令和7年度の50問について、独自要約・公式正答・関連する知識を整理しています。問題文と選択肢の原文は公式PDFで確認してください。教材の法令基準日と出題年度の法令基準日は異なります。
2020年10月試験の概要
袋地の通行権(囲繞地通行権)
民法・権利関係 · 相隣関係 / 囲繞地通行権 / 分割による通行権
買主Aが取得した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じていない袋地であった場合に関する民法の規定および判例の記述として、正しいものはどれか。
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解答
1
解説
袋地(公道に通じていない土地)の所有者は、公道に至るために囲繞地を通行する法定の通行権を有します。一般の囲繞地通行権では償金の支払が必要ですが、共有物の分割や一部譲渡によって袋地が生じた場合は、他の分割者・譲渡人の所有地のみを無償で通行できます(民法第213条)。
解き方
- 甲土地が公道に通じていない原因が共有物の分割によるものかを確認する。
- 民法第213条に基づき、分割によって生じた袋地の通行権は無償であること、特定承継人にも引き継がれることを確認して各肢を検討する。
- 選択肢 1正解
- 民法第213条により、共有物の分割によって袋地が生じたときは、袋地の所有者は他の分割者の所有地を無償で通行できます。この権利は分割後の譲受人(特定承継人)であるAにも承継されます。
- 選択肢 2不正解
- 周囲の土地の状況や通路の現況、自動車利用の必要性など諸般の事情を考慮して、囲繞地の通行に自動車の利用が認められることがあります(判例)。絶対に認められないとする記述は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 乙土地の賃借権は債権契約に基づく権利であり、甲土地の従たる権利として当然にBへ移転するわけではありません。賃借権を譲渡するには賃貸人の承諾が必要です(民法第612条)。
- 選択肢 4不正解
- 袋地の所有権に基づく法定の通行権(囲繞地通行権)は、囲繞地が第三者により時効取得された場合であっても消滅することはなく、引き続き通行することができます。
覚えるポイント
- 共有物の分割または一部譲渡による囲繞地通行権は他の分割者・譲渡人の土地に限定され無償となる。
- 囲繞地通行権における自動車の通行は状況によって認められることがある。
間違えやすいところ
- 分割による袋地通行権が特定承継人にも及ぶことを見落としやすい点に注意する。
- 賃借権の移転には賃貸人の承諾が必要である原則を従たる権利の移転と混同しやすい。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の民法第210条〜第213条および最高裁判例
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.3 ↗(www.retio.or.jp)
保証契約(事業用融資・個人根保証)
民法・権利関係 · 保証契約 / 事業資金融資 / 個人の根保証 / 公正証書
令和2年7月1日に下記ケース①およびケース②の保証契約を締結した場合に関する民法の規定として、正しいものはどれか。 (ケース①) 個人Aが金融機関Bから事業資金として1,000万円を借り入れ、CがBとの間で当該債務に係る保証契約を締結した場合 (ケース②) 個人Aが建物所有者Dと居住目的の建物賃貸借契約を締結し、EがDとの間で当該賃貸借契約に基づくAの一切の債務に係る保証契約を締結した場合
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解答
4
解説
事業用資金融資について個人が保証人になる場合は、慎重な判断を促すため契約締結前1箇月以内に公正証書による意思表示を行う必要があります(民法第465条の6)。一方、個人の根保証契約(賃貸借保証など)では極度額の定めが効力要件となりますが、事前の公正証書作成は要求されません。
解き方
- ケース①(個人債務者の事業資金融資に対する保証)とケース②(個人根保証である賃貸借保証)の類型を整理する。
- 書面要件、極度額要件、連帯保証人の抗弁権、公正証書作成要件を各肢と照らし合わせる。
- 選択肢 1不正解
- 保証契約は書面(または電磁的記録)でしなければ効力を生じないため(民法第446条第2項・第3項)、ケース①・②ともに口頭では効力を生じません。
- 選択肢 2不正解
- 個人根保証契約において極度額の定めが効力発生要件とされるのは、保証人が「個人」の場合に限られます(民法第465条の2)。法人が保証人となる場合は極度額の定めがなくても有効です。
- 選択肢 3不正解
- 連帯保証人には催告の抗弁権および検索の抗弁権が認められていません(民法第454条)。したがって、ケース①のCも催告の抗弁を主張することはできません。
- 選択肢 4正解
- 個人の事業用融資保証では、締結日前1箇月以内の公正証書による保証意思表示がなければ無効となります(民法第465条の6)。一方、ケース②の賃貸借の個人根保証には公正証書作成義務はないため有効です。
覚えるポイント
- すべての保証契約は書面(または電磁的記録)でしなければ無効である。
- 事業用融資の第三者個人保証は、契約締結前1箇月以内の公正証書が必要となる。
間違えやすいところ
- 個人根保証の極度額要件が法人保証人にも適用されると勘違いしないように注意する。
- 連帯保証人には催告・検索の抗弁権が一切ないことを忘れないこと。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の民法第446条、第454条、第465条の2、第465条の6
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.3 ↗(www.retio.or.jp)
債務不履行による契約解除と付随的義務
民法・権利関係 · 契約解除 / 付随的義務 / 催告解除 / 無催告解除
契約の解除に関する民法の規定および判決文によれば、誤っているものはどれか(契約は令和2年4月1日以降に締結されたものとする)。 (判決文) 法律が債務の不履行による契約の解除を認める趣意は、契約の要素をなす債務の履行がないために、該契約をなした目的を達することができない場合を救済するためであり、当事者が契約をなした主たる目的の達成に必須的でない附随的義務の履行を怠ったに過ぎないような場合には、特段の事情の存しない限り、相手方は当該契約を解除することができないものと解するのが相当である。
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解答
2
解説
契約の解除は、契約の主たる目的を達成できない場合に認められます。主たる目的の達成に必須でない付随的義務の不履行にとどまる場合や、不履行が社会通念に照らして軽微であるときは解除できません。なお、2020年改正民法では、解除に債務者の帰責事由は不要とされています。
解き方
- 判決文の論旨(付随的義務の不履行では原則解除できない)と民法の解除規定を理解する。
- 各肢の記述が判決文の趣旨または民法第541条・第542条の定めに反していないかを検討する。
- 選択肢 1不正解
- 公租公課の分担金精算義務などの付随的義務の不履行にとどまる場合は、判決文にあるとおり特段の事情がない限り契約を解除できません。
- 選択肢 2正解
- 義務が付随的義務か主たる義務かは契約の性質・目的から客観的に判断されるものであり、帰責事由の有無で決まるものではありません。また解除に債務者の帰責事由は不要です。
- 選択肢 3不正解
- 民法第541条ただし書により、催告期間経過時における債務不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、債権者は解除できません。
- 選択肢 4不正解
- 民法第542条第1項第2号により、債務者が全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、催告をすることなく直ちに契約を解除することができます。
覚えるポイント
- 契約解除に債務者の帰責事由(過失など)は不要となった。
- 付随的義務の不履行や軽微な不履行では契約解除は認められない。
間違えやすいところ
- 解除に債務者の過失(帰責事由)が必要であるという旧民法のルールと混同しないよう注意する。
- 付随的義務と債務不履行の軽微性について正確に区別すること。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の民法第541条、第542条および最高裁判例
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.4 ↗(www.retio.or.jp)
建物賃貸借終了時の原状回復義務および敷金返還
民法・権利関係 · 借家 / 賃貸借終了 / 原状回復義務 / 敷金
建物の賃貸借契約が期間満了により終了した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば正しいものはどれか(令和2年7月1日締結、原状回復に関する特段の合意はないものとする)。
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解答
3
解説
賃貸借契約終了時の原状回復において、通常損耗や経年劣化、借主の責めに帰することができない損傷は修繕義務の対象外です(民法第621条)。また、敷金返還請求権は建物の明渡し完了時に発生するため、明渡しと敷金返還は同時履行の関係になく、明渡しが先履行となります(民法第622条の2)。
解き方
- 賃借人の原状回復義務の範囲(通常損耗・借主の帰責事由の有無)を確認する。
- 敷金返還義務の発生時期と建物の明渡しの先履行関係、および賃借人からの充当請求権の有無を検討する。
- 選択肢 1不正解
- 通常の使用及び収益によって生じた損耗(通常損耗)並びに経年変化については、賃借人は原状回復義務を負いません(民法第621条)。
- 選択肢 2不正解
- 損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃借人は原状回復義務を負いません(民法第621条ただし書)。
- 選択肢 3正解
- 敷金の返還義務は賃貸借が終了し、かつ、賃借物の返還を受けたときに生じます(民法第622条の2第1項第1号)。賃貸人は明渡しを受けるまで敷金の返還を拒めます。
- 選択肢 4不正解
- 敷金を未払賃料に充当するかどうかを選択できるのは賃貸人のみであり、賃借人の側から充当を請求することはできません(民法第622条の2第2項)。
覚えるポイント
- 原状回復義務から「通常損耗」「経年変化」「借主の帰責事由のない損傷」は除外される。
- 明渡しと敷金返還は同時履行ではなく、明渡しが先履行である。
間違えやすいところ
- 賃借人から敷金を未払賃料に充当請求できると誤認しやすい。
- 敷金返還と明渡しを同時履行の関係と誤って覚えてしまうことが多い。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の民法第621条、第622条の2
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.5 ↗(www.retio.or.jp)
有償委任契約における各当事者の権利義務と終了事由
民法・権利関係 · 委任契約 / 受任者の注意義務 / 中途終了の報酬 / 委任の終了事由
AとBとの間で令和2年7月1日に締結された委任契約において、委任者Aが受任者Bに対して報酬を支払うこととされていた場合に関する民法の規定として、正しいものはどれか。
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解答
1
解説
委任契約において、受任者は有償・無償を問わず「善管注意義務」を負います(民法第644条)。履行途中で委任が終了した場合、委任者の過失による終了であれば受任者は全額を請求でき利益償還義務を負います(民法第536条第2項)。また、委任契約は当事者の死亡等により終了し、相続されません(民法第653条)。
解き方
- 受任者の注意義務が善管注意義務であることを確認する。
- 履行の中途終了における報酬請求権の規定(委任者側の帰責事由、受任者側の既履行割合など)を確認する。
- 受任者死亡による契約終了の効力を確認して正誤を判定する。
- 選択肢 1正解
- 委任者の責めに帰すべき事由によって事務処理ができなくなったときは、危険負担の原則(民法第536条第2項)により受任者は全額の報酬を請求できますが、自己の債務を免れたことによる利益は償還する必要があります。
- 選択肢 2不正解
- 受任者は無償であっても「善良な管理者の注意(善管注意義務)」をもって事務を処理しなければなりません(民法第644条)。「自己の財産に対するのと同一の注意」ではありません。
- 選択肢 3不正解
- 受任者の帰責事由によって中途終了した場合でも、既にした履行によって委任者が利益を受けるときは、その利益の割合に応じて報酬を請求することができます(民法第648条第3項、第648条の2第1項)。
- 選択肢 4不正解
- 委任契約は委任者または受任者の死亡により当然に終了します(民法第653条第1号)。相続人が受任者の地位を承継することはありません。
覚えるポイント
- 委任の受任者は有償・無償を問わず常に善管注意義務を負う。
- 委任契約は当事者の死亡・破産、受任者の後見開始によって終了する。
間違えやすいところ
- 無償の委任であれば自己の財産と同一の注意で足りると誤解しないようにする。
- 受任者の責めに帰すべき事由で終了した場合でも、利益を受ける限度で既履行分の報酬請求権が認められる規定を見落としやすい。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の民法第536条第2項、第644条、第648条第3項、第648条の2、第653条
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.5 ↗(www.retio.or.jp)
錯誤による意思表示の取消し(共通の錯誤・重過失)
民法・権利関係 · 錯誤 / 動機の錯誤 / 重大な過失 / 共通の錯誤(双方錯誤)
AとBとの間で令和2年7月1日に締結された売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、売買契約締結後、AがBに対し、錯誤による取消しができるものはどれか。
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解答
3
解説
錯誤による意思表示は原則として取り消すことができます。動機の錯誤は事情が法律行為の基礎とされていることが表示されている必要があります。また、表意者に「重大な過失」があるときは原則取消しできませんが、相手方が同じ錯誤に陥っていた場合(共通の錯誤)は重過失があっても取消しが可能です(民法第95条第3項第2号)。
解き方
- 各肢において、表示の錯誤か動機の錯誤か、動機が表示されているかを確認する。
- 表意者に重大な過失があるか、また相手方が悪意・重過失であるか、または共通の錯誤に陥っているか(第95条第3項各号)を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 表示の錯誤ですが、表意者Aに重大な過失があり、かつ相手方Bは善意無過失であるため、民法第95条第3項柱書によりAは錯誤による取消しをすることができません。
- 選択肢 2不正解
- 「壺の価値が10万円程度である」という動機の錯誤ですが、その動機(真の価値)が契約の基礎として表示されておらず(単に手元にお金がないから売りたいと言っているだけ)、取消しは認められません(民法第95条第2項)。
- 選択肢 3正解
- 「贋作である」という動機が表示されて契約の内容となっており、かつ買主Bも同様の錯誤に陥っています(共通の錯誤)。この場合、Aに過失があっても民法第95条第3項第2号により錯誤取消しが可能です。
