日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務の概要
公的年金の遺族給付および死亡一時金の受給要件
リスク管理 · 遺族基礎年金 / 死亡一時金 / 公的年金の支給月 / 遺族厚生年金(夫の受給要件)
Aさんまたは妻Bさんが現時点(2022年9月11日)で死亡した場合の遺族給付等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ①「Aさんが現時点で死亡した場合、妻Bさんは遺族基礎年金を受給することはできませんが、死亡一時金を受給することができます」 ②「遺族厚生年金は、原則として、偶数月にその前月までの2カ月分が支給されます」 ③「妻Bさんが現時点で死亡した場合、Aさんは遺族厚生年金の受給対象者となりますが、受給開始は60歳からとなります」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
公的年金の遺族給付には遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、受給権者の範囲や要件(子の有無、死亡時の年齢、性別による要件の違い)、受給できない場合の死亡一時金の納付要件(第1号被保険者期間36か月以上)が定められています。
解き方
- 遺族基礎年金における子の要件と、死亡一時金の第1号被保険者期間(36か月以上)を満たしているか確認する。
- 年金の原則的な支給時期(偶数月に前月までの2カ月分)のルールと合致しているかを判定する。
- 妻死亡時における夫の遺族厚生年金受給要件(死亡時55歳以上であること)と現在の年齢を比較する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 遺族基礎年金は「子のいる配偶者」または「子」が受給対象となるため、子のいない妻Bさんは受給できません。また、死亡一時金を受給するには第1号被保険者としての保険料納付済期間等が36カ月以上必要ですが、Aさんの第1号期間(納付済期間)は29月しかないため、受給できません。
- 小問 ②:○
- 遺族厚生年金を含む公的年金の支払期月は、原則として毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月の偶数月であり、それぞれの支払月の前月までの2カ月分が支給されます。
- 小問 ③:×
- 妻が死亡した場合に夫が遺族厚生年金の受給権者となるためには、妻の死亡当時に55歳以上であることが要件です。現時点で41歳であるAさんは受給権自体を満たしません(55歳以上の夫であれば60歳から受給開始となります)。
覚えるポイント
- 死亡一時金は第1号被保険者期間(納付済期間等)が通算36か月以上必要であること
- 妻が死亡したときの夫の遺族厚生年金受給要件は死亡当時55歳以上であること
間違えやすいところ
- 会社員期間(厚生年金期間)が長くても、死亡一時金の判定には第1号被保険者期間のみを用いる点を見落とすこと
- 夫死亡時の妻の要件と、妻死亡時の夫の要件(年齢制限)を混同すること
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族厚生年金の年金額および中高齢寡婦加算の計算
リスク管理 · 遺族厚生年金 / 中高齢寡婦加算 / 短期要件(300月みなし)
Aさんが現時点で死亡した場合に妻Bさんが受給できる遺族厚生年金の年金額(2022年度価額)に関する下記の<計算の手順>の空欄①、②、④に入る最も適切な数値を求めなさい。また、空欄③に入る語句を「される/されない」から選びなさい。 <計算の手順> 1.基本額(円未満四捨五入) 350,000円 × 5.481/1,000 ×( ① )月 ×( ② )= □□□円 2.中高齢寡婦加算額 妻Bさんの場合、中高齢寡婦加算額(583,400円)は加算( ③ )。 3.遺族厚生年金の年金額 ( ④ )円
解答・解説を表示
解答
① 300(月) ② 3/4 ③ される ④ 1,015,029(円)
解説
被保険者死亡による遺族厚生年金は短期要件に該当し、厚生年金被保険者期間が300月未満であれば300月とみなして報酬比例部分の4分の3を基本額とし、40歳以上65歳未満で子のない妻には中高齢寡婦加算が上乗せされます。
解き方
- 被保険者期間を確認し、300月未満であるため短期要件のみなし300月を適用して基本額の乗数(300月、3/4)を決定する。
- 報酬比例の基本額を計算し、円未満を四捨五入する(350,000 × 0.005481 × 300 × 0.75 = 431,628.75 → 431,629円)。
- 死亡当時の妻の年齢(43歳)と子の有無から中高齢寡婦加算の加算対象であることを判定する。
- 基本額に中高齢寡婦加算額(583,400円)を加算して合計支給年金額を算出する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:300
- 在職中の死亡(短期要件)において、被保険者期間が300月未満の場合は300月とみなして年金額を計算するため、空欄①には「300」が入ります。
- 小問 ②:3/4
- 遺族厚生年金の基本額(報酬比例部分)は、本来の老齢厚生年金の報酬比例部分の計算式の4分の3(3/4)に相当する額となります。
- 小問 ③:される
- 夫死亡時に40歳以上65歳未満で生計維持関係にあり、子のいない妻(夫の厚生年金期間が20年以上またはみなし300月)には、中高齢寡婦加算が加算されます(43歳の妻Bさんは要件を満たします)。
- 小問 ④:1,015,029
- 基本額は350,000円 × 5.481/1,000 × 300月 × 3/4 = 431,628.75円となり、円未満四捨五入で431,629円です。これに中高齢寡婦加算583,400円を合算して、431,629円 + 583,400円 = 1,015,029円となります。
覚えるポイント
- 遺族厚生年金の短期要件では被保険者期間が300月未満の場合は300月として計算すること
- 遺族厚生年金の報酬比例部分は老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4であること
- 中高齢寡婦加算は夫死亡時に40歳以上65歳未満で子のない妻等に加算されること
間違えやすいところ
- Aさんの実際の厚生年金被保険者期間(233月)をそのまま式に代入してしまうこと
- 基本額の計算後に円未満を四捨五入するのを忘れて端数処理を誤ること
- 中高齢寡婦加算の要件を満たしているにもかかわらず加算を足し忘れること
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等(2022年度価額)
