日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務の概要
老齢厚生年金の額の計算(報酬比例部分・経過的加算)
ライフプランニングと資金計画 · 老齢厚生年金 / 報酬比例部分 / 経過的加算
Aさん(1974年5月22日生まれ、49歳)が65歳から原則として受給できる老齢厚生年金の年金額(2023年度価額)を、設例の加入歴および資料の計算式に基づいて計算しなさい。なお、年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること。
解答・解説を表示
解答
175,512円
解説
老齢厚生年金の額は、厚生年金保険の加入期間および報酬額に基づいて算出される報酬比例部分と、20歳未満等の加入期間による基礎年金との差額を調整する経過的加算の合計で計算されます(受給資格期間20年未満のため加給年金は不加算)。
解き方
- 報酬比例部分の計算:2003年3月以前の期間(108月)のみであるため、200,000円×(7.125/1,000)×108月=153,900円を求めます。
- 経過的加算額の計算:厚生年金の全被保険者期間は108月、20歳到達(1994年5月)以降の被保険者期間は108月-13月(18歳到達の1993年4月〜1994年4月)=95月となります。1,657円×108月-795,000円×(95月/480)=178,956円-157,343.75円=21,612.25円となり、円未満を四捨五入して21,612円となります。
- 年金額の合算:報酬比例部分153,900円+経過的加算21,612円=175,512円(加給年金は厚生年金被保険者期間が240月未満のため加算なし)となります。
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覚えるポイント
- 経過的加算の引き算部分の月数は「20歳以上60歳未満」の厚生年金被保険者期間のみをカウントします。
間違えやすいところ
- 18歳から20歳未満の被保険者期間(13月)を経新的加算の定額部分(1,657円×月数)だけでなく控除部分の分子にも含めてしまうミスに注意が必要です。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金制度の老齢給付(付加年金・在職老齢年金・繰下げ支給)
ライフプランニングと資金計画 · 付加年金 / 在職老齢年金 / 年金の繰下げ支給
公的年金制度からの老齢給付に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① Aさんは、国民年金の定額保険料に上乗せして、付加保険料を納付することができます。仮に、Aさんが付加保険料を128月納付し、65歳から老齢基礎年金を受け取る場合、老齢基礎年金の額に付加年金として年額25,600円が上乗せされます。 ② Aさんが、65歳以後も引き続き個人事業主として働き、かつ、65歳から老齢厚生年金を受給する場合、Aさんの収入に応じて、老齢厚生年金の年金額の一部または全部が支給停止となる場合があります。 ③ Aさんが希望すれば、66歳以後、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができます。仮に、Aさんが70歳0カ月で老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、年金の増額率は42%となります。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
国民年金第1号被保険者は付加年金を利用でき、年金額は200円×納付月数で終身加算されます。在職老齢年金は厚生年金の被保険者である給与所得者に限られ、個人事業主の事業所得は支給停止の判定対象外です。また、繰下げ支給の増額率は月あたり0.7%となります。
解き方
- 記述①の確認:付加年金の受給額の算式「200円×付加保険料納付月数」に128月を代入し、年額25,600円が正しいか確認します。
- 記述②の確認:在職老齢年金による支給停止の対象者が「厚生年金保険の被保険者(会社員や役員等)」に限定されており、個人事業主の事業所得は対象外であることを判断します。
- 記述③の確認:繰下げ受給の増額率算式「0.7%×繰下げ月数」を用い、65歳から70歳0カ月までの60カ月繰下げによる増額率(0.7%×60=42%)を確認します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 付加年金の年額は「200円×付加保険料納付済月数」で算出されるため、200円×128月=25,600円となり適切です。
- 小問 ②:×
- 在職老齢年金制度は厚生年金保険の被保険者として勤務する場合に適用されるため、個人事業主(国民年金第1号被保険者)の事業収入によって老齢厚生年金が支給停止となることはありません。
- 小問 ③:○
- 繰下げ増額率は月あたり0.7%です。70歳0カ月での繰下げは60カ月の繰下げとなるため、0.7%×60カ月=42%となり適切です。
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覚えるポイント
- 付加年金の年額は「200円×納付月数」、保険料は月額400円であり、2年受給すれば納付額の元が取れます。
間違えやすいところ
- 個人事業主として多額の事業所得がある場合でも、厚生年金保険の適用事業所の被用者でない限り在職老齢年金による支給停止は生じない点を見落とさないようにします。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
国民年金基金および小規模企業共済制度の仕組み
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金基金 / 小規模企業共済
