日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の概要
遺族給付および年金生活者支援給付金の額の試算
中小事業主資産相談業務 · 遺族基礎年金 / 遺族厚生年金 / 遺族年金生活者支援給付金
43歳のAさんが2023年1月22日に死亡した場合、配偶者である妻Bさん(44歳)に支給される遺族基礎年金、遺族厚生年金、および遺族年金生活者支援給付金の計算式における空欄①~④に入る数値を求めなさい。なお、子は長男(14歳)および二男(12歳)の2人であり、年金額等は2022年度価額に基づくものとする。
解答・解説を表示
解答
① 1,225,400 ② 300,000 ③ 300 ④ 60,240
解説
公的年金の被保険者が死亡した際、生計を維持されていた子のある配偶者等に遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。遺族厚生年金の短期要件では被保険者期間が300月未満でも300月として計算され、一定の所得要件等を満たす者には遺族年金生活者支援給付金が上乗せ支給されます。
解き方
- 遺族基礎年金の基本額(777,800円)に対象となる子2人分の加算額(各223,800円)を加算して年金額①を求める。
- 設例の公的年金加入歴から2003年3月以前の平均標準報酬月額(300,000円)を空欄②に当てはめ、短期要件の最低保障月数(300月)を空欄③に当てはめる。
- 遺族年金生活者支援給付金の月額(5,020円)に12カ月を乗じて年額給付額④を計算する。
答えの内訳
- ①:1,225,400
- 2022年度の遺族基礎年金の基本額は777,800円であり、子2人の加算額(1人目・2人目は各223,800円)を合算すると、777,800円+223,800円+223,800円=1,225,400円となります。
- ②:300,000
- 遺族厚生年金の報酬比例部分の計算において、2003年3月以前の加入期間に係る平均標準報酬月額は設例の資料より30万円(300,000円)が入ります。
- ③:300
- 厚生年金保険の被保険者期間中の死亡等による遺族厚生年金(短期要件)では、加入月数が300月未満の場合、300月とみなして計算する最低保障(300月みなし)が適用されるため300が入ります。
- ④:60,240
- 2022年度の遺族年金生活者支援給付金の基準額は月額5,020円であるため、年額換算すると5,020円×12カ月=60,240円となります。
覚えるポイント
- 2022年度の遺族基礎年金基本額は777,800円、第1子・第2子の加算額は各223,800円です。
- 遺族厚生年金の短期要件における被保険者期間の最低保障は300月です。
間違えやすいところ
- 平均標準報酬月額の単位に注意し、「30万」ではなく「300,000」と正しく数値を記入する必要があります。
- 遺族年金生活者支援給付金は年額を問われているため、月額に12を乗じる計算を忘れないように注意が必要です。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等および2022年度価額
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模企業共済制度の加入要件・掛金および受取時の税務
中小事業主資産相談業務 · 小規模企業共済 / 加入資格 / 小規模企業共済等掛金控除 / 退職所得
小規模企業共済制度に関してファイナンシャル・プランナーのMさんがAさんに対して説明した記述①~③について、適切であれば○、不適切であれば×を答えなさい。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
小規模企業共済制度は、小規模企業の個人事業主や会社役員が退職後の生活安定などを図るための共済制度です。契約者は個人であり、掛金は個人の所得控除対象となり、受取形態(一括または分割)に応じて退職所得または公的年金等に係る雑所得として課税されます。
解き方
- 記述①について、専業主婦が法人の連帯保証人になっていることだけで共同経営者として加入可能かを加入資格規定に照らして判断する。
- 記述②について、掛金の税務上の取扱いが会社の損金算入か個人の所得控除(小規模企業共済等掛金控除)かを確認する。
- 記述③について、会社解散時に受給する共済金の一括受取(退職所得)および分割受取(公的年金等控除適用の雑所得)の課税区分を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 小規模企業共済の「共同経営者」として加入できるのは個人事業主の共同経営者に限られます。会社役員の場合は商業登記された役員でなければならず、会社の借入れの連帯保証人である専業主婦という立場のみでは加入できません。
- 小問 ②:×
- 小規模企業共済の掛金は加入者個人が負担するものであり、全額が個人の「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象となります。会社の損金の額に算入することはできません。
- 小問 ③:○
- 法人の解散等により一括で受給する共済金(共済金A)は退職所得として課税され、一定要件を満たして分割受給する共済金は公的年金等に係る雑所得として課税対象となります。
覚えるポイント
- 小規模企業共済における共同経営者の加入要件は「個人事業主の共同経営者」に限定されています。
- 小規模企業共済の掛金は全額が個人の所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となり法人の損金にはなりません。
間違えやすいところ
- 法人の損金に算入できる「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」の掛金と、個人の所得控除となる小規模企業共済の掛金を混同しないよう注意が必要です。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業退職金共済制度(中退共)の概要
中小企業退職金共済制度 · 中小企業退職金共済制度 / 掛金月額 / 国の助成制度 / 退職金の直接支払原則
中小企業退職金共済制度(中退共)に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、〈語句群〉から選びなさい。 「毎月の掛金は、原則として、従業員1人につき5,000円から( ① )円までの16種類のなかから従業員ごとに任意に選択することができ、その全額を損金の額に算入することができます。 掛金については国の助成制度があり、新規加入の場合は、掛金月額の2分の1(従業員ごとに上限5,000円)について加入後4カ月目から( ② )年間にわたり助成が受けられます。また、1万8,000円以下の掛金月額を増額する場合は、増額分の3分の1について増額月から( ② )年間にわたり助成が受けられます。 被共済者である従業員が退職したときの退職金は、勤労者退職金共済機構から( ③ )支給されます」