- 選択肢 4不正解
- 金額計算の前提となる動機の錯誤ですが、Aに重大な過失があり、相手方Bは善意無過失であるため、民法第95条第3項柱書によりAは錯誤取消しをすることができません。
覚えるポイント
- 表意者に重過失があっても、相手方が同種の錯誤に陥っていた場合(共通の錯誤)は取消しできる。
- 動機の錯誤は、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていなければならない。
間違えやすいところ
- 表意者に重大な過失がある場合は絶対に取消しができないと一律に判断してしまうミスに注意する。
- 動機が単に内心にあるだけで表示されていないケースを取消可能と判断しないこと。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の民法第95条
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.6 ↗(www.retio.or.jp)
保証人の責任範囲と求償権等の規定
民法・権利関係 · 保証債務 / 主たる債務の加重 / 連帯保証 / 相殺権 / 通知義務
保証に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば誤っているものはどれか(保証契約は令和2年4月1日以降に締結されたものとする)。
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解答
2
解説
保証債務は主たる債務に従属する性質(附従性)を有しますが、契約成立後に主債務が加重されても保証人の負担は増えません(民法第448条第2項)。また時効利益の放棄は相対効であり、主債務者が時効を放棄しても保証人は時効を援用できます。特定物売買の売主保証人は解除時の代金返還義務も負担します(判例)。
解き方
- 主たる債務の契約後加重および時効利益放棄の効力が保証人に及ぶかを検討する。
- 特定物売買の原状回復義務への保証責任、弁済前の事前通知義務、期限前弁済と主債務者の相殺対抗に関する民法各条文を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 売主の保証人は、特段の事情がない限り、債務不履行によって売買契約が解除された場合の原状回復義務(受領済み代金の返還義務)についても保証責任を負います(最高裁判例)。
- 選択肢 2正解
- 契約締結後に主たる債務が加重されても保証人の負担は加重されません(民法第448条第2項)。また主債務者が時効の利益を放棄しても、その効力は保証人に及ばず、保証人は独自に時効を援用できます。
- 選択肢 3不正解
- 民法第465条の10第2項・第463条等に基づき、主債務者が相殺をもって保証人に対抗したときは、保証人は債権者に対し相殺で消滅すべきであった債務の履行(返還)を請求できます。
- 選択肢 4不正解
- 委託を受けた保証人が弁済等の債務消滅行為をする際、事前に主たる債務者への通知を怠ると、主債務者が有していた対抗事由を対抗される等、求償が制限されることがあります(民法第463条第1項)。
覚えるポイント
- 保証契約後に主債務が加重されても保証人の負担は加重されない。
- 主たる債務者の時効の利益の放棄は保証人・連帯保証人には影響を及ぼさない(相対効)。
間違えやすいところ
- 主債務の時効中断(更新)効力と、時効「完成後」の利益放棄の効力を混同しないようにする。
- 売買解除による代金返還義務は保証債務に含まれないと誤解しやすい。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の民法第448条第2項、第457条、第463条および判例
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.6 ↗(www.retio.or.jp)
相続権および代襲相続の規定
民法・権利関係 · 相続 / 代襲相続 / 再代襲 / 相続回復請求権 / 法定相続人
令和2年7月1日に相続が開始した場合に関する民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
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解答
2
解説
被相続人の「子」が先に死亡等している場合は孫が代襲相続し、孫も先に死亡しているときはひ孫が「再代襲」できます(直系卑属は何代でも再代襲可能、民法第887条)。一方、「兄弟姉妹」が相続人となる場合の代襲相続はその子(甥・姪)の一代に限られ、甥・姪の子への再代襲は認められません(民法第889条)。
解き方
- 相続権の消滅時効期間(相続回復請求権)を確認する。
- 子(直系卑属)の代襲相続と兄弟姉妹の代襲相続における再代襲の可否の違いを確認する。
- 相続人の順位(第1順位:子、第2順位:直系尊属、第3順位:兄弟姉妹)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 民法第884条により、相続回復請求権は、相続人またはその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないとき、または相続開始の時から20年を経過したときに時効により消滅します。
- 選択肢 2正解
- 被相続人の「子」の代襲相続については、代襲者(孫)が死亡していてもその子(ひ孫)が再代襲相続人になることができます(民法第887条第3項)。「相続人となることはない」とする記述は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 相続順位は第1順位が子(および代襲者)、第2順位が直系尊属、第3順位が兄弟姉妹です。直系尊属が相続人となる場合は、第3順位の兄弟姉妹は相続人になりません(民法第889条第1項)。
- 選択肢 4不正解
- 兄弟姉妹の代襲相続は、その子(被相続人から見て甥・姪)までに限定されており、甥・姪の子(兄弟姉妹の孫)への再代襲は認められていません(民法第889条第2項)。
覚えるポイント
- 直系卑属(子・孫)の代襲相続は何代でも再代襲が可能である。
- 兄弟姉妹の代襲相続はその子(甥・姪)の1代限りで再代襲はできない。
間違えやすいところ
- 子の再代襲と兄弟姉妹の再代襲のルールの違いを取り違えやすい。
- 相続回復請求権の短期消滅時効期間(侵害を知った時から5年、相続開始から20年)を混同しないこと。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の民法第884条、第887条、第889条
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.7 ↗(www.retio.or.jp)
売買契約と負担付贈与契約の比較
権利関係 · 売買契約 / 手付 / 贈与契約 / 負担付贈与 / 担保責任
A所有の甲建物について、Bとの間で締結された①Aを売主・Bを買主とする売買契約と、②Aを贈与者・Bを受贈者とする負担付贈与契約(ともに担保責任の特約なし)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし正しいものはどれか。
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解答
3
解説
負担付贈与は無償契約である贈与の一種ですが、受贈者も一定の債務(負担)を負う双務有償契約類似の性質を持ちます。そのため、負担の限度で売主と同様の担保責任を負い、双務契約の解除規定も準用されます。
解き方
- 手付解除の可否は、相手方が「履行に着手」したか否かで判断します。代金の準備をして催告した行為は履行の着手に当たります。
- 書面によらない贈与は各当事者が解除できますが、「履行が終わった部分」は解除できません。引渡しまたは登記のいずれか一方があれば履行済みとなります。
- 負担付贈与の贈与者は、その負担の限度額において売主と同じ担保責任を負います(民法第551条第2項)。
- 受贈者が負担を履行しない場合、贈与者は相当の期間を定めて催告したうえで契約を解除できます(民法第553条、第541条)。
- 選択肢 1不正解
- 買主Bが履行期到来後に代金準備をして履行を催告した行為は「履行の着手」に該当します。相手方が履行に着手した後は、売主Aは手付倍額を提供しても手付解除をすることができません。
- 選択肢 2不正解
- 不動産の書面によらない贈与において、所有権移転登記または引渡しのいずれか一方が完了すれば「履行が終わった」とみなされ、その部分については書面によらないことを理由とする解除はできなくなります。
- 選択肢 3正解
- 負担付贈与の贈与者は、受贈者が負担する限度において、売主と同じく契約不適合担保責任を負うと規定されています(民法第551条第2項)。
- 選択肢 4不正解
- 負担付贈与には双務契約の規定が準用されるため、受贈者Bが負担である義務を履行しないときは、贈与者Aは債務不履行を理由として契約の解除をすることができます(民法第553条)。
覚えるポイント
- 負担付贈与の担保責任:受贈者が負う負担の限度において売主と同じ責任を負う。
- 不動産贈与の履行完了基準:引渡し又は登記のいずれかが完了すれば解除不可。
間違えやすいところ
- 書面によらない贈与の履行完了要件を「引渡しと登記の両方」が必要と誤認しやすいので注意する。
出題の前提:民法(令和2年4月1日施行基準)第551条第2項、第553条、第549条、第550条、第557条
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.7 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
不動産の取得時効と消滅時効
権利関係 · 取得時効 / 占有の承継 / 善意無過失 / 所有権の非消滅時効性
A所有の甲土地に関する時効についての次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし誤っているものはどれか。
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解答
2
解説
不動産の所有権は、10年間または20年間の平穏・公然・自主占有によって時効取得されます。占有開始時に善意無過失であれば10年の短期取得時効が適用され、その後に他人の物であると知っても要件に影響しません。また所有権自体は消滅時効にかかりません。
解き方
- 相続や特定承継では、前主の占有期間とその性質(善意・悪意)を併せて主張できます。
- 民法第162条第2項の「占有の始めに善意無過失」要件は、途中で悪意に転換しても10年のまま変わりません。
- 前主の占有開始時に善意無過失であれば、悪意の特定承継人も前主の瑕疵のない占有を承継して合算10年で時効取得可能です。
- 所有権は消滅時効の対象外と規定されています(民法第166条第2項)。
- 選択肢 1不正解
- 相続人Cは被相続人Bの占有を承継し、自己の占有と併せて通算20年間の平穏・公然・自主占有を主張できるため、甲土地を時効取得できます。
- 選択肢 2正解
- 短期取得時効の「善意・無過失」は占有開始時に必要とされ、占有途中で悪意になっても期間は10年のままです。したがってDは通算10年の占有により時効取得できます。
- 選択肢 3不正解
- 特定承継人Fは前主Dの占有を併せて主張でき、占有開始時の善意無過失の性質も承継されるため、悪意のF自身の占有と合算して10年で時効取得できます。
- 選択肢 4不正解
- 所有権は独立して消滅時効にかかる権利ではないため、20年以上権利を行使せずに放置しても所有権自体が消滅することはありません(民法第166条第2項)。
覚えるポイント
- 10年取得時効の善意・無過失は「占有開始時」に判定される。
- 所有権は消滅時効にかからない。
間違えやすいところ
- 途中で悪意に変わると20年の長期時効が必要になると誤認しないよう注意する。
出題の前提:民法第162条、第166条第2項、第187条
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.8 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
借地借家法(借地権の対抗力・賃料増減・更新期間)
権利関係 · 借地借家法 / 借地権の対抗力 / 地代等増減請求権 / 建物買取請求権 / 借地契約の更新期間
A所有の甲土地につき、Bとの間で建物所有目的・存続期間30年の借地契約が締結された場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例に照らし正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
借地借家法において、借地契約の更新期間は最初の更新では最低20年、2回目以降は最低10年とされ、これより短い期間を定めた場合は期間の定めがないものとみなされ法定最低期間となります。また借地権の対抗要件は土地上の登記ある建物の所有です。
解き方
- 借地権の対抗要件は、土地自体の登記または借地上の登記ある建物の所有です(引渡しだけでは対抗不可)。
- 一定期間増額しない特約は有効ですが、減額しない特約は借地人に不利なため無効となり減額請求は可能です。
- 借地人の債務不履行解除の場合、判例上そもそも建物買取請求権は発生しないため、行使不可とする合意も有効です。
- 最初の更新期間は最低20年であり、短縮する合意は法的に無効で20年となります。
- 選択肢 1不正解
- 借地権の対抗力は、借地権の登記または借地上の「登記された自己名義の建物」を所有していることで発生します。土地の引渡しを受けただけでは第三者に対抗できません(借地借家法第10条第1項)。
- 選択肢 2不正解
- 「一定期間増額しない」特約は有効ですが、「減額しない」特約は借地人に不利であるため無効です。したがって地代が不相当に高くなったときは、借地人Bは減額請求をすることができます(借地借家法第11条第1項但書)。
- 選択肢 3不正解
- 借地人の債務不履行による解除の場合には、建物買取請求権は認められないとするのが判例です。したがって、行使できない旨を定めた特約も有効です。
- 選択肢 4正解
- 借地権の最初の更新後の存続期間は最低20年と定められており、当事者がこれより短い期間を定めた場合は期間の定めがないものとみなされ、法所定の20年となります(借地借家法第4条)。
覚えるポイント
- 借地契約の存続期間:当初30年以上、第1回更新20年以上、第2回以降10年以上。
- 借賃の不増額特約は有効だが、不減額特約は無効。
間違えやすいところ
- 借地権の対抗要件を建物の「引渡し」と混同しないよう注意する(建物の賃貸借と異なり借地権は建物登記が必要)。
出題の前提:借地借家法第4条、第10条、第11条、第13条
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.8 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
借地借家法(定期建物賃貸借・賃料前払・中途解約)
権利関係 · 借地借家法 / 定期建物賃貸借 / 賃料改定請求権 / 中途解約権 / 造作買取請求権
A所有の甲建物をBに対し居住用・期間2年・月額10万円で賃貸し引渡した場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例に照らし誤っているものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
定期建物賃貸借(借地借家法第38条)では、原則として中途解約ができません。例外的に床面積200㎡未満の居住用建物において賃借人に転勤や療養等のやむを得ない事情がある場合のみ賃借人からの解約が認められます。賃貸人からの一方的な中途解約は認められません。
解き方
