日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
遺族基礎年金および遺族年金生活者支援給付金の支給要件と年金額
ライフプランニングと資金計画 · 遺族基礎年金 / 子の加算 / 年金生活者支援給付金
設例のAさん(会社員・46歳、厚生年金および国民年金加入歴あり)に万一のことがあった場合の公的年金の遺族給付に関して、Mさんが説明した次の文章の空欄①〜③に入る最も適切な語句または数値を語句群の中から選びなさい。 Ⅰ 「遺族基礎年金を受給することができる遺族の範囲は、国民年金の被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持されていた『子のある配偶者』または『子』です。『子』とは、18歳到達年度の末日までの間にあるか、( ① )未満で障害等級1級または2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻していない子を指します」 Ⅱ 「子のある配偶者が受給する遺族基礎年金の額(2022年度価額)は、『( ② )円+子の加算』の計算式により算出され、子の加算は第1子・第2子までは1人につき223,800円、第3子以降は1人につき( ③ )円となります」
- イ
- 20歳
- ロ
- 25歳
- ハ
- 30歳
- ニ
- 74,600
- ホ
- 223,800
- ヘ
- 583,400
- ト
- 777,800
- チ
- 972,250
解答・解説を表示
解答
① イ ② ト ③ ニ
解説
遺族基礎年金は国民年金の被保険者等が死亡した際に生計を維持されていた子のある配偶者または子に支給され、基本年金額は老齢基礎年金満額と同額で子の数に応じた加算がなされます。
解き方
- 遺族基礎年金の対象となる「子」の障害要件に係る上限年齢(20歳未満)を確認して空欄①を特定する。
- 2022年度の遺族基礎年金の基本額(老齢基礎年金満額と同額の777,800円)を確認して空欄②を特定する。
- 子の加算額について第1子・第2子(223,800円)と第3子以降(74,600円)の法令規定を確認して空欄③を特定する。
- 選択肢 イ正解
- 障害等級1級・2級の障害状態にある子の対象年齢上限は20歳未満であるため、空欄①の正解として適切です。
- 選択肢 ロ不正解
- 遺族年金制度において子の障害要件に関する年齢上限に25歳という規定は存在しません。
- 選択肢 ハ不正解
- 遺族基礎年金の子の対象年齢上限に30歳という規定は存在しません(配偶者が30歳未満で子のない場合の遺族厚生年金5年有期給付等と混同しないこと)。
- 選択肢 ニ正解
- 2022年度における遺族基礎年金の第3子以降の子の加算額は74,600円であるため、空欄③の正解として適切です。
- 選択肢 ホ不正解
- 223,800円は第1子・第2子に対する加算額であり、空欄③(第3子以降の加算額)としては不適切です。
- 選択肢 ヘ不正解
- 583,400円は中高齢寡婦加算等の額であり、遺族基礎年金の基本額ではありません。
- 選択肢 ト正解
- 2022年度の遺族基礎年金の基本額は777,800円であるため、空欄②の正解として適切です。
- 選択肢 チ不正解
- 972,250円は年金額の計算式で算出される金額ではなく、選択肢として不適切です。
答えの内訳
- ①:イ
- 遺族基礎年金の対象となる「子」とは、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、または20歳未満で障害等級1級もしくは2級の状態にある現に婚姻していない子を指します。したがって空欄①には「20歳」が入ります。
- ②:ト
- 子のある配偶者に支給される遺族基礎年金の基本額(2022年度価額)は、老齢基礎年金の満額と同額である777,800円です。したがって空欄②には「777,800」が入ります。
- ③:ニ
- 遺族基礎年金における子の加算額(2022年度価額)は、第1子・第2子は1人につき年額223,800円、第3子以降は1人につき年額74,600円(223,800円の3分の1)です。したがって空欄③には「74,600」が入ります。
覚えるポイント
- 遺族基礎年金の子は18歳到達年度末(3月31日)まで、障害等級1級・2級は20歳未満。
- 遺族基礎年金の基本額は老齢基礎年金の満額と同額。
- 子の加算は第1子・第2子は各223,800円、第3子以降は各74,600円(2022年度)。
間違えやすいところ
- 第3子以降の加算額を第1子・第2子と同額の223,800円と取り違える。
- 障害を持つ子の年齢要件を通常の18歳年度末と混同する。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等(2022年度年金額改定基準)
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族厚生年金の報酬比例部分の計算および中高齢寡婦加算の要件
ライフプランニングと資金計画 · 遺族厚生年金 / 短期要件のみなし300月 / 中高齢寡婦加算
設例のAさん(会社員・46歳)について、遺族厚生年金に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を記入しなさい。なお、年金額は2022年度価額に基づいて計算し、年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること。 Ⅰ 「Aさんが厚生年金保険の被保険者期間中に死亡した場合、遺族厚生年金の額は、原則として、Aさんの厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の( ① )相当額になります。ただし、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が300月に満たないときは、300月とみなして年金額が計算されます。仮に、Aさんが現時点(2022年9月11日)で死亡した場合、妻Bさんが受給することができる遺族厚生年金の額は、年額( ② )円となります」 Ⅱ 「二男Eさんが遺族基礎年金および遺族厚生年金に係る年齢要件を満たさなくなり、妻Bさんの有する遺族基礎年金の受給権が消滅したときは、妻Bさんが( ③ )歳に達するまでの間、妻Bさんに支給される遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されます」
解答・解説を表示
解答
① 4分の3 ② 444,926(円) ③ 65(歳)
解説
在職中の被保険者が死亡した場合の遺族厚生年金は短期要件となり、被保険者期間が300月未満の場合は300月とみなして老齢厚生年金報酬比例部分の4分の3を支給します。また、子の要件終了後に40歳以上の妻には65歳まで中高齢寡婦加算が支給されます。
解き方
- 遺族厚生年金の給付割合が報酬比例部分の「4分の3」であることを確認し空欄①を埋める。
