日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の概要
老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 公的年金 / 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算 / 加給年金
個人事業主であるAさん(48歳)が65歳以後に受給できる老齢給付について、設例の加入歴(国民年金未納32月、厚生年金被保険者期間:2003年3月以前84月・平均標準報酬月額28万円、2003年4月以後197月・平均標準報酬額40万円、国民年金保険料納付済期間167月)に基づき、2021年度価額における①老齢基礎年金の年金額、および②老齢厚生年金の年金額を求めなさい(円未満四捨五入)。
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解答
① 728,840円 ② 599,799円
解説
老齢基礎年金は20歳以上60歳未満の納付済月数等に応じて満額からの按分で算定され、老齢厚生年金は報酬比例部分と経過的加算の合算(要件を満たせば加給年金が上乗せ)によって算定されます。
解き方
- 老齢基礎年金の対象月数を計算します。第2号被保険者期間(84月+197月=281月)と国民年金納付済期間167月の合計448月を満額(780,900円×448/480)に乗じます。
- 老齢厚生年金の報酬比例部分(2003年3月以前分と4月以後分)をそれぞれ算出し、円未満四捨五入して合算します。
- 経過的加算額を計算式に基づき算出し、円未満四捨五入します。
- 加給年金の要件を確認します。厚生年金被保険者期間は240月以上あるものの、年上の配偶者はAさん65歳時点で65歳以上となるため加給年金は加算されません。報酬比例部分と経過的加算を合算します。
答えの内訳
- ①:728,840円
- 老齢基礎年金の保険料納付済月数は、第2号被保険者期間(厚生年金281月)と第1号被保険者納付済期間(167月)を合算した448月です。計算式は 780,900円 × 448月 / 480月 = 728,840円 となります。
- ②:599,799円
- 報酬比例部分は、2003年3月以前分(280,000円×7.125/1,000×84月=167,580円)と2003年4月以後分(400,000円×5.481/1,000×197月=431,902.8円)の合計で599,483円(四捨五入)です。経過的加算額は 1,628円×281月-780,900円×281/480=316円(四捨五入)となります。妻BさんはAさん65歳到達時に既に65歳以上であるため加給年金額は対象外(0円)となり、年金額合計は 599,483円+316円=599,799円 です。
覚えるポイント
- 厚生年金の被保険者期間は国民年金の第2号被保険者期間として老齢基礎年金の算定月数に含まれます。
- 配偶者加給年金は厚生年金被保険者期間240月以上の者が65歳到達時に生計を維持している65歳未満の配偶者等がいる場合に加算されます。
間違えやすいところ
- 厚生年金期間(281月)を老齢基礎年金の月数に含め忘れ、167月のみで計算してしまう。
- 厚生年金期間が240月以上あるため妻について加給年金が加算されると誤認する(妻が年上で既に65歳に達している場合は対象外)。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等(2021年度年金額基準)
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
国民年金基金の制度内容
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金基金 / 給付の型 / 掛金拠出限度額 / 個人型確定拠出年金
国民年金基金について説明した次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群のなかから選びなさい。 「国民年金基金は、老齢基礎年金に上乗せする年金を支給する任意加入の年金制度です。加入は口数制となっており、1口目は保証期間のある( ① )年金A型、保証期間のない( ① )年金B型の2種類のなかから選択します。掛金の額は、加入者が選択した給付の型や口数、加入時の年齢等で決まり、掛金の拠出限度額は月額( ② )円となります。なお、( ③ )に加入している場合は、その掛金と合わせて月額( ② )円が上限となります」
- イ
- 23,000
- ロ
- 68,000
- ハ
- 70,000
- ニ
- 有期
- ホ
- 確定
- ヘ
- 終身
- ト
- 小規模企業共済制度
- チ
- 確定拠出年金の個人型年金
- リ
- 中小企業退職金共済制度
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解答
① ヘ ② ロ ③ チ
解説
国民年金基金は自営業者等の第1号被保険者が老齢基礎年金に上乗せするために設けられた制度で、基本となる1口目は終身年金が義務付けられており、掛金はiDeCoと合算して月額68,000円が限度となります。
解き方
- 1口目の給付の型について確認します。1口目は終身年金であるA型またはB型から選択します。
- 国民年金基金の掛金限度額を確認します。月額68,000円(年額816,000円)です。
- 拠出限度額の枠を共有する他の公的・私的年金制度を確認します。iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金と合わせて月額68,000円が上限となります。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ヘ(終身)
- 国民年金基金の加入は口数制であり、1口目は必ず終身年金(保証期間のあるA型または保証期間のないB型)から選択しなければなりません。
- 小問 ②:ロ(68,000)
- 国民年金基金の掛金の拠出限度額は、選択した口数や型にかかわらず月額68,000円です。
- 小問 ③:チ(確定拠出年金の個人型年金)
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)の第1号被保険者の掛金上限は月額68,000円であり、国民年金基金と合算して月額68,000円が限度となります。
覚えるポイント
- 国民年金基金の1口目は必ず終身年金(A型またはB型)から選択します。
- 国民年金基金とiDeCoの第1号被保険者の掛金枠は合算で月額68,000円以内です。
