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日商簿記検定 · 学習ガイド

原価計算

標準と実際の原価差を、価格と使用量へ分けて説明します。変動費・固定費と限界利益の関係から、損益分岐点や目標利益に必要な売上を考えます。

仕組みを理解する

標準原価計算

標準原価計算とは、あらかじめ定めた標準数量と標準価格による標準原価を実際原価と比較し、その差を分析する原価計算の方法です。

エルくんが説明する図解。1個2kg×300円=600円を100個へ拡大して6万円。
考え方の例:製品1個の標準材料が2kg、標準価格が1kg300円なら、標準材料費は600円です。100個分なら2×300×100=6万円になります。

実際に使った原価だけでは、使いすぎたのか単価が上がったのかが分かりません。あらかじめ標準原価を置いて比較します。

標準原価計算
論点計算・扱い
直接材料費標準価格×実際生産量に対する標準消費量
直接労務費標準賃率×実際生産量に対する標準作業時間
製造間接費標準配賦率×実際生産量に対する標準操業度

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。上部の「生産量100個の例」から左右へ矢印を分ける。左は2kg/個×300円/kg×100個=標準原価6万円、右は同じ100個分の実際原価を金額なしで置き、中央の仕切りをまたぐ両向き矢印で差を示す。
覚えること:標準数量は実際生産量に合わせる

製品1個の標準材料が2kg、標準価格が1kg300円なら、標準材料費は600円です。100個分なら2×300×100=6万円になります。

標準原価は標準数量×標準価格で計算し、実際原価との差を分析します。標準数量は実際の生産量に対応させて比較します。

予定生産量に対する標準総額と、実際生産量の実際原価をそのまま比べると、生産量の違いまで混ざります。

原価標準から差異分析へ

原価標準から差異分析への図解。上段左の「標準単価×標準消費量」に「実際生産量」を掛ける矢印をつなぎ、中央に「当期標準原価」を置く。中央の当期標準原価と右の「実際原価」から、下段の「差異分析」へ矢印を集める。
覚えること:実際生産量で標準原価を出し差異分析

原価標準は製品1個の標準直接材料費・標準直接労務費・標準製造間接費を積み上げたものです。標準単価×標準消費量を実際生産量に掛けて当期の標準原価を出し、実際原価との差異を調べます。標準の設定、製品への標準原価の記入、差異の把握・分析・処理を一つの流れとして考えます。

材料は価格と数量、労務費は賃率と作業時間、製造間接費は予算・能率・操業度などの要因で分析します。差異は有利・不利の方向だけでなく、どの勘定で把握し、会計年度末に売上原価へどう振り替えるかも確認します。

パーシャル・プランとシングル・プラン

パーシャル・プランとシングル・プランの図解。中央に一つの比較表を置き、上段をパーシャル、下段をシングルとする。各段で仕掛品勘定の借方の記入額から差異を把握する勘定へ矢印を引き、上段は実際原価→仕掛品勘定、下段は標準原価→材料・賃金・製造間接費の各勘定と示す。
覚えること:借方が実際→仕掛品、標準→各勘定に差異

パーシャル・プランでは、仕掛品勘定の借方に材料費・労務費・製造間接費の実際発生額を記入し、貸方の完成品と月末仕掛品は標準原価で記入します。そのため原価差異は仕掛品勘定の貸借差額として把握されます。

シングル・プランでは、仕掛品勘定の借方も標準原価で記入し、原価差異は材料・賃金・製造間接費の各勘定で把握します。どちらの方法でも完成品は標準原価で製品勘定へ振り替えます。

月初・月末仕掛品がある場合は、当月投入分の標準原価と実際原価を比べます。完成品470個、月初仕掛品20個・月末仕掛品40個(ともに加工進捗50%)、材料は始点投入なら、当月投入量は材料費490個分、加工費は470−10+20=480個分です。

パーシャル・プランとシングル・プラン
方法仕掛品勘定の借方差異を把握する勘定
パーシャル・プラン実際原価仕掛品勘定
シングル・プラン標準原価材料・賃金・製造間接費の各勘定