- イ
- 30,000
- ロ
- 40,000
- ハ
- 50,000
- ニ
- 1
- ホ
- 2
- ヘ
- 3
- ト
- 4
- チ
- 5
- リ
- 会社に
- ヌ
- 会社を経由して従業員に
- ル
- 従業員に直接
解答・解説を表示
解答
① イ ② ニ ③ ル
解説
中退共は単独で退職金制度を設けることが困難な中小企業を支援する共済制度であり、事業主が掛金を全額負担し、退職金は機構から従業員へ直接支給されます。
解き方
- 掛金月額の範囲(5,000円~30,000円の16種類)を確認して空欄①を特定する。
- 新規加入助成および増額助成の期間(1年間)を確認して空欄②を特定する。
- 退職金の受取人が事業主や企業経由ではなく、機構から直接従業員本人に支給されるルールを確認して空欄③を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 中退共の一般従業員の掛金月額は、5,000円から30,000円までの16種類から従業員ごとに任意に選択できます。
- 小問 ②:ニ
- 国の掛金助成制度において、新規加入助成および掛金月額増額助成の助成期間はいずれも「1年間」です。
- 小問 ③:ル
- 従業員が退職した際の退職金は、会社を経由せず、機構(勤労者退職金共済機構)から「従業員に直接」支払われます。
覚えるポイント
- 中退共の掛金月額は5,000円から30,000円までの16種類であること。
- 退職金は会社を経由せず機構から直接従業員に支払われること。
間違えやすいところ
- 小規模企業共済の掛金上限(7万円)や確定拠出年金の限度額と中退共の掛金上限(3万円)を混同しやすい。
- 退職金が会社口座をいったん経由して支払われると誤解しやすい。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の中小企業退職金共済法等の法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資の主な投資指標(PER・PBR・ROE・配当性向)の比較
株式投資・財務分析 · PER(株価収益率) / PBR(株価純資産倍率) / ROE(自己資本利益率) / 配当性向
設例の<X社およびY社に関する資料>に基づき、株式投資の主な投資指標について説明した次の記述①~④の正誤を判定しなさい。 <資料> X社:総資産38,200億円、純資産20,100億円、当期純利益2,100億円、配当金総額600億円、発行済株式数3億株、株価22,500円 Y社:総資産43,500億円、純資産25,400億円、当期純利益2,200億円、配当金総額900億円、発行済株式数9億株、株価3,000円 ①「X社のPERは、Y社のPERを2倍以上、上回っています」 ②「X社のPBRは、Y社のPBRを3倍以上、上回っています」 ③「X社のROEは、Y社のROEを2倍以上、上回っています」 ④「Y社の配当性向は、X社の配当性向を2倍以上、上回っています」
- ①
- X社のPERは、Y社のPERを2倍以上、上回っています
- ②
- X社のPBRは、Y社のPBRを3倍以上、上回っています
- ③
- X社のROEは、Y社のROEを2倍以上、上回っています
- ④
- Y社の配当性向は、X社の配当性向を2倍以上、上回っています
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ × ④ ×
解説
PER、PBR、ROE、配当性向などの投資指標は、企業の株価や財務数値から各社の割安性や収益力、株主還元姿勢を客観的に比較・分析するための基礎指標です。
解き方
- X社とY社の1株当たり純利益(EPS)、1株当たり純資産(BPS)をそれぞれ算出し、PERとPBRを計算して比較する。
- 自己資本利益率(ROE=当期純利益÷自己資本)および配当性向(配当金総額÷当期純利益)をそれぞれ算出し、各社の倍率関係を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- X社のPERは約32.14倍(22,500円÷700円)、Y社のPERは約12.27倍(3,000円÷244.44円)であり、32.14÷12.27≒2.62倍となるため2倍以上上回っています。
- 小問 ②:○
- X社のPBRは約3.36倍(22,500円÷6,700円)、Y社のPBRは約1.06倍(3,000円÷2,822.22円)であり、3.36÷1.06≒3.16倍となるため3倍以上上回っています。
- 小問 ③:×
- X社のROEは約10.45%(2,100億円÷20,100億円)、Y社のROEは約8.66%(2,200億円÷25,400億円)であり、2倍以上上回ってはいません。
- 小問 ④:×
- Y社の配当性向は約40.91%(900億円÷2,200億円)、X社の配当性向は約28.57%(600億円÷2,100億円)であり、2倍以上上回ってはいません。
覚えるポイント
- PER=株価÷1株当たり当期純利益(または時価総額÷当期純利益)
- PBR=株価÷1株当たり純資産(または時価総額÷純資産)
- ROE=当期純利益÷自己資本、配当性向=配当金総額÷当期純利益
間違えやすいところ
- 総資産と純資産(自己資本)を取り違えてROEやPBRを計算してしまうミス。
- 配当性向(配当金÷純利益)と配当利回り(配当金÷株価)を混同すること。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令および一般的な財務分析指標の定義に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
債券の各種利回り(直接利回り・最終利回り・所有期間利回り)の計算
金融資産運用 · 債券投資 / 直接利回り / 最終利回り / 所有期間利回り
設例の<Z社社債の条件>(購入価格:額面100円当たり100.50円、表面利率:0.55%、残存期間:4年)に基づき、次の①~③の利回りをそれぞれ求めなさい。なお、計算結果はパーセント表示とし、小数点以下第3位を四捨五入して小数点以下第2位まで解答すること。税金等は考慮しないものとする。 ① Z社社債の直接利回り ② Z社社債を償還まで保有した場合の最終利回り(単利) ③ Z社社債を2年後に額面100円当たり100.10円で売却した場合の所有期間利回り(単利)
解答・解説を表示
解答
① 0.55(%) ② 0.42(%) ③ 0.35(%)
解説
債券の単利利回り計算では、毎年のインカムゲイン(表面利率)に加えて、購入価格と償還(または売却)価格との差額から生じる年換算のキャピタル損益を合算し、それを投資元本である購入価格で除して年利回り(%)を算出します。
解き方
- 直接利回りは年間のインカムゲインを購入価格で除して求めます(表面利率÷購入価格×100)。
- 最終利回りは表面利率に年あたりの償還差損益を加えた額を購入価格で除して求めます({表面利率+(100-購入価格)÷残存年数}÷購入価格×100)。