- 対抗要件を備えた賃借人は、新所有者に対して前払賃料の対抗が可能です(民法第605条の2)。
- 定期建物賃貸借であっても、賃料改定特約がなければ借地借家法第32条の賃料増減額請求権が適用されます。
- やむを得ない事情による定期建物賃貸借の中途解約権は「賃借人」のみに認められた規定です。
- 造作買取請求権(借地借家法第33条)は、定期建物賃貸借であっても特約で排除していなければ当然に適用されます。
- 選択肢 1不正解
- 建物の引渡しを受けて対抗要件を備えた賃借人は、建物の新所有者に対抗できる権利を有し、従前の賃貸人に前払いした賃料の効力も新所有者に対抗できます(民法第605条の2)。
- 選択肢 2不正解
- 定期建物賃貸借において賃料改定に関する別段の特約を定めていない場合は、借地借家法第32条がそのまま適用されるため、経済的事情の変動等により賃料増額請求を行うことができます。
- 選択肢 3正解
- 借地借家法第38条第5項で定めるやむを得ない事情による中途解約権は「建物の賃借人」にのみ認められた権利であり、賃貸人Aからの解約申入れによる終了は認められません。
- 選択肢 4不正解
- 造作買取請求権(第33条)は任意規定であるため特約で排除可能ですが、特約を定めていない場合には賃貸人の同意を得て付加した造作の買取を請求することができます。
覚えるポイント
- 定期建物賃貸借の法定中途解約権:床面積200㎡未満の居住用、賃借人の転勤・療養等やむを得ない事情、申入れから1か月で終了。
- 賃貸人側からの法定中途解約権は存在しない。
間違えやすいところ
- 定期建物賃貸借の解約権が賃貸人・賃借人の双方にあると誤認しないこと。
出題の前提:借地借家法第32条、第33条、第38条第5項、第7項、民法第605条の2
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.9 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
区分所有法(共用部分の変更・管理・一部共用部分)
権利関係 · 区分所有法 / 共用部分の重大変更 / 管理費用の負担 / 保存行為 / 一部共用部分
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
区分所有法において、一部の区分所有者のみが共用する一部共用部分は原則としてその区分所有者の共有ですが、建物全体の維持管理の観点から規約で全員の共有とすることが認められています。
解き方
- 共用部分の重大変更は各4分の3以上の決議が必要ですが、規約で軽減できるのは「区分所有者の定数」を「過半数」までです。
- 共用部分の管理費用の負担割合は、規約に別段の定めがない限り「持分割合(専有面積割合)」によります(等分ではない)。
- 共用部分の保存行為は、規約に別段の定めがない限り、各共有者が単独で行うことができます。
- 一部共用部分は、規約で区分所有者全員の共有に属するものと定めることができます。
- 選択肢 1不正解
- 共用部分の重大変更について規約で減ずることができる区分所有者の定数は「過半数」までと規定されており、「2分の1以上」ではありません(過半数は2分の1を超える数です)。
- 選択肢 2不正解
- 共用部分の管理費用の負担割合は、規約に別段の定めがない限り、等分ではなく各共有者の共用部分の持分(専有部分の床面積割合)に応じます(区分所有法第19条)。
- 選択肢 3不正解
- 共用部分の保存行為は、各共有者が単独ですることができます。集会の決議を要するわけではありません(区分所有法第18条第1項但書)。
- 選択肢 4正解
- 一部共用部分はそれを共用すべき区分所有者の共有に属しますが、規約で別段の定めをすることにより、区分所有者全員の共有に属するものとすることができます(区分所有法第11条第2項)。
覚えるポイント
- 重大変更の定数緩和:区分所有者定数を規約で「過半数」まで減ぜられる(議決権割合は緩和不可)。
- 一部共用部分:規約で全員の共有とすることが可能。
間違えやすいところ
- 「過半数」と「2分の1以上」の違い(過半数はちょうど半分を含まない)を意識する。
出題の前提:建物の区分所有等に関する法律第11条第2項、第17条第1項、第18条第1項、第19条
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.9 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
不動産登記法(所有権保存登記・仮登記・代位登記・配偶者居住権)
権利関係 · 不動産登記法 / 区分建物の所有権保存登記 / 仮登記に基づく本登記 / 代位登記と登記識別情報 / 配偶者居住権の登記
不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定に照らし正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
不動産登記法において、敷地権付き区分建物の所有権保存登記は表題部所有者からの承継取得者も直接申請できますが、敷地利用権の一体性を担保するため敷地権名義人の承諾が要件とされています。また利害関係人の承諾、代位登記における登記識別情報の通知対象、登記可能な権利の種類なども厳格に定められています。
解き方
- 敷地権付き区分建物の承継取得者による保存登記申請には、敷地権の登記名義人の承諾が必要です(法第74条第2項)。
- 仮登記に基づく本登記において、利害関係を有する第三者がいる場合はその承諾証明情報等の提供が必要です(法第109条第1項)。
- 債権者代位による登記完了時、登記識別情報は通知されません(登記完了証のみ代位者・名義人に通知)。
- 配偶者居住権は、不動産登記法第3条に掲げる「登記することができる権利」に含まれます。
- 選択肢 1正解
- 敷地権付き区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者が所有権保存登記を申請する場合、敷地権の登記名義人の承諾を得なければ申請できません(不動産登記法第74条第2項)。
- 選択肢 2不正解
- 所有権の仮登記に基づく本登記を申請する場合、登記上の利害関係を有する第三者があるときは、その者の承諾(または対抗できる裁判の謄本)の提供が必要です(不動産登記法第109条第1項)。
- 選択肢 3不正解
- 債権者が代位して登記を申請した場合、登記名義人自身が自ら申請したわけではないため登記識別情報は発行・通知されず、登記完了証が交付されるにとどまります。
- 選択肢 4不正解
- 民法改正により創設された配偶者居住権は、不動産登記法第3条各号に掲げられている登記可能な権利の一つです。
覚えるポイント
- 敷地権付き区分建物の所有権保存登記:承継取得者から申請可能だが、敷地権名義人の承諾が必要。
- 代位登記では登記識別情報は一切通知されない。
間違えやすいところ
- 配偶者居住権が新設された権利であるため登記できないと誤解しないよう注意する。
出題の前提:不動産登記法第3条、第21条、第74条第2項、第109条第1項
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.10 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
都市計画法(地区計画・都市計画事業・用途地域)
法令上の制限 · 都市計画法 / 地区計画 / 市街化調整区域 / 都市計画事業の制限 / 用途地域
都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
都市計画法に基づき、市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域であるため、地区計画を定める際にも周辺の市街化を無秩序に促進することがないよう特別の配慮が要求されます。
解き方
- 地区計画における「地区計画の目標」や「区域の整備、開発及び保全の方針」は必要ですが、地区整備計画等は努力義務ではなく必須事項と任意事項が区分されています。
- 事業認可の告示後の土地建物の有償譲渡は、施行者への「届出」が必要であり、「許可」ではありません(都市計画法第67条)。
- 第二種住居地域は「主として住居の環境を保護するため定める地域」であり、中高層住宅の環境保護は中高層住居専用地域です。
- 市街化調整区域内の地区計画基準として、周辺市街化を促進しないよう定めることが明記されています。
- 選択肢 1不正解
- 地区計画には「地区整備計画」等を必要に応じて定めることができますが、努めるもの(努力義務)と規定されているわけではありません。
- 選択肢 2不正解
- 都市計画事業の認可告示後、事業地内の土地建物等を有償で譲渡しようとする者は施行者に「届け出なければならない」とされており、施行者の「許可」を受ける必要はありません(都市計画法第67条第1項)。
- 選択肢 3不正解
- 中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定めるのは「中高層住居専用地域」です。第二種住居地域は「主として住居の環境を保護するため」定める地域です(法第9条第6項)。
- 選択肢 4正解
- 市街化調整区域における地区計画は、周辺市街化を促進することがない等、都市計画区域における計画的な市街化を図る上で支障がないように定めなければならないとされています(法第13条第1項第14号ロ)。
覚えるポイント
- 事業認可告示後の有償譲渡:施行者への「届出」であって「許可」ではない。
- 市街化調整区域の地区計画:周辺の市街化を促進しないことが基準。
間違えやすいところ
- 用途地域の定義(第一種・第二種中高層住居専用地域と住居地域)の文言の取り違えに注意する。
出題の前提:都市計画法第9条第6項、第12条の5、第13条第1項第14号ロ、第67条第1項
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.10 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
都市計画法(開発許可制度・公共施設の管理・地位の承継)
法令上の制限 · 都市計画法 / 開発許可 / 公共施設の管理協議 / 都市計画事業の特例 / 開発許可の地位承継
都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
市街化調整区域における開発区域外での建築行為は原則として都道府県知事の許可が必要ですが、都市計画事業の施行として行う建築等については公益性が高いため許可不要の例外とされています。
解き方
- 公共施設を管理することとなる者との「協議」は、開発許可申請前の必須手続きです(法第32条第1項)。
- 都市計画事業の施行として行う行為は、開発許可だけでなく建築許可(第43条)においても適用除外とされています。
- 新設公共施設は、完了公告の翌日に原則としてその存する市町村の管理となります(法第36条、第39条)。
- 土地の所有権を取得した特定承継人は、知事の「承認」を受けることで開発許可に基づく地位を承継できます(法第45条)。
- 選択肢 1不正解
- 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ開発行為に関係のある公共施設の管理者と協議し同意を得るとともに、新たに設置される公共施設を管理することとなる者と協議しなければなりません(法第32条)。
- 選択肢 2正解
- 都市計画事業の施行として行う建築物の新築は、都市計画法第43条第1項第1号により知事の建築許可が適用除外(不要)とされています。許可を受けなければならないとする本記述は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 開発行為により設置された公共施設は、工事完了公告の日の翌日において、原則としてその公共施設の存する市町村の管理に属します(都市計画法第39条)。
- 選択肢 4不正解
- 開発許可を受けた者から開発区域内の土地の所有権等を取得した特定承継人は、都道府県知事の承認を受けることでその地位を承継することができます(都市計画法第45条)。
覚えるポイント
- 都市計画事業の施行として行う建築・開発行為は許可不要(適用除外)。
- 特定承継人の地位承継:知事の「承認」が必要(相続等の包括承継は当然承継)。
間違えやすいところ
- 新設公共施設の管理者協議(同意までは不要)と既存管理者協議(同意が必要)の相違にも注意する。
出題の前提:都市計画法第32条、第39条、第43条第1項第1号、第45条
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.11 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
建築基準法の諸規定(建築確認・居室天井高・防火区画・昇降機)
法令上の制限 · 建築基準法 / 建築確認 / 居室の環境 / 防火区画 / 非常用昇降機
建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
建築確認の要否は建築物の構造・規模・用途に応じて定められており、居室の環境基準や防火区画、昇降機の設置義務なども安全上明確な基準値が規定されています。
解き方
- 建築物の構造・階数・面積から法6条1項の建築確認対象規模(2号建築物等)に該当するかを判定する。
- 天井高の算定方式(平均天井高)や非常用昇降機の高さ要件(31m超)などの個別基準を精査する。
- 選択肢 1正解
- 木造以外の建築物で階数2以上又は延べ面積200㎡超のものは法6条1項2号建築物に該当し、大規模の修繕に着手する前に確認済証の交付を受ける必要があります。
- 選択肢 2不正解
- 居室の天井の高さは、室の床面から天井の最も低い部分までではなく、室の天井の平均の高さにより測定して2.1m以上でなければなりません。
- 選択肢 3不正解
- 延べ面積が1,000㎡を超える建築物に対する防火壁等の区画義務は、耐火建築物又は準耐火建築物には原則として適用されません。
- 選択肢 4不正解
- 非常用の昇降機の設置が義務付けられているのは、原則として高さが31mを超える建築物であり、30mの建築物には義務はありません。
覚えるポイント
- 木造以外は階数2以上または延べ面積200㎡超で2号建築物に該当し大規模修繕に確認が必要
- 非常用昇降機の設置義務は高さ31mを超える建築物
間違えやすいところ
- 居室の天井高を最低部分の高さと誤認するミス
- 防火壁による1,000㎡以内の区画規定が耐火・準耐火建築物にも一律適用されると誤解するパターン
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の建築基準法および同施行令
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.11 ↗(www.retio.or.jp)
建築基準法の用途制限・容積率・日影規制・道路制限
法令上の制限 · 建築基準法 / 道路内の建築制限 / 用途地域 / 容積率の延べ面積 / 日影規制
建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
建築基準法では、居住福祉や避難の円滑化を図るため、共同住宅や老人ホーム等の共用廊下・階段の床面積を容積率算定上の延べ面積から除外する緩和措置が設けられています。
解き方
- 道路内建築制限の例外となる施設でも特定行政庁の許可が必要であるかを確認する。
- 容積率算定における延べ面積不算入の特例対象(共用廊下・階段等)を照合する。
- 選択肢 1不正解
- 公衆便所や巡査派出所などを道路内に突き出して建築する場合であっても、特定行政庁の許可を受けなければ建築できません。
- 選択肢 2不正解
- 近隣商業地域内においては、客席部分の床面積の合計が200㎡以上の映画館であっても建築することができます。
- 選択肢 3正解
