日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務の概要
国民年金の受給資格期間および付加年金
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金の受給資格期間 / 付加年金 / 付加保険料
国民年金の制度に関する次の文章の空欄①~③に入る数値の組合せとして、最も適切なものはどれか。 「老齢基礎年金を受給するためには、原則として、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が( ① )年必要です。Aさんは、( ① )年の受給資格期間を満たしていますので、原則として65歳から老齢基礎年金を受給することができます。 Aさんは老後の年金収入を増やすために、所定の手続により、国民年金の定額保険料に加えて、月額( ② )円の付加保険料を納付することができます。仮に、Aさんが付加保険料を60月納付し、65歳から老齢基礎年金を受給する場合は、年額( ③ )円の付加年金を受給することができます」
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解答
1
解説
老齢基礎年金の受給資格期間は法改正により原則10年となっています。付加保険料は月額400円で、将来受け取る付加年金額は「200円×付加保険料納付済月数」で算出され、2年受給すれば納付額の元が取れる設計です。
解き方
- 老齢基礎年金の原則的な受給資格期間は10年(120月)であるため、①には10が入ります。
- 第1号被保険者が任意で上乗せできる付加保険料は月額400円であるため、②には400が入ります。
- 付加年金額の計算式は「200円×付加保険料納付済月数」であるため、200円×60月=12,000円となり、③には12,000が入ります。
- 選択肢 1正解
- ①が10年、②が400円、③が12,000円(200円×60月)となり、正しい組合せです。
- 選択肢 2不正解
- 付加保険料の月額は400円であり200円ではありません。また付加年金額は12,000円です。
- 選択肢 3不正解
- 老齢基礎年金の受給資格期間は原則10年であり25年ではありません。また付加年金額は12,000円です。
覚えるポイント
- 付加保険料は月額400円、付加年金額は「200円×納付月数」で計算します。
間違えやすいところ
- 付加保険料(400円)と年金額算出の乗数(200円)の数値を逆に覚えないように注意しましょう。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢基礎年金の年金額の計算式
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 年金額の計算 / 保険料全額免除期間
Aさん(1969年7月17日生まれ、保険料全額免除期間60月、納付済期間314月、今後の納付予定期間106月)が老齢基礎年金の受給を65歳から開始した場合の年金額の計算式として、最も適切なものはどれか。なお、老齢基礎年金の年金額は、2020年度価額に基づいて計算するものとする。
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解答
3
解説
老齢基礎年金の満額(2020年度は781,700円)に対する反映割合は、保険料納付済月数に加え、免除月数に国庫負担割合(2009年3月以前は全額免除で3分の1、2009年4月以後は2分の1)を乗じた月数を合算して480月で除して算出します。
解き方
- Aさんの納付済月数と納付予定月数を合算すると、314月+106月=420月となります。
- Aさんは1969年7月17日生まれであるため20歳到達は1989年7月であり、全額免除期間60月(5年間)は1994年6月まで(2009年3月以前)の期間に該当します。
- 2009年3月以前の全額免除期間に対する国庫負担割合は3分の1であるため、反映月数は「420月+60月×1/3」となります。
- 選択肢 1不正解
- 全額免除期間の月数が年金額の計算に反映されておらず不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 全額免除期間に乗じる割合が2分の1となるのは2009年4月以降の期間であり、1989年~1994年の免除期間には適用されません。
- 選択肢 3正解
- 納付月数420月に、2009年3月以前の全額免除期間60月に国庫負担割合1/3を乗じた月数を加算して480月で除す式となっており適切です。
覚えるポイント
- 全額免除期間の年金額への反映割合は、2009年3月以前は3分の1、2009年4月以後は2分の1です。
間違えやすいところ
- 全額免除期間の時期(2009年3月以前か2009年4月以後か)を確認せず、一律に2分の1として計算しないようにしましょう。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業主の老後資金準備制度(国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済)
