日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
公的年金からの老齢給付(老齢基礎年金および老齢厚生年金の額)の計算
ライフプランニングと資金計画 · 公的年金制度 / 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算
Aさんが原則として65歳から受給できる公的年金制度からの老齢給付について、設例の<Aさんとその家族に関する資料>および<資料>に基づき、①老齢基礎年金の年金額、②老齢厚生年金の年金額を計算しなさい(2023年度価額、円未満四捨五入)。
解答・解説を表示
解答
① 795,000(円) ② 1,187,874(円)
解説
老齢基礎年金は20歳以上60歳未満の40年(480月)を上限として計算され、老齢厚生年金は報酬比例部分と定額部分の差額を埋める経過的加算を合算して算出します。加給年金は65歳到達時点で生計を維持している65歳未満の配偶者または要件を満たす子がいる場合に加算されます。
解き方
- 20歳以上60歳未満の国民年金保険料納付済月数(28月)と厚生年金加入月数(452月)を求め、480月を満たすことから老齢基礎年金の満額を算出する。
- 2003年3月以前および4月以降の期間に分けて報酬比例部分を計算し、合算して円未満を四捨五入する。
- 厚生年金の全期間(上限480月)に応じた定額単価から、20歳以上60歳未満の厚生年金期間(452月)に応じた基礎年金相当額を差し引いて経過的加算額を算出する。
- 加給年金の加算要件(受給開始時の配偶者の年齢・子の年齢)の該当有無を判定し、老齢厚生年金の合計額を求める。
答えの内訳
- ①:795,000(円)
- 老齢基礎年金額は、795,000円×(保険料納付済月数/480月)で計算します。Aさんの保険料納付済期間は、20歳から22歳までの国民年金28月と、20歳以上60歳未満の厚生年金被保険者期間452月(480月-28月)の合計480月となり満額を満たすため、795,000円×480/480=795,000円となります。
- ②:1,187,874(円)
- 報酬比例部分はⓐ250,000円×(7.125/1,000)×72月=128,250円、ⓑ420,000円×(5.481/1,000)×440月=1,012,888.8円で、合計1,141,138.8円(四捨五入して1,141,139円)です。経過的加算額は1,657円×480月(上限)-795,000円×(452月/480月)=795,360円-748,625円=46,735円となります。Aさんが65歳到達時に妻Bさんは既に65歳以上、長女Cさんは18歳年度末を超えているため加給年金は対象外となり、老齢厚生年金額は1,141,139円+46,735円=1,187,874円となります。
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覚えるポイント
- 経過的加算における被保険者期間月数の上限は原則480月であること
- 加給年金は受給権取得時に65歳未満の配偶者や高校卒業前等の子がいる場合に支給されること
間違えやすいところ
- 20歳から22歳までの28月を差し引かずに、20歳以上60歳未満の厚生年金期間を単純に456月などと計算してしまうミス
- 配偶者がAさんの65歳到達時に既に65歳に達していることを見落として加給年金を加算してしまうミス
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等(2023年度年金額基準)
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
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個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入要件・掛金限度額・受給開始時期
ライフプランニングと資金計画 · 確定拠出年金 / iDeCo / 小規模企業共済等掛金控除 / 老齢給付金の受給要件
MさんがAさんに対して行った確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)に関する説明文の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。
- イ
- 5
- ロ
- 10
- ハ
- 20
- ニ
- 75
- ホ
- 80
- ヘ
- 85
- ト
- 240,000
- チ
- 276,000
- リ
- 816,000
- ヌ
- 社会保険料控除
- ル
- 小規模企業共済等掛金控除
- ヲ
- 生命保険料控除
解答・解説を表示
解答
① チ ② ル ③ ロ ④ ニ
解説
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、被保険者種別や企業年金の加入状況によって拠出限度額が異なります。加入者が支払った掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となり、老齢給付金の受給開始時期は通算加入者等期間に応じて最長75歳まで繰り下げて選択することが可能です。
解き方
- 妻Bさんの被保険者区分(企業年金なしの第2号被保険者)から掛金限度額を特定する(月額2.3万円×12カ月=27.6万円)。
- iDeCoの自己拠出掛金に適用される所得控除の種類(小規模企業共済等掛金控除)を特定する。
- 60歳時点で受給開始するために必要な通算加入者等期間の基準年数(10年)を確認する。
- 法改正後の老齢給付金受給開始時期の上限年齢(75歳)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:チ
- 妻Bさんは他の企業年金(企業型DCや確定給付企業年金等)を実施していない企業に勤務する第2号被保険者であるため、iDeCoの掛金限度額は月額23,000円(年額276,000円)となります。
- 小問 ②:ル
- 個人型年金加入者掛金として拠出した金額は、所得税法上、その全額が「小規模企業共済等掛金控除」として総所得金額等から控除されます。
- 小問 ③:ロ
- 60歳から個人型年金の老齢給付金を受給するためには、通算加入者等期間が「10」年以上必要となります。
- 小問 ④:ニ
- 法改正(2022年4月施行)により、老齢給付金の受給開始時期の上限が引き上げられ、60歳から「75」歳に達するまでの間で受給開始時期を選択できるようになりました。
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覚えるポイント
- iDeCoの掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となること