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
後期高齢者医療制度の被保険者・保険料徴収方法・一部負担金割合
タックス・社会保険 · 後期高齢者医療制度 / 特別徴収 / 一部負担割合
MさんがAさんに対して説明した、母Cさん(74歳・健康保険被扶養者・12月に75歳到達)に係る後期高齢者医療制度に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、〈数値群〉の中から選びなさい。 「母Cさんのような全国健康保険協会管掌健康保険の被扶養者が75歳に達したときは、その被扶養者でなくなり、後期高齢者医療制度の被保険者となります。 保険料の徴収方法は、公的年金制度から年額( ① )万円以上の年金を受給している被保険者の保険料については、原則として、公的年金からの特別徴収となります。ただし、後期高齢者医療制度の保険料と公的介護保険の保険料との合計額がその者に支払われる年金額の( ② )分の1相当額を超えるなど、所定の要件に該当する被保険者の保険料は、納付書や口座振替等による普通徴収となります。 後期高齢者医療制度の被保険者となった母Cさんが、保険医療機関等の窓口で支払う医療費の一部負担金の割合は、( ③ )割となります」 〈数値群〉 イ.1 ロ.1.5 ハ.2 ニ.3 ホ.4 へ.10 ト.15 チ.18 リ.20
- イ
- 1
- ロ
- 1.5
- ハ
- 2
- ニ
- 3
- ホ
- 4
- へ
- 10
- ト
- 15
- チ
- 18
- リ
- 20
解答・解説を表示
解答
① チ、② ハ、③ イ
解説
後期高齢者医療制度は75歳以上等が加入する公的医療保険制度であり、保険料の特別徴収要件(年額18万円以上かつ介護保険料との合算が年金額の2分の1以下)や所得水準に応じた一部負担金の割合が定められています。
解き方
- 後期高齢者医療保険料の公的年金からの特別徴収基準である「年額18万円以上」から空欄①を判断する。
- 特別徴収とならない基準である「介護保険料との合算額が年金額の2分の1を超える場合」から空欄②を判断する。
- 母Cさんの所得要件(老齢基礎年金50万円受給)を確認し、窓口負担割合が原則の「1割」であることを導く。
- 選択肢 イ正解
- 空欄③に当てはまる数値「1」であり、母Cさんの窓口負担割合として適切です。
- 選択肢 ロ不正解
- 「1.5」は後期高齢者医療制度の基準数値として該当しません。
- 選択肢 ハ正解
- 空欄②に当てはまる数値「2」であり、年金額の2分の1相当額という要件に一致します。
- 選択肢 ニ不正解
- 「3」は現役並み所得者の負担割合ですが、母Cさんには該当せず、他の空欄にも当てはまりません。
- 選択肢 ホ不正解
- 「4」は問題文のいずれの空欄にも該当しません。
- 選択肢 へ不正解
- 「10」は年金特別徴収基準や負担割合の規定に該当しません。
- 選択肢 ト不正解
- 「15」は特別徴収基準額(18万円)と混同しやすい数値ですが不適切です。
- 選択肢 チ正解
- 空欄①に当てはまる数値「18」であり、特別徴収の年額要件(18万円以上)に合致します。
- 選択肢 リ不正解
- 「20」は問題文のいずれの空欄の規定にも該当しません。
答えの内訳
- ①:チ
- 後期高齢者医療制度の保険料において、公的年金からの特別徴収(年金天引き)の対象となるのは、年額18万円以上の年金を受給している被保険者です。したがってチ(18)が入ります。
- ②:ハ
- 特別徴収の対象要件として、後期高齢者医療制度の保険料と介護保険料の合計額が、対象となる年金額の「2分の1」を超える場合には特別徴収の対象外(普通徴収)となります。したがってハ(2)が入ります。
- ③:イ
- 後期高齢者医療制度の一部負担金割合は原則として1割(現役並み所得者は3割、一定以上の所得がある者は2割)です。母Cさんは2021年の年金収入が老齢基礎年金50万円のみであり、一般・低所得者に該当するため1割負担となります。したがってイ(1)が入ります。
覚えるポイント
- 特別徴収の要件:年金額が年額18万円以上、かつ介護保険料との合計が年金額の2分の1以下であること。
間違えやすいところ
- 介護保険料や後期高齢者医療保険料の特別徴収基準額(18万円)を15万円や10万円と取り違えるミスに注意する。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の高齢者の医療の確保に関する法律および介護保険法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の補償限度額・重過失減額・保険料体系
リスク管理 · 自動車損害賠償責任保険 / 重過失減額 / 支払限度額
MさんがAさんに対して説明した、自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」という)に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、〈語句群〉の中から選びなさい。 ⅰ)「自賠責保険は、自動車損害賠償保障法の規定によって、原則として、すべての車に加入が義務付けられています。自賠責保険における( ① )当たりの保険金の支払限度額は、死亡の場合で3,000万円、傷害の場合で120万円です。また、後遺障害の場合は後遺障害の程度に応じて最高で( ② )万円が支払われます」 ⅱ)「自賠責保険では、被害者に重大な過失がある場合、損害賠償額が減額される仕組みがあります。具体的には、下記の<表>のとおり、被害者の過失割合が( ③ )割以上の場合、その過失割合に応じて、積算した損害額が保険金額に満たない場合には積算した損害額から、保険金額以上となる場合には保険金額から減額されます」 ⅲ)「自賠責保険の保険料は、( ④ )や保険期間等に応じて定められており、締結する保険会社、自動車の走行距離等による差異はありません」 <表> 減額適用上の被害者の過失割合/減額割合(後遺障害または死亡/傷害) ( ③ )割未満:減額なし/減額なし ( ③ )割以上□□□割未満:2割減額/減額なし □□□割以上□□□割未満:3割減額/2割減額 □□□割以上□□□割未満:5割減額/2割減額 〈語句群〉 イ.6 ロ.7 ハ.8 ニ.3,500 ホ.4,000 ヘ.5,000 ト.被害者1人 チ.1事故 リ.運転者の年齢 ヌ.運転者の等級区分 ル.自動車の車種
- イ
- 6
- ロ
- 7
- ハ
- 8
- ニ
- 3,500
- ホ
- 4,000
- ヘ
- 5,000
- ト
- 被害者1人
- チ
- 1事故
- リ
- 運転者の年齢
- ヌ
- 運転者の等級区分
- ル
- 自動車の車種
解答・解説を表示
解答
① ト、② ホ、③ ロ、④ ル
解説
