日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の概要
会社設立時における社会保険・労働保険の適用手続きと加入要件
中小事業主資産相談業務 · 健康保険・厚生年金保険の新規適用 / 短時間労働者の社会保険加入基準 / 労働保険の成立届
会社設立時の社会保険および労働保険の加入手続きについて、説明文の空欄①〜③に入る最も適切な語句を〈語句群〉の中から選択しなさい。 「社会保険には、健康保険、介護保険、厚生年金保険、労働者災害補償保険、雇用保険などがあります。株式会社は、各種法律によって社会保険の適用事業所とされます。 まず、健康保険(協会けんぽ)と厚生年金保険については、設立した会社が適用事業所に該当する場合、事業主は、その事実発生の日から5日以内に、健康保険・厚生年金保険新規適用届を( ① )に提出する必要があります。正社員や法人の代表者、役員等は被保険者となります。さらに、パートタイマー、アルバイト等でも、特定適用事業所に該当しない場合、1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の( ② )以上であって一定の要件を満たす人は、被保険者となります。 また、正社員、パートタイマー、アルバイト等の名称や雇用形態にかかわらず、労働者を1人でも雇えば、労働保険(労働者災害補償保険および雇用保険)の適用事業所となります。労働保険の適用事業となったときは、保険関係が成立した日の翌日から起算して( ③ )以内に、労働保険の保険関係成立届を所轄の労働基準監督署または公共職業安定所に提出する必要があります」
- イ
- 日本年金機構
- ロ
- 市町村(特別区を含む)
- ハ
- 都道府県
- ニ
- 2分の1
- ホ
- 3分の2
- ヘ
- 4分の3
- ト
- 7日
- チ
- 10日
- リ
- 14日
解答・解説を表示
解答
① イ ② ヘ ③ チ
解説
法人を設立して事業を開始する場合、役員のみであっても健康保険・厚生年金保険の適用事業所となります。短時間労働者の加入基準(原則4分の3以上)や、労働者を雇い入れた際に生じる労働保険(労災・雇用)の手続き期限(10日以内)など、提出先と提出期限を正確に把握することが重要です。
解き方
- 法人の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の新規適用届の提出先が日本年金機構であることを確認する。
- 短時間労働者が原則として社会保険の被保険者となる基準が通常の労働者の「4分の3以上」であることを確認する。
- 労働保険が成立した際に提出する保険関係成立届の提出期限が成立日の翌日から「10日以内」であることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 株式会社等の法人は健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所となり、事業主はその事実発生の日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を日本年金機構(所轄の年金事務所)へ提出します。
- 小問 ②:ヘ
- パートタイマー等の短時間労働者は、一般に1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が通常の労働者の「4分の3以上」である場合に社会保険の被保険者となります。
- 小問 ③:チ
- 労働者を1人でも雇用したときは労働保険の適用事業所となり、事業主は保険関係が成立した日の翌日から起算して「10日以内」に労働保険の保険関係成立届を所轄の労働基準監督署または公共職業安定所に提出しなければなりません。
覚えるポイント
- 健保・厚年の新規適用届は事実発生から5日以内に日本年金機構へ提出する。
- パートの一般適用基準は所定労働時間・日数が通常の「4分の3以上」。
- 労働保険の保険関係成立届は保険関係成立日の翌日から「10日以内」に提出する。
間違えやすいところ
- 健保・厚年の新規適用届の提出期限(5日以内)と労働保険の保険関係成立届の提出期限(翌日から10日以内)を混同しないこと。
- 雇用保険の適用事業所設置届(10日以内)や被保険者資格取得届(翌月10日)など類似の届出期限と混同しやすい点に注意する。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の健康保険法、厚生年金保険法、労働保険徴収法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
従業員雇用に伴う社会保険料および労働保険料の事業主負担額の試算
中小事業主資産相談業務 · 健康保険料の事業主負担額計算(介護保険第2号被保険者) / 厚生年金保険料の事業主負担額計算 / 雇用保険料の料率改定と事業主負担額計算
Mさんは、従業員1人(Bさん:42歳)を雇用した場合の1年分(2022年4月〜2023年3月分)の社会保険料を試算した。表中の空欄①〜③に入る最も適切な数値を、下記の〈数値群〉のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。 <Bさん(42歳)のデータ> 給与:毎月50万円(標準報酬月額:50万円) 賞与:1回150万円(標準賞与額:150万円)で年2回(6月と12月)支給 労働保険における賃金総額:900万円 <資料>社会保険の保険料率(T県所在の法人。2022年4月1日時点) ・健康保険(介護保険第2号被保険者に該当する場合):保険料率 11.45%、事業主負担 5.725%、被保険者負担 5.725% ・厚生年金保険:保険料率 18.300%、事業主負担 9.150%、被保険者負担 9.150% ・雇用保険(上段:2022年4月〜9月、下段:2022年10月〜2023年3月): 上段(2022年4月〜9月):事業主負担 6.5/1,000、被保険者負担 3/1,000 下段(2022年10月〜2023年3月):事業主負担 8.5/1,000、被保険者負担 5/1,000 <社会保険料の試算(うち事業主負担額)> ・健康保険料:うち事業主負担額( ① )円 ・厚生年金保険料:うち事業主負担額( ② )円 ・雇用保険料:うち事業主負担額( ③ )円
- イ
- 27,000
- ロ
- 58,500
- ハ
- 67,500
- ニ
- 81,000
- ホ
- 147,600
- ヘ
- 441,450
- ト
- 515,250
- チ
- 780,900
- リ
- 823,500
- ヌ
- 1,647,000
解答・解説を表示
解答
① ト ② リ ③ ハ
解説
社会保険料(健康保険・厚生年金保険)は標準報酬月額および標準賞与額に所定の保険料率を乗じて算定し、労使で原則折半負担します。40歳以上65歳未満の被保険者は介護保険第2号被保険者となるため、介護保険料率が加算された料率を用います。また雇用保険料は賃金総額に対して算定され、改定がある期間は期間ごとの賃金額にそれぞれの料率を乗じて計算します。