- 建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、老人ホーム等の共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は算入されません。
- 選択肢 4不正解
- 日影規制における日影時間の測定は、日影が最も長くなる「冬至日」の真太陽時(午前8時〜午後4時等)を基準として行われます。
覚えるポイント
- 共同住宅や老人ホーム等の共用廊下・共用階段は容積率算定延べ面積から除外される
- 日影規制の測定基準日は夏至ではなく「冬至日」
間違えやすいところ
- 公衆便所や派出所は許可不要で道路に建築できると勘違いする誤り
- 日影測定の日照条件の基準日を夏至日と取り違えるミス
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の建築基準法
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.12 ↗(www.retio.or.jp)
宅地造成等規制法の立入調査・宅地造成の定義・届出・軽微な変更
法令上の制限 · 宅地造成等規制法 / 宅地造成の定義 / 転用届出 / 変更手続き
宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
宅地造成等規制法において「宅地造成」とは宅地以外の土地を宅地にするため等の一定規模の形質変更を指します。工事を伴わない単なる宅地への転用は「許可」ではなく「届出」の対象です。
解き方
- 宅地造成の定義(宅地以外の土地を宅地にする工事等)に該当するかを確認する。
- 工事を伴わない宅地転用の場合の手続きが「許可」か「届出」かを判断する。
- 選択肢 1不正解
- 都道府県知事等は区域指定等の調査のため他人の土地に立ち入ることができ、占有者等は正当な理由がない限りこれを拒むことはできません。
- 選択肢 2不正解
- 宅地造成とは宅地にするための土地の形質変更等を指すため、宅地を宅地以外の土地にするための形質変更は該当しません。
- 選択肢 3正解
- 宅地造成工事規制区域内で工事を行わずに宅地以外の土地を宅地に転用した者は、転用した日から14日以内に都道府県知事に「届け出」を行えばよく、許可を受ける必要はありません。
- 選択肢 4不正解
- 工事施行者の変更は軽微な変更に該当するため、遅滞なく知事に届け出れば足り、改めて変更許可を受ける必要はありません。
覚えるポイント
- 工事を伴わない宅地への転用は許可ではなく14日以内の事後届出
- 宅地から宅地以外への転用は宅地造成に該当しない
間違えやすいところ
- 工事を伴わない宅地転用にも知事の許可が必要であると誤認するミス
- 工事施行者の変更など軽微な変更を再許可事項と取り違えるパターン
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の宅地造成等規制法
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.12 ↗(www.retio.or.jp)
土地区画整理法(土地区画整理組合の設立・総会・賦課金・参加組合員)
法令上の制限 · 土地区画整理法 / 土地区画整理組合 / 総会の議決 / 賦課金 / 参加組合員
土地区画整理組合(以下この問において「組合」という。)に関する次の記述のうち、土地区画整理法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
土地区画整理組合の総会運営に関する定足数は、定款の別段の定めを除き組合員の半数以上の出席が必要です。また未登記の借地権者も同意対象に含まれ、賦課金は公平に按分されます。
解き方
- 総会の会議開催に必要な定足数(組合員の半数以上の出席)の規定を確認する。
- 設立認可における未登記借地権者の同意の要否や賦課金算定基準の誤りを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 設立認可を申請するには、登記の有無にかかわらず、施行地区内の宅地について借地権を有するすべての者の3分の2以上の同意を得る必要があります。
- 選択肢 2正解
- 組合の総会の会議は、定款に特別の定めがある場合を除き、組合員の半数以上が出席しなければ開くことができません。
- 選択肢 3不正解
- 賦課金の額は、施行地区内の宅地又は借地権の地積、位置、環境や利便等を考慮して公平に定めるものであり、一律に定める必要はありません。
- 選択肢 4不正解
- 参加組合員となれるのは、都市再生機構や地方住宅供給公社等、あるいは事業を施行・援助する業務代行者等の要件を満たし定款で定められた者に限られ、希望者のうち資力・信用がある者が任意になれるわけではありません。
覚えるポイント
- 土地区画整理組合の総会は原則として組合員の半数以上の出席で成立する
- 設立認可の借地権者同意には未登記の借地権者も含まれる
間違えやすいところ
- 未登記の借地権者を権利者から除外できると思い込むミス
- 賦課金は全員均等・一律に割当てなければならないと錯覚するパターン
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の土地区画整理法
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.13 ↗(www.retio.or.jp)
農地法(3条許可の効力・市街化区域の転用届出・相続・抵当権設定)
法令上の制限 · 農地法 / 農地法第3条 / 市街化区域の特例 / 相続の届出 / 抵当権
農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
農地の権利移転(3条)において許可を得ない契約は民法上の物権変動の効力を生じません。また市街化区域内の特例届出は事前の届出が必要であり、相続や担保権設定時の許可要否も厳格に整理されています。
解き方
- 農地法3条許可を受けない権利移転契約の民法上の効力(無効)を確認する。
- 市街化区域内の転用届出の時期(あらかじめ届出)や相続・抵当権の規制対象外の規定を照合する。
- 選択肢 1正解
- 農地法3条1項の許可を受けずに行った農地の売買契約は、その効力を生じません(法3条7項)。
- 選択肢 2不正解
- 市街化区域内の農地を転用する特例届出は、転用する前に「あらかじめ」農業委員会に届け出る必要があり、事後届出では足りません。
- 選択肢 3不正解
- 相続によって農地を取得した場合は3条許可を受ける必要はなく、取得後に農業委員会へ届け出なければなりません。
- 選択肢 4不正解
- 農地法3条の許可が必要となるのは使用収益を目的とする権利の移転・設定であり、担保権である抵当権を設定する場合は許可を受ける必要はありません。
覚えるポイント
- 農地法3条の許可を受けない契約は効力を生じない(無効)
- 市街化区域内の農地転用届出は転用前の「あらかじめ」届出
間違えやすいところ
- 抵当権の設定を権利の設定として農地法3条許可が必要と勘違いする誤り
- 相続による農地取得を3条許可が必要と混同するミス
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の農地法
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.13 ↗(www.retio.or.jp)
国土利用計画法(事後届出の面積要件・起算日・贈与・交換)
法令上の制限 · 国土利用計画法 / 事後届出 / 届出面積基準 / 対価性 / 届出期間の起算日
国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
国土利用計画法の事後届出は、対価を得て行われる土地売買等の契約で、市街化区域2,000㎡以上、市街化調整区域5,000㎡以上、都市計画区域外10,000㎡以上の場合に権利取得者が契約締結日から2週間以内に行います。
解き方
- 各土地の区域区分と面積基準(市街化2,000㎡、調整5,000㎡、区域外10,000㎡)を照合する。
- 契約の種類に対価性があるか(贈与は対象外、予約・交換は対象)および届出義務者を判定する。
- 選択肢 1正解
- 市街化区域は2,000㎡未満のためBは届出不要です。市街化調整区域は5,000㎡以上で売買予約も届出対象となるため、6,000㎡を取得するDは届出が必要です。
- 選択肢 2不正解
- 事後届出の期間は、所有権移転登記の完了日からではなく、「契約を締結した日」から起算して2週間以内です。
- 選択肢 3不正解
- 贈与は対価の授受を伴わない無償契約であるため、面積にかかわらず事後届出の対象とはなりません。
- 選択肢 4不正解
- 土地の交換は対価性がある契約であり、市街化調整区域の10,000㎡を取得するIも、都市計画区域外の10,000㎡を取得するJも、それぞれ事後届出を行う必要があります。
覚えるポイント
- 事後届出の面積基準:市街化2,000㎡、市街化調整5,000㎡、都市計画区域外10,000㎡
- 届出期間の起算日は「契約締結日」から起算して2週間以内
間違えやすいところ
- 事後届出の起算日を登記完了日や引渡し日と誤認するミス
- 贈与や相続など無償取得に対しても届出義務があると勘違いするパターン
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の国土利用計画法
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.14 ↗(www.retio.or.jp)
印紙税(課税標準・交換契約書・国等の非課税文書・賃貸借契約書)
税・その他 · 印紙税 / 記載金額の計算 / 消費税の区分記載 / 国との共同作成 / 賃貸借契約書
印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
国等と民間が作成する文書は、国等作成文書として相手方が保存するものは非課税となります。また消費税区分記載時は税抜金額が記載金額となり、交換契約書は高い方の価額が記載金額となります。
解き方
- 国等と共同作成した契約書における保存者ごとの課税・非課税の取扱いを適用する。
- 消費税記載時の記載金額(税抜)や交換契約書の記載金額(高い金額)、賃貸借の権利金のみが記載金額となるルールを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 契約書に消費税額等が明記されている場合、消費税額等を控除した税抜金額が記載金額となるため、記載金額は1,000万円となります。
- 選択肢 2不正解
- 土地交換契約書で双方の交換対象の価額が明記されているときは、高い方の金額が記載金額となるため、5,000万円となります。
- 選択肢 3正解
- 国と民間が共同作成した契約書のうち、民間(C社)が保存する通は国が作成したものとみなされ非課税となるため、印紙税は課されません。
- 選択肢 4不正解
- 土地の賃貸借契約書における記載金額は、返還されない権利金等の額のみであり(賃料の総額は含まない)、本問の記載金額は100万円となります。
覚えるポイント
- 国と民間が共同作成した契約書は、民間側が保存する文書は非課税
- 土地の賃貸借契約書の記載金額は返還されない「権利金等」の額(賃料は算入しない)
間違えやすいところ
- 土地の賃貸借契約書で契約期間中の賃料総額を記載金額に含めてしまう計算ミス
- 土地交換契約書で低い方の金額や差額を記載金額としてしまう誤り
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の印紙税法
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.14 ↗(www.retio.or.jp)
不動産取得税(税率の特例・免税点・改築・共有物分割)
税・その他 · 不動産取得税 / 税率の特例 / 免税点 / 改築による課税 / 共有物分割の非課税
不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
不動産取得税は実質的な権利取得に課税されるため、共有物分割における従前の持分割合の範囲内での取得は非課税となります。また土地の取得税率は住宅用・非住宅用を問わず特例で3%となっています。
解き方
- 共有物分割による取得における持分割合の範囲内での非課税規定を確認する。
- 土地の取得税率の特例(3%)や、改築による増価分の取得みなし規定を精査する。
- 選択肢 1不正解
- 土地の取得に係る不動産取得税の税率は、住宅用地か住宅用以外の土地かを問わず、特例措置により一律3%とされています。
- 選択肢 2不正解
- 免税点は課税標準となる「価格」(土地は10万円未満)で判定されるものであり、「面積」に満たないことを理由とする非課税規定はありません。
- 選択肢 3不正解
- 家屋を改築したことによりその価格が増加した場合は、価格の増加分について家屋の取得とみなされ、不動産取得税が課されます。
- 選択肢 4正解
- 共有物の分割による不動産の取得のうち、分割前の持分の割合を超えない部分の取得に対しては、不動産取得税は課されません。
覚えるポイント
- 共有物分割による不動産取得は従前の持分割合以内であれば非課税
- 土地の不動産取得税率は用途に関わらず特例により3%
間違えやすいところ
- 非住宅用土地の不動産取得税率が本則の4%のままだと誤認するミス
- 免税点基準が「面積」ではなく「課税標準となる価格」であることの見落とし
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の地方税法
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.15 ↗(www.retio.or.jp)
不動産の鑑定評価基準における価格の種類と鑑定評価の手法
税・その他 · 不動産鑑定評価基準 / 原価法 / 特殊価格 / 最有効使用の原則
不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
不動産の鑑定評価において、原価法は価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、減価修正を行って積算価格を求める手法です。建物だけでなく、造成・埋立等が行われた土地にも適用可能です。
解き方
- 各選択肢について不動産鑑定評価基準の基本概念(最有効使用、未完成建物等の評価条件、特殊価格、原価法の適用対象)を照合する。
- 肢4の原価法の適用範囲について、土地のみの場合に適用不可とする記述が基準に反することを確認し誤りと判断する。
- 選択肢 1不正解
- 不動産の価格は最有効使用を前提として把握される価格を標準として形成されますが、現実の使用方法は十分な効用を発揮していない場合があることに留意する必要があります。
- 選択肢 2不正解
- 未完成の建築物であっても、実質的な実現可能性や妥当性が認められる場合には、当該工事の完了を前提とした鑑定評価(条件付評価)を行うことができます。
- 選択肢 3不正解
- 特殊価格とは文化財指定建造物や宗教建築物など市場性を有しない不動産について利用現況等を前提とした経済価値を表示する価格であり、記述通りの内容です。
- 選択肢 4正解
- 原価法は、既成市街地等の素地には適用が困難な場合があるものの、造成地や埋立地などの土地のみの場合であっても再調達原価の把握が可能であれば適用できるため誤りです。
覚えるポイント
- 原価法は造成地や埋立地など土地のみの評価であっても適用可能であること。
間違えやすいところ
- 土地には減価がないため原価法が一切使えないと誤認しやすい点に注意。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の不動産鑑定評価基準
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.15 ↗(www.retio.or.jp)
宅地建物取引業の免許制度と適用対象行為