Mさんが個人事業主のAさんに対して説明した国民年金基金および小規模企業共済制度に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を、〈数値群〉の中から選びなさい。 Ⅰ「国民年金基金は、老齢基礎年金に上乗せする年金を支給する任意加入の年金制度です。国民年金基金への加入は口数制となっており、1口目は、( ① )年間の保証期間のある終身年金A型、保証期間のない終身年金B型の2種類のなかから選択します。2口目以降は、終身年金のA型、B型および確定年金のⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅴ型の7種類から選択することができます。国民年金基金の老齢年金は、終身年金(A型、B型)の場合、原則( ② )歳から支給が開始されます。国民年金基金に拠出することができる掛金の限度額は、原則として、月額( ③ )円となります。なお、国民年金基金の1口目の給付には、国民年金の付加年金相当が含まれているため、Aさんが国民年金基金に加入した場合、国民年金の付加保険料を納付することはできません」 Ⅱ「小規模企業共済制度は、個人事業主が廃業等した場合に必要となる資金を準備しておくための共済制度です。毎月の掛金は、1,000円から( ④ )円の範囲内で、500円単位で選択することができます。共済金(死亡事由以外)の受取方法には『一括受取り』『分割受取り』『一括受取りと分割受取りの併用』があります。このうち、『一括受取り』の共済金(死亡事由以外)は、税法上、退職所得として課税の対象となります」 〈数値群〉 イ.5 ロ.10 ハ.15 ニ.55 ホ.60 ヘ.65 ト.12,000 チ.23,000 リ.55,000 ヌ.68,000 ル.70,000
- イ
- 5
- ロ
- 10
- ハ
- 15
- ニ
- 55
- ホ
- 60
- ヘ
- 65
- ト
- 12,000
- チ
- 23,000
- リ
- 55,000
- ヌ
- 68,000
- ル
- 70,000
解答・解説を表示
解答
① ハ ② ヘ ③ ヌ ④ ル
解説
第1号被保険者等の老後資金準備手段として、国民年金基金(終身年金ベース、月額上限68,000円)および小規模企業共済(退職金積立、月額上限70,000円)の制度規定・掛金限度額を正しく整理して押さえる必要があります。
解き方
- 国民年金基金の基本設計(1口目は15年保証付終身A型か保証無終身B型、受給開始65歳、月額上限68,000円)に合致する数値を選択肢群から抽出します。
- 小規模企業共済の掛金範囲(月額1,000円~70,000円、500円単位)に該当する数値を選択肢群から抽出して各空欄に対応させます。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 国民年金基金の1口目は終身年金A型(15年保証期間付)または終身年金B型(保証期間なし)から選択するため、①には15年を示す「ハ」が入ります。
- 小問 ②:ヘ
- 国民年金基金の終身年金(A型・B型)の受給開始年齢は原則として65歳からであるため、②には「ヘ」が入ります。
- 小問 ③:ヌ
- 国民年金基金の掛金限度額は月額68,000円(個人型確定拠出年金と合算枠)であるため、③には「ヌ」が入ります。
- 小問 ④:ル
- 小規模企業共済の掛金月額は1,000円から70,000円までの範囲内(500円単位)で選択できるため、④には「ル」が入ります。
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覚えるポイント
- 国民年金基金の上限は月額68,000円、小規模企業共済の上限は月額70,000円です。
間違えやすいところ
- 国民年金基金の掛金上限(68,000円)と小規模企業共済の上限(70,000円)を取り違えないように注意が必要です。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の公的年金制度および小規模企業共済法に基づく規定。
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
火災保険の一般的な商品内容と構造級別・補償範囲
リスク管理 · 火災保険 / 再調達価額 / 構造級別 / 水災補償 / 保険期間
Mさんは、Aさんに対して、火災保険の一般的な商品内容等について説明した。Mさんが説明した次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ①「住宅建物を対象とする火災保険は、一般に、建物を再調達価額により評価し、保険金額を設定します。再調達価額とは、火災保険の対象となる建物と同等のものを再築または再購入するために必要な額のことです」 ②「火災保険の対象となる住宅建物は、その構造により、M構造、T構造、H構造に区分され、構造級別による保険料率は、M構造が最も高くなります」 ③「豪雨による洪水、高潮等によって床上浸水が発生し、建物や家財が損害を受けた場合は水災として火災保険の補償の対象となります。都市部であっても、豪雨により下水があふれたり、土砂崩れが局地的に発生したりすることも考えられますので、水災による損害に備えることも検討してください」 ④「火災保険の保険期間は、1年単位で10年まで選択することができ、長期契約の保険料を一括払いした場合には、所定の割引率が適用されます」
- ①
- 住宅建物の再調達価額による保険金額設定の説明
- ②
- 構造級別(M構造・T構造・H構造)と保険料率の大小関係
- ③
- 豪雨等による床上浸水・都市型水害と水災補償の適用対象
- ④
- 火災保険の最長保険期間(10年)と長期一括払割引
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○ ④ ×
解説
住宅火災保険では、再調達価額評価が主流であること、構造級別は耐火性能が高いほど(M構造<T構造<H構造の順に)保険料率が低くなること、そして自然災害の増加に伴い最長保険期間が5年に改定されたことを正しく理解する必要があります。
解き方
- 火災保険の評価基準(再調達価額基準)と水災補償の範囲(洪水・土砂崩れ・床上浸水等)が合致しているか判定します。
- 構造級別の危険度と料率の大小関係(M構造が最も低い)を確認し、誤りを指摘します。
- 火災保険の最長契約可能期間の改定動向(2022年10月以降は最長5年)を確認し、誤りを指摘します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 現在の火災保険では同等の建物を再築・再購入するために必要な額である再調達価額(新価)を基準に保険金額を設定するのが一般的であり、適切です。
- 小問 ②:×
- 住宅物件の構造級別は燃えにくさに応じてM構造(マンション等)、T構造(耐火・準耐火建物等)、H構造(非耐火木造建物等)となっており、最も耐火性能が低く危険度が高いH構造の保険料率が最も高く、M構造は最も低くなります。
- 小問 ③:○
- 豪雨による洪水や内水氾濫(下水があふれる浸水)、土砂崩れ等による床上浸水被害は火災保険の水災補償の対象となるため、適切です。
- 小問 ④:×
- 2022年10月の改定により、火災保険の最長保険期間は10年から「5年」へと短縮されたため、「10年まで選択できる」とする記述は不適切です。
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覚えるポイント
