売上原価・貸倒引当金・減価償却・経過勘定・税金などの決算整理で、当期に含める金額を決めます。決算整理仕訳を精算表へ反映し、損益と次期の残高へつなげます。
仕組みを理解する
決算整理仕訳(最頻出パターン)
決算整理仕訳とは、売上原価や減価償却など、当期に属する費用と収益を決算で確定するための仕訳です。

一年の利益を求めるには、売れた商品の原価や、当期に使った設備の分を費用へ対応させます。支払った総額がそのまま当期費用とは限りません。
| 整理項目 | 期末に確認する条件 | 修正の方向 |
|---|---|---|
| 商品 | 期首商品・当期仕入・期末商品棚卸高 | 売上原価と期末商品を確定 |
| 貸倒引当金 | 対象債権・見積率・既存残高 | 必要額との差だけ繰入(超過分は戻入) |
| 減価償却 | 取得原価・残存価額・耐用年数・取得月 | 当期費用と減価償却累計額を記録 |
| 貯蔵品・経過勘定 | 未使用の切手・収入印紙、サービスの期間 | 当期分と翌期分を分離 |
基本の仕組み

期首商品2万円、当期仕入10万円、期末商品3万円なら、売上原価は2+10−3=9万円です。残った商品3万円は資産になります。
備品の減価償却も、取得原価を使用期間へ配分する考え方です。取得原価12万円、残存価額ゼロ、耐用年数4年の定額法なら、通年の償却費は3万円です。
期末商品の実地数量、貸倒引当金の既存残高、設備の取得月など、計算条件を読みます。差額補充法で必要額をそのまま繰入額にしないようにします。
貸倒見積りが売掛金10万円×2%=2千円で、貸倒引当金が既に貸方500円残っていれば、差額補充法の繰入額は1,500円です。仕訳は借方 貸倒引当金繰入1,500円、貸方 貸倒引当金1,500円です。
期中取得した備品は、通年の償却費に使用月数÷12を掛ける月割りの条件があります。売却時は売却日までの償却を反映して帳簿価額を求め、売却額との差を固定資産売却損益とします。
棚卸・貸倒・固定資産を順に直す

商品売買を三分法で記録している場合は、期首商品を繰越商品から仕入へ、期末商品を仕入から繰越商品へ振り替えます。整理後の仕入勘定の残高が売上原価です。期末商品棚卸高は問題で与えられた金額を使います。
問題が「売上原価勘定で算定する」と指示した場合は、期首商品・当期仕入を売上原価勘定の借方へ集め、期末商品を売上原価勘定の貸方から繰越商品へ戻します。どちらの方法でも売上原価の金額は同じです。棚卸減耗損や商品評価損は2級の範囲です。
貸倒引当金は、対象債権の期末残高に見積率を掛けて必要額を出し、差額補充法では既存の貸方残高を引いて繰入額にします。既存残高が必要額より多いときは、超過分を貸倒引当金戻入(収益)とします。
期中の貸倒れは債権の発生時期で分けます。前期以前に発生した債権なら貸倒引当金を取り崩し、足りない分を貸倒損失とします。当期に発生した債権なら全額を貸倒損失とします。前期以前に貸倒れ処理した債権を回収したときは償却債権取立益とします。
減価償却は定額法で、(取得原価−残存価額)÷耐用年数×使用月数/12で当期費用を計算します。3級の記帳は間接法で、借方 減価償却費、貸方 備品減価償却累計額などと記録します。直接法は2級の範囲です。
固定資産の売却では売却日まで償却し、売却額と帳簿価額(取得原価−減価償却累計額−当期償却費)の差を固定資産売却益または固定資産売却損とします。取得原価と売却額を直接比べると、累計額を落として誤ります。
月次決算を行う場合は、減価償却費などを年額の12分の1ずつ毎月計上します。決算月には、年額から計上済みの額を引いた残りだけを計上し、二重計上を避けます。
| 処理(期首商品2万円・当期仕入10万円・期末商品3万円) | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 仕入勘定で算定:期首商品の振替 | 仕入 20,000 | 繰越商品 20,000 |
| 仕入勘定で算定:期末商品の振替 | 繰越商品 30,000 | 仕入 30,000 |
| 売上原価勘定で算定:期首商品の振替 | 売上原価 20,000 | 繰越商品 20,000 |
| 売上原価勘定で算定:当期仕入の振替 | 売上原価 100,000 | 仕入 100,000 |
| 売上原価勘定で算定:期末商品の振替 | 繰越商品 30,000 | 売上原価 30,000 |
| 貸倒れ・引当金の場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 決算:必要額2,000円、既存残高500円(差額補充法) | 貸倒引当金繰入 1,500 | 貸倒引当金 1,500 |
| 決算:必要額1,500円、既存残高2,000円 | 貸倒引当金 500 | 貸倒引当金戻入 500 |
| 前期発生の売掛金3,000円が貸倒れ(引当金残高2,000円) | 貸倒引当金 2,000/貸倒損失 1,000 | 売掛金 3,000 |
| 当期発生の売掛金1,000円が貸倒れ | 貸倒損失 1,000 | 売掛金 1,000 |
| 前期に貸倒れ処理した売掛金2,000円を現金で回収 | 現金 2,000 | 償却債権取立益 2,000 |
| 備品の売却 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 取得原価120,000円・期首の累計額60,000円・年額30,000円。期首から6か月後に50,000円で売却し、代金は月末受取 | 備品減価償却累計額 60,000/減価償却費 15,000/未収入金 50,000 | 備品 120,000/固定資産売却益 5,000 |
よく出る整理の全体像

