費用も不渡手形に含めます。後で回収できなくなれば、貸倒引当金を取り崩し、不足分を貸倒損失とします。

手形・電子記録債権の割引・裏書と不渡り
取引借方貸方
受取手形10万円を銀行で割り引き、割引料2千円を差し引かれ当座預金へ入金当座預金 98,000/手形売却損 2,000受取手形 100,000
受取手形10万円を仕入先へ裏書譲渡し、買掛金を支払う買掛金 100,000受取手形 100,000
電子記録債権10万円を譲渡記録で銀行へ譲渡し、9万8千円が当座預金へ入金当座預金 98,000/電子記録債権売却損 2,000電子記録債権 100,000
受取手形10万円が不渡りとなり、償還請求費用1千円を現金で支払う不渡手形 101,000受取手形 100,000/現金 1,000

有価証券の保有目的を先に決める

有価証券の保有目的を先に決めるの図解。中央の国債から下へ2本の矢印を分け、左を「売買目的」、右を「その他有価証券」として仕切る。どちらも期末時価で評価し、左の評価差額は「損益」、右の評価差額は「純資産」へ向かう矢印で示す。
覚えること:期末時価の評価差額は目的で行き先が違う

売買目的有価証券は期末時価へ評価して差額を損益とします。満期保有目的債券は取得原価で、額面と取得価額との差が金利の調整なら償却原価法を適用します。その他有価証券は期末時価で、全部純資産直入法により評価差額を純資産へ計上します。子会社株式・関連会社株式は取得原価のままです。区分によって売却損益・利息・評価差額の置き場所が変わります。

債券を利払日の間に売買すると、前回の利払日から受渡日までの利息(端数利息)を買手が売手に支払います。買手は有価証券利息を借方、売手は貸方に記録し、有価証券の取得原価や売却価額には含めません。

2026年公開第2問は、同じ国債を売買目的・満期保有目的・その他有価証券と仮定し直して処理を問います。購入時の端数利息55,800円(1月1日から受渡日までの93日分)は有価証券利息の借方へ記録し、取得原価29,865,000円(額面3,000万円×99.55円/100円)とは分けます。

満期保有目的とした場合は、額面との差額135,000円を取得日から満期日までの45か月で月割配分し、当期12か月分36,000円を加えた29,901,000円が期末の帳簿価額です。その他有価証券とした場合は、この償却原価と時価の差額を評価差額とし、税効果30%を差し引いた額をその他有価証券評価差額金とします。

固定資産の取得・除却・買換え

固定資産の取得・除却・買換えの図解。中央に機械の取得原価100万円を一本の帯で描き、上から国庫補助金30万円の矢印を入れる。エルくんが帯から30万円分を外すと残額70万円になり、そこから下の「減価償却の基礎」へ矢印が続く。
覚えること:減価償却は圧縮後の金額が基礎

2級の減価償却は定額法・定率法(200%定率法を含む)・生産高比例法で、記帳は間接法と直接法です。期中に取得・売却した資産は月割で計算します。割賦購入では現金購入価額を取得原価とし、利息部分は支払利息(または前払利息)として区分し、2級では定額法で配分します。

国庫補助金を受けて取得した資産は、補助金を国庫補助金受贈益とし、同額を固定資産圧縮損として取得原価から直接減額します。以後の減価償却は圧縮後の金額が基礎です。除却は帳簿価額と処分見込額の差額を固定資産除却損、買換えは下取価格と旧資産の帳簿価額の差額を売却損益とします。

固定資産の取得・除却・買換え
取引借方貸方
国庫補助金30万円を受け取った機械100万円について、直接控除方式で圧縮記帳する固定資産圧縮損 300,000機械装置 300,000
備品(取得原価50万円、減価償却累計額40万円)を除却し、処分見込額は3万円備品減価償却累計額 400,000/貯蔵品 30,000/固定資産除却損 70,000備品 500,000
旧車両(取得原価200万円、累計額150万円)を40万円で下取りさせ、新車両300万円との差額を現金で払う車両運搬具 3,000,000/車両運搬具減価償却累計額 1,500,000/固定資産売却損 100,000車両運搬具 2,000,000/現金 2,600,000

