日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 報酬比例部分 / 経過的加算 / 加給年金
設例のAさん(1980年12月12日生まれ、42歳、個人事業主)が65歳から受給できる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2022年度価額)について、与えられた資料と算式に基づいて<計算の手順>の空欄①〜④に入る数値を求めなさい。 <公的年金加入歴(60歳までの見込み含む)> ・20歳〜22歳:学生納付特例期間(28月) ・22歳(2003年4月)〜38歳(2018年12月末退職・2019年1月まで):厚生年金保険被保険者期間(189月・平均標準報酬額28万円) ・38歳(2019年1月)〜60歳:国民年金保険料納付済期間(263月)
解答・解説を表示
解答
① 732,428(円) ② 290,055(円) ③ 110(円) ④ 290,165(円)
解説
公的年金の給付額計算では、学生納付特例期間は受給資格期間に算入されるものの年金額の反映対象外となる点、厚生年金の被保険者期間は国民年金の第2号被保険者として老齢基礎年金の納付済月数にも合算される点、加給年金の加算には被保険者期間240月以上の要件が必要となる点が基本原則です。
解き方
- 公的年金加入歴を整理し、老齢基礎年金の算定対象となる保険料納付済月数(第2号被保険者期間を含む)と免除・合算対象期間を区分して老齢基礎年金額を計算する。
- 厚生年金の加入期間および平均標準報酬額から報酬比例部分の額を計算し、経過的加算額の計算式に各数値を代入して経過的加算を算出する。
- 被保険者期間が240月以上あるか確認し、加給年金の加算適用の有無を判定して老齢厚生年金の合計額を求める。
答えの内訳
- ①:732,428(円)
- 老齢基礎年金の計算式において、学生納付特例期間(28月)は受給資格期間には算入されますが年金額の計算対象外(0月扱い)となります。合算される保険料納付済月数は、厚生年金加入期間189月+国民年金納付済期間263月=452月です。満額777,800円×452月/480月=732,428.33…円となり、円未満を四捨五入して732,428円となります。
- ②:290,055(円)
- Aさんの厚生年金保険被保険者期間はすべて2003年4月以後の期間(189月)です。平均標準報酬額28万円(280,000円)を用いて計算すると、280,000円×(5.481/1,000)×189月=290,054.52円となり、円未満を四捨五入して290,055円となります。
- ③:110(円)
- 経過的加算額は、定額部分の額から厚生年金加入期間に応じた老齢基礎年金相当額を差し引いて計算します。1,621円×189月-777,800円×(189月/480月)=306,369円-306,258.75円=110.25円となり、円未満を四捨五入して110円となります。
- ④:290,165(円)
- 老齢厚生年金の額は「報酬比例部分+経過的加算+加給年金額」となります。加給年金が加算されるには原則として厚生年金の被保険者期間が20年(240月)以上必要ですが、Aさんは189月のため要件を満たしません。したがって、基本年金額である290,055円+110円=290,165円がそのまま受給額となります。
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覚えるポイント
- 学生納付特例期間は受給資格期間には入るが、追納しない限り年金額の算定基礎には含まれない。
- 加給年金の支給要件は、原則として厚生年金保険の被保険者期間が20年(240月)以上であること。
間違えやすいところ
- 学生納付特例の月数(28月)を老齢基礎年金の納付済月数に加算して計算してしまう誤り。
- 厚生年金加入期間が240月未満であるにもかかわらず、加給年金額388,900円を加算してしまう誤り。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等(2022年度価額:満額777,800円、改定率・乗率規定)
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金制度・年金関連制度の取扱い
ライフプランニングと資金計画 · 繰下げ支給 / 個人型確定拠出年金 / 小規模企業共済 / 国民年金被保険者資格
MさんがAさんに対して説明した公的年金制度等の各種取扱いに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ①「Aさんが希望すれば、66歳以後、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができます。仮に、Aさんが75歳で老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、当該年金額の増額率は84%となります」 ②「Aさんは、確定拠出年金の個人型年金に加入することができます。ただし、確定拠出年金の個人型年金に加入した場合、小規模企業共済制度に加入することができなくなりますのでご注意ください」 ③「2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。長女Cさんは、原則として、18歳に達した日に国民年金の被保険者資格を取得することになります」
- ①
- Aさんが希望すれば、66歳以後、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができます。仮に、Aさんが75歳で老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、当該年金額の増額率は84%となります。
- ②
- Aさんは、確定拠出年金の個人型年金に加入することができます。ただし、確定拠出年金の個人型年金に加入した場合、小規模企業共済制度に加入することができなくなりますのでご注意ください。
- ③
- 2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。長女Cさんは、原則として、18歳に達した日に国民年金の被保険者資格を取得することになります。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
公的年金の繰下げ支給は月あたり0.7%の増額率で最大75歳(84%)まで可能であること、個人事業主の老後資金積立制度であるiDeCoと小規模企業共済は併用可能であること、国民年金の強制加入要件は成年年齢引き下げに関わらず20歳以上であるという法令規定を正しく理解する必要があります。