3級の決算整理には、現金過不足の整理、当座借越の振替、売上原価の算定、貸倒引当金の設定、減価償却、貯蔵品の棚卸、経過勘定(前払・前受・未払・未収)、仮払金・仮受金の精算、消費税・法人税等の整理があります。
各項目で「決算整理前の帳簿額→期末のあるべき額→差額の仕訳」を同じ順序で考えます。2026年度試験(2027年3月31日まで)には日商の2022年度版出題区分表が適用されます。2027年度からの改定範囲と混同しません。
試験に出る
- 売上原価=期首商品+当期仕入−期末商品の計算と、「仕入/繰越商品」「繰越商品/仕入」の2本の仕訳が基本です。
- 「売上原価勘定で算定する」指示では、期首商品と当期仕入を売上原価勘定へ振り替え、期末商品を売上原価勘定から繰越商品へ戻します。
- 定額法の減価償却費は(取得原価−残存価額)÷耐用年数で、3級の記帳は間接法(減価償却累計額を使う方法)です。
- 差額補充法では、必要額から既存の貸倒引当金残高を引いた額を繰り入れ、残高の方が多ければ貸倒引当金戻入とします。
- 前期以前に発生した債権の貸倒れは貸倒引当金を取り崩し(不足分は貸倒損失)、当期に発生した債権の貸倒れは全額を貸倒損失とします。
- 期中取得の固定資産は月割りで償却し、売却時は売却日までの償却を反映した帳簿価額と売却額の差で固定資産売却損益を出します。
重要な言葉
- 売上原価
- 当期に販売した商品の仕入原価。期首商品+当期仕入−期末商品で求める。
- 減価償却
- 固定資産の取得原価を使用期間へ配分する手続き。
- 差額補充法
- 必要な引当金と既存残高の差額だけを繰り入れる方法。
- 月割り
- 期中に取得・売却した資産の年間償却費を、使用した月数÷12で按分する計算。
- 間接法
- 減価償却費を固定資産の勘定から直接減らさず、減価償却累計額(貸方)に積み上げる記帳方法。
- 償却債権取立益
- 前期以前に貸倒れとして処理した債権を、当期に回収したときに計上する収益。
- 貸倒引当金戻入
- 差額補充法で、既存の貸倒引当金残高が必要額を上回るときに、超過分を取り崩して計上する収益。
確認問題
確かめよう期末商品が1万円増えると売上原価は?
他条件一定で1万円減ります。
決算整理では、支払った総額をそのまま当期の費用とする。
差額補充法では、必要額から既存の貸倒引当金残高を引いた額を繰り入れる。
当期に発生した売掛金が貸し倒れた場合も、まず貸倒引当金を取り崩す。
前期に貸倒れとして処理した売掛金を当期に現金で回収したときは、貸方を償却債権取立益とする。
期首商品2万円・当期仕入10万円・期末商品3万円の売上原価は?
貸倒見積り2千円、貸倒引当金の既存残高500円のとき、差額補充法の繰入額は?
取得原価12万円・期首の減価償却累計額6万円・年間償却費3万円の備品を、期首から6か月後に5万円で売却した。固定資産売却損益は?
一年の利益を求めるには、売れた商品の原価や、当期に使った設備の分を費用へ対応させます。支払った総額がそのままとは限りません。
期首商品2万円、当期仕入10万円、期末商品3万円なら、売上原価は2+10−3=です。残った商品3万円は資産になります。
備品のも、取得原価を使用期間へ配分する考え方です。取得原価12万円、残存価額ゼロ、耐用年数4年の定額法なら、通年の償却費は3万円です。
期末商品の実地数量、貸倒引当金の既存残高、設備の取得月など、計算条件を読みます。で必要額をそのまま繰入額にしないようにします。
貸倒見積りが売掛金10万円×2%=2千円で、貸倒引当金が既に貸方500円残っていれば、差額補充法の繰入額はです。仕訳は借方 貸倒引当金繰入1,500円、貸方 貸倒引当金1,500円です。
期中取得した備品は、通年の償却費に÷12を掛ける月割りの条件があります。売却時は売却日までの償却を反映して帳簿価額を求め、売却額との差を固定資産売却損益とします。
決算手続のその他の整理
経過勘定とは、支払時期と対応する期間がずれる費用や収益を、当期分と翌期分に分けるための勘定です。決算ではこのほか、現金過不足・当座借越・貯蔵品・消費税・法人税等も期末の正しい残高へ整理します。

