法務とは
法務とは、権利や契約、個人情報の扱いなど、便利さだけでは決められない仕事の境界を定める領域です。

ネットで見つけた画像を会社の広告に使う前に、利用できる権利があるかを確認します。法務は、便利さだけでは判断できない仕事の境界を定めます。
基本の仕組み

自分で作成した文章には、原則として創作した時点で著作権が生じます。一方、発明の特許権は出願しただけでは成立せず、審査を経た設定登録が必要です。
著作権は創作的な表現、特許権は技術的な発明を守ります。標準化は互換性や品質の共通条件を作る仕組みで、権利保護とは目的が違います。
出典を書けばどんな転載も許されるわけではありません。引用の要件や利用許諾を確認します。業務委託でも契約名だけで労働者派遣との違いは決まりません。
個人情報は利用目的を特定し、その目的に必要な範囲で適切に扱います。第三者提供、委託先の監督、漏えい時の対応などは場面ごとに要件が異なります。不正アクセス禁止法は他人の識別符号の不正利用等を規制し、パスワードを知っていることとアクセス権限があることは同じではありません。
業務委託では、成果や作業の内容、検収、権利の帰属を契約で明らかにします。2026年1月に施行された改正で、下請法は中小受託取引適正化法(取適法)に改められ、FEシラバスVer.9.2もこの名称を用います。
取適法は、発注内容の書面等による明示や、受領日から60日以内の支払期日の設定などを委託事業者に義務付けています。代金の不当な減額、手形による支払い、協議に応じない一方的な代金の決定なども禁じられ、発注者が強い立場だから一方的に条件を変えてよいわけではありません。
権利と利用条件

特許権・実用新案権・意匠権・商標権(産業財産権)は特許庁への出願と登録で権利が生じ、著作権は登録なしで創作した時点で生じます。著作権法はプログラムの表現を保護しますが、プログラム言語、規約(プロトコル)、解法(アルゴリズム)は保護の対象外です。
他人の著作物を許諾なしに引用するには、公表された著作物であること、引用する必要があること、自分の文章が主で引用部分が従であること、引用部分をかぎ括弧などで明確に区別すること、出所を明示することなどが必要です。出所の明示だけでは引用になりません。
不正競争防止法は、営業秘密の不正な取得・使用などを禁じています。営業秘密として保護されるには、秘密として管理されていること(秘密管理性)、事業に有用な情報であること(有用性)、公然と知られていないこと(非公知性)の三つを満たす必要があります。
| 権利 | 主な対象 | 権利の発生 | 存続期間 |
|---|---|---|---|
| 著作権 | 思想・感情の創作的な表現(プログラムを含む) | 創作した時点(登録不要) | 原則、著作者の死後70年 |
| 特許権 | 発明(自然法則を利用した高度な技術的思想) | 審査を経た設定登録 | 出願から20年 |
| 実用新案権 | 物品の形状・構造などの考案 | 設定登録(実体審査なし) | 出願から10年 |
| 意匠権 | 物品などのデザイン | 審査を経た設定登録 | 出願から25年 |
| 商標権 | 商品・サービスに使う識別標識 | 審査を経た設定登録 | 登録から10年(更新可) |
開発委託の契約と著作権の帰属