解き方
- 記述①の繰下げ増額率(月0.7%×月数)および上限年齢(75歳、120月)の計算が合致しているか確認する。
- 記述②の個人型確定拠出年金(iDeCo)と小規模企業共済制度の同時加入・併用可否の規定を確認する。
- 記述③の成年年齢引き下げ(民法改正)に伴う国民年金被保険者資格取得年齢の適用関係(20歳到達時取得の維持)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 2022年4月施行の改正により老齢年金の繰下げ上限年齢が75歳(120月)まで引き上げられました。繰下げによる増額率は1月あたり0.7%であるため、75歳まで120月繰り下げた場合の増額率は0.7%×120月=84%となり、記述は適切です。
- 小問 ②:×
- 個人事業主は確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)と小規模企業共済制度に併せて加入することができます。iDeCoに加入したことで小規模企業共済に加入できなくなるわけではないため、記述は不適切です。
- 小問 ③:×
- 民法上の成年年齢は2022年4月より18歳に引き下げられましたが、国民年金の第1号被保険者となる資格取得年齢は「日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者」と規定されており、20歳のまま変更されていません。したがって記述は不適切です。
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覚えるポイント
- 繰下げ受給の増額率は月あたり0.7%(最大75歳・120月で+84%)。
- iDeCoと小規模企業共済は併用加入が可能である。
- 国民年金第1号被保険者の資格取得年齢は成年年齢に関わらず「20歳」のまま維持されている。
間違えやすいところ
- 民法の成年年齢引き下げ(18歳)に伴い、国民年金の加入年齢も18歳に引き下げられたと誤認すること。
- iDeCoと小規模企業共済が選択適用(どちらか一方しか加入できない)であると混同すること。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等(2022年4月改正の年金繰下げ制度・民法改正関連規定)
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
国民年金の付加年金および国民年金基金の仕組み
ライフプランニングと資金計画 · 付加年金 / 国民年金基金 / 社会保険料控除
MさんがAさんに対して説明した、国民年金の付加保険料および国民年金基金に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群から選びなさい。 Ⅰ 「Aさんは、所定の手続により、国民年金の付加保険料を納付することができます。仮に、Aさんが付加保険料を200月納付し、65歳から老齢基礎年金を受け取る場合、老齢基礎年金の額に付加年金として年額( ① )円が上乗せされます」 Ⅱ 「国民年金基金は、老齢基礎年金に上乗せする年金を支給する任意加入の年金制度です。加入は口数制となっており、1口目は、保証期間のある( ② )年金A型と保証期間のない( ② )年金B型のいずれかを選択します。2口目以降は、2種類の( ② )年金と5種類の□□□年金のなかから選択することができます。なお、支払った掛金は、その全額を所得税の( ③ )として総所得金額等から控除することができます」 〈語句群〉 イ.20,000 ロ.40,000 ハ.60,000 ニ.80,000 ホ.有期 ヘ.確定 ト.終身 チ.生命保険料控除 リ.社会保険料控除 ヌ.小規模企業共済等掛金控除
- イ
- 20,000
- ロ
- 40,000
- ハ
- 60,000
- ニ
- 80,000
- ホ
- 有期
- ヘ
- 確定
- ト
- 終身
- チ
- 生命保険料控除
- リ
- 社会保険料控除
- ヌ
- 小規模企業共済等掛金控除
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ト ③ リ
解説
国民年金第1号被保険者は、老齢基礎年金への上乗せとして付加年金や国民年金基金を利用できます。付加年金の年金額は「200円×納付月数」で計算されます。国民年金基金は1口目が必ず終身年金となり、掛金は全額が社会保険料控除の対象となります。
解き方
- 付加年金の受給額の計算式「200円×納付済月数」に月数200を乗じて40,000円を算出する。
- 国民年金基金の給付設計において、1口目は終身年金(A型・B型)からの選択必須であることを確認する。
- 国民年金基金の支払掛金に係る税法上の控除区分が社会保険料控除であることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 付加年金の年額は「200円×付加保険料納付済月数」で算出されるため、200円×200月=40,000円となります。
- 小問 ②:ト
- 国民年金基金の1口目は終身年金(A型またはB型)から選択することが義務付けられています。
- 小問 ③:リ
- 国民年金基金の掛金は、全額が所得税・住民税において社会保険料控除の対象となります。
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覚えるポイント
- 付加保険料は月額400円、もらえる付加年金は年額「200円×月数」で2年受給すれば元が取れる。
- 国民年金基金の1口目は終身年金(A型・B型)必須で、掛金は全額社会保険料控除となる。
間違えやすいところ
- 付加保険料の納付額(月額400円×月数)と受給年金額(年額200円×月数)を混同しやすい。
- 国民年金基金の掛金控除を、iDeCoと混同して小規模企業共済等掛金控除と誤認しやすい。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
社債の格付・利息計算および課税関係
金融資産運用 · 信用格付 / 社債の利息 / 特定公社債の課税
Mさんは、Aさんに対して、X社債について説明した。Mさんが説明した次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「一般に、BBB(トリプルビー)格相当以下の格付は、投機的格付と呼ばれています。X社債は、投資適格債に比べて信用力は劣りますが、相対的に高い利回りを期待することができます」 ② 「毎年受け取る利子額(税引前)は、X社債の購入価格に表面利率を乗じて得た金額となります。X社債の表面利率は、発行時の金利水準を反映して決定されたものであり、償還時まで変わることはありません」 ③ 「X社債の利子は、その支払時に、所得税および復興特別所得税と住民税の合計で20.315%相当額が源泉徴収等されます。X社債のような特定公社債の利子については、申告分離課税の対象となりますが、確定申告不要制度を選択することができます」