- 所有期間利回りは表面利率に年あたりの売却差損益を加えた額を購入価格で除して求めます({表面利率+(売却価格-購入価格)÷所有年数}÷購入価格×100)。
- 各計算結果の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで求めます。
答えの内訳
- ①:0.55
- 直接利回り(%)=表面利率÷購入価格×100=0.55÷100.50×100=0.5472…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して0.55%となります。
- ②:0.42
- 最終利回り(単利、%)={表面利率+(償還価格-購入価格)÷残存年数}÷購入価格×100={0.55+(100-100.50)÷4}÷100.50×100=(0.55-0.125)÷100.50×100=0.425÷100.50×100=0.4228…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して0.42%となります。
- ③:0.35
- 所有期間利回り(単利、%)={表面利率+(売却価格-購入価格)÷所有年数}÷購入価格×100={0.55+(100.10-100.50)÷2}÷100.50×100=(0.55-0.20)÷100.50×100=0.35÷100.50×100=0.3482…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して0.35%となります。
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覚えるポイント
- 債券の単利利回りの分母は「額面(100円)」ではなく必ず「購入価格」となります。
- 端数処理の指示(小数点以下第3位を四捨五入し第2位まで)を厳守して丸めます。
間違えやすいところ
- 分母を購入価格ではなく額面100円で計算してしまう誤り。
- 所有期間利回りの計算において、年数を残存期間の「4年」と取り違えて計算してしまう誤り(売却までの「2年」を使用する)。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一般NISAおよびつみたてNISAの仕組み
金融資産運用 · 少額投資非課税制度 / 一般NISA / つみたてNISA / 株式数比例配分方式
「一般NISA」および「つみたてNISA」の仕組みについて説明した次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、〈語句群〉の中から選びなさい。 Ⅰ 「一般NISA勘定に受け入れることができる上場株式等の限度額(非課税枠)は年間( ① )万円であり、その配当金や譲渡益等の非課税期間は、当該一般NISA勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長5年間です」 Ⅱ 「NISA口座に受け入れた上場株式の配当金を非課税とするためには、配当金の受取方法を( ② )方式にする必要があります」 Ⅲ 「つみたてNISAでは、( ③ )を投資対象とすることができません」 〈語句群〉 イ.80 ロ.100 ハ.120 ニ.配当金領収証 ホ.株式数比例配分 ヘ.登録配当金受領口座 ト.ETF(上場投資信託) チ.公募株式投資信託 リ.上場株式
- イ
- 80
- ロ
- 100
- ハ
- 120
- ニ
- 配当金領収証
- ホ
- 株式数比例配分
- ヘ
- 登録配当金受領口座
- ト
- ETF(上場投資信託)
- チ
- 公募株式投資信託
- リ
- 上場株式
解答・解説を表示
解答
① ハ ② ホ ③ リ
解説
一般NISAは年間120万円の非課税投資枠で上場株式や公募投信等に幅広く投資できるのに対し、つみたてNISAは年間40万円の枠で長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託等に限定されています。また、上場株式の配当金の非課税適用には株式数比例配分方式の選択が不可欠です。
解き方
- 一般NISAの年間非課税限度額が120万円であることを確認し、空欄①に「ハ」を選択します。
- NISAで上場株式の配当金を非課税にする受取方式が「株式数比例配分方式」であることを確認し、空欄②に「ホ」を選択します。
- つみたてNISAの対象外となる金融商品が「上場株式」であることを確認し、空欄③に「リ」を選択します。
- 選択肢 イ不正解
- 80万円は、ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)の年間投資限度額です。
- 選択肢 ロ不正解
- 100万円は、一般NISAが創設された2014年当時の年間非課税枠であり、基準日(2022年10月)時点では120万円です。
- 選択肢 ハ正解
- 一般NISAの年間非課税枠は120万円であるため、空欄①の解答として適切です。
- 選択肢 ニ不正解
- 配当金領収証方式を選択すると、配当金は課税扱い(源泉徴収あり)となり非課税の恩恵を受けられません。
- 選択肢 ホ正解
- NISAで上場株式の配当金を非課税とするには株式数比例配分方式を選択する必要があるため、空欄②の解答として適切です。
- 選択肢 ヘ不正解
- 登録配当金受領口座方式を選択すると、配当金は課税扱い(源泉徴収あり)となり非課税となりません。
- 選択肢 ト不正解
- 一定の要件を満たすETF(上場投資信託)は、つみたてNISAの投資対象に含まれます。
- 選択肢 チ不正解
- 一定の要件を満たす公募株式投資信託は、つみたてNISAの主たる投資対象商品です。
- 選択肢 リ正解
- 個別の上場株式はつみたてNISAの投資対象とすることができないため、空欄③の解答として適切です。
答えの内訳
- ①:ハ
- 2022年10月1日現在の一般NISA(非課税上場株式等管理契約)における年間非課税投資枠は120万円(非課税期間は最長5年間)です。
- ②:ホ
- NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税とするためには、配当金の受取方法を証券会社の口座で受領する「株式数比例配分方式」に指定する必要があります。
- ③:リ
- つみたてNISAの対象商品は、法令で定められた要件を満たす一定の公募株式投資信託および上場投資信託(ETF)に限定されており、個別の上場株式は対象外です。
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覚えるポイント
- NISA口座内の上場株式配当金を非課税にするには「株式数比例配分方式」の登録が必要不可欠です。
- つみたてNISAの対象商品は長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託・ETFに限られ、個別の上場株式は対象外です。
間違えやすいところ
- 登録配当金受領口座方式や配当金領収証方式でも配当が非課税になると勘違いしやすい点に注意が必要です。
