日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
公的年金制度の遺族給付および年金生活者支援給付金
ライフプランニングと資金計画 · 遺族基礎年金 / 遺族年金生活者支援給付金 / 遺族厚生年金 / 加算額の計算
公的年金制度の遺族給付および遺族年金生活者支援給付金に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を語句群から選びなさい。 Ⅰ「Aさんが現時点(2023年5月28日)において死亡した場合、妻Bさんは遺族基礎年金および遺族厚生年金を受給することができます。遺族基礎年金を受給することができる遺族の範囲は、国民年金の被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持されていた『子のある配偶者』または『子』です。『子』とは、18歳到達年度の末日までの間にあるか、20歳未満で障害等級( ① )に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻していない子を指します。子のある配偶者の遺族基礎年金の年金額(2022年度価額)は、『777,800円+子の加算額』の算式により算出され、子の加算額は、第1子・第2子までは1人につき□□□円、第3子以降は1人につき□□□円となります。仮に、Aさんが現時点で死亡した場合、妻Bさんが受給することができる遺族基礎年金の年金額は、( ② )円(2022年度価額)となります。また、妻Bさんは遺族年金生活者支援給付金も受給することができます。その年額は( ③ )円(2022年度価額)となります」 Ⅱ「Aさんが厚生年金保険の被保険者期間中に死亡した場合、遺族厚生年金の年金額は、原則として、Aさんの厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の( ④ )相当額になります。ただし、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が300月に満たないときは、300月とみなして年金額が計算されます」
- イ
- 1級、2級または3級
- ロ
- 1級または2級
- ハ
- 3級
- ニ
- 48,240
- ホ
- 60,240
- ヘ
- 72,240
- ト
- 927,000
- チ
- 1,076,200
- リ
- 1,225,400
- ヌ
- 3分の2
- ル
- 4分の3
- ヲ
- 5分の4
解答・解説を表示
解答
① ロ、② リ、③ ホ、④ ル
解説
公的年金の遺族給付では、遺族基礎年金の受給要件となる子の範囲(18歳年度末までまたは20歳未満で1・2級障害)や加算額の計算、および遺族厚生年金の年金額(報酬比例部分の4分の3相当額)が基本的な算定ルールとして定められています。
解き方
- 遺族基礎年金の対象となる子の年齢要件および障害等級要件を確認し、空欄①に「1級または2級」を選定します。
- 基本額に第1子・第2子の加算額(各223,800円)を合算して遺族基礎年金額を算出し、空欄②に1,225,400円を選定します。
- 遺族年金生活者支援給付金の月額5,020円から年額(60,240円)を求め、空欄③を選定します。
- 遺族厚生年金の報酬比例部分に対する乗率(4分の3)を確認し、空欄④を選定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 遺族基礎年金における「子」とは、18歳到達年度の末日(3月31日)までの間にある子、または20歳未満で障害等級1級・2級の障害の状態にあり、現に婚姻していない子を指します。
- 小問 ②:リ
- 2022年度の遺族基礎年金の基本額は777,800円、第1子・第2子の加算額は各223,800円です。子が2人(長男C・長女D)いるため、777,800円+223,800円×2=1,225,400円となります。
- 小問 ③:ホ
- 遺族年金生活者支援給付金の給付基準額(2022年度価額)は月額5,020円です。年額換算すると5,020円×12月=60,240円となります。
- 小問 ④:ル
- 被保険者等の死亡により支給される遺族厚生年金の額は、原則として死亡した者の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の4分の3相当額です。
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覚えるポイント
- 遺族基礎年金の子の要件:18歳年度末まで、または20歳未満で障害等級1級・2級
- 遺族厚生年金の額:報酬比例部分の4分の3相当額(短期要件では300月みなし保証あり)
間違えやすいところ
- 障害基礎年金や遺族基礎年金の障害要件に3級が含まれると誤認すること
- 遺族厚生年金の支給割合を老齢厚生年金の額全額や3分の2と取り違えること
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等(2022年度年金額)
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 遺族厚生年金 / 報酬比例部分の計算 / 短期要件 / 中高齢寡婦加算
Mさんは、Aさんが現時点(2023年5月28日)で死亡した場合に妻Bさんが受給することができる遺族厚生年金の年金額(2022年度価額)を試算した。妻Bさんが受給することができる遺族厚生年金の年金額を求める下記の<計算式>の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。計算にあたっては《設例》の資料に基づき、年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること。 <計算式> 遺族厚生年金の年金額 (( ① )円 × 7.125 / 1,000 × □□□月 + □□□円 × 5.481 / 1,000 × □□□月)× 300月 / ( ② )月 × □□□ =( ③ )円(円未満四捨五入)
解答・解説を表示
解答
① 250,000、② 289、③ 457,357
解説
被保険者期間中の死亡等による遺族厚生年金(短期要件)は、老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4相当額として計算されます。その際、加入実績月数が300月未満の場合は300月とみなして年金額を計算する最低保障(300月みなし計算)が適用されます。
解き方
- 設例の資料から2003年3月以前の平均標準報酬月額250,000円を読み取り空欄①を特定します。
- 被保険者月数の合計(48月+241月=289月)を計算し、空欄②の実際の被保険者期間月数を特定します。
- 2003年3月以前と4月以後の報酬比例額をそれぞれ算出して合算し、短期要件の300月みなし補正(300/289)および3/4を掛けて遺族厚生年金額を算出し、円未満を四捨五入します。
答えの内訳
- ①:250,000
- 2003年3月以前の被保険者期間における平均標準報酬月額は設例より25万円であるため、円単位で「250,000」となります。