解き方
- Bさんの年間総報酬(給与50万円×12+賞与150万円×2=900万円)を算出する。
- Bさんは42歳なので健康保険は介護保険第2号被保険者の事業主負担率(5.725%)を適用し、900万円×5.725%=515,250円を求める。
- 厚生年金保険料の事業主負担額は900万円×9.150%=823,500円を求める。
- 雇用保険料は上期(450万円×6.5/1,000=29,250円)と下期(450万円×8.5/1,000=38,250円)をそれぞれ計算し、合算して67,500円を求める。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ト
- Bさんは42歳のため介護保険第2号被保険者に該当し、事業主負担率は5.725%です。1年間の対象総額は、標準報酬月額50万円×12カ月+標準賞与額150万円×2回=900万円となります。したがって健康保険料の事業主負担額は、9,000,000円×5.725%=515,250円となります。
- 小問 ②:リ
- 厚生年金保険の事業主負担率は9.150%です。1年間の対象総額900万円に乗じることで、事業主負担額は9,000,000円×9.150%=823,500円となります。
- 小問 ③:ハ
- 雇用保険料は年度途中で料率が変更されています。2022年4月〜9月(6カ月分の給与300万円+6月賞与150万円=450万円)は事業主負担率6.5/1,000で、450万円×6.5/1,000=29,250円。2022年10月〜2023年3月(給与300万円+12月賞与150万円=450万円)は8.5/1,000で、450万円×8.5/1,000=38,250円。合計で29,250円+38,250円=67,500円となります。
覚えるポイント
- 40歳以上65歳未満の者は介護保険第2号被保険者となるため、介護保険料率込みの健康保険料率が適用される。
- 社会保険料は年間の給与総額だけでなく賞与(標準賞与額)にも同率が賦課される。
- 雇用保険料率が年度途中で変更される場合は、期間ごとの賃金支払額を分けて計算する。
間違えやすいところ
- Bさんの年齢(42歳)を見落とし、「介護保険第2号被保険者に該当しない場合」の料率(4.905%)で計算してしまう。
- 事業主負担額を求める設問で、労使合計の保険料率を乗じてしまう。
- 雇用保険料の計算において、900万円を年間一律の料率で掛けてしまう(10月からの料率改定を見落とす)。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の社会保険・労働保険関係法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定拠出年金(企業型年金)の制度概要とルール
ライフプランニングと資金計画 · 企業型確定拠出年金 / マッチング拠出 / 投資教育 / 小規模企業共済等掛金控除
企業型確定拠出年金(企業型年金)に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。
- ①
- 事業主には、加入者等に対し投資教育を実施する努力義務がある。投資教育の実施を第三者に委託する場合、運営管理機関または企業年金連合会のいずれかに委託しなければならない。
- ②
- 企業型年金規約に定めれば、「事業主掛金の額と加入者掛金の額の合計額が拠出限度額を超えないこと」かつ「事業主掛金の額が加入者掛金の額を超えないこと」という要件を満たす範囲で、従業員も掛金を拠出できる。
- ③
- 加入者掛金は、その全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象となる。
- ④
- 加入者掛金は、企業型年金規約で定める日までに、従業員が自ら資産管理機関に納付する。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○ ④ ×
解説
企業型確定拠出年金において、加入者自身が掛金を上乗せ拠出できる仕組みをマッチング拠出と呼びます。加入者掛金の額は事業主掛金の額以下かつ法定限度額内である必要があり、拠出額は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となります。掛金の納付は事業主を通じて行われます。
解き方
- 投資教育の委託先制限や努力義務の規定について確認する(委託先に限定規定はない)。
- マッチング拠出の拠出要件を確認する(加入者掛金≦事業主掛金、かつ合計額≦拠出限度額)。
- 加入者掛金の税制上の取扱いを確認する(小規模企業共済等掛金控除)。
- 掛金の納付手続を確認する(事業主が給与天引きにより一括納付する)。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 事業主には加入者等に対する投資教育の継続的な実施に努める義務がありますが、委託先は運営管理機関や企業年金連合会に限られず、十分な知識・能力を有するその他の第三者に委託することも可能です。
- 小問 ②:×
- マッチング拠出の要件は、「事業主掛金と加入者掛金の合計額が拠出限度額以内であること」および「加入者掛金の額が事業主掛金の額を超えないこと(事業主掛金以下であること)」です。記述は主客が逆転しており不適切です。
- 小問 ③:○
- マッチング拠出により従業員(加入者)が拠出した掛金は、全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象となります。
- 小問 ④:×
- 加入者掛金は、事業主が給与から天引き(源泉控除)するなどして預かり、事業主掛金と併せて資産管理機関に納付します。従業員が直接納付するわけではありません。
覚えるポイント
- マッチング拠出の掛金制限は「加入者掛金 ≦ 事業主掛金」かつ「合計額 ≦ 拠出限度額」。
- マッチング拠出の加入者掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象。
間違えやすいところ
- 加入者掛金が事業主掛金を超えて拠出できると誤認しやすい。
- 加入者掛金を従業員が直接個人口座等から納付すると勘違いしやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の確定拠出年金法および所得税法等の法令基準に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ESG投資の基本概念と構成要素
金融資産運用 · ESG投資 / SDGs / サステナビリティ
ESG投資に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、〈語句群〉から選びなさい。 「ESGとは、環境(Environment)・( ① )・( ② )の頭文字を取って作られた言葉で、ESG投資とは、従来の財務情報だけでなく、環境などの課題に適切に配慮・対応している企業を評価して投資を行う手法である。近年、機関投資家を中心に、企業経営のサステナビリティを評価するという概念が普及し、ESGは、気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、企業の新たな収益創出の機会を評価するベンチマークとして、2015年の国連サミットで採択された( ③ )と合わせて注目されている」