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金基金 / 個人型確定拠出年金 / 中小企業退職金共済制度 / 小規模企業共済
老後の年金収入を増やす方法について、ファイナンシャル・プランナーがAさんに対して説明した次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
3
解説
中小企業退職金共済(中退共)は中小企業の事業主が「従業員」のために退職金を準備する共済制度であり、個人事業主自身のための共済制度は「小規模企業共済制度」です。
解き方
- 国民年金基金と付加年金(付加保険料)の併用は不可であるため、記述1は適切です。
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)は個人事業主も加入でき、自己責任の運用成績により受取総額が元本を下回るリスクがあるため、記述2は適切です。
- 個人事業主自身の廃業等に備える掛金月額1,000円~7万円の共済は「小規模企業共済」であり、中小企業退職金共済ではないため、記述3が不適切です。
- 選択肢 1不正解
- 国民年金基金と国民年金の付加保険料は重複して加入・納付することができないため、適切な説明です。
- 選択肢 2不正解
- iDeCoは加入者が自己の責任で運用指図を行うため、運用実績によって元本割れが生じる可能性があり、適切な説明です。
- 選択肢 3正解
- 中小企業退職金共済制度は従業員のための退職金共済制度です。個人事業主自身の廃業等に備える掛金月額1,000円~7万円の共済は「小規模企業共済制度」であるため不適切です。
覚えるポイント
- 中小企業退職金共済制度は「従業員のため」、小規模企業共済制度は「個人事業主や会社役員のため」の共済です。
間違えやすいところ
- 中小企業退職金共済(中退共)と小規模企業共済(掛金月額1,000円~7万円、全額小規模企業共済等掛金控除)を混同しないようにしましょう。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資指標(PBR・ROE・配当利回り)
金融資産運用 · PBR / PER / ROE / 配当利回り
株式の投資指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
1
解説
株式指標において、PER(株価収益率)=株価÷1株当たり純利益(EPS)であり、PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株当たり純資産(BPS)です。何を基準に株価を評価しているかの違いを把握することが大切です。
解き方
- 記述1の定義を確認すると、「株価が1株当たり当期純利益の何倍であるかを示す指標」と記載されており、これはPERの説明です。PBRは「1株当たり純資産の何倍か」を示す指標であるため、不適切です。
- 記述2のROE(自己資本利益率)は当期純利益÷自己資本×100であり、自己資本を効率的に活用しているかを示す指標であるため適切です。
- 記述3の配当利回りは1株当たり年間配当金÷株価×100であり、株価に対する配当金の割合を示す指標であるため適切です。
- 選択肢 1正解
- 株価が1株当たり当期純利益の何倍であるかを示す指標はPERであり、PBRは株価が1株当たり純資産の何倍であるかを示す指標であるため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- ROE(自己資本利益率)は自己資本に対する当期純利益の割合を示し、高いほど資本の効率的な活用がなされていると判断されるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 配当利回りは株価に対する1株当たり年間配当金の割合を示す指標であり、投資判断の際の留意点も含め適切です。
覚えるポイント
- PERは株価÷1株当たり当期純利益(収益性)、PBRは株価÷1株当たり純資産(解散価値・純資産水準)です。
間違えやすいところ
- PER(Price Earnings Ratio)とPBR(Price Book-value Ratio)の分母(純利益か純資産か)を取り違えないようにしましょう。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の権利付最終日・特定口座の源泉徴収・一般NISA
金融資産運用 · 権利付最終日 / 特定口座 / 一般NISA
株式の購入や制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
2
解説
上場株式等の譲渡所得等には20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税率が適用されます。権利確定日の2営業日前が権利付最終日となり、一般NISAの非課税期間は最長5年間です。
解き方