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)は対人賠償の基本的補償を確保するための強制保険であり、支払限度額は被害者1人当たりで設定され、被害者保護の観点から7割以上の重過失がある場合に限り過失減額が行われます。
解き方
- 自賠責保険の支払限度額が「被害者1人当たり」であることを確認し、空欄①にトを選択する。
- 後遺障害の最高限度額が常時介護を要する場合などの「4,000万円」であることを確認し、空欄②にホを選択する。
- 重大な過失による減額(重過失減額)は過失割合「7割以上」から段階的に適用されることを確認し、空欄③にロを選択する。
- 自賠責保険料は年齢や等級ではなく「自動車の車種」や保険期間等によって決まることを確認し、空欄④にルを選択する。
- 選択肢 イ不正解
- 「6」は重過失減額の基準割合(7割以上から減額)ではないため不適切です。
- 選択肢 ロ正解
- 空欄③に該当します。重過失減額は被害者の過失割合が7割以上の場合に適用されます。
- 選択肢 ハ不正解
- 「8」は8割以上9割未満で3割減額(死亡・後遺障害)等の区分にはありますが、減額開始の基準値ではありません。
- 選択肢 ニ不正解
- 「3,500」は介護を要しない後遺障害第1級の限度額(3,000万円等)や常時介護(4,000万円)とは一致しません。
- 選択肢 ホ正解
- 空欄②に該当します。自賠責保険の後遺障害による最高支払限度額は4,000万円です。
- 選択肢 ヘ不正解
- 「5,000」は自賠責保険の支払限度額としては存在しません。
- 選択肢 ト正解
- 空欄①に該当します。自賠責保険の支払限度額は「被害者1人」当たりで適用されます。
- 選択肢 チ不正解
- 「1事故」当たりの限度額ではなく、自賠責保険は被害者1人ごとに限度額が定められています。
- 選択肢 リ不正解
- 「運転者の年齢」は任意保険の保険料決定要素であり、自賠責保険には適用されません。
- 選択肢 ヌ不正解
- 「運転者の等級区分」は任意保険のノンフリート等級制度の要素であり、自賠責保険にはありません。
- 選択肢 ル正解
- 空欄④に該当します。自賠責保険料は「自動車の車種」や保険期間、地域等によって決まります。
答えの内訳
- ①:ト
- 自賠責保険の支払限度額は「1事故」単位ではなく「被害者1人」ごとに定められています。したがってト(被害者1人)が入ります。
- ②:ホ
- 自賠責保険の後遺障害による保険金等の支払限度額は、後遺障害の等級に応じて最高4,000万円(常時介護を要する第1級などの場合)です。したがってホ(4,000)が入ります。
- ③:ロ
- 自賠責保険における被害者の重大な過失による減額は、被害者の過失割合が「7割未満」の場合は減額されず、「7割以上」の場合から減額が適用されます。したがってロ(7)が入ります。
- ④:ル
- 自賠責保険の保険料はノーフリート等級や年齢条件、走行距離などによる差異はなく、自動車の車種区分や保険期間、地域等によって一律に定められています。したがってル(自動車の車種)が入ります。
覚えるポイント
- 自賠責保険の限度額(被害者1人当たり):傷害120万円、死亡3,000万円、後遺障害最高4,000万円。
間違えやすいところ
- 自賠責の限度額を「1事故当たり」と誤認するミスや、重過失減額が「5割以上」などから始まると誤解する点に注意する。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の自動車損害賠償保障法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自賠責保険の補償対象と任意自動車保険の各種補償内容
リスク管理 · 自賠責保険 / 人身傷害保険 / 車両保険
自家用車の購入を検討しているAさんに対し、ファイナンシャル・プランナーのMさんが自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)および任意自動車保険の内容について説明した。次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 自賠責保険は、対人賠償および対物賠償が補償の対象となる。自身や相手の車の損害等は自賠責保険では補償されないため任意自動車保険を契約する必要がある。 ② 人身傷害保険では、被保険自動車の運転中に事故を起こした場合に、運転者や同乗者に生じたケガによる治療費・休業損害や死亡・後遺障害による逸失利益等を過失割合にかかわらず補償する。 ③ 車両保険には、単独事故や当て逃げなど幅広く事故をカバーする「一般条件」と、補償範囲を限定して保険料を割安にした「限定危険(エコノミー型等)」のタイプがある。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
自賠責保険は自動車損害賠償保障法に基づく強制保険であり、被害者の身体生命に対する対人損害賠償のみを補償限度額の範囲で補償します。相手方の物に対する損害賠償(対物)や自身の身体・車両の損害は対象外となるため、任意自動車保険(対人・対物賠償責任保険、人身傷害保険、車両保険など)で不足分や対象外リスクを補います。
解き方
- 自賠責保険の補償対象が対人賠償事故に限定され、対物賠償は補償されないことを確認する。
- 人身傷害保険の補償範囲(搭乗者の死傷損害・過失割合を問わない実損填補)を確認する。
- 車両保険のプラン(一般条件型と車対車+限定危険などのエコノミー型)の区分と特徴を整理する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 自賠責保険は、自動車事故による被害者の救済を目的とした対人賠償責任のみを補償する強制保険であり、相手の車両やガードレール等の物損(対物賠償)は補償の対象外です。
- 小問 ②:○
- 人身傷害保険は、被保険自動車に搭乗中の事故等により被保険者が死傷した場合、自身の過失割合に関わらず、約款に定められた基準に従って治療費・休業損害・逸失利益などの実際の損害額全額が支払われます。
- 小問 ③:○
- 任意自動車保険の車両保険には、自損事故(単独事故)や当て逃げを含む広範な損害をカバーする「一般条件」と、自損事故等を補償対象から除外して保険料を抑えた「限定危険(エコノミータイプ等)」があります。
覚えるポイント
- 自賠責保険は「人」に対する賠償のみで、「物」の損害や自身の損害は補償されない
- 人身傷害保険は過失割合に関わらず実際の損害額を保険金額限度で受取可能
間違えやすいところ
- 自賠責保険で相手方のガードレールや車両への対物損害も補償されると混同しやすい
- 人身傷害保険と搭乗者傷害保険(定額払い)の給付方式の違いを混同しやすい
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令・基準