負債性の引当金

負債性の引当金の図解。中央に1冊の帳簿を大きく描き、左の「当期原因」から見積額を「当期費用」と「引当金」に記録する矢印を引く。帳簿内の右側を縦線で「支払時」と仕切り、引当金を取り崩す矢印と、不足分だけを費用にする枝分かれを示す。
覚えること:当期原因は見積費用、支払時は不足のみ費用

2級では貸倒引当金のほか、賞与引当金・退職給付引当金・修繕引当金・商品保証引当金を扱います。いずれも当期に原因がある将来の支出を見積もり、繰入額を当期の費用にします。実際に支払ったときは引当金を取り崩し、不足分だけを費用にします。

負債性の引当金
引当金決算時の借方決算時の貸方主な表示
賞与引当金賞与引当金繰入賞与引当金流動負債
退職給付引当金退職給付費用退職給付引当金固定負債
修繕引当金修繕引当金繰入修繕引当金流動負債(翌期の修繕分)
商品保証引当金商品保証引当金繰入商品保証引当金流動負債

試験に出る

  • 売買目的有価証券は時価評価し、評価差額を当期の損益へ入れる。
  • 満期保有目的債券は、額面と取得価額の差額が金利の調整と認められるとき、償却原価法(2級は定額法)で取得日から満期日までの期間に配分する。
  • その他有価証券の評価差額は、全部純資産直入法によりその他有価証券評価差額金として純資産の部へ計上する。
  • 銀行勘定調整表では、企業と銀行の記録時点の違いと、企業側の記帳漏れを分けて修正する。
  • 固定資産では、取得原価に含める付随費用と、資本的支出・修繕費の区分が問われる。
  • 債券の端数利息は有価証券の取得原価・売却価額に含めず、有価証券利息で処理する。
  • 手形・電子記録債権の割引や譲渡で生じた差額は、手形売却損・電子記録債権売却損とする。
  • 営業債権に対する貸倒引当金繰入は販売費及び一般管理費、営業外債権に対する繰入は営業外費用に表示する。

重要な言葉

有価証券
売買や保有を目的とする株式・債券などの証券。保有目的によって会計処理が変わる。
貸倒引当金
売掛金などの債権の回収不能に備えて見積もる引当金。貸借対照表では債権から控除する形で表示する。
銀行勘定調整表
企業の帳簿残高と銀行の残高が違う原因を整理して調整する表。
資本的支出
固定資産の価値や耐用年数を高める支出。修繕費と区別する。
端数利息
前回の利払日から売買の受渡日までの債券の利息。買手が売手に支払い、有価証券利息で処理する。
圧縮記帳
国庫補助金などで取得した固定資産の取得原価を、受け入れた補助金の額だけ減額する処理。2級は直接控除方式に限る。
不渡手形
支払期日に支払いを拒絶された手形の債権を、通常の受取手形と区別して記録する勘定。

確認問題

確かめよう売買目的の例で期末評価益はいくらですか。

1万円です。

売買目的有価証券の評価差額は、原則として当期の損益に計上する。

その他有価証券の評価差額も、売買目的と同じように毎期の当期損益へ計上する。

売買目的有価証券を10万円で取得し、期末時価が11万円のときの評価益はいくらか。

満期保有目的債券の取得価額と額面の差額は、どのように処理するか。

資産は取得した金額のままずっと表示されるとは限りません。や回収可能性に応じて、期末の評価を考えます。

を10万円で買い、期末時価が11万円なら、評価額を1万円増やしてを計上します。短期売買の成果に時価変動を反映するためです。

は保有目的によって処理が変わります。固定資産では減価償却、債権では貸倒見積りなど、それぞれ何を測る調整なのかを区別します。

すべての有価証券の評価差額を当期損益へ入れてよいわけではありません。まずと問題の指定を確認します。

銀行勘定調整では、企業と銀行の記録時点の違いと、企業側の記帳漏れを分けます。銀行だけが先に記録した振込入金は企業の帳簿を直しますが、は企業が既に支払いを記録しているため、同じ支払仕訳を重ねません。