間違えやすいところ
- 小規模企業共済の掛金上限(月額7万円)と国民年金基金の掛金上限(月額6.8万円)を混同してしまう。
- 国民年金基金の1口目で有期年金が選べると誤認してしまう。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老後の公的年金の上乗せ制度(付加年金・国民年金基金・小規模企業共済)
ライフプランニングと資金計画 · 付加年金 / 国民年金基金 / 小規模企業共済
自営業者等の老後生活資金の準備制度に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。 ①「国民年金の付加保険料を納付することで、老後の年金収入を増やすことができる。仮にAさんが付加保険料を120月納付し、65歳から老齢基礎年金を受け取る場合、老齢基礎年金の額に付加年金として48,000円が上乗せされる」 ②「国民年金基金の1口目の給付には、国民年金の付加年金相当が含まれているため、Aさんが国民年金基金に加入した場合、国民年金の付加保険料を納付することはできない」 ③「小規模企業共済制度は、個人事業主が廃業等した場合に必要となる資金を準備しておくための共済制度である。Aさんが支払った掛金は、その全額を、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することができる」
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解答
① × ② ○ ③ ×
解説
国民年金の第1号被保険者は、国民年金基金への加入または付加年金の納付を選択して老齢基礎年金の上乗せを図ることができますが、両者の重複加入は認められていません。また、小規模企業共済の掛金は税制上、必要経費ではなく所得控除(小規模企業共済等掛金控除)として取り扱われます。
解き方
- 付加年金の年金額の計算式「200円×納付月数」に基づき、120月分の受給額が24,000円であることを計算して①の正誤を判定する。
- 国民年金基金と付加保険料の重複納付が不可である制度趣旨を確認し、②の正誤を判定する。
- 小規模企業共済の掛金の税務上の取扱いは必要経費ではなく所得控除であることを確認し、③の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 付加年金の受給年額は「200円×付加保険料納付済月数」で算出されるため、120月納付した場合の年額は24,000円(200円×120月)となります。記述の48,000円(月額保険料400円×120月)は納付した保険料の総額であり誤りです。
- 小問 ②:○
- 国民年金基金の1口目の基本部分には国民年金の付加年金相当が含まれているため、国民年金基金に加入している者は国民年金の付加保険料を納付することはできません。
- 小問 ③:×
- 小規模企業共済の掛金は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入するのではなく、所得控除のうち「小規模企業共済等掛金控除」として総所得金額等から全額を控除します。
覚えるポイント
- 付加年金の受給年額は「200円×納付月数」であり、納付額(月額400円)の2年分の受給で元が取れる。
- 小規模企業共済掛金は事業経費ではなく「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除される。
間違えやすいところ
- 付加年金の年金額を計算する際に、納付した掛金月額400円を掛けて計算してしまうミスに注意する。
- 小規模企業共済掛金を事業所得の必要経費算入と混同しないよう区別する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族の必要保障額および定期保険特約付終身保険の死亡保険金額の計算
リスク管理 · 必要保障額の計算 / 定期保険特約付終身保険 / 死亡保険金
Aさん(61歳)が死亡した場合の必要保障額および現在加入している生命保険から支払われる死亡保険金額について、次の文章の空欄①・②に入る数値を求めなさい。 「下記の<算式>および<条件>を参考にすれば、Aさんが現時点で死亡した場合の必要保障額は( ① )万円となる。Aさんが現時点で死亡(不慮の事故や所定の感染症以外)した場合、定期保険特約付終身保険から妻Bさんに支払われる死亡保険金額は( ② )万円となる」 <算式> 必要保障額=遺族に必要な生活資金等の支出の総額-遺族の収入見込金額 <条件> 1. 現在の毎月の日常生活費は35万円であり、Aさん死亡後の妻Bさんの生活費は現在の日常生活費の50%とする。 2. 現時点の妻Bさんの年齢における平均余命は30年とする。 3. Aさんの死亡整理資金(葬儀費用等)、緊急予備資金は500万円とする。 4. 住宅ローン(団体信用生命保険に加入)の残高は300万円とする。 5. 死亡退職金見込額とその他金融資産の合計額は2,200万円とする。 6. Aさん死亡後に妻Bさんが受け取る公的年金等の総額は4,500万円とする。 7. 現在加入している生命保険の死亡保険金額は考慮しなくてよい。 <生命保険契約内容> 終身保険200万円、定期保険特約1,100万円、特定疾病保障定期保険特約200万円、傷害特約300万円、入院特約日額5,000円
解答・解説を表示
解答
① 100(万円) ② 1,500(万円)
解説
遺族の必要保障額は「遺族の支出総額(生活費・死亡整理資金等)-遺族の収入見込額(公的年金・退職金・資産等)」により算出します。また、特定疾病保障定期保険特約は、特定疾病で所定の状態になった場合の生前給付金のほか、該当せずに死亡した場合でも死亡保険金が支払われますが、傷害特約は不慮の事故等以外での死亡には支払われません。
解き方
- 条件に基づき遺族の支出総額を計算する:生活費(35万円×0.5×12月×30年=6,300万円)+死亡整理資金等500万円=6,800万円(団信加入住宅ローンは0円)。
- 遺族の収入見込額を計算する:死亡退職金等2,200万円+公的年金等4,500万円=6,700万円。
- 支出総額6,800万円-収入見込額6,700万円=100万円を算出して①を求める。
- 普通死亡時に支払われる保険金(終身保険200万円+定期保険特約1,100万円+特定疾病保障特約200万円=1,500万円)を合算して②を求める(傷害特約は除外)。
答えの内訳
- ①:100(万円)