- ②:289
- Aさんの厚生年金保険の被保険者期間は、2003年3月以前の48月と2003年4月以後の241月を合算して48月+241月=289月となります。
- ③:457,357
- 報酬比例部分は、250,000×(7.125/1,000)×48=85,500円、380,000×(5.481/1,000)×241=501,950.78円で合計587,450.78円です。短期要件の300月みなしおよび4分の3を乗じると、587,450.78×(300/289)×(3/4)=457,357.87...円となり、円未満四捨五入で457,357円となります。
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覚えるポイント
- 遺族厚生年金の短期要件では被保険者期間が300月未満の場合、300月とみなして計算する
- 遺族厚生年金の額は原則として老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3相当額である
間違えやすいところ
- 被保険者期間の月数に国民年金納付済期間(27月)を含めて計算してしまうこと
- 最後に遺族厚生年金の支給割合である「3/4」を掛け忘れて老齢厚生年金の報酬比例額のまま解答すること
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等(2022年度価額)
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族給付および障害給付の仕組みと受給要件
リスク管理・年金 · 寡婦年金 / 中高齢寡婦加算 / 障害基礎年金 / 障害厚生年金 / 加給年金
設例の会社員Aさん(厚生年金被保険者)とその家族について、公的年金制度の遺族給付および障害給付に関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ①「仮に、Aさんが現時点(2023年5月28日)において死亡した後、長女Dさんの18歳到達年度の末日が終了し、妻Bさんの有する遺族基礎年金の受給権が消滅した場合、妻Bさんが65歳に達するまでの間、寡婦年金が支給されます」 ②「仮に、Aさんが障害を負い、その障害の程度が公的年金制度における障害等級1級と認定されて障害基礎年金を受給することになった場合、その障害基礎年金の年金額(2022年度価額)は、『777,800円×1.5+子の加算額』の算式により算出されます」 ③「仮に、Aさんが障害を負い、その障害の程度が公的年金制度における障害等級3級と認定されて障害厚生年金を受給することになった場合、その障害厚生年金の年金額に配偶者の加給年金額は加算されません」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
国民年金の遺族給付には第1号被保険者向けの独自給付(寡婦年金・死亡一時金)と全国民共通の遺族基礎年金があります。厚生年金加入者の遺族には遺族厚生年金および中高齢寡婦加算が用意されています。また、障害基礎年金は1級が2級の1.25倍であり、障害厚生年金の配偶者加給年金は1級・2級のみに加算される点が基本原則です。
解き方
- 死亡者の被保険者履歴(第1号・厚生年金)を確認し、受給対象となる給付(中高齢寡婦加算か寡婦年金か)を判定する。
- 障害基礎年金1級の法定給付乗数(1.25倍)と設問の記述(1.5倍)を照合する。
- 障害厚生年金の加給年金支給要件である障害等級(1級・2級に限定)を確認し、3級の記述の妥当性を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 寡婦年金は、第1号被保険者としての保険料納付済期間(免除期間を含む)が10年以上ある夫が年金を受け取らずに死亡した場合に支給される制度です。Aさんの第1号被保険者期間は27月しかなく要件を満たしません。また、遺族基礎年金を受給していた配偶者の受給権が子の18歳年度末到達等で消滅した後に要件を満たせば、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されますが、寡婦年金は支給されません。
- 小問 ②:×
- 障害等級1級の障害基礎年金の年金額は、2級の満額(777,800円)の1.25倍に相当する「777,800円×1.25+子の加算額」によって算出されます。1.5倍ではありません。
- 小問 ③:○
- 障害厚生年金における生計維持関係にある配偶者の加給年金額は、障害等級が1級または2級に認定された受給権者に加算されます。障害等級3級の受給権者には加給年金額は加算されません。
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覚えるポイント
- 障害基礎年金1級は2級の額の1.25倍(1.5倍ではない)。
- 障害厚生年金の加給年金は1級・2級のみ対象で3級は対象外。
- 寡婦年金は第1号被保険者期間が10年以上ある夫の死亡時に支給される。
間違えやすいところ
- 障害基礎年金1級の倍率を労災保険の遺族補償年金などの数値(1.5倍)と混同すること。
- 厚生年金受給者に上乗せされる中高齢寡婦加算と、自営業者向けの国民年金独自給付である寡婦年金を混同すること。
出題の前提:特に指示のない限り、2022年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式取引の基本ルールと株価指標
金融資産運用 · 日経平均株価 / 指値注文 / 売買成立ルール / 権利付き最終日 / 受渡日
株式取引のルール等に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。 ①「国内株式市場における代表的な株価指標である日経平均株価は、東京証券取引所のスタンダード市場に上場している銘柄のうち、代表的な225銘柄を対象とした修正平均型の株価指標です」 ②「上場株式の注文方法のうち、指値注文では、高い値段の買い注文が低い値段の買い注文に優先して売買が成立し、同じ値段の買い注文については、寄付や引けなどを除き、先に出された注文が後に出された注文に優先して売買が成立します」 ③「X社株式の次回の配当を受け取るためには、普通取引の場合、権利確定日の2営業日前である2023年6月28日(水)までに買付けを行い、権利確定日に株主として株主名簿に記載される必要があります」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
株式取引では、注文執行における「価格優先・時間優先の原則」や、約定日を含めて3営業日目に受け渡しが行われる受渡日ルールが基本となります。また、日経平均株価は東証プライム市場を構成する代表225銘柄を対象とする修正平均株価です。
解き方
- 日経平均株価の対象市場がスタンダード市場かプライム市場かを確認する。
- 指値注文における売買執行ルール(価格優先の原則・時間優先の原則)の定義を確認する。