- つみたてNISAでETFが購入できないと誤解しがちですが、法令等の基準を満たす一定のETFは対象に含まれます。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の申告調整(交際費等の損金算入・役員への低額譲渡・養老保険)
法人税 · 交際費等の損金不算入 / 役員給与・低額譲渡 / ハーフタックスプラン / 別表四の申告調整
X社(中小法人)の当期における法人税の申告調整に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 Ⅰ 「X社が支出した交際費等の金額2,600万円のうち、( ① )万円を法人税申告書別表四で加算します」 Ⅱ 「X社がAさんに売却した土地について、時価と実際に受け取った対価との差額の1,100万円を、法人税申告書別表四で( ② )します」 Ⅲ 「X社が支払った生命保険の保険料のうち、損金の額に算入することができる金額はその( ③ )に相当する金額であるため、800万円から当該金額を控除した金額を法人税申告書別表四で加算します」
- イ
- 1,000
- ロ
- 1,600
- ハ
- 1,800
- ニ
- 減算
- ホ
- 加算
- ヘ
- 2分の1
- ト
- 3分の2
- チ
- 4分の3
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ホ ③ ヘ
解説
法人税の所得金額は、企業会計上の当期純利益を基礎とし、税法固有の規定に基づいて益金加算・損金加算(減算項目)などの申告調整(別表四)を行って算出します。交際費等の限度額選択、役員に対する利益供与、福利厚生目的の保険料処理など、税法上の適正な損金算入ルールに従って調整計算を実施します。
解き方
- 交際費等は定額控除(800万円控除で加算1,800万円)と飲食費50%(1,000万円控除で加算1,600万円)を比較し、所得が低くなる1,600万円加算を選択します。
- 土地の低額譲渡は時価と譲渡対価の差額が事前確定届出給与に該当しない役員給与とみなされるため、損金不算入として加算処理を適用します。
- 普遍加入の養老保険(ハーフタックス)は支払保険料の2分の1が損金算入限度額となるため、全額損金経理したうちの資産計上相当額を加算します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 中小法人における交際費等の損金算入限度額は、「年間800万円までの定額控除」または「接待飲食費の50%」の選択適用です。接待飲食費2,000万円の50%である1,000万円を損金算入する方が損金算入額が大きくなり所得金額を低く抑えられます。したがって損金不算入額(別表四の加算額)は2,600万円-1,000万円=1,600万円(ロ)となります。
- 小問 ②:ホ
- 役員に対して時価より低い価額で資産を譲渡した場合、時価と譲渡価額の差額1,100万円は役員に対する経済的利益(役員賞与)の供与とみなされます。事前確定届出給与等の要件を満たしていないため損金不算入となり、別表四において「加算(社外流出・賞与等)」(ホ)します。
- 小問 ③:ヘ
- 契約者および満期保険金受取人を法人、被保険者を全役員・従業員、死亡保険金受取人を被保険者の遺族とする養老保険(ハーフタックスプラン)の保険料は、「2分の1」(ヘ)相当額を福利厚生費等として損金算入し、残る2分の1を資産計上(保険料積立金)します。全額損金経理しているため、資産計上すべき2分の1(400万円)を別表四で加算(留保)します。
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覚えるポイント
- 中小法人の交際費等は定額控除(800万円)と飲食費50%の有利選択が可能
- 養老保険のハーフタックスプランは支払保険料の2分の1が損金算入
間違えやすいところ
- 交際費の計算で損金算入額と損金不算入(加算)額を混同しないように注意する
- 養老保険で全役員・従業員を対象としていても全額損金算入できると誤認しやすい
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の課税所得金額および法人税額の計算
法人税 · 課税所得金額の計算 / 法人税率 / 中小法人の軽減税率
《設例》の<資料>に基づき、X社の当期の法人税額を求める下記の<計算式>の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。 <計算式> ・課税所得金額 ( ① )万円 ・法人税額 ( ② )万円×( ③ )%+{( ① )万円-( ② )万円}×23.2% =( ④ )万円
解答・解説を表示
解答
① 4,800、② 800、③ 15、④ 1,048
解説
普通法人の法人税額は、当期純利益に別表四の加算・減算調整を行って求めた課税所得金額に、所定の法人税率を乗じて算出します。資本金1億円以下の中小法人等については、年800万円以下の所得金額に対して軽減税率(15%)が適用され、年800万円を超える部分には本則税率(23.2%)が適用されます。
解き方
- 当期利益1,700万円に益金算入1,100万円および損金不算入3,640万円を加算し、益金不算入840万円および損金算入800万円を控除して課税所得金額4,800万円を算出します。
- 課税所得4,800万円を800万円以下の部分(税率15%)と800万円超の部分(4,000万円、税率23.2%)に区分します。
- それぞれの税額(120万円+928万円)を合算して当期の法人税額1,048万円を求めます。
答えの内訳
- ①:4,800
- 課税所得金額は、当期利益1,700万円+益金算入額1,100万円-益金不算入額840万円-損金算入額800万円+損金不算入額3,640万円=4,800万円となります。
- ②:800
- 中小法人(資本金1億円以下)の法人税率における軽減税率が適用される所得基準額は、年800万円以下の部分です。
- ③:15
- 適用除外事業者に該当しない中小法人の所得金額のうち、年800万円以下の部分に適用される法人税の軽減税率は15%です。
- ④:1,048
- 法人税額は、800万円×15%+(4,800万円-800万円)×23.2%=120万円+4,000万円×23.2%=120万円+928万円=1,048万円となります。

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覚えるポイント
- 課税所得金額=当期利益+益金算入・損金不算入-益金不算入・損金算入
- 中小法人の年800万円以下の所得に対する法人税率は15%、超える部分は23.2%
間違えやすいところ
- 益金不算入や損金算入を加算と誤認して計算符号を間違えないこと
- 年800万円超の部分(4,800万円-800万円=4,000万円)の税率適用を課税所得全額に乗じてしまわないこと
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