- 老齢給付金の受給開始時期は60歳から75歳までの間で選択できること(2022年4月改正)
間違えやすいところ
- iDeCoの拠出金を「社会保険料控除」や「生命保険料控除」と混同してしまうミス
- 旧法の受給開始時期上限(70歳)と改正後の上限(75歳)を取り違えてしまうミス
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等(2022年4月施行確定拠出年金法改正等)
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
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公的年金の繰下げ受給・学生納付特例・確定拠出年金の死亡一時金
ライフプランニングと資金計画 · 老齢給付の繰下げ受給 / 学生納付特例制度 / 確定拠出年金の税務
ファイナンシャル・プランナーのMさんが、相談者Aさんに対して行った公的年金制度等に関するアドバイス(記述①~③)について、各記述の正誤(適切なら○、不適切なら×)を判定しなさい。 ① 「Aさんが希望すれば、66歳以後、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができます。仮に、Aさんが70歳で老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、当該年金額の増額率は24%となります」 ② 「長女Cさんが、2023年11月以降の大学生である期間について国民年金の学生納付特例の適用を受ける場合、長女Cさん本人に係る所得要件はありますが、Aさんおよび妻Bさんに係る所得要件はありません」 ③ 「Aさんが確定拠出年金の個人型年金の加入後に死亡した場合において、個人別管理資産があるときは、Aさんの遺族は所定の手続により死亡一時金を受け取ることができます。Aさんの遺族が受け取る死亡一時金は、所得税と相続税のいずれの課税対象にもなりません」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
公的年金の繰下げ受給は増額率(1カ月あたり+0.7%)、学生納付特例は学生本人の所得のみが審査対象となる点、確定拠出年金の死亡一時金はみなし相続財産として相続税が課税される点をそれぞれ正しく把握しておく必要があります。
解き方
- 繰下げ増額率の算式(0.7%×繰下げ月数)に基づき、60カ月繰下げ時の増額率を計算して判定する。
- 学生納付特例制度における所得審査対象者(本人のみ)を確認して判定する。
- 確定拠出年金加入者の死亡時に遺族へ支払われる死亡一時金の税法上の取扱い(みなし相続財産)を確認して判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 老齢年金の繰下げ支給による増額率は「1カ月あたり0.7%」です。65歳から70歳まで5年間(60カ月)繰り下げた場合の増額率は「0.7%×60カ月=42%」となります。記述にある「24%」は誤りです。
- 小問 ②:○
- 国民年金の学生納付特例制度は、学生本人の前年所得が一定基準以下であれば承認されます。一般的な保険料免除・猶予制度とは異なり、世帯主や配偶者(本問では親であるAさんおよび妻Bさん)の所得は問われません。したがって適切です。
- 小問 ③:×
- 確定拠出年金(iDeCo)の加入者が死亡した場合、遺族が受け取る死亡一時金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります(生命保険金等と同様に「500万円×法定相続人の数」の非課税枠の適用があります)。いずれの課税対象にもならないとする記述は誤りです。
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覚えるポイント
- 年金の繰下げ増額率は月あたり0.7%(最大10年・120カ月で84%増額)
- 学生納付特例は「学生本人」の前年所得のみで審査される(世帯主・親の所得不問)
- 確定拠出年金の死亡一時金は相続税の課税対象(みなし相続財産)
間違えやすいところ
- 繰上げ減額率(月あたり0.4%。昭和37年4月1日以前生まれは0.5%)と繰下げ増額率(月あたり0.7%)を取り違えないこと。
- 国民年金の一般免除(全額・一部免除)は世帯主や配偶者の所得も審査対象になるが、学生納付特例は本人の所得のみである点に注意する。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の公的年金各法および税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
財務データからの投資指標の計算(ROE・配当利回り)
金融資産運用 · ROE(自己資本利益率) / 配当利回り / 株式投資指標
設例の<X社株式の情報>および<X社の財務データ>に基づいて、次の①、②を求めなさい。解答は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで算出すること。 <X社株式の情報> ・株価:1,700円 ・発行済株式数:5,000万株 <X社の財務データ>(単位:百万円) 80期:純資産の部合計 79,000、当期純利益 4,900、配当金総額 2,400 81期:純資産の部合計 83,000、当期純利益 5,200、配当金総額 2,600 ※純資産の金額と自己資本の金額は同じである。 ① 81期におけるROE(自己資本は80期と81期の平均を用いる) ② 81期における配当利回り
解答・解説を表示
解答
① 6.42(%) ② 3.06(%)
解説
ROE(自己資本利益率)は株主資本を元手に企業がどれだけ効率よく当期純利益を稼ぎ出したかを示す指標であり、配当利回りは株価に対する年間受取配当金の割合を示す指標です。
解き方
- 【ROEの計算】80期と81期の自己資本の平均額を求め、81期の当期純利益をその平均額で除して100を掛け、小数点以下第3位を四捨五入する。
- 【配当利回りの計算】81期の配当金総額を発行済株式数で除して1株当たり配当金を算出し、株価で除して100を掛け、小数点以下第3位を四捨五入する。
答えの内訳
- ①:6.42(%)
- 80期と81期の自己資本の平均=(79,000百万円+83,000百万円)÷ 2 = 81,000百万円。 ROE(自己資本利益率)= 当期純利益 ÷ 自己資本(期中平均)× 100 = 5,200百万円 ÷ 81,000百万円 × 100 ≒ 6.4197…%。 小数点以下第3位を四捨五入して、6.42%となります。
- ②:3.06(%)