家賃や利息は、支払いの時期とサービスを受けた期間がずれることがあります。決算では当期分へそろえます。
| 区分 | お金の動き | 当期のサービス | 期末の性質 |
|---|---|---|---|
| 前払費用 | 支払済み | 翌期分を含む | 資産 |
| 未払費用 | 未払い | 当期分がある | 負債 |
| 前受収益 | 受取済み | 翌期分を含む | 負債 |
| 未収収益 | 未収 | 当期分がある | 資産 |
基本の仕組み

12月末決算で10月から翌年9月までの保険料12万円を10月に払ったなら、当期3か月分3万円、翌期9か月分9万円です。翌期分を前払保険料へ振り替えます。
前払費用は支払済みの翌期分、未払費用は当期分だが未払いの金額です。収益側も前受収益・未収収益として、提供期間と入出金を区別します。
日付を見ずに12で割るだけでは足りません。月割りの指定、契約開始日、決算日から当期に属する月数を数えます。
仮払法人税等は中間納付分です。年税額3万円、中間納付1万円なら、借方 法人税、住民税及び事業税3万円、貸方 仮払法人税等1万円・未払法人税等2万円と仕訳します。
四つの経過勘定を対で区別する

費用の前払は「現金を先に払ったが翌期の費用」で資産、費用の未払は「当期の費用だがまだ払っていない」で負債です。収益の前受は「現金を先に受け取ったが翌期の収益」で負債、収益の未収は「当期の収益だがまだ受け取っていない」で資産です。支払・受取とサービスの期間を二本の線で描けば仕訳の向きを判定できます。
例えば10月1日に1年分の保険料12万円を払った12月決算では、翌期9か月分9万円を前払保険料へ振り替え、損益計算書の保険料は3万円です。逆に当期12月分の家賃1万円が翌年払いなら、当期の支払家賃を1万円増やし、未払家賃を負債にします。
翌期首には、決算整理仕訳と貸借を逆にした再振替仕訳で元の費用・収益の勘定へ戻します。前払保険料9万円なら、翌期首に借方 保険料9万円、貸方 前払保険料9万円です。こうすると翌期の支払・受取と合わせて、翌期分が翌期の費用・収益になります。
| 区分と例 | 決算整理の借方 | 決算整理の貸方 | 翌期首の再振替(借方/貸方) |
|---|---|---|---|
| 前払費用:保険料の翌期分9万円 | 前払保険料 90,000 | 保険料 90,000 | 保険料 90,000/前払保険料 90,000 |
| 未払費用:12月分の家賃1万円 | 支払家賃 10,000 | 未払家賃 10,000 | 未払家賃 10,000/支払家賃 10,000 |
| 前受収益:受け取った地代の翌期分2万円 | 受取地代 20,000 | 前受地代 20,000 | 前受地代 20,000/受取地代 20,000 |
| 未収収益:当期分の利息3千円が未収 | 未収利息 3,000 | 受取利息 3,000 | 受取利息 3,000/未収利息 3,000 |
税と仮勘定を整理する