を額面10万円、取得価額9万7千円で買い、差額3千円が金利の調整で、取得日から満期日まで3年の定額法なら、1年の償却額はです。その他有価証券の評価差額は純資産へ計上するため、売買目的の評価損益と分けます。

取得に直接必要な付随費用は、固定資産のへ含めるのが基本です。修繕費となる維持・原状回復と、価値や耐用年数を増すを区別します。2級のソフトウェアは自社利用に限られ、完成前の支出はソフトウェア仮勘定、完成後はソフトウェア(無形固定資産)として償却します。

収益・費用と特殊取引

収益認識とは、商品やサービスを顧客へ移転して履行義務を満たした時点、または満たすにつれて収益を計上する考え方です。入金の時期ではなく、約束の履行に対応させます。

エルくんが説明する図解。12万円前受けを履行済3万円と未履行9万円へ分割。
考え方の例:12か月の保守代金12万円を前受けし、同じ内容のサービスを3か月提供した単純な例なら、履行済み3万円を収益、未履行9万円を負債として考えます。

代金を受け取った時点と、約束したサービスを提供した時点は、同じとは限りません。収益は約束の履行に対応させて考えます。

収益・費用と特殊取引
履行・対価の状態勘定の方向例
代金を受けたが未履行契約負債サービスの前受け
履行済みだが対価に別条件契約資産Bの引渡しが条件のA引渡し
履行済みで対価への無条件の権利売掛金等条件を満たした掛売り

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。中央に前受けした12万円に対応する12か月の保守サービスを横帯で描き、提供済みの3か月と未提供の9か月を仕切る。各部分から下向きの矢印を引き、3か月分は「収益3万円」、9か月分は「契約負債9万円」につなぐ。
覚えること:提供済3万円は収益、未提供9万円は負債

12か月分の保守代金12万円を前受けし、同じ内容のサービスを3か月提供した単純な例なら、履行済みの3万円を収益、未履行の9万円を負債として考えます。

商品やサービスを顧客へ移転して履行義務を満たしたとき、または満たすにつれて収益を認識します。どの約束をいつ満たすかを、取引ごとに整理します。

入金した12万円を、無条件に全額当期の収益にしてはいけません。進捗度の測り方や、一時点・一定期間の区分は契約の内容で変わります。

サービスの提供は進んでいるものの、請求に別の条件が残る場合は、契約資産として扱うことがあります。対価への権利が時の経過だけで確定する債権とは区別します。受け取った対価に未履行の義務が残れば契約負債です。

2026年度試験(2022年度版の出題区分表)では、ファイナンス・リースに該当する借手取引は、リース資産とリース債務を計上します。所有権移転外なら、リース期間を耐用年数、残存価額ゼロとして償却します。2027年度試験から適用される新しい出題区分表の内容は混ぜません。

履行義務と対価の権利を分ける

履行義務と対価の権利を分けるの図解。一つの図を左から右への時系列にし、左に「A引渡し→契約資産55,000」、中央に「B引渡し」、右に「売掛金90,000」を配置する。B引渡しを境に、契約資産55,000の振替とB売上35,000が売掛金90,000につながる矢印を描く。
覚えること:B引渡しで権利が無条件なら売掛金へ

収益認識では、契約で約束した財・サービスを識別し、それぞれの履行義務をいつ充足するかを判断します。一時点の引渡しか、一定期間にわたる提供かで売上を計上する時点が違います。

先に代金を受け取り未履行なら契約負債、履行済みでも別条件が残り対価への権利が無条件でなければ契約資産です。時の経過だけで支払われる権利になれば売掛金等へ振り替えます。