- ○
- 適切
- ×
- 不適切
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
社債の信用リスクは格付会社により評価され、BBB格以上が投資適格債、BB格以下が投機的格付債に分類されます。利息は購入価格ではなく額面金額に対して表面利率を乗じて計算されます。特定公社債の利子は20.315%の源泉徴収を伴う申告分離課税で、確定申告不要を選択できます。
解き方
- 格付の境界線を判定する。BBB以上が投資適格、BB以下が投機的格付(投資不適格)であるため記述①は不適切(×)である。
- 利子額の計算基準を判定する。利子額=額面金額×表面利率であり購入価格ではないため記述②は不適切(×)である。
- 特定公社債の利子の課税関係を判定する。20.315%の申告分離課税であり、確定申告不要制度も選択可能であるため記述③は適切(○)である。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 債券の信用格付において、BBB格以上が「投資適格」、BB格以下が「投機的格付(投資不適格格付)」とされるため、BBB格を投機的格付とする説明は誤りです。
- 小問 ②:×
- 毎年受け取る利子額(税引前)は、「額面金額」に表面利率を乗じて計算するため、購入価格に乗じるとする説明は誤りです。
- 小問 ③:○
- 特定公社債の利子は20.315%の申告分離課税の対象であり、源泉徴収後に確定申告不要制度を選択することも可能です。
覚えるポイント
- 格付はBBB以上が「投資適格」、BB以下が「投機的(投資不適格)」。
- 利子計算は常に「額面金額×表面利率」で行い、購入価格は用いない。
間違えやすいところ
- BBB格を「投資不適格(投機的)」と勘違いしやすい(境界はBBBとBBの間)。
- 利回りの計算と混同して、受取利子額の計算時に購入価格を掛けてしまうミスが多い。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
外貨定期預金の為替レート・為替変動リスク・税務上の取扱い
金融資産運用 · 外貨定期預金 / 為替レート / 雑所得の損益通算
設例のY銀行の米ドル建定期預金について、Mさんが説明した次の記述①~③の正誤を判定しなさい。①「米ドル建定期預金の預入時において、円貨を米ドルに換える際に適用されるTTSは、当該預金の取扱金融機関が独自に決定しており、Y銀行と他の金融機関では異なることがあります」②「米ドル建定期預金の魅力は、現時点において、円建ての預金と比べて相対的に金利が高いことにあります。ただし、満期時の為替レートが預入時に比べて円高ドル安に変動した場合、円換算の運用利回りがマイナスになる可能性があります」③「満期時に為替差損が生じた場合、当該損失の金額は、所得税において、不動産所得の金額と損益通算することができます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
外貨預金では円を外貨に換える際にTTS、外貨を円に戻す際にTTBが適用され、各レートは金融機関が独自に設定します。また為替予約なしの外貨定期預金の為替差損益は原則として雑所得となり、生じた損失は他の各種所得と損益通算できません。
解き方
- 預入時の適用レートTTSの決定主体および金融機関ごとの差異について確認し、①の正誤を判断します。
- 為替レートの変動(円高ドル安)が円換算利回りに及ぼす影響を検討し、元本割れ可能性から②の正誤を判断します。
- 外貨預金の為替差損が生じた場合の所得税法上の所得区分(雑所得)と損益通算の可否を確認し、③の正誤を判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 円を外貨に換える際に適用されるTTS(対顧客電信売相場)などの為替レートは、基準となる仲値(TTM)や為替手数料を含め、各取扱金融機関が独自に設定しているため、金融機関ごとに異なることがあります。
- 小問 ②:○
- 外貨定期預金は円貨換算時に為替変動の影響を受けます。満期時の円高ドル安の進行による為替差損が外貨預金の受取利息を上回った場合、円換算でのトータルの運用利回りがマイナス(元本割れ)になる可能性があります。
- 小問 ③:×
- 為替予約を付していない外貨定期預金の為替差損益は雑所得に区分されます。雑所得の計算上生じた損失は他の所得(不動産所得や給与所得など)と損益通算することができません。
覚えるポイント
- 顧客が円から外貨を買うレートはTTS、外貨から円へ売るレートはTTBです。
- 外貨預金の為替差損は雑所得であり、給与所得や不動産所得等との損益通算は不可です。
間違えやすいところ
- TTSとTTBを混同しがちですが、銀行側の視点で「顧客に売る=Telegraphic Transfer Selling rate (TTS)」「顧客から買う=Telegraphic Transfer Buying rate (TTB)」と覚えます。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
固定利付債の最終利回りおよび米ドル建定期預金の円ベース利回りの計算
金融資産運用 · 債券利回り / 最終利回り / 外貨定期預金利回り
次の①、②を計算しなさい(税金等は考慮せず、%表示の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで解答すること)。① AさんがX社債(購入価格101.8円、表面利率0.80%、残存期間4年、償還価格100円)を設例の条件で購入した場合の最終利回り(年率・単利)。② Aさんが設例の条件で円貨を米ドルに換えて米ドル建定期預金(預入金額30,000米ドル、預入期間1年、利率年率1.00%、預入時TTS 132.75円)に預け入れ、満期を迎えた際の円ベースでの運用利回り(年率・単利)。なお、満期時の適用為替レート(TTB)は133.00円とする。
解答・解説を表示
解答
① 0.34(%) ② 1.19(%)
解説
債券の最終利回りは、毎年の利息収入と償還差損益の年換算額の合計を購入価格で割って算出します。外貨預金の円ベース利回りは、満期時の元利合計を円転した受取額から当初払込円額を差し引いた利益額を、当初払込円額で割って計算します。
解き方
- X社債の条件から、最終利回りの算式〔表面利率+(償還価格-購入価格)÷残存期間〕÷購入価格×100に数値を代入して計算します。