- イ
- 社会(Social)
- ロ
- 科学(Science)
- ハ
- 奉仕(Service)
- ニ
- 成長(Growth)
- ホ
- グローバリゼーション(Globalization)
- ヘ
- ガバナンス(Governance)
- ト
- SDGs
- チ
- CSR
- リ
- CSV
解答・解説を表示
解答
① イ ② ヘ ③ ト
解説
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取った概念です。企業の非財務情報であるこれらの要素に着目して投資を行う手法をESG投資と呼び、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)とともに重視されています。
解き方
- ESGのアクロニム(頭文字)の構成要素(E: Environment、S: Social、G: Governance)を確認して空欄①・②に当てはめる。
- 2015年国連サミットで採択された国際目標が「SDGs」であることを確認し空欄③に当てはめる。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- ESGの「S」は「社会(Social)」を表し、人権対応、労働環境、地域社会への貢献などの要素を指します。
- 小問 ②:ヘ
- ESGの「G」は「ガバナンス(Governance:企業統治)」を表し、コンプライアンスや情報開示、取締役会の構成などを指します。
- 小問 ③:ト
- 2015年の国連サミットで採択された持続可能な開発目標は「SDGs(Sustainable Development Goals)」であり、ESG投資と密接に関連しています。
覚えるポイント
- ESGはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)。
- 2015年9月の国連サミットで採択されたのはSDGs(持続可能な開発目標)。
間違えやすいところ
- CSR(企業の社会的責任)やCSV(共通価値の創造)とSDGsの採択機関・時期を混同しやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等および一般的な金融・経済知識に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
投資信託の評価指標(騰落率・ジェンセンのアルファ・シャープの測度)
金融資産運用 · 投資信託の騰落率 / CAPM / ジェンセンの測度 / ベータ(β) / シャープの測度
MさんがAさんに対して説明した投資信託の評価に関する文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を語句群から選択しなさい。 「投資信託の騰落率は、基準価額が一定期間内にどれくらい上昇・下落したかを示す指標です。1日の騰落率(%)は、『(当日基準価額-前日基準価額)÷( ① )×100』の計算式で算出されます。 パフォーマンス評価の1つの尺度である( ② )は、CAPMを基にしており、『ポートフォリオの収益率-{安全資産利子率+ポートフォリオの( ③ )×(市場全体の収益率-安全資産利子率)}』の計算式で算出されます。 また、ある投資信託の収益率の標準偏差を10%、収益率を10.1%、安全資産利子率を0.1%とした場合、その投資信託のシャープの測度は( ④ )となります」
- イ
- 前日基準価額
- ロ
- 当日基準価額
- ハ
- 個別元本
- ニ
- 標準偏差
- ホ
- α
- ヘ
- β
- ト
- トレイナーの測度
- チ
- ジェンセンの測度
- リ
- インフォメーション・レシオ
- ヌ
- 0.98
- ル
- 0.99
- ヲ
- 1.00
解答・解説を表示
解答
① イ ② チ ③ ヘ ④ ヲ
解説
投資信託のパフォーマンス評価には、基準価額の変動率を測る騰落率のほか、リスク調整後リターンを評価する尺度として、総リスク(標準偏差)あたりの超過収益率を測るシャープの測度、市場リスク(ベータ)あたりの超過収益率を測るトレイナーの測度、CAPMが予測する期待収益率をどれだけ上回ったかを測るジェンセンの測度(α)があります。
解き方
- 騰落率の定義を確認し、変化量を基準となる前日の数値で割る計算式を特定する。
- CAPMに基づくポートフォリオの理論的期待収益率と、その超過リターンを求めるジェンセンのアルファの計算式を確認する。
- シャープの測度の計算式(超過収益率÷標準偏差)に与えられた数値を代入して値を計算する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 1日の騰落率の計算式は「(当日基準価額-前日基準価額)÷前日基準価額×100」であるため、分母に入るのは「前日基準価額」です。
- 小問 ②:チ
- CAPMによる期待収益率を超過した超過リターン(アルファ)を測る指標は「ジェンセンの測度(ジェンセンのアルファ)」です。
- 小問 ③:ヘ
- CAPMにおける市場全体の変動に対する感応度を示す係数は「β(ベータ)」です。
- 小問 ④:ヲ
- シャープの測度=(ポートフォリオの収益率-安全資産利子率)÷標準偏差=(10.1%-0.1%)÷10%=10.0%÷10%=1.00となります。
覚えるポイント
- シャープの測度=(収益率-安全資産利子率)÷標準偏差
- トレイナーの測度=(収益率-安全資産利子率)÷β
- ジェンセンのアルファ=実際の収益率-CAPMによる期待収益率
間違えやすいところ
- シャープの測度(分母が標準偏差)とトレイナーの測度(分母がβ)を取り違えやすい。
- 騰落率の計算で分母に当日基準価額を置いてしまうミス。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公募株式投資信託の解約時受取額の計算
金融資産運用 · 個別元本 / 元本払戻金(特別分配金) / 解約価額 / 信託財産留保額 / 譲渡所得等の源泉徴収税率
公募株式投資信託(分配金受取コース)を特定口座(源泉徴収あり)で購入し、1年後に次回の分配金が出る前にすべて解約した場合の受取額(税引後)を求めなさい。 【条件】 ・購入時基準価額:11,000円 ・購入時手数料:購入価額の2.2%(税込) ・買付口数:100万口 ・購入時から解約時までに受け取った収益分配金(税引前):普通分配金 600円、元本払戻金(特別分配金)200円 ・解約時基準価額:13,000円 ・解約時の信託財産留保額:解約時の基準価額の0.5% ・税区分:課税扱いとし、税率は現行税率(20.315%)を適用すること ※条件中の金額は1万口当たりの金額。計算過程で円未満の端数が生じる場合は切捨て。
