日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
国民年金の種別変更・保険料免除および追納制度
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金の届出 / 保険料免除制度 / 保険料の追納
会社員を退職して個人事業主となるAさんに対する国民年金の手続きおよび保険料免除制度に関する次の説明文の空欄①~③に入る最も適切な語句を〈語句群〉から選びなさい。 Ⅰ「Aさんは、X社を退職後、国民年金に第1号被保険者として加入することになります。国民年金法によると、国民年金に加入するには、厚生年金保険の被保険者資格を喪失した日から、原則として14日以内に住所地の( ① )にその旨を届け出なければなりません」 Ⅱ「Aさんは、個人事業主となった後、収入の減少等により国民年金の保険料を納めることが経済的に難しくなった場合、保険料の免除を申請することができます。免除された期間の保険料は追納することができますが、追納ができるのは、追納が承認された月の前( ② )以内の免除期間の保険料です。なお、追納がない場合、その保険料免除期間は、所定の割合で老齢基礎年金の年金額に反映されます。仮に、Aさんが、保険料の4分の3免除を受け、残り4分の1の保険料を納付し、その期間に係る保険料の追納を行わなかった場合、その保険料免除期間の月数の( ③ )に相当する月数が、老齢基礎年金の年金額に反映されます」
- イ
- 年金事務所長
- ロ
- 都道府県知事
- ハ
- 市町村長(特別区の区長を含む)
- ニ
- 5年
- ホ
- 7年
- ヘ
- 10年
- ト
- 4分の1
- チ
- 2分の1
- リ
- 8分の5
- ヌ
- 4分の3
解答・解説を表示
解答
① ハ、② ヘ、③ リ
解説
国民年金の第1号被保険者への種別変更手続きは住所地の市町村窓口で行います。免除された保険料は10年以内であれば追納可能であり、追納しない場合でも国庫負担割合(平成21年4月以降は2分の1)に応じた一定割合が老齢基礎年金額に算入されます。
解き方
- 第2号から第1号への被保険者種別変更の届出先が住所地の市町村長であることを確認する。
- 国民年金保険料の免除期間に係る追納可能期間が原則「10年以内」であることを特定する。
- 2009年4月以後の4分の3免除(4分の1納付)期間における年金額反映割合(8分の5)を算出して選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 第2号被保険者から第1号被保険者への種別変更の届出先は、資格喪失日から原則14日以内に住所地の市町村長(特別区の区長を含む)となります。
- 小問 ②:ヘ
- 免除や猶予を受けた国民年金保険料の追納は、厚生労働大臣の承認を受けた日の前10年以内の免除期間の保険料について行うことができます。
- 小問 ③:リ
- 2009年4月以降の保険料免除期間について、4分の3免除期間(残り4分の1納付)は、国庫負担2分の1(4/8)に納付分(1/4×1/2=1/8)が加算され、8分の5が年金額に反映されます。
覚えるポイント
- 第1号被保険者の資格取得・種別変更の届出期限は事実発生から14日以内。
- 国民年金保険料の追納可能期間は過去10年以内(3年目以降は加算額あり)。
- 平成21年4月以降の年金額反映割合:全額免除は4/8、3/4免除は5/8、半額免除は6/8(3/4)、1/4免除は7/8。
間違えやすいところ
- 届出先を年金事務所と混同しやすい点に注意(第1号被保険者の届出窓口は市区町村役場)。
- 免除割合と年金額反映割合を逆にしてしまい、4分の3免除で年金額が4分の3になると誤認しないこと。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢厚生年金の年金額の計算および加給年金額の加算判定
ライフプランニングと資金計画 · 老齢厚生年金 / 報酬比例部分 / 経過的加算 / 加給年金額
Aさん(1973年3月28日生)が2022年5月末日付で退職し個人事業主となった場合に、原則として65歳から受給できる老齢厚生年金の年金額(2021年度価額)について、〈計算の手順〉の空欄①、③に入る適切な数値、および空欄②に入る語句(される/されない)を求めなさい。 <Aさんの厚生年金被保険者期間> ・2003年3月以前:120月(平均標準報酬月額28万円) ・2003年4月以後:230月(平均標準報酬額42万円) <家族状況> ・妻Bさん(1976年10月10日生、厚生年金156月、現在第3号被保険者、生計維持関係あり) 〈計算の手順〉 1.報酬比例部分の額(円未満四捨五入):( ① )円 2.経過的加算額(円未満四捨五入):□□□円 3.基本年金額(上記「1+2」の額):□□□円 4.加給年金額:Aさんの場合、加給年金額は加算( ② )。 5.老齢厚生年金の年金額:( ③ )円