- 遺族の支出総額は、妻の生活費「35万円×50%×12月×30年=6,300万円」に死亡整理資金等500万円を加えた6,800万円です(住宅ローンは団信で弁済されるため支出に含めません)。収入見込額は資産合計2,200万円+年金等4,500万円=6,700万円です。したがって、必要保障額は6,800万円-6,700万円=100万円となります。
- ②:1,500(万円)
- 病気死亡等の一般死亡時には、終身保険200万円+定期保険特約1,100万円+特定疾病保障定期保険特約200万円=1,500万円が支払われます。傷害特約(300万円)は不慮の事故等による死亡ではないため支払われません。
覚えるポイント
- 団体信用生命保険に加入している住宅ローンは、死亡時に保険金で残債が完済されるため支出総額に含めない。
- 特定疾病保障定期保険特約は、特定疾病保険金が支払われないまま死亡した場合、死亡保険金として支払われる。
間違えやすいところ
- 住宅ローンの残高を支出総額に二重加算してしまうミスに注意する。
- 特定疾病保障特約を「病気死亡時には出ない」と誤認して除外してしまう、あるいは不慮の事故でないのに傷害特約を含めてしまうミスが多い。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的介護保険の被保険者区分と給付要件・自己負担割合
リスク管理 · 公的介護保険 / 第1号被保険者 / 第2号被保険者 / 自己負担割合
公的介護保険の制度概要に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 公的介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の医療保険加入者である第2号被保険者に区分される。保険給付を受けるためには、市町村(特別区を含む)から要介護認定または要支援認定を受ける必要がある。 ② 公的介護保険の第2号被保険者が保険給付を受けられるのは、特定疾病が原因で要介護状態または要支援状態となった場合に限られるが、第1号被保険者は、その原因を問わず保険給付を受けることができる。 ③ 公的介護保険の第1号被保険者が保険給付を受けた場合の自己負担割合は、合計所得金額の多寡にかかわらず、実際にかかった費用(食費、居住費等を除く)の1割となる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
公的介護保険は40歳以上の国民が加入する社会保険制度であり、年齢や医療保険加入状況に応じた被保険者区分、受給原因となる事由、所得に応じた利用者負担割合が法令で定められています。
解き方
- 被保険者の区分(第1号・第2号)および認定実施主体(市町村)を確認する。
- 第1号と第2号における受給原因(原因不問か特定疾病限定か)の違いを照合する。
- 介護保険サービス利用時の自己負担割合が所得連動(1割~3割)であるかを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 公的介護保険の被保険者は65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の公的医療保険加入者である第2号被保険者に大別され、給付を受けるには保険者である市町村(特別区含む)から要介護・要支援認定を受ける必要があります。
- 小問 ②:○
- 第1号被保険者は要介護・要支援状態となった原因を問わず受給できますが、第2号被保険者は初老期認知症や脳血管疾患など政令で定められた16種類の特定疾病が原因である場合に限定されます。
- 小問 ③:×
- 第1号被保険者が介護サービスを利用した際の自己負担割合は一律1割ではなく、本人の合計所得金額や世帯の所得水準に応じて1割・2割・3割のいずれかとなります。
覚えるポイント
- 第2号被保険者の給付原因は16種類の特定疾病に限定される。
- 第1号被保険者の自己負担割合は所得に応じて1割・2割・3割となる。
間違えやすいところ
- 公的介護保険の自己負担割合を所得にかかわらず一律1割と誤認しないこと。
- 第2号被保険者の保険給付対象を交通事故などの一般的な怪我も含めると誤解しないこと。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の介護保険法
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険の見直し(更新・特約解約・契約転換制度)
リスク管理 · 定期保険特約付終身保険 / 契約転換制度 / 生命保険の見直し
Aさんが現在加入している定期保険特約付終身保険(主契約:終身保険200万円、特約:定期保険1,100万円・特定疾病200万円・傷害300万円・入院日額5,000円、保険料払込満了65歳)の見直し等に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 現在加入している定期保険特約付終身保険の定期保険特約は、65歳の主契約の保険料払込期間満了後も更新することができるが、更新後の保険料は大幅に上昇する。支出可能な保険料の額を踏まえたうえで、無理のない範囲内で見直しを行ってください。 ② 現在加入している終身保険を残し、その他の特約を減額または解約して、介護保険に新規加入する方法が考えられる。公的介護保険の給付は、主に訪問介護や通所介護(デイサービス)などの現物給付による介護サービスであるため、一定額の介護年金および介護一時金を準備することは検討に値すると思われる。 ③ 現在加入している定期保険特約付終身保険を見直す方法として、契約転換制度の活用が考えられる。契約転換時の告知や医師の診査は不要で、健康状態にかかわらず、保障内容を見直すことができる。 ④ 現在加入している定期保険特約付終身保険を契約転換して、同じ生命保険会社の介護保障に特化した保険に加入した場合、現在加入している終身保険の保障は消滅する。契約転換制度を利用する際は、転換前・転換後契約の保障内容等を比較して、総合的に判断してください。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ × ④ ○
解説
生命保険の見直し手法には特約解約や契約転換などがあり、主契約満了時の特約更新制限や、契約転換における告知義務・旧契約消滅の特性を正確に理解して選択する必要があります。
解き方
- 主契約の払込満了時における付加特約の更新可否ルールを確認する。
- 公的介護保険(現物給付)と民間介護保険(一時金・年金)の機能差および特約解約の適否を判断する。