試験に出る

  • 標準原価は、標準単価×実際生産量に対する標準消費量(標準作業時間)で計算する。
  • 比べる標準数量は、予定生産量ではなく実際生産量から求める。
  • 月初・月末仕掛品がある場合、加工費の標準原価は当月投入の完成品換算量に対応させる。
  • パーシャル・プランは仕掛品勘定で、シングル・プランは材料・賃金・製造間接費の各勘定で差異を把握する。
  • 標準原価差異は、会計年度末に原則として売上原価に賦課する。

重要な言葉

標準原価
標準数量と標準価格を掛けてあらかじめ計算した原価。
標準価格
材料1単位あたりについてあらかじめ定めた価格。
実際原価
実際に発生した数量と価格に基づく原価。
原価標準
製品1個あたりの標準原価。標準直接材料費・標準直接労務費・標準製造間接費を積み上げる。
パーシャル・プラン
仕掛品勘定の借方を実際原価で記入し、差異を仕掛品勘定で把握する記帳方法。
シングル・プラン
仕掛品勘定の借方も標準原価で記入し、差異を各原価要素の勘定で把握する記帳方法。

確認問題

確かめよう100個作る標準材料量は?

200kg。1個2kgに実際生産100個を掛けます。

標準材料費は、標準数量と標準価格を掛けて計算する。

標準数量は、予定生産量に対応させて比較する。

シングル・プランでは、原価差異を仕掛品勘定で把握する。

製品1個に2kg、1kg300円の標準材料があるとき、1個の標準材料費は?

標準数量は何に対応させて比較する?

パーシャル・プランで原価差異が把握される勘定は?

実際に使った原価だけでは、使いすぎたのか単価が上がったのかが分かりません。あらかじめを置いて比較します。

製品1個の標準材料が2kg、標準価格が1kg300円なら、標準材料費はです。100個分なら2×300×100=6万円になります。

標準原価は標準数量×標準価格で計算し、との差を分析します。標準数量は実際の生産量に対応させて比較します。

予定生産量に対する標準総額と、実際生産量の実際原価をそのまま比べると、の違いまで混ざります。

原価差異分析(頻出の中心テーマ)

原価差異分析とは、標準原価と実際原価との差を価格差異と数量差異に分解し、その原因を明らかにする分析です。

エルくんが価格差異の部品を置き、価格差異20×210=4,200円と数量差異10×300=3,000円の不利差異を別々に示す図。
考え方の例:標準単価300円、実際単価320円、実際量210kg、標準量200kgなら、価格差異は20×210=4,200円、数量差異は10×300=3,000円の不利差異です。

予算より材料費が高いときは、単価と使用量を分けると、改善すべき場所が見えます。

原価差異分析(頻出の中心テーマ)
論点計算・扱い
材料価格差異=単価差×実際数量/数量差異=数量差×標準単価
労務費賃率差異=賃率差×実際作業時間/時間差異=時間差×標準賃率
製造間接費予算差異・能率差異・操業度差異(公式法変動予算の場合)

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。1つの計算図を上下に分け、上段は「(300−320)×210=−4,200円」、下段は「(200−210)×300=−3,000円」を左から右へ示す。両段とも「標準−実際」で計算し、結果のマイナスを不利差異として示す。
覚えること:単価差×実際量、量差×標準単価

標準単価300円、実際単価320円、実際量210kg、標準量200kgなら、価格差異は(300−320)×210=−4,200円、数量差異は(200−210)×300=−3,000円で、どちらも不利差異です。

価格差異は実際数量を使って単価差を測り、数量差異は標準単価で使用量差を測ります。この例の差異合計−7,200円は、標準60,000円−実際67,200円と一致します。

この教材では「標準−実際」で計算し、マイナスを不利差異とします。数量差異へ実際単価を使うと、単価差の影響が価格差異と重複して二重計算になります。

標準単価100円、実際単価110円、実際消費量12kgなら、価格差異は(100−110)×12=−120円で不利差異です。標準消費量10kgなら数量差異は(10−12)×100=−200円で、これも不利差異です。単価差を実際数量へ、数量差を標準単価へ掛け、差異の重複を避けます。