3級の消費税は税抜方式です。期中に記録した仮受消費税と仮払消費税を決算で相殺し、差額を未払消費税とします。仮受消費税5万円・仮払消費税3万円なら、借方 仮受消費税5万円、貸方 仮払消費税3万円・未払消費税2万円です。
法人税等は当期の年税額を法人税、住民税及び事業税(許容科目:法人税等)として費用に計上し、中間納付の仮払法人税等を消して残額を未払法人税等とします。中間納付がなければ年税額の全額が未払法人税等です。
決算日に残る仮払金・仮受金は、内容が判明すれば本来の勘定へ振り替えます。例えば仮払金が備品の購入代金と判明したら、借方 備品、貸方 仮払金です。
現金過不足・当座借越・貯蔵品

期中に現金過不足で処理していた差額は、決算で原因が判明した分を本来の勘定へ振り替え、なお原因不明の分を、借方残高(不足)なら雑損、貸方残高(過剰)なら雑益とします。決算日に初めて見つかった原因不明の不足は、借方 雑損、貸方 現金と直接処理します。
決算日に当座預金が貸方残高なら、預金残高を超えて引き出した当座借越の状態です。借方 当座預金、貸方 当座借越(許容科目:借入金)として負債に振り替えます。
郵便切手や収入印紙は購入時に通信費・租税公課で処理し、期末に未使用分を貯蔵品(資産)へ振り替えます。当座借越と貯蔵品も、翌期首に貸借逆の再振替仕訳を行います。
| 決算整理の例 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 現金過不足(借方残高)1,000円のうち通信費700円の記入漏れが判明、残りは不明 | 通信費 700/雑損 300 | 現金過不足 1,000 |
| 現金過不足(貸方残高)500円の原因が不明 | 現金過不足 500 | 雑益 500 |
| 当座預金の貸方残高30,000円 | 当座預金 30,000 | 当座借越 30,000 |
| 未使用の郵便切手2,000円・収入印紙5,000円 | 貯蔵品 7,000 | 通信費 2,000/租税公課 5,000 |
試験に出る
- 前払費用と未払費用、前受収益と未収収益の区別と、それぞれが資産か負債かが問われます。
- 10月に1年分の保険料12万円を払った12月決算では、当期3か月分3万円・翌期9か月分9万円に分けます。
- 経過勘定・当座借越・貯蔵品は、翌期首に決算整理仕訳と貸借逆の再振替仕訳を行います。
- 中間納付した仮払法人税等を差し引き、年税額との差額を未払法人税等とします。
- 税抜方式の消費税では、仮受消費税と仮払消費税を相殺し、差額を未払消費税とします。
- 決算時に原因不明の現金過不足は、借方残高(不足)なら雑損、貸方残高(過剰)なら雑益へ振り替えます。
重要な言葉
- 前払費用
- 支払済みのうち翌期以降に対応する費用。前払保険料などの資産。
- 未払費用
- 当期分の費用であるが、まだ支払っていない金額。未払家賃などの負債。
- 経過勘定
- 期間のずれを当期と翌期に分けるための勘定。
- 仮払法人税等
- 期中に中間納付として支払った法人税等を一時的に記録する資産の勘定。
- 再振替仕訳
- 翌期首に、前期末の経過勘定などの決算整理仕訳と貸借を逆にして元の勘定へ戻す仕訳。
- 当座借越
- 当座預金の残高を超えて引き出した額。決算で当座預金の貸方残高を振り替える負債の勘定。
- 貯蔵品
- 期末に未使用で残っている郵便切手・収入印紙などを、費用から振り替えて資産とする勘定。
- 未払消費税
- 仮受消費税から仮払消費税を差し引いた、納付すべき消費税額を表す負債の勘定。
確認問題
確かめようこの例で損益計算書の保険料はいくら?
3万円です。支払総額12万円とは違います。
翌期分の費用は、当期の損益計算書に費用として計上する。
中間納付した法人税等は、仮払法人税等として処理する。
決算で原因が判明しない現金過不足の借方残高は、雑益に振り替える。
決算日に当座預金が貸方残高のときは、当座借越(負債)へ振り替える。
10月から翌年9月までの保険料12万円を12月末決算で処理すると、当期の保険料は?
当期分の費用で、まだ支払っていないものは?
仮受消費税50,000円、仮払消費税30,000円のとき、決算で計上する未払消費税は?
家賃や利息は、支払いの時期とサービスを受けた期間がずれることがあります。決算ではへそろえます。
12月末決算で10月から翌年9月までの保険料12万円を10月に払ったなら、当期3か月分3万円、翌期9か月分9万円です。翌期分をへ振り替えます。
は支払済みの翌期分、未払費用は当期分だが未払いの金額です。収益側も前受収益・未収収益として、提供期間と入出金を区別します。
日付を見ずに12で割るだけでは足りません。月割りの指定、契約開始日、決算日からを数えます。
は中間納付分です。年税額3万円、中間納付1万円なら、借方 法人税、住民税及び事業税3万円、貸方 仮払法人税等1万円・未払法人税等2万円と仕訳します。
精算表の作成と帳簿の締切
精算表とは、決算整理前の残高から修正、損益計算書欄、貸借対照表欄までを一枚で追える表です。3級では試算表・修正記入・損益計算書・貸借対照表の各欄に借方・貸方がある8桁精算表を扱います。