解答・解説を表示
解答
1,255,044円
解説
公募株式投資信託を解約した場合の受取額は、「解約代金(解約時基準価額から信託財産留保額を控除した額×口数)- 譲渡益に対する源泉徴収税額(20.315%)」で計算します。解約時の譲渡所得の計算上、取得費(個別元本+購入時手数料)から、過去に受け取った「元本払戻金(特別分配金)」を差し引いて個別元本を調整する必要があります(普通分配金は個別元本に影響しません)。
解き方
- 1万口当たりの購入時個別元本および購入時手数料を計算し、当初の取得費を求める:11,000円 + 11,000円×2.2% = 11,000円 + 242円 = 11,242円(1万口当たり)。
- 元本払戻金(特別分配金)200円を控除して解約時の1万口当たり個別元本を算出する:11,242円 - 200円 = 11,042円。100万口全体の取得費は 11,042円 × (100万口 / 1万口) = 1,104,200円。
- 1万口当たりの解約価額を計算する:基準価額13,000円 - 信託財産留保額(13,000円×0.5%=65円) = 12,935円。100万口全体の解約代金は 12,935円 × 100 = 1,293,500円。
- 解約時の譲渡益を算出する:解約代金1,293,500円 - 取得費1,104,200円 = 189,300円。
- 譲渡益に対する源泉徴収税額(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%=20.315%)を計算する:189,300円 × 20.315% = 38,456.295円 → 38,456円(円未満切捨て)。
- 税引後の解約受取額を計算する:解約代金1,293,500円 - 税額38,456円 = 1,255,044円。
覚えるポイント
- 元本払戻金(特別分配金)は元本の払い戻しであるため非課税となり、その分だけ個別元本が引き下げられる。
- 普通分配金は利益の分配であるため個別元本は変わらない。
- 購入時手数料(税込)は取得費に算入される。
- 解約価額=基準価額-信託財産留保額。
間違えやすいところ
- 普通分配金(600円)まで個別元本から減額してしまうミス。
- 購入時手数料(242円)を取得費に加算し忘れるミス。
- 信託財産留保額を解約価額から差し引くのを忘れるミス。
- 解約受取額を求める際に、解約代金から税額を引かず譲渡益から計算してしまうミス。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
財務分析(流動比率・固定長期適合率・インタレストカバレッジレシオ)
中小事業主資産相談業務 · 経営分析指標 / 流動比率 / 固定長期適合率 / インタレスト・カバレッジ・レシオ
設例のX社の貸借対照表(流動資産160,020千円、固定資産114,080千円、流動負債88,900千円、固定負債99,200千円、純資産86,000千円)および損益計算書(営業利益8,900千円、営業外収益700千円、営業外費用3,000千円)に基づき、経営指標に関する次の記述①〜③の正誤を判定しなさい。なお、純資産は自己資本と等しいものとし、計算結果は表示単位の小数点以下第2位を四捨五入すること。 ① X社の流動比率は180.0%であり、短期的な支払能力に対する懸念は小さいと判断することができる。 ② X社の固定長期適合率は132.7%であり、長期的な財務状況の安全性に対する懸念は大きいと判断することができる。 ③ X社のインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業外収益がすべて金融収益、営業外費用がすべて金融費用であった場合、3.2倍となる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
財務諸表から企業の支払能力や安全性を分析する指標として、短期の安全性を測る流動比率(100%以上が望ましい)、長期の安全性を測る固定長期適合率(固定資産を自己資本と固定負債で賄えているかを測り100%以下が望ましい)、利息支払能力を測るインタレスト・カバレッジ・レシオ(数値が大きいほど安全)があります。
解き方
- 貸借対照表の数値を用いて流動比率(流動資産/流動負債)を計算し、100%以上か確認する。
- 固定長期適合率(固定資産/(自己資本+固定負債))を算出し、固定比率(固定資産/自己資本)との違いに留意して判定する。
- 損益計算書の営業利益、営業外収益(金融収益)、営業外費用(金融費用)からインタレスト・カバレッジ・レシオを計算する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 流動比率は「流動資産÷流動負債×100」で計算され、160,020千円÷88,900千円×100≒180.00%(180.0%)となります。100%を大きく上回っているため、短期的な支払能力に対する懸念は小さいと判断できます。
- 小問 ②:×
- 固定長期適合率は「固定資産÷(自己資本+固定負債)×100」で求められます。114,080千円÷(86,000千円+99,200千円)×100=114,080千円÷185,200千円×100≒61.6%となり、100%を下回っているため長期的な安全性への懸念は小さく、記述の132.7%(固定比率の値)および判断は誤りです。
- 小問 ③:○
- インタレスト・カバレッジ・レシオは「(営業利益+金融収益)÷金融費用」で求められます。(8,900千円+700千円)÷3,000千円=9,600千円÷3,000千円=3.2倍となり、記述は適切です。
覚えるポイント
- 流動比率は高いほど安全(目安は100%超、望ましくは120%〜150%以上)。
- 固定長期適合率は100%以下であることが長期的な財務安全性の目安。
- 固定比率は「固定資産÷自己資本」、固定長期適合率は「固定資産÷(自己資本+固定負債)」で分母が異なる。
間違えやすいところ
- 固定比率(固定資産÷自己資本=132.7%)の算式・結果と固定長期適合率の算式を混同してしまうミス。
- インタレスト・カバレッジ・レシオの分子に営業外収益(受取利息・配当金等)を加算し忘れるミス。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税額の計算(課税所得と中小法人の税率)
中小事業主資産相談業務 · 法人税 / 申告調整 / 課税所得金額 / 中小法人税率
設例の<資料>に基づき、X社の当期の法人税額を求める計算式中の空欄①~③に入る数値を求めなさい。 <計算式> ・課税所得金額:( ① )千円 ・法人税額:□□□千円×15.0%+{( ① )千円-□□□千円}×( ② )%=( ③ )千円
解答・解説を表示
解答
① 9,000 ② 23.2 ③ 1,432
解説
法人税の課税所得金額は、企業会計上の当期純利益に法人税法上の申告調整(加算項目:益金算入・損金不算入、減算項目:益金不算入・損金算入)を行って算出します。資本金1億円以下の中小法人の税率は、年800万円以下の部分が15%、年800万円を超える部分が23.2%となっています。