- 米ドル預金の預入時円貨総額(米ドル元本×預入時TTS)と、満期時円貨総額(満期時米ドル元利合計×満期時TTB)を算出します。
- 得られた円ベースの損益額を当初円払込額で除し、1年あたりの利回り(%)を算出して指定の桁数に四捨五入します。
答えの内訳
- ①:0.34(%)
- 最終利回り(年率・単利)=〔表面利率+(償還価格-購入価格)÷残存期間〕÷購入価格×100=〔0.80+(100-101.8)÷4〕÷101.8×100=〔0.80-0.45〕÷101.8×100=0.35÷101.8×100≒0.3438…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して0.34%となります。
- ②:1.19(%)
- 当初の円払込額は30,000米ドル×132.75円=3,982,500円です。満期時の受取米ドル額は元利合計で30,000米ドル×(1+0.01)=30,300米ドルとなり、円換算すると30,300米ドル×133.00円=4,029,900円です。運用利回り=(4,029,900-3,982,500)÷3,982,500×100=47,400÷3,982,500×100≒1.1902…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して1.19%となります。
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覚えるポイント
- 最終利回りの分子は「表面利率+(償還価格-購入価格)÷残存期間」、分母は「購入価格」です。
- 外貨預金の預入時はTTS(円から外貨へ)、満期受取時はTTB(外貨から円へ)のレートを適用します。
間違えやすいところ
- 債券利回り計算の分母を額面(100円)で割ってしまうミスに注意が必要です。利回り計算では必ず投資元本である購入価格で除します。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
医療費控除およびセルフメディケーション税制の控除額の計算
タックスプランニング · 医療費控除 / セルフメディケーション税制 / 所得控除
所得税における医療費控除に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を、〈数値群〉の中から選びなさい。 「通常の医療費控除は、その年分の総所得金額等の合計額が200万円以上である場合、その年中に自己または自己と生計を一にする配偶者等のために支払った医療費の総額から保険金などで補填される金額を控除した金額が( ① )円を超えるときは、その超える部分の金額(最高( ② )円)を総所得金額等から控除することができます。 また、通常の医療費控除との選択適用となるセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は、定期健康診断や予防接種などの一定の取組みを行っている者が自己または自己と生計を一にする配偶者等のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合、その年中に支払った特定一般用医薬品等購入費の総額から保険金などで補填される金額を控除した金額が( ③ )円を超えるときは、その超える部分の金額(最高( ④ )円)を総所得金額等から控除することができます」
- イ
- 12,000
- ロ
- 24,000
- ハ
- 38,000
- ニ
- 68,000
- ホ
- 88,000
- ヘ
- 100,000
- ト
- 120,000
- チ
- 150,000
- リ
- 180,000
- ヌ
- 1,000,000
- ル
- 2,000,000
- ヲ
- 3,000,000
解答・解説を表示
解答
① ヘ ② ル ③ イ ④ ホ
解説
医療費控除は支払った医療費の実質負担額から一定額(総所得金額等200万円以上は10万円)を差し引いた額(最高200万円)を控除する制度です。一方、セルフメディケーション税制はスイッチOTC医薬品等の購入費から1万2,000円を差し引いた額(最高8万8,000円)を控除する特例で、両者は選択適用となります。
解き方
- 通常の医療費控除について、総所得金額等200万円以上の場合の足切り額(10万円)と控除限度額(200万円)を確認する。
- セルフメディケーション税制について、足切り額(1万2,000円)と控除限度額(8万8,000円)を確認し、語句群の該当記号を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ヘ
- 通常の医療費控除において、総所得金額等が200万円以上の場合の足切り限度額は100,000円となります。
- 小問 ②:ル
- 通常の医療費控除によって総所得金額等から控除できる金額の最高限度額は2,000,000円です。
- 小問 ③:イ
- セルフメディケーション税制における特定一般用医薬品等購入費の足切り限度額は12,000円です。
- 小問 ④:ホ
- セルフメディケーション税制によって総所得金額等から控除できる金額の最高限度額は88,000円です。
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覚えるポイント
- 通常の医療費控除:足切り額10万円(総所得金額等200万円未満は5%)、上限200万円。
- セルフメディケーション税制:足切り額1万2,000円、上限8万8,000円(両者は重複適用不可)。
間違えやすいところ
- セルフメディケーション税制の最高限度額を10万円や8万円と誤認しやすいので8万8,000円と正確に覚える。
- 通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は選択適用であり、両方を同時に受けることはできない。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配偶者特別控除・扶養控除・医療費控除の適用要件
タックスプランニング · 配偶者特別控除 / 扶養控除 / 医療費控除の申告手続き
設例の家族構成および収入状況等に基づき、Aさんの2022年分の所得税の課税に関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 「Aさんは、配偶者控除の適用を受けることはできませんが、配偶者特別控除の適用を受けることができます」 ② 「Aさんが適用を受けることができる扶養控除の控除額は、101万円です」 ③ 「Aさんが医療費控除の適用を受けるためには、所得税の確定申告が必要です。年末調整では医療費控除の適用を受けることができません」