- Aさんの被保険者月数(60+233=293月)が300月未満のため、みなし300月の算式(本来水準×300/293×3/4)を用いて計算し、四捨五入して空欄②を求める。
- 中高齢寡婦加算の支給終了年齢が老齢基礎年金受給開始となる「65歳」であることを確認し空欄③を埋める。
小問ごとの答え
- 小問 ①:4分の3
- 遺族厚生年金の年金額(報酬比例部分)は、死亡した被保険者の老齢厚生年金の報酬比例部分の「4分の3」相当額として計算されます。
- 小問 ②:444,926
- Aさんの被保険者期間は2003年3月以前が60月、2003年4月以後が233月で合計293月(300月未満)であるため、短期要件のみなし300月が適用されます。ⓐ 250,000円×7.125/1,000×60=106,875円、ⓑ 370,000円×5.481/1,000×233=472,517.01円。合計=579,392.01円。300月みなし調整:579,392.01円×300/293=593,234.1399...円。これに4分の3を乗じると、593,234.1399...円×3/4=444,925.6049...円となり、円未満を四捨五入して444,926円となります。
- 小問 ③:65
- 中高齢寡婦加算は、遺族基礎年金を受給していた妻について子が年齢要件を満たさず受給権が消滅した場合、妻が「65歳」に達するまで遺族厚生年金に加算されます(65歳以後は妻自身の老齢基礎年金を受給するため)。
覚えるポイント
- 遺族厚生年金の額は死亡した者の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3。
- 短期要件(厚生年金被保険者期間中の死亡等)では、被保険者月数が300月未満の場合は300月みなし計算を行う。
- 中高齢寡婦加算の支給対象期間の終期は妻が65歳に達するまで。
間違えやすいところ
- 合算月数が293月と300月未満であることを見落とし、300/293の乗算を忘れて計算する。
- 4分の3を掛けるのを忘れ、報酬比例部分の満額を解答してしまう。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の厚生年金保険法等の法令基準
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的介護保険の給付と保険料の納付方法
ライフプランニングと資金計画 · 公的介護保険 / 要介護認定 / 自己負担割合 / 特別徴収
公的介護保険の保険給付や保険料等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ①「介護保険の保険給付を受けるためには、都道府県から、要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。ただし、介護保険の第2号被保険者に該当するAさんは、要介護状態または要支援状態となった原因が、末期がんや脳血管疾患などの加齢に伴う特定疾病によって生じたものでなければ、保険給付は受けられません」 ②「仮に、Aさんが現時点(2022年9月11日)で介護保険の保険給付を受けた場合、原則として、実際にかかった費用(食費、居住費等を除く)の3割を自己負担する必要があります」 ③「Aさんが65歳以後に、年額18万円以上の公的年金を受給している場合の介護保険の保険料の納付は、原則として、公的年金からの特別徴収の方法によります」
- ①
- 介護保険の保険給付を受けるためには、都道府県から、要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。ただし、介護保険の第2号被保険者に該当するAさんは、要介護状態または要支援状態となった原因が、末期がんや脳血管疾患などの加齢に伴う特定疾病によって生じたものでなければ、保険給付は受けられません。
- ②
- 仮に、Aさんが現時点(2022年9月11日)で介護保険の保険給付を受けた場合、原則として、実際にかかった費用(食費、居住費等を除く)の3割を自己負担する必要があります。
- ③
- Aさんが65歳以後に、年額18万円以上の公的年金を受給している場合の介護保険の保険料の納付は、原則として、公的年金からの特別徴収の方法によります。
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解答
① × ② × ③ ○
解説
公的介護保険の保険者は市町村および特別区であり、要介護・要支援認定の申請・認定も市町村が行います。利用者の自己負担は原則1割であり、65歳以上の第1号被保険者の保険料は年金額年額18万円以上の場合は特別徴収となります。
解き方
- 記述①について、要介護認定や要支援認定を行う機関が都道府県ではなく「市町村(特別区を含む)」であることを確認し、判定します。
- 記述②について、介護保険サービスの原則的な自己負担割合が1割(第2号被保険者は一律1割)であることを確認し、3割とする記述の誤りを判定します。
- 記述③について、第1号被保険者が年額18万円以上の公的年金を受給している場合の保険料納付方法が「特別徴収(年金天引き)」であることを確認し、判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 要介護認定および要支援認定を行う主体は「市町村(特別区を含む)」であり、都道府県ではありません。したがって不適切です。
- 小問 ②:×
- 介護保険のサービスを利用した際の自己負担割合は原則として「1割」です(第2号被保険者は所得に関わらず一律1割負担となります)。したがって3割とする本記述は不適切です。
- 小問 ③:○
- 65歳以上の第1号被保険者で受給している老齢・退職年金、障害年金、遺族年金の年額が18万円以上の場合は、原則として保険料が公的年金から天引き(特別徴収)されます。したがって適切です。
覚えるポイント
- 要介護・要支援認定の申請先・認定機関は市町村(特別区)。
- 公的介護保険の自己負担割合は原則1割(第2号被保険者は一律1割)。
- 第1号被保険者の年金年額が18万円以上なら介護保険料は原則特別徴収(年金天引き)。
間違えやすいところ
- 要介護認定の実施主体を身近な市区町村ではなく都道府県と勘違いしてしまう誤り。
- 医療保険の3割負担と混同して、介護保険の原則自己負担割合を3割と誤認する誤り。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
投資指標の計算(ROEおよびPER)
金融資産運用 · ROE / 自己資本利益率 / PER / 株価収益率 / EPS
《設例》のデータに基づいて算出される次の①、②を求め、解答用紙に記入しなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。 ① X社のROE、Y社のROE ② X社のPER、Y社のPER
解答・解説を表示
解答
① X社: 7.93(%) Y社: 7.27(%) ② X社: 14.61(倍) Y社: 50.63(倍)