解き方
- 当期純利益(4,400千円)に益金算入額(920千円)と損金不算入額(4,600千円)を加算し、益金不算入額(120千円)と損金算入額(800千円)を減算して課税所得金額(9,000千円)を算出する。
- 中小法人の年800万円超の税率が23.2%であることを確認する。
- 年800万円以下部分(8,000千円×15%=1,200千円)と、年800万円超部分(1,000千円×23.2%=232千円)を合算して法人税額(1,432千円)を計算する。
答えの内訳
- ①:9,000
- 課税所得金額は、当期純利益に加算項目を足し減算項目を差し引いて計算します。4,400千円+益金算入額920千円-益金不算入額120千円-損金算入額800千円+損金不算入額4,600千円=9,000千円となります。
- ②:23.2
- 資本金1億円以下の中小法人等の法人税率は、年800万円(8,000千円)以下の所得に対しては軽減税率15.0%、年800万円超の所得に対しては基本税率23.2%が適用されます。
- ③:1,432
- 法人税額は、8,000千円×15.0%+(9,000千円-8,000千円)×23.2%=1,200千円+232千円=1,432千円となります。
覚えるポイント
- 課税所得金額=当期純利益+加算項目(益金算入・損金不算入)-減算項目(益金不算入・損金算入)。
- 普通法人の中小法人に対する法人税率は、年800万円以下が15%、年800万円超が23.2%。
間違えやすいところ
- 加算項目と減算項目を取り違えて計算してしまうミス(益金不算入や損金算入を加算してしまうなど)。
- 中小法人の年800万円超に適用される標準法人税率(23.2%)の数値を誤って記憶しているミス。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業向け所得拡大促進税制の要件と控除限度
タックスプランニング · 所得拡大促進税制 / 法人税額の特別控除 / 中小企業者等の税制優遇
中小企業者等における「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除(所得拡大促進税制)」に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を語句群から選んだ組み合わせを答えなさい。 「本制度の適用を受けるためには、中小企業者等が、2021年4月1日から2024年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その事業年度においてその中小企業者等の雇用者給与等支給額からその比較雇用者給与等支給額を控除した金額の当該比較雇用者給与等支給額に対する割合が( ① )%以上でなければならない。 X社が当期において本制度の通常要件を満たしている場合、税額控除限度額は、控除対象雇用者給与等支給増加額の( ② )%相当額となる。 また、所定の上乗せ要件を満たしている場合には、2022年4月1日から2024年3月31日までの間に開始する各事業年度は、最高40%相当額の税額控除額となる。 なお、税額控除額は、その適用年度の調整前法人税額の( ③ )%相当額が限度となる。」 〈数値群〉 イ.0.5 ロ.1 ハ.1.5 ニ.5 ホ.10 ヘ.15 ト.20 チ.25
- イ
- 0.5
- ロ
- 1
- ハ
- 1.5
- ニ
- 5
- ホ
- 10
- ヘ
- 15
- ト
- 20
- チ
- 25
解答・解説を表示
解答
① ハ、② ヘ、③ ト
解説
所得拡大促進税制は、中小企業者等の賃上げを後押しするために、前年度からの給与支給総額の増加割合に応じて法人税額の一定割合を直接控除できる制度です。
解き方
- 中小企業者等の通常要件における給与等の増加割合(比較雇用者給与等支給額比1.5%以上)を確認します。
- 通常要件を満たした場合の基本控除率(雇用者給与等支給増加額の15%)を確認します。
- 税額控除の上限が調整前法人税額の20%であることを確認し、各空欄に対応する記号を特定します。
- 選択肢 イ不正解
- 0.5%は本制度の給与増加要件の数値ではありません。
- 選択肢 ロ不正解
- 1%は中小企業者等向け通常要件の支給増加率ではありません。
- 選択肢 ハ正解
- 空欄①に該当します。通常要件における支給増加率は1.5%以上です。
- 選択肢 ニ不正解
- 5%は本制度の要件等の数値には該当しません。
- 選択肢 ホ不正解
- 10%は通常要件の税額控除率や法人税額上限ではありません。
- 選択肢 ヘ正解
- 空欄②に該当します。通常要件による税額控除限度額は増加額の15%です。
- 選択肢 ト正解
- 空欄③に該当します。税額控除額の限度は調整前法人税額の20%相当額です。
- 選択肢 チ不正解
- 25%は上乗せ要件を満たした控除率などで登場しますが、通常要件や税額上限ではありません。
答えの内訳
- ①:ハ
- 中小企業向け所得拡大促進税制の通常要件では、雇用者給与等支給額が前事業年度(比較雇用者給与等支給額)と比べて1.5%以上増加していることが必要です。
- ②:ヘ
- 通常要件を満たした場合の税額控除限度額は、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%相当額となります。
- ③:ト
- 所得拡大促進税制による法人税額の特別控除額は、その適用年度の調整前法人税額の20%相当額が上限とされています。
覚えるポイント
- 所得拡大促進税制の中小企業向け通常要件は「増加率1.5%以上」「控除率15%」「税額上限20%」の3点セットで暗記します。
間違えやすいところ
- 大企業向けの賃上げ促進税制(継続雇用者給与等支給額の増加が要件)と、中小企業向け(雇用者全体の給与等総額の増加が要件)を混同しないように注意が必要です。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の租税特別措置法に基づく法令基準。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法上の各種規制(用途地域・絶対的高さ制限・準防火地域)
不動産 · 建築基準法 / 複数用途地域の過半主義 / 低層住居専用地域の絶対的高さ制限 / 準防火地域の建築制限
建築基準法の規定に関する次の記述①~③について、それぞれ適切・不適切を判定しなさい。 ① 建築物の敷地が異なる2つの用途地域にわたる場合、原則として、その敷地の全部について、過半の属する地域の建築物の用途に関する規定が適用される。 ② 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域または準住居地域内における建築物の高さは、10mまたは12mのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。 ③ 準防火地域内では、地階を除く階数が3以下で延べ面積が1,500㎡以下の建築物は、耐火建築物・延焼防止建築物や準耐火建築物・準延焼防止建築物とする必要はない。