精算表は、修正前から財務諸表までの数値の流れを一枚で追うための表です。最後の利益は貸借のつじつまだけでなく収益・費用でも検算します。
| 順序 | 処理 | 検算 |
|---|---|---|
| 1 | 整理前試算表から各勘定を移す | 借方合計=貸方合計 |
| 2 | 決算整理仕訳を修正記入へ | 各仕訳の借方=貸方 |
| 3 | 整理後残高をP/L・B/Sへ分ける | 収益・費用と資産・負債・純資産を区分 |
| 4 | 当期純損益を両欄に表示 | P/LとB/Sの双方を一致させる |
基本の仕組み

収益50万円、費用35万円なら当期純利益15万円です。精算表の損益計算書欄では借方へ15万円、貸借対照表欄では貸方へ15万円を入れて各欄を一致させます。
決算整理仕訳を試算表へ加減し、整理後残高を損益計算書欄と貸借対照表欄へ振り分けます。収益・費用は損益勘定を経て繰越利益剰余金へ振り替えます。
精算表の損益計算書欄で利益が借方に出るのは、差額を埋める表示上の位置です。「利益は費用」という意味ではありません。
試算表から整理後残高へ

精算表では、決算整理前残高試算表の借方・貸方から始め、決算整理仕訳を修正記入欄に転記します。整理前残高と同じ側の修正は加算、反対側の修正は減算して整理後残高を求めます。
整理後残高のうち、収益・費用は損益計算書欄、資産・負債・純資産は貸借対照表欄に移します。試算表にない勘定(貸倒引当金繰入、減価償却費、前払保険料、未払法人税等など)は下の空欄行に追加します。売掛金と貸倒引当金、備品と減価償却累計額のように、対応する勘定を取り違えないようにします。
損益計算書欄の貸方収益が借方費用を15万円上回れば、差額15万円を同欄の借方に表示し、貸借対照表欄の貸方にも15万円を表示します。当期純損失なら、損益計算書欄の貸方と貸借対照表欄の借方に表示します。
帳簿を締めて次期へつなぐ