宅建業法 · 免許の要否 / 信託会社 / 法人の合併 / 免許換え
宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
宅地建物取引業とは、不特定多数を相手方として反復継続して宅地建物の売買・交換、または媒介・代理を行う行為を指します。自ら売主となって分譲する場合は、販売を宅建業者に委託しても売主自身の免許が必要です。
解き方
- 合併時の承継、信託会社の特例、代理依頼時の自ら売主の免許要否、免許換えの要件をそれぞれ検討する。
- Cが多数区画の宅地分譲を行うにあたり、Dに代理依頼しても自らが宅建業の免許を要することを確認し、肢3を正解と判断する。
- 選択肢 1不正解
- 宅地建物取引業の免許は一身専属的な性質を有するため、合併により消滅した法人の免許を存続会社が承継することはできません。
- 選択肢 2不正解
- 信託業法第3条の免許を受けた信託会社は、国土交通大臣に届出をすることで宅地建物取引業を営むことができ、改めて免許を受ける必要はありません。
- 選択肢 3正解
- 競売取得した宅地を分割して反復継続して分譲する行為は自ら売主となる宅建業に該当し、販売代理を宅建業者に依頼しても自ら免許を受けなければなりません。
- 選択肢 4不正解
- 事務所を2以上設置する場合であっても、すべての事務所が同一の都道府県内(乙県内)にあるときは、引き続き乙県知事免許であり免許換えは不要です。
覚えるポイント
- 代理・媒介を宅建業者に依頼しても、自ら売主として不特定多数に分譲する者は免許が必要。
間違えやすいところ
- 同一県内に事務所を増設しただけで国土交通大臣免許が必要になると混同しないこと。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の宅地建物取引業法
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.16 ↗(www.retio.or.jp)
宅地建物取引業者が行う広告に関する規制(個数問題)
宅建業法 · 取引態様の明示 / 誇大広告の禁止 / 広告開始時期の制限
宅地建物取引業者がその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。 ア 建物の売却について代理を依頼されて広告を行う場合、取引態様として、代理であることを明示しなければならないが、その後、当該物件の購入の注文を受けたときは、広告を行った時点と取引態様に変更がない場合を除き、遅滞なく、その注文者に対し取引態様を明らかにしなければならない。 イ 広告をするに当たり、実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないが、誤認させる方法には限定がなく、宅地又は建物に係る現在又は将来の利用の制限の一部を表示しないことにより誤認させることも禁止されている。 ウ 複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告をする場合は、広告の都度取引態様の別を明示しなければならない。 エ 宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の申請をした後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
解答・解説を表示
解答
2
解説
宅建業法上の広告規制では、取引態様の明示義務(広告時及び注文を受けた時の明示)、誇大広告等の禁止(不作為・不表示による誤認も含む)、未完成物件の広告開始時期の制限(許可等の処分後であること)が厳格に定められています。
解き方
- 記述ア〜エの正誤を1つずつ判定する。
- アは法34条2項ただし書の要件(取引態様を明示した広告に接して注文がなされた場合)を欠いているため誤り。
- イは誇大広告の禁止(法32条)に該当し正しい。
- ウは広告ごとの取引態様明示義務(法34条1項)として正しい。
- エは「申請後」ではなく「処分があった後」でなければ広告できないため誤り。
- 正しい記述はイとウの2つ(選択肢2)であると導く。
- 選択肢 1不正解
- 正しい記述はイとウの2つであるため、一つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 2正解
- 記述イ及び記述ウの2つが正しいため、本肢が正解です。
- 選択肢 3不正解
- 記述ア及びエが誤りであり、正しい記述は2つのため誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 全ての記述が正しいわけではないため誤りです。
覚えるポイント
- 未完成物件の広告は、許可等の「申請後」ではなく「処分があった後」でなければできない。
間違えやすいところ
- 広告を見た注文者以外への注文時明示省略は認められない点を見落としやすい。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の宅地建物取引業法
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.16 ↗(www.retio.or.jp)
宅地建物取引士の資格・登録および取引士証の取扱い
宅建業法 · 宅地建物取引士証の提示 / 登録の効力 / 有効期間の更新 / 登録の移転
宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
宅建士証は重要事項説明時には相手方からの請求がなくても提示が義務付けられています(法35条4項)。また、業務に関して取引関係者から請求された場合も提示義務があります(法22条の4)。
解き方
- 各選択肢について、試験合格の効力、更新申請期間、取引士証の提示義務、登録移転時の講習義務を順に確認する。
- 肢3の提示義務に関する記述が宅建業法の規定通りであることを確認し、正解と特定する。
- 選択肢 1不正解
- 宅建士資格試験の合格は一生涯有効であり、合格後10年を経過しても合格が無効になることはありません。
- 選択肢 2不正解
- 「90日前から30日前まで」は宅建業者の免許の更新申請期間であり、宅地建物取引士証の更新申請期間に関する規定ではありません。
- 選択肢 3正解
- 重要事項説明時の無請求提示義務(法35条4項)と、取引関係者からの請求に応じた提示義務(法22条の4)の双方が正しく記述されています。
- 選択肢 4不正解
- 登録の移転の申請にあたって、移転先知事の指定講習を受講する必要はありません(交付されている取引士証の残存期間を引き継いだ新たな取引士証が交付されます)。
覚えるポイント
- 重要事項説明時は無条件提示、それ以外の取引関係者には請求があった場合に提示する。
間違えやすいところ
- 免許更新の申請期間(90日前から30日前)と取引士証の更新手続きを混同しないこと。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の宅地建物取引業法
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.17 ↗(www.retio.or.jp)
媒介契約(専任媒介・専属専任媒介)の法的規制(個数問題)
宅建業法 · 指定流通機構 / 標準媒介契約約款 / 有効期間と自動更新特約 / 業務処理状況の報告義務
宅地建物取引業者Aが、BからB所有の住宅の売却の媒介を依頼された場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。 ア Aは、Bとの間で専任媒介契約を締結し、所定の事項を指定流通機構に登録したときは、その登録を証する書面を遅滞なくBに引き渡さなければならない。 イ Aは、Bとの間で媒介契約を締結したときは、当該契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。 ウ Aは、Bとの間で専任媒介契約を締結するときは、Bの要望に基づく場合を除き、当該契約の有効期間について、有効期間満了時に自動的に更新する旨の特約をすることはできない。 エ Aは、Bとの間で専属専任媒介契約を締結したときは、Bに対し、当該契約に係る業務の処理状況を1週間に1回以上報告しなければならない。
解答・解説を表示
解答
3
解説
専任媒介契約の有効期間は3か月を超えることができず、依頼者の申出による更新のみが認められ、自動更新特約は依頼者の要望があっても無効です。また、登録証の引渡義務、標準約款該否の記載、定期報告義務が課されています。
解き方
- ア〜エの各記述の正誤を検討する。
- アは指定流通機構への登録証引渡義務(法34条の2第6項)であり正しい。
- イは媒介契約書面の必要記載事項(法34条の2第1項6号)であり正しい。
- ウは自動更新特約が一切禁止されているため、「Bの要望に基づく場合を除き」とする点が誤り。
- エは専属専任媒介契約における1週間に1回以上の報告義務(法34条の2第9項)であり正しい。
- 正しい記述はア、イ、エの3つ(選択肢3)と判断する。
- 選択肢 1不正解
- 正しい記述は3つあるため、一つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 正しい記述は3つあるため、二つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 3正解
- ア、イ、エの3つの記述が正しいため、本肢が正解です。
- 選択肢 4不正解
- ウが誤りであるため、四つとする本肢は誤りです。
覚えるポイント
- 専任媒介契約等の有効期間について、自動更新特約はいかなる場合も無効。
間違えやすいところ
- 依頼者側からの要望であれば自動更新特約が有効になると勘違いしやすい。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の宅地建物取引業法
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.17 ↗(www.retio.or.jp)
宅地建物取引業者が受領できる報酬額の計算と上限規制
宅建業法 · 売買の代理・媒介報酬 / 賃貸借の媒介報酬 / 権利金 / 報酬の合算上限
宅地建物取引業者A及び宅地建物取引業者B(ともに消費税課税事業者)が受領する報酬に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、借賃には消費税等相当額を含まないものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
宅建業者が受け取れる報酬額は告示で上限が定められています。売買では複数業者が関与しても全体の上限は媒介上限の2倍以内です。非居住用建物の賃貸借では合計1.1か月分の範囲で当事者間の合意により配分を自由に決定できます。
解き方
- 肢1:売買代金5,000万円の媒介上限は(5,000万×3%+6万)×1.1=171.6万円。複数業者関与時の総額上限はその2倍の343.2万円までとなり、514.8万円は受領不可(誤り)。
- 肢2:居住用建物の貸借で一方から0.55か月超を受ける承諾は「依頼を受けるに当たって」必要であり、請求時まででは遅いため誤り。
- 肢3:店舗用建物の権利金330万円(税込・税抜300万円)を売買代金とみなすと(200万×5%+100万×4%)×1.1=15.4万円。借賃ベース(25万×1.1=27.5万円)より低いため、一方からの上限は27.5万円であり誤り。
- 肢4:非居住用建物の賃貸媒介では双方の合計が1.1か月分以内であれば割合は自由であるため正しいと判断する。
- 選択肢 1不正解
- 複数の業者が関与して代理と媒介を行った場合でも、依頼者双方から受領できる報酬の合計額は媒介上限の2倍(343万2,000円)を超えることはできません。
- 選択肢 2不正解
- 居住用建物の貸借媒介で一方から0.55か月分を超える報酬を受領するには、「媒介の依頼を受けるに当たって」承諾を得ておく必要があり、請求時までの承諾では足りません。
- 選択肢 3不正解
- 税抜権利金300万円ベースの計算額(15.4万円)より借賃計算(25万円×1.1=27.5万円)の方が高いため、受領できる上限額は27万5,000円です。
- 選択肢 4正解
- 居住用建物以外の貸借の媒介においては、合計額が借賃の1.1か月分以内であれば、依頼者の承諾に基づき一方のみから受領することや任意の割合で配分することが認められています。
覚えるポイント
- 居住用賃貸で0.55か月超を受ける承諾は「依頼を受けるに当たって」必要。
間違えやすいところ
- 代理と媒介で業者が分かれていても、取引全体で受取れる合計額は売買媒介限度額の2倍が限度である点。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の宅地建物取引業法及び報酬告示
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.18 ↗(www.retio.or.jp)
重要事項説明(35条書面)の記載・説明事項
宅建業法 · 損害賠償額の予定・違約金 / 石綿調査 / 建物状況調査 / 専有部分の用途制限
宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。
解答・解説を表示
解答
1
解説
法35条の重要事項説明において、契約解除に伴う損害賠償額の予定等は売買・貸借双方の必須説明事項です。一方、石綿調査の自ら実施義務はなく、インスペクション結果概要や専有部分の利用制限はそれぞれ説明義務があります。
解き方
- 売買と貸借における重要事項説明の共通事項・異なる事項を確認する。
- 肢1:損害賠償額の予定又は違約金は売買・貸借ともに説明義務があるため正しい。
- 肢2:記録がない場合に業者自らが調査する義務はない(誤り)。
- 肢3:既存住宅の建物状況調査を実施している場合は結果の概要も説明義務がある(誤り)。
- 肢4:専有部分の用途等の利用制限規約は貸借でも借主の利用に直結するため説明が必要(誤り)。
- 選択肢 1正解
- 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項は、売買・交換のみならず建物の貸借の媒介においても重要な契約条件であるため説明が必要です。
- 選択肢 2不正解
- 石綿調査結果の記録が存在しない場合、業者が自ら調査を実施する義務はなく、記録が存在しない旨を説明すれば足ります。
- 選択肢 3不正解
- 既存住宅の建物状況調査を実施している場合には、その結果の概要を説明しなければならないため誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 専有部分の用途その他の利用制限に関する規約の定めは、借主にとっても直接遵守すべきルールであるため、貸借の媒介であっても説明しなければなりません。
覚えるポイント
- 石綿の記録がないときは「記録なし」と説明すれば足り、自ら調査する義務はない。
間違えやすいところ
- マンションの専有部分の用途制限(ペット禁止など)は賃借人にも関係するため、貸借でも説明が必要であること。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の宅地建物取引業法
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.18 ↗(www.retio.or.jp)
自ら売主制限(8種制限:手付解除、クーリング・オフ、割賦販売、手付金等保全)
宅建業法 · 手付解除 / クーリング・オフ / 割賦販売契約の解除 / 手付金等の保全措置
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で建物の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