- 81期の1株当たり配当金(年間)= 配当金総額 ÷ 発行済株式数 = 2,600百万円 ÷ 5,000万株 = 52円。 配当利回り = 1株当たり年間配当金 ÷ 株価 × 100 = 52円 ÷ 1,700円 × 100 ≒ 3.0588…%。 小数点以下第3位を四捨五入して、3.06%となります。
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覚えるポイント
- ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(問題の指示に従い期首・期末平均を用いる)
- 配当利回り(%)= 1株当たり配当金 ÷ 株価 × 100 = 配当金総額 ÷ 時価総額 × 100
間違えやすいところ
- ROEの計算で自己資本に期首・期末の平均値を用いる指示を見落とし、81期末の自己資本だけで計算してしまうこと。
- 単位(百万円と万株)の換算ミスにより、1株当たり配当金の計算桁数を誤ること。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令・出題条件に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
上場株式の投資指標・課税・売買タイミング
金融資産運用 · PER / 特定口座(源泉徴収あり) / 権利付き最終日
設例のX社株式の情報(株価1,700円、発行済株式数5,000万株、81期当期純利益5,200百万円、決算期2023年11月30日木曜日)に基づいて、FPのMさんがAさんに対して説明した次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① X社株式のPERは15倍を下回っています。一般に、PERが低い銘柄ほど株価は割安とされていますが、X社株式に投資する際は、他の投資指標とあわせて同業他社の数値と比較するなど、多角的な視点で検討することが望まれます。 ② 仮に、Aさんが特定口座(源泉徴収あり)において、X社株式を株価1,700円で300株購入して同年中に株価1,750円で全株売却した場合、その他の取引や手数料等を考慮しなければ、売却益1万5,000円に対して20.315%相当額が源泉徴収等されます。 ③ 上場株式の配当を受け取るためには、普通取引の場合、権利確定日の2営業日前までに株式を買い付け、権利確定日まで売却せずに保有する必要があります。仮に、Aさんが2023年11月28日(火)にX社株式を普通取引により買い付け、翌営業日の29日(水)に売却した場合、X社株式の次回の配当を受け取ることはできません。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
上場株式の割安性を測るPERは株価を1株当たり当期純利益で除して求めます。また、上場株式の配当等の権利は権利確定日の2営業日前(権利付き最終日)時点の保有者に確定し、翌営業日の権利落ち日に売却しても配当受給権は失われません。
解き方
- 81期の当期純利益と発行済株式数から1株当たり当期純利益(EPS)を算出し、株価を除してPERを求めて15倍を下回るか判定する。
- 特定口座(源泉徴収あり)での譲渡益計算を行い、源泉徴収税率が所得税・復興特別所得税・住民税を含めて20.315%であることを確認する。
- 決算期(権利確定日)から起算して2営業日前の権利付き最終日を特定し、権利落ち日に売却した場合でも配当金受取権が得られるルールを適用する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 81期の1株当たり当期純利益(EPS)は、当期純利益5,200百万円÷発行済株式数5,000万株=104円です。したがってPERは、株価1,700円÷104円≒16.35倍となり、15倍を下回っていないため不適切です。
- 小問 ②:○
- 売却益は(1,750円-1,700円)×300株=15,000円です。特定口座(源泉徴収あり)を選択している場合、上場株式の譲渡所得等に対して所得税・復興特別所得税および住民税を合わせた20.315%が源泉徴収等されるため適切です。
- 小問 ③:×
- 権利確定日(2023年11月30日木曜日)の2営業日前である11月28日(火曜日)が「権利付き最終日」となります。この日の取引終了時点で株式を保有していれば、翌営業日(権利落ち日)の29日(水曜日)に売却しても配当を受け取ることができるため不適切です。
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覚えるポイント
- PER(株価収益率)=株価÷1株当たり当期純利益(EPS)
- 上場株式の普通取引の受渡日は売買約定日から起算して3営業日目(2営業日後)
- 特定口座(源泉徴収あり)の上場株式等譲渡益の税率は20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)
間違えやすいところ
- 権利確定日当日まで株式を売らずに保有し続けなければならないと誤認しやすい。
- PERの計算で用いる純利益として、営業利益や経常利益を誤って分子・分母に充当してしまう。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
投資信託の運用管理費用・積立手法・収益分配金の税務
金融資産運用 · 信託報酬 / ドルコスト平均法 / 普通分配金と元本払戻金(特別分配金)
設例のY投資信託(公募株式投資信託)に関する資料に基づいて、FPのMさんがAさんに対して説明した次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 運用管理費用(信託報酬)は、投資信託を保有する投資家が負担する費用です。一般に、アクティブ型投資信託は、パッシブ型投資信託よりも運用管理費用(信託報酬)が高い傾向があります。 ② ドルコスト平均法は、価格が変動する商品を定期的に一定口数購入する方法であり、定期的に一定額購入する方法よりも平均購入単価を引き下げる効果が期待できます。 ③ 仮に、Y投資信託から収益分配金が支払われ、分配後の基準価額がAさんの個別元本を上回っていた場合、当該分配金はすべて元本払戻金(特別分配金)となります。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
投資信託の保有費用である信託報酬は運用手法により水準が異なります。また、定額購入によるドルコスト平均法の仕組みや、決算時の分配金が個別元本を上回る部分は普通分配金(課税)、下回る部分は元本払戻金(特別分配金・非課税)となる基本原則を正しく把握することが重要です。
解き方
- アクティブ型投資信託とパッシブ型の運用手法の違いから、運用管理費用(信託報酬)の高低傾向を判定する。
- ドルコスト平均法の定義が「一定額購入」か「一定口数購入」かを確認し、平均取得単価の平準化効果を整理する。