精算表は集計のための作業表で、帳簿の締切そのものではありません。損益振替では収益・費用の残高を損益勘定へ集め、損益勘定の差額である当期純利益を繰越利益剰余金へ移します。
資産・負債・純資産の勘定は、損益勘定を通さず各勘定で「次期繰越」と記入して締め切り、翌期首に「前期繰越」と記入します(英米式決算法)。決算整理、財務諸表、締切、翌期首の再振替を時間順に分けます。
| 損益振替の仕訳(収益50万円・費用35万円) | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 収益の振替 | 売上など 500,000 | 損益 500,000 |
| 費用の振替 | 損益 350,000 | 仕入・給料など 350,000 |
| 当期純利益の振替 | 損益 150,000 | 繰越利益剰余金 150,000 |
| (当期純損失の場合) | 繰越利益剰余金 | 損益 |
試験に出る
- 修正記入は、整理前残高と同じ側なら加算、反対側なら減算して整理後残高を求めます。
- 当期純利益は損益計算書欄の借方と貸借対照表欄の貸方へ、当期純損失は損益計算書欄の貸方と貸借対照表欄の借方へ記入します。
- 整理前試算表にない貸倒引当金繰入・減価償却費・前払保険料・未払法人税等などは、下の空欄行に追加して記入します。
- 仕入の行は修正後に売上原価の金額となって損益計算書欄へ、繰越商品の行は期末商品の金額で貸借対照表欄へ移ります。
- 収益・費用は損益勘定へ振り替え、損益勘定の差額(当期純利益)を繰越利益剰余金へ振り替えます。
重要な言葉
- 精算表
- 整理前試算表・修正記入・損益計算書・貸借対照表の欄を並べ、決算の流れを一覧にする作業表。
- 損益振替
- 収益・費用を損益勘定へ振り替える手続き。
- 繰越利益剰余金
- 当期純利益などを次期へ繰り越す純資産の勘定。
- 英米式決算法
- 資産・負債・純資産の勘定を損益勘定を通さず、各勘定で「次期繰越」を記入して締め切る方法。3級の帳簿締切はこの方法。
確認問題
確かめよう収益50万円・費用35万円の利益は?
15万円。純資産を増やす方向へつながります。
精算表の損益計算書欄で利益が借方に記入されるのは、利益が費用だからである。
収益・費用は損益勘定を経て、繰越利益剰余金へ振り替えられる。
当期純損失が生じた場合、精算表の損益計算書欄の貸方と貸借対照表欄の借方に記入する。
収益50万円・費用35万円の当期純利益は?
精算表の損益計算書欄で、当期純利益を記入する側は?
精算表で、整理前試算表の保険料が借方72,000円、修正記入の貸方が24,000円のとき、損益計算書欄の保険料は?
精算表は、修正前から財務諸表までの数値の流れを一枚で追うための表です。最後の利益は貸借のつじつまだけでなくでも検算します。
収益50万円、費用35万円なら当期純利益15万円です。精算表の損益計算書欄では借方へ15万円、欄では貸方へ15万円を入れて各欄を一致させます。
決算整理仕訳を試算表へ加減し、整理後残高を損益計算書欄と貸借対照表欄へ振り分けます。収益・費用はを経て繰越利益剰余金へ振り替えます。
精算表の損益計算書欄で利益がに出るのは、差額を埋めるです。「利益は費用」という意味ではありません。
覚えるポイント
- 決算整理仕訳:売上原価は「仕入/繰越商品」(期首商品)と「繰越商品/仕入」(期末商品)の2本で求め、定額法の減価償却は間接法で減価償却累計額に記録します。
- 貸倒れ:前期以前に発生した債権は貸倒引当金を取り崩し(不足は貸倒損失)、当期に発生した債権は全額を貸倒損失とします。貸倒れ処理済みの債権を回収したら償却債権取立益です。
- 決算手続のその他の整理:前払費用は支払済みの翌期分、未払費用は当期分だが未払いの金額です。収益側も前受収益・未収収益として、提供期間と入出金を区別し、翌期首に再振替します。
- 精算表の作成と帳簿の締切:決算整理仕訳を試算表へ加減し、整理後残高を損益計算書欄と貸借対照表欄へ振り分けます。収益・費用は損益勘定を経て繰越利益剰余金へ振り替えます。
出典・参考資料
試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。
- 日本商工会議所:簿記検定 ↗
- 出題区分表 ↗
- 日本商工会議所:1級過去問題(第158回〜) ↗
- 日本商工会議所:商工会議所簿記検定試験出題区分表(2022年4月施行版) ↗(第三 決算 3.決算整理、第二 12.有形固定資産、21.税金)
- 日本商工会議所:商業簿記標準・許容勘定科目表(2022年4月施行版) ↗
- 日本商工会議所:簿記3級サンプル問題 ↗
編集:Pinternet Works · 更新日:
教材の編集方針・訂正について