- 株の受渡日は約定日から起算して3営業日目(2営業日後)であるため、権利付最終日は決算期末の「2営業日前」です。2020年11月30日(月)の2営業日前は11月26日(木)であり、1は誤りです。
- 売買益は(4,500円-4,000円)×100株=50,000円です。特定口座(源泉徴収あり)では20.315%が源泉徴収されるため、2は適切です。
- 一般NISAの非課税投資枠は年間120万円ですが、非課税期間は最長「5年間」です(20年はつみたてNISA)。したがって3は誤りです。
- 選択肢 1不正解
- 2019年7月以降の株取引では受渡日が2営業日後となったため、権利付最終日は権利確定日の2営業日前(11月26日木曜日)となります。4営業日前ではありません。
- 選択肢 2正解
- 売買益50,000円に対して20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)が源泉徴収されるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 一般NISAの非課税期間は最長5年です。非課税期間が20年なのはつみたてNISAです。
覚えるポイント
- 株の権利付最終日は権利確定日の2営業日前です。一般NISAの非課税期間は最長5年間です。
間違えやすいところ
- 一般NISA(年120万円・5年間)とつみたてNISA(年40万円・20年間)の投資枠と非課税期間を混同しないようにしましょう。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
上場不動産投資信託(J-REIT)の特徴
金融資産運用 · J-REIT / 不動産投資信託 / 一般NISA
上場不動産投資信託(J-REIT)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
2
解説
J-REIT(不動産投資信託)は、多くの投資家から集めた資金でオフィスビル、商業施設、住宅、物流施設、ホテルなど多様な実物不動産を取得・運用し、その賃料収入や売買益等を分配する金融商品です。上場株式と同様に取引所で売買され、一般NISAの対象となりますが、分配金の最低額保証はありません。
解き方
- J-REITの投資対象はオフィスビルだけでなく、住宅・商業施設・物流施設・ホテルなど多岐にわたるため、記述1は誤りです。
- J-REITは上場株式等と同様に一般NISAの勘定で購入できるため、記述2は適切です。
- J-REITは元本や最低分配金が保証されている金融商品ではないため、記述3は誤りです。
- 選択肢 1不正解
- J-REITの投資対象はオフィスビルに限られず、商業施設、住宅、物流施設、ホテルなど幅広く存在します。
- 選択肢 2正解
- J-REITは金融商品取引所に上場されており、一般NISAを利用して非課税で買付け・保有することができます。
- 選択肢 3不正解
- J-REITの分配金は不動産の稼働状況や収益実績によって変動し、最低額の保証はありません。
覚えるポイント
- J-REITは一般NISAの対象であり、元本や分配金は保証されていません。
間違えやすいところ
- J-REITは元本・分配金ともに保証がない投資商品であることを忘れないようにしましょう。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
青色申告特別控除の要件と青色申告の特典
タックスプランニング · 青色申告特別控除 / e-Tax / 純損失の繰越控除
所得税における青色申告制度に関する以下の文章の空欄①~③に入る数値の組合せとして、最も適切なものはどれか。 ⅰ)「2019年分の所得税では、事業所得に係る取引を正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出することにより、事業所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最高( ① )万円を控除することができました。2020年分以後の所得税からは、従前の要件に加えて、e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存を行うことで、引き続き( ① )万円の青色申告特別控除の適用を受けることができます。従前の要件のみを満たす場合、控除額は( ② )万円に引き下げられます」 ⅱ)「青色申告者が受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除のほかに、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の( ③ )年間の繰越控除、純損失の繰戻還付、棚卸資産の評価について低価法を選択することができることなどが挙げられます」
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解答
2
解説
2020年分以降、複式簿記による青色申告特別控除の基準額は55万円となり、e-Taxによる申告または一定の電子帳簿保存を行うことで最高65万円の控除が受けられます。また、個人の青色申告者における純損失の繰越控除期間は3年間です。