- 権利確定日(2023年6月30日金曜日)から営業日を遡り、2営業日前(6月28日水曜日)が権利付き最終日であることを計算・確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 日経平均株価(日経225)は、東京証券取引所のプライム市場(旧・東証市場第一部)に上場する代表的な225銘柄を対象とした修正平均型の株価指標です。スタンダード市場ではありません。
- 小問 ②:○
- 株式市場の競売買の原則では、買い注文はより高い価格、売り注文はより低い価格が優先される「価格優先の原則」と、同値の場合は先に出された注文が優先される「時間優先の原則」が適用されます。
- 小問 ③:○
- 普通取引の受渡日は約定日から起算して3営業日目(2営業日後)となるため、決算日である権利確定日(2023年6月30日金曜日)に株主名簿に記載されるには、その2営業日前である権利付き最終日(同年6月28日水曜日)までに買付約定する必要があります。
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覚えるポイント
- 日経平均株価は東証「プライム市場」の代表225銘柄が対象。
- 株式の受渡日は約定日を含めて3営業日目(2営業日後)。
- 権利付き最終日は権利確定日の2営業日前。
間違えやすいところ
- 東証の市場区分再編(プライム・スタンダード・グロース)において日経平均株価の対象をスタンダード市場と取り違えること。
- 受渡日を「3営業日後」と誤認し、権利付き最終日を3営業日前と数え間違えること(約定日を含め3営業日目=2営業日後)。
出題の前提:特に指示のない限り、2022年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
投資指標(PER・PBR)の計算
金融資産運用 · 株価収益率(PER) / 株価純資産倍率(PBR) / 株式投資指標
設例の財務データおよび株式情報に基づいて算出される、①X社株式のPER(株価収益率)および②Y社株式のPBR(株価純資産倍率)を求めなさい。なお、計算結果は小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで解答すること。 <データ概要> ・X社:当期純利益 12,000百万円、純資産の部合計 135,000百万円、株価 1,300円、発行済株式数 1億株 ・Y社:当期純利益 11,000百万円、純資産の部合計 43,000百万円、株価 1,200円、発行済株式数 8,000万株(純資産と自己資本の額は同額とする)
解答・解説を表示
解答
① 10.83(倍)、② 2.23(倍)
解説
PER(株価収益率)は株価が1株当たり当期純利益(EPS)の何倍まで買われているかを示す指標であり、PBR(株価純資産倍率)は株価が1株当たり純資産(BPS)の何倍であるかを示す指標です。いずれも企業の収益力や解散価値に対する株価の割高・割安を測定するために用いられます。
解き方
- X社の当期純利益12,000百万円を発行済株式数1億株で除してEPS(120円)を求め、株価1,300円を120円で割って四捨五入しPER(10.83倍)を算出する。
- Y社の純資産43,000百万円を発行済株式数8,000万株で除してBPS(537.5円)を求め、株価1,200円を537.5円で割って四捨五入しPBR(2.23倍)を算出する。
答えの内訳
- ①:10.83(倍)
- X社の1株当たり当期純利益(EPS)は、当期純利益12,000百万円÷発行済株式数1億株(100百万円株)=120円です。したがって、X社株式のPER=株価1,300円÷EPS120円≒10.833…倍となり、小数点以下第3位を四捨五入して10.83倍となります。
- ②:2.23(倍)
- Y社の1株当たり純資産(BPS)は、純資産の部合計43,000百万円÷発行済株式数8,000万株(80百万円株)=537.5円です。したがって、Y社株式のPBR=株価1,200円÷BPS537.5円≒2.232…倍となり、小数点以下第3位を四捨五入して2.23倍となります。
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覚えるポイント
- PER=株価÷EPS(1株当たり当期純利益)
- PBR=株価÷BPS(1株当たり純資産)
- 端数処理(小数点以下第3位四捨五入等)の指定を問題文で必ず確認する
間違えやすいところ
- 単位(百万円と株数)の桁数を誤って位取りを間違えること。
- PERの分母に純資産、PBRの分母に当期純利益を代入してしまう取り違え。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資指標(ROE・配当性向・投資スタイル)の正誤判定
金融資産運用 · 自己資本利益率(ROE) / 配当性向 / バリュー投資 / グロース投資
設例の財務データに基づいて、株式の投資指標等について説明した次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 「一般に、ROEの数値が高いほうが経営の効率性が高いと判断されます。ROEは、Y社のほうがX社よりも高くなっています」 ② 「株主への利益還元の大きさに着目した指標として、配当性向があります。配当性向は、X社のほうがY社よりも高くなっています」 ③ 「株式投資において、PERやPBR等が低い銘柄など、企業の業績や財務内容等からみて株価が割安と判断される銘柄に投資する手法は、一般に、グロース投資と呼ばれます」
- ①
- 一般に、ROEの数値が高いほうが経営の効率性が高いと判断されます。ROEは、Y社のほうがX社よりも高くなっています。
- ②
- 株主への利益還元の大きさに着目した指標として、配当性向があります。配当性向は、X社のほうがY社よりも高くなっています。
- ③
- 株式投資において、PERやPBR等が低い銘柄など、企業の業績や財務内容等からみて株価が割安と判断される銘柄に投資する手法は、一般に、グロース投資と呼ばれます。
解答・解説を表示
解答
① ○、② ×、③ ×
解説
企業の経営効率性や還元姿勢を測る指標として、株主資本(自己資本)を活用してどれだけ利益を稼いだかを表すROEや、稼いだ利益からどれだけ配当に充てたかを示す配当性向が用いられます。また、投資スタイルには割安性を重視するバリュー投資と、企業の成長性を重視するグロース投資があります。
解き方
- 設例の財務数値からX社とY社のROEおよび配当性向をそれぞれ算出して比較する。
- 割安株を対象とする投資手法(バリュー投資)と成長株を対象とする手法(グロース投資)の用語定義を確認し、各記述の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- ROE(自己資本利益率)=当期純利益÷自己資本×100です。X社のROE=12,000÷135,000×100≒8.89%、Y社のROE=11,000÷43,000×100≒25.58%となり、Y社のほうが高いので正しい記述です。
- 小問 ②:×