差異の分解と検算

差異の分解と検算の図解。左側に材料価格差異「(標準価格-実際価格)×実際消費量」と材料数量差異「(標準数量-実際数量)×標準価格」を上下に配置し、矢印を中央の「+」へ集める。縦の仕切りを挟んだ右側に「標準原価-実際原価」を置き、「=」で結んで検算を示す。
覚えること:価格差異+数量差異=標準原価-実際原価

材料価格差異は(標準価格-実際価格)×実際消費量、材料数量差異は(標準数量-実際数量)×標準価格で求めます。労務費では価格を賃率、数量を作業時間に読み替えます。各差異を足すと標準原価-実際原価に一致するか検算します。

製造間接費の差異は、公式法変動予算なら予算差異・能率差異・操業度差異に分けます。基準操業度・実際操業度・標準操業度のどれを使うかを資料で特定し、材料の数量差異の式をそのまま当てはめません。

労務費の差異(賃率差異・時間差異)

労務費の差異(賃率差異・時間差異)の図解。横を作業時間、縦を賃率とする長方形を描き、内側を標準(960時間×1,200円)、外側を実際(990時間×1,220円)にする。上の帯は実際990時間の幅で賃率差異、右の帯は標準賃率1,200円の高さで時間差異を示し、重ねて数えない。
覚えること:この例は両差異不利、計−55,800円

標準賃率1,200円、実際賃率1,220円、標準作業時間960時間(実際生産480個×2時間)、実際作業時間990時間とします。賃率差異は(1,200−1,220)×990=−1万9,800円、時間差異は(960−990)×1,200=−3万6,000円で、ともに不利差異です。

合計−5万5,800円は、標準直接労務費115万2,000円−実際直接労務費120万7,800円と一致します。図では内側に標準、外側に実際を置き、上の帯を賃率差異、右の帯を時間差異として読み取ります。

製造間接費の差異(予算・能率・操業度)

製造間接費の差異(予算・能率・操業度)の図解。中央に横軸を操業度、縦軸を製造間接費とするグラフを置き、960・990・1,000時間の位置を示す。990時間では実際発生額50万5,000円から予算線49万8,000円までを予算差異、予算線から標準配賦率線49万5,000円までを操業度差異、標準配賦率線上の990時間から960時間(48万円)までを能率差異として矢印で結び、2本の線は1,000時間で交わらせる。
覚えること:公式法変動予算なら三差異の和=総差異

公式法変動予算で、変動費率200円、固定費予算30万円、基準操業度1,000時間(固定費率300円、標準配賦率500円)とします。標準操業度960時間、実際操業度990時間、実際発生額50万5,000円なら、標準配賦額は500円×960時間=48万円で、総差異は−2万5,000円(不利)です。

予算差異は予算許容額(200円×990時間+30万円=49万8,000円)−実際50万5,000円=−7,000円(不利)です。能率差異は500円×(960−990)時間=−1万5,000円(不利)、操業度差異は300円×(990−1,000)時間=−3,000円(不利)で、合計は総差異に一致します。

能率差異を変動費部分だけで計算する指示なら、能率差異は200円×(960−990)時間=−6,000円、操業度差異は300円×(960−1,000)時間=−1万2,000円です。固定予算なら予算額を予算許容額とします。どの方法によるかは問題文で確認します。

図で整理するときは、横軸に操業度、縦軸に製造間接費をとり、予算線(変動費率の傾き+固定費)と標準配賦率の線を描きます。実際操業度の位置で予算差異、標準操業度と実際操業度の間で能率差異、基準操業度との差で操業度差異を読み取ります。

製造間接費の差異(予算・能率・操業度)
差異計算式(公式法変動予算)設例
予算差異予算許容額−実際発生額−7,000円(不利)
能率差異標準配賦率×(標準操業度−実際操業度)−1万5,000円(不利)
操業度差異固定費率×(実際操業度−基準操業度)−3,000円(不利)