- ①
- Aさんは、配偶者控除の適用を受けることはできませんが、配偶者特別控除の適用を受けることができます
- ②
- Aさんが適用を受けることができる扶養控除の控除額は、101万円です
- ③
- Aさんが医療費控除の適用を受けるためには、所得税の確定申告が必要です。年末調整では医療費控除の適用を受けることができません
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
所得税の所得控除には、給与所得者の年末調整で適用可能な控除と、確定申告が必須となる控除があります。配偶者控除・配偶者特別控除や扶養控除は要件を満たす親族の所得や年齢に応じて適用可否・控除額が決まり、医療費控除は年末調整では行えず確定申告が必要となります。
解き方
- 妻Bさんの給与収入300万円から給与所得(300万×30%+8万=98万円控除、所得202万円)を計算し、配偶者特別控除の上限(合計所得133万円以下)を超えているため適用不可と判定する。
- 長男Cさん(20歳)は特定扶養親族(63万円)、二男Dさん(14歳)は年少扶養親族(控除対象外・0円)であることを確認し、控除額は計63万円であるため101万円とする記述を誤りと判定する。
- 医療費控除は年末調整では適用できず、確定申告が必須であることを確認して適切と判定する。
- 選択肢 ①不正解
- 妻Bさんの合計所得金額は202万円(給与収入300万円)で133万円を超えているため、配偶者特別控除の対象外です。
- 選択肢 ②不正解
- 二男Dさんは16歳未満のため扶養控除の対象外となり、特定扶養親族である長男Cさんの63万円のみが適用されます。
- 選択肢 ③正解
- 医療費控除は年末調整の対象外であり、控除を受けるには必ず確定申告を行わなければなりません。
答えの内訳
- ①:×
- 妻Bさんの給与収入は300万円であり、給与所得控除後の合計所得金額は202万円となります。配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件は「48万円超133万円以下」であるため、適用を受けることはできません。
- ②:×
- 長男Cさん(20歳)は特定扶養親族に該当し控除額は63万円ですが、二男Dさん(14歳)は16歳未満であるため扶養控除の対象外です。したがって控除額の合計は63万円となります。
- ③:○
- 医療費控除、寄附金控除、雑損控除は年末調整で控除を受けることができず、適用を受けるためには所得税の確定申告書を提出する必要があります。
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覚えるポイント
- 扶養控除の対象は16歳以上の扶養親族(16歳未満は控除対象外)。特定扶養親族(19歳以上23歳未満)は63万円。
- 配偶者特別控除は配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下(給与収入換算で約103万円超201.6万円未満)であることが要件。
- 医療費控除、寄附金控除、雑損控除は年末調整では控除できず、確定申告が必要。
間違えやすいところ
- 16歳未満の年少扶養親族にも扶養控除(一般扶養親族38万円)が適用されると誤解しやすい点に注意する。
- 配偶者の年収上限を103万円や150万円、201.6万円の各基準と混同し、300万円でも配偶者特別控除が使えると誤認しないようにする。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
給与所得控除・所得金額調整控除および損益通算による総所得金額の計算
タックスプランニング · 給与所得の計算 / 所得金額調整控除 / 不動産所得の損益通算 / 土地取得負債利子
設例に基づき、Aさんの2022年分の所得金額について、①総所得金額に算入される給与所得の金額、②総所得金額をそれぞれ万円単位で求めなさい。なお、①の計算上、所得金額調整控除の適用対象者に該当する場合は当該控除額を控除すること。
解答・解説を表示
解答
① 700(万円)、② 640(万円)
解説
給与所得は給与収入から給与所得控除を差し引いて計算し、23歳未満の扶養親族等がいる給与収入850万円超の者には所得金額調整控除が適用されます。不動産所得に赤字がある場合は損益通算が可能ですが、土地取得に要した負債の利子相当額は損益通算の対象外とされます。
解き方
- 給与収入900万円から給与所得控除195万円を控除し、23歳未満の扶養親族を有することに伴う所得金額調整控除5万円を差し引いて給与所得金額を算出する。
- 不動産所得の損失80万円から土地取得に係る負債利子20万円を除外して損益通算できる損失額60万円を計算し、給与所得から差し引いて総所得金額を求める。
答えの内訳
- ①:700(万円)
- 給与収入900万円に対する給与所得控除額は上限の195万円です。また、23歳未満の扶養親族(20歳の長男、14歳の二男)を有するため所得金額調整控除の対象となり、控除額は(900万円-850万円)×10%=5万円となります。したがって給与所得の金額は、900万円-195万円-5万円=700万円となります。
- ②:640(万円)
- 不動産所得の損失80万円のうち、土地の取得に係る負債の利子20万円は損益通算の対象から除外されるため、他の所得から控除できる損失額は80万円-20万円=60万円となります。よって、総所得金額は給与所得700万円から通算可能損失60万円を差し引いた640万円となります。
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覚えるポイント
- 給与収入850万円超で23歳未満の扶養親族がいる場合、(給与収入-850万円)×10%(上限15万円)が所得金額調整控除として給与所得から控除されます。
- 不動産所得の赤字のうち、土地等を取得するために生じた負債の利子部分は損益通算できません。
間違えやすいところ
- 給与収入が850万円を超えていることと扶養親族の年齢要件を見落とし、所得金額調整控除の減算を忘れてしまうミスに注意が必要です。
- 不動産所得の赤字金額全額をそのまま給与所得から差し引いてしまい、土地取得負債の利子を除外しない計算誤りが頻出です。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
甲土地の相続税評価(地積規模の大きな宅地・路線価・自用地評価)
不動産 · 地積規模の大きな宅地の評価 / 路線価の見方 / 借地権割合 / 貸地・自用地の評価区分