- 収益分配金支払後の基準価額と個別元本を比較し、上回る部分は普通分配金、下回る部分が元本払戻金となる税務ルールに当てはめる。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 運用管理費用(信託報酬)は信託財産から日々差し引かれる形で投資家が負担する費用です。ベンチマークを上回る成果を目指すアクティブ型は調査・分析コストがかかるため、インデックス型(パッシブ型)よりも高くなる傾向があり適切です。
- 小問 ②:×
- ドルコスト平均法は、定期的に「一定金額」ずつ継続して購入する手法です。価格が高いときには少なく、価格が低いときには多く買い付けることで、定期的に「一定口数」購入する方法に比べて平均購入単価を引き下げる効果が期待できるため不適切です。
- 小問 ③:×
- 分配後の基準価額が受益者の個別元本と同額以上である場合、分配金の全額が「普通分配金」として課税対象となります。個別元本を下回る部分のみが元本払戻金(特別分配金・非課税)となるため不適切です。

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覚えるポイント
- ドルコスト平均法は「定期的に一定金額」を購入する手法
- 分配落ち後の基準価額≧個別元本なら全額が普通分配金(課税)
- 分配落ち後の基準価額<個別元本の場合、その差額分が元本払戻金(特別分配金・非課税)
間違えやすいところ
- ドルコスト平均法を「毎回一定の口数を購入する手法」と取り違えてしまう。
- 元本払戻金(特別分配金)と普通分配金の判定条件(分配落ち後の基準価額と個別元本の高低)を逆に理解してしまう。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の計算 / 勤続年数の端数切上げ
AさんがX社から受け取った退職金2,450万円に係る退職所得の金額を計算した下記の計算式について、空欄①~④に入る適切な数値を答えなさい。なお、Aさんの勤続期間は36年5カ月であり、他に退職手当等の収入はなく、「退職所得の受給に関する申告書」を提出しているものとする。 <退職所得控除額> 800万円+( ① )万円×{( ② )年-20年}=( ③ )万円 <退職所得の金額> (2,450万円-( ③ )万円)×□□□=( ④ )万円
解答・解説を表示
解答
① 70(万円)、② 37(年)、③ 1,990(万円)、④ 230(万円)
解説
退職所得控除額は勤続年数20年以下が40万円×年数(最低80万円)、20年超は800万円+70万円×(年数-20年)で計算し、端数月は1年に切り上げます。退職所得額は原則として(収入金額-退職所得控除額)×1/2となります。
解き方
- 勤続期間36年5カ月の端数月を切り上げて勤続年数を37年と判定する。
- 20年超の計算式「800万円+70万円×(37年-20年)」に代入して控除額1,990万円を計算する。
- 退職金2,450万円から控除額1,990万円を差し引き、1/2を乗じて退職所得の金額230万円を算出する。
答えの内訳
- ①:70
- 退職所得控除額の計算において、勤続年数が20年を超える部分については1年につき70万円を加算するため、①は70となります。
- ②:37
- 勤続年数は36年5カ月ですが、1年未満の端数は切り上げて1年として計算するため、勤続年数は37年となります。
- ③:1,990
- 退職所得控除額は、800万円+70万円×(37年-20年)=800万円+1,190万円=1,990万円となります。
- ④:230
- 退職所得の金額は、(収入金額-退職所得控除額)×1/2で求められます。(2,450万円-1,990万円)×1/2=460万円×1/2=230万円となります。
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覚えるポイント
- 勤続年数の端数は月単位であっても切り上げて1年として計算する
- 勤続年数20年超の退職所得控除額の加算額は1年あたり70万円
間違えやすいところ
- 勤続年数の5カ月を切り捨てて36年としてしまうミス
- 退職所得金額を計算する際に最後の2分の1を掛け忘れるミス
出題の前提:2023年4月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の損益通算・所得控除(配偶者控除・扶養控除・社会保険料控除)
タックスプランニング · 損益通算の制限 / 社会保険料控除 / 扶養控除 / 特定扶養親族
Aさんの2023年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① 「Aさんは不動産所得の金額に損失が生じているため、確定申告をすることによって、純損失の繰越控除の適用を受けることができます」 ② 「Aさんが長女Cさんの国民年金保険料を支払った場合、その支払った保険料はAさんの社会保険料控除の対象となります」 ③ 「Aさんが適用を受けることができる配偶者控除および扶養控除の額は、それぞれ38万円です」
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ×
解説
親族の社会保険料を納税者が支払った場合は社会保険料控除の対象になります。また、扶養親族がその年の12月31日現在で19歳以上23歳未満の場合は特定扶養親族として扶養控除額が63万円となります。
解き方
- 不動産所得の損失と給与所得の損益通算について確認し、損失が残らないため繰越控除が生じないことを判定する。
- 生計を一にする子の国民年金保険料を親が負担した場合の社会保険料控除の適用の可否を判定する。
- 扶養親族である長女Cさんの年齢(21歳)を確認し、一般扶養控除(38万円)ではなく特定扶養親族(63万円)であることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 給与所得や退職所得などの黒字と損益通算を行ってもなお控除しきれない損失がある場合に純損失の繰越控除の対象となりますが、本問では給与所得等の黒字が不動産所得の損失を大きく上回っているため純損失は生じず、繰越控除の適用はありません。
- 小問 ②:○
- 居住者が生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき国民年金等の保険料を支払った場合、その支払った全額を支払った本人の社会保険料控除の対象とすることができます。
- 小問 ③:×
- 長女Cさんは21歳であり特定扶養親族(19歳以上23歳未満)に該当するため、控除額は38万円ではなく63万円となります。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 生計を一にする親族の国民年金保険料を支払ったときは支払った人の社会保険料控除となる