解説
ROE(自己資本利益率)は「当期純利益÷自己資本×100(%)」で自己資本に対する収益力を測ります。PER(株価収益率)は「株価÷1株当たり当期純利益(EPS)」または「時価総額÷当期純利益」で株価が利益の何倍まで買われているかを測ります。
解き方
- 各社のROEを計算する:当期純利益を自己資本(設例より純資産の部合計)で除して100を乗じ、小数点以下第3位を四捨五入する。
- 各社のEPS(1株当たり当期純利益=当期純利益÷発行済株式数)を計算し、株価をEPSで除してPERを求め、小数点以下第3位を四捨五入する。
答えの内訳
- ① X社:7.93(%)
- ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100=2,300百万円÷29,000百万円×100=7.9310...%。小数点以下第3位を四捨五入して7.93%となります。
- ① Y社:7.27(%)
- ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100=800百万円÷11,000百万円×100=7.2727...%。小数点以下第3位を四捨五入して7.27%となります。
- ② X社:14.61(倍)
- 1株当たり当期純利益(EPS)=2,300百万円÷2,100万株=2300/21円。PER=株価÷EPS=1,600円÷(2300/21)=14.6086...倍。小数点以下第3位を四捨五入して14.61倍となります。
- ② Y社:50.63(倍)
- 1株当たり当期純利益(EPS)=800百万円÷1,000万株=80円。PER=株価÷EPS=4,050円÷80円=50.625倍。小数点以下第3位を四捨五入して50.63倍となります。
覚えるポイント
- ROE(自己資本利益率)=当期純利益÷自己資本×100
- PER(株価収益率)=株価÷1株当たり当期純利益(EPS)
- 設例の指示通り、小数点以下第3位を四捨五入して第2位まで表示する。
間違えやすいところ
- ROEの計算で、分子に営業利益や経常利益を使用してしまう誤り。
- PERの計算で、株価純資産倍率(PBR)と混同してBPS(1株当たり純資産)で除算してしまう誤り。
- 計算途中で端数を粗く丸めてしまい、四捨五入後の最終桁に誤差を生じさせる誤り。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
投資指標の比較と経営分析(PBR・配当性向・自己資本比率)
金融資産運用 · PBR / 配当性向 / 自己資本比率
設例のX社およびY社の財務データ・株価データに基づき、ファイナンシャル・プランナーのMさんが説明した次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ①「PBRは、X社株式のほうがY社株式よりも高くなっています。しかし、これだけをもってX社株式が割高であると判断することはお勧めしません。PERなどの他の投資指標についても比較検討するなど、多角的な視点が望まれます」 ②「株主への利益還元の大きさに着目した指標として、配当性向があります。配当性向は、Y社のほうがX社よりも高くなっています」 ③「一般に、自己資本比率が高いほど、経営の安全性点が高いと考えられます。自己資本比率は、Y社のほうがX社よりも高くなっています」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
株式の各種投資指標や財務健全性指標は、企業の財務諸表(総資産・純資産・当期純利益等)と市場データ(株価・発行済株式数)を正確に組み合わせて算定し、企業間での優劣や割安・割高を客観的に比較・判断する基礎となります。
解き方
- 設例の財務データと株価データから、X社とY社の時価総額、1株当たり純資産等を算出し、それぞれのPBRを計算して高低を比較する。
- 両社の配当金総額と当期純利益から配当性向を算出し、株主還元割合の大小を比較する。
- 両社の純資産(自己資本)と資産の部合計(総資産)から自己資本比率を計算し、安全性の高低を比較して各記述の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- PBR(株価純資産倍率)は「株価÷1株当たり純資産(または時価総額÷純資産)」で算出します。X社のPBRは約1.16倍(時価総額33,600百万円÷純資産29,000百万円)、Y社のPBRは約3.68倍(時価総額40,500百万円÷純資産11,000百万円)であり、Y社株式のほうが高いため記述は不適切です。
- 小問 ②:○
- 配当性向は「配当金総額÷当期純利益×100」で算出します。X社は420百万円÷2,300百万円×100≒18.26%、Y社は300百万円÷800百万円×100=37.50%となり、Y社のほうがX社よりも高いため記述は適切です。
- 小問 ③:○
- 自己資本比率は「自己資本(純資産)÷総資産×100」で算出します。X社は29,000百万円÷54,000百万円×100≒53.70%、Y社は11,000百万円÷18,000百万円×100≒61.11%となり、Y社のほうがX社よりも高いため記述は適切です。
覚えるポイント
- PBR=株価÷1株当たり純資産(BPS)=時価総額÷純資産
- 配当性向=配当金総額÷当期純利益×100=1株当たり配当金÷EPS×100
- 自己資本比率=自己資本(純資産)÷総資産×100
間違えやすいところ
- PBRの計算で当期純利益(PERの要素)と純資産を取り違えないこと
- 配当利回り(配当金÷株価)と配当性向(配当金÷当期純利益)の定義を混同しないこと
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
少額投資非課税制度(NISA)の口座開設要件・限度額・配当金非課税手続き
金融資産運用 · 少額投資非課税制度(NISA) / つみたてNISA / 株式数比例配分方式
少額投資非課税制度(NISA)について、ファイナンシャル・プランナーのMさんが説明した次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ①「長男Cさんの場合、現時点(2022年9月11日)ではジュニアNISA口座しか開設することができませんが、2023年以降はNISA口座を開設することができます。上場株式を購入し、長期の積立・分散投資を行う場合、つみたてNISAの利用がお勧めです」 ②「2023年中にNISA口座を開設する場合、一般NISAまたはつみたてNISAのいずれかを利用することができます。2023年中に一般NISA勘定に受け入れることができる金額は122万円、つみたてNISA勘定に受け入れることができる金額は40万円がそれぞれ上限となります」 ③「NISA口座やジュニアNISA口座で購入した上場株式の配当金を非課税とするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択する必要があります。配当金領収証方式や登録配当金受領口座方式を選択しても非課税扱いにはなりません」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