解き方
- 2019年分まで最高65万円であった控除は、2020年分以降、e-Tax等を行えば引き続き65万円となるため、①は65です。
- 2020年分以降、e-Taxや電子帳簿保存を行わずに従前の要件のみを満たす場合の控除額は55万円となるため、②は55です。
- 所得税の青色申告における純損失の繰越控除が認められる年数は3年間であるため、③は3です。
- 選択肢 1不正解
- 従前要件のみの控除額は55万円であり、純損失の繰越控除期間は3年間であるため不適切です。
- 選択肢 2正解
- ①が65万円、②が55万円、③が3年間となり、すべての空欄が正しく埋まっています。
- 選択肢 3不正解
- 2019年分の最高控除額およびe-Tax適用後の最高控除額は65万円であり、①が誤りです。
覚えるポイント
- 青色申告特別控除は最高65万円(e-Tax等要件なしは55万円、簡易簿記等は10万円)です。個人の純損失繰越期間は3年間です。
間違えやすいところ
- 法人の欠損金繰越控除(最長10年)と個人の純損失繰越控除(3年間)を混同しないようにしましょう。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
青色事業専従者・公的年金等控除・損益通算の可否
タックスプランニング · 青色事業専従者給与 / 配偶者控除 / 公的年金等控除 / 損益通算
Aさんの2020年分の所得税の課税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
3
解説
上場株式等の譲渡損失は、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得とのみ損益通算が可能であり、事業所得や給与所得などの総合課税の所得とは損益通算できません。
解き方
- 青色事業専従者給与の支払を受ける者は、控除対象配偶者や扶養親族になれないため、記述1は適切です。
- 65歳未満の者の公的年金等控除額は最低60万円であるため、年金収入が50万円(60万円以下)のAさんは公的年金等に係る雑所得が0円となり、記述2は適切です。
- 上場株式等の譲渡損失は事業所得と損益通算できないため、記述3が不適切です。
- 選択肢 1不正解
- 青色事業専従者給与の支払を受ける配偶者は、配偶者控除や配偶者特別控除の対象外となるため適切な記述です。
- 選択肢 2不正解
- 65歳未満の場合、公的年金等控除額の最低額は60万円であり、収入金額50万円からは雑所得が算出されない(0円となる)ため適切です。
- 選択肢 3正解
- 上場株式等に係る譲渡損失の金額は、申告分離課税を選択した配当所得等とは通算できますが、総合課税である事業所得とは損益通算できません。
覚えるポイント
- 株式等の譲渡損失は、総合課税の所得(事業所得・給与所得など)とは損益通算できません。
間違えやすいところ
- 青色事業専従者給与をもらっている配偶者は、年間支払額にかかわらず配偶者控除を受けられない点に注意しましょう。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額の計算(個人事業主・年金受給者)
タックスプランニング · 総所得金額 / 公的年金等控除 / 損益通算の制限
個人事業主であるAさんの2020年分の収入等の資料に基づき、所得税における総所得金額として最も適切なものを1つ選びなさい。 <Aさんの2020年分の収入等に関する資料> (1)事業所得の金額:400万円(青色申告特別控除後) (2)特別支給の老齢厚生年金の年金額:50万円 (3)上場株式の譲渡損失の金額(証券会社を通じて譲渡):30万円 ※Aさんの年齢は63歳である。
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解答
1
解説
総所得金額とは、総合課税の対象となる各所得(利子・配当・不動産・事業・給与・譲渡・一時・雑)を合計し、損益通算した後の金額です。65歳未満の公的年金等に係る雑所得は最低控除額が60万円であるため、年金額が60万円以下の場合は0円となります。また、上場株式等の譲渡損失は申告分離課税であり、総合課税の所得とは損益通算できません。
解き方
- 63歳のAさんが受給する特別支給の老齢厚生年金50万円について、65歳未満の公的年金等控除額60万円を差し引き、公的年金等に係る雑所得が0円であることを確認します。
- 上場株式の譲渡損失30万円は申告分離課税の損失であり、事業所得などの総合課税の所得と損益通算できないことを確認します。
- 総合課税の対象となる事業所得400万円のみを合算し、総所得金額を400万円と算出します。
- 選択肢 1正解
- 公的年金等に係る雑所得が0円であり、上場株式の譲渡損失も損益通算できないため、総所得金額は事業所得の400万円となります。
- 選択肢 2不正解
- 公的年金等の雑所得や譲渡損失の控除計算を誤って計算した金額であり、不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 特別支給の老齢厚生年金50万円から公的年金等控除を差し引かずに事業所得に加算してしまっており、不適切です。