少額減価償却資産の特例と修繕費・資本的支出の判定
法人税 · 少額減価償却資産の損金算入の特例 / 資本的支出と修繕費の区分
X社(中小企業者等)における減価償却資産の取得および修繕・改良に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ×
解説
法人税法において、固定資産の修理・改良にかかる支出は、資産価値の向上や耐久性の延長をもたらす『資本的支出』と、現状維持や原状回復にかかる『修繕費』に区分されます。資本的支出は固定資産の取得価額に加算して減価償却により費用化し、修繕費は支出事業年度に一括して損金算入します。また、少額資産については事務負担軽減等の観点から特例的な即時損金算入基準が設けられています。
解き方
- 中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例の上限価額基準(30万円未満)を確認する。
- 固定資産の維持管理・原状回復支出の性質(修繕費)と価値向上支出(資本的支出)の定義を対照する。
- 資本的支出と修繕費の形式基準における少額免税基準(20万円未満)の数値を照合する。
答えの内訳
- ①:×
- 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の対象となるのは、取得価額が30万円未満の減価償却資産(年間合計300万円が上限)です。問題文の「60万円未満」は誤りです。
- ②:×
- 減価償却資産の通常の維持管理または原状回復のための支出は修繕費としてその事業年度の損金に算入されます。資産の価値を高めたり耐久性を増したりする支出が資本的支出に該当するため誤りです。
- ③:×
- 通常の維持管理等でなくても、1つの修理・改良等の支出額が20万円未満である場合、またはおおむね3年以内の周期で行われる修繕等である場合は修繕費として損金算入が可能です。30万円未満ではないため誤りです。
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覚えるポイント
- 中小企業の少額減価償却資産の即時損金算入特例は取得価額30万円未満・年間合計300万円まで。
- 原状回復・維持管理は修繕費(全額損金)、価値向上・延長は資本的支出(資産計上)。
- 修繕費として処理できる少額形式基準は20万円未満または3年以内の周期。
間違えやすいところ
- 少額減価償却資産の特例(30万円未満)と一括償却資産(20万円未満)や少額の減価償却資産(10万円未満)の金額要件を混同しやすい。
- 修繕費の判定基準(20万円未満、あるいは明らかな区分不能時の60万円未満または前期末取得価額の10%以下)と特例要件を取り違えやすい。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第67条の5、法人税法施行令第132条等)
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における複数地域にまたがる敷地の制限
不動産 · 用途地域のまたがり / 建蔽率の角地加算 / 防火地域と準防火地域のまたがり
近隣商業地域(防火地域・300㎡)と第一種中高層住居専用地域(準防火地域・150㎡)にまたがる甲土地(特定行政庁指定の角地)に建築物を建築する場合の建築基準法の規定に関する記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
建築物の敷地が異なる規制区域にまたがる場合、制限の種類ごとに適用ルールが異なります。用途制限は『過半が属する地域の規定』が敷地全体に適用されます。建蔽率・容積率は地域ごとの基準数値を『敷地面積の割合で加重平均』して算出します。防火規制は建築物全体に対して『より厳しい地域の規定(原則として防火地域)』が適用されます。
解き方
- 敷地面積の過半判定を行い、用途制限が過半の近隣商業地域の規定となることを確認する。
- 角地加算が敷地全体として各地域それぞれの指定建蔽率に加算される仕組みを確認する。
- 防火地域と準防火地域にまたがる建築物に対する防火規制の統一適用ルール(最も厳しい規定の適用)を適用する。
答えの内訳
- ①:○
- 建築物の敷地が異なる用途地域にまたがる場合、建築物の用途制限は敷地の過半が属する地域の規定が敷地全体に適用されます。甲土地450㎡のうち過半(300㎡)が近隣商業地域であるため、全体に近隣商業地域の用途制限が適用されます。
- ②:×
- 敷地全体が特定行政庁の指定する角地に該当する場合、各地域に適用される建蔽率の限度にそれぞれ10%が加算された上で加重平均されます。近隣商業地域に属する部分にのみ限られるわけではないため不適切です。
- ③:○
- 建築物が防火地域と準防火地域にまたがって建築される場合、原則として建築物の全部について、規制のより厳しい防火地域内の建築物に関する規定が適用されます。
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覚えるポイント
- 用途地域の制限:過半が属する地域の規定が全部に適用される。
- 建蔽率・容積率:敷地面積による加重平均で計算する。
- 防火地域の規制:内外にまたがる建築物は原則として厳しい方の地域(防火地域)の規定が全部に適用される。
間違えやすいところ
- 用途制限を面積加重平均と誤解したり、建蔽率・容積率の計算を過半主義と混同しやすい。
- 防火地域と準防火地域にまたがる場合、各部分ごとに分かれて適用されると誤認しやすい。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等(建築基準法第53条、第65条、第91条)
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における延べ面積の限度の計算(複数用途地域・前面道路幅員制限)
不動産 · 容積率制限 / 前面道路の幅員 / 複数地域にわたる敷地 / 延べ面積の限度
甲土地(敷地面積450㎡、特定行政庁が指定する角地)に耐火建築物を建築する場合における、容積率の上限となる延べ面積を求める次の<計算の手順>の空欄①〜③に入る最も適切な数値を求めなさい。 <敷地の条件> ・敷地全体:西側が幅員6mの県道、北側が幅員4mの市道に接する角地。 ・近隣商業地域部分:敷地面積300㎡、指定建蔽率80%、指定容積率400%、前面道路幅員による容積率低減係数6/10、防火地域。 ・第一種中高層住居専用地域部分:敷地面積150㎡、指定建蔽率60%、指定容積率200%、前面道路幅員による容積率低減係数4/10、準防火地域。 <計算の手順> 1. 近隣商業地域部分の延べ面積の限度 ・容積率の判定 指定容積率:400% 前面道路の幅員による制限を受けた容積率:□□□% したがって、近隣商業地域部分において上限となる容積率は□□□%である。 ・延べ面積の限度 300㎡×□□□%=( ① )㎡ 2. 第一種中高層住居専用地域部分の延べ面積の限度 ・容積率の判定 指定容積率:200% 前面道路の幅員による制限を受けた容積率:( ② )% したがって、第一種中高層住居専用地域部分において上限となる容積率は□□□%である。 ・延べ面積の限度 150㎡×□□□%=□□□㎡ 3. 甲土地の容積率の上限となる延べ面積 ( ① )㎡+□□□㎡=( ③ )㎡