NISA制度における一般NISAとつみたてNISAは投資可能枠や対象商品が明確に区分されており、また上場株式の配当金を非課税で受領するためには証券会社の口座経由で受け取る株式数比例配分方式の選択が不可欠です。
解き方
- つみたてNISAの対象商品に対象外となる上場株式が含まれているかを確認し、記述①の誤りを判断する。
- 2023年当時の一般NISAにおける年間非課税投資枠の上限(120万円)と記述の数値(122万円)を照合して記述②の誤りを判断する。
- NISA口座内での株式配当金の非課税要件として「株式数比例配分方式」の指定が必要であることを確認して記述③の正しさを判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- つみたてNISAの投資対象商品は手数料が低水準などの要件を満たした公募株式投資信託や上場投資信託(ETF)に限定されており、個別の一般上場株式を購入することはできないため不適切です。
- 小問 ②:×
- 2023年中に一般NISA勘定に受け入れることができる年間非課税投資枠の上限は120万円(つみたてNISAは40万円)であり、122万円ではないため不適切です。
- 小問 ③:○
- NISA口座やジュニアNISA口座内で保有する上場株式の配当金を非課税とするためには、配当金の受領方法として「株式数比例配分方式」を事前に選択する必要があるため適切です。
覚えるポイント
- つみたてNISAの対象は一定の公募投信・ETFのみで個別上場株式は対象外
- 2023年までの一般NISAの年間上限は120万円、つみたてNISAは40万円
- 上場株式の配当金をNISAで非課税にするには「株式数比例配分方式」の選択が必須
間違えやすいところ
- つみたてNISAでも一般の上場株式が買えると誤解すること
- 配当金受取方法を「登録配当金受領口座方式」にしても非課税になると勘違いすること
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅借入金等特別控除の適用要件および控除限度額
タックスプランニング · 住宅借入金等特別控除 / 既存住宅 / 借入限度額 / 床面積要件 / 合計所得金額要件
個人が2022年中に住宅ローンを利用して既存住宅を取得(個人間売買により消費税非課税)し、自己の居住の用に供した場合における住宅借入金等特別控除に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を〈数値群〉から選定しなさい。 「個人が、2022年中に住宅ローンを利用して既存住宅を取得し(消費税は課されていない)、自己の居住の用に供した場合、『取得した住宅の床面積が( ① )㎡以上であること』『住宅借入金等特別控除の適用を受けようとする者のその年分の合計所得金額が( ② )万円以下であること』などの所定の要件を満たせば、2022年分以後、最大で( ③ )年間、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。 控除額は、住宅ローンの年末残高に所定の控除率を乗じて算出しますが、その年末残高には限度額が設けられています。取得した既存住宅が認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅または省エネ基準適合住宅(以下、「認定住宅等」という)のいずれかに該当するときの年末残高の限度額は、( ④ )万円となり、認定住宅等に該当しないときの年末残高の限度額は、□□□万円となります」
- イ
- 10
- ロ
- 13
- ハ
- 15
- ニ
- 20
- ホ
- 30
- ヘ
- 50
- ト
- 70
- チ
- 2,000
- リ
- 3,000
- ヌ
- 4,000
- ル
- 5,000
解答・解説を表示
解答
① ヘ ② チ ③ イ ④ リ
解説
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)は、2022年度税制改正により控除率が一律0.7%に見直され、合計所得金額の上限が2,000万円以下に変更されました。控除期間は新築住宅が原則13年間であるのに対し、既存住宅(中古住宅)は一律10年間と定められています。また、借入限度額は住宅の環境性能(認定住宅等かその他の住宅か)および新築・既存の別に応じて段階的に設定されています。
解き方
- 既存住宅における住宅ローン控除の床面積要件(原則50㎡以上)および所得要件(合計所得金額2,000万円以下)を確認する。
- 新築住宅と既存住宅の控除期間の違いを識別し、既存住宅の控除期間が10年間であることを特定する。
- 2022年居住開始における既存住宅の借入限度額(認定住宅等は3,000万円、その他の一般住宅は2,000万円)を適用する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ヘ
- 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅の床面積要件は、原則として「50㎡以上」です(登記簿面積で判定)。
- 小問 ②:チ
- 2022年度税制改正により、控除を受ける者のその年分の合計所得金額の要件は「2,000万円以下」(改正前は3,000万円以下)へと引き下げられました。
- 小問 ③:イ
- 既存住宅(中古住宅)を取得した場合の住宅借入金等特別控除の控除期間は「10年間」です(新築住宅等の原則13年間と異なります)。
- 小問 ④:リ
- 2022年中に取得した既存住宅で認定住宅等(長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH水準、省エネ基準適合住宅)に該当する場合の年末残高限度額は「3,000万円」です(一般住宅の場合は2,000万円)。
覚えるポイント
- 既存住宅の控除期間は10年間(新築は原則13年間)
- 2022年改正後の合計所得金額要件は2,000万円以下
- 2022年居住・既存住宅の限度額:認定住宅等3,000万円、一般住宅2,000万円
間違えやすいところ
- 既存住宅であるにもかかわらず、新築と同様に控除期間を13年間と誤認しやすい。
- 合計所得金額の上限を税制改正前の「3,000万円以下」のままと取り違えやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等(2022年度税制改正後の住宅借入金等特別控除の規定)
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅借入金等特別控除の手続・住民税控除および住宅取得等資金の贈与税非課税特例
タックスプランニング · 住宅借入金等特別控除 / 年末調整 / 住民税からの控除 / 住宅取得等資金の贈与税の非課税