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の扶養控除額は63万円
間違えやすいところ
- 大学生の子の扶養控除額を一般扶養控除と同じ38万円と誤認してしまうミス
- 給与所得等と損益通算して所得がプラスであるにもかかわらず純損失が生じると勘違いするミス
出題の前提:2023年4月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
給与所得および総所得金額の計算
タックスプランニング · 給与所得控除 / 所得金額調整控除 / 損益通算 / 一時所得 / 総所得金額
設例のAさんの2023年分の収入等に関する資料に基づき、次の①・②を求めなさい。なお、①の計算上、Aさんが所得金額調整控除の適用対象者に該当している場合、所得金額調整控除額を控除すること。また、答は万円単位とすること。 ① 総所得金額に算入される給与所得の金額 ② 総所得金額
解答・解説を表示
解答
① 700万円 ② 680万円
解説
総所得金額を計算する際は、総合課税の対象となる各所得を算出し、損失がある場合は損益通算のルールを適用したうえで合算します。不動産所得の赤字のうち土地取得に係る負債利子は損益通算から除外され、一時所得は特別控除後さらに2分の1を乗じた額を合算します。
解き方
- 給与所得控除額(195万円)および23歳未満の扶養親族がいることによる所得金額調整控除額(5万円)を給与収入から控除して給与所得(700万円)を算出する。
- 不動産所得の赤字(▲40万円)から土地負債利子(10万円)を除外した通算対象損失額(▲30万円)を把握する。
- 一時払変額個人年金保険の解約返戻金から一時所得の総所得金額算入額((500万-430万-50万)×1/2=10万円)を求める。
- 各所得を合算(700万円-30万円+10万円)して総所得金額680万円を算出する(分離課税の退職所得は除外)。
答えの内訳
- ①:700(万円)
- 給与収入金額は900万円であり、「850万円超」の給与所得控除額は上限の195万円となる。給与所得控除後の金額は900万円-195万円=705万円。また、本問では給与収入が850万円を超えているが、Aさん自身は特別障害者に該当せず、同居親族等に23歳未満の扶養親族または特別障害者(長女Cさんは21歳で23歳未満の扶養親族に該当)がいるため、所得金額調整控除の対象となる。所得金額調整控除額は、(900万円-850万円)×10%=5万円。したがって、給与所得の金額は705万円-5万円=700万円となる。
- ②:680(万円)
- 不動産所得の損失▲40万円のうち、土地取得に係る負債利子10万円は損益通算の対象外となるため、通算対象の損失は▲30万円。一時所得(一時払変額個人年金保険の解約返戻金)は、500万円-430万円=70万円。特別控除額50万円を差し引くと20万円となり、総所得金額への算入額はその2分の1の10万円。したがって、総所得金額は給与所得700万円-不動産所得の通算可能損失30万円+一時所得の算入額10万円=680万円となる(退職所得は分離課税のため含めない)。
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覚えるポイント
- 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は、23歳未満の扶養親族がいる場合に(給与収入-850万円)×10%(上限15万円)が適用される。
- 不動産所得の赤字のうち、土地の取得に要した負債の利子は他の所得と損益通算できない。
間違えやすいところ
- 長女Cさんが21歳であるため所得金額調整控除が適用できることを見落とし、給与所得を705万円としてしまう誤り。
- 不動産所得の損失40万円を全額損益通算してしまう、または一時所得の2分の1計算を忘れてしまう誤り。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の所得税法等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
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建蔽率と容積率の上限面積の計算
不動産 · 建蔽率の緩和 / 前面道路幅員制限 / 指定容積率 / 建築面積 / 延べ面積
甲土地(300㎡)と乙土地(325㎡)を一体とした土地(合計625㎡)上に耐火建築物を建築する場合における、次の①・②を求めなさい。 ① 建蔽率の上限となる建築面積 ② 容積率の上限となる延べ面積
解答・解説を表示
解答
① 500(㎡) ② 1,750(㎡)
解説
建築面積の上限は敷地面積に適用される建蔽率を、延べ面積の上限は敷地面積に適用される容積率を乗じて求めます。建蔽率は準防火地域内の耐火建築物や特定行政庁指定の角地により緩和され、容積率は前面道路幅員(2つ以上ある場合は最大幅員)に所定の乗数を掛けた値と指定容積率のいずれか小さい方が限度となります。
解き方
- 甲土地と乙土地の合計敷地面積を算出する(300㎡+325㎡=625㎡)。
- 準防火地域内の耐火建築物(+10%)および角地緩和(+10%)を考慮して適用建蔽率(60%+10%+10%=80%)を求め、建築面積の上限を計算する(625㎡×80%=500㎡)。
- 接する道路のうち広い方の幅員(7m)を採用し、住居系地域乗数4/10を掛けて道路幅員による容積率制限(7m×4/10=280%)を算出し、指定容積率300%と比較して小さい方の280%を適用容積率とする。
- 合計敷地面積に適用容積率を掛けて延べ面積の上限を計算する(625㎡×280%=1,750㎡)。
答えの内訳
- ①:500(㎡)
- 敷地面積の合計は300㎡+325㎡=625㎡である。対象地は準防火地域内であり耐火建築物を建築するため+10%の緩和が適用され、さらに特定行政庁が指定する角地であるため+10%の緩和が適用される。したがって、適用される建蔽率は指定建蔽率60%+10%+10%=80%となる。建蔽率の上限となる建築面積は、625㎡×80%=500㎡である。
- ②:1,750(㎡)
- 敷地は幅員7mと幅員6mの2つの公道に接しているため、前面道路の幅員は広い方の7mを採用する。住居系地域(第一種住居地域)の法定乗数は4/10(0.4)であるため、道路幅員制限による容積率は7m×(4/10)=280%となる。これは指定容積率300%以下であるため、適用される容積率は厳しい方の280%となる。したがって、容積率の上限となる延べ面積は、625㎡×280%=1,750㎡である。
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覚えるポイント
- 準防火地域内で耐火建築物等を建築する場合、建蔽率は10%緩和される。
- 前面道路が2つ以上ある場合、容積率の計算に用いる前面道路幅員は最も広い幅員を採用する。