試験に出る

  • 価格差異=(標準単価−実際単価)×実際数量、数量差異=(標準数量−実際数量)×標準単価で計算する。
  • 数量差異に実際単価を使うと、単価差の影響が価格差異と重複する。
  • 計算結果がマイナスなら不利差異(借方差異)、プラスなら有利差異(貸方差異)と判定する。
  • 労務費は賃率差異と時間差異、製造間接費は予算差異・能率差異・操業度差異に分ける。
  • 各差異の合計が、標準原価と実際原価の差(総差異)に一致するかを検算する。

重要な言葉

価格差異
標準単価と実際単価の差に実際数量を掛けた差異。
数量差異
標準数量と実際数量の差に標準単価を掛けた差異。
不利差異
実際原価が標準原価を上回る、望ましくない差異。
賃率差異
標準賃率と実際賃率の差に実際作業時間を掛けた労務費の差異。
時間差異
標準作業時間と実際作業時間の差に標準賃率を掛けた労務費の差異。作業時間差異ともいう。
能率差異
標準操業度と実際操業度の差から生じる製造間接費の差異。

確認問題

確かめよう標準単価300円の材料の例で、価格差異と数量差異の合計はいくら?

7,200円の不利差異。二つの差異を足して検算できます。

数量差異は、実際単価を使って計算する。

価格差異と数量差異の合計は、実際原価と標準原価の差に一致する。

実際操業度が基準操業度を下回ると、操業度差異は不利差異になる。

標準単価300円、実際単価320円、実際量210kgのとき、価格差異は?

数量差異を計算するときに掛ける単価は?

標準配賦率500円、標準操業度960時間、実際操業度990時間のとき、標準配賦率で計算した能率差異は?

予算より材料費が高いときは、と使用量を分けると、改善すべき場所が見えます。

標準単価、実際単価320円、実際量210kg、標準量200kgなら、価格差異は(300−320)×210=−4,200円、数量差異は(200−210)×300=−3,000円で、どちらも不利差異です。

価格差異はを使って単価差を測り、数量差異は標準単価で使用量差を測ります。この例の差異合計−7,200円は、標準60,000円−実際67,200円と一致します。

この教材では「標準−実際」で計算し、マイナスを不利差異とします。数量差異へを使うと、単価差の影響が価格差異と重複して二重計算になります。

標準単価100円、実際単価110円、実際消費量12kgなら、価格差異は(100−110)×12=−120円で不利差異です。標準消費量10kgなら数量差異は(10−12)×100=−200円で、これも不利差異です。単価差をへ、数量差を標準単価へ掛け、差異の重複を避けます。

直接原価計算

直接原価計算とは、変動製造原価を製品原価とし、固定製造原価を期間費用として扱い、限界利益を把握する原価計算の方法です。

売上100万円の棒を変動費60万円と限界利益40万円に分け、エルくんが限界利益の棒に仕切りを入れて固定費25万円と営業利益15万円に分ける図。
考え方の例:売上100万円、変動費60万円、固定費25万円なら限界利益40万円、営業利益15万円です。

売上が増えたとき利益がどれだけ増えるかを見るには、売上に連動する変動費と固定費を分けます。

直接原価計算
論点計算・扱い
全部原価計算固定製造原価を製品原価へ含め、在庫にも配分
直接原価計算固定製造原価を当期費用とし、限界利益を表示
利益差在庫に含まれる固定製造原価の増減で説明

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。中央に縦の仕切りを置き、左は「変動製造原価」から「製品原価」へ、右は「固定製造原価」から「期間費用」へ下向きの矢印で結ぶ。分類の違いが一目で分かるよう、左右を同じ大きさで描く。
覚えること:製造の変動分は製品原価、固定分は期間費用

売上100万円、変動費60万円、固定費25万円なら限界利益40万円、営業利益15万円です。

直接原価計算では変動製造原価を製品原価とし、固定製造原価を期間費用として扱います。限界利益は売上高−変動費で、固定費回収と利益に使われます。

「直接」という名称から直接材料費だけを計算する方法と考えないようにします。分類の基準は直接費・間接費ではなく変動費・固定費です。

全部原価計算との違い

全部原価計算との違いの図解。中央の縦線で左右に仕切り、左を全部原価計算、右を直接原価計算にする。両側とも変動製造原価は矢印で製品へ入れ、固定製造原価は左では製品へ、右では発生期の費用へ向かう矢印で示す。
覚えること:直接は固定製造原価を発生期の費用に