- 契約転換制度における告知・診査の要否および転換前の保障が消滅する点を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 定期保険特約などの各種特約は主契約に付加されているため、原則として主契約の保険料払込期間が満了した後は特約のみを更新して継続することはできません。
- 小問 ②:○
- 不要な特約を解約・減額して終身保険の主契約のみを残し、不足する介護保障を民間介護保険で補う見直しは適切です。公的介護保険は現物給付が中心であるため、民間の現金給付を備える意義があります。
- 小問 ③:×
- 契約転換制度は既存の契約の責任準備金等を下取りして新たな保険を契約する仕組みであるため、新規加入と同様に告知や医師の診査が必要となり、健康状態によっては転換できない場合があります。
- 小問 ④:○
- 契約転換を行うと転換前契約(主契約および特約)は完全に消滅し、新たな保険契約へ全面的に切り替わるため、もとの終身保険の死亡保障も消滅します。
覚えるポイント
- 主契約の払込満了後は特約単独での更新継続はできない。
- 契約転換制度を利用する際は新たな保険への加入と同じく告知・診査が必要であり、元の契約は消滅する。
間違えやすいところ
- 契約転換制度を契約内容の部分変更と同一視し、告知や診査が不要であると誤認しないこと。
- 主契約が満了しても特約だけを単独で更新継続できると混同しないこと。
出題の前提:生命保険協会の約款標準指針および実務慣行
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金に係る退職所得控除額および退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の金額 / 勤続年数の端数切上げ
仮に、X社がAさんに役員退職金5,000万円を支給した場合、Aさんが受け取る役員退職金に係る次の①退職所得控除額、②退職所得の金額を求めなさい(単位:万円)。なお、Aさんの役員在任期間(勤続年数)は28年9カ月とし、他の退職手当等の収入はなく、障害者となったことが退職の直接の原因ではないものとする。
解答・解説を表示
解答
① 1,430万円、② 1,785万円
解説
退職所得は、退職後の生活保障という趣旨から、他の所得と合算せず分離して課税されるなど優遇措置が講じられています。勤続年数に応じた手厚い退職所得控除を差し引いた後の残額に対して2分の1を乗じて計算されます。
解き方
- 勤続年数を算出します。28年9カ月について1年未満の端数を切り上げて29年とします。
- 勤続年数が20年超の算式「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」に当てはめ、退職所得控除額1,430万円を算出します。
- 退職金収入5,000万円から退職所得控除額1,430万円を差し引き、2分の1を乗じて退職所得の金額1,785万円を計算します。
答えの内訳
- ①:1,430(万円)
- 勤続年数に1年未満の端数がある場合は切り上げて計算するため、28年9カ月は29年となります。勤続年数が20年を超える場合の退職所得控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」で算出します。したがって、800万円+70万円×(29年-20年)=800万円+630万円=1,430万円となります。
- ②:1,785(万円)
- 退職所得の金額は、原則として「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」で計算します(特定役員退職手当等における勤続年数5年以下などの例外には該当しません)。したがって、(5,000万円-1,430万円)×1/2=3,570万円×1/2=1,785万円となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の端数は月単位であってもすべて切り上げて1年として計算します。
- 勤続年数20年超の退職所得控除額は「800万円+70万円×(年数-20年)」です。
間違えやすいところ
- 28年9カ月を切り捨てて28年で計算してしまうミスに注意が必要です。
- 退職所得控除を控除した後に1/2を掛けるのを忘れてしまう誤りに留意してください。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人契約の長期平準定期保険の解約時における経理処理(仕訳)
リスク管理 · 長期平準定期保険 / 法人税の経理処理 / 資産計上 / 雑収入
設例の生命保険(2007年7月契約、保険期間・払込期間95歳満了、契約者・死亡保険金受取人:X社、被保険者:Aさん)を現時点で解約した場合のX社の経理処理(仕訳)について、条件(解約時までに支払った保険料総額3,000万円、解約返戻金2,700万円)を基に、空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を語句群から選びなさい。 <解約返戻金受取時のX社の経理処理(仕訳)> 〔借方〕現金・預金( ① )万円 〔貸方〕前払保険料( ② )万円 / ( ③ )( ④ )万円
- イ
- 150
- ロ
- 300
- ハ
- 1,200
- ニ
- 1,350
- ホ
- 1,500
- ヘ
- 1,650
- ト
- 2,700
- チ
- 3,000
- リ
- 雑収入
- ヌ
- 雑損失
- ル
- 保険料積立金
解答・解説を表示
解答
① ト、② ホ、③ リ、④ ハ
解説
法人が契約者および受取人である定期保険を中途解約した場合、入金された解約返戻金を借方に計上し、それまでに資産計上されていた保険料(前払保険料等)を貸方で取り崩します。解約返戻金と資産計上額との差額は、プラスであれば雑収入、マイナスであれば雑損失として計上します。
解き方
- 借方に受け取った解約返戻金の金額2,700万円を「現金・預金」として計上します。
- 支払保険料総額3,000万円のうち資産計上されていた前払保険料(1/2相当である1,500万円)を貸方に計上して取り崩します。
- 解約返戻金2,700万円から前払保険料1,500万円を引いた差額1,200万円を、貸方に「雑収入」として計上します。
- 選択肢 イ不正解
- 150万円は、支払保険料と返戻金の差額の半額等の誤った計算から導かれる数値であり不適切です。
- 選択肢 ロ不正解
- 300万円は支払総額3,000万円と返戻金2,700万円の単純差額ですが、本問のどの空欄にも当てはまりません。
- 選択肢 ハ正解
- 解約返戻金2,700万円から取り崩す前払保険料1,500万円を控除した差額1,200万円(空欄④)として正しい数値です。
- 選択肢 ニ不正解