- 火災保険の構造区分料率はM構造が最も安く、H構造が最も高いです。また最長期間は5年です。
間違えやすいところ
- 火災保険の長期契約期間は以前10年でしたが、2022年10月に最長5年へ短縮された点を見落としやすいです。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令および損保各社の火災保険標準商品改定内容。
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地震保険の保険金額・割引制度・損害区分と保険金支払割合
損害保険 · 地震保険の限度額 / 地震保険の割引制度 / 地震保険の損害区分
ファイナンシャル・プランナーのMさんがAさんに対して説明した、地震保険の一般的な商品内容等に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 Ⅰ 「地震保険は、火災保険に付帯して加入します。地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内で設定しますが、建物は( ① )、家財は1,000万円が上限となります」 Ⅱ 「地震保険の保険料には、『建築年割引』『耐震等級割引』『免震建築物割引』『耐震診断割引』の4種類の割引制度が設けられており、割引率は、『耐震等級割引(耐震等級3)』および『( ② )』の50%が最高です。なお、それぞれの割引制度の重複適用はできません」 Ⅲ 「地震保険は、損害の程度により、保険金額の一定割合が支払われます。損害の程度が全損に該当した場合は保険金額の100%、大半損に該当した場合は保険金額の( ③ )、小半損に該当した場合は保険金額の30%、一部損に該当した場合は保険金額の5%が支払われます」
- イ
- 2,000万円
- ロ
- 3,000万円
- ハ
- 5,000万円
- ニ
- 建築年割引
- ホ
- 免震建築物割引
- ヘ
- 耐震診断割引
- ト
- 50%
- チ
- 60%
- リ
- 70%
解答・解説を表示
解答
① ハ ② ホ ③ チ
解説
地震保険は「地震保険に関する法律」に基づき政府と損保会社が共同運営する公的性質の強い保険です。保険金額には上限が設けられており、損害区分(全損・大半損・小半損・一部損)に応じて定額割合の保険金が支払われます。
解き方
- 文章Ⅰについて、地震保険の引受限度額(建物5,000万円、家財1,000万円)を確認し、①に「ハ」を当てはめます。
- 文章Ⅱについて、4つの割引制度(建築年10%、耐震診断10%、耐震等級10%〜50%、免震建築物50%)のうち50%割引が適用されるものを特定し、②に「ホ」を当てはめます。
- 文章Ⅲについて、4区分の支払割合(全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%)を確認し、③に「チ」を当てはめます。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 地震保険の保険金額は主契約である火災保険の30%~50%の範囲内で設定され、限度額は建物が5,000万円、家財が1,000万円です。
- 小問 ②:ホ
- 地震保険の割引制度における割引率は、免震建築物割引と耐震等級割引(耐震等級3)が最高水準である50%です。
- 小問 ③:チ
- 地震保険の損害認定区分と保険金の支払割合は、全損が100%、大半損が60%、小半損が30%、一部損が5%となっています。
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覚えるポイント
- 地震保険の限度額は建物5,000万円・家財1,000万円(火災保険金額の30%〜50%の範囲内)。
- 地震保険の支払割合は全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%の4区分。
間違えやすいところ
- 免震建築物割引(50%)と耐震診断割引(10%)の割引率を取り違えないこと。
- 大半損の支払割合を50%と勘違いしやすいので、小半損(30%)・大半損(60%)の数値を正確に覚えること。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
火災保険・地震保険の課税関係(雑損控除・保険金・保険料控除)
損害保険 · 雑損控除の繰越期間 / 損害保険金の非課税 / 地震保険料控除の一括払
ファイナンシャル・プランナーのMさんがAさんに対して説明した、火災保険および地震保険に係る課税関係に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① 「Aさんの自宅が火災により損害を受けた場合、雑損控除の適用を受けることができます。雑損控除の控除額を、その年分の総所得金額等から控除しきれない場合は、その控除しきれない金額を翌年以後5年間繰り越して、各年分の総所得金額等から控除することができます」 ② 「Aさんの自宅が火災により損害を受け、Aさんが火災保険金を受け取った場合、当該保険金は非課税となります」 ③ 「Aさんが複数年分の地震保険料を一括で支払った場合、その全額が支払った年の地震保険料控除の対象となり、翌年以降の地震保険料控除の対象とすることはできません」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
所得税法上、災害による住宅・家財の損害は雑損控除の対象となり、雑損失の繰越期間は最長3年です。また、損害保険金(実損補てん)は非課税となり、複数年分の地震保険料を一括前納した場合は年数で按分して毎年の控除対象とします。
解き方
- 記述①について、所得税法における雑損失の繰越控除期間が「3年」であることを確認し、5年としている本肢を不適切(×)と判定します。
- 記述②について、個人が受領する生活用資産に対する損害保険金が非課税所得に該当することを確認し、適切(○)と判定します。
- 記述③について、複数年分の地震保険料を一括払いした場合、保険期間で按分して毎年の控除対象となるルールを確認し、全額が支払年の対象とする本肢を不適切(×)と判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 雑損控除の金額をその年の総所得金額等から控除しきれない場合、その控除しきれない金額(雑損失)を翌年以後「3年間」繰り越して控除することができます。5年間ではありません。
- 小問 ②:○
- 個人が受け取る火災保険金等の損害保険金は、突発的な事故や災害による損害を埋め合わせる性格のものであるため、非課税所得とされています。
- 小問 ③:×
- 長期契約等で複数年分の地震保険料を一括して支払った場合、その総額を保険期間の年数で按分した額が各年分の地震保険料控除の対象となります。
