日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務の概要
健康保険の任意継続被保険者制度
社会保険・公的医療保険 · 任意継続被保険者 / 手続期限 / 加入可能期間 / 保険料負担
退職後の公的医療保険制度への加入方法の1つである健康保険の任意継続被保険者について、資格取得手続の期限、最長加入期間、および保険料の負担に関する記述として最も適切な組合せを選択しなさい。 「任意継続被保険者の資格取得の手続は、原則として退職日の翌日から( ① )以内に行う必要があります。なお、任意継続被保険者として健康保険に加入できる期間は、最長で( ② )です。また、任意継続被保険者として健康保険に加入する期間の保険料は( ③ )となります」
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解答
2
解説
健康保険の被保険者が退職後に任意継続被保険者となるには、資格喪失の前日まで継続して2カ月以上の被保険者期間が必要です。申出期限は資格喪失日から20日以内、加入期間は最長2年で、保険料は事業主負担がなくなるため全額自己負担となります。
解き方
- 資格取得の手続き期限が、原則として退職日の翌日(資格喪失日)から20日以内であることを確認します。
- 任意継続被保険者として加入可能な最長期間が2年間であることを確認します。
- 在職中は労使折半であった保険料が、退職後は全額自己負担となる規定を照らし合わせて適切な選択肢を判定します。
- 選択肢 1不正解
- 手続期限は原則として退職日の翌日から20日以内であり、保険料は事業主との折半ではなく全額自己負担となるため不適切です。
- 選択肢 2正解
- 手続期限は20日以内、加入可能期間は最長2年間、保険料は全額自己負担であるため、記述の組合せとして最も適切です。
- 選択肢 3不正解
- 手続期限は原則として20日以内であり、任意継続被保険者として加入できる期間は最長2年間であるため不適切です。
覚えるポイント
- 任意継続被保険者の申出期限は退職日の翌日から20日以内、期間は最長2年間、保険料は全額自己負担です。
間違えやすいところ
- 国民健康保険への加入届出手続(退職日の翌日から14日以内)と任意継続の届出期限(20日以内)を混同しないように注意しましょう。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険の給付(高年齢雇用継続給付・基本手当)
社会保険・雇用保険 · 雇用保険 / 高年齢雇用継続基本給付金 / 基本手当
定年退職または継続雇用制度を利用して勤務を継続する場合における雇用保険からの給付に関する説明として、最も適切なものを次のうちから1つ選びなさい。
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解答
3
解説
雇用保険の基本手当は倒産や解雇だけでなく定年退職等による離職でも受給要件を満たせば支給されます。一方、高年齢雇用継続基本給付金は60歳以降の賃金が60歳到達時の賃金月額の75%未満に低下したなどの一定要件を満たした場合に、各月に支払われた賃金額を基準として支給されます。
解き方
- 高年齢雇用継続基本給付金の支給要件(賃金低下率75%未満)および支給額の計算基準(支給対象月に支払われた賃金額)を確認します。
- 定年退職時の基本手当の受給要件(算定対象期間の被保険者期間、働く意思と能力)を確認し、受給可能であるかを判定します。
- 選択肢 1不正解
- 高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以後の賃金が60歳到達時の賃金月額と比較して75%未満に低下している等の要件を満たす必要があるため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 給付金の額は、60歳到達時の賃金月額ではなく「支給対象月に実際に支払われた賃金額」に所定の支給率を乗じて算出するため不適切です。
- 選択肢 3正解
- 定年退職による離職であっても、就職しようとする意思と能力があり求職の申込み等の所定手続を行うことで基本手当を受給できるため適切です。
覚えるポイント
- 高年齢雇用継続基本給付金は各月の賃金に支給率(最大15%)を乗じて計算され、60歳時点の賃金と比較して75%未満に低下した場合に支給されます。
間違えやすいところ
- 高年齢雇用継続基本給付金の計算対象を「60歳到達時の賃金月額」と誤認しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金の受給要件および加給年金・繰上げ
ライフプランニングと資金計画 · 特別支給の老齢厚生年金 / 加給年金 / 老齢基礎年金の繰上げ
設例のAさん(昭和30年10月11日生まれの男性、厚生年金被保険者期間450月)および妻Bさん(昭和32年4月22日生まれ)の公的年金に関するファイナンシャル・プランナーMさんの説明について、最も適切なものを1つ選びなさい。
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解答
3
解説