- 1,350万円は解約返戻金の半額であり、前払保険料の取崩額や雑収入の金額としては不適切です。
- 選択肢 ホ正解
- 支払保険料総額3,000万円のうち半分(1/2資産計上)である前払保険料1,500万円(空欄②)として正しい数値です。
- 選択肢 ヘ不正解
- 1,650万円は本問の仕訳計算のいずれの項目にも該当しない数値です。
- 選択肢 ト正解
- 受け取った解約返戻金額2,700万円(空欄①)として正しい数値です。
- 選択肢 チ不正解
- 3,000万円は支払保険料の総額であり、現金・預金の受取額や前払保険料の金額としては不適切です。
- 選択肢 リ正解
- 返戻金が資産計上額を上回る場合の差額を処理する勘定科目「雑収入」(空欄③)として適切です。
- 選択肢 ヌ不正解
- 雑損失は資産計上額が返戻金を上回る場合に借方に計上する科目であるため、貸方項目としては不適切です。
- 選択肢 ル不正解
- 設例の長期平準定期保険において資産計上される科目は「前払保険料」であり、本問の空欄③(差額科目)には該当しません。
答えの内訳
- ①:ト
- 解約時に受け取った解約返戻金の金額は2,700万円であるため、借方の現金・預金には2,700(万円)が入ります。
- ②:ホ
- 2007年契約の長期平準定期保険(保険期間満了が70歳超かつ加入時年齢+保険期間×2が105超)では、保険期間の前半6割期間において保険料の2分の1を損金算入し、2分の1を資産計上(前払保険料)します。支払保険料累計額3,000万円のうち資産計上されていた前払保険料は、3,000万円×1/2=1,500(万円)となり、解約時にこれを取り崩すため貸方に計上されます。
- ③:リ
- 受け取った解約返戻金(2,700万円)が取り崩す資産計上額(前払保険料1,500万円)を上回っているため、その差額は益金(雑収入)として貸方に計上されます。
- ④:ハ
- 解約返戻金2,700万円と資産計上額1,500万円との差額は、2,700万円-1,500万円=1,200(万円)となります。
覚えるポイント
- 2019年7月以前の旧ルールにおける長期平準定期保険では、前半6割期間の保険料は1/2を損金、1/2を「前払保険料」として資産計上します。
- 解約返戻金受取時の差額は、返戻金>資産計上額なら「雑収入(貸方)」、返戻金<資産計上額なら「雑損失(借方)」となります。
間違えやすいところ
- 支払保険料総額と解約返戻金の差額(300万円のマイナス)と混同して、雑損失として処理してしまう間違いに注意してください。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人契約の生命保険の見直し・活用に関するアドバイス
リスク管理 · 払済保険への変更 / 生前給付型保険 / 定期保険の活用
設例の法人が加入している生命保険(保険期間95歳満了の定期保険)の見直しや活用に関してファイナンシャル・プランナーが述べた記述①~③について、適切か不適切かを判定しなさい。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
法人契約の生命保険の見直しにおいては、保障内容の縮小を伴う払済保険への変更の影響や、経営者の病気・就労不能リスクに備える生前給付型保険、割安な定期保険の特性を正しく理解する必要があります。
解き方
- 払済保険へ変更した場合における以後の解約返戻金や保障内容への影響を確認する。
- 法人の事業継続対策として経営者の疾病・就労不能に備える生前給付型保険の有用性を判断する。
- 定期保険の保険期間の長短が保険料水準や積立性に与える違いを比較検討する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 払済保険へ変更した時点以後は以後の保険料払込みを中止するため、保険金額や将来の解約返戻金額は当初予定より減額され、65歳時点の解約返戻金4,700万円は確保されません。
- 小問 ②:○
- 経営者が三大疾病や要介護等の状態になり長期不在となった場合の業績悪化リスクに備え、法人が一時金を受け取れる生前給付型保険の活用を検討することは適切です。
- 小問 ③:○
- 死亡保障の確保のみを目的とする場合、95歳満了のような長期定期保険と比べて10年定期などの短期定期保険は貯蓄性がない分、保険料を大幅に割安に抑えることができます。
覚えるポイント
- 払済保険に変更した後は保険料を支払わないため、以降の解約返戻金や保障額は原契約の予定額より減少する。
間違えやすいところ
- 払済保険に変更しても満期や所定年齢時の解約返戻金が当初の設計書どおりに増え続けると誤認しないこと。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金等・生命保険契約の解約返戻金に係る所得税の課税関係
タックスプランニング · 遺族基礎年金の非課税 / 一時払変額個人年金保険の課税関係 / 一時所得の内部通算
Aさんの2021年分の所得税の課税等に関する記述①~③について、適切か不適切かを判定しなさい。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
遺族基礎年金などの公的年金の遺族給付は非課税所得であり、生命保険の解約差益は5年超保有の一時払契約であれば一時所得として課税され、一時所得内部での差損益の通算が認められています。
解き方
- 遺族基礎年金が所得税法上の非課税所得に該当するかどうかを確認する。
- 一時払変額個人年金保険の契約年月と解約年月から経過年数を算出し、金融類似商品の該当性を判断する。
- 同一年に発生した生命保険解約に係る一時所得の間で内部通算が可能かどうかを判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 国民年金法に基づく遺族基礎年金は所得税法上非課税所得と規定されており、金額の多寡にかかわらず雑所得として総合課税の対象にはなりません。
- 小問 ②:×
- 金融類似商品として源泉分離課税の対象となるのは保険期間5年以下または5年以内に解約された場合です。本契約は2013年契約・2021年解約で5年を超えているため一時所得(総合課税)となります。
- 小問 ③:○
- 同一年に生じた複数の生命保険契約等の解約において、差損が生じた契約の損失は、他の一時所得の差益と内部通算(損益の相殺)を行うことができます。
覚えるポイント
- 遺族年金・障害年金は非課税である。また、一時所得同士の内部通算は認められるが他の所得との損益通算は不可である。
間違えやすいところ