- ○
- 適切
- ×
- 不適切
解答・解説を表示
解答
① ○、② ×、③ ×
解説
建築基準法では、敷地が複数地域にまたがる場合の適用基準(過半主義・加重平均)や、用途地域・防火地域ごとに建築可能な建物の用途・高さ・耐火性能に関する制限を細かく規定しています。
解き方
- 記述①:敷地が2つの用途地域にまたがる場合の用途制限(敷地の過半が属する地域の規定が適用)を確認して正誤を判定します。
- 記述②:絶対的高さ制限(10mまたは12m)の対象地域が低層住居専用地域等であることを確認し、準住居地域が含まれている誤りを判定します。
- 記述③:準防火地域内の階数・延べ面積要件(500㎡超1,500㎡以下は準耐火建築物等が必要)を確認して正誤を判定します。
- 選択肢 ○正解
- 記述①は建築基準法第91条に規定された過半主義の原則通りで適切です。
- 選択肢 ×不正解
- 記述②は準住居地域が含まれており不適切、記述③は準防火地域での延べ面積500㎡超1,500㎡以下の耐火・準耐火規制に反しており不適切です。
答えの内訳
- ①:○
- 建築物の敷地が異なる2つ以上の用途地域にわたる場合、その建築物の用途制限は、その敷地の過半の属する地域の規定が敷地全体に適用されます(過半主義)。
- ②:×
- 10mまたは12mの絶対的高さ制限が適用されるのは第一種・第二種低層住居専用地域および田園住居地域であり、準住居地域には適用されません。
- ③:×
- 準防火地域内において、地階を除く階数が3以下であっても、延べ面積が500㎡を超え1,500㎡以下の建築物は準耐火建築物等としなければなりません。
覚えるポイント
- 用途地域の制限は「過半主義」、建蔽率・容積率は「按分計算(加重平均)」、防火・準防火規制は「最も厳しい地域の規定」が適用されます。
間違えやすいところ
- 絶対的高さ制限(10mまたは12m)と道路斜線・隣地斜線・北側斜線制限の適用地域を混同しやすいので注意してください。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の建築基準法に基づく法令基準。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における建蔽率および容積率の計算
不動産 · 建蔽率の緩和 / 指定容積率と道路幅員制限 / 用途地域がまたがる敷地の計算
設例および<甲土地の概要>に基づき、甲土地上に2つの用途地域(第一種低層住居専用地域100㎡、準工業地域200㎡)にわたって耐火建築物を建築する場合における、①建蔽率の上限となる建築面積、および②容積率の上限となる延べ面積をそれぞれ計算しなさい。
解答・解説を表示
解答
① 230(㎡) ② 700(㎡)
解説
複数の用途地域にわたる敷地では、建蔽率・容積率はそれぞれの地域ごとに上限面積を算出して合算(加重平均)します。前面道路が2つ以上ある場合は幅員の広い方の道路幅員を採用し、緩和条件(角地や耐火建築物)を正確に判定して適用します。
解き方
- 甲土地の角地緩和(+10%)および準防火地域・無指定地域にまたがる耐火建築物緩和(+10%)を各地域の指定建蔽率に加算して建築面積の上限を計算する。
- 2面接道のうち幅員の広い6m道路を採用して前面道路幅員制限容積率を求め、指定容積率と比較して小さい方を採用したうえで延べ面積の上限を計算する。
答えの内訳
- ①:230(㎡)
- 特定行政庁が指定する角地であるため+10%の緩和を受けます。さらに準防火地域と防火指定なしにまたがって敷地全体に耐火建築物を建築する場合、建築基準法に基づき敷地全体に耐火建築物緩和(+10%)が適用されます。第一種低層住居専用地域部分(100㎡)の適用建蔽率は50%+10%+10%=70%となり、建築面積限度は100㎡×70%=70㎡です。準工業地域部分(200㎡)の適用建蔽率は60%+10%+10%=80%となり、建築面積限度は200㎡×80%=160㎡です。合計の建築面積上限は70㎡+160㎡=230㎡となります。
- ②:700(㎡)
- 敷地が幅員4mと6mの2つの道路に接しているため、広い方の前面道路幅員(6m)を基準に道路幅員による容積率制限を計算します。第一種低層住居専用地域(100㎡)は6m×4/10=240%と指定容積率100%の小さい方をとるため100%となり、延べ面積限度は100㎡×100%=100㎡です。準工業地域(200㎡)は6m×6/10=360%と指定容積率300%の小さい方をとるため300%となり、延べ面積限度は200㎡×300%=600㎡です。合計の延べ面積上限は100㎡+600㎡=700㎡となります。
覚えるポイント
- 異なる用途地域にまたがる敷地では、用途規制は過半主義ですが、建蔽率・容積率は敷地面積による加重平均(按分計算)で求めます。
- 敷地が2つ以上の道路に接する場合、前面道路の幅員制限は広い方の道路幅員を用います。
間違えやすいところ
- 接する道路のうち狭い方の幅員(4m)で計算してしまったり、角地緩和・耐火建築物緩和の加算を忘れたりする誤りに注意が必要です。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の建築基準法等の法令に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産の譲渡所得に係る課税特例(概算取得費・取得費加算・空き家の特例)
不動産 · 概算取得費 / 相続税の取得費加算の特例 / 被相続人の居住用財産の3,000万円特別控除
甲土地の譲渡に係る税金に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、〈数値群〉の中から選び、その記号を解答しなさい。 ⅰ)相続により取得した甲土地の取得費は、被相続人である父親が取得したときの価額を引き継ぐが、父親が甲土地を取得したときの価額がわからない場合は、甲土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、その譲渡価額の( ① )%相当額を取得費とすることができる。 ⅱ)甲土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」(相続税の取得費加算の特例)の適用を受けるためには、甲土地を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告書の提出期限の翌日以後( ② )年を経過する日までの間に譲渡する必要がある。 ⅲ)甲土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」の適用を受けるためには、譲渡価額が( ③ )万円以下でなければならない。
- イ
- 1
- ロ
- 2
- ハ
- 3
- ニ
- 4
- ホ
- 5
- ヘ
- 7
- ト
- 10
- チ
- 20
- リ
- 3,000
- ヌ
- 5,000
- ル
- 10,000
- ヲ
- 20,000