特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢は生年月日と性別により段階的に引き上げられており、加給年金は厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある受給権者に生計を維持されている65歳未満の配偶者等がいる場合に65歳到達時から加算されます。
解き方
- Aさんの生年月日(昭和30年10月11日生まれの男性)から特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢を確認すると、61歳ではなく62歳からとなります。
- 老齢基礎年金の繰上げ支給における減額率を確認すると、1カ月当たり0.7%(これは繰下げ増額率)ではなく0.5%となります。
- 被保険者期間が450月(20年以上)あり、65歳到達時に生計を維持している年下の妻Bさん(当時63歳で65歳未満)がいるため、妻が65歳になるまで加給年金額が加算されると判断します。
- 選択肢 1不正解
- 昭和30年10月11日生まれの男性に対する特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢は62歳からであるため誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 老齢基礎年金の繰上げ請求による年金額の減額率は、請求した月から65歳に達する月の前月までの月数1カ月当たり0.5%(2014年10月基準)であるため誤りです。
- 選択肢 3正解
- 厚生年金被保険者期間が20年以上あるAさんが65歳到達時に生計維持する65歳未満の配偶者(妻Bさん)がいるため、妻が65歳に達するまで老齢厚生年金に加給年金が加算されます。
覚えるポイント
- 加給年金は厚生年金被保険者期間20年(240月)以上が受給要件
- 繰上げ受給の減額率は1月当たり0.5%(本試験基準日当時)
間違えやすいところ
- 繰上げ受給の減額率(月0.5%)と繰下げ受給の増額率(月0.7%)を取り違えること
- 男性の生年月日ごとの特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢(昭和28〜29年度生まれは61歳、昭和30〜31年度生まれは62歳)を混同すること
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人向け国債の基本商品概要(満期・発行頻度・最低保証金利)
金融資産運用 · 個人向け国債 / 変動金利型10年満期 / 最低保証金利
個人向け国債の特徴に関する次の文章の空欄①~③に入る語句の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。 ⅰ)「個人向け国債には,固定金利型( ① )満期,固定金利型5年満期,変動金利型10年満期の3種類があります。いずれの個人向け国債も( ② )発行されており,適用利率は発行時や見直し時の基準金利を基に決定されます」 ⅱ)「Aさんが新規に発行された変動金利型10年満期を購入した場合,その適用利率は,半年ごとに見直され,基準金利に0.66を乗じて算出されます。ただし,最低金利が保証されており,適用利率は( ③ )を下回ることはありません」
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解答
2
解説
個人向け国債は個人を対象に発行される国債であり、「固定金利型3年」「固定金利型5年」「変動金利型10年」の3タイプが存在し、毎月発行され、年0.05%の最低金利保証が設けられています。
解き方
- 個人向け国債のラインナップを整理し、固定金利型は「3年満期」と「5年満期」であることから空欄①を「3年」と判定します。
- 個人向け国債の発行頻度を確認し、すべてのタイプが「毎月」発行されていることから空欄②を「毎月」と判定します。
- 変動10年および固定3年・5年を含め、個人向け国債には最低保証金利として年「0.05%」が設定されていることから空欄③を「0.05%」と特定し、該当する組合せを選択します。
- 選択肢 1不正解
- 固定金利型は2年ではなく3年満期であり、最低保証金利は0.10%ではなく0.05%であるため誤りです。
- 選択肢 2正解
- ①3年、②毎月、③0.05%の組合せは、個人向け国債の制度上の規定とすべて合致しており適切です。
- 選択肢 3不正解
- 個人向け国債の発行頻度は四半期ごとではなく毎月であり、最低保証金利は0.10%ではなく0.05%であるため誤りです。
覚えるポイント
- 個人向け国債は固定3年・固定5年・変動10年の3タイプ
- 個人向け国債は毎月発行で最低保証金利は年0.05%
間違えやすいところ
- 最低保証金利を0.05%ではなく0.10%と勘違いすること
- かつての発行頻度(年4回・四半期ごと)と現在の毎月発行を混同すること
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
社債投資の留意点と信用格付
金融資産運用 · 債券投資のリスク / 信用格付 / 利子の税金
