令和7年度の50問について、独自要約・公式正答・関連する知識を整理しています。問題文と選択肢の原文は公式PDFで確認してください。教材の法令基準日と出題年度の法令基準日は異なります。
2010年10月試験の概要
制限行為能力者制度における行為能力と同意権
権利関係 · 制限行為能力者 / 未成年者 / 成年後見人 / 被保佐人 / 被補助人
制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
制限行為能力者制度は判断能力が不十分な者を保護する制度です。未成年者の法律行為には原則として法定代理人の同意が必要であり、被保佐人や被補助人の日用品購入など日常生活に関する行為には同意権・取消権の制限は及びません。また、成年被後見人の居住の平穏を守るため、その居住用不動産の処分には家庭裁判所の許可が要求されます。
解き方
- 各選択肢に登場する制限行為能力者の類型(未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人)を確認する。
- 保護者(法定代理人、成年後見人、保佐人、補助人)の権限や同意・許可の要否に関する民法の規定を照らし合わせて正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 未成年者が法律行為をするには原則として法定代理人の同意が必要です。単に権利を得、又は義務を免れる行為は単独でできますが、土地売却は所有権を失い引渡義務等を負うため該当せず、同意が必要です。
- 選択肢 2正解
- 成年後見人が成年被後見人に代わってその居住の用に供する建物またはその敷地を売却等の処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければなりません(民法859条の3)。
- 選択肢 3不正解
- 不動産の売却は民法13条1項の同意を要する重要行為ですが、日用品の購入その他日常生活に関する行為については保佐人の同意を要せず単独で行えます(民法13条3項)。
- 選択肢 4不正解
- 被補助人が行う法律行為について補助人の同意が必要とされるのは、家庭裁判所が審判によって定めた特定の法律行為(民法13条1項所定の一部)に限られ、常時必要なわけではありません。
覚えるポイント
- 成年後見人による被後見人の居住用不動産処分には家庭裁判所の許可が必須であること。
- 日常生活に関する行為(日用品の購入等)は、被保佐人・被補助人・成年被後見人いずれも単独で有効に行えること。
間違えやすいところ
- 土地の売却を「管理負担がなくなるから単に義務を免れる行為」と誤解しやすい点に注意する。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の民法
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.2 ↗(www.retio.or.jp)
代理権の消滅事由・制限および双方代理
権利関係 · 代理 / 代理権の消滅 / 代理人の行為能力 / 双方代理
AがA所有の甲土地の売却に関する代理権をBに与えた場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、表見代理は成立しないものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
代理権は本人の死亡または代理人の死亡・破産・後見開始の審判によって消滅します(民法111条)。また、代理人は行為能力者であることを要しないため代理人が未成年者であっても本人は原則として取り消せず、相手方もこれを理由に取り消すことはできません。さらに、双方代理は利益相反の危険から禁止されますがあらかじめ双方の許諾があれば有効です。
解き方
- 代理権消滅事由(本人の死亡、代理人の死亡)の有無と代理権の帰趨を検討する。
- 代理人の行為能力に関する規定(民法102条)を確認し、未成年を理由とする取消しの可否を判断する。
- 双方代理の原則禁止と例外的に有効となる要件(双方の承諾等)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 本人が死亡すると代理権は当然に消滅します。表見代理が成立しない前提であるため、BがAの死亡を知らなくても有効に代理して売却することはできません。
- 選択肢 2不正解
- 代理人の死亡によって代理権は消滅します(民法111条1項2号)。代理権は相続の対象とならないため、Bの相続人が代理人として売却することはできません。
- 選択肢 3不正解
- 代理人は行為能力者であることを要しないと規定されており、制限行為能力者が代理人として行った行為は行為能力の制限を理由に取り消すことはできません(民法102条)。
- 選択肢 4正解
- 同一の法律行為について当事者双方の代理人となる双方代理は原則として禁止されていますが、あらかじめ当事者双方の承諾を得ている場合は有効です(民法108条)。
覚えるポイント
- 代理人の死亡・破産・後見開始の審判によって代理権は消滅し、代理権は相続されない。
- 「代理人は行為能力者であることを要しない」(民法102条)。
- 双方代理・自己契約は本人の許諾があれば例外的に有効となる。
間違えやすいところ
- 本人の死亡について善意無過失であれば代理行為が有効になると混同しないこと(表見代理が成立しない限り無権代理)。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の民法
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.2 ↗(www.retio.or.jp)
取得時効の成立要件・対象権利および起算点
権利関係 · 取得時効 / 賃借権の時効取得 / 一部の時効取得 / 時効の起算点 / 地役権
所有権及びそれ以外の財産権の取得時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
所有権以外の財産権であっても、自己のためにする意思をもって平穏かつ公然に行使することにより時効取得の対象となります(民法163条)。不動産賃借権や通行地役権も外形的事実等の要件を満たせば時効取得が可能です。また、時効の起算点は占有開始時などの基礎事実の発生時点に固定され、当事者が任意に選択することはできません。
解き方
- 賃借権が取得時効の目的となり得るか判例の立場を確認する。
- 一筆の土地の一部についての所有権の時効取得が可能かを判例に基づき確認する。
- 時効の起算点の任意選択の可否に関する判例を確認する。
- 通行地役権の時効取得の要件(民法283条)を確認する。
- 選択肢 1正解
- 土地の賃借権は債権ですが、土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ賃借の意思に基づくことが客観的に表現されている場合には時効取得することができます(最判昭43.10.8)。
- 選択肢 2不正解
- 一筆の土地の一部であっても、自主占有など時効取得の要件を具備している限り、時効によって所有権を取得することができます(大判大13.10.7)。
- 選択肢 3不正解
- 時効の起算点は占有開始の時であり、時効援用者が起算点を自由に選択して時効完成の時期を変動させることは認められません(最判昭35.7.27)。
- 選択肢 4不正解
- 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができます(民法283条)。
覚えるポイント
- 不動産賃借権は債権であるが、客観的用益事実と賃借の意思の表示があれば時効取得できる。
- 一筆の土地の一部であっても時効取得は可能である。
- 起算点の任意選択(時効期間の逆算・後ろ倒し等)は禁止されている。
間違えやすいところ
- 「債権だから取得時効の対象外」と短絡的に考えてしまわないように注意する。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の民法及び最高裁判所判例
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.3 ↗(www.retio.or.jp)
不動産の権利変動と登記・対抗要件
権利関係 · 二重譲渡 / 取消しと登記 / 時効取得と登記 / 虚偽表示
AがBから甲土地を購入したところ、甲土地の所有者を名のるCがAに対して連絡してきた。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
不動産の物権変動は登記が対抗要件となります(民法177条)。二重譲渡では登記の先後で決まります。強迫による取消しでは善意・無過失の第三者であっても登記等に関わらず取消しを対抗できますが、時効完成前の譲受人(第三者)に対しては、時効完成により直接物権変動が生じた当事者の関係に立つため、時効取得者は登記なくして所有権を対抗できます。
解き方
- 選択肢1:二重譲渡における優劣判断(契約日時ではなく対抗要件・登記の先後)を検討する。
- 選択肢2:強迫による意思表示の取消しと第三者の保護関係を検討する(取消前か取消後か)。取消後の第三者に対しては登記が必要となる。
- 選択肢3:時効完成前の第三者に対する時効取得者の対抗関係(当事者の関係となり登記不要)を判例に基づき判定する。
- 選択肢4:通謀虚偽表示(民法94条2項)による善意の第三者保護規定を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 二重譲渡の場合、優劣は売買契約締結の日時・時刻の先後ではなく、登記を先に具備したか否かによって決まります(民法177条)。
- 選択肢 2不正解
- 取消し前の第三者には強迫による取消しを対抗できますが、取消し後の第三者との関係は対抗関係(民法177条)となり、Cは登記を備えなければAに所有権を対抗できません。
- 選択肢 3正解
- 取得時効の進行中に第三者Aが登記を取得しても、その後に時効が完成した場合、Aは時効完成前の第三者(当事者類似の関係)であるため、時効取得者Cは登記なくしてAに所有権を対抗できます。
- 選択肢 4不正解
- Cが債権者の追及を逃れるため登記をBに移した行為は通謀虚偽表示に該当し無効ですが、その無効は善意の第三者に対抗できません(民法94条2項)。Aが善意であれば所有権を主張できます。
覚えるポイント
- 時効完成前の第三者には登記なくして対抗できる。
- 時効完成後の第三者とは対抗関係となり、先に登記を備えた方が勝つ。
- 強迫取消後の第三者とは対抗関係となり登記が必要となる。
間違えやすいところ
- 時効完成「前」と「後」の第三者の違いを取り違えて登記が必要と考えてしまう誤りに注意する。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の民法及び最高裁判所判例
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.3 ↗(www.retio.or.jp)
抵当権の順位・物上代位・明渡し猶予・後順位抵当権設定
権利関係 · 抵当権 / 抵当権の順位 / 物上代位 / 明渡し猶予制度 / 抵当権の処分
AはBから2,000万円を借り入れて土地とその上の建物を購入し、Bを抵当権者として当該土地及び建物に2,000万円を被担保債権とする抵当権を設定し、登記した。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
抵当権の順位は登記の前後によって定まります(民法373条)。また、抵当権は目的物の滅失等によって債務者が受けるべき金銭等に対しても物上代位することができます(民法372条、304条)。抵当権設定登記後の賃借人は、競売により買受人の買受けの時から6か月間は建物の明渡しが猶予されます(民法395条)。所有者は目的物を自由に処分・利用できるため、返済前であっても重ねて後順位抵当権を設定できます。
解き方
- 選択肢1:抵当権の順位決定基準が登記の前後によることを確認する。
- 選択肢2:損害保険金請求権に対する抵当権の物上代位性の有無を確認する。
- 選択肢3:抵当権設定後の建物賃借人に対する6か月の明渡し猶予制度(民法395条)を確認する。
- 選択肢4:目的物の所有者が後順位抵当権を設定する際、先順位抵当権への返済が必要とされるか法令上の制限を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 同一の不動産について設定された数個の抵当権の順位は、登記の前後によって定まります(民法373条)。したがって先に登記を備えたCが第1順位となります。
- 選択肢 2不正解
- 抵当権は、目的物の滅失や毀損によって債務者が受けるべき損害保険金請求権に対しても物上代位により行使することができます(民法372条・304条)。
- 選択肢 3不正解
- 抵当権設定登記後に賃貸借契約を締結して建物を使用している賃借人Dは、買受人の買受けの時から6か月間、建物の明渡しが猶予されます(民法395条1項)。そのため直ちに明け渡す必要はありません。
- 選択肢 4正解
- 所有者は所有権に基づき目的物を自由に処分できるため、先順位の被担保債権の残額や目的物の価格にかかわらず、Bへの返済なしにEのために後順位抵当権を設定することができます。
覚えるポイント
- 抵当権の順位は契約日ではなく「登記の前後」で決まる。
- 抵当権者に対抗できない建物賃借人であっても競落時から「6か月間の明渡し猶予」が認められる。
- 後順位抵当権は先順位の残債額に関わらず自由に重ねて設定できる。
間違えやすいところ
- 目的物の担保余力がないと後順位抵当権が設定できないと誤認しないこと(設定自体は当事者の自由)。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の民法
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.4 ↗(www.retio.or.jp)
債務不履行に基づく損害賠償請求権の範囲・消滅時効・過失相殺
権利関係 · 債務不履行 / 損害賠償の範囲 / 消滅時効の起算点 / 過失相殺
両当事者が損害の賠償につき特段の合意をしていない場合において、債務の不履行によって生ずる損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
債務不履行による損害賠償の範囲は、通常生ずべき損害(予見不要)と特別の事情によって生じた損害(不履行時に予見可能であったもの)からなります(民法416条)。履行不能による損害賠償請求権は本来の債権の変形物であるため、消滅時効は本来の債務の履行を請求できる時から進行します。また、過失相殺は職権調査事項であり当事者の主張がなくても考慮されます。
解き方
- 通常損害と特別損害の賠償範囲および予見の基準時(債務不履行時)を検討する。
- 履行不能による損害賠償請求権の消滅時効の起算点に関する最高裁判例を確認する。
- 過失相殺(民法418条)における職権適用の可否(裁判所の判断権限)を判例に基づき確認する。
- 選択肢 1不正解
- 通常生ずべき損害については、当事者の予見可能性の有無にかかわらず、全額を賠償請求することができます(民法416条1項)。