設例の甲土地の相続税評価に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 甲土地は、地積が500㎡以上であり、指定容積率が400%であるため、地積規模の大きな宅地の評価の規定が適用される。 ② 対象地の面する道路に付された「250C」の数値は、1㎡当たりの価額を千円単位で表示した相続税路線価であり、「C」の記号は借地権割合が70%であることを示している。 ③ Aさんが、甲土地を青空駐車場として賃貸している場合、相続税額の計算上、甲土地は自用地として評価される。
- ①
- 甲土地は、地積が500㎡以上であり、指定容積率が400%であるため、地積規模の大きな宅地の評価の規定が適用されます
- ②
- 対象地の面する道路に付された『250C』の数値は、1㎡当たりの価額を千円単位で表示した相続税路線価です。数値の後に表示されている『C』の記号(アルファベット)は、借地権割合が70%であることを示しています
- ③
- Aさんが、甲土地を青空駐車場として賃貸している場合、相続税額の計算上、甲土地は自用地として評価されます
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
地積規模の大きな宅地の評価は三大都市圏で500㎡以上等の規模要件に加え、指定容積率が400%未満であることが要件です。また路線価の記号は借地権割合を表し、他人に賃貸している土地であっても借地権等の権利が設定されない青空駐車場等の敷地は自用地として評価します。
解き方
- 地積規模の大きな宅地の適用要件(三大都市圏500㎡以上かつ指定容積率400%未満)と甲土地の指定容積率(400%)を照合して①の適否を判断する。
- 路線価の表示方法(千円単位の数字と借地権割合記号A~G)および青空駐車場における権利関係(利用権なし=自用地評価)を確認して②・③の正誤を判定する。
- 選択肢 ①不正解
- 地積規模の大きな宅地の評価は、指定容積率が400%(東京都の特別区は300%)未満の地域に適用されるため、指定容積率が400%である甲土地には適用されません。
- 選択肢 ②正解
- 路線価の数字「250」は1㎡当たり250千円を意味し、記号「C」は借地権割合70%を表しているため正しい記述です。
- 選択肢 ③正解
- 青空駐車場や自らアスファルト舗装を行って賃貸している駐車場は借地権等の土地利用権が成立しないため、相続税評価上は自用地として評価されます。
答えの内訳
- ①:×
- 地積規模の大きな宅地の評価は、指定容積率が400%(東京都の特別区は300%)以上の地域に所在する宅地には適用されません。本問の指定容積率は400%であるため適用対象外です。
- ②:○
- 路線価図の「250C」において、数値「250」は1㎡当たり250千円(25万円)を示し、アルファベットの「C」は借地権割合70%(A:90%からG:30%まで10%刻み)を示しています。
- ③:○
- 青空駐車場(構築物のない更地としての賃貸)は、借地借家法の適用対象となる借地権などの利用権が生じないため、相続税評価上は自用地として評価されます。
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覚えるポイント
- 地積規模の大きな宅地は「三大都市圏500㎡以上(非三大都市圏1,000㎡以上)」かつ「指定容積率400%(特別区300%)未満」が要件です。
- 借地権割合の記号はA(90%)から10%刻みでCは70%です。
間違えやすいところ
- 地積規模の大きな宅地の面積要件(500㎡以上)だけを見て、容積率要件(400%未満)の確認を忘れて適用対象と判断してしまうミスに注意してください。
- 駐車場として賃貸していると直ちに貸家建付地や貸宅地になると誤認せず、青空駐車場は自用地評価となる点を確認しましょう。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の財産評価基本通達・相続税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
トランクルーム経営と賃貸関連法令・指標
不動産 · DSCR(借入金償還余裕率) / 民法の賃料減額請求 / 賃貸住宅管理業法(サブリース規制)
X社がAさんに提案するトランクルーム経営に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「Aさんが、金融機関から融資を受けてトランクルームとして利用する建物を建築する場合、借入金の返済リスクを考慮する必要があります。DSCR(借入金償還余裕率)の値が1.0未満のときは、賃料収入だけでは借入金の返済ができないことを示しています」 ② 「AさんがX社に賃貸した建物の一部が、X社の責めに帰することができない事由で滅失等し、使用および収益をすることができなくなった場合、民法上は、その使用および収益をすることができなくなった部分の割合に応じて賃料が減額されることとされています。X社と契約する際は、賃料が保証される期間やその条件等について事前に確認しておくことが重要です」 ③ 「近年、サブリース業者に対する規制が強化されています。賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律では、サブリース業者がマスターリース契約を締結しようとする際に誇大広告や不当な勧誘を行うことを禁止しており、当該契約に基づき、Aさんから建物を一括賃借するX社も当該規制の適用を受けます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
不動産賃貸事業においては、収益性や返済余力を測る財務指標(DSCR等)の理解、民法上の賃貸借契約における賃料減額規定、ならびに各種規制法の適用対象(賃貸住宅法は居住用建物が対象)を正確に把握することが重要です。
解き方
- 記述①について、DSCRが純営業収益に対する元利金返済額の比率であり、1.0を下回ると返済原資が不足することを判定する。
- 記述②について、改正民法における賃借物の一部滅失による賃料の当然減額規定および契約条項の確認重要性を判定する。
- 記述③について、賃貸住宅管理業法の規制対象が「居住用賃貸住宅」に限定され、物品収納目的のトランクルームには適用されないことを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- DSCR(借入金償還余裕率)は「純営業収益(NOI)÷ 年間元利金返済額」で算出され、1.0未満である場合は年間の賃料収入等の収益だけでは借入金の元利金返済を賄えない状態を表します。
- 小問 ②:○
- 民法第611条第1項により、賃借物の一部が賃借人の責めに帰することができない事由で滅失等したときは、その使用及び収益ができなくなった部分の割合に応じて賃料が当然に減額されます。