解答・解説を表示
解答
① 1,080(㎡) ② 240(%) ③ 1,380(㎡)
解説
建築物の敷地が2以上の道路に接する場合、前面道路の幅員は広い方の幅員を採用して道路幅員制限による容積率を算出します。また、敷地が異なる用途地域にまたがる場合、各地域の敷地面積にそれぞれの地域の上限容積率(指定容積率と道路幅員制限容積率のいずれか小さい方)を乗じて延べ面積の限度を求め、それらを合算します。
解き方
- 接する2本の道路(6m県道と4m市道)のうち、広い方の幅員である6mを基準前面道路幅員とする。
- 近隣商業地域の容積率は、指定400%と幅員制限(6m×6/10=360%)を比較し、小さい方の360%を採用して延べ面積限度を300㎡×360%=1,080㎡と算出する。
- 第一種中高層住居専用地域の容積率は、指定200%と幅員制限(6m×4/10=240%)を比較し、小さい方の200%を採用して延べ面積限度を150㎡×200%=300㎡と算出する。
- 両地域の延べ面積限度を合算して、敷地全体の上限延べ面積を1,080㎡+300㎡=1,380㎡と求める。
答えの内訳
- ①:1,080
- 敷地が2以上の道路に接する場合、前面道路の幅員は広い方の幅員(県道6m)を採用します。近隣商業地域における前面道路幅員による制限容積率は6m×6/10=360%となります。指定容積率400%と比較して厳しい360%が基準となるため、延べ面積の限度は300㎡×360%=1,080㎡です。
- ②:240
- 広い方の前面道路幅員(6m)を採用し、第一種中高層住居専用地域の低減係数4/10を乗じると、前面道路の幅員による制限容積率は6m×4/10=240%となります。
- ③:1,380
- 第一種中高層住居専用地域部分の上限容積率は、指定容積率200%と幅員制限240%の小さい方である200%となるため、当該地域の延べ面積の限度は150㎡×200%=300㎡です。敷地全体の延べ面積の上限は、各地域の上限面積を合算して1,080㎡+300㎡=1,380㎡となります。
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覚えるポイント
- 2以上の道路に接する敷地では、最大幅員の道路を基準として各地域の容積率低減係数を乗じる。
間違えやすいところ
- 敷地の一部が接していない側の道路幅員を適用したり、各地域ごとに面している道路の幅員を個別に乗じてしまうミスに注意する。
出題の前提:建築基準法第52条(容積率)
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(取得費加算の特例)の要件と取扱い
タックスプランニング/相続・事業承継 · 取得費加算の特例 / 空き家に係る譲渡所得の特別控除 / 概算取得費 / 相続時精算課税 / 小規模宅地等の特例
「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」(相続税の取得費加算の特例。以下、「本特例」という)に関する次の記述①〜④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 相続人が相続により取得した被相続人居住用家屋の敷地を譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算上、本特例は、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」と重複して適用を受けることはできない。 ② 相続人が相続により取得した土地を譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算上、譲渡価額の5%相当額を当該土地の取得費とするときは、本特例の適用を受けることはできない。 ③ 相続時精算課税の適用を受けた贈与により取得し、当該贈与者の相続時に相続財産に加算されて相続税が課税された資産を譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算上、本特例の適用を受けることはできない。 ④ 本特例により取得費に加算する金額を算出する場合における譲渡資産の価額は、当該資産について相続税額の計算上、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けていた場合、当該特例適用前の金額となる。
- ①
- 本特例は、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」と重複して適用を受けることはできない。
- ②
- 譲渡所得の金額の計算上、譲渡価額の5%相当額を当該土地の取得費とするときは、本特例の適用を受けることはできない。
- ③
- 相続時精算課税の適用を受けた贈与により取得し、当該贈与者の相続時に相続税が課税された資産を譲渡した場合、本特例の適用を受けることはできない。
- ④
- 本特例により取得費に加算する金額を算出する場合の譲渡資産の価額は、小規模宅地等の特例の適用を受けていた場合、特例適用前の金額となる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ × ④ ×
解説
相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(取得費加算の特例)は、相続や遺贈(相続時精算課税適用財産を含む)により財産を取得し相続税を納付した者が、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までにその財産を譲渡した場合に、納付した相続税額のうち一定額を取得費に加算できる制度です。
解き方
- 他の特例との併用関係を確認する(空き家特例とは重複適用不可)。
- 取得費の算定方法との関係を確認する(概算取得費5%を用いる場合でも加算可能)。
- 対象となる財産の範囲を確認する(相続時精算課税の適用を受けた財産も対象となる)。
- 加算税額計算における財産価額の扱いを確認する(小規模宅地等の特例適用後の評価額を用いる)。
- 選択肢 ①正解
- 空き家の3,000万円特別控除と相続税の取得費加算の特例は選択適用であり、重複適用は認められていません。
- 選択肢 ②不正解
- 譲渡所得の計算において概算取得費(5%)を用いる場合であっても、本特例により算出された相続税額を取得費に加算できます。
- 選択肢 ③不正解
- 相続時精算課税の適用を受けて受贈した資産であっても、相続税が課税された資産であれば本特例の対象となります。
- 選択肢 ④不正解
- 取得費加算額の計算で用いられる資産の価額は、小規模宅地等の特例適用前の金額ではなく、特例適用後の相続税評価額(課税価格)です。
答えの内訳
- ①:○