- 選択肢 2不正解
- 特別の事情によって生じた損害は、当事者がその事情を予見すべきであったときに賠償請求できますが、その予見時期の基準は契約締結時ではなく「債務不履行時」です(民法416条2項)。
- 選択肢 3正解
- 債務の履行不能により生ずる損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債権の同一性を有する変形物であるため、本来の債務の履行を請求し得る時から進行を開始します(最判平10.6.12)。
- 選択肢 4不正解
- 過失相殺は職権調査事項であり、債務者からの主張がなくても、裁判所は損害賠償の責任及び金額を定めるにあたり債権者の過失を考慮しなければなりません(民法418条、最判昭43.12.24)。
覚えるポイント
- 履行不能による損害賠償請求権の消滅時効起算点は「本来の債務の履行を請求できる時」。
- 特別事情による損害の予見可能性の判断基準時は「債務不履行時」。
- 債務不履行の過失相殺は裁判所が「職権」で考慮できる(かつ考慮しなければならない)。
間違えやすいところ
- 消滅時効の起算点を「履行不能になった時」と誤認しやすいので注意する。
- 予見時期を不法行為(加害行為時)や契約締結時と混同しないこと。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の民法及び最高裁判所判例
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.4 ↗(www.retio.or.jp)
債権者代位権の行使要件と対象範囲
権利関係 · 債権者代位権 / 債務者の権利行使 / 所有権保存登記 / 明渡請求 / 妨害排除請求権
民法第423条第1項は、「債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。」と定めている。これに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
債権者代位権は債務者が自ら権利を行使しないときに限り、債権者が代わりに権利を行使する制度です(民法423条)。特定債権の保全(登記請求権や賃借権に基づく妨害排除等)への転用が広く判例で認められており、直接自己への明渡請求が肯定される場合もありますが、債務者が既に自ら権利を行使している場合には代位権は行使できません。
解き方
- 債権者代位権の行使要件(債務者の権利不行使)に関する原則と判例を確認する。
- 登記請求権保全のための代位行使(未登記建物の保存登記等)の可否を確認する。
- 賃借人による賃貸人の妨害排除請求権の代位行使および直接明渡請求の判例を確認する。
- 抵当権者による妨害排除請求権の代位行使および直接明渡請求の判例を確認する。
- 選択肢 1正解
- 債権者代位権は債務者が自ら権利を行使しない場合に認められる補充的な権利であるため、債務者が既に権利を行使しているときは、その行使の方法や結果の巧拙にかかわらず代位行使できません(最判昭28.12.14)。
- 選択肢 2不正解
- 未登記建物の買主は、所有権移転登記請求権を保全するため、売主に代位して売主名義の所有権保存登記手続を行うことができます(判例)。
- 選択肢 3不正解
- 建物の賃借人は、対抗要件の有無にかかわらず、賃貸人の有する所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使し、直接自己へ建物を明け渡すよう請求できます(最判昭29.9.24)。
- 選択肢 4不正解
- 抵当権者は担保価値の維持・保全のため、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使して、直接自己への明渡しを請求することができます(最判平11.11.24)。
覚えるポイント
- 債務者が自ら権利を行使しているときは代位行使できない。
- 賃借権の保全や抵当権の価値保全のための代位行使では、直接自己への引渡し・明渡しを求めることができる。
間違えやすいところ
- 「直接自己に明け渡せ」と請求できる判例の法理を、債権者の越権行為として誤りだと判断してしまわないこと。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の民法及び最高裁判所判例
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.5 ↗(www.retio.or.jp)
保証契約の成立要件・催告の抗弁権および連帯保証人の責任
権利関係 · 保証 / 書面性要件 / 委託を受けない保証 / 催告の抗弁権 / 連帯保証
保証に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
保証契約は債権者と保証人との合意によって成立する契約ですが、軽率な保証を防ぐために書面(または電磁的記録)で作成しなければ効力を生じません(民法446条2項、3項)。主たる債務者の委託は要件ではなく委託なしでも成立します。普通の保証人には催告の抗弁権・検索の抗弁権(主たる債務者の破産や行方不明時は除外)がありますが、連帯保証人には分別の利益やこれらの抗弁権がなく、各自全額の責めを負います。
解き方
- 選択肢1:主たる債務者の委託を受けない保証契約の効力(債権者と保証人の契約)を確認する。
- 選択肢2:保証契約の書面性要件(民法446条2項)を確認し、口頭契約の可否を判定する。
- 選択肢3:普通保証人の催告の抗弁権(民法452条)とその例外事由(破産・行方不明)を確認する。
- 選択肢4:連帯保証における分別の利益の否定と連帯保証人各自の負担責任の範囲を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 保証契約は債権者と保証人との間の契約であり、主たる債務者の委託がなくても、さらには主たる債務者の意思に反してでも有効に成立します(民法446条、462条)。
- 選択肢 2正解
- 保証契約は書面でしなければその効力を生じません(民法446条2項)。口頭で意思表示をしても保証契約は有効に成立しません。
- 選択肢 3不正解
- 連帯保証ではない普通の保証人は、債権者から請求を受けたときにまず主債務者に催告するよう請求できます(催告の抗弁権)。ただし、主債務者が破産手続開始決定を受けたとき又は行方不明のときは行使できません(民法452条ただし書)。
- 選択肢 4不正解
- 連帯保証人には分別の利益(保証人が複数いる場合に均等分割して負担する利益)がないため、連帯保証人相互間に連帯の特約がなくとも各自が全額について責任を負います(民法454条)。
覚えるポイント
- 保証契約は「書面」でしなければ無効(効力を生じない)。
- 保証契約は「債権者と保証人」の契約であり、主債務者の同意・委託は不要。
- 連帯保証人には「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」がない。
間違えやすいところ
- 民法の原則(意思の合致のみで成立する諾成契約)に引きずられて、保証契約も口頭で有効に成立すると勘違いしないこと。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の民法
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.5 ↗(www.retio.or.jp)
複数契約の密接関連性と法定解除
民法等 · 契約の解除 / 債務不履行 / 判例の趣旨
同一当事者間の契約関係に関する判決文(同一当事者間で複数の契約が締結され、相互の目的が密接に関連し、一方のみの履行では目的が全体として達成されない場合、一方の債務不履行を理由に併せて他方の契約も法定解除できる旨)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判決文によれば、誤っているものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
契約が複数に分かれていても、目的が社会通念上密接不可分であり一方のみの履行では契約全体の目的を達し得ないときは、一方の主たる不履行を理由として両契約を併せて解除できます。書面への明記が常に要求されるわけではありません。
解き方
- 判決文から複数の契約を一括して解除できる要件(目的の密接関連性、社会通念上の目的達成不能)を読み取ります。
- 選択肢2が「契約書に表示されていたときに限り」という限定を課しており判決文の趣旨に反することを確認して誤りと判断します。
- 選択肢 1不正解
- 目的が密接に関連付けられていない場合には、判決文の要件を満たさないため甲契約の不履行を理由に乙契約まで解除することはできません。
- 選択肢 2正解
- 判決文は社会通念上契約目的が全体として達成されないかを基準としており、契約書に表示されていたときに限るという限定は付されていないため誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 甲契約の解除事由となる債務不履行が存在することが前提であるため、甲契約すら解除できない付随的義務の不履行では乙契約も解除できません。
- 選択肢 4不正解
- 判例(最判平8.11.12)の事案そのものであり、スポーツクラブ施設の遅延によりマンション購入目的が達せられない場合には乙契約も解除できます。
覚えるポイント
- 複数契約の牽連性による解除は目的の密接関連性があれば足り、書面への特段の明記までは要求されません。
間違えやすいところ
- 契約書に記載がなければいかなる場合も契約解除の効果を及ぼせないと誤解しやすいので注意が必要です。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の民法及び最高裁判所判例(最判平8.11.12)
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.6 ↗(www.retio.or.jp)
遺言の方式および成立要件
民法等 · 遺言 / 自筆証書遺言 / 公正証書遺言 / 遺言能力
遺言に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
遺言は本人の最終意思を尊重する要式行為であるため、代理は許されず、満15歳以上であれば未成年者であっても単独で遺言を行うことができます。また共同遺言は禁止されています。
解き方
- 民法の遺言適齢(第961条)および遺言の要式性を確認します。
- 自筆要件、代理作成の可否、共同遺言の禁止規定に照らして各肢の正誤を判断します。
- 選択肢 1不正解
- 自筆証書遺言は遺言者が全文、日付及び氏名を自書し押印しなければならないため、本文をワープロで印字したものは無効です。
- 選択肢 2不正解
- 遺言は一身専属的な行為であり代理人による遺言作成は認められず、危急時遺言の手続きとしても公証人役場への代理人出頭による公正証書作成は規定されていません。
- 選択肢 3正解
- 民法第961条の規定により、15歳に達した者は法定代理人の同意を要せず有効に遺言をすることができます。
- 選択肢 4不正解
- 民法第975条により、2人以上の者が同一の証書で遺言をすることは禁止されており、夫婦や血縁関係があっても無効となります。
覚えるポイント
- 遺言適齢は15歳であり、法定代理人の同意は不要です。また共同遺言は親族間でも禁止されています。
間違えやすいところ
- 成年擬制や未成年者の一般法律行為(同意が必要)と遺言能力(15歳で単独可能)を混同しがちです。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の民法第961条、第968条、第975条
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.6 ↗(www.retio.or.jp)
事業用定期借地権等の要件と効力
借地借家法 · 借地借家法第23条 / 事業用定期借地権 / 建物賃貸借の終了 / 裁判所の期限許与
借地借家法第23条の借地権(事業用定期借地権)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
事業用定期借地権は専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、居住用は社宅を含め対象外です。また設定契約は必ず公正証書によらなければなりません。借地権終了に伴い退去を求められる建物賃借人は裁判所の期限許与により保護されます。
解き方
- 事業用定期借地権の目的(居住用を除く)、契約方式(公正証書必須)の要件を確認します。
- 取壊し予定建物の賃貸借方式(書面で可)および借地権満了時の建物賃借人保護規定(裁判所による期限許与)を検討します。
- 選択肢 1不正解
- 事業用定期借地権は「専ら事業の用に供する建物」の所有を目的とするものであり、社宅など居住の用に供する建物の所有目的では設定できません。
- 選択肢 2不正解
- 事業用定期借地権の設定契約は、期間の長短を問わず公正証書によって行わなければならず、単なる書面や電磁的記録では足りません。
- 選択肢 3不正解
- 借地借家法第39条の取壊し予定建物の賃貸借契約は書面によって行えば足り、公正証書によることまでは要求されていません。
- 選択肢 4正解
- 借地上の建物賃借人が期間満了を1年前までに知らなかった場合、借地借家法第35条第1項の規定に基づき、裁判所は明渡しについて相当の期限を許与することができます。
覚えるポイント
- 事業用定期借地権は居住用(社宅含む)不可、公正証書必須です。借地終了時の建物賃借人は裁判所の明渡し期限許与を受けられます。
間違えやすいところ
- 社宅は事業運営上必要であっても用途としては「居住の用」に該当するため、事業用定期借地権の対象にならない点に注意してください。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の借地借家法第23条、第35条、第39条
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.7 ↗(www.retio.or.jp)
建物賃貸借の対抗力・解除・定期借家
借地借家法 · 建物賃貸借 / 対抗力 / 信頼関係破壊の法理 / 定期建物賃貸借 / 造作買取請求権 / 賃料増減額請求権
Aが、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約(本件契約)をBと締結して引渡しを受けた場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
賃貸借契約は当事者間の信頼関係を基礎とする継続的契約です。背信行為によって信頼関係が著しく破壊された場合は無催告解除が認められます。また引渡しを受けた建物賃借人は登記なくして第三者に対抗できます。
解き方
- 建物賃貸借の対抗要件(建物の引渡し)と信頼関係破壊の法理(無催告解除)を照らし合わせます。
- 定期建物賃貸借における造作買取請求権および賃料増減額請求権の適用関係を確認します。
- 選択肢 1不正解
- 借地借家法第31条第1項により、建物の引渡しを受けていれば登記がなくてもその後の建物譲受人Cに対して賃借権を対抗できます。