2026年公開第1問では、商品A(売価55,000円・原価33,000円)とB(売価35,000円・原価21,000円)を別々の履行義務とし、Aの代金はBの引渡しを条件とします。A引渡し時はA分を契約資産とし、Bの引渡しで対価90,000円への権利が無条件になった時点で契約資産を売掛金へ振り替え、Bの売上も認識します。原価は「販売のつど売上原価勘定に振り替える方法」で処理します。

役務収益はサービスの提供に応じて計上し、対応する費用は役務原価とします。提供前に支出した費用は仕掛品に集計し、提供時に役務原価へ振り替えます。売上割戻の見込みなど対価が変動する場合(変動対価)は、返す見込みの額を売上に含めず返金負債とします。例えば10万円を掛売りし、割戻見込みが2千円なら「売掛金100,000/売上98,000・返金負債2,000」です。

履行義務と対価の権利を分ける
日付・内容借方貸方
6/10 商品Aを引き渡す(売上)契約資産 55,000売上 55,000
6/10 商品Aを引き渡す(原価)売上原価 33,000商品 33,000
7/1 商品Bを引き渡す(売上)売掛金 90,000契約資産 55,000/売上 35,000
7/1 商品Bを引き渡す(原価)売上原価 21,000商品 21,000

三分法と売上原価対立法

三分法と売上原価対立法の図解。中央の仕切りで左右を比較する。左の三分法は決算時に期首・期末の繰越商品を仕入勘定と逆向きに振り替えて売上原価を算定し、右の売上原価対立法は販売のたびに商品勘定から売上原価勘定へ矢印を伸ばす。
覚えること:三分法は決算、対立法は販売ごとに原価算定

三分法では、仕入時に仕入勘定、販売時に売上勘定だけを記録し、決算で期首・期末の繰越商品を仕入勘定と振り替えて売上原価を計算します。販売のつど売上原価勘定に振り替える方法(売上原価対立法)では、仕入時に商品勘定へ記入し、販売のたびに原価を売上原価へ振り替えるため、決算で売上原価を算定する仕訳は不要です。

三分法と売上原価対立法
取引三分法の仕訳売上原価対立法の仕訳
商品6万円を掛けで仕入れる(借)仕入 60,000(貸)買掛金 60,000(借)商品 60,000(貸)買掛金 60,000
原価6万円の商品を10万円で掛売りする(借)売掛金 100,000(貸)売上 100,000(借)売掛金 100,000(貸)売上 100,000、(借)売上原価 60,000(貸)商品 60,000
決算(売上原価の算定)(借)仕入(貸)繰越商品[期首]、(借)繰越商品(貸)仕入[期末]仕訳なし(棚卸減耗・評価損のみ処理)

特殊取引は目的と時点で分類する

特殊取引は目的と時点で分類するの図解。中央に仕切りを置き、左の「売掛金・買掛金」から右上の「決算日の相場」へ矢印を引く。「前払金・前受金・商品」は右下の「換算替えしない」枠に置き、相場への矢印は引かない。
覚えること:決算時は外貨建貨幣項目だけ決算日相場へ

リースはファイナンス・リースかオペレーティング・リースかを先に判定します。ファイナンス・リースの借手は、利子込み法ならリース料総額、利子抜き法なら見積現金購入価額でリース資産・リース債務を計上し、利子抜き法の利息は定額法で各期に配分します。オペレーティング・リースは支払ったリース料を支払リース料とします。

外貨建取引は取引日の為替相場で記帳し、決算時は売掛金・買掛金など外貨建の貨幣項目だけを決算日の相場へ換算替えします。前払金・前受金や商品は換算替えしません。為替予約を付したときは振当処理により予約レートで換算し、2級では予約による差額を期間配分せず当期の為替差損益とします。