自ら売主制限において、手付解除は相手方が履行に着手するまで行使可能です。クーリング・オフ時の受領金返還免除特約は買主に不利で無効となり、割賦販売解除には30日以上の書面催告が必要です。未完成物件の手付金等保全は代金の5%以下かつ1,000万円以下であれば不要です。
解き方
- 肢1:手付解除の要件(相手方が履行に着手するまで)を確認し、正しいと判定する。
- 肢2:クーリング・オフに伴う特約で買主に不利なものは無効(手付金全額返還義務あり)のため誤り。
- 肢3:割賦販売の解除には30日以上の期間を定めた書面催告が必要であり直ちには解除できないため誤り。
- 肢4:未完成物件の保全要否は代金の5%(5,000万円×5%=250万円)超。手付金200万円は250万円以下のため保全措置不要であり誤り。
- 選択肢 1正解
- 解約手付による契約解除は「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」しか行えず、相手方Bが履行に着手した後はAから倍額提供による解除はできません。
- 選択肢 2不正解
- クーリング・オフによる解除がなされた場合、宅建業者は受領した手付金等の全額を速やかに返還しなければならず、返還しない特約は無効です。
- 選択肢 3不正解
- 自ら売主の割賦販売において賦払金遅滞を理由に解除する場合、30日以上の相当期間を定めて書面で支払を催告しなければならず、直ちに解除することはできません。
- 選択肢 4不正解
- 工事完了前の物件(未完成物件)では、受領額が代金の5%以下かつ1,000万円以下(本問では250万円以下)であるときは保全措置を講じることなく手付金を受領できます。
覚えるポイント
- 相手方が履行に着手した後は、手付解除(放棄・倍額提供)を行うことはできない。
間違えやすいところ
- 未完成物件の手付金等保全措置の基準(5%以下かつ1,000万円以下は不要)の計算ミスに注意。
出題の前提:令和2年4月1日現在施行の宅地建物取引業法
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.19 ↗(www.retio.or.jp)
37条書面(契約締結時交付書面)の記載事項及び交付義務
宅建業法 · 37条書面 / 必要的記載事項 / 任意的記載事項
宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(37条書面)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
宅地建物取引業法第37条書面は契約内容を明確にして後日の紛争を防止するための書面であり、売買・交換だけでなく貸借においても、必要的記載事項および定めの定めがある場合の任意的記載事項を漏れなく記載し、各当事者に遅滞なく交付しなければなりません。
解き方
- 取引態様(貸借の媒介)および取引対象(建物)を確認し、37条書面の記載事項(借賃の額、支払時期・方法等)と交付義務を整理する。
- 重要事項説明(35条)で重複する事項であっても37条書面の記載を省略できない点、および業者間取引でも37条書面交付・宅建士記名押印が免除されない点を確認して各肢の正誤を判断する。
- 選択肢 1正解
- 建物の貸借の媒介では、借賃の額並びにその支払の時期及び方法は必要的記載事項であり、媒介業者Aは貸主および借主の双方に対して37条書面を交付する義務があります。
- 選択肢 2不正解
- 宅地の引渡しの時期は37条書面の必要的記載事項であり、たとえ重要事項説明書に記載して事前に説明していたとしても、37条書面への記載を省略することはできません。
- 選択肢 3不正解
- 業者間取引であっても37条書面の交付義務および宅地建物取引士による記名押印(現在は記名)義務は免除されないため、宅建士の関与を省略することはできません。
- 選択肢 4不正解
- 代金の金銭の貸借のあっせんが不成立のときの措置は任意的記載事項であり、あっせんの定めがある場合には必ず37条書面に記載しなければなりません。
覚えるポイント
- 37条書面の記載事項は、重要事項説明書(35条書面)と重複していても省略できない。
- 宅建業者間の取引であっても、37条書面の作成・交付および宅建士の記名義務は適用される。
間違えやすいところ
- 重説(35条)で説明済みだから37条書面では省略できると誤解しやすい。
- 自ら売主制限(8種制限)と混同して、業者間取引で37条書面自体が免除されると誤認しやすい。
出題の前提:宅地建物取引業法第37条第1項・第2項・第3項、第78条第2項(令和2年4月1日施行基準)
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.19 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
宅地建物取引士の登録及び宅地建物取引士証の交付・有効期間
宅建業法 · 宅地建物取引士の登録 / 登録の移転 / 宅地建物取引士証 / 変更の登録
宅地建物取引士の登録(以下この問において「登録」という。)及び宅地建物取引士証に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
宅地建物取引士の登録は試験に合格した都道府県知事に対して行うのが原則であり、住所や氏名等の登記事項の変更には遅滞なく変更登録の申請が必要です。また、登録の移転に伴い交付される新たな取引士証の有効期間は、原則として従前の取引士証の残存有効期間となります。
解き方
- 各肢における登録申請先、登録事項の変更要否、および登録移転に伴う取引士証の有効期間のルールを確認する。
- 登録移転時の取引士証の有効期間が従前の残存期間となる法22条の2第5項を適用し、肢4が正しいと判断する。
- 選択肢 1不正解
- 登録の申請は試験に合格した都道府県知事に対して行わなければならないため、勤務先の所在地にかかわらず試験に合格した甲県知事に申請しなければなりません。
- 選択肢 2不正解
- 住所は資格登録簿の登記事項(法定事項)であるため、住所に変更があったときは遅滞なく変更の登録を申請しなければなりません。
- 選択肢 3不正解
- 従事する宅地建物取引業者の「商号又は名称」や「免許証番号」は登録事項ですが、「事務所の所在地」は取引士個人の登録簿の登記事項ではないため、変更登録を申請する必要はありません。
- 選択肢 4正解
- 登録の移転に伴い交付される新たな宅地建物取引士証の有効期間は、移転前の宅地建物取引士証の残存有効期間と同一になります。
覚えるポイント
- 登録の申請先は、いかなる場合も「合格した試験地の都道府県知事」である。
- 登録の移転に伴う新たな取引士証の有効期間は「従前の取引士証の残存期間」となる(5年間にリセットされない)。
間違えやすいところ
- 登録の移転時に取引士証が新規交付される際、通常の交付と同様に5年間の有効期間が与えられると勘違いしやすい。
- 勤務先業者の事務所所在地が変更された場合に、取引士自身の登録事項変更が必要であると誤認しやすい。
出題の前提:宅地建物取引業法第18条、第20条、第22条の2第5項(令和2年4月1日施行基準)
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.20 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
営業保証金の供託、還付及び不足額の供託義務
宅建業法 · 営業保証金 / 還付 / 不足額の供託 / 支店設置
宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
営業保証金制度は宅地建物取引業に関する取引により生じた債権者を保護するための制度です。還付によって営業保証金の額に不足が生じたときは、通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を供託し、さらにその供託の日から2週間以内に免許権者へ届出を行わなければなりません。
解き方
- 営業保証金の還付対象者(宅建業の取引により生じた債権者のみ)を判断し、肢1を検証する。
- 支店増設時の手続き(供託後に免許権者への届出が必要)および供託金額の計算(本店1,000万円、支店1店舗500万円)を検証する。
- 還付に伴う不足額の供託期限(通知書の送付を受けた日から2週間以内)を確認し、肢3が正しいと結論付ける。
- 選択肢 1不正解
- 営業保証金から還付を受けられるのは「宅地建物取引業に関する取引により生じた債権」を有する者であり、工事請負代金債権を有する建設業者は対象外です。
- 選択肢 2不正解
- 支店を設置したときは、供託するだけでなく、その旨を免許権者に届け出た後でなければ事業を開始することはできません。
- 選択肢 3正解
- 法第28条第1項の通り、還付により不足が生じたときは、免許権者から不足額供託通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を供託しなければなりません。
- 選択肢 4不正解
- 本店1,000万円+支店500万円×2=2,000万円であり、1,200万円ではありません。
覚えるポイント
- 営業保証金から還付を受けられるのは宅建業の取引の相手方のみで、広告業者や建築請負業者は除外される。
- 営業保証金の不足額供託は通知書の「送付を受けた日から2週間以内」、その届出は「供託した日から2週間以内」に行う。
間違えやすいところ
- 支店を増設した場合、供託を完了すれば届出前に営業を開始できると誤解しやすい。
- 供託通知を受けた日から「2週間以内」と「30日以内」等の期間を混同しやすい。
出題の前提:宅地建物取引業法第25条、第27条、第28条(令和2年4月1日施行基準)
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.20 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
宅地建物取引業保証協会の還付業務及び弁済業務保証金
宅建業法 · 保証協会 / 弁済業務保証金 / 還付業務 / 還付充当金
宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
保証協会制度において、弁済業務保証金の還付が行われた場合、保証協会自身が還付相当額の弁済業務保証金を供託所に補充供託します。その後、保証協会は当該社員に対して還付充当金を保証協会へ納付するよう通知し、社員は通知を受けた日から2週間以内に納付する仕組みになっています。
解き方
- 弁済を受けることができる限度額(分担金額ではなく、単独で供託すべき営業保証金相当額まで)を確認し、肢1を誤りと判断する。
- 還付手続きの流れ(保証協会の認証を受けた上で、供託所に対して還付請求を行う)を確認し、肢2を誤りと判断する。
- 還付後の手続き(保証協会が供託所に補充供託し、社員は保証協会に還付充当金を納付する)を整理し、肢3が誤り、肢4が正しいと判断する。
- 選択肢 1不正解
- 弁済を受けられる額の限度は、社員が納付した「弁済業務保証金分担金の額」ではなく、「その社員が社員でないとしたならば供託すべき営業保証金の額」に相当する額の範囲内です。
- 選択肢 2不正解
- 権利を実行する者は、保証協会の「認証」を受けた上で、還付請求先は保証協会ではなく「供託所」に対して行います。
- 選択肢 3不正解
- 還付充当金は供託所に供託するのではなく、「保証協会に納付」するものであり、保証協会はその旨を社員に通知します。
- 選択肢 4正解
- 法第64条の8第3項により、保証協会は還付があったときは、その還付額に相当する額の弁済業務保証金を供託所に供託しなければなりません。
覚えるポイント
- 保証協会の還付限度額は「その者が単独で供託すべき営業保証金相当額」である。
- 還付の請求先は「供託所」(保証協会の認証が必要)。
- 還付充当金は「保証協会へ納付」するものであり、供託所への供託ではない。
間違えやすいところ
- 納付した分担金額(主たる事務所60万円等)の範囲内でしか弁済を受けられないと勘違いしやすい。
- 還付充当金の納付先を供託所と保証協会で混同しやすい。
出題の前提:宅地建物取引業法第64条の7、第64条の8、第64条の10(令和2年4月1日施行基準)
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.21 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
37条書面(契約締結時交付書面)の交付義務及び記載事項(個数問題)
宅建業法 · 37条書面 / 記載事項 / 業者間取引 / 個数問題
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。なお、この問において「37条書面」とは、同法第37条の規定に基づき交付すべき書面をいうものとする。 ア Aは、専任の宅地建物取引士をして、37条書面の内容を当該契約の買主に説明させなければならない。 イ Aは、供託所等に関する事項を37条書面に記載しなければならない。 ウ Aは、買主が宅地建物取引業者であっても、37条書面を遅滞なく交付しなければならない。 エ Aは、買主が宅地建物取引業者であるときは、当該宅地の引渡しの時期及び移転登記の申請の時期を37条書面に記載しなくてもよい。
解答・解説を表示
解答
1
解説
宅地建物取引業法第37条書面は契約成立後に交付する義務がありますが、宅地建物取引士による内容の「説明」義務は課されていません(交付のみで足りる)。また、業者間取引であっても37条書面の作成・交付および記載事項の規定は適用除外とならず、省略することはできません。
解き方
- 記述ア~エの各内容の正誤を判定する。
- ア:37条書面には説明義務はない(誤り)。
- イ:供託所等の説明は35条の重要事項説明の事項であり、37条書面の記載事項ではない(誤り)。
- ウ:37条書面の交付義務は買主が宅建業者であっても免除されない(正しい)。
- エ:引渡し時期及び移転登記申請時期は必要的記載事項であり業者間でも省略不可(誤り)。
- 正しい記述はウの1つのみであるため、肢1を選択する。
- 選択肢 1正解
- 正しい記述はウの1つのみであるため、肢1が正解です。
- 選択肢 2不正解
- 正しい記述は1つだけであるため、二つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 正しい記述は1つだけであるため、三つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- ウが正しい記述として存在するため、なしとする本肢は誤りです。
覚えるポイント
- 37条書面は「交付」すれば足り、「説明」義務はない(35条書面は説明が必要)。
- 業者間取引でも37条書面の交付および記載事項の省略は認められない。
間違えやすいところ
- 重要事項説明書(35条書面)と同様に37条書面も取引士が口頭説明しなければならないと混同しやすい。
- 自ら売主制限(8種制限)と異なり、37条書面制度は業者間取引でも適用される点を見落としやすい。
出題の前提:宅地建物取引業法第37条第1項、第78条第2項(令和2年4月1日施行基準)
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.21 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
一般媒介契約における書面の交付及び記載事項
宅建業法 · 一般媒介契約 / 媒介契約書面 / 34条の2 / 指定流通機構
宅地建物取引業者Aが、BからB所有の甲住宅の売却に係る媒介の依頼を受けて締結する一般媒介契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
媒介契約書面(法第34条の2書面)は、宅地建物取引業者が記名押印(法改正により現在は記名)して依頼者に交付します。一般媒介契約であっても有効期間や解除に関する事項等の記載義務はありますが、専任媒介契約と異なり、指定流通機構への登録義務や業務処理状況の報告義務は課されません。
解き方