- 選択肢 2正解
- 信頼関係が著しく破壊されて契約の基礎が失われた場合には、賃貸人は民法第541条の催告を要せず無催告で直ちに契約を解除することができます。
- 選択肢 3不正解
- 定期建物賃貸借であっても造作買取請求権を排除する特約を結んでいなければ、借地借家法第33条に基づき終了時に造作買取請求権を行使できます。
- 選択肢 4不正解
- 定期建物賃貸借において賃料改定に関する特約を定めていない場合は、借地借家法第32条の規定がそのまま適用されるため賃料増減額請求が可能です。
覚えるポイント
- 信頼関係が著しく破壊されたときは催告なしで賃貸借契約を解除することができます。
間違えやすいところ
- 定期建物賃貸借契約では造作買取請求権や賃料増減額請求権が自動的に排除されると誤解しやすいですが、特約がなければ一般の規定が適用されます。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の借地借家法第31条、第32条、第33条、第38条及び最高裁判所判例
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.7 ↗(www.retio.or.jp)
区分所有法における専有部分・敷地利用権・集会決議
区分所有法 · 専有部分の共有 / 規約・集会決議の効力 / 敷地利用権の分離処分禁止 / 管理者の選任
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
集会の普通決議は区分所有者および議決権の各過半数で決定します。専有部分共有時の議決権行使者は1名でなければならず、敷地利用権と専有部分の分離処分は原則禁止、規約や決議は特定承継人にも承継されます。
解き方
- 区分所有法第40条(共有者による議決権行使)、第46条第1項(特定承継人への効力)、第22条第1項(分離処分の原則禁止)の要件を確認します。
- 区分所有法第25条第1項および第39条第1項の管理者選任の決議要件(普通決議)を確認します。
- 選択肢 1不正解
- 区分所有法第40条により、専有部分が共有であるときは議決権を行使すべき者「1人」を定めなければならず、規約でも2人以上とすることはできません。
- 選択肢 2不正解
- 区分所有法第46条第1項により、規約及び集会の決議は、区分所有者の包括承継人のみならず特定承継人に対してもその効力を生じます。
- 選択肢 3不正解
- 区分所有法第22条第1項により、専有部分と敷地利用権の分離処分は原則として「禁止」されており、規約に別段の定めがある場合に限り例外的に分離処分ができます。
- 選択肢 4正解
- 区分所有法第25条第1項及び第39条第1項により、管理者の選任は集会の普通決議事項であり、規約に別段の定めがない限り区分所有者及び議決権の各過半数で決します。
覚えるポイント
- 管理者の選任は普通決議(区分所有者及び議決権の各過半数)で行われます。
間違えやすいところ
- 敷地利用権の分離処分は「原則禁止・規約で例外的に可能」である点を取り違えないようにしてください。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の建物の区分所有等に関する法律第22条、第25条、第39条、第40条、第46条
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.8 ↗(www.retio.or.jp)
不動産登記事項証明書の交付請求手続き
不動産登記法 · 登記事項証明書 / 交付請求権者 / 現在事項証明書 / オンライン請求
不動産の登記事項証明書の交付の請求に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
不動産登記事項証明書は誰でも手数料を納付すれば理由や利害関係の疎明なしに交付請求できます。証明書自体は書面で交付され、現在効力のある部分のみ(現在事項証明書)の請求や、オンラインでの送付請求も認められています。
解き方
- 不動産登記法第119条における登記事項証明書の請求方式および交付形態(書面)を確認します。
- 誰でも請求可能(利害関係不要)、一部・現在事項証明の存在、電子情報処理組織による請求可否を順次照合します。
- 選択肢 1正解
- 不動産登記法第119条第1項により登記事項証明書は書面として交付される制度であり、電磁的記録をもって交付を請求することはできません。
- 選択肢 2不正解
- 何人でも手数料を納付して登記事項証明書の交付を請求でき、利害関係を有することを明らかにする必要はありません。
- 選択肢 3不正解
- 登記事項証明書には全部事項証明書のほか、現に効力を有する事項のみを記載した現在事項証明書などの交付を請求することも可能です。
- 選択肢 4不正解
- 電子情報処理組織(インターネット)を利用して登記事項証明書の交付を請求し、郵送(送付)で受け取ることができます。
覚えるポイント
- 登記事項証明書は「何人でも(利害関係不要)」「書面で」交付請求できます。
間違えやすいところ
- 閲覧請求(図面等で利害関係が必要な場合がある)と登記事項証明書の交付請求(何人でも無条件で可能)を混同しないようにしましょう。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の不動産登記法第119条
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.8 ↗(www.retio.or.jp)
国土利用計画法における事後届出の要件と例外
法令上の制限 · 国土利用計画法 / 事後届出 / 届出義務者 / 公表制度 / 当事者が地方公共団体
国土利用計画法第23条の都道府県知事への届出(事後届出)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
国土利用計画法の事後届出は権利取得者(買主等)に義務があり、不届出の罰則対象も取得者のみです。また当事者の一方または双方が国や地方公共団体等の公的機関である取引は適用除外となります。勧告に従わない場合の公表は「任意」です。
解き方
- 事後届出の届出義務者(権利取得者のみ)と罰則対象を確認し、売主への罰則を排除します。
- 当事者の一方が地方公共団体である場合の適用除外規定(法第23条第2項第3号等)を適用して正答を特定します。
- 選択肢 1不正解
- 事後届出の義務者は権利取得者(買主B)のみであり、売主Aには届出義務がないため、Aが不届出の罰則に処せられることはありません。
- 選択肢 2不正解
- 国土利用計画法の事後届出制度において、勧告を受けた者が知事に対して土地の買取りを請求できる制度は規定されていません。
- 選択肢 3正解
- 当事者の一方が国や地方公共団体(乙市、丙市)である売買契約については、国土利用計画法の事後届出の適用除外とされています。
- 選択肢 4不正解
- 知事は勧告に従わない場合にその旨及び内容を「公表することができる」と規定されており、公表が義務付けられているわけではありません。
覚えるポイント
- 国や地方公共団体が当事者の一方にいる土地取引は、国土利用計画法の届出が免除されます。
間違えやすいところ
- 事後届出における知事の勧告不服時の「公表」は義務(しなければならない)ではなく任意(できる)です。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の国土利用計画法第23条、第24条、第26条、第47条
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.9 ↗(www.retio.or.jp)
都市計画法における区域区分・用途地域・地域地区
法令上の制限 · 都市計画法 / 市街化区域 / 市街化調整区域 / 準都市計画区域 / 特定用途制限地域
都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
都市計画法上、市街化区域は「少なくとも用途地域を定める区域」、市街化調整区域は「原則として用途地域を定めない区域」です。特定用途制限地域は用途地域が定められていない区域に指定されます。
解き方
- 市街化区域および市街化調整区域における用途地域の指定原則(法第7条、第13条第1項第7号)を確認します。
- 準都市計画区域の指定要件、区域区分の義務付け対象(三大都市圏等)、特定用途制限地域の対象区域(用途地域外)の誤りを排除します。
- 選択肢 1正解
- 都市計画法第13条第1項第7号により、市街化区域については少なくとも用途地域を定め、市街化調整区域については原則として用途地域を定めません。
- 選択肢 2不正解
- 記述の内容は「都市計画区域」の指定要件です。準都市計画区域は乱開発を防止し適正な土地利用を図るため都市計画区域外に指定されます。
- 選択肢 3不正解
- 区域区分が必ず定められるのは三大都市圏の一定の都市計画区域等であり、すべての中核市や特例市を含む都市計画区域で義務付けられているわけではありません。
- 選択肢 4不正解
- 特定用途制限地域は、「用途地域が定められていない土地の区域」において良好な環境等を形成するために指定される地域地区です。
覚えるポイント
- 市街化区域は用途地域を「必ず定める」、市街化調整区域は「原則定めない」、特定用途制限地域は「用途地域外」に定めます。
間違えやすいところ
- 特定用途制限地域と特例容積率適用地区など、用途地域「内」か「外」かを混同しやすいので注意してください。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の都市計画法第5条、第7条、第9条第15項、第13条
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.9 ↗(www.retio.or.jp)
都市計画法における開発許可および建築制限
法令上の制限 · 都市計画法 / 開発許可 / 開発行為規制 / 建築等の制限
都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び特例市にあってはその長をいうものとする。また、各選択肢に掲げる行為は、都市計画事業、土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業及び防災街区整備事業の施行として行うもの、公有水面埋立法第2条第1項の免許を受けた埋立地で行うもの並びに非常災害のため必要な応急措置として行うものを含まない。
解答・解説を表示
解答
4
解説
都市計画法では、無秩序な市街化を防止し計画的な土地利用を図るため、開発許可制度による規模基準や、工事中・工事完了後の建築制限が詳細に定められています。
解き方
- 各選択肢の開発行為の規模要件や建築制限の例外事由について条文規定を確認する。
- 開発完了公告後の予定建築物以外の建築規制において、知事の許可が必要であるか否かを照合する。
- 選択肢 1不正解
- 区域区分が定められていない都市計画区域(非線引き都市計画区域)における開発許可を要する規模は3,000㎡以上であるため、5,000㎡の区画形質の変更は知事の許可が必要です。
- 選択肢 2不正解
- 市街化調整区域内の開発許可を受けた開発区域以外の区域において、土地の区画形質の変更を伴わなくても用途変更(住宅から飲食店へ改築)を行う場合は、原則として知事の許可が必要です。
- 選択肢 3不正解
- 開発工事完了公告前であっても、開発行為に同意していない関係権利者がその権利の行使として建築物を建築することは認められています。
- 選択肢 4正解
- 用途地域の定められていない開発区域において、工事完了公告後に予定建築物以外の建築物を新築する場合は、原則として知事の許可を受けなければなりません。
覚えるポイント
- 非線引き都市計画区域の開発許可規模基準は3,000㎡以上です。
- 完了公告後の開発区域内(用途地域無指定)では予定建築物以外の建築には知事の許可が必要です。
間違えやすいところ
- 開発工事完了公告前でも、同意していない権利者の権利行使による建築は例外的に許可不要で認められる点を見落としやすいです。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行法令(都市計画法第29条、第37条、第42条、第43条)
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.10 ↗(www.retio.or.jp)
建築基準法における建築確認・避雷設備・中間検査
法令上の制限 · 建築基準法 / 建築確認 / 用途変更 / 避雷設備 / 中間検査
3階建て、延べ面積600㎡、高さ10mの建築物に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
建築物の規模や構造、用途に応じて建築確認の要否が定められ、また特定工程の完了に伴う中間検査や高さ20m超の建築物に対する避雷設備の設置義務などの安全基準が適用されます。
解き方
- 建築物の規模(3階建て、延べ600㎡、木造・非木造)から建築確認が必要な大規模建築物にあたるかを判定する。
- 特殊建築物への用途変更、避雷設備の設置義務が生じる高さ基準、中間検査の対象工程を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 木造で3階建て、延べ面積600㎡の建築物は大規模建築物に該当するため、都市計画区域外であっても建築確認を受ける必要があります。
- 選択肢 2不正解
- 共同住宅は特殊建築物に該当し、事務所から共同住宅へ用途変更を行う部分の延べ面積が基準を超えるため建築確認が必要です。
- 選択肢 3不正解
- 避雷設備を設けなければならないのは原則として高さ20mを超える建築物であるため、高さ10mの本物件には設置義務はありません。
- 選択肢 4正解
- 階数が3以上である共同住宅について、2階の床およびこれを支持するはりに鉄筋を配置する工事工程を終えたときは、中間検査を受ける必要があります。
覚えるポイント
- 避雷設備の義務付けは高さ20m超の建築物です。
- 階数3以上の共同住宅の鉄筋工事完了時には中間検査が必要です。
間違えやすいところ
- 都市計画区域外であればすべての木造建築物で確認が不要と誤解しやすいですが、大規模建築物は区域外でも確認が必要です。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行法令(建築基準法第6条、第7条の3、第33条、第87条)
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.10 ↗(www.retio.or.jp)
建築基準法における用途規制
法令上の制限 · 建築基準法 / 用途地域 / 用途規制 / 複数地域にまたがる敷地
建築物の用途規制に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、用途地域以外の地域地区等の指定及び特定行政庁の許可は考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
建築物の用途地域規制では各用途地域で建築できる建築物の種類が定められており、敷地が2以上の地域にまたがる場合は敷地の過半が属する地域の規制が適用されます。