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自動車保険のノンフリート等級制度および事故の種類と等級変動
リスク管理 · ノンフリート等級別料率制度 / 事故有係数適用期間 / 事故の種類
自家用車の購入を検討しているAさんに対し、ファイナンシャル・プランナーのMさんが自動車保険のノンフリート等級について説明した。次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 自動車保険のノンフリート等級別割引・割増制度においては、同じ等級であっても、「無事故の8等級」と「事故有係数適用期間の8等級」では、保険料の割引率が異なる。 ② 初めて自動車を購入し、自動車保険に新規加入する場合、ノンフリート等級は6等級(S)が適用される。対人賠償や対物賠償の保険事故があった後に更新する場合は等級が1つ下がり、更新後の保険料は高くなる。 ③ 1年間保険事故がなかった場合、更新後の等級は1つ上がり保険料は安くなる。盗難・台風・落書き等により車両保険金のみを受け取った場合も、ノーカウント事故に該当するため、他に保険事故がなければ更新後の等級は1つ上がる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
ノンフリート等級(1~20等級)は過去の事故歴に応じて保険料の割増引率を定める制度です。事故は「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故」に大別され、対人・対物事故は原則3等級ダウン、火災や台風・盗難等の車両事故は1等級ダウンとなり、それぞれ一定期間「事故有係数」が適用されて無事故時より割引率が下がります。
解き方
- ノンフリート等級における無事故係数と事故有係数の割引率差異について確認する。
- 対人賠償・対物賠償事故が3等級ダウン事故に該当することを判定する。
- 車両保険における盗難や自然災害による事故が1等級ダウン事故であり、ノーカウント事故ではないことを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- ノンフリート等級別料率制度では、同じ等級であっても「無事故」と「事故有」で異なる割引率が設定されており、事故有係数が適用されている等級のほうが割引率は低く(保険料は高く)なります。
- 小問 ②:×
- 新規加入時は原則として6等級(6S等級)が適用されますが、対人賠償や対物賠償の保険金が支払われる事故は原則として「3等級ダウン事故」に該当するため、等級は1つではなく3等級下がります。
- 小問 ③:×
- 台風・洪水・飛来中衝突・火災・盗難・落書き等による車両保険金の支払いは「1等級ダウン事故」に該当するため、他に事故がなければ更新時の等級は1等級下がります(ノーカウント事故ではありません)。
覚えるポイント
- 対人賠償・対物賠償・車両保険の自損や衝突事故は原則「3等級ダウン事故」
- 車両保険の盗難・台風・火災・落書き・飛来中衝突等は「1等級ダウン事故」
- 弁護士費用特約や人身傷害補償特約のみの請求等は「ノーカウント事故」
間違えやすいところ
- 自然災害や盗難などの過失がない車両損害をノーカウント事故と勘違いしやすい
- 賠償事故による等級ダウン数を1等級ダウンと混同しやすい(賠償事故は原則3等級ダウン)
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令・基準
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金に係る退職所得控除額および退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の金額 / 役員退職金
X社が創業社長であるAさんに役員退職金5,000万円を支給した場合における、Aさんが受け取る役員退職金に係る退職所得控除額および退職所得の金額を求めなさい。なお、Aさんの勤続年数は27年6カ月であり、他の退職手当等はなく、障害による退職ではないものとする(単位:万円)。
解答・解説を表示
解答
① 1,360(万円) ② 1,820(万円)
解説
退職所得控除額の計算では勤続年数の端数を1年に切り上げ、勤続20年超の部分は1年につき70万円を加算します。退職所得の金額は原則として控除後の金額を2分の1にして算出します。
解き方
- 勤続年数27年6カ月の端数を切り上げて28年と判定する。
- 勤続20年超の算式「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」に28年を代入して退職所得控除額を算出する。
- 「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」の計算式に各数値を代入して退職所得の金額を算出する。
答えの内訳
- ①:1,360(万円)
- 勤続年数は27年6カ月ですが、1年未満の端数は切り上げて28年として計算します。勤続年数が20年を超えるため、800万円+70万円×(28年-20年)=1,360万円となります。
- ②:1,820(万円)
- 役員等としての勤続年数が5年を超えるため通常の退職所得の算式が適用され、(退職手当等の収入金額5,000万円-退職所得控除額1,360万円)×1/2=1,820万円となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の1年未満の端数は切り上げて計算すること。
- 勤続年数20年超の退職所得控除額は800万円+70万円×(勤続年数-20年)となること。
間違えやすいところ
- 勤続年数の6カ月を切り捨てて27年として計算してしまう誤り。
- 退職所得の金額の算出において、最後の2分の1を掛け忘れるミス。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
労働災害総合保険の補償内容・保険料の経理処理等
リスク管理 · 労働災害総合保険 / 法定外補償保険 / 使用者賠償責任保険 / 損金算入
X社が加入を検討している労働災害総合保険に関する説明文の空欄①〜④に入る最も適切な語句を〈語句群〉から選びなさい。 Ⅰ「労働災害総合保険は、労働者災害補償保険(政府労災保険)の上乗せ補償を目的とした法定外補償保険と、労働災害が発生して使用者が( ① )に対して法律上の損害賠償責任を負うことによる損害を補償する使用者賠償責任保険の2つの補償から構成されています。労働災害総合保険は、法定外補償保険と使用者賠償責任保険のいずれか一方のみに加入することは( ② )」 Ⅱ「保険料はその全額を( ③ )します。保険料については、契約時に平均被用者数または賃金総額の見込額に基づき算出された暫定保険料を支払い、保険期間終了後に実際の数値に基づき算出された確定保険料と暫定保険料の差額を精算する契約方式があります。建設事業の契約では、( ④ )から平均被用者数または賃金総額を算出する場合があります」