- 配当性向=配当金総額÷当期純利益×100です。X社の配当性向=3,000÷12,000×100=25.0%、Y社の配当性向=3,200÷11,000×100≒29.09%であり、Y社のほうが高いため「X社のほうが高い」とする本記述は不適切です。
- 小問 ③:×
- PERやPBRが低く、財務や業績から割安と判断される銘柄に投資する手法は「バリュー投資」と呼ばれます。グロース投資は企業の成長性を重視して投資する手法であるため不適切です。
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覚えるポイント
- ROE(自己資本利益率)=当期純利益÷自己資本×100
- 配当性向=配当金総額÷当期純利益×100(または1株当たり配当金÷EPS×100)
- バリュー投資は割安株狙い、グロース投資は成長株狙い
間違えやすいところ
- 配当利回り(配当金÷株価)と配当性向(配当金÷純利益)の計算式の混同。
- バリュー投資(割安株投資)とグロース投資(成長株投資)の用語定義の逆転。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
青色申告制度の特典と要件
タックスプランニング · 青色申告特別控除 / 純損失の繰越控除 / 青色申告の特典
所得税における青色申告制度に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、〈数値群〉から選びなさい。 Ⅰ 「事業所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最高( ① )万円を控除することができます。( ① )万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、事業所得に係る取引を正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出することに加えて、e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存を行う必要があります。なお、確定申告書を法定申告期限後に提出した場合、青色申告特別控除額は最高( ② )万円となります」 Ⅱ 「青色申告者が受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除のほかに、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の( ③ )年間の繰越控除、純損失の繰戻還付、棚卸資産の評価について低価法を選択できることなどが挙げられます」 〈数値群〉 イ.3 ロ.5 ハ.7 ニ.10 ホ.38 ヘ.48 ト.55 チ.65
- イ
- 3
- ロ
- 5
- ハ
- 7
- ニ
- 10
- ホ
- 38
- ヘ
- 48
- ト
- 55
- チ
- 65
解答・解説を表示
解答
① チ、② ニ、③ イ
解説
所得税の青色申告制度は、適正な記帳と申告を行う納税者に対して税制上の優遇措置を与える制度です。最大65万円の特別控除を受けるには、複式簿記による記帳と期限内申告に加え電子申告等の要件を満たす必要があります。また、純損失が生じた際には翌年以降3年間の繰越控除や前年分への繰戻還付が認められています。
解き方
- 空欄①について、正規の簿記の原則、期限内申告、e-Tax申告等の要件を満たした際の特別控除の最高限度額が65万円であることを確認します。
- 空欄②について、法定申告期限後に提出した場合に適用される控除額が最高10万円であることを判定します。
- 空欄③について、青色申告者に認められている純損失の繰越控除の適用可能年数が3年間であることを特定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:チ
- 正規の簿記の原則による記帳、貸借対照表等の添付、期限内申告に加え、e-Taxによる申告または電子帳簿保存を満たす場合の青色申告特別控除の最高限度額は65万円となります。
- 小問 ②:ニ
- 法定申告期限後に提出した場合や簡易帳簿による記帳の場合は、55万円や65万円の控除は受けられず、青色申告特別控除額は最高10万円となります。
- 小問 ③:イ
- 青色申告者が事業等から生じた純損失の金額について損益通算してもなお控除しきれない金額がある場合、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰越控除できます。
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覚えるポイント
- 青色申告特別控除の額は、最高65万円(要電子申告等)、55万円(電子申告等なし)、10万円(期限後や簡易帳簿)の3区分があります。
- 純損失の繰越控除は翌年以後3年間、前年への繰戻還付も青色申告者の特典です。
間違えやすいところ
- 65万円控除を受ける要件を満たしていても、確定申告書を法定申告期限後に提出してしまうと10万円控除に減額される点を見落としがちです。
- 電子申告(e-Tax)または優良な電子帳簿保存がない場合は、正規の簿記であっても55万円控除にとどまります。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の所得税法に基づく青色申告特別控除および純損失の繰越控除の規定
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の損益通算および各種人的控除の要件
タックスプランニング · 不動産所得の損益通算 / 土地取得の負債利子 / 配偶者控除 / 青色事業専従者 / 老人扶養親族
設例のAさんの2022年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 「不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、土地の取得に係る負債の利子20万円に相当する部分の金額は、他の所得の金額と損益通算することはできません」 ② 「妻Bさんの合計所得金額は48万円以下であるため、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます」 ③ 「母Cさんは75歳未満であるため、老人扶養親族には該当せず、一般の控除対象扶養親族に該当します。母Cさんに係る扶養控除の控除額は、38万円です」
解答・解説を表示
解答
① ○、② ×、③ ×
解説
不動産所得の赤字のうち土地取得に係る負債の利子は損益通算できません。また、青色事業専従者給与の支給を受ける家族は配偶者控除や扶養控除の対象から除外されます。扶養控除における老人扶養親族の年齢要件は70歳以上であり、75歳(後期高齢者医療制度の節目)と混同しないことが重要です。
解き方
- 記述①について、不動産所得の損失における土地取得に係る負債利子の損益通算の制限規定に照らし、20万円部分が通算不可であるため適切(○)と判定します。
- 記述②について、妻Bさんが青色事業専従者給与の支給を受けている事実を確認し、配偶者控除等の対象から除外されるため不適切(×)と判定します。