- 媒介契約書面における宅地建物取引士の関与(宅建士ではなく宅建業者の記名押印)を確認し、肢1を誤りと判断する。
- 価額に関する意見の根拠明示の方法(口頭でも可、書面明示義務はない)を確認し、肢2を誤りと判断する。
- 一般媒介契約における指定流通機構への登録義務の有無(任意)を確認し、肢3を誤りと判断する。
- 法34条の2第1項の書面記載事項に「有効期間及び解除に関する事項」が含まれることを確認し、肢4が正しいと判断する。
- 選択肢 1不正解
- 媒介契約書面に記名押印(現在は記名)すべき主体は「宅地建物取引業者」であり、宅地建物取引士に行わせる必要はありません。
- 選択肢 2不正解
- 価額について意見を述べるときはその根拠を明示しなければなりませんが、その方法は書面に限られず口頭でも差し支えありません。
- 選択肢 3不正解
- 指定流通機構(レインズ)への登録義務があるのは専任媒介契約および専属専任媒介契約であり、一般媒介契約においては登録義務はありません。
- 選択肢 4正解
- 法第34条の2第1項第3号及び第4号の規定により、一般媒介契約であっても有効期間および契約の解除に関する事項は書面に必ず記載しなければなりません。
覚えるポイント
- 媒介契約書面(34条の2書面)に記名するのは「宅建業者」であり、宅建士の記名押印は不要。
- 一般媒介契約には有効期間の制限(3か月以内)やレインズ登録義務・業務報告義務の規定はないが、契約書面への「有効期間」「解除」の記載は必須。
間違えやすいところ
- 35条書面や37条書面と同様に、媒介契約書面にも宅建士の記名押印が必要であると誤認しやすい。
- 価額の根拠明示は重要事項説明と同様に書面で行わなければならないと誤解しやすい。
出題の前提:宅地建物取引業法第34条の2第1項第3号・第4号、第2項、第5項(令和2年4月1日施行基準)
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.22 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
従業者証明書及び従業者名簿の取扱い
宅建業法 · 従業者証明書 / 従業者名簿 / 閲覧請求 / 保存期間
次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
宅地建物取引業者は、役員・正規職員・アルバイト等の雇用形態や取引士資格の有無を問わず、業務に従事させる者すべてに従業者証明書を携帯させなければなりません。また、事務所ごとに備え付ける従業者名簿は「取引の関係者」の請求があった場合に閲覧に供する義務があり、最終記載から10年間の保存義務があります。
解き方
- 従業者名簿の閲覧請求権者(取引の関係者のみ)を確認し、肢1を誤りと判断する。
- 従業者証明書の携帯義務(取引士証の携帯とは目的が異なり免除されない)を確認し、肢2が正しいと判断する。
- 退職者の従業者名簿の扱い(最終記載から10年間保存が必要、消去は不可)を確認し、肢3を誤りと判断する。
- 従業者証明書の携帯対象者(非常勤役員や一時的補助者を含む全従業者)を確認し、肢4を誤りと判断する。
- 選択肢 1不正解
- 従業者名簿の閲覧を請求できるのは「取引の関係者」に限られており、誰でも閲覧を請求できるわけではありません。
- 選択肢 2正解
- 法第48条第1項により、宅地建物取引士証を携帯している場合であっても、所属業者から交付された従業者証明書を別途携帯させなければなりません。
- 選択肢 3不正解
- 従業者名簿は、最終の記載をした日から10年間保存しなければならず、退職したからといって名簿から消去してはなりません。
- 選択肢 4不正解
- 非常勤の役員や一時的なアルバイトであっても、宅建業の業務に従事させる者である以上は、従業者証明書を携帯させなければなりません。
覚えるポイント
- 従業者証明書は雇用形態・役職・取引士資格を問わず、業務に従事する全従業員に携帯義務がある。
- 従業者名簿の保存期間は「最終記載から10年間」、閲覧請求できるのは「取引の関係者」のみ。
間違えやすいところ
- 取引士証を携帯していれば従業者証明書を兼ねることができると誤認しやすい。
- 従業者名簿の閲覧請求が「何人に対しても可能(公の帳簿)」であると誤解しやすい。
出題の前提:宅地建物取引業法第48条第1項、第2項、施行規則第17条の2(令和2年4月1日施行基準)
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.22 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
宅地建物取引業法第37条の2に基づくクーリング・オフの適用要件(個数問題)
宅建業法 · クーリング・オフ / 申込みの場所 / 期間制限 / 特約の無効 / 履行の着手
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除に関する次の記述のうち、Bがクーリング・オフにより契約の解除を行うことができるものはいくつあるか。 ア Bが喫茶店で当該宅地の買受けの申込みをした場合において、Bが、Aからクーリング・オフについて書面で告げられた日の翌日から起算して8日目にクーリング・オフによる契約の解除の書面を発送し、10日目にAに到達したとき。 イ Bが喫茶店で当該宅地の買受けの申込みをした場合において、クーリング・オフによる契約の解除ができる期間内に、Aが契約の履行に着手したとき。 ウ Bが喫茶店で当該宅地の買受けの申込みをした場合において、AとBとの間でクーリング・オフによる契約の解除をしない旨の合意をしたとき。 エ Aの事務所ではないがAが継続的に業務を行うことができる施設があり宅地建物取引業法第31条の3第1項の規定により専任の宅地建物取引士が置かれている場所で、Bが買受けの申込みをし、2日後に喫茶店で売買契約を締結したとき。
解答・解説を表示
解答
2
解説
クーリング・オフ制度(法37条の2)は、事務所等以外の場所で買受けの申込みをした買主を保護する規定です。書面で告げられた日から起算して8日以内に書面を発信すれば契約解除が可能です。売主の履行着手は解除権を奪わず、買主に不利な特約は無効とされます。ただし、専任の取引士が設置された継続的業務施設等で申込みをした場合は適用されません。
解き方
- 記述ア~エについて、クーリング・オフによる解除の可否を1つずつ判定する。
- ア:書面告知日から起算して8日以内の発信が必要であり、翌日起算8日目(=告知日から9日目)の発信は期間経過となり解除できない。
- イ:クーリング・オフ期間内であれば、売主が契約の履行に着手していても解除可能である(手付解除と異なる)。
- ウ:「解除をしない」旨の特約は法37条の2第4項により無効となるため、解除可能である。
- エ:申込みの場所が専任取引士の置かれた案内所等である場合、その後の契約締結場所が喫茶店であってもクーリング・オフはできない。
- 解除可能なものはイとウの2つであるため、正答は肢2となる。
- 選択肢 1不正解
- 解除できるものはイとウの二つであるため、一つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 2正解
- 解除できる記述はイとウの二つであるため、肢2が正解です。
- 選択肢 3不正解
- 解除できるものは二つであるため、三つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 解除できるものは二つであるため、四つとする本肢は誤りです。
覚えるポイント
- クーリング・オフの期間計算は「書面で告げられた日(初日)から起算して8日以内」である(翌日起算ではない)。
- クーリング・オフは発信主義(8日以内に書面を発送すれば足り、到達日ではない)。
- 専任取引士が置かれた案内所等で申込みをした場合はクーリング・オフができない。
間違えやすいところ
- 民法の初日不算入の原則と混同し、書面告知日の「翌日から8日以内」と数えてしまう誤り。
- 手付放棄による解除(相手方の履行着手前まで)とクーリング・オフ(売主の履行着手があっても可能)を混同しやすい。
出題の前提:宅地建物取引業法第37条の2第1項・第2項・第4項(令和2年4月1日施行基準)
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.23 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
重要事項説明の実施方法および宅建士証の提示
宅建業法 · 重要事項説明 / 宅地建物取引士証 / 記名押印
宅地建物取引業法第35条に基づく重要事項の説明に関する記述として、宅地建物取引業法の規定に照らし正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
宅地建物取引業法第35条において、重要事項説明は宅地建物取引士が取引士証を提示して行わなければならず、書面への記名押印も取引士が行う必要があります。
解き方
- 取引士証の携帯および提示義務の例外の有無を確認する。
- 再交付申請中であっても現実に提示できない場合は重要事項説明ができない旨を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 宅地建物取引業法第35条第5項により、重要事項説明書には宅地建物取引士の記名押印が必要であり、代表者の押印等で代えることはできません。
- 選択肢 2不正解
- 重要事項説明書への記名押印および実際の説明を行う取引士は専任である必要はなく、専任でない取引士が行っても適法です。
- 選択肢 3正解
- 重要事項の説明の際には取引士証の提示が必須であるため、亡失により手元に証がない間は、再交付申請中であっても説明事務を行えません。
- 選択肢 4不正解
- 重要事項の説明を行う場所について法律上の制限はなく、事務所内以外の場所(買主の自宅や喫茶店等)で行うことも可能です。
覚えるポイント
- 重要事項説明を行う取引士は専任である必要はなく、パートや一般の取引士でも可能。
- 取引士証を提示せずに重要事項説明を行うことはできず、紛失申請中も同様。
間違えやすいところ
- 重要事項説明書への記名押印と説明を行う取引士は、同一人物でなくても構わない点に注意する。
出題の前提:宅地建物取引業法第35条第1項・第4項・第5項、同法第22条の4
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.23 ↗(www.retio.or.jp)
自ら売主制限(契約不適合責任特約および手付金等保全措置)
宅建業法 · 契約不適合責任 / 手付金等保全措置 / 自ら売主制限
宅建業者Aが自ら売主となって締結する売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法および民法の規定によれば誤っているものはどれか。なお、本問は公式発表において複数解(1または4)とされた問題である。
- 1
- 業者ではない買主Bとの宅地売買において、種類・品質の不適合責任を負う期間を「Bが不適合を知った時から2年」とする特約を定めた場合、この特約は有効である。
- 2
- 業者ではない買主Cとの建築工事完了前の建物売買(代金5,000万円)で、Aは手付金200万円を受領後、保全措置を講じなければ引渡し前に中間金300万円を受領できない。
- 3
- 業者Dとの造成工事完了後の宅地売買(代金3,000万円)において、Aは保全措置を講じることなく、引渡し前に手付金800万円を受領することができる。
- 4
- 業者ではない買主Eとの建物売買で、不適合責任を一切負わない特約を定めた場合、特約は無効となり、Aが責任を負う期間は建物の引渡日から2年となる。
解答・解説を表示
解答
1又は4
解説
宅建業者が自ら売主となる売買契約では、買主保護のため契約不適合責任や手付金等保全措置に関して強行規定が設けられており、宅建業者間の取引では適用除外となります。
解き方
- 買主が宅建業者か否かを確認し、自ら売主制限(8種制限)の適用有無を判別する。
- 契約不適合責任特約が無効となった場合は原則として民法の規定(不適合を知った時から1年以内の通知)が適用されることを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 宅建業法第40条が「引渡しの日から2年以上」の特約のみを例外として認める規定形式となっている点から誤りと解釈され、公式発表で正解肢の一つとして扱われました。
- 選択肢 2正解
- 工事完了前の売買では代金の5%(250万円)を超える場合に保全措置が必要です。手付金200万円受領後に中間金300万円を受領すると合計500万円(10%)となるため、事前に保全措置を講じなければ受領できません。
- 選択肢 3正解
- 買主Dが宅地建物取引業者であるため、宅建業法第41条の2の手付金等の保全措置に関する規定は適用されず、保全措置なしで手付金を受領できます。
- 選択肢 4不正解
- 責任を一切負わない特約は無効となり民法の原則が適用されるため、通知期間は「不適合を知った時から1年以内」となり、「引渡日から2年」とする本記述は誤りです。
覚えるポイント
- 宅建業者間の取引には自ら売主としての8種制限は一切適用されない。
- 契約不適合責任を免責する特約が無効となった場合は民法の原則規定に戻る。
間違えやすいところ
- 宅建業法40条の特約(引渡しから2年以上)と、民法の規定(知った時から1年以内の通知)を混同しないようにする。
出題の前提:宅地建物取引業法第40条、第41条、第78条第2項、民法第566条
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.24 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.29 ↗(www.retio.or.jp)
免許制度(欠格事由・死亡時の取引結了・廃業届)
宅建業法 · 免許基準 / 欠格要件 / 相続人による業務結了 / 廃業等の届出
宅地建物取引業の免許に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
宅建業者の死亡時における取引の安全を図るため、相続人には残務処理のための「みなし業者」としての地位が認められています。また、刑の執行猶予満了や破産からの復権に関する欠格期間のルールを正確に理解する必要があります。
解き方
- 個人の宅建業者が死亡した場合の相続人の扱い(宅建業法第10条)を確認する。
- 取引結了目的の範囲内で宅建業者とみなされる規定に合致するか判断する。
- 選択肢 1不正解
- 禁錮以上の刑であっても執行猶予期間が無事に満了した場合は刑の言渡し自体が効力を失うため、満了後は直ちに免許を受けることが可能であり、5年の経過は不要です。
- 選択肢 2正解
- 宅地建物取引業法第10条により、個人の宅建業者が死亡した際、その相続人は被相続人が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内で宅建業者とみなされます。
- 選択肢 3不正解
- 破産手続開始の決定があった場合、免許の効力が失われるのは破産管財人から「廃業の届出がなされた時」であり、決定の日に失効するわけではありません。
- 選択肢 4不正解
- 破産手続開始決定を受けた役員は、復権を得さえすれば直ちに欠格事由から外れます。5年間の待機期間が要求されるわけではありません。
覚えるポイント
- 個人業者の死亡時は相続人が取引結了の範囲で「みなし業者」となる。
- 執行猶予付き判決は猶予期間が満了すれば直ちに免許取得可能(5年待ちは不要)。
- 破産者は復権を得れば直ちに免許取得可能(5年待ちは不要)。
間違えやすいところ
- 法人の破産による免許失効は「決定時」ではなく「廃業届出時」である点に注意する。
出題の前提:宅地建物取引業法第5条第1項、第10条、第11条第1項・第2項
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.24 ↗(www.retio.or.jp)