社債X(国内大手企業発行、購入価格99.50円、表面利率0.5%、残存期間4年、格付A)を購入する場合の留意点に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
1
解説
債券の信用格付は債務不履行(デフォルト)リスクの程度を示す指標であり、一般にBBB格以上が「投資適格」、BB格以下が「投資不適格(投機的)」と区分されます。
解き方
- 信用格付の定義と「投資適格」の基準となる格付(BBB以上)を確認します。
- 社債の利子に対する源泉徴収課税ルールおよび市場金利変動に伴う途中売却リスクについて確認し、不適切な肢を特定します。
- 選択肢 1正解
- 信用格付において「投資適格」とされるのは一般にBBB(トリプルB)以上です。BB(ダブルB)以下は投機的格付(投資不適格)とみなされるため、本記述は不適切(正答)です。
- 選択肢 2不正解
- 特定公社債である社債の利子は、原則として利子支払時に20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収(特別徴収)されるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 固定利付債は市場金利が上昇すると債券価格が下落するため、途中売却した場合には売却価格が購入価格を下回り元本割れが生じる可能性があり、適切です。
覚えるポイント
- 投資適格債はBBB格以上、BB格以下は投機的格付(投資不適格)と区分されます。
間違えやすいところ
- BBB以上とBB以下が適格・不適格の境界線である点を、CCC以上と勘違いしないように注意が必要です。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
社債の最終利回りの計算
金融資産運用 · 債券利回り / 最終利回り / 単利計算
設例の社債X(額面100円当たり購入価格99.50円、表面利率0.5%、残存期間4年)を購入した場合の最終利回り(年率・単利)として、次のうちどれが適切か。なお、税金や手数料は考慮せず、%表示における小数点以下第3位を四捨五入すること。
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解答
3
解説
最終利回り(単利)は、債券を満期まで保有した場合の年換算の総合収益率を表し、「〔表面利率+(償還価格-購入価格)/残存年数〕/購入価格×100」で求められます。
解き方
- 1年あたりの償還差損益を計算します:(償還価格100円-購入価格99.50円) ÷ 残存期間4年 = 0.125円。
- 年間の総利得(表面利率+年換算償還差損益)を計算します:0.5円 + 0.125円 = 0.625円。
- 総利得を購入価格99.50円で除して100を乗じます:0.625 ÷ 99.50 × 100 ≒ 0.6281…%。
- 小数点以下第3位を四捨五入して0.63%を求めます。
- 選択肢 1不正解
- 0.38%は、償還差益(100-99.50)を引いてしまうなど誤った計算を行った場合の数値であり、不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 0.50%は償還差益を考慮せず表面利率のみを利回りとみなした数値であり、不適切です。
- 選択肢 3正解
- 最終利回りの公式に基づいて計算した結果、0.6281…%となり、小数点以下第3位を四捨五入すると0.63%になるため適切です。
覚えるポイント
- 利回り計算の分母は「額面(100円)」ではなく「購入価格」となります。
間違えやすいところ
- 分母を購入価格ではなく額面100円で除してしまう誤りや、残存年数での除算を忘れて計算する誤りに注意が必要です。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税における青色申告制度の要件と特典
タックスプランニング · 青色申告 / 青色申告特別控除 / 純損失の繰越控除
所得税の青色申告に関する次の文章の空欄①〜③に入る語句の組合せとして、最も適切なものはどれか。 ⅰ)不動産所得、事業所得または( ① )を生ずべき業務を行う者が一定の帳簿書類を備え付け、納税地の所轄税務署長に対して青色申告の承認申請を行い、その承認を受けた場合、青色申告書を提出することができる。 ⅱ)不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者が、その取引の内容を正規の簿記の原則により記帳し、それに基づいて作成した貸借対照表等を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出した場合の青色申告特別控除の控除額は、最高で( ② )である。 ⅲ)事業所得などに損失(赤字)の金額があり、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じた場合は、一定の要件を満たせば、その損失額を翌年以後( ③ )にわたって繰り越して、各年分の総所得金額等の計算上控除することができる。
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解答