間違えやすいところ
- 角地緩和のみ(または耐火建築物緩和のみ)を適用して建蔽率を70%として計算してしまう誤り。
- 前面道路幅員に狭い方の6mを用いて容積率を計算してしまう誤り。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の建築基準法等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産の譲渡所得の特例および借地借家法の適用
不動産 · 居住用財産の3,000万円特別控除 / 居住用財産の軽減税率の特例 / 青空駐車場の賃貸借と借地借家法
Aさんの自宅(建物とその敷地である甲土地)の譲渡および月極駐車場(乙土地)の賃貸借契約に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「Aさんがマンションに転居し、その後、居住していない現在の自宅を譲渡する場合、Aさんが『居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例』の適用を受けるためには、現在の自宅にAさんが居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡しなければなりません」 ② 「『居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率の特例)』の適用を受けるためには、譲渡した年の1月1日において居住用財産の所有期間が10年を超えていなければなりません。Aさんが現在の自宅を譲渡する場合、譲渡所得の金額の計算上、相続により取得した現在の自宅の取得時期は相続開始日とされるため、当該特例の適用を受けることはできません」 ③ 「乙土地に係る月極駐車場の賃貸借契約には、借地借家法が適用されるため、当該契約に中途解約に関する条項がある場合であっても、正当な事由がない場合は、貸主であるAさんから解約を申し入れることができません」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
居住用財産の譲渡所得の特例では、転居後の適用期限(住まなくなった日から3年後の12月31日まで)や、相続取得時における被相続人の所有期間の引継ぎルールが重要です。また、借地借家法は「建物の所有を目的とする土地の賃貸借」および「建物の賃貸借」にのみ適用され、青空駐車場等の更地利用には民法の賃貸借規定が適用されます。
解き方
- 転居後の自宅譲渡における3,000万円特別控除の適用期限(3年を経過する日の属する年の12月31日)を確認する。
- 相続により取得した財産の所有期間の通算規定を確認し、軽減税率の適用要件(10年超)を満たすかを判定する。
- 青空駐車場に対する借地借家法の適用有無(建物所有目的ではないため適用外)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例は、以前に居住していた家屋やその敷地を譲渡する場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡することが要件とされているため適切です。
- 小問 ②:×
- 相続により取得した財産の所有期間は、被相続人の取得時期・所有期間がそのまま引き継がれます。父親が45年前に購入しているため、譲渡した年の1月1日において所有期間10年超の要件を満たし、軽減税率の特例の適用を受けることができます。
- 小問 ③:×
- 青空駐車場のような更地の月極駐車場賃貸借は、「建物の所有を目的とする土地の賃借権」に該当しないため借地借家法は適用されず、民法が適用されます。そのため、貸主からの解約申入れに正当事由は不要です。
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覚えるポイント
- 相続した財産の所有期間は被相続人の所有期間を引き継ぐ
- 青空駐車場や資材置場などの土地賃貸借には借地借家法は適用されない
間違えやすいところ
- 相続による取得時期を相続開始日と誤解して所有期間を短く計算してしまうミス
- 駐車場の賃貸借すべてに借地借家法が適用されると誤解するミス
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建設協力金方式の特徴・税務および相続税評価
不動産 · 建設協力金方式 / 不動産所得の必要経費 / 貸家建付地の評価
建設協力金方式による甲土地と乙土地を一体とした土地の有効活用に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「建設協力金方式は、AさんがⅩ社から建設資金の一部または全部を借り受けて、Ⅹ社の要望に沿った店舗を建設し、その店舗をⅩ社に賃貸する手法です。借り受けた建設資金は、元本の返済に加え、利子の支払が必要となることがありますが、不動産所得の金額の計算上、返済した元利金は必要経費に算入することができます」 ② 「建設協力金方式による土地の有効活用において、建設した店舗に係る固定資産税の納税義務は、Aさんが負うことになります」 ③ 「Aさんが建設した店舗をⅩ社に賃貸した後、その賃貸期間中にAさんの相続が開始した場合、相続税額の計算上、店舗は貸家として評価され、甲土地と乙土地を一体とした土地は貸宅地として評価されます」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
建設協力金方式は、入居予定のテナントから建設資金(建設協力金)を無利息または低利で借り入れ、テナントの要望に応じた建物を土地所有者が建築・所有して賃貸する方式です。所有権は土地所有者に帰属するため、建物の固定資産税の負担義務を負い、敷地は自用地ではなく「貸家建付地」、建物は「貸家」として評価されます。また、返済金のうち必要経費にできるのは利子部分のみです。
解き方
- 建設資金の返済金のうち、不動産所得の必要経費に算入できる対象(利子のみ、元本は不可)を確認する。
- 建物の所有権の帰属先(土地所有者)を確認し、固定資産税の納税義務者を判定する。
- 自己所有地に自己所有の賃貸建物を建てている場合の敷地の相続税評価区分(貸家建付地)を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 不動産所得の金額の計算上、借り受けた建設資金の返済金のうち必要経費に算入できるのは支払利子の部分のみであり、元本返済分は債務の弁済であるため必要経費には算入できません。
- 小問 ②:○
- 建設協力金方式では、土地所有者(Aさん)が建物を建築して自ら所有するため、その建物の登記名義人・所有者であるAさんが店舗に係る固定資産税の納税義務を負います。
- 小問 ③:×