住宅借入金等特別控除等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 「Aさんは、2022年分の所得税において、住宅借入金等に係る年末残高証明書を所定の期日までに勤務先に提出することにより、年末調整で住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます」 ② 「Aさんが2023年に適用を受ける住宅借入金等特別控除の額がその年分の所得税額から控除しきれない場合、その残額は、Aさんの所得税の課税総所得金額等の額に7%を乗じて得た額(最高13万6,500円)を限度に、2024年度分の住民税額から控除されます」 ③ 「Aさんが、父親から受けた1,500万円の資金援助について『直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例』の適用を受けた場合、その贈与を受けた金額の全額について贈与税が課されません」
- ○
- 適切
- ×
- 不適切
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ×
解説
住宅借入金等特別控除の適用を受ける初年度は必ず確定申告が必要であり、年末調整による適用は2年目以降に限定されます。また、所得税から控除しきれなかった額の住民税からの控除限度額は、2022年税制改正に伴い前年課税総所得金額等の5%(上限97,500円)へ縮小されました。さらに直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税枠は最大1,000万円(一般住宅500万円)であり、多額の贈与に対しては限度額を超える部分に贈与税が課されます。
解き方
- 給与所得者の住宅ローン控除初年度の手続方法(確定申告が必要か年末調整で可能か)を確認し、記述①の正誤を判定する。
- 2022年税制改正による住宅ローン控除の住民税からの控除上限(課税総所得金額等の5%・最高97,500円)と旧制度の数値(7%・136,500円)を比較し、記述②の正誤を判定する。
- 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税限度額(質の高い住宅1,000万円、一般住宅500万円)を確認し、受贈額1,500万円全額が非課税となるか否か(記述③)を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 給与所得者が住宅借入金等特別控除の適用を受ける最初の年分(初年度)は、年末調整ではなく確定申告を行わなければなりません。年末調整で控除の適用を受けることができるのは2年目以降です。
- 小問 ②:×
- 住宅借入金等特別控除の額が所得税額から控除しきれない場合、2022年以降の入居者については、所得税の課税総所得金額等の「5%(最高97,500円)」を限度に翌年度分の住民税から控除されます。記述の「7%(最高13万6,500円)」は旧制度の基準です。
- 小問 ③:×
- 「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例」における非課税限度額は、耐震・省エネ・バリアフリー等の質の高い住宅で1,000万円、それ以外の一般住宅で500万円です。贈与を受けた1,500万円全額が非課税になるわけではありません。
覚えるポイント
- 住宅ローン控除は初年度確定申告必須、2年目以降は年末調整可能
- 2022年改正後の住民税からの控除限度額は前年課税総所得金額等の5%(上限97,500円)
- 住宅取得等資金の贈与税非課税限度額は最大1,000万円(質の高い住宅)または500万円(一般住宅)
間違えやすいところ
- 初年度から勤務先への年末残高証明書提出(年末調整)のみで住宅ローン控除が受けられると誤解する。
- 住民税の控除限度額について、旧基準である「課税総所得金額等の7%(上限13.65万円)」と混同する。
- 住宅取得等資金の非課税特例について、受贈額の全額が非課税になると誤認する。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等(2022年度税制改正後の所得税法、地方税法、租税特別措置法)
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
給与所得者の総所得金額・扶養控除額・住宅借入金等特別控除額の計算
タックスプランニング · 給与所得控除 / 所得金額調整控除 / 扶養控除 / 住宅借入金等特別控除
設例の会社員Aさん(47歳、給与収入1,200万円、妻44歳・パート収入80万円、長男18歳・高校生・収入なし)が2022年6月に中古マンション(築10年、新耐震基準適合、認定住宅等以外、年末借入金残高1,950万円)を取得・入居した場合における、2022年分の所得税計算に関する表の空欄①~③に入る適切な数値を計算しなさい。
解答・解説を表示
解答
① 9,900,000(円) ② 380,000(円) ③ 136,500(円)
解説
給与所得の金額は給与収入から給与所得控除を差し引き、子ども・特別障害者等を有する者には所得金額調整控除を適用します。また、扶養控除は年齢要件によって控除額が異なり、住宅借入金等特別控除は取得住宅の区分に応じた借入限度額と税制改正後の控除率(0.7%)により税額控除額を算定します。
解き方
- 給与所得控除額(195万円)および子ども扶養に伴う所得金額調整控除額(15万円)を算定し、給与収入1,200万円から減算して総所得金額を算出する。
- 長男(18歳)の年齢区分に応じた扶養控除額(一般の控除対象扶養親族として38万円)を判定する。
- 中古の一般住宅における借入限度額(2,000万円)と年末残高(1,950万円)を比較し、控除率0.7%を乗じて住宅ローン控除額を計算する。
答えの内訳
- ①:9,900,000(円)
- 給与収入1,200万円に対する給与所得控除額は上限の195万円です。また、給与収入が850万円を超え、23歳未満の扶養親族(18歳の長男)を有するため所得金額調整控除の対象となり、控除額は(1,000万円-850万円)×10%=15万円です。したがって総所得金額は、1,200万円-195万円-15万円=990万円(9,900,000円)となります。
- ②:380,000(円)
- 控除対象扶養親族である長男Cさんは18歳であり、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)には該当せず一般の控除対象扶養親族(16歳以上)となるため、扶養控除額は38万円(380,000円)となります。
- ③:136,500(円)
- 2022年税制改正後の住宅借入金等特別控除において、認定住宅等以外の一般の既存住宅(中古住宅)の借入限度額は2,000万円です。Aさんの年末借入残高は1,950万円で限度額以下であるため、控除額は年末残高1,950万円に控除率0.7%を乗じて136,500円となります。