1
解説
青色申告制度は、一定水準の記帳を行い帳簿書類を保存する納税者に対し、所得金額の計算等において税法上の各種特典(青色申告特別控除や損失の繰越控除など)を付与する制度です。
解き方
- 空欄①について、所得税法において青色申告が認められている業務・所得(不動産所得、事業所得、山林所得)を確認し、「山林所得」を特定します。
- 空欄②について、正規の簿記の原則に従い貸借対照表等を添付して期限内申告する場合の青色申告特別控除の最高限度額(65万円)を確認します。
- 空欄③について、損益通算後に残った純損失の金額を繰り越して各年分の総所得金額等から控除できる期間(3年間)を確認し、正しい組み合わせを選択します。
- 選択肢 1正解
- ①山林所得、②65万円、③3年間の組み合わせはいずれも法令の規定に合致しており、最も適切です。
- 選択肢 2不正解
- 正規の簿記の原則に基づく貸借対照表添付時の控除額は最高65万円であり、純損失の繰越期間は3年間であるため、55万円および5年間とする本選択肢は不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 青色申告が認められるのは不動産所得・事業所得・山林所得であり雑所得は対象外です。また純損失の繰越期間は3年間であるため、5年間とする本選択肢は不適切です。
覚えるポイント
- 青色申告の対象所得は「不動産所得」「事業所得」「山林所得」の3種類です。
- 青色申告特別控除は最高65万円(複式簿記・貸借対照表等添付・期限内申告)、簡易帳簿等の場合は10万円です。
- 個人の純損失の繰越控除期間は翌年以後3年間です。
間違えやすいところ
- 雑所得や給与所得には青色申告の適用が認められていない点に注意が必要です。
- 法人の青色申告における欠損金の繰越期間(原則9年または10年)と、個人の純損失の繰越期間(3年間)を混同しないようにしましょう。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の所得税法(第143条、第144条、旧第57条の2、第70条等)
出典:金融財政事情研究会『2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
青色事業専従者給与がある場合の所得控除の適用判定
タックスプランニング · 所得控除 / 基礎控除 / 配偶者控除 / 青色事業専従者給与 / 扶養控除 / 特定扶養親族
設例のAさんの平成26年分の所得税における所得控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 〈設例の家族情報〉 ・Aさん(52歳):個人事業主 ・妻Bさん(48歳):Aさんの青色事業専従者として、平成26年中に青色事業専従者給与84万円の支払を受けている。 ・長男Cさん(21歳):大学生。平成26年中にアルバイトにより給与収入50万円を得ている。 ※家族は同居・生計一であり、障害者等には該当しない。
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解答
2
解説
所得税法上、青色事業専従者として給与の支払を受ける者は、たとえ年間所得が控除対象配偶者の限度額以下であっても、配偶者控除や配偶者特別控除の対象外となります。
解き方
- 基礎控除について、納税者本人であるAさんは要件なく一律に適用(平成26年分当時は控除額38万円)を受けることができます。
- 配偶者控除について、妻Bさんは平成26年中に青色事業専従者給与84万円の支払を受けているため、税法上の「控除対象配偶者」に該当せず、配偶者控除は適用できません。
- 扶養控除について、長男Cさんは21歳(19歳以上23歳未満の特定扶養親族)であり、給与収入50万円から給与所得控除65万円を差し引いた合計所得金額が0円(38万円以下)であるため、特定扶養親族としての扶養控除(63万円)が適用できます。
- 選択肢 1不正解
- 基礎控除は所得要件なくすべての納税者に適用されるため、記述は適切です(当時の控除額は38万円)。
- 選択肢 2正解
- 青色事業専従者として給与の支払を受ける者は控除対象配偶者から除外されるため、配偶者控除の適用を受けることはできず、不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 長男Cさんは21歳で合計所得金額が38万円以下であるため特定扶養親族に該当し、扶養控除(63万円)の適用を受けられるため、記述は適切です。
覚えるポイント
- 青色事業専従者給与の支払を受ける親族は、配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除の対象にできません。
- 19歳以上23歳未満の扶養親族は「特定扶養親族」となり、控除額は63万円です。
間違えやすいところ
- 青色事業専従者給与が年間103万円以下であっても、配偶者控除等の二重控除は認められない点を見落としがちです。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の所得税法(第2条第1項第33号、第84条、第86条等)