解答・解説を表示
解答
① ホ ② ハ ③ ル
解説
相続により取得した不動産を譲渡する場合の税制上の特例には、取得費不明時の概算取得費控除、相続税額の一部を取得費に算入できる取得費加算の特例、および空き家となった被相続人の居住用家屋・敷地を譲渡した際の3,000万円特別控除があり、それぞれ明確な期間・金額等の適用要件が定められています。
解き方
- 空欄①について、取得費が不明な場合に適用できる概算取得費の割合(譲渡価額の5%)を選択肢から特定する。
- 空欄②について、相続税の取得費加算の特例における譲渡期限(相続税申告期限の翌日以後3年以内)を選択肢から特定する。
- 空欄③について、被相続人の居住用財産(空き家)の特例における譲渡対価の上限(1億円=10,000万円以下)を選択肢から特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ホ
- 譲渡した土地建物の取得費が不明な場合、譲渡価額の5%相当額を概算取得費として計算することができます。したがってホ(5)が適切です。
- 小問 ②:ハ
- 相続税の取得費加算の特例の適用を受けるためには、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡する必要があります。したがってハ(3)が適切です。
- 小問 ③:ル
- 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例の適用要件の一つとして、売却代金(譲渡価額)が1億円(10,000万円)以下であることが定められています。したがってル(10,000)が適切です。
覚えるポイント
- 概算取得費は譲渡価額の5%です。
- 相続税の取得費加算の特例の譲渡期限は、相続開始の翌日から「相続税申告期限の翌日以後3年を経過する日」まで(相続開始後3年10カ月以内)です。
- 空き家の3,000万円特別控除の譲渡価額要件は「1億円以下(10,000万円以下)」です。
間違えやすいところ
- 空き家特例の控除限度額(3,000万円)と譲渡価額要件(1億円以下)を混同しないように区別して覚える必要があります。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の租税特別措置法および所得税法に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
類似業種比準価額および併用方式による自社株式の相続税評価額の計算
事業承継・相続・事業承継税制 · 取引相場のない株式の評価 / 類似業種比準方式 / 中会社の株式評価(併用方式)
非上場会社であるX社(規模区分「中会社の中」、特定の評価会社に該当しない、1株当たりの資本金等の額50円)の株式について、設例のデータに基づいて、1株当たりの「類似業種比準価額」①および「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による相続税評価額」②を求めなさい。 <X社および類似業種の比準要素等(1株50円当たり)> ・年配当金額:X社 4.4円、類似業種 5.5円 ・年利益金額:X社 30円、類似業種 30円 ・簿価純資産価額:X社 234円、類似業種 260円 ・類似業種の株価:課税時期の属する月401円、前月412円、前々月405円、前年平均400円、2年間平均430円 ・純資産価額方式による1株当たりの評価額:280円
解答・解説を表示
解答
① 216(円) ② 232(円)
解説
取引相場のない株式を類似業種比準方式で評価する場合、類似業種の株価(最も低いもの)に各要素(配当・利益・簿価純資産)の比準割合の平均と会社の規模に応じた斟酌割合(大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5)を乗じます。また中会社は、規模区分(大・中・小)に応じたL割合(0.90、0.75、0.60)を用いて純資産価額方式と併用して評価します。
解き方
- 類似業種の株価5つの候補の中から最も低い金額(400円)を選択し、各比準要素の比率の合計を3で除して比準割合(0.9)を算出する。
- 中会社の斟酌割合(0.60)を乗じて、空欄①の類似業種比準価額(216円)を算出する。
- 「中会社の中」のL割合(0.75)を適用し、類似業種比準価額と純資産価額(280円)を加重平均して空欄②の評価額(232円)を求める。
答えの内訳
- ①:216(円)
- 類似業種株価は「課税時期の属する月(401円)」「その前月(412円)」「その前々月(405円)」「前年平均(400円)」「2年間の平均(430円)」のうち最も低い400円を採用します。比準要素は、配当比準が4.4円÷5.5円=0.8、利益比準が30円÷30円=1.0、純資産比準が234円÷260円=0.9となり、比準割合は(0.8+1.0+0.9)÷3=0.9です。X社は中会社であるため斟酌割合は0.60を適用し、類似業種比準価額=400円×0.9×0.60×(50円÷50円)=216円となります。
- ②:232(円)
- 規模区分が「中会社の中」である会社のL割合(類似業種比準価額の割合)は0.75です。したがって、併用方式による1株当たりの相続税評価額は、類似業種比準価額(216円)×0.75+純資産価額(280円)×(1-0.75)=162円+70円=232円となります。
覚えるポイント
- 類似業種比準方式の斟酌割合は大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5である。
- 中会社のL割合は大が0.90、中が0.75、小が0.60である。
間違えやすいところ
- 類似業種株価を選ぶ際に直近月の株価だけを見て最も低い価額の選定を誤るミスに注意する。
- 中会社の斟酌割合(0.60)と併用方式のL割合(0.75)を混同しないようにする。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の財産評価基本通達に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人版事業承継税制の特例措置(贈与税の納税猶予)の要件
事業承継・相続・事業承継税制 · 非上場株式等の納税猶予の特例(特例措置) / 特例承継計画の提出先 / 対象株式数と猶予割合 / 適用期限
「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例(特例措置)」に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を〈語句群〉から選びなさい。 長男Cさんが本特例の適用を受ける場合は、特例承継計画を策定し、税理士、商工会、商工会議所等の認定経営革新等支援機関による所見等を記載のうえ、所定の期日までに( ① )に特例承継計画の確認申請書を提出することが必要である。 仮に、長男Cさんが、AさんからX社株式480,000株の贈与を受け、本特例の適用を受ける場合、本特例の納税猶予の対象となる株式数は( ② )で、贈与税の納税猶予割合は100%となる。 なお、本特例の対象となる贈与は、2018年1月1日から( ③ )までの間の贈与に限られる。 〈語句群〉 イ.市町村長(特別区長を含む) ロ.都道府県知事 ハ.所轄税務署長 ニ.240,000株 ホ.320,000株 ヘ.480,000株 ト.2024年3月31日 チ.2025年12月31日 リ.2027年12月31日