覚えるポイント
- 給与収入850万円超で23歳未満の扶養親族がいる場合、所得金額調整控除(上限15万円)が適用される。
- 2022年税制改正により住宅借入金等特別控除の控除率は一律0.7%となった。
間違えやすいところ
- 18歳の扶養親族を特定扶養親族(63万円)と誤認し、38万円ではなく63万円で計算してしまう。
- 住宅ローン控除率を改正前の1.0%で計算してしまう。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例の要件
不動産 · 譲渡所得 / 空き家特例 / 3,000万円特別控除
「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」に関する説明文の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群(イ~チ)の中から選定しなさい。
- イ
- 1978
- ロ
- 1981
- ハ
- 1985
- ニ
- は対象となりません
- ホ
- も対象となります
- ヘ
- 3,000万円
- ト
- 5,000万円
- チ
- 1億円
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ニ ③ チ
解説
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例は、相続により生じた旧耐震基準の一戸建て空き家を除却・耐震改修して譲渡することを促進するための制度であり、建築時期(1981年5月31日以前)、建物形態(区分所有建物以外)、譲渡対価(1億円以下)等の厳格な要件が定められています。
解き方
- 空き家特例の対象となる家屋の建築時期基準(旧耐震基準=1981年5月31日以前)を確認する。
- 特例の適用対象から除外されている建物の権利形態(区分所有建物登記されたマンション等は対象外)を確認する。
- 譲渡対価の上限基準(1億円以下)を確認し、それぞれの空欄に合致する語句・数値を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ(1981)
- 空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例の対象となる家屋は、旧耐震基準の時代である1981(昭和56)年5月31日以前に建築されたものに限られます。
- 小問 ②:ニ(は対象となりません)
- 本特例の対象家屋は区分所有建物以外の家屋(一戸建て住宅)に限られており、マンションなどの区分所有建物登記がされている建物は対象外(対象となりません)です。
- 小問 ③:チ(1億円)
- 本特例の適用を受けるためには、売買契約における譲渡対価の額の合計が1億円以下でなければなりません。
覚えるポイント
- 空き家特例の対象要件:1981年5月31日以前建築、区分所有建物以外(一戸建て)、譲渡対価1億円以下。
- 特例による特別控除額は最大3,000万円。
間違えやすいところ
- 控除限度額の「3,000万円」と譲渡対価の上限「1億円」を混同してしまう。
- マンションなどの区分所有建物も対象に含まれると誤解してしまう。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建設協力金方式の特徴と相続税上の取扱い
不動産 · 建設協力金方式 / 貸家建付地 / 小規模宅地等の特例
食品スーパーのZ社から建設協力金方式での有効活用を提案されたAさんに対する、建設協力金方式の一般的な特徴等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「建設協力金方式とは、AさんがZ社から建設資金を借り受けて、Z社の要望に沿った店舗を建設し、その店舗をZ社に賃貸する手法です。借り受けた建設資金は、通常、賃料の一部で返済していくことになります」 ② 「建設協力金方式により、Aさんが店舗をZ社に賃貸した後、その賃貸期間中にAさんの相続が開始した場合、相続税額の計算上、店舗は貸家として評価され、甲土地は貸家建付地として評価されます」 ③ 「建設協力金方式により、Aさんが店舗をZ社に賃貸した後、その賃貸期間中にAさんの相続が開始した場合、所定の要件を満たせば、甲土地は、貸付事業用宅地等として『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることができます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ○
解説
建設協力金方式は、入居予定テナントから調達した資金でテナント専用の建物を建築・賃貸する土地活用手法です。土地所有者が建物を所有して賃貸するため、相続発生時には建物が貸家、敷地が貸家建付地となり、要件を満たせば小規模宅地等の特例における貸付事業用宅地等にも該当します。
解き方
- 記述①について、テナントから資金を借りてオーダーメイド建築を行い賃料で返済するという建設協力金方式の定義と合致しているか確認する。
- 記述②について、建築した建物を賃貸中の相続発生における財産評価区分(建物=貸家、敷地=貸家建付地)を判定する。
- 記述③について、賃貸事業の用に供されている土地が小規模宅地等の特例の貸付事業用宅地等の対象となるか要件を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 建設協力金方式(オーダーメイド方式)は、土地所有者がテナント(出店希望企業)から建設資金の全部または一部を建設協力金として借り受けて、テナントの要望に沿った建物を建築・賃貸する手法です。借り入れた建設資金は賃貸期間中にテナントから支払われる賃料の一部と相殺する形で返済していきます。
- 小問 ②:○
- 土地所有者が自ら建物を建築して第三者に有償で賃貸している場合、建物の相続税評価は「自用家屋評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)」で計算される貸家評価となり、敷地は「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で計算される貸家建付地として評価されます。
- 小問 ③:○
- 被相続人の不動産貸付事業の用に供されていた宅地等は、一定の要件(賃貸割合や親族による事業・所有の継続要件等)を満たすことで、貸付事業用宅地等として「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けることができます(限度面積200㎡まで50%減額)。
覚えるポイント
- 建設協力金方式はテナントから資金を借り入れて専用店舗を建築し、賃料相殺で返済する手法であること
- 賃貸建物の敷地は貸家建付地として自用地評価額より減額され、貸付事業用宅地等の特例対象になり得ること
間違えやすいところ
- 事業用定期借地権設定契約等と混同し、土地自体を貸し出す方式と誤認してしまうこと
