資産・負債・純資産・収益・費用の5要素を、貸借対照表と損益計算書へ対応させます。借方と貸方への記録を通して、取引が残高を変える仕組みを学びます。
仕組みを理解する
5要素と財務諸表
簿記の5要素とは、資産・負債・純資産・収益・費用のことで、会社の状態と一年間の成果を整理する基本の区分です。貸借対照表と損益計算書に対応させて理解します。

会社のようすを把握するときは、現在の財産と、一年間の成果を分けて考えます。簿記の5要素は、この二つの見方をつなぐ言葉です。
| 要素 | 増加側 | 例 |
|---|---|---|
| 資産 | 借方 | 現金・売掛金 |
| 負債 | 貸方 | 買掛金・借入金 |
| 純資産 | 貸方 | 資本金・繰越利益剰余金 |
| 収益 | 貸方 | 売上 |
| 費用 | 借方 | 給料・家賃 |
| 要素 | 意味 | 財務諸表 |
|---|---|---|
| 資産 | 現金・債権・設備など | B/S |
| 負債 | 支払義務・借入れなど | B/S |
| 純資産 | 資産-負債 | B/S |
| 収益 | 当期の売上など | P/L |
| 費用 | 当期の仕入・給料など、収益を得るために費やした額 | P/L |
基本の仕組み

株式を発行して現金100万円の払込みを受け、会社を設立すると、資産の現金100万円と純資産の資本金100万円が増えます。銀行から30万円を借りれば、資産と負債がそれぞれ30万円増えます。
資産=負債+純資産という関係を貸借対照表で表します。収益から費用を引いた利益は、配当などがなければ純資産を増やす原因になります。
借りた現金は収益ではありません。返済する義務が増えるので、負債として記録します。現金の増減だけで利益を判断しないようにします。
5要素と2つの財務諸表

5要素は資産、負債、純資産、収益、費用です。資産は現金・売掛金・備品などの経済的資源、負債は買掛金・借入金などの返済等の義務、純資産は資産と負債の差額です。収益は売上・受取利息など、費用は仕入・給料など収益を得るために当期に費やした額です。
貸借対照表は決算日の資産=負債+純資産、損益計算書は一定期間の収益-費用=利益を示します。利益は決算で損益勘定から繰越利益剰余金勘定へ振り替えられ、純資産を増やします。出資と借入れで現金が増えても、それ自体は売上にも利益にもなりません。
取引の8要素を両側に組み合わせる

取引の借方側には資産の増加・負債の減少・純資産の減少・費用の発生、貸方側には資産の減少・負債の増加・純資産の増加・収益の発生があります。これが取引の8要素です。一つの取引で二つ以上を組み合わせ、借方合計と貸方合計を一致させます。
備品の現金購入は「資産の増加/資産の減少」、掛仕入は「費用の発生/負債の増加」、掛売上は「資産の増加/収益の発生」、借入返済は「負債の減少/資産の減少」です。何が増え、何が減るかを先に言葉にしてから科目を選びます。
株式会社の配当は、株主総会の決議で繰越利益剰余金(純資産)を減らし、未払配当金(負債)を増やす「純資産の減少/負債の増加」の取引です。配当は費用ではないので、損益計算書には載りません。
試験に出る
- 資産=負債+純資産の関係を、貸借対照表のどこで確かめるか。
- 株式発行による出資と借入れで、資産・負債・純資産のどれがいくら増えるかを問う問題。
- 収益から費用を引いた利益が、純資産を増やす原因になる点。
- 借入金を収益と混同させる選択肢に注意する。
- 5要素が貸借対照表と損益計算書のどちらに対応するか。
重要な言葉
- 貸借対照表
- 一時点の資産・負債・純資産を示し、資産=負債+純資産の関係を表す表。
- 損益計算書
- 一定期間の収益と費用、その差である利益を示す表。
- 純資産
- 資産から負債を引いた正味の財産。3級では資本金・利益準備金・繰越利益剰余金を扱う。
確認問題
確かめよう出資100万円と借入30万円だけなら純資産はいくら?
100万円。資産130万円から負債30万円を引きます。
銀行から借りた現金は、収益として記録する。
収益から費用を引いた利益は、配当などがなければ純資産を増やす。
資産=負債+純資産の関係を表す表は?
出資100万円と借入30万円だけのとき、純資産は?
会社のようすを把握するときは、現在のと、一年間のを分けて考えます。簿記の5要素は、この二つの見方をつなぐ言葉です。
株式を発行して現金の払込みを受け、会社を設立すると、資産の現金100万円と純資産の資本金100万円が増えます。銀行からを借りれば、資産と負債がそれぞれ30万円増えます。
資産=負債+純資産という関係をで表します。収益から費用を引いたは、配当などがなければ純資産を増やす原因になります。
借りた現金はではありません。返済する義務が増えるので、として記録します。現金の増減だけで利益を判断しないようにします。
勘定記入の基礎
借方と貸方とは、帳簿の左側と右側の名称で、借金の有無を表す言葉ではありません。資産・費用の増加は借方、負債・純資産・収益の増加は貸方に記録します。