重要事項説明の対象事項(耐震診断・精算金・信託受益権・修繕積立金)
宅建業法 · 重要事項説明 / 区分所有建物 / 信託受益権 / 耐震診断
宅建業者が行う宅地建物取引業法第35条の重要事項説明に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。相手方は宅建業者ではないものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
マンション(区分所有建物)の取引においては、維持修繕積立金の保全状況が買主の重大な関心事であるため、規約の定めと現実に積み立てられている額の双方が重要事項として規定されています。
解き方
- 区分所有建物特有の重要事項説明項目(法35条1項6号、規則16条の2)を確認する。
- 積立金に関する説明事項に「既に積み立てられている額」が含まれるかを照合する。
- 選択肢 1不正解
- 昭和56年5月31日以前に着工された旧耐震基準の建物について、耐震診断を受けた記録がある場合は、その内容を重要事項として説明しなければなりません。
- 選択肢 2不正解
- 建物の貸借契約の媒介では、敷金や保証金など契約終了時に精算される金銭の精算に関する事項は必須の説明事項です。
- 選択肢 3不正解
- 信託受益権の売買においては、金融商品取引法との兼ね合い等から、相手方が宅建業者であっても重要事項説明の義務が免除されません(法第35条第3項)。
- 選択肢 4正解
- 一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用等の積立てを行う旨の規約があるときは、その内容に加え「既に積み立てられている額」も説明しなければなりません。
覚えるポイント
- マンションの維持修繕積立金は、規約の定めだけでなく「既に積み立てられている額」の説明も必須。
- 信託受益権の売買では、相手方が宅建業者であっても重要事項説明が省略できない。
間違えやすいところ
- 旧耐震基準の建物の耐震診断は「診断を受けている場合」にその内容を説明するものであり、未受診の場合に診断実施を義務付けるものではない。
出題の前提:宅地建物取引業法第35条第1項・第3項、施行規則第16条の2第6号・第16条の4の3
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.25 ↗(www.retio.or.jp)
住宅瑕疵担保履行法(供託金の取戻し・届出・適用対象)
その他関連法 · 住宅瑕疵担保履行法 / 住宅販売瑕疵担保保証金 / 保証金の取戻し
宅建業者A(知事免許)が自ら売主として一般買主Bに新築住宅を販売する場合における、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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解答
2
解説
住宅瑕疵担保履行法では、新築住宅の自ら売主となる宅建業者に対し資力確保措置(保証金供託または保険加入)を義務付けており、基準額を超過した供託金の取戻しには免許権者の承認が必要です。
解き方
- 保証金の超過額取戻しに関する手続要件を確認する。
- 免許権者の承認を得ることで超過額を取り戻すことができるという規定(第10条)と照合する。
- 選択肢 1不正解
- 住宅瑕疵担保責任保険は新築住宅の売主である宅建業者A自らが締結しなければならず、媒介業者や買主Bが加入してもAの資力確保義務は免除されません。
- 選択肢 2正解
- 供託金の額が基準日における基準額を超えることとなったときは、国土交通大臣または都道府県知事の承認を受けて、その超過額を取り戻すことができます。
- 選択肢 3不正解
- 基準日における資力確保措置の状況届出は、各基準日から「3週間以内(改正法では基準日変更に伴い一定期間)」に行う必要があり、「50日以内」ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 買主が宅建業者である場合は、消費者保護の観点を主眼とする住宅瑕疵担保履行法の規定は適用除外となり、Aは供託や保険加入を行う義務を負いません。
覚えるポイント
- 買主が宅建業者である場合、住宅瑕疵担保履行法は適用除外(資力確保措置は不要)。
- 供託金の超過額取戻しには、免許権者の承認が必要。
間違えやすいところ
- 営業保証金制度と異なり、住宅瑕疵担保保証金の取戻しでは原則として権利者に対する公告手続きは不要である。
出題の前提:特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律第10条・第11条・第12条
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.25 ↗(www.retio.or.jp)
独立行政法人住宅金融支援機構の業務範囲
その他関連法 · 住宅金融支援機構法 / 証券化支援事業 / 直接融資業務 / 団体信用生命保険
独立行政法人住宅金融支援機構に関する次の記述のうち、住宅金融支援機構法の規定によれば誤っているものはどれか。
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解答
2
解説
住宅金融支援機構は民間金融機関を支援する証券化支援事業を主業務としますが、災害復興融資や子育て・高齢者向け等の政策的分野については直接貸付を行い、柔軟な据置措置も認められています。
解き方
- 機構の直接融資業務(災害復興住宅融資等)の貸付条件を確認する。
- 元金据置期間の設定が可能であるため「設けることができない」とする記述を誤りと判定する。
- 選択肢 1不正解
- 証券化支援事業(買取型)では、機構が買い取った民間住宅ローン債権を裏付け資産としてMBS(資産担保証券)を発行し、資金調達を行っています。
- 選択肢 2正解
- 災害により滅失した住宅に代わる住宅の建設・購入資金の融資において、元金据置期間を設けることができるため、設けることができないとする記述は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 買取型の証券化支援事業の対象となるのは自ら居住する住宅または親族の居住用住宅等の取得資金であり、賃貸専用住宅の建設・購入資金は譲受け対象外です。
- 選択肢 4不正解
- 機構は、債務者が死亡・所定の高度障害状態になった際に保険金で住宅ローン残債を完済する団体信用生命保険業務を行っています。
覚えるポイント
- 災害復興などの直接融資では元金据置期間を設けることができる。
- 証券化支援事業(買取型)の対象は自らまたは親族が居住する住宅であり、賃貸住宅は対象外。
間違えやすいところ
- 機構の直貸融資は原則廃止されたが、災害復興・財形住宅・子育て支援住宅などの特定分野では今も直接貸付を行っている。
出題の前提:独立行政法人住宅金融支援機構法第13条第1項各号
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.26 ↗(www.retio.or.jp)
不動産の表示に関する公正競争規約(路地状部分・所要時間・予告広告・管理費)
その他関連法 · 景表法 / 不動産の公正競争規約 / 敷地延長 / 徒歩所要時間
不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約)の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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解答
1
解説
不動産の表示に関する公正競争規約では、消費者の適正な選択を保護するため、土地の特殊な形状(旗竿地等)や所要時間の算定基準、広告開始時期などに厳格な表示基準を設けています。
解き方
- 路地状部分を含む土地の表示義務基準(敷地の概ね30%以上)を確認する。
- 割合または面積の明示義務が規定されていることを照合して正しいと判定する。
- 選択肢 1正解
- 不動産公正競争規約施行規則により、路地状部分のみで接道する土地で当該部分がおおむね30%以上を占める場合は、路地状部分を含む旨およびその面積または割合を明示しなければなりません。
- 選択肢 2不正解
- 徒歩所要時間は道路距離80mにつき1分(端数切り上げ)で計算して表示する必要があり、実際に歩いた実測時間で表示することは認められません。
- 選択肢 3不正解
- 宅建業法第33条および規約により、建築確認等の処分前には予告広告であっても広告表示をすることは一切禁止されています。
- 選択肢 4不正解
- 管理費の額が住戸により異なる場合、全住戸の額を表示するか、スペースが不足する場合は「最低額および最高額」を表示しなければならず、平均額の表示は認められません。
覚えるポイント
- 敷地延長(路地状部分)が概ね30%以上の場合はその旨と割合・面積の明示が必要。
- 徒歩時間は「道路距離80m=1分(端数繰り上げ)」で機械的に計算する。
間違えやすいところ
- 価格や管理費で全戸表示が難しいときは「最低額〜最高額」を表示するのであり、「平均額」ではない。
出題の前提:不動産の表示に関する公正競争規約施行規則第10条・第11条
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.26 ↗(www.retio.or.jp)
不動産に関する統計データ(地価公示・土地白書・建築着工統計・法人企業統計)
免除科目 · 地価公示 / 土地白書 / 新設住宅着工戸数 / 法人企業統計調査
令和2年試験時点における不動産の各種統計に関する次の記述のうち、公表統計資料によれば正しいものはどれか。
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解答
3
解説
免除科目の統計問題では、試験年の直近期に発表された地価公示、土地白書、住宅着工統計、法人企業統計の主要指標(前年比増減や傾向)が問われます。
解き方
- 令和2年1月公表の建築着工統計における利用関係別(持家・分譲・貸家)の動向を確認する。
- 持家と分譲が増加し貸家が減少した事実を特定し、選択肢3を正しいと判定する。
- 選択肢 1不正解
- 令和2年地価公示において、全国平均は商業地だけでなく住宅地も上昇(0.8%上昇)しており、2年連続の上昇となっていました。
- 選択肢 2不正解
- 令和2年版土地白書によると、令和元年の売買による所有権移転登記件数は約131万件で前年比ほぼ横ばい(微増傾向程度)であり、「大きく増加」したわけではありません。
- 選択肢 3正解
- 2019年の新設住宅着工戸数は、持家(前年比1.9%増)および分譲住宅(前年比1.7%増)が増加したのに対し、貸家(前年比13.7%減)は大幅に減少しました。
- 選択肢 4不正解
- 平成30年度法人企業統計調査によると、不動産業の売上高経常利益率は良好に推移しており、平成26年度から30年度までの5年間はいずれも10%を超える高い水準でした。
覚えるポイント
- 2019年の住宅着工統計では、持家・分譲が増加し、貸家は減少。
- 不動産業の売上高経常利益率は全産業平均と比べても極めて高く、10%超の水準で推移している。
間違えやすいところ
- 地価公示の全国平均動向において、直近期では住宅地もプラス圏(上昇)に転じていたことを見落とさないようにする。
出題の前提:国土交通省公表「令和2年地価公示」「建築着工統計(2019年計)」、土地白書、財務省「法人企業統計調査」
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.27 ↗(www.retio.or.jp)
土地の防災・地形地盤調査
税・その他 · 土地の安全性 / 水害リスク / 液状化 / 地盤調査
土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
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解答
4
解説
宅地の選定や評価では、地形区分や地盤構造の把握に加えて、過去の災害履歴を多角的に調べることが不可欠です。古地図やハザードマップの確認だけでなく、地元住民の証言などの現地情報も重要な判断材料となります。
解き方
- 都市化による雨水流出や中小河川の氾濫メカニズムについて記述の適否を判断する。
- 液状化や水害等の地盤・地形調査において、過去の履歴や現地での聞き取り調査の必要性を検討する。
- 選択肢 1不正解
- 都市化・宅地化が進むと地表面のアスファルト舗装やコンクリート被覆が増加し、雨水が地中に浸透せず短時間で一気に河川へ流入するため氾濫原因となります。
- 選択肢 2不正解
- 中小河川周辺の宅地選定では、対象地自体の標高だけでなく、背後地や周辺の地形、堤防や雨水調整池などの防災施設の整備状況にも留意する必要があります。
- 選択肢 3不正解
- 液状化は埋立地や旧河道、干拓地など砂質土で地下水位が高い場所で発生しやすいため、古地図等で過去の土地利用や地形履歴を確認することは重要です。
- 選択肢 4正解
- 過去の浸水被害や土砂崩れ、地盤変状の実態は公的記録にない場合もあるため、周辺住民への聞き取り(意見聴取)は非常に有益であり、聴かなくてよいとするのは不適当です。
覚えるポイント
- 土地の履歴調査では古地図や空中写真のほか、地元住民への聞き取りも重要な情報源となる。
間違えやすいところ
- 地盤調査を机上のデータ確認だけで完結できると誤認し、現地聞き取りを不要と判断してしまう誤り。
出題の前提:令和2年10月11日実施 宅地建物取引士資格試験 問49(土地)
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.27 ↗(www.retio.or.jp)
建築物の構造・基礎の分類
税・その他 · 建築構造 / 基礎構造 / 直接基礎 / 布基礎 / べた基礎
建築物の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
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解答
3
解説
建築物は基礎構造と上部構造に分かれます。直接基礎は形状によって、柱ごとに設ける独立基礎、壁体下などに帯状に連続して設ける布基礎、底面全体を一体の盤にするべた基礎に分類されます。
解き方
- 建築物の各部構成(基礎構造・上部構造、地業・基礎盤)の定義を確認する。
- 直接基礎の各形式(独立基礎・布基礎・べた基礎)の形状と設置部位の対応を照合する。
- 選択肢 1不正解
- 建築物は地盤を支える基礎構造と地上部の上部構造に分かれ、基礎構造は地盤を補強・整地する地業と上部荷重を伝える基礎盤から構成されます。
- 選択肢 2不正解
- 良好な地盤が浅い場所にあれば直接基礎が用いられ、支持層が深い場合には杭を打ち込んで支持する杭基礎(杭地業)が採用されます。
- 選択肢 3正解
- 壁体等の下に連続して設けるものは「布基礎」であり、建物の底部全体に板状に設けるものが「べた基礎」であるため、説明が逆になっています。
- 選択肢 4不正解
- 上部構造は、自重・積載荷重・風圧力・地震力などに耐える骨組みである主要構造部と、屋根・壁・床などの内外装仕上げ部分等から成り立っています。
覚えるポイント
- 直接基礎:壁の下に帯状=布基礎(連続基礎)、建物の底部全体=べた基礎。
間違えやすいところ
- 「布基礎」と「べた基礎」の形状や施工範囲の定義を混同してしまう誤り。
出題の前提:令和2年10月11日実施 宅地建物取引士資格試験 問50(建物)
出典:不動産適正取引推進機構『2020年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.27 ↗(www.retio.or.jp)
2020年10月 宅建士試験
参照した公式資料
不動産適正取引推進機構が公開した2020年10月 宅建士試験の問題・解答資料です。
- 公式問題・正解番号表 ↗ — www.retio.or.jp(PDF・29ページ)