- イ
- 第三者
- ロ
- 従業員またはその遺族
- ハ
- 可能です
- ニ
- できません
- ホ
- 資産に計上
- ヘ
- 損金に算入
- ト
- 営業利益
- チ
- 完成工事高
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ハ ③ へ ④ チ
解説
労働災害総合保険は法定外補償保険と使用者賠償責任保険で構成され、一方のみの単独加入も可能です。法人が負担する保険料は全額損金算入でき、建設事業では完成工事高を基準に賃金総額等を算出できます。
解き方
- 使用者賠償責任保険の補償対象が被災した「従業員またはその遺族」への賠償責任であることを確認する。
- 法定外補償保険と使用者賠償責任保険の単独加入が可能である点を確認する。
- 法人が契約者となる労働災害総合保険の保険料の税務上の取扱い(全額損金算入)を判断する。
- 建設業における保険料算出の基礎として「完成工事高」を用いる方式を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 使用者賠償責任保険は、労災事故により使用者が「従業員またはその遺族」に対して負担する法律上の損害賠償責任を補償するものです。
- 小問 ②:ハ
- 労働災害総合保険では、法定外補償保険と使用者賠償責任保険のいずれか一方のみを選択して単独加入することが「可能です」。
- 小問 ③:へ
- 法人が支払った労働災害総合保険の保険料は、業務上のリスクに備える費用であるため、全額を「損金に算入」します。
- 小問 ④:チ
- 建設事業等の契約においては、年間の「完成工事高」に所定の労務費率等を乗じて賃金総額や平均被用者数を算出する方式が用いられます。
覚えるポイント
- 労働災害総合保険の保険料は法人の全額損金算入が可能であること。
- 法定外補償保険と使用者賠償責任保険は一方のみの加入も可能であること。
間違えやすいところ
- 使用者賠償責任保険の賠償相手を、第三者責任保険と混同して「第三者」と誤答するケース。
- 法定外補償と使用者賠償は必ずセットで加入しなければならないと誤認してしまうケース。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
労働災害総合保険および各種企業向け損害保険の補償内容
リスク管理 · 労働災害総合保険 / 建設工事保険 / 請負業者賠償責任保険 / 生産物賠償責任保険
X社に対するアドバイスに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「労働災害総合保険の補償の対象となる被用者は、事業主に使用される常用雇用労働者であり、有期契約労働者や短時間労働者を対象に含めることはできませんので、ご注意ください」 ② 「建設工事保険に加入することにより、住宅等の建設工事において、工事期間中における火災、爆発、落雷等の不測かつ突発的な事故によって工事の目的物について生じる損害に備えることができます」 ③ 「請負業者賠償責任保険に加入することにより、マンションの改修工事の完了後、工事結果の不良のために住民が転倒し、ケガをしたケースのように、工事の結果により法律上の損害賠償責任を負うことによる損害に備えることができます」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
企業活動に伴う損害保険は事故の発生タイミングと対象により分かれます。従業員の労働災害の上乗せ補償を行う労働災害総合保険は非正規雇用者も対象に含められます。また工事物件の物損を補償する建設工事保険、工事作業中の第三者賠償を補償する請負業者賠償責任保険、引渡し後の仕事結果による第三者賠償を補償する生産物賠償責任保険の差異の把握が不可欠です。
解き方
- 労働災害総合保険において有期契約労働者や短時間労働者が補償対象に含まれるかを確認し、記述①を不適切と判定する。
- 建設工事保険の補償対象が工事期間中の工事目的物に対する不測かつ突発的な事故損害であるかを確認し、記述②を適切と判定する。
- 工事完了・引渡し後の仕事の結果に起因する事故を補償する保険が請負業者賠償責任保険か生産物賠償責任保険かを確認し、記述③を不適切と判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 労働災害総合保険では、正社員などの常用雇用労働者だけでなく、パートタイマーやアルバイト等の短時間労働者、有期契約労働者、派遣労働者なども被用者として補償の対象に含めることができます。
- 小問 ②:○
- 建設工事保険は、建築・土木工事等の工事現場において、火災・破裂・爆発・落雷・風水害などの不測かつ突発的な事故によって、工事の目的物や仮設物、工事用資材に生じた物的な損害を補償します。
- 小問 ③:×
- 請負業者賠償責任保険は工事遂行中の事故を補償するものであり、工事完了・引渡し後の仕事の結果に起因する事故による損害賠償責任は、生産物賠償責任保険(PL保険)の対象となります。
覚えるポイント
- 請負業者賠償責任保険は工事遂行中、生産物賠償責任保険(PL保険)は引渡し後の事故を補償する。
- 労働災害総合保険の被用者にはパート・アルバイトや派遣社員も含めることができる。
間違えやすいところ
- 工事完了後の事故を請負業者賠償責任保険の対象と誤認しやすいが、引渡し後は生産物賠償責任保険の対象である。
- 建設工事保険(目的物の物損害)と請負業者賠償責任保険(第三者への賠償責任)の補償対象を取り違えないように注意する。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
医療費控除およびセルフメディケーション税制の控除額算定
タックスプランニング · 医療費控除 / セルフメディケーション税制 / 特定一般用医薬品等購入費
所得税における医療費控除に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、〈数値群〉の中から選び、その記号を答えなさい。 「通常の医療費控除は、その年分の総所得金額等の合計額が200万円以上である納税者の場合、その年中に支払った医療費の総額から保険金などで補填される金額を控除した金額が( ① )万円を超えるときは、その超える部分の金額(最高200万円)を総所得金額等から控除することができます。 また、セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)では、定期健康診断や予防接種などの一定の取組みを行っている納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者等のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合、その額が( ② )円を超えるときは、その超える部分の金額(最高( ③ )円)を総所得金額等から控除することができます」