- 自ら所有する土地の上に自己所有の建物を建築して他人に賃貸している場合、土地は「貸宅地」ではなく「貸家建付地」として相続税評価されます(貸宅地は他人に建物を所有させる目的で土地を貸している敷地の評価です)。
覚えるポイント
- 借入金の返済で必要経費になるのは利子のみで、元本部分は経費にならない
- 自己所有地に自己所有の建物を建てて賃貸する場合の敷地評価は「貸家建付地」である
間違えやすいところ
- 借入金の元利返済額全額を経費算入できると誤認するミス
- 貸家建付地と貸宅地(借地権が設定された土地)の区分を混同するミス
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
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不動産賃貸業の法人化に伴う税務上の留意点
相続・事業承継 · 法人化 / 中小法人の軽減税率 / 役員報酬と所得分散 / 流通税
Aさん(71歳)の不動産賃貸業の法人化(X社の設立および不動産の譲渡等)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ①「AさんからX社に移転される不動産賃貸業に係る所得には法人税が課される。X社の資本金が1億円以下で一定の中小法人に該当する場合、所得金額のうち年1,000万円以下の部分に軽減税率が適用されるなど、法人化により税負担が軽減される可能性がある」 ②「法人化に際して賃貸マンションの土地や建物をAさんからX社に譲渡する場合、Aさんの譲渡所得に係る税金だけでなく、X社が負担する不動産取得税や登録免許税等の金額についても事前に把握・検討しておく必要がある」 ③「法人化により、Aさんだけでなく長男CさんがX社の役員となって役員報酬を得ることで、所得の分散を図ることができる」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
不動産賃貸業を個人から法人へ移行(法人化)すると、最高税率の高い超過累進税率が適用される所得税から、中小法人の軽減税率(年800万円以下に適用)等の法人税等へ課税関係がシフトします。また、家族を役員に迎えて役員報酬を支給することで所得分散効果を得られますが、法人への不動産売買移転時には譲渡所得税や不動産取得税、登録免許税といった多額の移転コストが発生する点に留意が必要です。
解き方
- 記述①について中小法人の法人税の軽減税率対象となる所得基準額(年800万円以下)を確認して正誤を判断する。
- 記述②について個人から法人への不動産譲渡に伴う個人側の譲渡所得課税および法人側の流通税(不動産取得税・登録免許税)の発生有無を確認する。
- 記述③について法人の役員報酬支給による所得分散効果と累進税率緩和の仕組みを確認して正誤を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 期末資本金が1億円以下の中小法人等に対する法人税の軽減税率が適用されるのは、所得金額のうち年「800万円」以下の部分です。年1,000万円以下ではないため不適切です。
- 小問 ②:○
- 個人所有の不動産を設立法人へ売買により移転する場合、譲渡人(個人)には譲渡所得税・住民税が課され、買受人(法人)には不動産取得税や登録免許税等の流通税が課されるため、事前の試算・検討が必要です。
- 小問 ③:○
- 賃貸経営を手伝う親族等を法人の役員として適正な役員報酬を支給することで、個人事業主1人に集中していた所得を分散させ、所得税の累進課税による税負担を緩和する効果が得られます。
覚えるポイント
- 普通法人のうち期末資本金1億円以下の中小法人の法人税率は、所得年800万円以下の部分について軽減税率(15%、本則19%)が適用される。
間違えやすいところ
- 中小法人の軽減税率の基準金額は「年800万円以下」であり、1,000万円と混同しないように注意する。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
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相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額 / 基礎控除額 / 法定相続分 / 税率速算表
現時点(2023年9月10日)において、Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額を試算した下記の表の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、課税遺産総額(相続税の課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)は4億円とする。 ・(b)遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 ・相続税の総額の基となる税額(長男Cさん):( ② )万円 ・(c)相続税の総額:( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 4,800(万円) ② 2,300(万円) ③ 10,900(万円)
解説
相続税の総額を計算する際は、まず「課税遺産総額=課税価格の合計額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」を求めます。次に、課税遺産総額を実際の遺産分割割合にかかわらず各法定相続人が「法定相続分」に応じて取得したものと仮定して各人の取得金額を算出し、相続税の速算表を適用して税額を求めたうえで、それらをすべて合算します。
解き方
- 法定相続人の数(妻・長男・二男の計3人)から遺産に係る基礎控除額「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」を求める。
- 課税遺産総額4億円を法定相続分(妻2分の1、子それぞれ4分の1)に按分し、各人の取得金額(妻2億円、長男1億円、二男1億円)を算出する。
- 相続税の速算表を適用し、長男Cの税額「1億円×30%-700万円=2,300万円」および妻Bの税額「2億円×40%-1,700万円=6,300万円」、二男Dの税額(2,300万円)を計算する。
- 各法定相続人の税額を合計して相続税の総額「6,300万円+2,300万円+2,300万円=10,900万円」を算出する。
答えの内訳
- ①:4,800(万円)
- 法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、二男Dさんの3人です。基礎控除額=3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:2,300(万円)