- 一時所得の損失は給与所得など他の所得とは通算できないが、一時所得同士の内部通算は可能である点を取り違えないように注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の所得控除(扶養控除・ひとり親控除)
タックスプランニング · 扶養控除 / ひとり親控除 / 所得要件
Aさんの2021年分の所得税における所得控除に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を、語群の中から選定しなさい。 Ⅰ 「Aさんが適用を受けることができる長女Cさんに係る扶養控除の額は、( ① )万円です」 Ⅱ 「ひとり親控除は、現に婚姻していない者が、総所得金額等が( ② )万円以下の生計を一にする子を有すること、納税者本人の合計所得金額が( ③ )万円以下であること、納税者本人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないことの3つの要件を満たした場合に適用を受けることができます。Aさんが適用を受けることができるひとり親控除の額は、( ④ )万円です」
- イ
- 26
- ロ
- 35
- ハ
- 38
- ニ
- 48
- ホ
- 58
- へ
- 63
- ト
- 500
- チ
- 660
- リ
- 850
- ヌ
- 1,000
解答・解説を表示
解答
① ハ ② ニ ③ ト ④ ロ
解説
所得税の扶養控除は16歳以上の扶養親族が対象で一般控除額は38万円です。ひとり親控除は総所得金額等48万円以下の子を有し、本人の合計所得金額が500万円以下等の要件を満たす場合に35万円が控除されます。
解き方
- 長女Cさんの年齢(16歳)から扶養控除の区分を判定し、一般の控除対象扶養親族の控除額(38万円)を特定する。
- ひとり親控除の適用要件である子の総所得金額等の上限(48万円)および本人の合計所得金額の上限(500万円)を確認する。
- ひとり親控除の要件を満たす場合に適用される控除限度額(35万円)を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 長女Cさんは16歳(高校生)であり、一般の控除対象扶養親族(16歳以上19歳未満)に該当するため、扶養控除の額は38万円となります。
- 小問 ②:ニ
- ひとり親控除の対象となる生計を一にする子の要件は、総所得金額等の合計額が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)です。
- 小問 ③:ト
- ひとり親控除の適用を受けるための納税者本人の合計所得金額要件は、500万円以下と定められています。
- 小問 ④:ロ
- ひとり親控除の要件をすべて満たした場合、所得税における控除額は男女を問わず一律35万円となります。
覚えるポイント
- ひとり親控除の控除額は一律35万円で、本人の合計所得金額上限は500万円以下です。
- 扶養控除の対象となる親族は16歳以上で、一般の扶養控除額は38万円です。
間違えやすいところ
- 16歳未満の年少扶養親族には扶養控除が適用されないため、年齢区分の確認を怠ると誤答します。
- ひとり親控除の所得制限(500万円以下)と子の所得制限(48万円以下)の数値を逆に覚えないように注意が必要です。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額・基礎控除・所得税算出税額の計算
タックスプランニング · 総所得金額 / 一時所得 / 基礎控除 / 所得税額の計算
Aさんの2021年分の所得税の算出税額を計算した表の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 <Aさんの収入等資料> ・給与所得の金額:440万円 ・遺族基礎年金:30万円(非課税) ・終身保険解約返戻金:解約返戻金350万円、正味払込保険料380万円 ・一時払変額個人年金保険解約返戻金:解約返戻金670万円、正味払込保険料500万円 ・所得控除の額の合計額:2,700,000円 表の項目: (a)総所得金額:( ① )円 基礎控除:( ② )円 (d)算出税額(課税総所得金額に対する所得税額):( ③ )円
解答・解説を表示
解答
① 4,850,000(円) ② 480,000(円) ③ 117,500(円)
解説
一時所得は同一年中の収入と支出を通算し特別控除50万円を差し引いた後、その1/2を他の総合課税の所得と合算して総所得金額を算出します。課税総所得金額に超過累進税率を適用して算出税額を求めます。
解き方
- 一時所得の対象となる2つの解約返戻金の収入と払込保険料を合算して内部通算し、特別控除50万円を引いて一時所得を求め、その1/2を給与所得に加算して総所得金額を計算する。
- 合計所得金額(485万円)に基づいて基礎控除額(48万円)を決定する。
- 総所得金額から所得控除合計額を差し引いて課税総所得金額を算出し、所得税の速算表に当てはめて算出税額を計算する。
答えの内訳
- ①:4,850,000
- 給与所得4,400,000円に加え、生命保険契約の解約返戻金に係る一時所得の金額を合算します。一時所得の総収入金額は350万円+670万円=1,020万円、支出金額は380万円+500万円=880万円となり、一時所得の金額は1,020万円-880万円-特別控除50万円=90万円です。総所得金額へは1/2を算入するため、4,400,000円+450,000円=4,850,000円となります(遺族基礎年金は非課税)。
- ②:480,000
- 合計所得金額が2,400万円以下であるため、適用される基礎控除の額は480,000円となります。
- ③:117,500
- 課税総所得金額は総所得金額4,850,000円-所得控除合計2,700,000円=2,150,000円です。速算表(195万円超330万円以下:税率10%、控除額97,500円)を適用して、2,150,000円×10%-97,500円=117,500円となります。
覚えるポイント
- 生命保険の解約返戻金に係る一時所得同士は、利益と損失の内部通算が可能です。
- 一時所得を総所得金額に算入する際は「2分の1」にすることを忘れてはなりません。
間違えやすいところ
- 遺族基礎年金などの公的年金の遺族給付を課税対象に含めてしまうミスに注意します(遺族年金・障害年金は非課税)。
- 一時所得の特別控除50万円を引いた後、総所得金額への算入時に1/2を掛けるのを忘れる誤りが頻出します。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺留分の計算と遺言・未分割申告の諸手続き