- 小問 ③:×
- 「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(サブリース新法)」は人の居住の用に供する「賃貸住宅」を対象としているため、倉庫・収納用途であるトランクルームは本法の適用対象外です。
覚えるポイント
- DSCR=純営業収益÷年間元利金返済額。1.0未満は元利返済不能を示す。
- 賃貸住宅管理業法(サブリース新法)は「住宅」が対象であり、オフィスやトランクルームなどの非居住用施設は適用外。
間違えやすいところ
- サブリース新法の誇大広告等の規制がすべての不動産一括借上げ(商業施設・倉庫等)に及ぶと誤認しないように注意する。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく建築面積および延べ面積の上限計算
不動産 · 建蔽率の緩和 / 指定建蔽率80%の特例 / 容積率の道路幅員制限 / 角地緩和
甲土地(敷地面積500㎡、近隣商業地域、指定建蔽率80%、指定容積率400%、準防火地域、特定行政庁が指定する角地、北側幅員6m公道、東側幅員6m公道、前面道路幅員に乗ずる数値6/10)上に準耐火建築物を建築する場合における、次の①、②を求めなさい。 ① 建蔽率の上限となる建築面積 ② 容積率の上限となる延べ面積
解答・解説を表示
解答
① 500(㎡) ② 1,800(㎡)
解説
建蔽率は、準防火地域内の準耐火建築物と角地指定によりそれぞれ10%緩和され、指定建蔽率80%地域では合計100%となり制限がなくなります。容積率は前面道路幅員に法定乗数を乗じた数値と指定容積率のいずれか小さい方が上限となります。
解き方
- 甲土地の適用建蔽率を算出:基本80%+準防火地域内準耐火建築物10%+角地指定10%=100%。建築面積の上限は 500㎡ × 100% = 500㎡。
- 前面道路幅員制限による容積率を算出:前面道路幅員6m × 6/10 = 360%。
- 指定容積率400%と道路幅員制限360%を比較し、小さい方の360%を採用する。
- 延べ面積の上限を算出:500㎡ × 360% = 1,800㎡。
答えの内訳
- ①:500(㎡)
- 指定建蔽率80%の地域で「準防火地域内の準耐火建築物(+10%)」かつ「特定行政庁が指定する角地(+10%)」に該当するため、建蔽率制限の適用除外(100%)となり、建築面積の上限は敷地面積500㎡×100%=500㎡となります。
- ②:1,800(㎡)
- 前面道路幅員による容積率制限は、幅員6m×6/10=360%となります。指定容積率400%と道路幅員による制限360%の厳しい方(小さい方)が適用されるため、延べ面積の上限は敷地面積500㎡×360%=1,800㎡となります。
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覚えるポイント
- 準防火地域内の耐火建築物・準耐火建築物は建蔽率+10%の緩和対象。
- 指定建蔽率80%地域で防火規制・角地等の緩和により100%となる場合は建蔽率制限なし(100%適用)。
- 容積率は「指定容積率」と「道路幅員×乗数」の小さい方を適用。
間違えやすいところ
- 準防火地域内の建築で準耐火建築物でも建蔽率緩和(10%)が適用される点を見落とすミス。
- 道路幅員による容積率制限(360%)を比較せず、指定容積率400%のまま計算してしまうミス。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
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遺言・遺留分および小規模宅地等の特例
相続・事業承継 · 自筆証書遺言書保管制度 / 遺留分の計算と侵害 / 小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)
Aさんの相続に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① 「遺産分割をめぐる争いを防ぐ手段として、遺言書の作成をお勧めします。自筆証書遺言は、法務局における保管制度を利用することで、遺言書の紛失等を防ぐことができ、相続開始後、家庭裁判所における遺言書の検認が不要となります」 ② 「Aさんの相続に係る遺留分を算定するための財産の価額を4億円とした場合、長女Dさんの遺留分の金額は、1億円となります。遺留分を侵害する内容の遺言は無効となるため、遺言書を作成する際はご注意ください」 ③ 「長男Cさんが自宅の敷地および建物を相続により取得し、当該敷地(相続税評価額:8,000万円)について、特定居住用宅地等として『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、相続税の課税価格に算入すべき価額を1,600万円とすることができます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
相続における自筆証書遺言書保管制度の効果、遺留分の算定割合および遺留分侵害額請求の法的効力、小規模宅地等の特例における特定居住用宅地等の限度面積(330㎡)と減額割合(80%)の理解が必要です。
解き方
- 自筆証書遺言書保管制度を利用した場合の家庭裁判所での検認の要否を確認する。
- 遺留分の割合と侵害時の遺言自体の有効性を確認する。
- 敷地400㎡に対して特定居住用宅地等の適用可能面積(上限330㎡)を適用し、算入価額の記述を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 法務局(遺言書保管所)で保管された自筆証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所での検認が不要となります。
- 小問 ②:×
- 長女Dさんの遺留分は4億円×1/2×1/2=1億円ですが、遺留分を侵害する遺言であっても当然に無効とはならず有効です。
- 小問 ③:×
- 特定居住用宅地等の限度面積は330㎡(減額割合80%)です。敷地全体400㎡のうち330㎡分のみ80%減額されるため、課税価格は1,600万円にはなりません。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言書は検認不要。
- 特定居住用宅地等の限度面積は330㎡で80%減額。
間違えやすいところ
- 敷地全体(400㎡)に80%減額が適用できると誤解して全額20%相当(1,600万円)と計算してしまう誤り。