全部原価計算は変動・固定の製造原価をともに製品へ含めます。直接原価計算は変動製造原価だけを製品へ含め、固定製造原価を発生期の費用とします。販売量と生産量が異なり期末在庫が動くと、同じ販売条件でも両方法の利益が異なります。

売上高-変動売上原価-変動販売費=限界利益、そこから固定製造原価と固定販管費を引いて営業利益です。固定製造原価の在庫への繰延・在庫からの取崩しが、全部原価計算との利益差になります。

固定費調整

固定費調整の図解。中央に「直接営業利益14万円 → +期末固定製造原価4万円 → −期首固定製造原価0円 → 全部営業利益18万円」を左から右へ一本の計算列で配置する。加算部分の上に「期末在庫200個×200円=4万円」の小さな計算札をつなぐ。
覚えること:期末在庫の固定製造原価を足し期首分引く

例:売価1,000円、変動製造原価400円/個、変動販売費50円/個、固定製造原価20万円、固定販売費及び一般管理費10万円、生産1,000個・販売800個(期首在庫なし)とします。直接原価計算では、限界利益44万円から固定費30万円を引き、営業利益は14万円です。

全部原価計算では製品単価が400円+固定製造原価200円=600円となり、売上原価48万円、営業利益は80万円−48万円−販売費等14万円=18万円です。差額4万円は、期末製品200個に含まれる固定製造原価(200個×200円)です。

固定費調整は、直接原価計算の営業利益+期末棚卸資産に含まれる固定製造原価−期首棚卸資産に含まれる固定製造原価=全部原価計算の営業利益、で行います。この例では14万円+4万円−0円=18万円です。期首と期末の在庫に含まれる固定製造原価が同じなら、両者の利益は一致します。

固定費調整
直接原価計算の損益計算書金額
売上高800,000円
変動売上原価(800個×400円)320,000円
変動製造マージン480,000円
変動販売費(800個×50円)40,000円
限界利益(貢献利益)440,000円
固定製造原価200,000円
固定販売費及び一般管理費100,000円
営業利益140,000円

試験に出る

  • 直接原価計算では、固定製造原価を製品原価に含めず、発生した期間の費用とする。
  • 売上高−変動売上原価−変動販売費=限界利益(貢献利益)、限界利益−固定費=営業利益の順に計算する。
  • 「直接」の名称にかかわらず、分類の基準は直接費・間接費ではなく変動費・固定費である。
  • 固定費調整では、期末と期首の棚卸資産に含まれる固定製造原価の差を加減して、全部原価計算の営業利益に直す。
  • 生産量が販売量を上回って在庫が増えると、全部原価計算の営業利益のほうが大きくなる。

重要な言葉

限界利益
売上高から変動費を引いた利益で、固定費の回収と利益に充てられる。
変動費
販売量や生産量など操業度の増減にほぼ比例して変動する費用。
期間費用
製品原価に含めず、発生した期間の費用とするもの。
固定費調整
直接原価計算の営業利益を、棚卸資産に含まれる固定製造原価の増減で全部原価計算の営業利益に直す手続。
変動製造マージン
売上高から変動売上原価を引いた金額。ここから変動販売費を引くと限界利益になる。

確認問題

確かめよう限界利益40万円は最終利益?

いいえ。固定費25万円を引く前の金額です。

直接原価計算では、固定製造原価を製品原価に含める。

限界利益は売上高から変動費を引いて求める。

期首在庫がなく期末在庫がある場合、全部原価計算の営業利益は直接原価計算の営業利益より大きい。

売上100万円、変動費60万円、固定費25万円のとき、限界利益は?

直接原価計算の分類の基準は?

直接原価計算の営業利益14万円、期末棚卸資産に含まれる固定製造原価4万円、期首は0円のとき、全部原価計算の営業利益は?