相続・事業承継 · 遺留分侵害額請求 / 申告期限後3年以内の分割見込書 / 公正証書遺言の要件
Aさんの相続に係る遺産分割に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を、〈数値群〉から選びなさい。 Ⅰ 「仮に、Aさんの相続に係る遺留分を算定するための財産の価額を3億円とした場合、二女Dさんの遺留分の金額は、( ① )万円になります。Aさんの相続が開始し、長女Cさんが賃貸ビルなど相続財産の大部分を取得した場合、二女Dさんの遺留分を侵害する可能性があります。遺留分が侵害された場合、二女Dさんは、Aさんの相続の開始を知った時から( ② )年以内に遺留分侵害額請求権を行使することができます」 Ⅱ 「相続税の申告期限までに遺産分割協議が調わなかった場合、相続税の申告時において、未分割の財産に対して『配偶者に対する相続税額の軽減』や『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることができないというデメリットが生じます。その場合、相続税の申告の際に『申告期限後( ③ )年以内の分割見込書』を税務署に提出し、申告期限後( ③ )年以内に遺産分割協議が成立すれば、それらの特例の適用を受けるため、分割後4カ月以内に更正の請求を行うことができます」 Ⅲ 「遺産分割をめぐる争いを防ぐ手段として遺言書の作成をお勧めします。公正証書遺言は、証人( ④ )人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成します」 〈数値群〉 イ.1 ロ.2 ハ.3 ニ.4 ホ.5 ヘ.7 ト.10 チ.20 リ.3,750 ヌ.5,000 ル.7,500
- イ
- 1
- ロ
- 2
- ハ
- 3
- ニ
- 4
- ホ
- 5
- ヘ
- 7
- ト
- 10
- チ
- 20
- リ
- 3,750
- ヌ
- 5,000
- ル
- 7,500
解答・解説を表示
解答
① リ ② イ ③ ハ ④ ロ
解説
遺留分は一定の法定相続人に最低限保障された相続割合であり、侵害された場合は侵害額請求を行えます。また、相続税の各種特例適用には遺産分割が必要であり、未分割申告時の手続きや公正証書遺言の要件など手続きの正確な規定を押さえることが重要です。
解き方
- 法定相続人と法定相続分(配偶者1/2、子各1/4)を整理し、全体の遺留分1/2を乗じて二女Dさんの遺留分額(3億円×1/8)を算出する。
- 遺留分侵害額請求の消滅時効期間(知った時から1年)を確認する。
- 未分割遺産に対する税法上の救済手続きである分割見込書の期限(申告期限後3年)を確認する。
- 民法が定める公正証書遺言の成立要件である立会人の人数(証人2人以上)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:リ
- 相続人が配偶者と子の場合、全体の遺留分割合は財産の2分の1です。法定相続分は配偶者2分の1、長女4分の1、二女4分の1となるため、二女Dさんの遺留分割合は「1/2 × 1/4 = 1/8」となります。算定財産3億円に対する遺留分額は、30,000万円 × 1/8 = 3,750万円(記号「リ」)です。
- 小問 ②:イ
- 遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時」から1年間行使しないときは時効により消滅します。よって空欄には「1」(記号「イ」)が入ります。
- 小問 ③:ハ
- 未分割のまま申告する際に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておけば、申告期限後3年以内に分割された場合に、特例を適用して4カ月以内に更正の請求を行うことができます。よって空欄には「3」(記号「ハ」)が入ります。
- 小問 ④:ロ
- 公正証書遺言の作成には、証人2人以上の立会いが必要です。遺言者が口述し、公証人が筆記して内容を読み聞かせ、遺言者と証人が承認して署名・押印します。よって空欄には「2」(記号「ロ」)が入ります。
覚えるポイント
- 配偶者と子が相続人の場合、総遺留分は財産の1/2、各人の遺留分は「総遺留分×法定相続分」。
- 遺留分侵害額請求の期間制限は、相続開始および侵害を知った時から1年、または相続開始の時から10年。
- 申告期限後3年以内の分割見込書を提出することで、後日分割成立時に配偶者軽減や小規模宅地特例の更正請求(分割後4カ月以内)が可能となる。
間違えやすいところ
- 遺留分の計算で、法定相続分の割合(1/4)をそのまま乗じて7,500万円としてしまうミス。
- 遺留分侵害額請求権の消滅時効(知った時から1年)と客観的除斥期間(相続開始時から10年)を取り違えるミス。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の民法および相続税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地特例の限度面積・生命保険非課税限度額・代償資金準備
相続・事業承継 · 小規模宅地等の特例 / 生命保険金の非課税限度額 / 生命保険を活用した代償分割資金の準備
Aさんの相続等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「妻Bさんが自宅の敷地および建物を相続により取得した場合、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることで、自宅の敷地(相続税評価額7,000万円)について、相続税の課税価格に算入すべき価額を1,400万円とすることができます」 ② 「妻Bさんが受け取る死亡保険金(2,000万円)は、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることで、相続税の課税価格に算入される金額は、500万円となります」 ③ 「長女Cさんが、二女Dさんに対する代償交付金を準備する方法として、契約者および死亡保険金受取人を長女Cさん、被保険者をAさんとする終身保険に加入し、長女Cさんが負担する保険料相当額の現金をAさんが贈与することも検討事項の1つです」
- ○
- 適切な記述
- ×
- 不適切な記述
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
特定居住用宅地等の小規模宅地特例には面積制限(330㎡)があり全面積に適用できない点、生命保険金の非課税限度額は全法定相続人ベースで算定される点、生命保険を活用した代償資金の準備方法の仕組みを正しく把握することが必要です。