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覚えるポイント
- 雑損控除の控除しきれない損失額(雑損失)の繰越控除期間は翌年以後3年間。
- 個人が受け取る損害賠償金や損害補てんのための保険金(火災・自動車事故等)は非課税。
- 地震保険料の一括払(長期契約)は、一括支払額を保険期間で均等按分して毎年の控除額とする。
間違えやすいところ
- 青色申告の純損失の繰越期間(3年間)と同様に雑損失も3年間ですが、5年間と混同しないこと。
- 地震保険料控除において、支払った年に全額控除できると誤認しないこと。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金の退職所得控除額および退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の計算 / 役員退職金
X社が創業社長であるAさんに役員退職金4,000万円を支給した場合におけるAさんの役員退職金について、①退職所得控除額、②退職所得の金額を万円単位で求めなさい。なお、Aさんの役員在任期間(勤続年数)は29年6カ月とし、これ以外に退職手当等の収入はなく、障害者になったことが退職の直接の原因ではないものとする。
解答・解説を表示
解答
① 1,500(万円) ② 1,250(万円)
解説
退職所得の計算では、勤続年数に1年未満の端数がある場合は切り上げて計算し、20年超の期間については1年あたり70万円を加算して控除額を求めます。役員等勤続年数が5年超であれば2分の1課税が適用されます。
解き方
- 勤続年数の月数を判定し、29年6カ月の端数を切り上げて勤続年数を30年とする。
- 勤続年数20年超の算式「800万円+70万円×(30年-20年)」に当てはめて退職所得控除額1,500万円を算出する。
- 役員等勤続年数が5年超であるため、退職金4,000万円から控除額1,500万円を差し引き、2分の1を乗じて退職所得の金額1,250万円を算出する。
答えの内訳
- ①:1,500(万円)
- 勤続年数は29年6カ月であり、1年未満の端数は切り上げて30年として計算します。勤続年数20年超の退職所得控除額の計算式は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」であるため、800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円となります。
- ②:1,250(万円)
- 役員等としての勤続年数が5年を超える場合の一般の退職所得の計算式は「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」です。したがって、(4,000万円-1,500万円)×1/2=1,250万円となります。
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覚えるポイント
- 勤続年数の端数は月数単位で切り上げて年数に換算する。
- 役員等勤続年数が5年以下の場合は2分の1計算の適用対象外となる点に留意する。
間違えやすいところ
- 勤続年数の端数6カ月を切り捨てて29年として計算してしまう誤り。
- 特定役員退職手当等(役員勤続5年以下)の特例と混同して2分の1を掛け忘れてしまう誤り。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
労働災害総合保険の補償内容と契約実務
リスク管理 · 労働災害総合保険 / 法定外補償保険 / 使用者賠償責任保険 / 保険料精算
X社が加入を検討している労働災害総合保険の商品内容等に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ①「労働災害総合保険は、労働者災害補償保険(政府労災保険)の上乗せ補償を目的とした『法定外補償保険』と、従業員の仕事の遂行が原因となり、第三者に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負うことによる損害を補償する『使用者賠償責任保険』の2つの補償から構成されています」 ②「労働災害総合保険は、『法定外補償保険』と『使用者賠償責任保険』の両方に加入しなければならず、いずれか一方のみに加入することはできません」 ③「労働災害総合保険における労働災害の認定や後遺障害の等級は、労働者災害補償保険(政府労災保険)の認定に従うことになります」 ④「労働災害総合保険では、一般に、契約時に平均被用者数や賃金総額の見込額に基づき算出された暫定保険料を支払い、保険期間終了後に実際の数値に基づき算出された確定保険料と暫定保険料との差額を精算します」
- ①
- 「労働災害総合保険は、労働者災害補償保険(政府労災保険)の上乗せ補償を目的とした『法定外補償保険』と、従業員の仕事の遂行が原因となり、第三者に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負うことによる損害を補償する『使用者賠償責任保険』の2つの補償から構成されています」
- ②
- 「労働災害総合保険は、『法定外補償保険』と『使用者賠償責任保険』の両方に加入しなければならず、いずれか一方のみに加入することはできません」
- ③
- 「労働災害総合保険における労働災害の認定や後遺障害の等級は、労働者災害補償保険(政府労災保険)の認定に従うことになります」
- ④
- 「労働災害総合保険では、一般に、契約時に平均被用者数や賃金総額の見込額に基づき算出された暫定保険料を支払い、保険期間終了後に実際の数値に基づき算出された確定保険料と暫定保険料との差額を精算します」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○ ④ ○
解説
労働災害総合保険は、従業員の業務上の災害に関して企業が負う補償や賠償をカバーする保険です。国の労働者災害補償保険(政府労災)への上乗せとして機能し、認定基準も政府労災に準拠します。
解き方
- 各記述の対象となる補償内容(被災従業員に対する賠償か第三者に対する賠償か)を確認する。
- 保険の加入方式(単独加入の可否)および政府労災との連動関係、保険料精算方式のルールと照合して正誤を判定する。
- 選択肢 ①不正解
- 使用者賠償責任保険は被災した従業員またはその遺族に対する損害賠償責任を担保するものであり、「第三者に損害を与え」とする点が誤りです。
- 選択肢 ②不正解
- 法定外補償保険といずれか一方のみに加入することも可能であるため、「両方に加入しなければならず」とする点が誤りです。
- 選択肢 ③正解