- 記述③について、母Cさんの年齢(73歳)から老人扶養親族の基準(70歳以上)を満たしていること、および公的年金等控除により合計所得要件を満たすため同居老親等(控除額58万円)に該当することを確認し、記述が不適切(×)と判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 不動産所得の金額の計算上生じた損失のうち、不動産所得を生ずべき土地等の取得に要した負債の利子に相当する部分の金額は、損益通算の対象外(切り捨て)とされます。したがって記述は適切です。
- 小問 ②:×
- 妻BさんはAさんの青色事業専従者として給与(100万円)の支払を受けています。青色事業専従者給与の支払を受ける者は、合計所得金額にかかわらず控除対象配偶者に該当しないため、配偶者控除の適用は受けられません。
- 小問 ③:×
- 老人扶養親族とは、その年12月31日現在において年齢が70歳以上の控除対象扶養親族をいいます。母Cさんは73歳であり、公的年金収入70万円(65歳以上のため公的年金等控除110万円以下で合計所得金額0円)で生計を一にする同居老親等に該当するため、扶養控除額は58万円となります。
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覚えるポイント
- 不動産所得の損失のうち、土地取得に係る負債利子は他の所得と損益通算できません(建物取得の負債利子は通算可能)。
- 青色事業専従者給与の支給を受けている家族は、配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除の対象になれません。
- 老人扶養親族は年齢70歳以上が対象で、控除額は同居老親等で58万円、同居老親等以外で48万円です。
間違えやすいところ
- 妻の所得が給与所得控除後で45万円(給与100万円-55万円)と48万円以下であっても、青色事業専従者給与を受け取っている場合は配偶者控除を受けられない点に注意が必要です。
- 老人扶養親族の年齢判定を、後期高齢者の75歳と混同して75歳以上と誤解しないようにしましょう(正しくは70歳以上)。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の所得税法(損益通算の特例、青色事業専従者および扶養控除等の規定)
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の総所得金額・基礎控除・算出税額の計算
タックスプランニング · 損益通算 / 一時所得 / 総所得金額 / 基礎控除 / 所得税額の速算表
設例のAさん(個人事業主・青色申告者)の2022年分の所得税の算出税額に関する表の空欄①~③に入る数値を求めなさい。 <Aさんの2022年分の収入等に関する資料> (1)事業所得の金額:500万円(青色申告特別控除後) (2)不動産所得の金額:▲40万円(損失40万円のうち土地取得に係る負債利子20万円を含む) (3)一時払変額個人年金保険(10年確定年金、2014年10月契約、契約者・被保険者=Aさん、死亡保険金受取人=妻Bさん)の解約返戻金:解約返戻金額560万円、正味払込保険料500万円 表の項目: ・(a)総所得金額:( ① )円 ・基礎控除:( ② )円 ・課税総所得金額((a)-所得控除合計(b)):2,700,000円 ・(d)算出税額(課税総所得金額に対する所得税額):( ③ )円
解答・解説を表示
解答
① 4,850,000(円)、② 480,000(円)、③ 172,500(円)
解説
総所得金額の算定では、不動産所得の生ずべき土地等の取得に要した負債利子に基因する損失は損益通算が認められません。また契約から5年を超えて解約された一時払個人年金保険の解約返戻金は一時所得に該当し、特別控除(最高50万円)後の金額の2分の1が総所得金額に合算されます。
解き方
- 不動産所得の損失から土地取得に係る借入金利子20万円を除外して損益通算対象額(▲20万円)を算出する。
- 一時払個人年金保険の解約差益(60万円)から一時所得の特別控除(50万円)を差し引き、2分の1(5万円)を求める。
- 事業所得(500万円)、通算可能な不動産所得(▲20万円)、一時所得の算入額(5万円)を合算して総所得金額(4,850,000円)を計算する。
- 合計所得金額要件を確認し基礎控除額(480,000円)を決定したうえで、与えられた課税総所得金額に速算表を適用して算出税額(172,500円)を求める。
答えの内訳
- ①:4,850,000(円)
- 不動産所得の損失40万円のうち土地取得に係る負債利子20万円は損益通算の対象外となるため、通算できる損失は20万円です。一時払変額個人年金保険の解約返戻金は契約から5年超経過しており一時所得となり、総所得金額への算入額は(560万円-500万円-特別控除50万円)×1/2=5万円です。したがって総所得金額は500万円-20万円+5万円=4,850,000円となります。
- ②:480,000(円)
- 合計所得金額が2,400万円以下である納税者の基礎控除額は一律48万円(480,000円)です。
- ③:172,500(円)
- 課税総所得金額2,700,000円を速算表に当てはめると、税率10%、控除額97,500円が適用されます。算出税額は2,700,000円×10%-97,500円=172,500円となります。
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覚えるポイント
- 不動産所得の赤字のうち土地取得に係る負債利子相当分は損益通算不可
- 一時所得の総所得金額への算入は特別控除後さらに2分の1とする
- 合計所得金額2,400万円以下の基礎控除額は48万円
間違えやすいところ
- 不動産所得の損失全額40万円をそのまま事業所得から控除してしまう誤り
- 一時所得の2分の1計算を忘れて10万円をそのまま総所得金額に合算してしまう誤り
出題の前提:2022年10月1日現在施行の所得税関係法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
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建築基準法における建蔽率・容積率の上限面積の計算
不動産 · 建蔽率の緩和・適用除外 / 容積率の制限 / 前面道路幅員による容積率制限 / 建築面積 / 延べ面積
甲土地(敷地面積600㎡、近隣商業地域、指定建蔽率80%、指定容積率400%、防火地域、前面道路:北側幅員6m公道、特定行政庁が指定する区域外)上に耐火建築物を建築する場合における、次の①、②を求めなさい。 ① 建蔽率の上限となる建築面積 ② 容積率の上限となる延べ面積
解答・解説を表示
解答
① 600(㎡)、② 2,160(㎡)
解説
建蔽率80%地域で防火地域内に耐火建築物を建築する場合は建蔽率が100%となり制限が適用されません。容積率は指定容積率と「前面道路幅員×法定乗数」により算定される基準容積率のいずれか小さい方が上限となります。
解き方
- 甲土地の指定建蔽率(80%)と防火規制(防火地域+耐火建築物)から建蔽率が100%(適用除外)となることを確認し、600㎡×100%=600㎡を算出する。