解き方
- 敷地が複数地域にまたがる場合の過半主義のルールを適用する。
- 各用途地域(準住居、近隣商業、第一種低層住居専用)における各建築物の用途規制の制限内容を照合する。
- 選択肢 1不正解
- 敷地の過半が工業地域に属するため全体に工業地域の用途制限が適用され、工業地域では共同住宅の建築が可能です。
- 選択肢 2不正解
- 準住居地域内では、原動機を使用する自動車修理工場で作業場の床面積の合計が150㎡以下のものは建築することができます。
- 選択肢 3正解
- 近隣商業地域においては映画館の客席床面積の制限はなく、200㎡未満に制限されることはありません。
- 選択肢 4不正解
- 第一種低層住居専用地域内では、小学校・中学校・高等学校等は建築できますが、大学や高等専門学校は建築することができません。
覚えるポイント
- 用途地域をまたぐ敷地では、建築物の用途制限は敷地の過半が属する地域が適用されます。
- 近隣商業地域・商業地域では客席規模に関わらず映画館の建築が可能です。
間違えやすいところ
- 第一種低層住居専用地域で建築可能な学校施設に高校は含まれるが高専・大学は含まれない点を取り違えやすいです。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行法令(建築基準法第48条、第91条、別表第二)
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.11 ↗(www.retio.or.jp)
宅地造成等規制法における規制内容
法令上の制限 · 宅地造成等規制法 / 宅地造成の定義 / 技術的基準 / 除却工事の届出 / 保全義務
宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び特例市にあってはその長をいうものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
宅地造成等規制法(当時)では、がけ崩れや土砂流出の防止を目的として、造成工事の許可や技術的基準の遵守、擁壁・排水施設の除却に関する事前届出義務が規定されています。
解き方
- 宅地造成の定義(宅地以外の土地を宅地にする行為等)に該当するか確認する。
- 排水施設の除却工事に関する届出期限(着工日当日か、着工の14日前までか)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 宅地造成とは宅地以外の土地を宅地にするため、または宅地において行う土地の形質の変更を指すため、宅地を宅地以外にする行為は該当しません。
- 選択肢 2不正解
- 規制区域内で行われる宅地造成工事は、擁壁や排水施設の設置など技術的基準に従った災害防止措置を講じる必要があります。
- 選択肢 3正解
- 排水施設の除却工事を行おうとする者は、工事に着手する日ではなく「工事に着手する日の14日前まで」に届け出なければなりません。
- 選択肢 4不正解
- 規制区域内の宅地の所有者、管理者または占有者には、宅地を常時安全な状態に維持する努力義務が課されています。
覚えるポイント
- 宅地造成規制区域内での排水施設や擁壁の除却工事は「着工の14日前まで」に知事へ届出が必要です。
- 宅地を農地など「宅地以外」にする工事は宅地造成に含まれません。
間違えやすいところ
- 除却工事の届出期限を「着手する日まで」と混同しないよう、「14日前まで」という数字を正確に押さえる必要があります。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行法令(宅地造成等規制法第2条、第9条、第12条、第15条)
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.11 ↗(www.retio.or.jp)
土地区画整理法の施行者および事業の性質
法令上の制限 · 土地区画整理法 / 土地区画整理事業の性質 / 個人施行者 / 土地区画整理組合 / 公的施行
土地区画整理法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
土地区画整理事業は、換地処分によって権利を移動・再配置する手法をとる事業であり、個人、組合、地方公共団体、国土交通大臣など多様な主体によって施行されます。
解き方
- 土地区画整理事業の根本的仕組み(換地手法であり土地収用法による全面収用ではない)を確認する。
- 個人施行者、土地区画整理組合、国土交通大臣による施行要件の各規定を精査する。
- 選択肢 1正解
- 土地区画整理事業は土地の権利を換地処分によって変換する制度であり、土地収用法を全面的に適用して収用事業とみなす規定はありません。
- 選択肢 2不正解
- 宅地の所有者等は、1人でまたは数人共同して、規約等を定めて土地区画整理事業を個人施行することができます。
- 選択肢 3不正解
- 宅地所有者または借地権者が7人以上共同して定款等を定め、都道府県知事の認可を受けて設立した土地区画整理組合は事業を施行できます。
- 選択肢 4不正解
- 国の利害に重大な関係があり急施を要する場合で大臣施行の公共施設工事と併せて行う必要があるときは、国土交通大臣自ら事業を施行できます。
覚えるポイント
- 土地区画整理事業は土地収用ではなく換地処分を基本とする事業です。
- 施行者には、個人・組合・会社等の民間施行と、地方公共団体・大臣等の公的施行があります。
間違えやすいところ
- 「都市計画事業だから土地収用法の事業とみなされる」というもっともらしい誤り肢の論理に惑わされないように注意が必要です。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行法令(土地区画整理法第2条、第3条)
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.12 ↗(www.retio.or.jp)
農地法における規制と権利移動・転用
法令上の制限 · 農地法 / 相続の届出 / 転用目的の権利移動 / 罰則 / 賃貸借の存続期間
農地法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
農地法では、権利移動のみは3条、自己転用は4条、転用を目的とした権利移動は5条で規制され、相続による取得時の届出や違反時の両罰規定、賃貸借の存続期間特則(最長50年)が定められています。
解き方
- 農地転用を目的とする売買(権利移転)に適用される条文(農地法第5条)を確認する。
- 3条許可と4条許可の併用が必要とされている記述の誤りを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 相続により農地を取得した場合は3条許可は不要ですが、遅滞なく農業委員会へ届出をしなければなりません。
- 選択肢 2正解
- 転用目的で農地を売買・取得する場合は法第5条の許可を受ければよく、3条許可と4条許可の双方を受ける必要はありません。
- 選択肢 3不正解
- 法人の代表者が業務に関して無許可転用等の違反行為をした場合、行為者に対する処罰に加え、法人に対しても1億円以下の罰金刑が科されます(両罰規定)。
- 選択肢 4不正解
- 農地の賃貸借の存続期間は農地法第19条により最長50年まで認められており、当時の民法の制限(20年)に対する特例となっています。
覚えるポイント
- 転用目的の権利移動(売買・賃貸借)は農地法第5条の許可単独で足ります。
- 農地法違反の転用に対する法人への罰金刑は最高1億円です。
間違えやすいところ
- 転用(4条)と権利移動(3条)の双方が関係するからといって両方の許可を申請するわけではなく、「5条許可」を一本で受ける点を取り違えやすいです。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行法令(農地法第3条の3、第5条、第19条、第67条)
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.12 ↗(www.retio.or.jp)
住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税の特例
税・価格の評定 · 税法 / 相続時精算課税 / 住宅取得等資金贈与 / 特例措置
特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例(65歳未満の親からの贈与についても相続時精算課税の選択を可能とする措置)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例は、親の年齢要件(原則65歳以上)を撤廃する特例措置であり、対象は資金の贈与に限られ、受贈者の所得制限はありません。
解き方
- 特例の対象財産が「資金の贈与」に限定されている点(家屋現物不可)を確認する。
- 贈与税の非課税制度にある所得制限(2,000万円以下等)が、相続時精算課税制度の住宅特例には課されていない点を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 本特例の対象は住宅取得等のための「資金」の贈与に限られ、住宅用家屋そのものの現物贈与には適用されません。
- 選択肢 2不正解
- 相続時精算課税は父・母それぞれについて個別に選択できるため、一方が65歳以上であっても適用が妨げられることはありません。
- 選択肢 3正解
- 相続時精算課税における住宅取得等資金の特例では受贈者の所得要件が定められていないため、合計所得金額が2,000万円を超えていても適用を受けることができます。
- 選択肢 4不正解
- 相続時には贈与財産を他の相続財産と合算して通常の累進税率により相続税を計算するため、「一律20%」で相続税が課されるわけではありません。
覚えるポイント
- 相続時精算課税の住宅取得等資金特例には受贈者の所得制限がありません。
- 特例対象は「資金」であり、「家屋の現物」贈与は対象外です。
間違えやすいところ
- 住宅取得等資金贈与の「非課税措置」(所得制限あり)と、「相続時精算課税の特例」(所得制限なし)の要件を混同しやすいです。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行法令(租税特別措置法第70条の3)
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.13 ↗(www.retio.or.jp)
不動産取得税の課税対象および非課税
税・価格の評定 · 地方税 / 不動産取得税 / 課税客体 / 形式的な所有権移転 / 非課税
不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
不動産取得税は不動産の所有権取得という事実に着目して課される都道府県税ですが、法人の合併や相続など形式的な所有権の移転については非課税規定が設けられています。
解き方
- 有償・無償、売買・交換・贈与を問わず不動産の取得があれば原則課税されることを確認する。
- 地方税法に定める非課税事由(法人の合併、包括遺贈を含む相続等)と照合する。
- 選択肢 1不正解
- 生計を一にする親族間であっても、売買や贈与により不動産を取得した場合は不動産取得税が課税されます。
- 選択肢 2不正解
- 交換による不動産の取得も新たな不動産の所有権取得にあたるため、不動産取得税の課税対象となります。
- 選択肢 3正解
- 法人の合併による不動産の取得は包括承継であり、地方税法の規定に基づき不動産取得税は非課税とされています。
- 選択肢 4不正解
- 販売目的で中古住宅を取得した場合であっても不動産の取得にあたるため、不動産取得税が課税されます。
覚えるポイント
- 法人の合併および個人の相続による不動産取得は、不動産取得税が非課税です。
- 交換、贈与、販売用物件の取得はいずれも不動産取得税の課税対象となります。
間違えやすいところ
- 「等価交換だから課税されない」「販売用(商品)だから課税されない」といった思い込みによる誤認に注意が必要です。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行法令(地方税法第73条の2、第73条の7)
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.13 ↗(www.retio.or.jp)
不動産の鑑定評価手法及び価格形成要因
価格の評定 · 不動産鑑定評価基準 / 原価法 / 価格形成要因 / 正常価格
不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準に照らして誤っているものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
不動産の鑑定評価における原価法は、価格時点における再調達原価を割り出し、減価修正を行って積算価格を求める手法です。建物のみならず、既成宅地であっても造成等に要した投下費用の把握が可能な場合など、土地に対しても適用されます。
解き方
- 各鑑定評価手法(原価法、取引事例比較法、収益還元法)の基本的な適用対象と計算プロセスを確認します。
- 原価法が造成地などの土地にも適用可能である点に基づき、選択肢1の「土地には適用できない」とする記述の誤りを判定します。
- 選択肢 1正解
- 原価法は建物に限らず、造成地や埋立地などの土地についても再調達原価を適切に把握できる場合には適用可能です。
- 選択肢 2不正解
- 価格形成要因の定義および「一般的要因・地域要因・個別的要因」への分類は、不動産鑑定評価基準の規定通りで正しい記述です。
- 選択肢 3不正解
- 正常価格とは、市場性を有する不動産につき合理的条件を満たす市場で形成される市場価値を表示する適正な価格を指し、正しい記述です。
- 選択肢 4不正解
- 取引事例に特殊な事情が存在し価格に影響している場合は、適切な事情補正を行う必要があります。
覚えるポイント
- 原価法は建物だけでなく、造成地等の土地にも適用可能である点
- 価格形成要因は一般的要因・地域要因・個別的要因の3つに分類される点
間違えやすいところ
- 原価法は再調達原価が必要であることから建物専用の手法であると思い込んでしまう誤り
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の不動産鑑定評価基準
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.14 ↗(www.retio.or.jp)
宅地建物取引業の免許を要する行為の範囲
宅建業法 · 免許制度 / 信託会社の特例 / 自己の賃貸 / 破産管財人
宅地建物取引業の免許(以下「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
宅地建物取引業とは、宅地・建物の売買・交換、またはそれらの代理・媒介、貸借の代理・媒介を業として行うことを指します。自ら貸借(転貸含む)は業に該当せず不要ですが、代理・媒介を行う者には免許が必要です。信託会社には国交大臣への届出により免許不要で営業できる特例が設けられています。