商品の帳簿棚卸高と実地棚卸高が異なるときは、数量の不足による棚卸減耗損と、正味売却価額の低下による商品評価損を分けて計算します。

特殊取引は目的と時点で分類する
リース料年12万円×5年、見積現金購入価額50万円借方貸方
利子込み法:契約時リース資産 600,000リース債務 600,000
利子込み法:リース料支払時リース債務 120,000現金など 120,000
利子抜き法:契約時リース資産 500,000リース債務 500,000
利子抜き法:リース料支払時リース債務 100,000/支払利息 20,000現金など 120,000
オペレーティング・リース:支払時支払リース料 120,000現金など 120,000

試験に出る

  • 収益は、代金の受取時点ではなく、履行義務を満たした時点で認識する。
  • 前受けした対価でも、未履行の義務が残る部分は契約負債として処理する。
  • 履行は進んでいるが請求条件が未確定の部分は、契約資産として債権と区別する。
  • 一時点で満たす義務か、一定期間にわたり満たす義務かで、進捗度の測り方が変わる。
  • 2026年度試験のファイナンス・リース(借手)は利子込み法か利子抜き法(利息は定額法で配分)、オペレーティング・リースは支払リース料で処理する。
  • 販売のつど売上原価勘定に振り替える方法では、販売時に「売上原価/商品」を記録し、決算の売上原価算定仕訳は行わない。
  • 売上割戻の見込額などの変動対価は売上に含めず、返金負債とする。

重要な言葉

収益認識
履行義務を満たした時点、または満たすにつれて収益を計上すること。
契約負債
受け取った対価のうち、まだ履行していない義務に対応する部分。
契約資産
履行は進んだが、対価への権利が時の経過以外の条件に左右される部分。
ファイナンス・リース
解約できず、借手が物件の使用による便益と費用をほぼすべて負うリース取引。借手はリース資産とリース債務を計上する。
オペレーティング・リース
ファイナンス・リース以外のリース取引。借手は通常の賃貸借として支払リース料を費用にする。
返金負債
受け取った(受け取る)対価のうち、売上割戻などで顧客に返す見込みの額を表す負債。
売上原価対立法
販売のつど商品の原価を商品勘定から売上原価勘定へ振り替える記帳方法。

確認問題

確かめようこの例でまだ提供していない9万円は利益ですか。

いいえで、サービスを提供する義務が残るため契約負債です。

代金を受け取れば、その時点で必ず収益を計上する。

前受けした代金でも、未履行のサービスに対応する部分は契約負債とする。

12か月分12万円を前受けし、3か月分を提供したとき、収益に計上する額はいくらか。

履行は進んでいるが、対価への権利が時の経過以外の条件に左右される部分の処理は?

代金を受け取った時点と、約束したサービスを提供した時点は、同じとは限りません。収益はに対応させて考えます。

12か月分の保守代金を前受けし、同じ内容のサービスを3か月提供した単純な例なら、履行済みの3万円を収益、未履行の9万円を負債として考えます。

商品やサービスを顧客へ移転してを満たしたとき、または満たすにつれて収益を認識します。どの約束をいつ満たすかを、取引ごとに整理します。

入金した12万円を、無条件に全額当期の収益にしてはいけません。の測り方や、一時点・一定期間の区分は契約の内容で変わります。

サービスの提供は進んでいるものの、請求に別の条件が残る場合は、として扱うことがあります。対価への権利が時の経過だけで確定する債権とは区別します。受け取った対価に未履行の義務が残れば契約負債です。

2026年度試験(2022年度版の出題区分表)では、に該当する借手取引は、リース資産とリース債務を計上します。所有権移転外なら、リース期間を耐用年数、残存価額ゼロとして償却します。試験から適用される新しい出題区分表の内容は混ぜません。

株式会社の資本と税金

資本取引とは、株主との間の資金の出し入れのように、利益とは別に純資産を増減させる取引です。営業で得た損益取引と分けて処理します。

出資による資本金の増加と、当期純利益による利益剰余金の増加を別の経路で示す図。
考え方の例:新株発行で現金100万円を受け入れ、全額資本金とする条件なら資産と資本金が100万円増えます。売上や当期純利益は増えません。