- 建設協力金方式では土地所有者が建物を建築・保有するため、自用地や自用家屋のまま評価減ができないと誤解すること
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
甲土地の建築面積および延べ面積の上限の計算
不動産 · 建蔽率の緩和 / 容積率の制限 / 建築基準法
甲土地(敷地面積480㎡、近隣商業地域、指定建蔽率80%、指定容積率300%、準防火地域、特定行政庁が指定する角地、北側前面道路幅員7m・東側前面道路幅員5m、前面道路幅員による容積率制限の乗数6/10)上に準耐火建築物を建築する場合における、次の①、②を求めなさい。 ① 建蔽率の上限となる建築面積 ② 容積率の上限となる延べ面積
解答・解説を表示
解答
① 480(㎡) ② 1,440(㎡)
解説
建築面積の上限は「敷地面積×最高建蔽率」、延べ面積の上限は「敷地面積×最高容積率」により計算します。建蔽率は角地や防火・準防火地域の耐火・準耐火建築物による緩和措置が加算され、容積率は指定容積率と前面道路幅員制限(広い方の道路幅員×法定乗数)のいずれか小さい方が適用されます。
解き方
- 指定建蔽率80%に対し、特定行政庁が指定する角地による緩和(+10%)と準防火地域内の準耐火建築物による緩和(+10%)を加算し、適用建蔽率100%を特定する。
- 敷地面積480㎡に適用建蔽率100%を乗じて、建築面積の上限(480㎡)を算出する。
- 容積率について広い方の道路幅員(7m)に法定乗数(6/10)を乗じた420%と、指定容積率300%を比較し、小さい方の300%を基準容積率として決定する。
- 敷地面積480㎡に基準容積率300%を乗じて、延べ面積の上限(1,440㎡)を算出する。
答えの内訳
- ①:480(㎡)
- 甲土地は準防火地域内であり準耐火建築物を建築するため10%の緩和が適用され、特定行政庁が指定する角地であるためさらに10%の緩和が適用されます。指定建蔽率80%に角地緩和10%と準防火地域内の耐火・準耐火建築物緩和10%が加算され、上限建蔽率は 80%+10%+10%=100% となります。したがって、建築面積の上限は 480㎡×100%=480㎡ です。
- ②:1,440(㎡)
- 敷地が2つ以上の道路に接する場合、広い方の幅員を採用するため北側公道7mを基準とします。前面道路幅員による容積率制限は 7m×6/10=42/10=420% となり、指定容積率300%と比較して小さい方の300%が上限となります。したがって、延べ面積の上限は 480㎡×300%=1,440㎡ です。
覚えるポイント
- 準防火地域内における準耐火建築物または耐火建築物は建蔽率が10%緩和されること
- 前面道路が2つ以上ある敷地では、幅員の広い方の道路幅員を用いて道路幅員による容積率制限を計算すること
間違えやすいところ
- 準防火地域内の準耐火建築物に対する建蔽率10%緩和を見落として90%(432㎡)と計算してしまうこと
- 前面道路幅員制限の計算で東側道路(5m)を選択してしまうこと
出題の前提:建築基準法第52条、第53条(2022年4月1日現在施行の法令等)
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺留分の算定・小規模宅地等の特例・普通養子縁組の効力
相続・事業承継 · 遺留分の算定 / 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 / 普通養子縁組
Aさんの相続・事業承継等に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を〈語句群〉の中から選びなさい。 Ⅰ 「遺言により、自宅および現預金等を妻Bさん、X社関連の資産を長男Cさんに相続させた場合、長女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分を算定するための財産の価額が8億円の場合、長女Dさんの遺留分の金額は、( ① )となります」 Ⅱ 「長男CさんがX社本社敷地を相続により取得し、当該敷地について、特定同族会社事業用宅地等として『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、当該敷地(相続税評価額7,000万円)について、課税価格に算入すべき価額は( ② )となります。なお、自宅敷地とX社本社敷地について、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けようとする場合、( ③ )」 Ⅲ 「長男Cさん夫婦には子がいないので、将来の後継者確保のため、養子縁組をすることを検討してみてはいかがでしょうか。長男Cさん夫婦が孫Eさん(長女Dさんの子)と養子縁組(特別養子縁組でない縁組)をする場合、孫Eさんと長女Dさんとの法律上の親子関係は( ④ )」
- イ
- 1,400万円
- ロ
- 2,380万円
- ハ
- 5,000万円
- ニ
- 5,250万円
- ホ
- 1億円
- ヘ
- 2億円
- ト
- 終了しません
- チ
- 終了します
- リ
- 適用対象面積は所定の算式により調整され、完全併用はできません
- ヌ
- それぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます
解答・解説を表示
解答
① ホ ② イ ③ ヌ ④ ト
解説
遺留分は法定相続人の構成により全体割合が決まり、各人の法定相続分を乗じて求めます。小規模宅地等の特例では特定居住用宅地等と特定事業用等宅地等の完全併用が認められています。また、普通養子縁組では実親との法律上の親子関係が継続します。
解き方
- 遺留分の基礎となる財産額に総遺留分割合(1/2)および長女Dさんの法定相続分(1/4)を乗じて遺留分額を計算する。
- 小規模宅地等の特定同族会社事業用宅地等の減額割合(80%)を適用し課税価格を算出し、特定居住用との完全併用ルールを確認する。
- 特別養子縁組ではない普通養子縁組の法的効果に基づき、実親との親子関係の継続性を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ホ
- 被相続人の直系卑属および配偶者が相続人である場合、総遺留分は財産の2分の1です。長女Dさんの法定相続分は4分の1(子全体の2分の1×1/2)であるため、遺留分の額は8億円×1/2×1/4=1億円となります。
- 小問 ②:イ
- 特定同族会社事業用宅地等は、400㎡まで80%減額されます。敷地面積が400㎡全額適用となるため、減額後の課税価格は7,000万円×(1-0.8)=1,400万円となります。
- 小問 ③:ヌ
- 特定居住用宅地等(限度面積330㎡)と特定事業用等宅地等(特定同族会社事業用宅地等・限度面積400㎡)は完全併用が可能であり、それぞれの限度面積まで(最大730㎡)適用を受けることができます。
- 小問 ④:ト
- 普通養子縁組(特別養子縁組以外の縁組)が成立しても、養子と実親との間の親族関係および法律上の親子関係は終了しません。
覚えるポイント