解き方
- 取引態様(自ら当事者か、代理・媒介か)と対象行為(売買・交換・貸借)を照合して宅建業の定義に該当するか判断します。
- 信託会社や農業協同組合等の特殊な主体に関する法的特例の有無を確認し、正しい記述を特定します。
- 選択肢 1不正解
- 農業協同組合であっても、宅地の売買の代理を業として行う場合には宅建業の免許が必要です(免許不要の特例はありません)。
- 選択肢 2不正解
- 自ら建物を賃貸することはもちろん、他人から借り上げた建物を転貸(サブリース)する行為も「自ら貸借」にあたり、宅建業には該当しないため免許は不要です。
- 選択肢 3不正解
- 破産管財人自身の換価処分行為には免許が不要とされる場合でも、その媒介を業として行う第三者は宅建業の免許が必要です。
- 選択肢 4正解
- 信託業法第3条の免許を受けた信託会社は、国土交通大臣への届出を行うことで宅建業を営むことができ、改めて免許を取得する必要はありません。
覚えるポイント
- 「自ら貸借」は転貸(サブリース)も含めて宅建業に該当せず免許不要
- 信託業法に基づく信託会社は国交大臣への届出で宅建業を営める
間違えやすいところ
- 転貸(サブリース)を「代理・媒介」と混同して免許が必要と誤認してしまうこと
出題の前提:宅地建物取引業法第2条、第3条、第77条
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.14 ↗(www.retio.or.jp)
宅地建物取引業の免許基準(法人の役員に関する欠格事由)
宅建業法 · 免許の基準 / 欠格事由 / 法人の役員 / 刑罰
宅地建物取引業の免許(以下「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
法人の役員が宅建業法上の欠格事由に該当する場合、その法人も免許を受けることができません。宅建業法違反による罰金刑以上の刑を受けた者は執行終了から5年間欠格となりますが、破産者は復権を得れば直ちに欠格事由が解消し、執行猶予期間満了者も満了時点で刑の言渡しが効力を失うため直ちに免許を取得できます。
解き方
- 各選択肢の役員が犯した違反行為および課された処分内容(破産、業法違反罰金、執行猶予満了、科料)を精査します。
- それぞれの欠格期間(5年経過要件の有無)を法令に照らし、法人が欠格となる正しい記述を特定します。
- 選択肢 1不正解
- 破産手続開始決定を受けた者は復権を得れば直ちに欠格事由が解消するため、復権から5年を経過していなくても免許を受けることができます。
- 選択肢 2正解
- 宅建業法違反により罰金刑に処せられた役員がいる場合、執行終了または免除の日から5年間はその法人も欠格事由に該当し、免許を受けられません。
- 選択肢 3不正解
- 執行猶予期間を満了したときは刑の言渡しの効力が消滅するため、5年の経過を待つことなく直ちに免許を受けることができます。
- 選択肢 4不正解
- 科料は罰金よりも軽い財産刑であり、宅建業法上の欠格事由(一定の罪についての罰金以上刑)に該当しません。
覚えるポイント
- 破産者は復権を得れば直ちに免許取得可能(5年縛りはなし)
- 執行猶予期間が無事に満了すれば直ちに免許取得可能
- 宅建業法違反による「罰金刑」は執行終了から5年経過が必要
間違えやすいところ
- 破産者や執行猶予満了者にも一律に「5年経過ルール」が適用されると誤解しやすい
出題の前提:宅地建物取引業法第5条第1項
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.15 ↗(www.retio.or.jp)
宅建業の免許制度と名義貸しの禁止等の規定
宅建業法 · 個人の死亡と業務結了 / 合併と免許承継 / 名義貸しの禁止 / 営業保証金と広告開始時期
次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
宅建業の免許は一身専属的なものであり、相続や合併によって無免許者に承継されることはありません。また名義貸しは取引の公正と責任所在の明確化を図るため、相手方が免許保有者であるかを問わず一律に厳格に禁止されています(法第13条)。
解き方
- 相続時における廃業届の期限(死亡を知った日から30日以内)および取引結了義務の整理を行います。
- 名義貸し禁止規定(法13条)の適用対象を確認し、借受人が免許保有者であっても違法であることから選択肢3を正解と判定します。
- 選択肢 1不正解
- 個人業者が死亡したときは、相続人はその事実を知った日から30日以内に廃業等の届出を行わなければならず、取引結了後まで届出を遅らせることはできません。
- 選択肢 2不正解
- 免許は合併によって承継されません。無免許法人Cが存続会社となる場合、C自身が新規に免許を取得する必要があります。
- 選択肢 3正解
- 法第13条は名義貸しを全面的に禁止しており、名義を借りて営業する者が別途免許を有している場合であっても名義貸し禁止違反となります。
- 選択肢 4不正解
- 既に免許を受けているFが行う行為は法第25条第5項(営業保証金の供託届出前の営業開始等の禁止)違反等にはなり得ますが、法第12条の「無免許事業等の禁止」違反には該当しません。
覚えるポイント
- 名義貸しは相手が免許保有者であっても禁止
- 個人の死亡による廃業届は「死亡を知った日から30日以内」に行う(取引結了後ではない)
- 合併によって消滅会社の免許は承継されない
間違えやすいところ
- 名義を借りる相手が免許を持っていれば名義貸しにならないと誤認しやすい
出題の前提:宅地建物取引業法第11条、第12条、第13条、第25条
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.15 ↗(www.retio.or.jp)
事務所等における掲示・備付義務及び専任取引主任者の設置要件
宅建業法 · 標識の掲示 / 従業者名簿 / 帳簿の備付 / 専任の宅地建物取引主任者
次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において、「事務所」とは、同法第15条に規定する事務所等をいう。
解答・解説を表示
解答
4
解説
宅建業者は各事務所に「標識」「従業者名簿」「帳簿」を備え、法定数の「成年者である専任の取引主任者(現・取引士)」を置かなければなりません。専任取引主任者が不足した場合は2週間以内に補充等の是正措置を講じる必要があります。また、事務所に掲示すべきは標識であり、免許証自体の掲示義務はありません。
解き方
- 事務所に掲示すべきもの(標識のみか、免許証も含むか)を確認します。
- 従業者名簿の備付義務違反の罰則の有無、および帳簿の備付場所(事務所ごと)を検討します。
- 専任取引主任者の法定数不足時における是正猶予期間(2週間以内)を確認して正しい肢を選択します。
- 選択肢 1不正解
- 事務所の公衆の見やすい場所に掲示が義務付けられているのは「標識」であり、「免許証」の掲示義務はありません。
- 選択肢 2不正解
- 従業者名簿の備え付け義務を怠った場合、監督処分の対象となるだけでなく、50万円以下の罰金刑に処せられることがあります。
- 選択肢 3不正解
- 業務に関する帳簿は主たる事務所に集約するのではなく、「事務所ごと」に備え付けなければなりません。
- 選択肢 4正解
- 専任の取引主任者の数が不足した場合、宅建業者は2週間以内に補充等の必要な措置を執らなければならないと規定されています。
覚えるポイント
- 事務所に掲示するのは「標識」のみ(免許証は掲示義務なし)
- 専任取引主任者(取引士)が不足したときは「2週間以内」に是正措置が必要
- 帳簿も従業者名簿も「事務所ごと」に備え付ける
間違えやすいところ
- 免許証を掲示しなければならないと誤信してしまうこと
- 専任取引士不足の是正期間を30日などと混同すること
出題の前提:宅地建物取引業法第15条、第48条、第49条、第50条、第83条
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.16 ↗(www.retio.or.jp)
宅地建物取引主任者の登録及び取引主任者証の取扱い
宅建業法 · 未成年の登録 / 変更の登録 / 主任者証の提示 / 事務禁止処分
宅地建物取引主任者の登録(以下この問において「登録」という。)及び宅地建物取引主任者証(以下この問において「取引主任者証」という。)に関する次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
取引主任者(現・取引士)の登録制度において、事務禁止処分を受けた者が自ら登録消除を申請して処分を免れようとすることを防止するため、禁止期間満了までは登録欠格となります。婚姻した未成年者は成年擬制(出題当時)により成年者と同一の行為能力を有するため単独で登録可能です。また住所変更は主任者証の所持を問わず変更登録が必要です。
解き方
- 民法上の婚姻による成年擬制と登録要件の関係を検討します。
- 取引主任者証交付の有無にかかわらず、氏名や住所の変更時に変更の登録義務があることを確認します。
- 重要事項説明時の提示義務は原本提示が必須であることを確認します。
- 事務禁止処分期間中の自主登録消除に伴う欠格事由の規定を確認し、選択肢4が正しいと判断します。
- 選択肢 1不正解
- 婚姻した未成年者は成年に達したものとみなされるため(民法上の成年擬制)、法定代理人の許可がなくても単独で登録を受けることができます。
- 選択肢 2不正解
- 取引主任者証の交付を受けていない場合であっても、登録簿に登載された住所に変更があったときは遅滞なく変更の登録を申請しなければなりません。
- 選択肢 3不正解
- 重要事項説明の際は有効な取引主任者証の「原本」を提示しなければならず、再交付申請書の写し等で代用することは認められません。
- 選択肢 4正解
- 事務禁止処分を受けてその禁止期間中に自主的に登録消除の申請をした者は、禁止処分期間が満了するまで他の都道府県知事であっても登録を受けることができません。
覚えるポイント
- 事務禁止期間中に自主消除した場合、禁止期間満了までは再登録不可
- 重要事項説明時の取引士証提示は必ず「原本」が必要(コピー不可)
- 登録簿の記載事項(住所・氏名・勤務先等)に変更があれば変更の登録が必要
間違えやすいところ
- 取引主任者証の交付を受けていなければ住所等の変更登録は不要と誤解すること
出題の前提:宅地建物取引業法第18条、第22条の2、第35条第4項
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.16 ↗(www.retio.or.jp)
宅地建物取引業者の営業保証金の取戻し手続
宅建業法 · 営業保証金 / 取戻し / 公告手続 / 保証協会の社員化
宅地建物取引業者の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、この問において、「還付請求権者」とは、同法第27条第1項の規定に基づき、営業保証金の還付を請求する権利を有する者をいう。
解答・解説を表示
解答
2
解説
営業保証金を取り戻す際、取引相手方である還付請求権者を保護するため、原則として6か月以上の申出期間を設けた公告が必要です。ただし、①保証協会の社員となった場合、②主たる事務所の移転に伴う二重供託の場合、③取戻し事由発生から10年が経過した場合は、権利者保護の必要性がない等の理由から公告不要で取り戻すことができます。
解き方
- 各事由における営業保証金の取戻しに「公告」が必要か不要かを確認します。
- 有効期間満了による廃業・業務終了時の取戻しには公告が必要であることを確認し、公告不要とする選択肢2の誤りを判定します。
- 選択肢 1不正解
- 免許取消処分を受けた場合であっても、所定の公告手続等を経て債権関係を整理すれば、営業保証金を取り戻すことができます。
- 選択肢 2正解
- 免許の有効期間満了に伴う取戻しでは、還付請求権者を保護するため、原則として6か月以上の期間を定めた公告手続を経なければ取り戻すことができません。
- 選択肢 3不正解
- 一部支店の廃止による超過分の取戻しでは、還付請求権者に対して一定期間内に申し出るべき旨を公告し、申出がなかった場合に超過額を取り戻せます。
- 選択肢 4不正解
- 保証協会の社員となった場合、以後は弁済業務保証金制度によって還付請求権者が保護されるため、公告をすることなく従前の営業保証金を取り戻すことができます。
覚えるポイント
- 営業保証金の取戻しは原則「6か月以上の公告」が必要
- 公告不要で取り戻せる代表例:①保証協会社員への加入時、②10年経過時、③本店移転による二重供託解消時
間違えやすいところ
- 免許取消処分を受けた業者は営業保証金を二度と取り戻せないと誤解すること
出題の前提:宅地建物取引業法第30条
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.17 ↗(www.retio.or.jp)
宅地建物取引業者に対する広告規制(誇大広告の禁止等)
宅建業法 · 誇大広告の禁止 / 広告媒体の範囲 / 監督処分の要件
宅地建物取引業者Aがその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。 ア Aが行う広告については、実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないが、誤認させる方法には限定がなく、宅地又は建物に係る現在又は将来の利用の制限の一部を表示しないことにより誤認させることも禁止されている。 イ Aがテレビやインターネットを利用して行う広告は、新聞の折込チラシや配布用のチラシと異なり法の規制の対象とならない。 ウ Aが行う広告については、実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示であっても、誤認による損害が実際に発生しなければ、監督処分の対象とならない。
解答・解説を表示
解答
1
解説
宅建業法第32条は誇大広告を全面的に禁止しています。重要な利用制限をあえて隠す不作為による誤認表示も禁止対象に含まれます。広告規制はテレビ・Web・チラシ等あらゆる媒体に及び、現実に被害や損害が発生したか否かを問わず、違反広告を行った時点で監督処分や罰則の対象となります。
解き方
- 記述アについて、不作為(一部を表示しないこと)による誇大広告の禁止該当性を確認します(正しい)。
- 記述イについて、テレビやインターネット等の電子媒体が広告規制の対象となるかを確認します(対象となるため誤り)。
- 記述ウについて、誇大広告規制違反の成立に現実の損害発生が必要かを確認します(損害発生は不要であるため誤り)。
- 正しい記述の個数をカウントし、該当する選択肢(一つ)を決定します。
- 選択肢 1正解
- 正しい記述はアの1つのみであるため、正解は選択肢1(一つ)となります。
- 選択肢 2不正解
- 正しい記述が2つあるとする本肢は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 正しい記述が3つあるとする本肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 記述アが正しいため、「なし」とする本肢は誤りです。