- 労働災害の認定や後遺障害等級は政府労災保険の認定に従って行われるため正しい記述です。
- 選択肢 ④正解
- 見込額で暫定保険料を払い込み、保険期間終了後に確定数値に基づいて過不足を精算するため正しい記述です。
答えの内訳
- ①:×
- 使用者賠償責任保険は、業務上の事故により被災した従業員やその遺族に対して事業主が負う法律上の損害賠償責任を補償するものであり、第三者に対する損害賠償責任を補償するものではないため不適切です。
- ②:×
- 労働災害総合保険は、法定外補償保険と使用者賠償責任保険の両方に加入することも、ニーズに応じていずれか一方のみに単独で加入することも可能であるため不適切です。
- ③:○
- 労働災害総合保険における労災事故の認定や後遺障害の等級等は、原則として政府の労働者災害補償保険(政府労災)の給付決定および認定に従うため適切です。
- ④:○
- 保険期間中の従業員数や賃金総額の変動に対応するため、契約開始時に見込額に基づく暫定保険料を支払い、満了後に実績値に基づく確定保険料と精算する方式が一般的であるため適切です。
覚えるポイント
- 使用者賠償責任保険は「従業員(被災者)」に対する企業の賠償責任を補償する。
- 労働災害総合保険は政府労災の認定結果に連動する。
間違えやすいところ
- 使用者賠償責任保険を、第三者への対人・対物賠償責任を補償する賠償責任保険(施設所有管理者賠償責任保険等)と混同すること。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令・保険実務基準に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
企業の各種賠償責任保険および費用・利益補償
損害保険 · 生産物賠償責任保険 / 企業費用・利益総合保険 / サイバー保険
食品加工業を営みネット通販への進出を検討しているX社に対する損害保険のアドバイスについて、記述①~③の正誤(○×)を判定しなさい。 ① 「製造・販売した食品が原因で顧客が食中毒を起こし、身体に損害を与えたことにより、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害を補償する保険として、施設所有(管理)者賠償責任保険への加入を検討してください」 ② 「火災等による工場の物的損害よりも、休業損失のほうが大きくなる事故が発生する可能性もありますので、休業損失および事業を継続するために必要となる費用を補償する企業費用・利益総合保険への加入を検討してください」 ③ 「外部からの不正アクセスにより顧客の個人情報が外部に漏洩した場合、顧客に対する損害賠償金の支払のほか、原因の調査費用など、さまざまな事故対応費用がかかることが予想されます。これらの損害を補償するサイバー保険への加入を検討してください」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
法人のリスクマネジメントでは事故原因や補償対象に応じた適切な損害保険の手当てが必要です。引渡し後の製品による損害はPL保険、施設自体の管理・業務起因は施設所有(管理)者賠償責任保険、売上減少等の間接損害は利益保険、IT・情報事故はサイバー保険でカバーします。
解き方
- 製造・販売後の食品による食中毒事故が補償される保険種目(PL保険)を確認し、施設所有(管理)者賠償責任保険との違いを判定する。
- 火災等による営業停止・売上減少や追加経費を補償する企業費用・利益総合保険の内容を確認する。
- ネット通販等での不正アクセスや個人情報漏洩による損害賠償金・対応費用を補償するサイバー保険の適用範囲を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 製造・販売した食品の欠陥等により生じた食中毒などの対人・対物事故を補償するのは生産物賠償責任保険(PL保険)であり、施設所有(管理)者賠償責任保険ではありません。
- 小問 ②:○
- 企業費用・利益総合保険は、火災などの事故により営業が休止または阻害されたことによる「喪失利益(休業損失)」や「事業継続のために生じる追加費用(営業継続費用等)」を補償する保険であり、記述の通り適切です。
- 小問 ③:○
- サイバー保険は、サイバー攻撃や不正アクセス等に伴う情報漏洩による損害賠償責任に加え、原因調査費用や見舞金費用などの各種事故対応費用を幅広く補償するため、記述の通り適切です。
覚えるポイント
- 製造・販売した『成果物(商品)』が引き渡された後に起きた事故は生産物賠償責任(PL)保険。
- 店舗や工場などの『施設』そのものの欠陥や、施設内での業務遂行による事故は施設所有(管理)者賠償責任保険。
間違えやすいところ
- 飲食店店内で提供した飲食物による食中毒と、テイクアウト・製造販売した食品による食中毒で適用される保険の区分を混同しやすい点に注意。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令・各種保険商品約款に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険契約に係る所得税・損益通算および社会保険料控除
タックスプランニング · 一時所得 / 社会保険料控除 / 不動産所得の損益通算 / 純損失の繰越控除
会社員Aさんの2023年分の所得税の課税に関する記述①~③について、適切・不適切の正誤(○×)を判定しなさい。 ① 「Aさんが受け取った養老保険の満期保険金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象となります」 ② 「Aさんが長女Cさんの国民年金保険料を支払った場合、その支払った保険料は、Aさんの社会保険料控除の対象となります」 ③ 「Aさんは不動産所得の金額に損失が生じているため、確定申告をすることによって、純損失の繰越控除の適用を受けることができます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
契約者と満期保険金受取人が同一の生命保険金は一時所得として総合課税されます。生計を一にする親族の社会保険料を納付した場合は自身の所得控除にできます。不動産所得の赤字は損益通算されますが、他の黒字所得から全額控除され純損失が残らなければ繰越控除は行われません。
解き方
- 満期保険金の契約形態(契約者・受取人ともにAさん)から課税区分(一時所得・総合課税)を判定する。
- 生計を一にする親族(長女)に係る国民年金保険料を本人が支払った場合の社会保険料控除の適用要件を判定する。