株主との資金のやり取りと、営業で得た利益は分けて記録します。純資産の項目を見れば、増えた理由が分かります。

株式会社の資本と税金
処理増減する勘定P/Lへの影響
新株発行現金と資本金等当期利益に影響しない
利益剰余金を財源とする配当繰越利益剰余金・未払配当金・利益準備金配当は費用でない
当期法人税等法人税等・仮払法人税等・未払法人税等当期税負担を計上
将来減算一時差異繰延税金資産・法人税等調整額将来の税負担軽減を期間配分

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。画面中央を縦に二分し、左に「資産+100万円」、右に「資本金+100万円」を同じ高さで置く。上から現金が左側へ入る矢印を描き、下部は仕切り線で分けて「売上・当期純利益増えず」と示す。
覚えること:全額資本金なら資産・資本金100万円増

新株発行で現金100万円を受け入れ、全額を資本金とする条件なら、資産と資本金が100万円増えます。売上や当期純利益は増えません。

繰越利益剰余金を財源とする剰余金の配当は、利益剰余金を減らす取引です。法人税等は当期の負担額と中間納付額を整理し、未払法人税等などへつなげます。

出資金を売上に、配当を販売費にしてはいけません。資本取引と損益取引を分けることが出発点です。

配当額の10分の1を準備金へ積み立てる場合でも、資本準備金と利益準備金の合計が資本金の4分の1に達するまでという条件を確認します。繰越利益剰余金を財源とする配当なら利益準備金、その他資本剰余金を財源とする配当なら資本準備金を積み立てます。

純資産の内訳と配当を計算する

純資産の内訳と配当を計算するの図解。上段でエルくんが利益準備金105万円から9万円を取り崩し、残高96万円にする。仕切りの下に「1,000万円×1/4-(150万円+96万円)=4万円」と「50万円×1/10=5万円」を左右に並べ、矢印を小さい方の「積立4万円」へ集める。
覚えること:取崩し後の残高で比較し、小さい4万円を積立

株主資本は資本金、資本剰余金、利益剰余金に分かれます。準備金には資本準備金と利益準備金があり、元の財源と対応させます。株主総会で配当を決議したら、配当額を未払配当金(負債)とし、配当額と利益準備金への積立額の合計だけ繰越利益剰余金を減らします。

準備金の積立額は「配当額の10分の1」と「資本金の4分の1-資本準備金と利益準備金の合計額」の小さい方です。

2026年公開第1問では、先に利益準備金9万円を取り崩して残高を96万円にします。上限は1,000万円×1/4-(資本準備金150万円+利益準備金96万円)=4万円、配当50万円×1/10=5万円なので、積立額は小さい方の4万円です。前期末の残高105万円のまま判定すると、積立額を誤ります。

新株を発行したときは、払込額の全額を資本金とするのが原則です。問題文に「会社法が認める最低額を資本金とする」とあれば、払込額の2分の1を資本金、残りを資本準備金とします。

純資産の内訳と配当を計算する
取引借方貸方
利益準備金9万円を取り崩して繰越利益剰余金とする利益準備金 90,000繰越利益剰余金 90,000
繰越利益剰余金を財源に50万円を配当し、利益準備金4万円を積み立てる繰越利益剰余金 540,000未払配当金 500,000/利益準備金 40,000
1株10万円で20株を発行し、会社法の最低額を資本金とする(当座預金へ払込み)当座預金 2,000,000資本金 1,000,000/資本準備金 1,000,000

税金と税効果は違う計算

税金と税効果は違う計算の図解。中央に「繰延税金資産」の枠を置き、前期分3万円が解消して枠から出る左向き矢印と、当期末の4万8千円が枠へ入る右向き矢印を描く。枠の下に差額1万8千円から「繰延税金資産/法人税等調整額」へつながる矢印を置く。
覚えること:前期3万解消→期末4.8万、差額1.8万