- 遺留分を侵害する遺言を「無効」と勘違いする誤り(侵害額請求の対象となるだけで遺言自体は有効)。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
相続・事業承継 · 住宅取得等資金の非課税の適用要件 / 住宅取得等資金の非課税限度額 / 生前贈与加算の対象外
「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(以下、「本特例」という)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① 「長女Dさんが本特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに所定の要件を満たす住宅用家屋を取得等してその家屋に居住するか、または同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれることが必要です」 ② 「長女Dさんが2023年2月に住宅取得等資金の贈与を受けた場合、本特例による非課税限度額は、一定の省エネ等住宅であれば1,500万円、それ以外の住宅であれば1,200万円です」 ③ 「長女DさんがAさんから贈与を受けた住宅取得等資金について本特例の適用を受け、その後、Aさんの相続が開始した場合、本特例の適用を受けたことにより贈与税が非課税とされた金額は、相続税の課税価格に加算しなければなりません」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税特例における居住要件(翌年3月15日基準)、非課税限度額(1,000万円または500万円)、および相続税における生前贈与加算の適用対象外とする取扱いを正しく理解しているかを問う問題です。
解き方
- 住宅取得等資金の贈与における取得時期および居住要件の期日(翌年3月15日)を確認する。
- 基準日現在の非課税限度額(省エネ等住宅1,000万円、一般住宅500万円)を確認する。
- 非課税の適用を受けた金額が相続開始時の生前贈与加算の対象外であることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 受贈者は贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅用家屋の新築・取得等をして居住するか、同日後遅滞なく居住することが確実と見込まれる必要があります。
- 小問 ②:×
- 2023年2月受贈時の非課税限度額は、質の高い住宅(省エネ等住宅)は1,000万円、それ以外の住宅は500万円です。
- 小問 ③:×
- 本特例の適用を受けて非課税となった金額は、贈与者が死亡して相続が開始した場合であっても生前贈与加算の対象にはならず、相続税の課税価格に加算する必要はありません。
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覚えるポイント
- 住宅取得等資金贈与の非課税枠は省エネ等住宅1,000万円、一般住宅500万円。
- 本特例で非課税となった資金は、相続開始前贈与の加算対象外。
間違えやすいところ
- 過去の法改正前の非課税限度額(1,500万円/1,200万円など)と混同する誤り。
- 通常の暦年課税の生前贈与加算と同様に、非課税適用部分も加算されると誤認する誤り。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の基礎控除 / 法定相続分に応ずる取得金額 / 相続税の総額
現時点(2023年1月22日)において被相続人Aさん(妻Bさんは既に死亡、子は長男Cさんと長女Dさんの2人)の相続が開始した場合における相続税の総額を試算するにあたり、空欄①~③に入る最も適切な数値を計算しなさい。なお、相続税の課税価格の合計額は3億5,000万円とする。 ・(a)相続税の課税価格の合計額:3億5,000万円 ・(b)遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 ・課税遺産総額((a)-(b)):□□□万円 ・相続税の総額の基となる税額 長男Cさん:( ② )万円 長女Dさん:□□□万円 ・(c)相続税の総額:( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 4,200(万円) ② 4,460(万円) ③ 8,920(万円)
解説
相続税の総額は、課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求め、それを実際の遺産分割割合にかかわらず各法定相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定して税率を適用し、各自の税額を合算して計算します。
解き方
- 法定相続人の人数を確定し、遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を計算して課税遺産総額を算出する。
- 課税遺産総額を法定相続分で按分し、各人の取得金額に応じた税率・控除額を速算表から適用して各人の税額を算出し、合算して総額を求める。
答えの内訳
- ①:4,200
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は長男Cさんと長女Dさんの2人であるため、3,000万円+600万円×2人=4,200万円となります。
- ②:4,460
- 課税遺産総額は3億5,000万円-4,200万円=3億800万円です。これを法定相続分(長男C:1/2、長女D:1/2)で按分すると、各自1億5,400万円となります。速算表より、長男Cさんの税額は「1億5,400万円×40%-1,700万円=4,460万円」となります。
- ③:8,920
- 長女Dさんの税額も長男Cさんと同額の4,460万円となるため、各相続人の税額を合計した相続税の総額は「4,460万円+4,460万円=8,920万円」となります。

関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 基礎控除額の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」であり、配偶者が既に死亡している場合は子のみが法定相続人となります。
間違えやすいところ
- 長男や長女の配偶者、あるいは孫を法定相続人の数に誤って含めて基礎控除額を計算してしまうミスに注意が必要です。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2023年1月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