- 不動産所得の赤字が給与所得等と損益通算された結果、総所得金額の範囲内で控除しきれるかを確認し、純損失の繰越控除が生じる余地があるかを検討する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 保険料負担者と満期保険金受取人が同一人(ともにAさん)である養老保険の満期保険金は一時所得として総合課税の対象となります(本問の契約は1993年締結であり金融類似商品の源泉分離課税にも該当しません)。
- 小問 ②:○
- 生計を一にする配偶者やその他の親族(長女Cさん)の負担すべき国民年金保険料を納税者(Aさん)が支払った場合、その全額がAさんの社会保険料控除の対象となります。
- 小問 ③:×
- Aさんには給与所得(700万円から給与所得控除を差し引いた金額)があり、不動産所得の損失(▲60万円)は損益通算によって全額控除されるため、純損失が生じず繰越控除の適用を受けることはできません。
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覚えるポイント
- 純損失の繰越控除は、損益通算を行ってもなお控除しきれない損失(純損失)が生じた場合に適用される。
- 生計を一にする親族の国民年金保険料を代わりに負担した場合、負担した親等の社会保険料控除となる。
間違えやすいところ
- 一時払養老保険で保険期間5年以下のもの等は源泉分離課税となるが、本問は平準払の養老保険(契約期間30年)であるため一時所得(総合課税)となる点に注意。
- 「不動産所得に損失がある=純損失の繰越ができる」と誤認せず、他の所得(給与所得等)との損益通算で相殺されるかを確認する。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の所得税法等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一時所得の金額および総所得金額の計算
タックスプランニング · 一時所得の計算 / 損益通算 / 給与所得控除 / 総所得金額
設例の会社員Aさんの2023年分の所得金額について、次の①、②を計算しなさい(単位:万円)。 ① 総所得金額に算入される一時所得の金額 ② 総所得金額 <Aさんの収入等データ> ・給与収入:700万円 ・不動産所得:▲60万円(白色申告、土地等取得に係る負債利子なし) ・養老保険(平準払)満期保険金:500万円(払込保険料400万円) ・一時払終身保険の解約返戻金:970万円(払込保険料1,000万円) <給与所得控除額>給与収入660万円超~850万円以下:収入金額×10%+110万円
解答・解説を表示
解答
① 10万円 ② 470万円
解説
一時所得は総収入金額からその収入を得るために支出した金額の合計を控除し、さらに特別控除額(最高50万円)を差し引いて求め、総合課税の総所得金額にはその2分の1を算入します。また不動産所得の損失は土地取得借入金利子を除き給与所得等と損益通算が可能です。
解き方
- 一時所得の総収入金額(500万+970万=1,470万円)と支出金額(400万+1,000万=1,400万円)の差額70万円から特別控除50万円を控除し、2分の1を乗じて算入額10万円を算出する。
- 給与収入700万円から給与所得控除180万円を引いて給与所得520万円を求め、不動産所得の損失60万円を通算した460万円に一時所得算入額10万円を加えて総所得金額470万円を算出する。
答えの内訳
- ①:10万円
- 一時所得に係る総収入金額は500万円+970万円=1,470万円、支出金額は400万円+1,000万円=1,400万円です。一時所得の金額は1,470万円-1,400万円-特別控除額50万円=20万円となります。総所得金額に算入する額はその2分の1であるため、20万円×1/2=10万円となります。
- ②:470万円
- 給与所得控除額は700万円×10%+110万円=180万円となり、給与所得は700万円-180万円=520万円です。不動産所得の損失60万円には土地取得に係る負債利子がないため全額を損益通算でき、520万円-60万円=460万円となります。これに一時所得の算入額10万円を加算して、総所得金額は460万円+10万円=470万円となります。
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覚えるポイント
- 一時所得を総所得金額へ算入する際は2分の1を乗じる(2分の1課税)。
- 不動産所得の赤字のうち、土地等を取得するために要した負債の利子は損益通算の対象外となる。
間違えやすいところ
- 一時所得の特別控除50万円を引いた後に2分の1を掛けるのを忘れてしまうミスに注意する。
- 一時払終身保険の解約損を考慮せず、養老保険の差益だけで計算してしまう。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の所得控除(配偶者控除・扶養控除)の判定
タックスプランニング · 配偶者控除 / 扶養控除 / 特定扶養親族 / 老人扶養親族
Aさんの2023年分の所得税の所得控除に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の額は、48万円です」 ② 「Aさんが適用を受けることができる長女Cさんに係る扶養控除の額は、63万円です」 ③ 「Aさんが適用を受けることができる母Dさんに係る扶養控除の額は、58万円です」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
所得控除において配偶者控除額は控除を受ける本人の所得と配偶者の年齢等により定まり、70歳未満は38万円です。扶養控除は控除対象親族の年齢区分に応じて一般(16歳以上19歳未満・23歳以上70歳未満)は38万円、特定(19歳以上23歳未満)は63万円、同居老親等は58万円となります。
解き方
- 各家族の合計所得金額を算出し、配偶者控除および扶養控除の要件を満たすか確認する。
- 年齢区分および同居の有無に応じて適用される所得控除の金額を判定し、記述の正誤を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 妻Bさん(55歳)の給与所得は45万円(給与収入100万円-控除55万円)で48万円以下であり、Aさんの合計所得金額は900万円以下であるため配偶者控除の対象となりますが、70歳未満の一般控除対象配偶者であるため控除額は38万円(48万円ではない)となります。
- 小問 ②:×
- 長女Cさんは25歳であり、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)には該当せず一般の控除対象扶養親族となるため、適用される扶養控除の額は38万円(63万円ではない)となります。
- 小問 ③:○