覚えるポイント
- 誇大広告は媒体を問わず(ネット・TV・看板・チラシすべて)規制される
- 実際の損害発生がなくても、誇大広告をした時点で法違反・処分の対象となる
- 制限事項を表示しない不作為による誤認表示も誇大広告に該当する
間違えやすいところ
- インターネット上の広告はチラシ等の紙媒体と異なり規制外であると誤解すること
- 実際に一般消費者に金銭的損害が発生しなければ処分されないと誤認すること
出題の前提:宅地建物取引業法第32条、第65条
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.17 ↗(www.retio.or.jp)
媒介契約書の記載事項および有効期間等の規制
宅地建物取引業法 · 媒介契約 / 法34条の2 / 専任媒介契約 / 一般媒介契約
宅地建物取引業者Aが、Bから自己所有の宅地の売買の媒介を依頼された場合における当該媒介契約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
宅地建物取引業法第34条の2に基づく媒介契約書(34条の2書面)には、宅地建物を売買すべき価額が必要的記載事項とされており、口頭での伝達があっても書面への記載を省略することはできません。また、同書面への記名押印は宅地建物取引業者自身が行う義務であり、取引士(取引主任者)による記名押印は法定されていません。
解き方
- 各選択肢の記述が一般媒介契約または専任媒介契約に関する法令上のルールに合致しているか確認する。
- 媒介契約書の必要的記載事項と取引士の関与、有効期間の制限・更新要件を照合して正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 法第34条の2第1項の書面に記名押印する義務があるのは宅地建物取引業者自身であり、取引主任者(現・宅地建物取引士)に記名押印させる義務はありません。
- 選択肢 2不正解
- 専任媒介契約の有効期間は更新時も含めて3月を超えることができませんが、当初の有効期間(2月)を超えて3月以内の期間を更新期間として定めることは妨げられません。
- 選択肢 3不正解
- 専任媒介契約と異なり、一般媒介契約については宅地建物取引業法上に有効期間の上限規制が存在しないため、3月を超える有効期間を定めても法令違反にはなりません。
- 選択肢 4正解
- 売買すべき価額は一般媒介・専任媒介を問わず媒介契約書の必要的記載事項であり、事前に口頭で説明していたとしても書面へ記載しなければなりません。
覚えるポイント
- 媒介契約書(34条の2書面)への記名押印は業者であり取引士の押印義務はない点
間違えやすいところ
- 専任媒介契約の有効期間上限(3月)の規制が一般媒介契約にも適用されると誤解しやすい点
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の宅地建物取引業法
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.18 ↗(www.retio.or.jp)
重要事項説明書・37条書面・媒介契約書の記載事項
宅地建物取引業法 · 37条書面 / 重要事項説明 / 専属専任媒介契約
次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
法第37条書面には、解除に関する定めがあるときはその内容を必ず記載しなければならず(相対的記載事項)、業者のあっせんの有無にかかわらず記載が必要です。また、重要事項説明書(35条書面)と契約成立後書面(37条書面)は役割が異なるため、一方に記載したことを理由にもう一方の記載を省略することはできません。
解き方
- 重要事項説明書と37条書面の必要的・相対的記載事項の相違点を確認する。
- 特約や解除条件がある場合に37条書面への記載義務が課される基準を適用する。
- 選択肢 1不正解
- 借賃以外に授受される金銭の額及び授受の目的は37条書面の必要的記載事項であり、35条書面に記載されている場合でも37条書面への記載を省略することはできません。
- 選択肢 2不正解
- 損害賠償額の予定又は違約金に関する定めは、売買のみならず建物の貸借であっても定めがあるときは37条書面に記載しなければなりません。
- 選択肢 3正解
- 住宅ローン不成立時の無条件解除の特約は契約解除に関する定めに該当するため、宅建業者が自ら融資をあっせんしない場合でも37条書面に記載する義務があります。
- 選択肢 4不正解
- 専属専任媒介契約において、依頼者が自ら発見した相手方と契約を締結した場合の措置に関する事項は、媒介契約書の必要的記載事項であり省略できません。
覚えるポイント
- 35条書面に記載がある事項でも、37条書面の記載事項であれば省略することはできない点
間違えやすいところ
- 融資あっせんの予定がない場合、融資不成立解除の取り決め記載も不要と誤解しやすい点
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の宅地建物取引業法
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.18 ↗(www.retio.or.jp)
重要事項説明における売買と貸借の対象事項の比較
宅地建物取引業法 · 重要事項説明 / 法35条 / 土砂災害警戒区域 / 私道負担
宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明を取引主任者が行う場合における次の記述のうち、誤っているものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
宅地建物取引業法第35条において、取引の態様(売買・交換か、貸借か)および取引対象(宅地か、建物か)によって重要事項説明の対象項目が異なります。防災関連事項(土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域、造成宅地防災区域等)は、借主の生命・安全に直結するため貸借であっても説明が義務付けられています。
解き方
- 売買と貸借で説明事項が共通するものと異なるものを分類する。
- 土砂災害警戒区域に関する説明義務が建物の貸借にも適用されるか確認する。
- 選択肢 1不正解
- 建ぺい率及び容積率に関する制限の概要は、建物を自ら新築・改築しない借主には直接影響しないため、建物の貸借の媒介では説明不要です。
- 選択肢 2正解
- 土砂災害警戒区域内にあるか否かは、災害時の避難や安全確保に関わるため、宅地・建物の売買のみならず建物の貸借でも説明が必要です。
- 選択肢 3不正解
- 住宅性能評価を受けた新築住宅である旨の説明義務は建物の売買・交換に適用され、建物の貸借の媒介においては説明事項とされていません。
- 選択肢 4不正解
- 私道に関する負担は道路敷の権利関係や費用負担に関する事項であり、宅地建物の売買等では必要ですが、建物の貸借では説明不要です。
覚えるポイント
- 防災関連の警戒区域内にある旨は貸借でも説明が義務付けられている点
間違えやすいところ
- 建ぺい率・容積率や私道負担のように貸借で省略できる規制と、土砂災害警戒区域などの防災規制を混同しやすい点
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の宅地建物取引業法
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.19 ↗(www.retio.or.jp)
重要事項説明書の記載・説明義務事項の該当性
宅地建物取引業法 · 重要事項説明 / 法35条 / 法37条 / 登記名義人
宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明を取引主任者が行う場合における次の記述のうち、同条の規定に違反しないものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
法第35条に定める重要事項説明は、契約締結前の意思決定のために必要な事項を対象とします。これに対し、移転登記の申請時期や引渡しの時期、代金の支払時期等は、契約内容そのものであるため法第37条書面の必要的記載事項とされており、35条の説明事項には含まれません。
解き方
- 各選択肢の事項が宅建業法第35条(重要事項)に該当するか、第37条(契約内容)に該当するかを仕分ける。
- 35条の説明事項から外れている記述を特定し違反しないものを判断する。
- 選択肢 1不正解
- 区分所有建物の売買において、維持修繕の実施状況の記録が保管されているときはその内容を説明しなければならず、説明しないことは法第35条違反となります。
- 選択肢 2不正解
- 自ら売主となる新築住宅の売買等では、瑕疵担保責任の履行確保措置の概要を説明しなければならず、概要を説明しないことは法第35条違反です。
- 選択肢 3不正解
- 急傾斜地崩壊危険区域内の制限(立木竹の伐採等に知事の許可を要すること等の概要)は法令上の制限として説明すべき事項であり、説明しないことは法第35条違反となります。
- 選択肢 4正解
- 移転登記の申請時期は法第37条書面の必要的記載事項であり、法第35条の重要事項説明事項ではないため、説明しなくても法第35条の規定に違反しません。
覚えるポイント
- 「移転登記の申請時期」や「引渡しの時期」は37条書面事項であり35条事項ではない点
間違えやすいところ
- 登記された権利の種類・内容(35条事項)と移転登記の申請時期(37条事項)を混同しやすい点
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の宅地建物取引業法
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.19 ↗(www.retio.or.jp)
宅地建物取引業法第37条書面の交付義務と記載要件
宅地建物取引業法 · 37条書面 / 取引士の記名押印 / 書面の交付 / 業者間取引
宅地建物取引業者Aが、売主Bと買主Cとの間の宅地の売買について媒介を行う場合において、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
法第37条書面には取引主任者(現・宅地建物取引士)の記名押印が必要ですが、相手方への書面の交付行為自体は主任者以外の従業者や代表者が行っても差し支えありません。また、37条書面の交付義務や必要的記載事項は業者間取引(プロ同士の取引)であっても免除されません。
解き方
- 37条書面における取引主任者の職務範囲(記名押印のみか、交付も必須か)を確認する。
- 公正証書による代替要件や業者間取引における37条規定の適用除外の有無を検討する。
- 選択肢 1正解
- 37条書面への記名押印は取引主任者が行わなければなりませんが、書面そのものの交付は取引主任者以外の代表者や従業者が行っても問題ありません。
- 選択肢 2不正解
- 契約書等を37条書面に代える場合であっても、取引主任者の記名押印が必要です。公正証書に取引主任者の記名押印がなければ37条書面に代えることはできません。
- 選択肢 3不正解
- 法第37条の書面交付義務およびその必要的記載事項は、取引の当事者が宅地建物取引業者同士であっても省略することはできません。
- 選択肢 4不正解
- 37条書面に記名押印する取引主任者は、35条書面に記名押印した取引主任者と同一人物である必要はなく、別の主任者が記名押印しても有効です。
覚えるポイント
- 37条書面の記名押印は取引士の専任業務だが、交付自体は誰が行ってもよい点
間違えやすいところ
- 業者間取引では重要事項説明は免除されるが、37条書面の交付は免除されないことを見落としやすい点
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の宅地建物取引業法
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.20 ↗(www.retio.or.jp)
クーリング・オフ制度の適用要件と解除の効力発生
宅地建物取引業法 · クーリング・オフ / 法37条の2 / 事務所等 / 発信主義
宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した宅地の売買契約について、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の解除をする場合における次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
クーリング・オフ制度(法第37条の2)において、買受けの申込みの場所が「事務所等」以外である場合、その後に事務所等で契約を締結してもクーリング・オフが可能です。買主が自ら申し出た場合でも、事務所等とされるのは「自宅」または「勤務先」に限られ、ホテルのロビーや知人業者(無関係の業者)の事務所は事務所等に該当しません。また、解除の効力は書面を発した時に生じます(発信主義)。宅地の引渡しを受け、かつ代金の全部を支払った後は解除できません。
解き方
- 買受けの申込みが行われた場所が「事務所等」に該当するかを判定する。
- 書面による告知からの経過日数、引渡しと代金全額支払の完了有無、発信主義の原則に照らして解除の可否を判断する。
- 選択肢 1正解
- 買主自らの指定であってもホテルのロビーは「自宅又は勤務先」ではないため事務所等に当たらず、そこで買受けの申込みをした場合はクーリング・オフにより契約を解除できます。
- 選択肢 2不正解
- 代金の全部を支払い、かつ宅地の引渡しを受けたときは、告知後8日以内であってもクーリング・オフによる解除をすることはできません。
- 選択肢 3不正解
- クーリング・オフの意思表示は書面を発送した時(発信主義)に効力を生じるため、告知から5日後の発送時点で解除は成立しており、到達が8日を超えていても解除できます。
- 選択肢 4不正解
- 代理・媒介の依頼を受けていない無関係な宅建業者の事務所は「事務所等」に該当しないため、クーリング・オフにより契約を解除することができます。
覚えるポイント
- 買主自らの申し出により「事務所等」となるのは自宅と勤務先のみである点
間違えやすいところ
- クーリング・オフ通知の効力発生が発信主義であることを見落とし、到達日で計算してしまう点
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の宅地建物取引業法
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.20 ↗(www.retio.or.jp)
宅建業者が自ら売主となる売買契約の制限(手付解除・損害賠償額の予定)
宅地建物取引業法 · 自ら売主 / 手付金 / 手付解除 / 損害賠償額の予定
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で宅地の売買契約を締結した場合における次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