出典:金融財政事情研究会『2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額の計算
タックスプランニング · 総所得金額 / 事業所得 / 一時所得 / 個人年金保険の解約返戻金
Aさんの平成26年分の収入等に関する資料(事業所得の金額600万円、契約から10年超経過した一時払変額個人年金保険の解約返戻金額800万円、正味払込保険料700万円)に基づき、Aさんの平成26年分の総所得金額として最も適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
2
解説
総所得金額は、事業所得などの各種所得金額と、一時所得の金額に2分の1を乗じた金額等を合算して計算します。保険差益による一時所得は、総収入金額から支出した金額を差し引き、さらに最高50万円の特別控除額を控除した後の金額の2分の1を総所得金額に算入します。
解き方
- 一時所得の金額を算出する:解約返戻金800万円-正味払込保険料700万円-特別控除額50万円=50万円。
- 総所得金額への算入額(2分の1)を求める:50万円×1/2=25万円。
- 事業所得と一時所得の算入額を合算して総所得金額を求める:600万円+25万円=625万円。
- 選択肢 1不正解
- 一時所得の金額(特別控除後)の2分の1である25万円が加算されていないため誤りです。
- 選択肢 2正解
- 事業所得600万円と、一時所得の金額50万円の2分の1である25万円を合算した625万円であり、正しいです。
- 選択肢 3不正解
- 解約返戻金と払込保険料の差額100万円をそのまま事業所得に加算しており、特別控除や2分の1基準が反映されていないため誤りです。
覚えるポイント
- 一時所得の総所得金額算入額は(収入-支出-特別控除50万円)×1/2で計算します。
間違えやすいところ
- 一時所得の特別控除額(最高50万円)の控除や、総所得金額に算入する際の2分の1掛けを忘れないように注意が必要です。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建ぺい率の定義と防火地域による緩和
不動産 · 建ぺい率 / 防火地域 / 耐火建築物 / 建ぺい率の緩和
甲土地上に賃貸アパートを建築する場合の法令上の規制に関する次の文章の空欄①~③に入る語句の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。 「建ぺい率は,建築物の( ① )の敷地面積に対する割合のことである。建ぺい率は,都市計画により上限が定められているが,所定の条件を満たすことにより,その上限が緩和されることがある。甲土地については,指定建ぺい率が60%の地域で,かつ,防火地域であるため,甲土地上に( ② )を建築する場合,建ぺい率の上限は緩和され,指定建ぺい率に( ③ )が加算される。」
解答・解説を表示
解答
1
解説
建ぺい率とは建築物の建築面積の敷地面積に対する割合です。防火地域内にある耐火建築物(指定建ぺい率が80%の地域を除く)については、都市計画で定められた指定建ぺい率に10%が加算される緩和措置が適用されます。
解き方
- 建ぺい率の定義を確認し、敷地面積に対する割合となる対象が「建築面積」であることを判断します(延べ面積は容積率)。
- 防火地域における緩和要件を確認し、対象建築物が「耐火建築物」であることを確認します。
- 指定建ぺい率60%の防火地域内で耐火建築物を建築する場合の加算数値が「10%」であることを確認し、適切な選択肢を選びます。
- 選択肢 1正解
- ①建築面積、②耐火建築物、③10%の組合せであり、建築基準法の規定に合致して最も適切です。
- 選択肢 2不正解
- 防火地域における建ぺい率緩和の対象は準耐火建築物ではなく耐火建築物であり、加算割合も20%ではなく10%であるため誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 建ぺい率の分子は延べ面積ではなく建築面積であり、加算される割合も20%ではなく10%であるため誤りです。
覚えるポイント
- 建ぺい率は「建築面積/敷地面積」、容積率は「延べ面積/敷地面積」です。
間違えやすいところ
- 建ぺい率(建築面積)と容積率(延べ面積)の定義の混同や、防火地域内の耐火建築物による緩和幅(10%)の誤記に注意しましょう。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
賃貸不動産の純利回り(NOI利回り)の計算
不動産 · 不動産投資の利回り / NOI利回り
設例の〈建築予定の賃貸アパートの概要〉(投資額5,000万円、年間賃料収入700万円、年間実質費用200万円)に基づいて賃貸アパートを建築・経営した場合の純利回り(NOI利回り)を算出する計算式として、最も適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
1
解説
不動産投資における純利回り(NOI利回り:Net Operating Income利回り)は、年間賃料収入から諸経費(年間実質費用)を差し引いた純収益(NOI)を総投資額で除して算出する指標です。