- 課税遺産総額4億円に対する長男Cさんの法定相続分は4分の1(1億円)です。速算表(5,000万円超1億円以下:税率30%、控除額700万円)より、1億円×30%-700万円=2,300万円となります。
- ③:10,900(万円)
- 各人の税額を算出します。妻B(法定相続分2億円):2億円×40%-1,700万円=6,300万円。長男Cおよび二男D(各1億円):各2,300万円。これらを合算して、相続税の総額は6,300万円+2,300万円+2,300万円=10,900万円となります。

関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 相続税の総額は、課税遺産総額を実際の遺産分割割合ではなく「法定相続分」で仮に取得したとして計算し合算する。
間違えやすいところ
- 法定相続人の法定相続分を取り違えないように注意する(配偶者と子2人の場合、配偶者1/2、子各1/4)。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺留分の計算・小規模宅地等の特例・相続税の申告期限と未分割時の手続
相続・事業承継 · 遺留分の計算 / 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 / 相続税の申告期限 / 申告期限後3年以内の分割見込書
Aさんの相続に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を、語群の中から選びなさい。 Ⅰ「遺言により賃貸マンション等の相続財産の大半を長男Cさんに相続させた場合、二男Dさんの遺留分を侵害する可能性があります。仮に、遺留分を算定するための財産の価額が5億円である場合、二男Dさんの遺留分の金額は( ① )万円となります」 Ⅱ「妻Bさんが自宅の敷地および建物を相続により取得し、自宅の敷地の全部について、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、当該敷地(相続税評価額:6,000万円)について、相続税の課税価格に算入すべき価額を( ② )万円とすることができます。なお、自宅の敷地について優先して本特例の適用を受けた場合、賃貸マンションの敷地のうち、貸付事業用宅地等として適用を受けることができる面積は所定の算式により調整しなければなりません」 Ⅲ「相続税の申告書は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ③ )カ月以内に、Aさんの死亡時の住所地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。相続税の申告期限までに遺産分割協議が調わなかった場合、相続税の申告時において、未分割の財産に対して『配偶者に対する相続税額の軽減』や『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることができないというデメリットが生じます。その場合、相続税の申告の際に『申告期限後( ④ )年以内の分割見込書』を税務署に提出し、申告期限後( ④ )年以内に遺産分割協議が成立すれば、それらの特例の適用を受けるため、分割後4カ月以内に更正の請求を行うことができます」
- イ
- 2
- ロ
- 3
- ハ
- 4
- ニ
- 6
- ホ
- 10
- ヘ
- 12
- ト
- 1,200
- チ
- 3,000
- リ
- 4,800
- ヌ
- 6,000
- ル
- 6,250
- ヲ
- 12,500
解答・解説を表示
解答
① ル、② ト、③ ホ、④ ロ
解説
相続において遺留分は兄弟姉妹以外の法定相続人に保障された最低限の遺産取得割合です。また、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を未分割状態で適用するには、申告期限(10カ月以内)までに申告期限後3年以内の分割見込書を提出する必要があります。
解き方
- 法定相続人と法定相続分を整理し、総遺留分割合(1/2)を乗じて二男Dさんの個別遺留分額を算出する。
- 特定居住用宅地等の減額割合(80%)から課税価格算入割合(20%)を乗じて自宅敷地の課税価格を計算する。
- 相続税の申告期限(10カ月以内)および未分割時の特例適用手続(申告期限後3年以内の分割見込書)の規定を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ル
- 二男Dさんの法定相続分は1/4(妻1/2、子それぞれ1/4)です。直系尊属のみが相続人である場合を除き総遺留分は財産の1/2であるため、二男Dさんの遺留分割合は1/2×1/4=1/8となります。遺留分算定の基礎となる財産の価額50,000万円に1/8を乗じると6,250万円となり、「ル」が正解です。
- 小問 ②:ト
- 配偶者が取得する自宅の敷地(200㎡)は特定居住用宅地等(限度面積330㎡)に該当し、80%の減額が適用されます。減額後の課税価格に算入すべき価額は、6,000万円×(1-0.8)=1,200万円となり、「ト」が正解です。
- 小問 ③:ホ
- 相続税の申告書の提出期限は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から「10」カ月以内であるため、「ホ」が正解です。
- 小問 ④:ロ
- 申告期限までに遺産分割が調わない場合、「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付して提出しておくことで、申告期限後「3」年以内に分割された際に配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用を受けて更正の請求を行うことができます。したがって「ロ」が正解です。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 遺留分割合は、直系尊属のみが相続人の場合は3分の1、それ以外は全体で2分の1となる。
- 小規模宅地等の特例における特定居住用宅地等は限度面積330㎡まで80%減額される。
- 相続税の申告期限は10カ月以内であり、未分割特例適用には「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出が必要である。
間違えやすいところ
- 遺留分の計算で、法定相続分の割合(1/4)をそのまま掛けてしまい、総遺留分割合(1/2)を掛け忘れるミスが多い。
- 小規模宅地等の計算で「課税価格に算入すべき価額(20%相当)」を問われているのに、「減額される金額(80%相当)」を答えてしまうミスが多い。
出題の前提:2023年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2023年9月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