借方・貸方は、借金の有無を表す言葉ではなく、帳簿の左と右の名称です。まず科目の性質を決め、増減を記録します。
| 借方(左)へ記録 | 貸方(右)へ記録 |
|---|---|
| 資産の増加 | 資産の減少 |
| 負債の減少 | 負債の増加 |
| 純資産の減少 | 純資産の増加 |
| 費用の発生 | 収益の発生 |
基本の仕組み

現金で備品3万円を買うと、借方に備品3万円、貸方に現金3万円と書きます。資産の備品が増え、同じ資産の現金が減ります。
資産・費用の増加は借方、負債・純資産・収益の増加は貸方に記録します。仕訳帳の取引を科目別の総勘定元帳へ転記すると、残高を集計できます。
どちら側に書くかを現金の動きだけで決めないことが大切です。掛取引など現金が動かない取引にも、貸借両側の記録があります。
五要素の増減を左右へ置く

借方は帳簿の左、貸方は右です。資産と費用の増加は借方、負債・純資産・収益の増加は貸方で、減少は逆側に記録します。増減の向きは現金が入るか出るかだけでは決まりません。売掛金が増える掛売りは現金が動かなくても借方が必要です。
元帳の現金勘定は借方に入金、貸方に出金を集めます。売掛金勘定も借方に掛売り、貸方に回収を集めます。買掛金勘定では掛仕入が貸方、支払いが借方です。科目の性質で残高が借方か貸方かを予想してから、実際の増減を転記します。
複合仕訳と貸借平均

一つの取引に借方または貸方の複数科目がある場合も、合計額が一致します。商品42万円を仕入れ、現金2万円を払い残り40万円の約束手形を振り出せば、借方仕入42万円、貸方現金2万円・支払手形40万円です。2026年公開サンプル第1問では、このような複合仕訳も一問として問われます。
仕訳帳に記録し元帳へ転記した後、試算表で貸借合計を照合します。試算表の貸借が一致していても、取引全体の記帳漏れや二重記帳、勘定科目の誤り、貸借を逆にした記入は見つかりません。証ひょうや補助簿と勘定残高を追加で照合します。
試験に出る
- 借方・貸方が帳簿の左右を指し、借金の有無とは関係ない点。
- 資産・費用は増加が借方、負債・純資産・収益は増加が貸方という区別。
- 現金の動きだけで借方・貸方の側を決めないこと。
- 仕訳帳から総勘定元帳への転記の流れ。
- 1つの取引を貸借同額で記録する点。
重要な言葉
- 借方
- 帳簿の左側。資産・費用の増加を記録する。
- 貸方
- 帳簿の右側。負債・純資産・収益の増加を記録する。
- 総勘定元帳
- 勘定科目ごとに取引を集めて残高を管理する帳簿。
確認問題
確かめよう備品購入で借方と貸方の合計は?
ともに3万円。取引を異なる二面から同額で記録しています。
借方・貸方は、借金の有無を表す言葉である。
掛取引のように現金が動かない取引でも、貸借両側へ記録する。
資産の増加を記録する側は?
仕訳帳の取引を科目別に集計する帳簿は?
・は、借金の有無を表す言葉ではなく、帳簿の左と右の名称です。まず科目の性質を決め、増減を記録します。
現金で備品を買うと、借方に備品3万円、貸方に現金3万円と書きます。資産のが増え、同じ資産の現金が減ります。
資産・費用の増加は、負債・純資産・収益の増加はに記録します。仕訳帳の取引を科目別の総勘定元帳へ転記すると、残高を集計できます。
どちら側に書くかをの動きだけで決めないことが大切です。など現金が動かない取引にも、貸借両側の記録があります。
覚えるポイント
- 5要素と財務諸表:資産=負債+純資産という関係を貸借対照表で表します。収益から費用を引いた利益は、配当などがなければ純資産を増やす原因になります。
- 勘定記入の基礎:資産・費用の増加は借方、負債・純資産・収益の増加は貸方に記録します。仕訳帳の取引を科目別の総勘定元帳へ転記すると、それぞれの残高を集計できます。
出典・参考資料
試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。
編集:Pinternet Works · 更新日:
教材の編集方針・訂正について