解き方
- 設例から年間賃料収入(700万円)、年間実質費用(200万円)、投資額(5,000万円)を整理する。
- 純利回り(NOI利回り)=(年間賃料収入-年間実質費用)÷ 投資額 × 100 の公式に各数値を当てはめて計算式を導く。
- 選択肢 1正解
- 純収益(年間賃料収入700万円-年間実質費用200万円)を投資額5,000万円で除して100を乗じる式であり、純利回り(NOI利回り)の計算式として正しいです。
- 選択肢 2不正解
- この計算式は年間賃料収入を投資額で直接除しており、諸経費を考慮しない表面利回り(単純利回り)の計算式であるため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 分母が投資額ではなく年間賃料収入となっており、投下資本に対する利回りの計算式として誤りです。
覚えるポイント
- 純利回り(NOI利回り)=(年間賃料収入-諸経費)÷ 投資額 × 100
- 表面利回り(単純利回り)= 年間賃料収入 ÷ 投資額 × 100
間違えやすいところ
- 諸経費を控除する純利回りと、控除しない表面利回りの違いを混同しないように注意する。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
賃貸アパート経営における留意点(宅建業法・借地借家法)
不動産 · 宅地建物取引業法 / 媒介報酬限度額 / 定期建物賃貸借契約
建築予定の賃貸アパートを経営する場合の留意点に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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解答
3
解説
不動産の賃貸経営では、自己所有物件を自ら賃貸する場合は宅地建物取引業法の「取引」に当たらず免許不要であること、媒介報酬には受領できる上限額があること、定期建物賃貸借契約では公正証書等の書面締結が必須であることなどの基本法令を正しく理解する必要があります。
解き方
- 自己所有物件の自ら貸借は宅建業法の免許が必要か否かを判断する(不要)。
- 宅地建物取引業者が受領できる貸借の媒介報酬の限度額(原則として合計1カ月分+消費税等)を確認する。
- 定期建物賃貸借契約の成立要件(公正証書による等書面による契約)を確認して正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 自ら所有する建物の賃貸(自ら貸借)は宅地建物取引業法の「取引」に該当しないため、宅地建物取引業の免許を取得する必要はありません。
- 選択肢 2不正解
- 宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介で受け取ることができる報酬額の上限は、依頼者の双方から受ける合計で借賃の1カ月分に相当する金額以内(消費税等別)です。
- 選択肢 3正解
- 借地借家法において、更新がない定期建物賃貸借契約を締結する場合は、公正証書による等書面によって契約を締結しなければならないと定められています。
覚えるポイント
- 自ら売買・交換は宅建業に該当するが、自ら貸借(賃貸)は宅建業に該当しないため免許不要。
- 定期建物賃貸借契約は公正証書等の書面での締結が必須(口頭での締結は不可)。
間違えやすいところ
- アパートオーナーによる自ら賃貸を宅建業が必要と誤認しやすい。
- 賃貸媒介報酬の上限(双方合計で賃料1カ月分以内)と売買仲介手数料の計算式を混同しないこと。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続時精算課税制度の選択と取扱い
相続・事業承継 · 相続時精算課税制度 / 贈与者ごとの選択 / 相続税の課税価格への加算
長男Cさんが父Aさんから受けた現金の贈与について相続時精算課税を選択した場合に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
相続時精算課税制度は受贈者(20歳以上の子・孫等)が贈与者(60歳以上の父母・祖父母)ごとに選択できる制度です。一度選択するとその贈与者からの贈与については以後暦年課税に戻ることはできませんが、別の贈与者についてはそれぞれ独立して暦年課税か相続時精算課税かを選択できます。
解き方
- 相続時精算課税の選択が「受贈者が贈与者ごとに選択できる」という原則を確認する。
- 父Aさんについて相続時精算課税を選択した場合でも、母Bさんからの贈与について要件(贈与者が60歳以上等)を満たせば相続時精算課税を選択可能であることを判断する。
- 選択肢 1不正解
- 特定の贈与者について相続時精算課税を選択すると、その年分以後にその贈与者から受ける贈与については暦年課税に変更(撤回)することはできません。したがって適切です。
- 選択肢 2正解
- 相続時精算課税は受贈者が贈与者ごとに選択できます。母Bさん(66歳)からの贈与についても要件を満たせば相続時精算課税を選択できるため、本記述は不適切であり、これが正解となります。
- 選択肢 3不正解
- 相続時精算課税を選択した受贈財産は、贈与者の相続開始時に、贈与時の価額で相続税の課税価格に加算されて精算されます。したがって適切です。