自ら売主となる宅建業者は、損害賠償の予定額と違約金の合算額が代金の10分の2(2割)を超える定めをしてはならず、超える部分は無効となります。また、手付による契約解除において、売主側からの手付解除は単なる意思表示だけでなく現実に倍額を提供しなければならず、相手方が履行に着手した後は手付解除が認められません。
解き方
- 損害賠償額の予定等の制限(代金の2割規制)および予定がない場合の実損害請求の原則を確認する。
- 手付解除の要件(現実の提供義務、相手方の履行着手による解除権の消滅)を適用して正誤を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 損害賠償の予定額の定めがない場合、請求額について売買代金の額を超えてはならないという一律の上限規定はなく、立証された実損額を請求することができます。
- 選択肢 2不正解
- 損害賠償の予定額と違約金の合算額は代金の10分の2(2割)を超えることができず、合算して3割とする特約は2割を超える部分が無効となります。
- 選択肢 3不正解
- 売主が手付倍額償還による解除を行うには、単に書面等で意思表示をするだけでなく、現実に倍額を提供(口頭の提供等を含む現実の提供)しなければ解除できません。
- 選択肢 4正解
- 買主Bが内金を支払ったことは「履行に着手」したことに該当するため、相手方が履行に着手した後は売主Aは手付解除をすることができず、Bは解除を拒絶できます。
覚えるポイント
- 売主の手付解除には手付倍額の現実の提供が必要であり、相手方の履行着手後は行えない点
間違えやすいところ
- 損害賠償予定額と違約金の合算上限が「2割」であるところを「3割」と混同しやすい点
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の民法および宅地建物取引業法
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.21 ↗(www.retio.or.jp)
宅建業者自ら売主規制(瑕疵担保・損害賠償予定・他人物売買等)
宅地建物取引業法 · 自ら売主 / 瑕疵担保責任 / 他人物売買 / 手付放棄
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で宅地(代金2,000万円)の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
自ら売主の8種制限において、瑕疵担保責任について引渡しの日から2年以上とする特約は有効です。損害賠償予定額と違約金の合算は代金の20%が上限です。また、買主が手付放棄できる期間を延長する(相手方着手後も解除可能とする)特約は買主に有利な特約であるため有効です。他人物売買は、取得契約が締結され効力が発生していれば引渡し前であっても売買契約を締結できます。
解き方
- 自ら売主制限(8種制限)の各ルール(瑕疵担保責任期間、損害賠償額合算上限、手付解除特約、他人物売買締結要件)を確認する。
- 代金2,000万円に対する各特約の適法性を検証し、正しい選択肢を選定する。
- 選択肢 1正解
- 宅建業法第40条において、瑕疵担保責任の期間を引渡しの日から2年以上とする特約は認められており、「引渡しの日から3年」とする特約は適法で有効です。
- 選択肢 2不正解
- 損害賠償の予定額と違約金の合計(600万円)が代金2,000万円の2割(400万円)を超えているため、400万円を超える部分が無効となります。
- 選択肢 3不正解
- 売主が履行に着手した後も買主から手付解除できるとする特約は、民法の原則よりも買主に有利な特約であるため、有効に定めることができます。
- 選択肢 4不正解
- 自己の所有に属しない宅地であっても、それを取得する契約を締結しその効力が発生していれば、現実に引渡しを受けていなくても売買契約を締結できます。
覚えるポイント
- 瑕疵担保責任の期間を「引渡しから2年以上」とする特約は有効(民法改正前の基準)である点
間違えやすいところ
- 買主に有利な特約(相手方の履行着手後も解除できる等)まで禁止されていると誤認しやすい点
出題の前提:平成22年4月1日現在施行の宅地建物取引業法
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.21 ↗(www.retio.or.jp)
手付金等の保全措置の要否と方法
宅地建物取引業法 · 8種制限 / 手付金等の保全措置 / 未完成物件
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結するに当たり、宅地建物取引業法第41条の規定に基づく手付金等の保全措置(以下この問において「保全措置」という。)が必要な場合における次の記述ア〜エのうち、同法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。 ア 売買契約において、当該マンションの代金の額の10%に相当する額の中間金を支払う旨の定めをしたが、Aが保全措置を講じないことを理由に、Bが当該中間金を支払わないときは、Aは、Bの当該行為が債務不履行に当たるとして契約を解除することができる。 イ Aが受領した手付金の返還債務を連帯して保証することを委託する契約をAとAの代表取締役との間であらかじめ締結したときは、Aは、当該マンションの代金の額の20%に相当する額を手付金として受領することができる。 ウ Aが受領した手付金の返還債務のうち、保全措置を講じる必要があるとされた額を超えた部分についてのみ保証することを内容とする保証委託契約をAと銀行との間であらかじめ締結したときは、Aは、この額を超える額の手付金を受領することができる。 エ 手付金の受領後遅滞なく保全措置を講じる予定である旨を、AがあらかじめBに対して説明したときは、Aは、保全措置を講じることなく当該マンションの代金の額の10%に相当する額を手付金として受領することができる。
解答・解説を表示
解答
4
解説
自ら売主となる宅建業者は、未完成物件において代金の5%超または1,000万円超の手付金等を受領する場合、事前に銀行等による保証または保険事業者による保険の保全措置を講じなければならず、全額を保全する必要があります。
解き方
- 未完成物件における手付金等の保全措置の要件(代金5%超または1,000万円超)と保全方法(保証委託契約または保証保険契約)を確認する。
- 保全措置が講じられない場合、買主は手付金等の支払いを拒否でき、債務不履行とならないことを確認する(記述ア誤り)。
- 保全機関が銀行・信託会社・保険事業者等に限定され、代表取締役等の個人は認められないことを確認する(記述イ誤り)。
- 保全措置は手付金等の全額を対象とする必要があり、基準超過部分のみの保全は認められないことを確認する(記述ウ誤り)。
- 保全措置は手付金等を受領する前に行う必要があり、受領後の事後保全を理由に免除されないことを確認する(記述エ誤り)。
- すべての記述(ア・イ・ウ・エ)が誤りであるため、個数として4を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 誤っている記述は1つだけではなく、ア・イ・ウ・エの4つすべてが誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 誤っている記述は2つだけではなく、ア・イ・ウ・エの4つすべてが誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 誤っている記述は3つだけではなく、ア・イ・ウ・エの4つすべてが誤りです。
- 選択肢 4正解
- ア、イ、ウ、エの記述がすべて誤っているため、誤っているものの個数は4つであり正しいです。
覚えるポイント
- 未完成物件の手付金等保全措置は「5%超または1,000万円超」で受領前に全額を保全しなければなりません。
間違えやすいところ
- 指定保証機関として代表取締役等の個人による保証は認められず、銀行等または保険事業者に限られます。
出題の前提:宅地建物取引業法第41条、第41条の2
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.22 ↗(www.retio.or.jp)
建物賃貸借の媒介における報酬限度額
宅地建物取引業法 · 報酬額の制限 / 賃貸借の媒介 / 消費税
宅地建物取引業者(消費税課税事業者)の媒介により建物の賃貸借契約が成立した場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、借賃及び権利金(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものをいう。)には、消費税相当額を含まないものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
賃貸借の媒介における報酬は貸主・借主の合計で借賃の1か月分(+税)が上限であり、居住用建物の場合は事前の承諾がない限り一方から0.5か月分(+税)を超えて受領できません。
解き方
- 宅建業法第46条に基づく建設省告示(報酬額の基準)のルールを確認する。
- 肢1:あらかじめ約定がない場合に法定限度額が当然の請求額となる規定はない(不当利得や相当額請求の問題であり義務づけられない)。
- 肢2:名目にかかわらず告示の限度額を超える金銭(謝礼等)の受領は禁止されている。
- 肢3:居住用建物の賃貸借媒介では、依頼を受ける際にあらかじめ承諾を得ていない限り、一方の依頼者から0.5か月分(税込み0.525か月分)を超えて受領できないため、承諾がなければ1.05か月分を受領できないとする内容は正しい。
- 肢4:居住用以外の建物賃貸借で権利金の授受がある場合、通常の借賃基準と売買代金みなし基準の「いずれか高い方」を上限として選択できる。
- 選択肢 1不正解
- あらかじめ報酬額を定めていなかったとしても、法律上当然に国土交通大臣の定める最高限度額を支払う義務が生じるわけではありません。
- 選択肢 2不正解
- 宅建業法上の報酬限度額は強行規定であり、謝金や謝礼などのいかなる名目であっても限度額を超えて金銭を受領することはできません。
- 選択肢 3正解
- 居住用建物の貸借媒介では、媒介依頼を受けるにあたり承諾を得ていない限り一方から借賃の0.525か月分(本問当時)を超える報酬を受領できないため正しいです。
- 選択肢 4不正解
- 権利金を売買代金とみなして計算した額と、通常の借賃ベースの計算額の「いずれか高い方」の額を上限とすることができます(低い方ではありません)。
覚えるポイント
- 居住用建物の賃貸借媒介では依頼者の事前承諾がない限り片方から受領できる上限は0.5か月分(+税)です。
間違えやすいところ
- 権利金ベースの報酬上限計算は、借賃計算額と比べて「いずれか高い方」を採用できます。
出題の前提:宅地建物取引業法第46条、昭和45年建設省告示第1552号
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.23 ↗(www.retio.or.jp)
宅地建物取引業保証協会の弁済業務等
宅地建物取引業法 · 保証協会 / 弁済業務保証金 / 還付充当金
宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
保証協会の社員と宅建業に関し取引した者は弁済業務保証金から弁済を受ける権利を有し、この権利は業者が社員となる前に行った取引によって生じた債権にも及びます。
解き方
- 宅建業法第64条の8第1項により、社員となる前の取引関係者も保護の対象となることを確認する(肢1は正しい)。
- 弁済を受ける際、保証協会の認証を受けた後、還付請求を行う相手は「供託所」であることを確認する(肢2は誤り)。
- 還付充当金の納付期限は通知を受けた日から「2週間以内」であることを確認する(肢3は誤り)。
- 保証協会が社員の加入・脱退があったときに免許権者へ報告するのは「加入後直ちに」であり、あらかじめではないことを確認する(肢4は誤り)。
- 選択肢 1正解
- 宅地建物取引業法第64条の8第1項により、社員となる前に取引をした者も弁済業務保証金から弁済を受ける権利を有するため正しいです。
- 選択肢 2不正解
- 弁済業務保証金の還付を受けるには、保証協会の認証を受けた後に「供託所」に対して還付を請求しなければなりません(保証協会ではありません)。
- 選択肢 3不正解
- 還付充当金の納付期限は、保証協会から通知を受けた日から「2週間以内」です(1か月以内ではありません)。
- 選択肢 4不正解
- 保証協会は社員が加入し、又はその地位を失ったときは「直ちに」その旨を免許権者に報告しなければならず、あらかじめ報告するわけではありません。
覚えるポイント
- 還付充当金の納付期限は通知を受けてから「2週間以内」です。
間違えやすいところ
- 弁済業務保証金の還付請求先は保証協会ではなく「供託所」です(認証を受ける先が保証協会)。
出題の前提:宅地建物取引業法第64条の8、第64条の10、第64条の11
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.23 ↗(www.retio.or.jp)
監督処分(指示処分・公告・名簿登載)
宅地建物取引業法 · 監督処分 / 指示処分 / 宅地建物取引業者名簿
宅地建物取引業法の規定に基づく監督処分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
都道府県知事は、自らの区域内で業務を行う他県免許の宅建業者に対しても指示処分や業務停止処分を行うことができ、処分を行ったときは免許権者に通知し名簿に登載されます。
解き方
- 宅建業法第65条、第71条等の監督処分の手続きを確認する。
- 肢1:勧告を行った場合の通知義務規定は存在しない(処分についての規定と混同しない)。
- 肢2:事務禁止処分や指示処分をしようとするときに登録知事と「あらかじめ協議」する規定はなく、処分後に通知する。
- 肢3:乙県知事が甲県知事免許業者に指示処分をした場合、甲県知事に通知され、甲県の業者名簿に指示の年月日・内容が登載されるため正しい(宅建業法第8条第2項第7号)。
- 肢4:指示処分は公報等による公告の対象ではない(業務停止処分や免許取消処分は公告が必要)。
- 選択肢 1不正解
- 指導・助言・勧告(宅建業法第71条)を行った場合に、国土交通大臣が都道府県知事に通知しなければならない旨の規定はありません。
- 選択肢 2不正解
- 他の都道府県知事登録の取引主任者に対して指示処分を行う場合、事前の協議は不要であり、処分を行った後に遅滞なく通知します。
- 選択肢 3正解
- 業務地の乙県知事が指示処分を行ったときは免許権者の甲県知事に通知され、甲県知事は業者名簿に処分内容等を登載するため正しいです。
- 選択肢 4不正解
- 指示処分は公報による公告の対象ではありません(公告が必要とされるのは業務停止処分および免許取消処分です)。
覚えるポイント
- 監督処分のうち「指示処分」は公告が不要ですが、業務停止処分と免許取消処分は公告が必要です。
間違えやすいところ
- 処分権限のある都道府県知事が他県の業者・主任者を処分する際、事前協議ではなく処分後の通知を行います。
出題の前提:宅地建物取引業法第8条第2項第7号、第65条、第69条、第70条