解き方
- 記述①:自宅敷地の面積(400㎡)と特定居住用宅地等の限度面積(330㎡)を比較し、全体を80%減額できるか判定する。
- 記述②:法定相続人の数(3人)から生命保険金の非課税限度額(1,500万円)を計算し、課税価格に算入される金額(2,000万円-1,500万円=500万円)を確認する。
- 記述③:契約者=受取人=長女C、被保険者=Aとする生命保険契約と保険料の生前贈与による代償分割資金の準備手法の有効性を判断する。
- 選択肢 ○正解
- 記述②および記述③は法令および実務対策の観点から完全に正しい内容です。
- 選択肢 ×正解
- 記述①は特定居住用宅地等の限度面積(330㎡)を無視して敷地全体(400㎡)に80%減額を適用しているため不適切です。
答えの内訳
- ①:×
- 自宅敷地(400㎡)について特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例を適用する場合、減額対象となる限度面積は330㎡までです。400㎡全体について80%減額を適用することはできないため、「課税価格に算入すべき価額を1,400万円(7,000万円×20%)とすることができる」とする記述は不適切です。
- ②:○
- 生命保険金の非課税限度額は「500万円 × 法定相続人の数」で計算されます。本問の法定相続人は妻Bさん、長女Cさん、二女Dさんの3人であるため、非課税限度額は「500万円 × 3人 = 1,500万円」です。妻Bさんが受け取る死亡保険金2,000万円から非課税限度額1,500万円を控除した500万円が課税価格に算入されるため、本記述は適切です。
- ③:○
- 長女Cさんが契約者・受取人、被保険者をAさんとする保険に加入すれば、Aさん死亡時に長女Cさんは一時所得として死亡保険金を受け取ることができ、これを二女Dさんへの代償交付金の原資に充てることができます。その保険料をAさんからの暦年贈与等で賄う手法は実務上も有効な対策であり、記述は適切です。
覚えるポイント
- 特定居住用宅地等の限度面積は330㎡、減額割合は80%(敷地が限度面積を超える場合は按分計算が必要)。
- 生命保険金の非課税限度額は「500万円 × 法定相続人の数(相続放棄があっても放棄がなかったものとした人数)」。
- 代償分割資金の準備として、後継者が契約者・受取人となり被相続人を被保険者とする生命保険への加入が有効。
間違えやすいところ
- 自宅敷地の面積が330㎡を超えているにもかかわらず、評価額全体に80%減額をかけてしまうミス。
- 死亡保険金の非課税限度額計算で、受取人の人数だけで掛けてしまったり、法定相続人の人数を誤認したりするミス。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の相続税法および租税特別措置法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額 / 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額
Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額の試算について、次の条件に基づき、表中の空欄①〜③に入る最も適切な数値を求めなさい(単位:万円)。 <条件> ・相続税の課税価格の合計額:3億円(30,000万円) ・推定相続人:妻Bさん、長女Cさん、二女Dさんの合計3人 ・表の計算項目: (b)遺産に係る基礎控除額:①万円 相続税の総額の基となる税額(長女Cさん):②万円 (c)相続税の総額:③万円
解答・解説を表示
解答
① 4,800(万円) ② 1,190(万円) ③ 5,720(万円)
解説
相続税の総額の計算では、実際の遺産分割割合にかかわらず、課税遺産総額を各法定相続人が民法上の法定相続分に応じて按分取得したものと仮定して各人の税額を算定し、それらを合算して総額を算出します。
解き方
- 法定相続人の数(3人)を確認し、遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×3人=4,800万円)を求めて空欄①を算出します。
- 課税価格の合計額(3億円)から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額(2億5,200万円)を計算します。
- 各法定相続人(妻1/2、長女1/4、二女1/4)の法定相続分に応ずる取得金額を算出し、速算表を適用して各人の税額(妻3,340万円、長女1,190万円、二女1,190万円)を求めます。これにより空欄②が求まります。
- 求めた各人の税額をすべて合算して、相続税の総額(5,720万円)となる空欄③を算出します。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出します。法定相続人は妻Bさん、長女Cさん、二女Dさんの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:1,190
- 課税遺産総額は30,000万円-4,800万円=25,200万円です。長女Cさんの法定相続分は4分の1なので、法定相続分に応ずる取得金額は25,200万円×1/4=6,300万円となります。速算表より「6,300万円×30%-700万円=1,190万円」と求められます。
- ③:5,720
- 相続税の総額の基となる各人の税額を合計します。妻Bさん(法定相続分1/2:取得金額12,600万円)は12,600万円×40%-1,700万円=3,340万円、二女Dさん(法定相続分1/4:取得金額6,300万円)は1,190万円です。これらを合計して、3,340万円+1,190万円+1,190万円=5,720万円となります。
覚えるポイント
- 遺産に係る基礎控除額の算式「3,000万円+600万円×法定相続人の数」
- 配偶者と子が相続人の場合の法定相続分(配偶者1/2、子全員で1/2)
間違えやすいところ
- 基礎控除前の課税価格合計額に直接法定相続分や税率を掛けてしまうミス
- 実際の遺産分割割合と法定相続分を混同して総額計算を行ってしまうミス
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2022年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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