覚えるポイント
- 相続時精算課税は受贈者が贈与者ごとに選択可能で、一度選択した贈与者については暦年課税に戻せないこと。
間違えやすいところ
- 一人から選択したら他の贈与者からの贈与も同一の課税方式が強制されると誤認しやすい点に注意する。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続時精算課税における贈与税額の計算
相続・事業承継 · 相続時精算課税 / 特別控除額 / 税率
長男Cさんが、平成27年中にAさんから現金3,000万円の贈与を受け、この贈与について相続時精算課税を選択した場合の長男Cさんの平成27年分の贈与税額の計算式として、次のうちどれが最も適切か。なお、長男Cさんは、この贈与以外に過去および平成27年中に財産の贈与を受けていないものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
相続時精算課税を選択した場合、同一の贈与者からの贈与財産に対して累計2,500万円までの特別控除が適用されます。特別控除額を超えた部分の金額に対しては、一律20%の税率を乗じて贈与税額が計算されます。
解き方
- 贈与財産の価額(3,000万円)から相続時精算課税の特別控除額(2,500万円)を控除して課税価格を算出する:3,000万円-2,500万円=500万円。
- 課税価格(500万円)に一律税率20%を乗じて贈与税額を求める:500万円×20%=100万円。
- 選択肢 1不正解
- 相続時精算課税における特別控除後の税率は一律20%であり、10%ではありません。
- 選択肢 2正解
- 特別控除額は2,500万円、超過部分に対する税率は一律20%であるため、(3,000万円-2,500万円)×20%=100万円が正しい計算式です。
- 選択肢 3不正解
- 特別控除額は2,000万円ではなく2,500万円です(2,000万円は贈与税の配偶者控除の最高限度額など別の制度の数値)。
覚えるポイント
- 相続時精算課税の特別控除限度額は累計2,500万円、控除後の税率は一律20%。
間違えやすいところ
- 配偶者控除の2,000万円と混同したり、税率を10%と勘違いしたりしないように注意する。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
贈与税の暦年課税の基礎控除と申告期限
相続・事業承継 · 贈与税 / 暦年課税 / 基礎控除 / 申告期限
設例において、長女Dさんが父Aさんから現金500万円の贈与を受け、暦年課税を適用する場合に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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解答
3
解説
贈与税の暦年課税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に受贈者が受け取った財産の合計額に対して課税される仕組みです。基礎控除額は受贈者1人あたり年間110万円であり、贈与税の申告・納付期間は翌年2月1日から3月15日までと定められています。
解き方
- 暦年課税における基礎控除額の規定を確認し、受贈者1人あたり年間110万円であることを把握する。
- 複数の贈与者から財産を取得した場合でも、受贈者が取得した財産の価額を合算して基礎控除を1回控除するルールを適用する。
- 贈与税の申告期間が翌年2月1日から3月15日まで(所得税確定申告の開始日2月16日とは異なる)であることを確認して正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 暦年課税における贈与税の基礎控除額は、1年間に受贈者1人あたり「110万円」です。130万円ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 贈与税の基礎控除は受贈者ごとに適用されるため、同一年中に複数の贈与者から財産を取得した場合であっても、それらの価額を合算した総額から110万円を1回のみ控除します。贈与者ごとに控除することはできません。
- 選択肢 3正解
- 贈与税の申告書の提出期限は、原則として財産の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。
覚えるポイント
- 贈与税の暦年課税の基礎控除額は受贈者1人につき年間110万円であること。
- 贈与税の申告・納付期間は「翌年2月1日~3月15日」であり、所得税確定申告の「翌年2月16日~3月15日」と開始日が異なること。
間違えやすいところ
- 基礎控除が贈与者ごと(父から110万円、母から110万円)に控除できると誤解しやすい点。
- 所得税の確定申告期限(2月16日開始)と混同して、贈与税申告も2月16日開始と勘違いしやすい点。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2015年5月 3級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