- イ
- 5
- ロ
- 10
- ハ
- 20
- ニ
- 12,000
- ホ
- 24,000
- ヘ
- 38,000
- ト
- 68,000
- チ
- 88,000
- リ
- 120,000
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ニ ③ チ
解説
医療費控除は、納税者が支払った医療費が一定基準を超える場合に総所得金額等から控除できる制度です。総所得金額等200万円以上の場合の通常の医療費控除は支払額から10万円を差し引いた額(上限200万円)であり、セルフメディケーション税制は対象医薬品の購入額から12,000円を差し引いた額(上限88,000円)が控除されます。
解き方
- 総所得金額等が200万円以上である場合の通常の医療費控除の足切り額が10万円であることを確認し、空欄①に「ロ」を選択する。
- セルフメディケーション税制における特定一般用医薬品等購入費の下限控除額が12,000円であることを確認し、空欄②に「ニ」を選択する。
- セルフメディケーション税制における医療費控除額の最高限度額が88,000円であることを確認し、空欄③に「チ」を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 総所得金額等の合計額が200万円以上の納税者の場合、支払った医療費の総額(保険金等で補填される金額を除く)から差し引く基準額(足切り額)は10万円となります。よって「ロ」が正解です。
- 小問 ②:ニ
- セルフメディケーション税制において、特定一般用医薬品等購入費(保険金等の補填控除後)から控除される下限額(足切り額)は12,000円です。よって「ニ」が正解です。
- 小問 ③:チ
- セルフメディケーション税制による医療費控除の特例の最高限度額は88,000円です(対象医薬品購入額上限10万円-12,000円=88,000円)。よって「チ」が正解です。
覚えるポイント
- 通常の医療費控除の足切り額は10万円(総所得金額等200万円未満は5%)、限度額は200万円。
- セルフメディケーション税制の足切り額は12,000円、控除限度額は最高88,000円。
間違えやすいところ
- セルフメディケーション税制の控除限度額を、購入上限額である10万円そのものと混同しやすい点に注意する(10万円-1.2万円=8.8万円)。
- 通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は重複適用できず選択適用である。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一時所得の損失の取扱いおよび医療費控除の適用手続
タックスプランニング · 損益通算 / 医療費控除 / セルフメディケーション税制 / 確定申告
Aさんの2022年分の所得税の課税等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ①「Aさんが受け取った一時払終身保険の解約返戻金に係る一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の所得の金額と損益通算することができます」 ②「医療費控除については、年末調整では適用を受けることができないため、医療費控除の適用を受けるためには、所得税の確定申告が必要となります」 ③「Aさんが通常の医療費控除の適用を受けた場合、セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)の適用を受けることはできません」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
所得税において損益通算が認められる損失は原則として不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得に限られます。また、医療費控除や寄附金控除は年末調整の対象外であり確定申告を要し、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は選択適用となります。
解き方
- 記述①について、損益通算の対象となる所得区分(不・事・山・譲)に一時所得が含まれるかを確認し、通算不可であるため不適切と判断します。
- 記述②について、医療費控除が給与所得者の年末調整で控除可能か、確定申告が必須かを確認し、適切と判断します。
- 記述③について、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制が併用可能か選択適用かを確認し、重複適用不可であるため適切と判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の各種所得の金額と損益通算することができません(損益通算できる所得の損失は不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得に限られます)。
- 小問 ②:○
- 給与所得者の場合でも、医療費控除、寄附金控除、雑損控除の3つの控除は年末調整で適用を受けることができないため、適用を受けるには確定申告を行う必要があります。
- 小問 ③:○
- セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の特例)は医療費控除の特例であるため、通常の医療費控除との重複適用は認められず、いずれか一方を選択して適用します。
覚えるポイント
- 損益通算できる損失は「富士山譲(不動産・事業・山林・譲渡)」の4つのみで、一時所得や雑所得の損失は他と通算できません。
- 医療費控除・寄附金控除・雑損控除は年末調整では適用できず確定申告が必要です。
間違えやすいところ
- 一時所得で損失が出た場合に他の給与所得や不動産所得から引けると誤解しやすいので注意が必要です。
- 通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は両方同時に控除を受けられると勘違いしないようにしましょう。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額、配偶者控除、扶養控除および所得税の算出税額の計算
タックスプランニング · 給与所得 / 総所得金額 / 配偶者控除 / 扶養控除 / 所得税額の計算