売上が増えたとき利益がどれだけ増えるかを見るには、売上に連動すると固定費を分けます。

売上100万円、変動費60万円、固定費25万円なら限界利益40万円、15万円です。

直接原価計算ではを製品原価とし、固定製造原価を期間費用として扱います。限界利益は売上高−変動費で、固定費回収と利益に使われます。

「直接」という名称から直接材料費だけを計算する方法と考えないようにします。分類の基準は直接費・間接費ではなくです。

CVP分析(損益分岐点分析)

CVP分析(損益分岐点分析)とは、売上高と変動費・固定費の関係から、損益分岐点や目標利益に必要な売上高を求める分析です。

エルくんが説明する図解。固定費20万円を1個400円で回収、500個でゼロ利益/600個で4万円。
考え方の例:単価1,000円、単位変動費600円、固定費20万円なら、1個の限界利益は400円。損益分岐点販売量は20万円÷400円=500個です。

何個売れば赤字を抜けられるか、損益分岐点を知ると価格や費用の変更を具体的に考えられます。

CVP分析(損益分岐点分析)
論点計算・扱い
変更前手数料4,000円−変動費2,000円=限界利益2,000円
変更後手数料4,800円−変動費2,400円=限界利益2,400円
必要な固定費削減400万円−(2,400円×3,800枚−560万円)=48万円

基本の仕組み

基本の仕組みの図解。上段に単価1,000円の横長の帯を置き、単位変動費600円と限界利益400円に仕切る。400円の部分から下段へ矢印を引き、固定費20万円÷限界利益400円=損益分岐点500個とつなぐ。
覚えること:一定範囲で3条件不変なら500個

単価1,000円、単位変動費600円、固定費20万円なら、1個の限界利益は400円。損益分岐点販売量は20万円÷400円=500個です。

損益分岐点売上高は固定費÷限界利益率です。目標利益がある場合は固定費へ目標利益を加え、必要な限界利益を求めます。

一定の範囲で単価・単位変動費・固定費が変わらないという前提があります。設備増設で固定費が跳ね上がる場合は条件を更新します。

高低点法では操業度の高い点と低い点から変動費率を推定します。1,000個の費用30万円、2,000個の費用50万円なら、変動費率は20万円÷1,000個=200円、固定費は30万円−200円×1,000個=10万円です。費用額が最高・最低の点ではなく、操業度を基準に選びます。

安全余裕率と目標売上高

安全余裕率と目標売上高の図解。中央に左端0円・右端100万円の横棒を1本置き、50万円の位置で仕切る。仕切りから右端までを「差額50万円」として矢印で示し、その差額を売上高100万円で割ると安全余裕率50%になる関係を描く。
覚えること:安全余裕率=(売上−分岐点売上)÷売上

安全余裕率=(売上高−損益分岐点売上高)÷売上高です。単価1,000円・単位変動費600円・固定費20万円で1,000個(売上高100万円)を販売するなら、損益分岐点売上高は20万円÷0.4=50万円、安全余裕率は50%、損益分岐点比率も50%です。

目標営業利益24万円に必要な売上高は(20万円+24万円)÷0.4=110万円です。売上高営業利益率20%を目標とするなら、売上高をSとして0.4S−20万円=0.2Sより、S=100万円です。

高低点法では、正常操業圏を外れた月の資料を除いてから、操業度の最高点と最低点を選びます。求めた変動費率と固定費は、その正常操業圏の中でだけ使います。

公開第5問を条件変更まで解く

公開第5問を条件変更まで解くの図解。上段に「手数料4,800円−変動費2,400円=1枚の限界利益2,400円」、中央に「×3,800枚=912万円」を置き、下向き矢印で「912万円−従来の利益560万円=固定費上限352万円」へつなぐ。最下段は仕切りを入れ、「従来の固定費400万円−上限352万円=削減48万円」と示す。
覚えること:利益560万円維持に固定費48万円削減

日商2026年公開第5問は代理店契約でチケットを販売する会社を題材にしています。チケット代金2万円の全額を同社の売上高にせず、受け取る販売手数料20%=1枚4,000円だけを収益とします。変動費2,000円を引くと1枚の限界利益は2,000円。4,800枚販売、固定費400万円なら営業利益560万円、損益分岐点は2,000枚です。