- 相続税の取得費加算の特例と「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例(3,000万円特別控除)」は選択適用であり、重複して適用を受けることはできません。
- ②:×
- 概算取得費(譲渡価額の5%相当額)を取得費として譲渡所得を計算する場合であっても、本特例の要件を満たしていれば取得費加算の特例を併せて適用することができます。
- ③:×
- 相続時精算課税の適用を受けて贈与された財産であっても、相続税の課税価格に加算されて相続税が課税されている場合には、本特例の対象資産に含まれます。
- ④:×
- 取得費に加算する相続税額の計算の基礎となる譲渡資産の価額は、小規模宅地等の特例の適用を受けている場合、特例適用「後」の課税価格計算の基礎となった金額となります。
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覚えるポイント
- 取得費加算の特例は概算取得費5%とも併用可能であり、空き家3,000万円特別控除とは重複適用できない。
間違えやすいところ
- 小規模宅地等の特例を受けた宅地について、取得費加算額の算定に用いる評価額を「特例適用前」と誤解しやすい。
出題の前提:租税特別措置法第39条(相続財産に係る譲渡所得の課税の特例)
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の評価(類似業種比準方式および併用方式の計算割合)
資産承継設計 · 取引相場のない株式の評価 / 類似業種比準価額 / 中会社の併用方式 / 斟酌割合 / Lの割合
非上場会社であるX社の概要(財産評価基本通達上の規模区分は「中会社の中」)に基づき、X社株式の1株当たりの「類似業種比準価額」および「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による相続税評価額」を求める計算式中の空欄①・②に入る最も適切な数値を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 0.6、② 0.75
解説
取引相場のない株式の評価において、中会社に該当する会社の株式は、類似業種比準方式と純資産価額方式を併用して評価します。類似業種比準価額を求める算式内の規模に応じた斟酌割合は大会社0.7・中会社0.6・小会社0.5と定められており、中会社の併用割合(L)は規模に応じて大0.90・中0.75・小0.60と定められています。
解き方
- X社の会社規模区分を問題文から確認する(設例より「中会社の中」)。
- 類似業種比準価額の算式に適用する斟酌割合が中会社の場合は0.6であることを確認し、空欄①に当てはめる。
- 中会社における併用方式の類似業種比準価額の割合(L)について、「中会社の中」に該当する割合が0.75であることを確認し、空欄②に当てはめる。
答えの内訳
- ①:0.6
- 類似業種比準価額の計算における斟酌割合(規模区分に応じた乗数)は、大会社が0.7、中会社が0.6、小会社が0.5となっています。設例よりX社の規模区分は「中会社の中」であるため、空欄①の斟酌割合は0.6(または0.60)となります。
- ②:0.75
- 中会社の株式を原則的評価方式で評価する場合、類似業種比準価額と純資産価額との併用方式により評価します。類似業種比準価額に乗じる割合(Lの割合)は、中会社の大が0.90、中会社の中が0.75、中会社の小が0.60と定められています。本問のX社は「中会社の中」であるため、空欄②は0.75となります。
覚えるポイント
- 類似業種比準価額の斟酌割合は大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5。
- 中会社のLの割合は、大が0.90、中が0.75、小が0.60。
間違えやすいところ
- 類似業種比準価額の斟酌割合(大0.7/中0.6/小0.5)と、中会社の併用割合L(大0.90/中0.75/小0.60)の数値を混同しないように注意する。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達178、179、180)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自己株式の取得手続きと税務(みなし配当)
事業承継 · 自己株式の取得 / 会社法 / 分配可能額 / 純資産の部 / みなし配当 / 資本金等の額
X社の自己株式の買取りに関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を〈語句群〉から選び、その記号を答えなさい。 「会社が個人株主との合意により自己株式を株主総会決議によって取得する場合、取得の財源については、自己株式の取得が剰余金の分配とされることから、取得価額の総額が( ① )を超えることはできません。また、取得した株式は、実質的に資本の払戻しと考えられるため、貸借対照表においては資産計上せず、取得価額をもって( ② )の部の控除項目として表示することになります。 X社が二男DさんからX社株式を買い取るためには、特定の株主からの取得となるため、X社の株主総会の特別決議が必要となります。 二男DさんがX社株式をX社に譲渡した場合、譲渡価額のうち当該株式に対応する( ③ )を超える部分の金額については、( ④ )所得として総合課税の対象となります」 〈語句群〉 イ.剰余金の額 ロ.資本金等の額 ハ.分配可能額 ニ.利益積立金 ホ.経常利益 ヘ.資産 ト.純資産 チ.負債 リ.配当 ヌ.一時 ル.譲渡
- イ
- 剰余金の額
- ロ
- 資本金等の額
- ハ
- 分配可能額
- ニ
- 利益積立金
- ホ
- 経常利益
- ヘ
- 資産
- ト
- 純資産
- チ
- 負債
- リ
- 配当
- ヌ
- 一時
- ル
- 譲渡
解答・解説を表示
解答
① ハ、② ト、③ ロ、④ リ
解説
株式会社が自社の発行済株式を取得(自己株式の取得)する際は、会社法上の財源規制として分配可能額の範囲内で行う必要があり、会計上は純資産の部の控除項目として処理します。また、税務上は交付された対価のうち資本金等の額を超える部分は会社に留保されていた利益の払い戻しとみなされ、「みなし配当」として配当所得(総合課税)に区分されます。
解き方
- 会社法上の自己株式取得の財源規制を確認し、上限が「分配可能額(ハ)」であることを特定する。
- 自己株式の会計上の表示区分を確認し、「純資産(ト)」の部の控除項目であることを特定する。
- 個人株主が発行法人に自己株式を譲渡した際の税務上の取り扱い(みなし配当)の構成を確認する。
- 譲渡対価のうち「資本金等の額(ロ)」を超える部分がみなし「配当(リ)」所得として総合課税されることを当てはめる。
- 選択肢 イ不正解
- 自己株式取得の財源規制の上限は「剰余金の額」ではなく、会社法第461条に規定される「分配可能額」です。
- 選択肢 ロ正解
- 空欄③の正解です。譲渡対価のうち「資本金等の額」に対応する部分までは株式譲渡対価となり、これを超える部分がみなし配当となります。