Aさんの2022年分の所得税の算出税額を計算した下記の表の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。 (a)総所得金額:( ① )円 配偶者控除:( ② )円 扶養控除:( ③ )円 (b)所得控除の額の合計額:2,700,000円 (c)課税総所得金額((a)-(b)):□□□円 (d)算出税額((c)に対する所得税額):( ④ )円
解答・解説を表示
解答
① 6,250,000(円) ② 380,000(円) ③ 1,010,000(円) ④ 282,500(円)
解説
総所得金額は各総合課税の所得を合算して求めます。配偶者控除は納税者本人の所得制限と配偶者の合計所得要件に基づき適用され、扶養控除は年齢区分(一般扶養38万円、特定扶養63万円)に応じて判定・加算します。課税総所得金額に超過累進税率を適用して所得税額を算出します。
解き方
- 給与所得控除を求めて給与所得金額を算出し、不動産所得を加算して総所得金額を計算します(一時所得の損失は0円扱い)。
- 配偶者の所得要件および納税者本人の合計所得金額から配偶者控除額を判定します。
- 長男(特定扶養親族:63万円)および二男(一般の控除対象扶養親族:38万円)の所得要件と年齢区分を確認し、扶養控除額を合計します。
- 総所得金額から所得控除合計額(270万円)を差し引いて課税総所得金額を求め、速算表を適用して算出税額を計算します。
答えの内訳
- ①:6,250,000
- 給与収入800万円に対する給与所得控除額は「800万円×10%+110万円=190万円」となり、給与所得は「800万円-190万円=610万円」です。不動産所得15万円を合算し、一時払終身保険の解約(480万円-500万円=▲20万円、損失は0円扱い)による一時所得は0円のため、総所得金額は「610万円+15万円=625万円(6,250,000円)」となります。
- ②:380,000
- 妻Bさん(50歳)は収入がなく合計所得金額が48万円以下であり、Aさんの合計所得金額は625万円(900万円以下)であるため、一般の控除対象配偶者に係る配偶者控除額は38万円(380,000円)です。
- ③:1,010,000
- 長男Cさん(20歳)は給与収入90万円(給与所得35万円≦48万円)で特定扶養親族(19歳以上23歳未満)に該当し控除額63万円、二男Dさん(17歳)は所得0円で一般の控除対象扶養親族(16歳以上19歳未満)に該当し控除額38万円となり、扶養控除の合計額は「63万円+38万円=101万円(1,010,000円)」です。
- ④:282,500
- 課税総所得金額は「総所得金額6,250,000円-所得控除合計額2,700,000円=3,550,000円」です。速算表(330万円超695万円以下:税率20%、控除額42万7,500円)を適用し、「3,550,000円×20%-427,500円=282,500円」となります。
覚えるポイント
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の控除額は63万円、一般扶養親族(16歳以上19歳未満等)の控除額は38万円です。
- 給与所得控除後の給与所得=収入金額-給与所得控除額であり、収入90万円の給与所得は35万円(55万円控除)となります。
間違えやすいところ
- 20歳の大学生である長男を一般の扶養控除(38万円)として計算し、63万円の特定扶養親族加算を忘れてしまうミスが多く見られます。
- 一時払終身保険の解約差損を他の所得から差し引いて総所得金額を過小にしてしまう誤りに注意が必要です。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額 / 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額
設例において、現時点(2022年9月11日)でAさんの相続が開始した場合における相続税の総額を試算する。相続税の課税価格の合計額を4億6,000万円とした場合の、空欄①(遺産に係る基礎控除額)、②(妻Bさんの相続税の総額の基となる税額)、③(相続税の総額)に入る数値を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 4,800(万円) ② 6,570(万円) ③ 11,410(万円)
解説
相続税の総額を計算する際は、課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求め、それを民法に定める法定相続分に従って各法定相続人に按分した上で、相続税の速算表を適用して各人ごとの算出税額を計算し、合算します。
解き方
- 法定相続人の数(妻・長男・二男の計3人)から基礎控除額(3,000万円+600万円×3人=4,800万円)を求め、課税遺産総額を算出する。
- 課税遺産総額を各人の法定相続分(妻1/2、長男1/4、二男1/4)に応じて按分し、速算表の税率および控除額を適用して各人の基となる税額を計算・合算する。
答えの内訳
- ①:4,800(万円)
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、二男Dさんの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:6,570(万円)
- 課税遺産総額は、課税価格の合計額4億6,000万円から基礎控除額4,800万円を控除した4億1,200万円(41,200万円)です。妻Bさんの法定相続分は2分の1であるため、取得金額は41,200万円×1/2=20,600万円となります。速算表より「2億円超3億円以下(税率45%、控除額2,700万円)」を適用し、20,600万円×45%-2,700万円=6,570万円となります。
- ③:11,410(万円)
- 長男Cさんと二男Dさんの法定相続分は各4分の1であり、法定相続分に応ずる取得金額はそれぞれ41,200万円×1/4=10,300万円です。速算表より「1億円超2億円以下(税率40%、控除額1,700万円)」を適用すると、各人の算出税額は10,300万円×40%-1,700万円=2,420万円となります。したがって、相続税の総額は、妻Bさん6,570万円+長男Cさん2,420万円+二男Dさん2,420万円=11,410万円となります。
覚えるポイント
- 基礎控除額の算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」であること。
- 相続税の総額は実際の遺産分割割合ではなく法定相続分に応じて仮に按分して算出すること。
間違えやすいところ
- 法定相続人に含める人数を誤って配偶者を除いてカウントしてしまうミス。
- 実際の遺産取得予定割合を使って各人の税額を直接計算してしまうミス。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺留分・公正証書遺言・小規模宅地等の特例・配偶者控除の特例