- イ
- 市町村長(特別区長を含む)
- ロ
- 都道府県知事
- ハ
- 所轄税務署長
- ニ
- 240,000株
- ホ
- 320,000株
- ヘ
- 480,000株
- ト
- 2024年3月31日
- チ
- 2025年12月31日
- リ
- 2027年12月31日
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ヘ ③ リ
解説
事業承継税制(法人版)の特例措置は、中小企業の世代交代を後押しするために時限的に導入された優遇措置です。一般措置と比較して、特例承継計画を都道府県知事に提出すること、対象株式数の上限(総数の3分の2)が撤廃され全株式が対象となること、納税猶予割合が100%であること、適用期間が2018年1月1日〜2027年12月31日であることが大きな特徴です。
解き方
- 特例承継計画の確認申請書の提出先が「都道府県知事」であることを確認する(①はロ)。
- 特例措置では対象株式数の上限がないため、贈与される480,000株のすべてが対象となることを確認する(②はヘ)。
- 特例措置が適用される贈与・相続の実施期間の終期が「2027年12月31日」であることを確認する(③はリ)。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 事業承継税制(特例措置)の適用を受けるために策定する特例承継計画の確認申請書は、認定経営革新等支援機関の所見等を記載した上で、都道府県知事に提出します。
- 小問 ②:ヘ
- 法人版事業承継税制の特例措置では、一般措置で設けられていた議決権割合の上限(発行済株式総数の3分の2)が撤廃され、贈与を受ける全株式(上限なし、本問では贈与された480,000株すべて)が猶予の対象となります。
- 小問 ③:リ
- 事業承継税制の特例措置の対象となる贈与・相続の承継期限は、2018年1月1日から2027年12月31日までの10年間と定められています。
覚えるポイント
- 特例措置の計画提出先は都道府県知事、贈与税申告先は所轄税務署長である。
- 特例措置は全株式(上限なし)が対象となり納税猶予割合も100%である。
- 特例措置の承継期間は2018年1月1日〜2027年12月31日である。
間違えやすいところ
- 一般措置の株式数上限(3分の2)や納税猶予割合(贈与税100%、相続税80%)と特例措置の条件を混同しないようにする。
- 特例承継計画の提出先を所轄税務署長と誤認しないように注意する。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の経営承継円滑化法および租税特別措置法(非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例)に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属からの住宅取得等資金の贈与税の非課税
相続・事業承継 · 住宅取得等資金の非課税 / 非課税限度額 / 住宅借入金等特別控除との併用
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税(本制度)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 2022年中に本制度の適用を受ける場合の非課税限度額は、住宅取得等資金の贈与を受けて新築等をした住宅用家屋が一定の耐震性能、省エネ性能またはバリアフリー性能を有する場合は1,500万円であり、それ以外の住宅用家屋の場合は1,000万円である。 ② 本制度の対象となる住宅用家屋は、その床面積が、贈与を受けた年の年分の所得税に係る受贈者の合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下の場合は50㎡以上240㎡以下、1,000万円以下の場合は40㎡以上240㎡以下のものとされている。 ③ 2022年中にAさんから500万円の住宅取得等資金の贈与を受けた長女Dさんが、住宅ローンも利用して3,000万円の住宅を取得し、当該住宅に係る2022年末の借入金残高が1,500万円であった場合に、受贈額500万円について本制度の適用を受けるときは、住宅借入金等特別控除の控除額の計算上の借入金残高は1,000万円が限度となる。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例は、住宅の質(耐震・省エネ等)、受贈者の所得に応じた床面積基準、および住宅ローン控除併用時の取得対価からの控除規定を正確に把握しておく必要があります。
解き方
- 贈与年(2022年)における省エネ等住宅および一般住宅の非課税限度額(1,000万円・500万円)を確認する。
- 受贈者の合計所得金額に応じた床面積の要件(1,000万円超は50㎡以上、1,000万円以下は40㎡以上)を確認する。
- 住宅ローン控除との併用時における対象借入限度額(取得価額-非課税適用額と年末借入残高のいずれか少ない金額)を計算して比較する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 2022年以後に適用を受ける場合の非課税限度額は、質の高い住宅(耐震・省エネ・バリアフリー)が1,000万円、一般住宅が500万円であるため不適切です。
- 小問 ②:○
- 床面積要件は原則として50㎡以上240㎡以下ですが、受贈者の合計所得金額が1,000万円以下である場合は40㎡以上240㎡以下に緩和されるため適切です。
- 小問 ③:×
- 住宅借入金等特別控除の対象となる借入金残高は、取得対価から非課税額を控除した額(3,000万円-500万円=2,500万円)と年末借入金残高(1,500万円)のいずれか少ない方となるため、1,500万円全額が対象となり不適切です。
覚えるポイント
- 2022年以降の非課税枠は省エネ等住宅1,000万円・一般住宅500万円
- 住宅ローン控除併用時の基準は「住宅取得対価-贈与税非課税額」と借入金残高の小さい方
間違えやすいところ
- 借入金残高から非課税受贈額を直接差し引いて控除限度額を計算してしまう誤り
- 旧税制の非課税限度額(1,500万円・1,000万円)と混同する誤り
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2022年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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