- 選択肢 ハ正解
- 空欄①の正解です。自己株式取得の交付総額は、会社法上の「分配可能額」を超えてはなりません。
- 選択肢 ニ不正解
- みなし配当の判定基準となる対応部分は「資本金等の額」であり、利益積立金ではありません。
- 選択肢 ホ不正解
- 経常利益は損益計算書の利益指標であり、本問の自己株式取得規制やみなし配当の規定には該当しません。
- 選択肢 ヘ不正解
- 自己株式は実質的な資本の払い戻しであるため、会計上「資産」には計上せず純資産の控除とします。
- 選択肢 ト正解
- 空欄②の正解です。取得した自己株式は貸借対照表の「純資産」の部に控除項目として表示されます。
- 選択肢 チ不正解
- 自己株式は負債の部ではなく、純資産の部の控除項目として表示されます。
- 選択肢 リ正解
- 空欄④の正解です。資本金等の額を超える部分は「配当」所得(みなし配当)として総合課税の対象となります。
- 選択肢 ヌ不正解
- 株式の譲渡により資本金等の額を超える部分は一時所得ではなく、みなし「配当所得」に該当します。
- 選択肢 ル不正解
- 株式に対応する資本金等の額に達するまでの部分は譲渡所得として分離課税されますが、これを超える部分は譲渡所得ではなく配当所得となります。
答えの内訳
- ①:ハ
- 会社法上、自己株式を有償で取得する場合、株主に対する会社財産の払い戻し(剰余金の分配)に該当するため、取得価額の総額は効力発生日における「分配可能額」を超えてはならないという財源規制が課されています。したがって「ハ.分配可能額」が入ります。
- ②:ト
- 取得した自己株式は会計上、資産ではなく実質的な資本の払い戻しとして取り扱われるため、貸借対照表上は「純資産」の部の株主資本から控除項目(自己株式としてマイナス表示)として計上されます。したがって「ト.純資産」が入ります。
- ③:ロ
- 非上場会社が株主から自己株式を買い取った場合、税務上、対価として交付された金額のうち、その株式に対応する「資本金等の額」に達するまでの部分は株式の譲渡対価となり、それを超える部分は利益の配当とみなされます。したがって「ロ.資本金等の額」が入ります。
- ④:リ
- 譲渡対価のうち当該株式に対応する資本金等の額を超える部分は、税法上「みなし配当」とされ、「配当」所得として他の所得と合算して総合課税の対象となります(源泉徴収あり)。したがって「リ.配当」が入ります。
覚えるポイント
- 自己株式の取得原資の上限は「分配可能額」。
- 貸借対照表での表示区分は「純資産の部の控除項目」。
- 譲渡対価のうち資本金等の額を超える部分は「配当所得(みなし配当)」として総合課税。
間違えやすいところ
- 取得上限を「純資産の額」や「剰余金の額」と誤認しやすい。
- みなし配当の計算基準を「利益積立金」と混同したり、所得区分を「譲渡所得」と取り違えないよう注意する。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等(会社法第461条、法人税法第24条、所得税法第25条)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
取引相場のない株式の評価引き下げ対策と評価方式
相続・事業承継 · 自社株評価引き下げ対策 / 役員退職金 / 不動産取得による純資産引き下げの3年ルール / 大会社の原則的評価方式
X社株式の評価および評価引き下げ対策に関する記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。
- ①
- Aさんが所有するX社株式を長男Cさんに生前贈与する場合は、X社株式の相続税評価額が下がったタイミングが望ましいが、X社がAさんに対して役員退職金を支給することにより、X社株式の相続税評価額を引き下げる効果が期待できる。
- ②
- X社が時価よりも相続税評価額が低い不動産を購入することにより、X社株式の相続税評価額を引き下げる効果が期待できるが、不動産取得後1年間は、通常の取引価額(時価)により評価するため、効果が現れるのは取得から1年経過後となる。
- ③
- X社株式の相続税評価額を引き下げるためには、積極的な費用計上を行って利益を圧縮することや、新規取引先に対する金銭債権のうち回収可能性があるものについても債権放棄により貸倒損失を計上することなどが望ましい。
- ④
- X社の従業員数が70人以上となり、X社の規模区分が「大会社」となった場合、同族株主が取得するX社株式の価額は、純資産価額によって評価しなければならず、純資産価額よりも低い類似業種比準価額による評価を選択することはできない。
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解答
① ○ ② × ③ × ④ ×
解説
非上場株式(取引相場のない株式)の相続税評価額の引き下げ対策では、役員退職金の支給による純資産・利益の圧縮や不動産購入の評価差額活用などが検討されます。ただし、課税時期前3年以内に取得した土地等の時価評価ルールや、回収可能債権の不当な放棄による寄附金認定リスク、会社規模区分に応じた原則的評価方式のルールを正確に理解しておく必要があります。
解き方
- 各記述について、取引相場のない株式の評価方法および税制上の評価引き下げ対策のルールを照合する。
- 役員退職金の支給効果、不動産取得時の3年ルール、回収可能債権放棄の適法性、大会社における類似業種比準方式の適用関係を検討して正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 役員退職金の支給は会社の純資産および利益金額を減少させるため、類似業種比準価額と純資産価額の双方を引き下げる効果が期待できます。
- 小問 ②:×
- 純資産価額の計算において、課税時期前3年以内に取得した土地や家屋等は通常の取引価額(帳簿価額・時価等)で評価されるため、効果が現れるのは取得後3年経過後となります。
- 小問 ③:×
- 回収可能性がある金銭債権を恣意的に債権放棄して貸倒損失を計上することは、税法上損金不算入(寄附金認定)となるおそれがあり、適正な経営・評価引き下げ策として不適切です。
- 小問 ④:×
- 大会社の同族株主が取得する株式は原則として類似業種比準方式により評価し、純資産価額方式による評価を選択することも認められています。
覚えるポイント
- 役員退職金の支給は純資産価額と類似業種比準価額の両方を引き下げる効果がある。
- 純資産価額方式における取得後3年以内の不動産は通常の取引価額で評価される。
間違えやすいところ
- 不動産取得による純資産価額引き下げにおいて、時価評価される期間を「1年」と「3年」で混同しないよう注意が必要です。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2023年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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