覚えるポイント
- 65歳未満の公的年金等控除額の最低保障額は60万円(収入60万円以下は雑所得ゼロ)。
- 上場株式等の譲渡損失は申告分離課税であり、総合課税グループの所得とは損益通算できない。
間違えやすいところ
- 公的年金等控除を考慮せずに年金収入額をそのまま事業所得に足してしまうミス。
- 上場株式等の譲渡損失を事業所得の黒字から差し引いてしまうミス。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく建築面積および延べ面積の最高限度の計算
不動産 · 建蔽率の緩和 / 容積率の制限 / 準防火地域
甲土地に耐火建築物を建築する場合の、①建蔽率の上限となる建築面積と、②容積率の上限となる延べ面積の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。 <甲土地の概要> ・敷地面積:400㎡ ・用途地域:第一種住居地域 ・指定建蔽率:60% ・指定容積率:300% ・防火規制:準防火地域 ・特定行政庁が指定する角地である。 ・前面道路:北側幅員8m(市道)、東側幅員6m(市道) ・前面道路幅員による容積率の制限:前面道路幅員×4/10
解答・解説を表示
解答
3
解説
建築面積の上限は敷地面積に適用建蔽率を、延べ面積の上限は敷地面積に適用容積率を乗じて算出します。建蔽率は「準防火地域内の耐火建築物等」で10%、「特定行政庁が指定する角地」で10%緩和され、両方に該当する場合は合算して20%緩和されます。容積率は、2つ以上の前面道路がある場合は広い方の幅員を採用し、道路幅員制限と指定容積率を比較して小さい方の数値を適用します。
解き方
- 建蔽率の適用値を求めます。指定建蔽率60%に対し、準防火地域内の耐火建築物(+10%)および特定行政庁指定の角地(+10%)が適用されるため、60%+10%+10%=80%となります。建築面積の上限は400㎡×80%=320㎡です。
- 容積率の適用値を求めます。2つの前面道路(8mと6m)のうち広い方の幅員8mを採用します。道路幅員制限は8m×4/10=320%です。指定容積率300%と比較し、厳しい(小さい)方である300%が適用されます。
- 延べ面積の上限を計算します。敷地面積400㎡×適用容積率300%=1,200㎡となります。
- ①建築面積320㎡、②延べ面積1,200㎡の組合せを選択します。
- 選択肢 1不正解
- 建蔽率の緩和を1つしか適用せず(70%)、容積率で指定容積率より大きい道路幅員制限(320%)を誤って採用しています。
- 選択肢 2不正解
- 延べ面積の計算は正しいですが、建築面積で準防火地域内の耐火建築物または角地指定のいずれかの緩和適用を見落としています。
- 選択肢 3正解
- 建蔽率は2つの緩和要件を満たし80%(320㎡)、容積率は小さい方の300%(1,200㎡)となり、正しい組合せです。
覚えるポイント
- 準防火地域内の耐火建築物(または準耐火建築物等)は建蔽率が10%緩和される。
- 特定行政庁が指定する角地は建蔽率が10%緩和される(ダブル適用時は計20%緩和)。
- 前面道路が2つ以上ある場合、広い方の幅員を用いて道路幅員制限を計算する。
間違えやすいところ
- 準防火地域内の耐火建築物に対する建蔽率緩和規定(2019年6月改正施行)を失念すること。
- 前面道路幅員制限と指定容積率を比較した際に、大きい方の数値を採用してしまうミス。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土地有効活用における建設協力金方式の特徴
不動産 · 土地有効活用 / 建設協力金方式 / 貸家建付地
土地の有効活用における建設協力金方式に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
3
解説
建設協力金方式とは、出店を希望するテナント企業から建設資金の全部または一部を「建設協力金」として無利息または低利で借り受け、土地所有者がテナントの仕様に合わせた建物を建設してテナントに賃貸する手法です。建物の所有権は土地所有者に帰属し、テナント料から協力金を返済していきます。建物を取り壊して更地返還するのは、借主が自ら建物を建築して所有する「定期借地権方式」等の特徴です。
解き方
- 建設協力金方式の仕組み(土地所有者が建物を建ててテナントに賃貸する方式)を確認します。
- 各選択肢を検討し、選択肢3の「借主が満了後に店舗を撤去し更地で返還する」という記述が定期借地権方式等の特徴であり、建設協力金方式の説明として不適切であることを判断します。
- 選択肢 1不正解
- 建設協力金方式の基本的な定義およびテナントの中途撤退リスクに関する説明として適切です。
- 選択肢 2不正解
- 土地所有者が自己名義で建物を建設して賃貸しているため、建物は貸家、土地は貸家建付地として相続税評価されます。
- 選択肢 3正解
- 建物は貸主(Aさん)の所有物であるため、借主が店舗を撤去して更地で返還する義務があるとする説明は誤りです。