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.24 ↗(www.retio.or.jp)
住宅瑕疵担保履行法に基づく資力確保措置
住宅瑕疵担保履行法 · 住宅瑕疵担保履行法 / 資力確保措置 / 届出 / 対象範囲
特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結(以下この問において「資力確保措置」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
住宅瑕疵担保履行法では、新築住宅を宅建業者以外の買主に引き渡す自ら売主の宅建業者に対して、保証金供託または保険加入による資力確保措置および基準日ごとの届出を義務づけています。
解き方
- 資力確保措置の対象者(自ら売主となる宅建業者、買主は宅建業者以外)を確認する。
- 肢1:買主が宅建業者である場合、住宅瑕疵担保履行法の適用は除外されるため義務を負わない。
- 肢2:供託所の所在地等に関する書面交付・説明は「売買契約を締結するまで」に行う必要がある(引き渡しまでではない)。
- 肢3:売買の媒介を行う宅建業者には資力確保措置の義務はない。
- 肢4:基準日ごとに資力確保措置の状況を免許権者(大臣または知事)に届け出なければならないため正しい。
- 選択肢 1不正解
- 買主が宅建業者である場合は住宅瑕疵担保履行法の適用除外となり、資力確保措置を講ずる義務を負いません。
- 選択肢 2不正解
- 供託所の所在地等について記載した書面の交付及び説明は、売買契約を締結するまでに行わなければなりません(引渡しまでではありません)。
- 選択肢 3不正解
- 資力確保措置を講ずる義務を負うのは「自ら売主」となる宅建業者であり、売買の媒介業者は義務を負いません。
- 選択肢 4正解
- 新築住宅を宅建業者以外の買主に引き渡した宅建業者は、基準日ごとに資力確保措置の状況を免許権者に届け出なければならないため正しいです。
覚えるポイント
- 供託所の説明・書面交付は「契約締結前まで」、資力確保の届出は「基準日ごと」に行います。
間違えやすいところ
- 買主が宅建業者である場合や、自らが媒介業者に過ぎない場合は資力確保義務の対象外です。
出題の前提:特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律第11条、第12条、第15条
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.24 ↗(www.retio.or.jp)
住宅金融支援機構の業務(証券化支援事業・買取型)
免除科目(その他業務関連知識) · 住宅金融支援機構 / 証券化支援事業 / フラット35
独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)が行う証券化支援事業(買取型)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
住宅金融支援機構の証券化支援事業(買取型)は民間金融機関の長期固定金利住宅ローンの債権を買い取りMBSを発行する仕組みですが、貸付金利は各取扱金融機関が独自に定めます。
解き方
- 機構の証券化支援事業(買取型)の仕組みと対象を確認する。
- 肢1:購入対象には新築住宅だけでなく中古住宅の購入資金も含まれる(正しい)。
- 肢2:買い取り対象となる民間金融機関には銀行、信金、農協、保険会社等が含まれる(正しい)。
- 肢3:金利は全期間固定金利であるが、具体的な適用金利は各金融機関が個別に決定するため必ず同一になるわけではない(誤り)。
- 肢4:機構は買い取った住宅ローン債権を裏付け資産としてMBSを発行し市場から資金調達を行う(正しい)。
- 誤っている記述を求める設問であるため、肢3を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 中古住宅の購入資金のための貸付債権も証券化支援事業(買取型)の買取り対象に含まれるため記述は正しいです。
- 選択肢 2不正解
- 銀行、保険会社、農協、信用金庫、信用組合などの多様な民間金融機関が貸し付けた債権を買い取ることができるため記述は正しいです。
- 選択肢 3正解
- 貸出金利は各取扱金融機関が個別に定めているため、どの金融機関でも同一になるわけではなく本記述は誤り(正解)です。
- 選択肢 4不正解
- 買い取った住宅ローン債権を信託・担保としてMBSを発行し、債券市場の投資家から資金を調達しているため記述は正しいです。
覚えるポイント
- フラット35(買取型)の金利は全期間固定ですが、具体的な金利設定は取扱金融機関ごとに異なります。
間違えやすいところ
- 中古住宅の購入債権も機構の買取対象に含まれる点を見落とさないようにしましょう。
出題の前提:独立行政法人住宅金融支援機構法第13条第1項第1号
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.25 ↗(www.retio.or.jp)
不動産の表示に関する公正競争規約(広告規制)
免除科目(その他業務関連知識) · 景品表示法 / 不動産の表示に関する公正競争規約 / 表示基準
宅地建物取引業者が行う広告等に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
不動産の表示に関する公正競争規約では消費者の誤認を防ぐため各種の表示基準を設けていますが、マンションの傾斜地表示のように建物の専有利用に支障がない特定の例外が認められています。
解き方
- 不動産の表示に関する公正競争規約の表示基準を照合する。
- 肢1:路地状部分のみで道路に接する土地は、その割合が「30%以上」を占めるときに明示義務が生じる(50%以上ではない)。
- 肢2:商業施設等の表示には「現に利用できること」に加え、「道路距離」を明示しなければならない(徒歩時間は任意)。
- 肢3:傾斜地を含む土地は原則明示が必要だが、マンションについては明示が不要と規定されているため正しい。
- 肢4:温泉について加温・加水等を行っている場合は、その旨を明示しなければならない。
- 選択肢 1不正解
- 路地状部分の割合が当該土地面積の「30%以上」を占める場合に明示義務があるため、50%以上とする本記述は誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 商業施設を表示する場合、当該施設までの「道路距離」を明示しなければならず、徒歩所要時間のみで済ませることはできません。
- 選択肢 3正解
- 傾斜地を含む旨及びその割合・面積の明示義務について、マンションについては明示を要しないとされているため正しいです。
- 選択肢 4不正解
- 温泉について加温、加水、循環ろ過等を行っているときは、その旨を明記して表示しなければなりません。
覚えるポイント
- 路地状部分の敷地は「30%以上」で明示義務が発生します。
間違えやすいところ
- 商業施設の表示において必須なのは徒歩所要時間ではなく「道路距離」です。
出題の前提:不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)第13条、同施行規則
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.25 ↗(www.retio.or.jp)
宅地建物の需給・統計動向(平成22年版)
免除科目(その他業務関連知識) · 住宅着工統計 / 法人企業統計 / 地価公示 / 土地白書
宅地建物の統計等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
本試験年度(平成22年度)における各種公表統計(法人企業統計、住宅着工統計、土地白書、地価公示)の増減トレンドと主要な数値を把握しておく必要があります。
解き方
- 平成22年本試験時点での各種統計公表資料の動向を確認する。
- 肢1:平成20年度法人企業統計では、不動産業の経常利益は前年度比で減少(約37.1%減)しており「増加」ではない。
- 肢2:平成21年住宅着工統計において、分譲住宅は前年比43.7%減となり、マンション・一戸建ともに前年比で減少したため正しい。
- 肢3:平成22年版土地白書において、平成21年の売買による所有権移転登記件数は前年に比べ減少した。
- 肢4:平成22年地価公示において、下落率は三大都市圏の方が地方圏より大きく、また商業地の方が住宅地より下落率が大きかった。
- 選択肢 1不正解
- 平成20年度の不動産業経常利益は大幅に減少しており、2年連続の増加ではないため誤りです。
- 選択肢 2正解
- 平成21年の分譲住宅着工戸数は前年比43.7%減と大きく落ち込み、マンション・一戸建住宅ともに減少したため正しいです。
- 選択肢 3不正解
- 平成21年の土地取引件数(売買移転登記件数)は117.9万件であり、前年に比べて減少しているため誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 地価下落率は三大都市圏の方が地方圏より大きく、かつ全圏域で商業地の方が住宅地より下落率が大きかったため誤りです。
覚えるポイント
- 平成21年の住宅着工統計では、リーマンショックの影響等により分譲住宅着工戸数が40%を超える大幅減少を記録しました。
間違えやすいところ
- 地価公示の変動傾向で、下落局面では大都市圏・商業地の方が下落率が大きくなりやすい傾向があります。
出題の前提:国土交通省 平成21年住宅着工統計、平成22年地価公示、平成22年版土地白書
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.26 ↗(www.retio.or.jp)
土地の地形的特徴と各種自然災害への安全性
その他関連知識(免除科目等) · 土地の形質 / 地すべり地形 / 扇状地 / 土石流 / 断層地形
土地に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
地形の成り立ちとその地形における災害リスクの関係を把握することが基本です。特に扇状地は、山間部から流出した土砂や礫が谷出口に堆積してできた地形であるため、地盤自体は砂礫質で締まっている反面、土石流や氾濫などの土砂災害の危険性が高い地域となります。
解き方
- 各選択肢に記載されている地形(地すべり地、扇状地、土石流発生地、断層地形)の特徴と災害リスクを確認する。
- 扇状地について、地盤の性状(砂礫質で締まっている)および土砂災害リスク(谷出口のため土石流被害を受けやすい)の記述が妥当か検証し、誤りを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 地すべり地は緩斜面や馬蹄形の窪地など独特の地すべり地形を形成し、地下水が豊富で傾斜が緩やかな段々になっていることから、古くから棚田などの水田として利用されてきた歴史があります。
- 選択肢 2正解
- 扇状地は砂礫が堆積して形成されたため地盤自体は比較的良好ですが、山地の谷出口に位置するため豪雨時には上流からの土石流や鉄砲水の直撃を受けやすく、土石流災害に対して安全とは言えません。
- 選択肢 3不正解
- 土石流は、山地流域内で集中豪雨等によって発生した斜面崩壊による土砂・岩石が水と一体となって一気に流れ下る現象であるため、斜面崩壊危険箇所が多い場所で起こりやすいです。
- 選択肢 4不正解
- 断層運動によって生じた断層地形では、破砕帯が侵食されて形成された直線状の谷や、断層崖などの地形の急変点が一直線上に連続して見られるという明確な特徴があります。
覚えるポイント
- 扇状地は砂礫質で地盤良好だが、谷出口のため土石流や氾濫の危険性が高い地形です。
- 地すべり地は緩傾斜地と豊富な水を利用して棚田(水田)として利用されることがあります。
間違えやすいところ
- 扇状地の「地盤は良好」と「水害・土石流リスクは高い」という二面性を混同しやすいので整理が必要です。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行法令・国土交通白書等の一般的な自然科学的知見に基づく。
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.26 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.27 ↗(www.retio.or.jp)
建築物の構造と材料(コンクリート・鉄筋・木材・集成材)の力学的特性
その他関連知識(免除科目等) · 建築物の構造と材料 / コンクリートの強度 / 鉄筋コンクリート造 / 木材の含水率 / 集成材
建築物の構造と材料に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
鉄筋コンクリート造は、圧縮に強いが引張りに弱い「コンクリート」と、引張りに強い「鉄筋」を組み合わせた構造です。両者の熱膨張係数がほぼ等しいため温度変化による剥離が生じにくく一体化して耐力を発揮します。また木材は乾燥するほど強度が増す特性があります。
解き方
- コンクリートの力学的特性(圧縮力・引張力の関係)を確認する。
- 鉄筋コンクリートが成立する前提条件(熱膨張率の一致)および木材・集成材の材料特性を順次照合し、誤っている肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 常温における鉄筋と普通コンクリートの熱膨張率は約1.0×10^-5/℃とほぼ等しいため、温度変化が生じても内部で破壊や剥離が起きにくく、一体となって力を伝達できます。
- 選択肢 2正解
- コンクリートは圧縮強度に比べて引張強度が著しく小さく、引張強度は圧縮強度の約10分の1程度にすぎません。したがって引張強度が圧縮強度より大きいとする記述は不適当です。
- 選択肢 3不正解
- 木材は繊維飽和点以下の領域において、含水率が低くなる(乾燥する)ほど強度が増し、含水率が高くなるほど強度は小さくなります。
- 選択肢 4不正解
- 集成材は、ひき板や小角材・単板などを繊維方向に平行にして積層接着したもので、所定の強度と形状を自由に得られるため、大スパンを要する大規模な木造建築物の構造部材として広く利用されています。
覚えるポイント
- コンクリートは「圧縮に強く、引張りに弱い(引張強度は圧縮強度の約1/10)」。
- 鉄筋とコンクリートの熱膨張率はほぼ等しい(RC造が成り立つ最重要理由)。
- 木材は乾燥するほど強度が高くなり、含水率が大きいほど強度は低下する。
間違えやすいところ
- コンクリートの「圧縮」と「引張り」の強度の高低を逆に取り違えないよう注意が必要です。
出題の前提:平成22年4月1日現在施行法令・日本建築学会標準仕様書等の建築構造力学の基礎知識に基づく。
出典:不動産適正取引推進機構『2010年10月 宅建士試験』
公式問題・正解番号表 p.26 ↗(www.retio.or.jp) / 公式問題・正解番号表 p.27 ↗(www.retio.or.jp)
2010年10月 宅建士試験
参照した公式資料
不動産適正取引推進機構が公開した2010年10月 宅建士試験の問題・解答資料です。
- 公式問題・正解番号表 ↗ — www.retio.or.jp(PDF・27ページ)