請負契約では、受託者が成果物の完成に責任を負います。準委任契約では、原則として完成ではなく、専門家として注意を払って業務を遂行することに責任を負います。どちらの契約でも、発注者は受託者の従業員に直接指揮命令できません。
発注者が作業者に直接指示したい場合は労働者派遣契約が必要で、派遣先が指揮命令し、雇用関係は派遣元と労働者の間にあります。請負の形をとりながら、実際には発注者が作業者に指揮命令しているものを偽装請負といいます。
委託して作成したプログラムの著作権は、契約で特に定めなければ、実際に作成した受託者側に帰属します。一方、従業員が会社の発意に基づき職務上作成したプログラムは、作成時の契約や就業規則に別段の定めがなければ、公表の名義にかかわらず会社が著作者になります(職務著作)。
| 契約 | 完成の責任 | 作業者に指揮命令する者 |
|---|---|---|
| 請負 | あり(成果物の完成) | 受託者 |
| 準委任 | 原則なし(業務の遂行) | 受託者 |
| 労働者派遣 | なし(労働力の提供) | 派遣先 |
試験に出る
- 著作権は創作した時点で生じ、特許権は出願と審査を経た設定登録が必要である点。
- 著作権は創作的な表現、特許権は技術的な発明を守る点。
- 出典を表示しても、引用の要件や利用許諾が別に必要である点。
- 個人情報は利用目的を特定し、目的に必要な範囲で扱う点。
- 2026年1月施行の改正で下請法が中小受託取引適正化法(取適法)に改められ、手形払いの禁止などが加わった点。
- 請負・準委任では発注者が作業者に直接指揮命令できず、指揮命令するなら派遣契約が必要である点(偽装請負)。
- 委託開発のプログラムの著作権は、契約に定めがなければ受託者に帰属し、職務上作成したプログラムは職務著作として会社に帰属する点。
- 著作権法はプログラム言語・規約・解法(アルゴリズム)を保護しない点。
重要な言葉
- 著作権
- 創作した時点で生じる、創作的な表現を守る権利。
- 特許権
- 出願と審査を経た設定登録で成立する、発明を守る権利。
- 中小受託取引適正化法
- 下請法を改めた法律(取適法)。支払期日や書面等での明示、代金の減額や手形払いの禁止などを定める。
- 標準化
- 互換性や品質の共通条件を作る仕組み。
- 偽装請負
- 請負の形をとりながら、発注者が作業者に直接指揮命令している状態。
- 職務著作
- 会社の発意に基づき職務上作成された著作物について、会社を著作者とする制度。
確認問題
確かめよう他人の写真に出典を添えれば広告へ自由に掲載できる?
いいえ。出典表示と利用許諾は別の問題です。
著作権は、原則として創作した時点で生じる。
出典を表示すれば、利用許諾がなくても広告へ自由に掲載できる。
出願しただけでは成立せず、審査を経た設定登録が必要な権利は?
2026年1月施行の改正で、下請法から改められた法律の名称は?
請負契約で開発を委託した発注者が、受託者の作業者に直接作業を指示している。この状態は?
ネットで見つけた画像を会社の広告に使う前に、利用できる権利があるかを確認します。法務は、便利さだけでは判断できないを定めます。
自分で作成した文章には、原則として創作した時点でが生じます。一方、発明のは出願しただけでは成立せず、審査を経た設定登録が必要です。
著作権は創作的な表現、特許権は技術的な発明を守ります。は互換性や品質の共通条件を作る仕組みで、権利保護とは目的が違います。
出典を書けばどんな転載も許されるわけではありません。の要件や利用許諾を確認します。業務委託でも契約名だけで労働者派遣との違いは決まりません。
は利用目的を特定し、その目的に必要な範囲で適切に扱います。第三者提供、委託先の監督、漏えい時の対応などは場面ごとに要件が異なります。不正アクセス禁止法は他人の識別符号の不正利用等を規制し、パスワードを知っていることとがあることは同じではありません。
業務委託では、成果や作業の内容、検収、権利の帰属を契約で明らかにします。2026年1月に施行された改正で、下請法は(取適法)に改められ、FEシラバスVer.9.2もこの名称を用います。
出典・参考資料
試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。
- IPA:基本情報技術者試験 ↗
- IPA:現行制度の公開問題 ↗
- IPA:試験要綱・シラバス ↗
- IPA:基本情報技術者試験シラバス Ver.9.2(2026年1月) ↗
- 公正取引委員会:中小受託取引適正化法(取適法)関係 ↗
- 個人情報保護委員会 ↗
編集:Pinternet Works · 更新日:
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