法人税、住民税及び事業税は当期の税負担で、仮払法人税等の中間納付額を差し引いて未払法人税等を求めます。消費税の税抜方式は、決算で仮受消費税と仮払消費税を相殺し、差額を未払消費税とします。税効果会計は会計上と税務上の一時差異に対して繰延税金資産・負債を計上し、永久差異とは分けます。

貸倒引当金の損金算入限度超過額16万円に税率30%を掛ければ、将来減算一時差異に対応する期末の繰延税金資産は4万8千円です。2026年公開第1問のように前期末の差異10万円(繰延税金資産3万円)が当期に解消している場合、3万円を取り崩して4万8千円を計上するので、差額1万8千円を「繰延税金資産/法人税等調整額」と仕訳します。

2級の税効果会計は、引当金・減価償却・その他有価証券に係る一時差異に限られます。その他有価証券の評価差額に対する税効果は法人税等調整額を使わず、その他有価証券評価差額金から直接差し引きます。

試験に出る

  • 新株発行の払込額は原則全額を資本金とし、会社法の定めにより2分の1までは資本準備金にできる。売上や利益にはしない。
  • 配当は利益剰余金を減らす資本取引で、損益計算書の費用にしない。
  • 繰越利益剰余金を財源とする配当では、配当額の10分の1を、資本準備金と利益準備金の合計が資本金の4分の1に達するまで利益準備金に積み立てる。
  • 法人税等は当期の負担額を計上し、中間納付額を差し引いて未払法人税等を求める。
  • 資本取引と損益取引を混同しないことが、純資産の理解の出発点になる。

重要な言葉

資本金
株主が出資した資金のうち、会社が資本として計上する金額。
利益剰余金
利益準備金と繰越利益剰余金などからなり、利益の蓄積を表す純資産の項目。配当の財源になる。
利益準備金
繰越利益剰余金を財源とする配当に応じて積み立てる法定の準備金。資本準備金との合計が資本金の4分の1に達するまで積み立てる。
資本取引
株主との間で行う、損益とは別に純資産を増減させる取引。
資本準備金
株式の払込額のうち資本金にしなかった部分や、その他資本剰余金を財源とする配当に伴う積立額。

確認問題

確かめよう新株発行の100万円で当期利益はいくら増えますか。

0円で、資本取引なので当期利益は増えません。

新株発行で受け入れた資金は、売上として収益に計上する。

配当は利益剰余金を減らす取引で、損益計算書の費用にはしない。

利益準備金を積み立てる際の上限となる条件は?

新株発行で現金100万円を受け入れ、全額を資本金としたとき、当期純利益への影響は?

株主との資金のやり取りと、営業で得た利益は分けて記録します。の項目を見れば、増えた理由が分かります。

新株発行で現金を受け入れ、全額を資本金とする条件なら、資産と資本金が100万円増えます。売上や当期純利益は増えません。

繰越利益剰余金を財源とする剰余金の配当は、を減らす取引です。法人税等は当期の負担額と中間納付額を整理し、未払法人税等などへつなげます。

出資金を売上に、配当を販売費にしてはいけません。と損益取引を分けることが出発点です。

配当額の10分の1を準備金へ積み立てる場合でも、資本準備金と利益準備金の合計がに達するまでという条件を確認します。繰越利益剰余金を財源とする配当なら利益準備金、その他資本剰余金を財源とする配当なら資本準備金を積み立てます。

覚えるポイント

  • 資産・負債の会計処理:有価証券は保有目的で処理が変わります。固定資産では減価償却、債権では貸倒見積りなど、それぞれ何を測る調整かを区別します。
  • 収益・費用と特殊取引:商品・サービスを顧客へ移転して履行義務を満たしたとき、または満たすにつれて収益を認識します。どの約束をいつ満たすかを取引ごとに整理します。
  • 株式会社の資本と税金:繰越利益剰余金を財源とする配当は利益剰余金を減らす取引です。法人税等は当期の負担額と中間納付額を整理し、未払法人税等などへつなげます。

出典・参考資料

試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。

編集:Pinternet Works · 更新日:

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