相続・事業承継 · 遺留分の算定 / 公正証書遺言の証人欠格 / 小規模宅地等の特例の有利選択 / 配偶者の税額軽減
Aさんの相続等に関する記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ × ④ ○
解説
相続対策においては、遺言書の作成方式や証人欠格要件、相続人の最低限の取り分である遺留分の侵害防止、相続税負担を大きく軽減できる小規模宅地等の減額金額比較や配偶者の税額軽減の適用条件を正しく把握することが不可欠です。
解き方
- 各記述の法的論点(遺留分割合、公正証書遺言の証人資格、小規模宅地等の限度面積と減額割合の試算、配偶者税額軽減の要件)を確認する。
- 設例の具体的な数値や要件に当てはめて、正誤(○・×)を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 相続人が配偶者と子である場合、全体の遺留分は財産の2分の1です。子の法定相続分は合計で2分の1、長男Cさんの法定相続分は4分の1であるため、長男Cさんの遺留分割合は1/2×1/4=8分の1となります。遺留分算定の基礎となる財産の価額が5億円の場合、長男Cさんの遺留分は5億円×1/8=6,250万円となり適切です。
- 小問 ②:○
- 公正証書遺言は証人2人以上の立会いのもとで作成しますが、民法上、未成年者、推定相続人および受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族などは証人・立会人になることができません。したがって、推定相続人が証人になれないとする記述は適切です。
- 小問 ③:×
- 自宅敷地(特定居住用宅地等)の減額額は、限度面積330㎡まで80%減額されるため、7,000万円×80%=5,600万円です。一方、賃貸ビル敷地(貸付事業用宅地等)は限度面積200㎡まで50%減額であるため、1億2,000万円×(200㎡/400㎡)×50%=3,000万円となります。特定居住用宅地等である自宅敷地を優先したほうが減額金額が大きくなるため不適切です。
- 小問 ④:○
- 「配偶者に対する相続税額の軽減」により、配偶者が取得した正味の遺産額が「法定相続分相当額」または「1億6,000万円」のいずれか多い金額までであれば、配偶者が納付すべき相続税額は算出されません。したがって記述は適切です。
覚えるポイント
- 特定居住用宅地等は限度面積330㎡で減額割合80%、貸付事業用宅地等は限度面積200㎡で減額割合50%であること。
- 推定相続人および受遺者、その配偶者や直系血族は遺言の証人・立会人になれないこと。
間違えやすいところ
- 小規模宅地等の限度面積や減額割合を混同し、評価額の高い貸付事業用宅地等を無条件に有利と判断してしまうミス。
- 配偶者と子がいる場合の遺留分算定において、全体の遺留分(1/2)に各人の法定相続分を乗じる手順を失念するミス。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税
相続・事業承継 · 教育資金の一括贈与 / 贈与税の非課税特例 / 相続税の課税価格
Aさんが長男Cさんの子2人に対して利用を検討している「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。
- ①
- 本制度の適用を受けた場合、受贈者1人につき1,500万円を限度に贈与税が非課税となります。ただし、学習塾などの学校等以外の者に対して直接支払われる金銭については500万円が限度となります。
- ②
- 受贈者であるAさんのお孫さんが22歳到達年度の末日に達すると、教育資金管理契約は終了します。その場合、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額があるときは、当該残額は受贈者のその年分の贈与税の課税価格に算入されます。
- ③
- 教育資金管理契約期間中に贈与者であるAさんが死亡した場合、教育資金管理契約は終了します。その場合に、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額があっても、当該残額がAさんに係る相続税の課税価格に加算されることはありません。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税特例は、受贈者ごとに最大1,500万円(学校等以外は500万円)まで贈与税が非課税となる制度です。契約は受贈者が原則30歳に達したときに終了し残額には贈与税が課税されるほか、贈与者死亡時の残額加算ルールが定められています。
解き方
- 非課税限度額について、総額1,500万円および学校等以外の500万円限度の要件を確認し、記述①の正誤を判定する。
- 教育資金管理契約の終了事由を確認し、終了年齢が原則30歳到達日であることをもとに記述②の誤りを判定する。
- 信託期間中の贈与者死亡時における契約の継続関係、および一定要件を満たさない場合の管理残額の相続税加算ルールを確認して記述③の誤りを判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 教育資金の一括贈与の非課税特例において、受贈者1人につき1,500万円まで非課税となりますが、学習塾や習い事など学校等以外の者に支払われる金銭については500万円が限度とされているため適切です。
- 小問 ②:×
- 教育資金管理契約が終了するのは受贈者が「22歳到達年度の末日」ではなく、原則として「30歳に達した日」であるため不適切です(在学中などの特例延長を除く)。なお、契約終了時の残額は受贈者のその年分の贈与税課税価格に算入されます。
- 小問 ③:×
- 教育資金管理契約期間中に贈与者が死亡した場合であっても契約は直ちに終了しません。また、受贈者が23歳未満である等の一定の要件を満たさない限り、使い切れなかった管理残額は贈与者に係る相続税の課税価格に加算されるため不適切です。
覚えるポイント
- 教育資金の一括贈与非課税限度額は1人につき1,500万円(学校等以外は500万円まで)。
- 教育資金管理契約の終了年齢は原則30歳到達時であり、終了時の使い残しには贈与税が課税される。
間違えやすいところ
- 契約終了時期を大学卒業相当の22歳と混同しやすいが、正しくは原則30歳到達時である。
- 贈与者が途中で死亡しても契約は即座に終了せず、一定の場合を除き残額は相続税の課税対象となる点を見落としやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2022年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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