- 前面道路幅員制限(6m×6/10=360%)と指定容積率(400%)を比較し、小さい方の360%を容積率の上限として採用する。
- 敷地面積に適用容積率を乗じて延べ面積の上限(600㎡×360%=2,160㎡)を計算する。
答えの内訳
- ①:600(㎡)
- 指定建蔽率が80%の地域内で、かつ防火地域内にある耐火建築物であるため、建築基準法第53条の規定により建蔽率の制限が適用除外(100%)となります。したがって建蔽率の上限となる建築面積は、敷地面積600㎡×100%=600㎡となります。
- ②:2,160(㎡)
- 前面道路幅員による容積率制限は幅員6m×6/10=360%です。指定容積率400%と比較していずれか小さい方の360%が適用されます。延べ面積の上限は、敷地面積600㎡×360%=2,160㎡となります。

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覚えるポイント
- 指定建蔽率80%地域+防火地域+耐火建築物は建蔽率制限なし(100%)
- 前面道路幅員が12m未満の場合、指定容積率と前面道路幅員制限の小さい方が適用される
間違えやすいところ
- 建蔽率80%に10%加算して90%として計算してしまう誤り
- 容積率計算で道路幅員制限(360%)を考慮せず指定容積率400%を用いて2,400㎡としてしまう誤り
出題の前提:2022年10月1日現在施行の建築基準法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
賃貸マンション建築に伴う法規制と投資指標
不動産 · 宅地建物取引業法 / マスターリース契約(特定賃貸借契約) / NOI利回り(純利回り)
Aさんが甲土地上に賃貸マンションを建築する場合の留意点等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。
- ①
- Aさんが、所有するマンションについて自ら建物の管理や入居者の募集、入居者との賃貸借契約を行う場合には、あらかじめ宅地建物取引業の免許を取得する必要がありますが、マスターリース契約(特定賃貸借契約)に基づき、X社に建物を一括賃貸する場合は、宅地建物取引業の免許は不要です。
- ②
- AさんがX社と普通借家契約としてマスターリース契約(特定賃貸借契約)を締結し、当該契約において賃料が保証される場合であっても、X社から経済事情の変動等を理由として契約期間中に賃料の減額請求を受ける可能性があります。
- ③
- 不動産の収益性を測る指標の1つであるNOI利回り(純利回り)は、不動産投資によって得られる賃料等の年間総収入額を総投資額で除して算出されます。この指標では、簡便に不動産の収益性を把握することができますが、不動産投資に伴う諸経費は考慮されていないため、あくまで目安として利用するようにしてください。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
不動産の賃貸経営では、自ら貸借は宅地建物取引業の免許が不要である点、マスターリース契約であっても借地借家法が適用され賃料減額請求があり得る点、諸経費を控除する実質利回り(NOI利回り)と表面利回りの違いを正確に理解する必要があります。
解き方
- 記述①について、自ら所有する不動産を自ら貸借する行為が宅地建物取引業の対象となるか否かを判断する。
- 記述②について、マスターリース契約における借地借家法の賃料増減請求権の適用関係を確認する。
- 記述③について、NOI利回り(純利回り)と表面利回り(グロス利回り)の計算式および諸経費考慮の有無を比較照合する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 不動産の所有者自身が自ら建物を賃貸(自ら貸借)する行為は、宅地建物取引業法の「取引」に該当しないため、自ら管理・募集・契約を行う場合であっても宅地建物取引業の免許は不要です。
- 小問 ②:○
- マスターリース契約(特定賃貸借契約)であっても借地借家法第32条(借賃増減請求権)の適用があるため、賃料保証の定めがあっても、借手であるサブリース会社から契約期間中に賃料の減額請求を受ける可能性があります。
- 小問 ③:×
- 不動産投資に伴う諸経費を考慮せず「年間総収入額÷総投資額」で算出される指標は表面利回り(グロス利回り)です。NOI利回り(純利回り)は、年間総収入から管理費・公租公課等の諸経費を差し引いた純収益(NOI)を総投資額で除して算出します。
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覚えるポイント
- 自ら貸借は宅建業の免許不要(転貸・仲介・代理は業に該当する場合あり)
- サブリース(特定賃貸借契約)でも借地借家法が適用され賃料減額請求権は排除されない
- NOI利回り=(年間賃料等収入-諸経費)÷総投資額×100
間違えやすいところ
- 自ら建物を管理して賃貸借契約を結ぶには宅建業免許が必要と誤認しやすい
- 「賃料保証」とある契約なら期間中は絶対に減額されないと誤認しやすい
- 表面利回りと純利回り(NOI利回り)の定義を取り違えやすい
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等(宅地建物取引業法、借地借家法、賃貸住宅管理業法)
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
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賃貸マンション建築に伴う税務上の取扱い
不動産 · 不動産所得の必要経費 / 貸家建付地の相続税評価 / 小規模住宅用地の固定資産税特例
Aさんが甲土地上に賃貸マンションを建築する場合の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。
- ①
- Aさんが甲土地に賃貸マンションを建築し、不動産取得税および登録免許税を支払った場合、不動産所得の金額の計算上、いずれも必要経費に算入することができます。
- ②
- Aさんが甲土地に賃貸マンションを建築した場合、相続税額の計算上、甲土地は貸家建付地として評価されます。甲土地の貸家建付地としての価額は、当該マンションの賃貸割合が高いほど、高く評価されます。
- ③
- Aさんが甲土地に賃貸マンションを建築した場合、甲土地に係る固定資産税の課税標準を、住宅1戸につき 200 ㎡までの部分(小規模住宅用地)について課税標準となるべき価格の6分の1の額とする特例の適用を受けることができます。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
賃貸不動産の建築に伴う租税公課の必要経費算入可否、相続税における貸家建付地の評価算式と賃貸割合の影響、固定資産税における住宅用地(特に小規模住宅用地)の特例措置の適用要件を把握しておく必要があります。
解き方
- 記述①について、不動産所得の計算上、取得税や登録免許税が必要経費として処理できるかを確認する。