- 母Dさん(85歳)は非課税である遺族年金を除くと公的年金等の収入が60万円で公的年金等控除(110万円)以下のため所得は0円です。Aさんと同居している70歳以上の扶養親族であるため同居老親等に該当し、扶養控除額は58万円となります。
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覚えるポイント
- 特定扶養親族は19歳以上23歳未満で控除額は63万円。
- 同居老親等の老人扶養親族(70歳以上で同居)の控除額は58万円(別居は48万円)。
- 遺族年金は非課税所得であり、扶養判定の合計所得金額の計算には含めない。
間違えやすいところ
- 大学院生である長女の年齢が25歳であることを見落とし、学生だから特定扶養親族(63万円)と誤認する。
- 母Dさんの遺族厚生年金を課税対象と誤解して所得要件を超えていると判断してしまう。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
資産運用・相続・事業承継 · 相続税の総額 / 基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額
現時点(2023年9月10日)において、設例のAさん(被相続人)の相続が開始した場合における相続税の総額を試算した表の空欄①~③に入る数値を求めなさい。なお、法定相続人は配偶者である妻Bさん、長男Cさん、二男Dさんの計3人であり、相続税の課税価格の合計額は2億1,000万円とする。
解答・解説を表示
解答
① 4,800(万円) ② 610(万円) ③ 2,950(万円)
解説
相続税の総額の計算では、課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を控除して課税遺産総額を求めます。これを民法の法定相続分で按分した各人の取得金額に超過累進税率を適用して各人ごとの税額を計算し、合算します。
解き方
- 法定相続人の人数を数え、遺産に係る基礎控除額を算出して課税遺産総額を求めます。
- 課税遺産総額を法定相続分で按分し、速算表を適用して各法定相続人の算出税額を計算します。
- 各法定相続人の算出税額を合計して、相続税の総額を求めます。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求められます。法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、二男Dさんの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:610
- 課税遺産総額は、2億1,000万円-4,800万円=1億6,200万円です。長男Cさんの法定相続分は1/4であるため、法定相続分に応ずる取得金額は1億6,200万円×1/4=4,050万円となります。速算表より税額は4,050万円×20%-200万円=610万円となります。
- ③:2,950
- 妻Bさんの法定相続分は1/2で取得金額は8,100万円、税額は8,100万円×30%-700万円=1,730万円です。二男Dさんの法定相続分は1/4で取得金額4,050万円、税額は610万円です。これらを合計した相続税の総額は1,730万円+610万円+610万円=2,950万円となります。

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覚えるポイント
- 基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 課税遺産総額をいったん法定相続分通りに分割して税率を掛ける
間違えやすいところ
- 実際の遺産分割割合ではなく、法定相続分で按分して税額を計算すること
- 基礎控除の法定相続人に養子がいる場合の算入制限に注意すること
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺言・生命保険金の非課税枠・配偶者の税額軽減
資産運用・相続・事業承継 · 自筆証書遺言書保管制度 / 公正証書遺言 / 死亡保険金の非課税限度額 / 配偶者に対する相続税額の軽減
Aさんの相続等に関する文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 Ⅰ「自筆証書遺言については、( ① )における保管制度があり、紛失等を防ぐことができます。公正証書遺言は、証人( ② )人以上の立会いのもと作成します」 Ⅱ「妻Bさんが受け取る死亡保険金2,500万円のうち、相続税の課税価格に算入される金額は、( ③ )万円となります」 Ⅲ「『配偶者に対する相続税額の軽減』の適用を受けた場合、妻Bさんの取得財産が、法定相続分相当額と1億6,000万円とのいずれか( ④ )金額までであれば、納付税額は算出されません」
- イ
- 1
- ロ
- 2
- ハ
- 3
- ニ
- 700
- ホ
- 1,000
- ヘ
- 1,600
- ト
- 家庭裁判所
- チ
- 公証役場
- リ
- 法務局
- ヌ
- 多い
- ル
- 少ない
解答・解説を表示
解答
① リ ② ロ ③ ホ ④ ヌ
解説
遺言制度における自筆証書遺言の法務局保管や公正証書遺言の証人要件、相続税法における生命保険金の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)、および配偶者の税額軽減(1億6,000万円と法定相続分相当額のいずれか多い金額)は、相続対策における最重要の基本規定です。
解き方
- 遺言制度に関する各手続きの窓口・立会人の要件を確認します。
- 法定相続人の人数から生命保険金の非課税限度額を算出し、受取額から控除して課税価格算入額を求めます。
- 配偶者の税額軽減における非課税枠の比較基準(いずれか多い額)を確認します。
- 選択肢 イ不正解
- 公正証書遺言の作成に必要な証人の数は1人ではなく2人以上です。
- 選択肢 ロ正解
- 空欄②に入る数値として適切です。公正証書遺言作成には証人2人以上の立会いが必要です。
- 選択肢 ハ不正解
- 公正証書遺言に必要な証人の数は3人ではなく2人以上です。
- 選択肢 ニ不正解
- 死亡保険金2,500万円から非課税枠1,500万円を控除した額は700万円ではなく1,000万円です。
- 選択肢 ホ正解
- 空欄③に入る数値として適切です。2,500万円-(500万円×3人)=1,000万円が算入額です。
- 選択肢 ヘ不正解
- 死亡保険金の課税価格算入額は1,000万円であり、1,600万円ではありません。
- 選択肢 ト不正解
- 自筆証書遺言書保管制度を管轄しているのは家庭裁判所ではなく法務局です。
- 選択肢 チ不正解