覚えるポイント
- 建設協力金方式:建物の所有者は地主。テナントから資金を借りて建てて賃貸する。
- 事業用定期借地権方式:建物の所有者はテナント。期間満了時は更地で返還される。
間違えやすいところ
- 建設協力金方式と定期借地権方式の建物所有関係や契約終了時の原状回復内容を混同してしまうミス。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業用定期借地権等の法的要件と相続税評価
不動産 · 事業用定期借地権 / 公正証書 / 貸宅地の評価
事業用定期借地権方式に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
2
解説
事業用定期借地権等は、もっぱら事業の用に供する建物の所有を目的とし、存続期間を10年以上50年未満として設定する定期借地権です。契約締結は必ず公正証書によらなければなりません。事業用定期借地権が設定された土地は借主の利用権の制約を受けるため、相続税評価上は「貸宅地(定期借地権等の設定された底地)」として評価され、自用地評価額から借地権価額に相当する額が控除されるため相続税の軽減効果があります。
解き方
- 事業用定期借地権の定義(借主が建物を建設し、期間満了後は更地返還)と要式性(公正証書必須)を確認します。
- 相続税法における土地評価の原則(他人に賃貸して利用が制限されている土地は自用地ではなく貸宅地等として減額評価される)を適用し、選択肢2の記述が誤りであることを判断します。
- 選択肢 1不正解
- 事業用定期借地権方式の概要および更地返還等のメリットに関する記述として適切です。
- 選択肢 2正解
- 他人に土地を貸し付けているため自用地ではなく「貸宅地」として評価され、相続税評価額の軽減効果があるため誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 事業用定期借地権等は存続期間10年以上50年未満で設定され、公正証書によって契約を締結することが必須要件です。
覚えるポイント
- 事業用定期借地権の設定契約は必ず公正証書で行う必要がある。
- 他人に貸し付けている土地は「貸宅地」等として評価され、自用地評価額より低くなる。
間違えやすいところ
- 定期借地権だからといって更地で返還されるため自用地として評価されると誤認してしまうミス。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅取得等資金の贈与税の非課税特例の要件と効果
相続・事業承継 · 住宅取得等資金の非課税 / 贈与税の申告 / 合計所得金額要件
「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
1
解説
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例は、一定要件を満たす住宅の新築・取得・増改築のための資金について一定の限度額まで贈与税が非課税となる制度です。限度額を超える部分は暦年課税(基礎控除110万円および超過累進税率)または相続時精算課税を選択して適用します。「特別控除2,500万円、超過部分に一律20%」は相続時精算課税制度の仕組みです。また、特例の適用を受けるためには税額が0円であっても期限内申告が必要です。
解き方
- 住宅取得等資金の非課税特例の内容と、相続時精算課税制度の規定(2,500万円特別控除・超過分一律20%)の違いを把握します。
- 選択肢1の「2,500万円まで非課税・超過部分は一律20%」が相続時精算課税の内容と混同しているため不適切であると判断します。
- 選択肢2(合計所得金額2,000万円以下、床面積要件)および選択肢3(翌年2月1日から3月15日までの申告義務)が適切であることを確認します。
- 選択肢 1正解
- 「2,500万円まで控除、超過部分は一律20%課税」は相続時精算課税制度の規定であり、住宅取得等資金の非課税特例の説明として誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 受贈者の合計所得金額が2,000万円以下であること、家屋の登記簿床面積が50㎡以上240㎡以下であること等の要件を満たす必要があります。
- 選択肢 3不正解
- 非課税の適用を受けるためには、贈与税額が0円となる場合であっても、翌年2月1日から3月15日までに申告書等の提出が必要です。
覚えるポイント
- 住宅取得等資金の非課税特例は、納税額がゼロでも必ず期限内に贈与税の申告書を提出しなければならない。
- 「2,500万円まで特別控除、超える部分は一律20%」は相続時精算課税制度の枠組みである。
間違えやすいところ
- 住宅取得等資金の贈与税非課税特例と相続時精算課税制度の仕組みを混同してしまうミス。
- 税額がゼロになる場合に贈与税の申告が不要であると誤認してしまうミス。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度
相続・事業承継 · 教育資金の一括贈与 / 非課税限度額 / 管理契約の終了事由