条件変更後は売価2万4,000円の20%=4,800円が手数料、宅配便料金の値上げで変動費は2,400円、販売枚数は3,800枚です。限界利益は2,400円×3,800枚=912万円。従来の利益560万円を維持できる固定費の上限は352万円なので、48万円の削減が必要です。変更前後の単価・数量・固定費を混ぜません。

CVP分析は一定の関連範囲で販売単価・単位あたり変動費・固定費総額が一定と仮定します。変動費の総額まで一定と考えるのは誤りで、公開第5問問4ではこれが最も不適切な記述です。価格や変動費率を変える分析は可能ですが、変更ごとに限界利益を計算し直します。

試験に出る

  • 損益分岐点販売量=固定費÷1個あたり限界利益、損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率で計算する。
  • 目標利益がある場合は、(固定費+目標利益)÷限界利益率で必要な売上高を求める。
  • 安全余裕率=(売上高−損益分岐点売上高)÷売上高で、損益分岐点比率との合計は100%になる。
  • 高低点法では費用額ではなく操業度の最高点・最低点を選び、正常操業圏外の資料は除く。
  • CVP分析では販売単価・単位あたり変動費・固定費総額を一定と仮定し、変動費総額は一定と仮定しない。

重要な言葉

損益分岐点
利益がゼロになる売上高または販売量。
限界利益率
売上高に対する限界利益の割合。損益分岐点売上高の計算に使う。
高低点法
操業度が最も高い点と低い点の費用から変動費率と固定費を推定する方法。
変動費率
売上高や操業度に比例して変動する費用の割合。
安全余裕率
売上高が損益分岐点売上高をどれだけ上回っているかを、売上高に対する割合で示した指標。

確認問題

確かめよう目標利益4万円なら何個必要?

600個。(20万+4万)÷400です。

損益分岐点販売量は、固定費を1個あたり限界利益で割って求める。

高低点法では、費用額が最も高い点と低い点を基準に選ぶ。

CVP分析では、変動費の総額が一定であると仮定する。

単価1,000円、単位変動費600円、固定費20万円のとき、損益分岐点販売量は?

損益分岐点売上高の計算式は?

売上高100万円、損益分岐点売上高50万円のとき、安全余裕率は?

何個売れば赤字を抜けられるか、を知ると価格や費用の変更を具体的に考えられます。

単価1,000円、単位変動費600円、固定費20万円なら、1個の限界利益は400円。損益分岐点販売量は20万円÷400円=です。

損益分岐点売上高は固定費÷です。目標利益がある場合は固定費へ目標利益を加え、必要な限界利益を求めます。

一定の範囲で単価・単位変動費・が変わらないという前提があります。設備増設で固定費が跳ね上がる場合は条件を更新します。

高低点法では操業度の高い点と低い点からを推定します。1,000個の費用30万円、2,000個の費用50万円なら、変動費率は20万円÷1,000個=200円、固定費は30万円−200円×1,000個=10万円です。費用額が最高・最低の点ではなく、を基準に選びます。

覚えるポイント

  • 標準原価計算:標準原価は標準数量×標準価格で計算し、実際原価との差を分析します。標準数量は実際の生産量に対応させて比較します。
  • 原価差異分析:価格差異は実際数量を使って単価差を測り、数量差異は標準単価で使用量差を測ります。「標準−実際」で計算し、マイナスを不利差異とします。差異の合計を総差異と照合します。
  • 直接原価計算:直接原価計算では変動製造原価を製品原価とし、固定製造原価を期間費用として扱います。限界利益は売上高−変動費で、固定費回収と利益に使われます。
  • CVP分析(損益分岐点分析):損益分岐点売上高は固定費÷限界利益率です。目標利益がある場合は固定費へ目標利益を加え、必要な限界利益を求めます。
  • 製造間接費の差異:公式法変動予算では予算差異・能率差異・操業度差異に分け、合計が標準配賦額−実際発生額に一致するかを確かめます。
  • 固定費調整:直接原価計算の営業利益に、期末在庫の固定製造原価を加え期首在庫の固定製造原価を引くと、全部原価計算の営業利益になります。

出典・参考資料

試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。

編集:Pinternet Works · 更新日:

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