- 自筆証書遺言の保管制度を扱う場所は公証役場ではなく法務局です。
- 選択肢 リ正解
- 空欄①に入る語句として適切です。自筆証書遺言は法務局で保管されます。
- 選択肢 ヌ正解
- 空欄④に入る語句として適切です。法定相続分相当額と1億6,000万円のいずれか「多い」金額まで非課税となります。
- 選択肢 ル不正解
- 配偶者の税額軽減は、配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円の「少ない」金額ではなく「多い」金額まで適用されます。
答えの内訳
- ①:リ
- 自筆証書遺言書保管制度は、遺言書保管所(法務局)において自筆証書遺言を保管する制度であるため、「リ(法務局)」が入ります。
- ②:ロ
- 公正証書遺言を作成する際は、証人2人以上の立会いが必要となるため、「ロ(2)」が入ります。
- ③:ホ
- 生命保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」であり、法定相続人3人のため500万円×3人=1,500万円です。死亡保険金2,500万円から非課税枠1,500万円を差し引いた課税価格算入額は1,000万円となるため、「ホ(1,000)」が入ります。
- ④:ヌ
- 配偶者に対する相続税額の軽減では、配偶者の法定相続分相当額または1億6,000万円のいずれか「多い」金額まで課税されません。したがって、「ヌ(多い)」が入ります。
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覚えるポイント
- 自筆証書遺言書保管制度の窓口は法務局(検認不要)
- 公正証書遺言の証人は2人以上
- 生命保険金非課税枠は500万円×法定相続人の数
- 配偶者の税額軽減は1億6,000万円または法定相続分相当額の多い方まで
間違えやすいところ
- 法務局保管の自筆証書遺言に家庭裁判所の検認が必要と誤認しやすい
- 配偶者の税額軽減の基準を「少ない金額」と取り違えないこと
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
賃貸アパート建築に伴う相続税評価と小規模宅地等の特例・債務控除
相続・事業承継 · 貸家建付地 / 小規模宅地等の特例 / 債務控除
青空駐車場を保有するAさんが賃貸アパートを建築して土地の有効活用を図る場合における、相続税の取扱いに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「青空駐車場として利用している土地上に、賃貸アパートを建築した場合、相続税の課税価格の計算上、その敷地は貸家建付地として評価されます。貸家建付地の価額は、『自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)』の算式により評価されます」 ② 「貸付事業用宅地等(賃貸アパートの敷地)と特定居住用宅地等(自宅の敷地)について、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けようとする場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの宅地等の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます」 ③ 「ローンを活用して賃貸アパートを建築した場合、相続税の課税価格の計算上、当該借入金残高は債務控除の対象となります。しかし、空室が多くなれば、ローン返済が滞る可能性もありますので、有効活用については慎重に検討する必要があると思います」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
土地の上に賃貸用建物を建築すると、敷地は利用権の制約を受けて貸家建付地評価となり、自用地よりも評価額が引き下げられます。また、建築にかかる借入金残高は債務控除の対象となりますが、小規模宅地等の特例の併用制限や空室に伴う事業リスクへの配慮が必要です。
解き方
- 記述①について、自用地評価額からの減額算式(借地権割合・借家権割合・賃貸割合の乗算)が貸家建付地の正しい評価方法であることを確認する。
- 記述②について、貸付事業用宅地等と特定居住用宅地等とを併用する場合には面積調整が必要であり、無調整で完全併用できるわけではない点から正誤を判断する。
- 記述③について、借入金残高が相続税の債務控除の対象となる制度的側面および空室リスクに関する事業面の説明の妥当性を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 自ら所有する土地に賃貸アパート等の建物を建築して他人に賃貸している場合、その敷地は「貸家建付地」として評価されます。評価額は「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で算出されるため、記述は適切です。
- 小問 ②:×
- 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例において、特定居住用宅地等(限度面積330㎡)と貸付事業用宅地等(限度面積200㎡)を併用する場合、それぞれの限度面積をそのまま完全併用することはできず、所定の調整計算(限度面積の按分調整)を行う必要があります。無調整で完全併用が可能なのは特定居住用宅地等と特定事業用等宅地等を併用する場合(最大730㎡)などです。
- 小問 ③:○
- 金融機関から借入を行って賃貸アパートを建築した場合、相続開始時における借入金残高は確実な債務として相続税の課税価格から控除(債務控除)されます。また、空室が増加すると家賃収入が減少しローン返済に支障をきたす経営リスクがある点も適切です。

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覚えるポイント
- 貸家建付地評価額 = 自用地評価額 × (1 - 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
- 特定居住用(330㎡)と貸付事業用(200㎡)を併用する場合は面積調整が必要(完全併用不可)
- 特定居住用(330㎡)と特定事業用等(400㎡)を併用する場合は完全併用可能(最大730㎡)
間違えやすいところ
- 特定事業用宅地等と特定居住用宅地等の完全併用ルールと、貸付事業用宅地等を含む併用(面積調整が必要)のルールを混同しやすい。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2023年9月 2級 損保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