- 記述②について、貸家建付地の評価減の算式「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」より賃貸割合の変動と評価額の関係を検討する。
- 記述③について、住宅用地の固定資産税特例において、集合住宅における小規模住宅用地の適用単位(戸数×200㎡)と減額割合(6分の1)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 業務の用に供される賃貸用マンションの取得・建築に伴い支払った不動産取得税や登録免許税は、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入することができます。
- 小問 ②:×
- 貸家建付地の評価額は「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で算出されるため、賃貸割合が高いほど控除額が大きくなり、評価額は低くなります(減額されます)。
- 小問 ③:○
- 住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例では、住宅1戸につき200㎡までの小規模住宅用地について課税標準が価格の6分の1に軽減され、賃貸マンション等の集合住宅でも戸数×200㎡まで適用されます。
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覚えるポイント
- 不動産取得税・登録免許税・固定資産税・都市計画税は不動産所得の必要経費に算入可能
- 貸家建付地評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)であり、空室が少なく賃貸割合が高いほど評価額は低くなる
- 固定資産税の住宅用地特例:200㎡以下(小規模)は1/6、200㎡超(一般)は1/3(集合住宅は1戸あたり200㎡判定)
間違えやすいところ
- 不動産取得税や登録免許税を取得価額に含めて減価償却しなければならないと誤認しやすい
- 賃貸割合が高いほど満室で収益力が高いことから、土地の相続税評価額も高くなると勘違いしやすい
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等(所得税法、相続税法財産評価基本通達、地方税法)
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
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相続手続き・準確定申告・死亡退職金の非課税限度額
相続・事業承継 · 単純承認 / 準確定申告 / 死亡退職金のみなし相続財産
被相続人Aさんの相続等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を付けなさい。 ① 「妻Bさんや長男Cさんが、Aさんの相続について単純承認する場合、原則として、相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません」 ② 「Aさんの2023年分の所得税について確定申告書を提出しなければならない場合に該当するとき、相続人は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に準確定申告書を提出しなければなりません」 ③ 「妻Bさんが受け取った死亡退職金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。妻Bさんが受け取った死亡退職金3,000万円のうち、相続税の課税価格に算入される金額は1,500万円となります」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
民法上の相続承認・放棄の期間と手続き、所得税法における準確定申告の期限、および相続税法におけるみなし相続財産の非課税限度額(代襲相続人を含む法定相続人の数の算定)の基本ルールを正しく整理することが重要です。
解き方
- 単純承認・限定承認・相続放棄の手続き上の相違と申述の要否を確認する。
- 死亡した者の所得税確定申告(準確定申告)の提出期限ルールを確認する。
- 被相続人より先に死亡した長女Dの子(孫E・孫F)が代襲相続人となることを踏まえ、法定相続人の数を正確にカウントして非課税限度額を計算する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 単純承認をする場合は家庭裁判所への申述手続きは不要です。相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に限定承認または相続放棄をしなかったときは、原則として単純承認をしたものとみなされます。
- 小問 ②:○
- 年の中途で死亡した被相続人に確定申告書の提出義務がある場合、相続人は原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に準確定申告書を提出する必要があります。
- 小問 ③:×
- 死亡退職金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」です。本問の法定相続人は妻B・長男C・孫E・孫Fの4人であるため、非課税限度額は2,000万円(500万円×4人)となります。したがって、課税価格に算入される金額は1,000万円(3,000万円-2,000万円)であり、1,500万円ではありません。
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覚えるポイント
- 相続放棄と限定承認は3カ月以内に家庭裁判所へ申述が必要だが、単純承認は手続き不要。
- 所得税の準確定申告期限は、相続開始を知った日の翌日から4カ月以内。
- 死亡退職金・死亡保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数(代襲相続人も人数に含む)。
間違えやすいところ
- 死亡した長女Dを1人と数えて法定相続人を3人としてしまい、非課税限度額を1,500万円と誤認すること。
- 単純承認の手続きを限定承認や相続放棄の手続きと混同してしまうこと。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額 / 相続税の総額
被相続人Aさんの相続に係る相続税の総額を試算した表の空欄①~③に入る数値を求めなさい。なお、課税遺産総額(相続税の課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)は2億円とする。 (a)相続税の課税価格の合計額:□□□万円 (b)遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 課税遺産総額((a)-(b)):2億円 【相続税の総額の基となる税額】 妻Bさん:□□□万円 長男Cさん:□□□万円 孫Eさん:□□□万円 孫Fさん:( ② )万円 (c)相続税の総額:( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 5,400(万円) ② 325(万円) ③ 3,750(万円)