「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
1
解説
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度は、受贈者(30歳未満)1人につき最高1,500万円まで贈与税が非課税となります。ただし、学校等以外の者(学習塾、水泳教室等)に直接支払われる費用については500万円が上限です。教育資金管理契約は、原則として受贈者が30歳に達した日に終了し、その際の使い残し(残額)がある場合は、その終了した年分の贈与税の課税価格に算入されます。贈与者の死亡によって直ちに契約が終了するわけではありません。
解き方
- 教育資金一括贈与の非課税限度額(全体で1,500万円、学校等以外は500万円)を確認し、選択肢1が適切であることを判断します。
- 契約終了の年齢要件(原則30歳到達時)を確認し、選択肢2の「22歳」が誤りであることを確認します。
- 贈与者死亡時の取り扱いを確認し、直ちに管理契約が終了して贈与税が課されるわけではないため選択肢3が不適切であることを確認します。
- 選択肢 1正解
- 非課税限度額は受贈者1人につき1,500万円、学校等以外の者に支払われる費用については500万円が限度となるため正しい記述です。
- 選択肢 2不正解
- 契約が終了する受贈者の年齢は原則として「30歳」に達した日であり、22歳到達年度の末日ではありません。
- 選択肢 3不正解
- 贈与者が死亡しても直ちに管理契約は終了しません(残額は一定の場合に相続税の課税対象となります)。
覚えるポイント
- 教育資金一括贈与の非課税限度額:受贈者1人につき1,500万円(学校等以外は500万円)。
- 受贈者の年齢制限:30歳未満が対象、原則30歳到達により契約終了。
間違えやすいところ
- 結婚・子育て資金の一括贈与(限度額1,000万円・50歳未満)の要件と混同してしまうミス。
- 贈与者死亡時に契約が終了して受贈者に贈与税が課税されると勘違いするミス。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
暦年課税における贈与税額の計算(特例税率)
相続・事業承継 · 暦年課税 / 特例贈与財産 / 贈与税の速算表
長男Cさんが暦年課税(各種非課税制度の適用はない)により、2020年中に父Aさんから現金800万円の贈与を受けた場合の贈与税額として、最も適切なものを1つ選びなさい。 <資料:贈与税の速算表(一部抜粋)> ・基礎控除後の課税価格:600万円超~1,000万円以下 特例贈与財産:税率30%、控除額90万円 一般贈与財産:税率40%、控除額125万円 ※贈与者Aさんは70歳、受贈者長男Cさんは42歳である。
解答・解説を表示
解答
1
解説
暦年課税では、1年間に受けた贈与財産の合計額から基礎控除額110万円を控除して課税価格を求めます。贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の子や孫(直系卑属)が父母や祖父母(直系尊属)から受けた贈与財産は「特例贈与財産」となり、一般贈与財産よりも低い特例税率が適用されます。贈与税額=(贈与税の課税価格)×特例税率-控除額で計算します。
解き方
- 受贈者(長男Cさん42歳)と贈与者(父Aさん70歳)の関係を確認し、直系尊属から20歳以上の直系卑属への贈与であるため「特例贈与財産」の速算表を適用すると判定します。
- 基礎控除後の課税価格を計算します:800万円 - 基礎控除110万円 = 690万円。
- 特例贈与財産の速算表(600万円超1,000万円以下:税率30%、控除額90万円)を適用して税額を算出します:690万円 × 30% - 90万円 = 207万円 - 90万円 = 117万円。
- 選択肢 1正解
- 特例贈与財産の税率を正しく適用して計算した税額(690万円×30%-90万円=117万円)です。
- 選択肢 2不正解
- 特例贈与財産ではなく「一般贈与財産」の速算表を適用して計算した場合の金額(690万円×40%-125万円=151万円)とは異なる誤った計算です。
- 選択肢 3不正解
- 「一般贈与財産」の税率(40%、控除額125万円)を誤って適用して計算した金額(690万円×40%-125万円=151万円)です。
覚えるポイント
- 贈与の年の1月1日現在で20歳以上(現行法では18歳以上)の直系卑属が直系尊属から贈与を受けた場合は「特例贈与財産」の税率が適用される。
- 暦年課税の基礎控除額は年110万円。
間違えやすいところ
- 一般贈与財産の速算表の税率を誤って適用して151万円と計算してしまうミス。
- 基礎控除110万円を引くのを忘れて800万円に直接速算表を適用してしまうミス。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2020年9月 3級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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