- 特定居住用宅地等(330㎡)と特定事業用等宅地等(400㎡)は完全併用が可能で、最大730㎡まで80%減額を受けることができます。
間違えやすいところ
- 特定居住用と貸付事業用を併用する場合には按分調整が必要ですが、特定居住用と特定同族会社事業用宅地等は完全併用できる点を取り違えないように注意が必要です。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税特例
相続・事業承継 · 教育資金の一括贈与非課税特例 / 所得制限 / 相続時精算課税制度との併用 / 管理残額の相続税課税
「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 「孫Eさんが本特例の適用を受けるためには、孫Eさんが教育資金の贈与を受けた年の前年分の長女Dさんの所得税に係る合計所得金額が1,000万円以下でなければなりません」 ② 「孫EさんがAさんから教育資金の贈与を受ける場合、所定の要件を満たせば、本特例と併せて相続時精算課税制度の適用を受けることができます」 ③ 「教育資金管理契約期間中にAさんが死亡した場合、教育資金管理契約に係る非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額(管理残額)は、その死亡の日に孫Eさんが23歳未満である等の一定の場合を除き、相続税の課税対象となります」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
教育資金の一括贈与の非課税特例(最大1,500万円)は、受贈者本人の前年合計所得金額が1,000万円以下であることが要件です。また、相続時精算課税との併用が可能であり、贈与者死亡時の管理残額は受贈者が23歳未満等の例外を除いて相続税の課税対象となります。
解き方
- 特例の適用要件における所得制限の対象者が受贈者本人か親であるかを確認する。
- 相続時精算課税制度と教育資金一括贈与特例の併用関係の可否を判定する。
- 契約期間中の贈与者死亡時における管理残額への相続税課税ルールおよび年齢要件等の例外規定を確認する。
答えの内訳
- ①:×
- 所得制限が課されるのは受贈者本人であり、教育資金の贈与を受けた年の前年分の受贈者(孫Eさん)本人の合計所得金額が1,000万円以下でなければなりません。親(長女Dさん)の所得要件ではありません。
- ②:○
- 教育資金の一括贈与の非課税特例は、受贈者が要件を満たせば、相続時精算課税制度と併せて同一の贈与者からの贈与に適用することができます。
- ③:○
- 契約期間中に贈与者が死亡した場合、管理残額は原則として相続税の課税価格に加算されますが、受贈者が23歳未満である場合や学校等に在学している場合などは課税対象から除外されます。
覚えるポイント
- 教育資金一括贈与の所得要件(前年合計所得金額1,000万円以下)は「受贈者本人」を基準に判定します。
間違えやすいところ
- 未成年の子が受贈者であっても所得判定は親ではなく「受贈者本人」であること、また相続時精算課税制度とは併用可能であることを見落としやすいです。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分 / 相続税の総額の計算
現時点(2022年9月11日)において、Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額の試算について、表中の空欄①~③に入る数値を求めなさい。なお、相続税の課税価格の合計額は8億円とする。 【表】 (a)相続税の課税価格の合計額:8億円 (b)遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 課税遺産総額((a)-(b)):□□□万円 相続税の総額の基となる税額 妻Bさん:□□□万円 長男Cさん:( ② )万円 長女Dさん:□□□万円 (c)相続税の総額:( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 4,800 ② 5,820 ③ 26,240
解説
相続税の総額の計算では、まず課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求めます。次に、実際の遺産分割割合にかかわらず民法上の法定相続分で按分した取得金額を算出し、速算表を適用して各人ごとの税額を求めたうえで、それらを合算します。
解き方
- 法定相続人の数を確認し、遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を計算して空欄①を求める。
- 課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求め、各人の法定相続分に応じた取得金額を計算する。
- 速算表を適用して長男Cさんの算出税額(空欄②)および妻Bさん、長女Dさんの税額を計算し、それらを合算して相続税の総額(空欄③)を算出する。
答えの内訳
- ①:4,800
- 法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの3人です。遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算するため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:5,820
- 課税遺産総額は8億円-4,800万円=7億5,200万円(75,200万円)です。長男Cさんの法定相続分は4分の1なので、取得金額は75,200万円×1/4=18,800万円となります。速算表より「18,800万円×40%-1,700万円=5,820万円」と求められます。
- ③:26,240
- 妻Bさんの法定相続分(1/2)に応ずる取得金額は37,600万円で、税額は37,600万円×50%-4,200万円=14,600万円です。長女Dさんは長男Cさんと同額の5,820万円となります。したがって、相続税の総額は14,600万円+5,820万円+5,820万円=26,240万円です。
覚えるポイント
- 遺産に係る基礎控除額の算式:3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 相続税の総額は実際の按分割合ではなく、必ず法定相続分で取得したものと仮定して計算する
間違えやすいところ
- 孫Eさんを法定相続人に含めて計算してしまうミス(代襲相続人ではないため法定相続人には含まれない)
- 実際の遺産取得割合を各人に適用して税額を求めてしまうミス
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2022年9月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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