解説
相続税の総額の計算では、まず課税遺産総額を民法に定める法定相続分に従って各法定相続人に按分し、それぞれの金額に税率・控除額(速算表)を適用して税額を求めた後、それらを合算します。
解き方
- 法定相続人の数を確認し、遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を算出する。
- 課税遺産総額(2億円)を各法定相続人の法定相続分(妻1/2、長男1/4、孫E1/8、孫F1/8)で按分する。
- 各人の法定相続分に応ずる取得金額に対して速算表を適用し、それぞれの税額を算出する。
- 各人の税額を合計して相続税の総額を求める。
答えの内訳
- ①:5,400
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求めます。法定相続人は妻B、長男C、孫E、孫Fの4人であるため、3,000万円+600万円×4人=5,400万円となります。
- ②:325
- 孫Fさんの法定相続分は1/8(長女Dの相続分1/4を孫Eと孫Fで均等に代襲分割)です。課税遺産総額2億円に対する法定相続分に応ずる取得金額は2億円×1/8=2,500万円となります。速算表より「2,500万円×15%-50万円=325万円」となります。
- ③:3,750
- 各法定相続人の相続税の基となる税額を合算して相続税の総額を求めます。妻B(1/2:1億円)は「1億円×30%-700万円=2,300万円」、長男C(1/4:5,000万円)は「5,000万円×20%-200万円=800万円」、孫E(1/8:2,500万円)は325万円、孫F(1/8:2,500万円)は325万円となります。合計すると2,300万円+800万円+325万円+325万円=3,750万円です。

関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数。
- 代襲相続人が複数いる場合、本来の相続人の相続分を代襲相続人の人数で等分する。
- 相続税の総額は、実際の按分割合ではなく、法定相続分で按分した取得金額を基に算出して合算する。
間違えやすいところ
- 孫E・孫Fの法定相続分を1/4ずつとして計算してしまうこと(長女Dの1/4を2人で分けるため各1/8)。
- 基礎控除額の計算で代襲相続人を1人とカウントして法定相続人の数を誤ってしまうこと。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配偶者の税額軽減・相続税額の加算・申告期限
相続・事業承継 · 配偶者に対する相続税額の軽減 / 相続税額の2割加算 / 代襲相続人 / 相続税の申告書の提出期限
Aさんの相続等に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、〈語句群〉の中から選びなさい。 Ⅰ 「妻Bさんが『配偶者に対する相続税額の軽減』の適用を受ける場合、原則として、妻Bさんが相続により取得した財産の金額が、配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円のいずれか( ① )金額を超えない限り、妻Bさんが納付すべき相続税額は算出されません」 Ⅱ 「孫Eさんおよび孫Fさんは、相続税額の2割加算の対象に( ② )」 Ⅲ 「Aさんに係る相続税の申告書の提出期限は、原則として、2024年( ③ )になります。申告書の提出先は、Aさんの死亡時の住所地を所轄する税務署長です」 〈語句群〉 イ.多い ロ.少ない ハ.なります ニ.なりません ホ.2月26日(月) ヘ.3月15日(金) ト.4月26日(金)
- イ
- 多い
- ロ
- 少ない
- ハ
- なります
- ニ
- なりません
- ホ
- 2月26日(月)
- ヘ
- 3月15日(金)
- ト
- 4月26日(金)
解答・解説を表示
解答
① イ、② ニ、③ ホ
解説
相続税法において、配偶者の生活保障等の観点から設けられた「配偶者に対する相続税額の軽減」の限度枠は1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか「多い」方です。また、2割加算制度では代襲相続人となった孫は直系卑属として加算対象から除外されます。さらに申告・納付期限は相続開始を知った翌日から「10カ月以内」と定められています。
解き方
- 空欄①:配偶者に対する相続税額の軽減の適用要件および非課税限度額の比較基準(大きい方・多い方)を確認する。
- 空欄②:孫Eさん・Fさんは被相続人より先に死亡した長女Dさんの代襲相続人であるため、2割加算の対象になるか例外に該当するかを判断する。
- 空欄③:被相続人Aさんの死亡日(2023年4月26日)から10カ月後の日付を算定し、申告期限を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 配偶者に対する相続税額の軽減では、配偶者が取得した遺産の課税価格が「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか『多い』金額までは相続税が課税されません。
- 小問 ②:ニ
- 被相続人の配偶者および一親等の血族以外の者が財産を取得した場合に相続税額が2割加算されますが、被相続人の子が相続開始前に死亡したことにより代襲相続人となった直系卑属(孫)は2割加算の対象には『なりません』。
- 小問 ③:ホ
- 相続税の申告期限は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内です。2023年4月26日に死亡を知った場合、翌日から起算して10カ月後は2024年2月26日(月)となります。
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覚えるポイント
- 配偶者の税額軽減は「1億6,000万円」または「法定相続分」のいずれか『多い方』まで非課税。
- 代襲相続人である孫は2割加算の対象外(孫養子は2割加算の対象)。
- 相続税の申告書の提出期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内」。
間違えやすいところ
- 配偶者の税額軽減の比較基準を「いずれか少ない額」と混同しないようにする。
- 遺言による孫への遺贈や孫養子と、死亡した子を代襲相続した孫の2割加算の取扱いの違いを混同しないようにする。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等に基づく(問題冊子表紙および問題文の指示)。
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2023年5月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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