解答・解説を表示
解答
① 768,865、② される、③ 1,159,759
解説
老齢厚生年金は、報酬比例部分と経過的加算からなる基本年金額に、被保険者期間が20年以上ある受給権者が65歳到達時点で生計を維持する65歳未満の配偶者等がいる場合に加給年金額が加算されます。
解き方
- 2003年3月以前と4月以後に分けて報酬比例部分を算出し、合算して円未満を四捨五入する(空欄①)。
- 厚生年金の被保険者期間が20年(240月)以上あり、かつ65歳到達時に生計を維持する65歳未満の配偶者がいるかを確認して加給年金の加算可否を判定する(空欄②)。
- 経過的加算額を計算して基本年金額を求め、加給年金額(390,500円)を加算して老齢厚生年金の年金額を算出する(空欄③)。
小問ごとの答え
- 小問 ①:768,865(円)
- 報酬比例部分の額は、2003年3月以前分:280,000円×(7.125/1,000)×120月=239,400円、2003年4月以後分:420,000円×(5.481/1,000)×230月=529,464.6円。合計すると239,400円+529,464.6円=768,864.6円となり、円未満四捨五入で768,865円となります。
- 小問 ②:される
- Aさんの厚生年金被保険者期間は120月+230月=350月(20年以上)あり、Aさんが65歳到達時(2038年3月)に、生計を維持している65歳未満の配偶者(妻Bさんは当時61歳)がいるため、加給年金額が加算されます。
- 小問 ③:1,159,759(円)
- 経過的加算額は、1,628円×350月-780,900円×(350月/480月)=569,800円-569,406.25円=393.75円→四捨五入して394円。基本年金額は768,865円+394円=769,259円。加給年金額390,500円が加算されるため、老齢厚生年金の総額は769,259円+390,500円=1,159,759円となります。
覚えるポイント
- 加給年金の支給要件:厚生年金保険の被保険者期間が原則20年(240月)以上あること。
- 加給年金の対象配偶者:受給権者が65歳到達時に生計を維持している65歳未満の配偶者であること。
- 報酬比例部分の計算式:2003年3月以前(乗率7.125/1000)と2003年4月以後(乗率5.481/1000)で乗率と対象月数が異なる。
間違えやすいところ
- 報酬比例部分の端数処理を各期間ごとに行わず、合計した後に円未満四捨五入すること。
- 配偶者の年齢要件について、本人が65歳到達した時点での配偶者の年齢(65歳未満か)を確認し忘れること。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
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個人事業主の老後資金準備(付加保険料・小規模企業共済・国民年金基金)
ライフプランニングと資金計画 · 付加保険料 / 小規模企業共済 / 国民年金基金
会社を退職して個人事業主となる予定のAさんに対し、ファイナンシャル・プランナーのMさんがアドバイスした老後資金の準備に関する以下の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 国民年金の定額保険料のほかに月額400円の付加保険料を納付する場合、仮に100月納付して65歳から受給するときの付加年金額は年額20,000円となる。 ② 小規模企業共済制度の掛金は月額1,000円から7万円までの範囲内(500円単位)で選択可能であり、その全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象となる。 ③ 国民年金基金の加入は口数制であり、49歳の加入者の場合、1口目は20年保証の終身年金A型と保証なし終身年金B型の2種類から選択し、2口目以降は2種類の終身年金と5種類の確定年金から選択できる。 ④ 国民年金基金に加入した場合、付加保険料は納付できないが小規模企業共済には加入できる。国民年金基金の掛金限度額は月額68,000円だが、小規模企業共済と合算して月額68,000円が上限となる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ × ④ ×
解説
第1号被保険者が利用できる老後資金準備制度(付加年金・国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済)には、重複加入の可否や掛金限度額の合算枠に関する厳密なルールが定められています。
解き方
- 付加年金の計算式(200円×納付月数)および納付額(月額400円)を確認し、受給年金額を計算する。
- 小規模企業共済制度の掛金限度額(1,000円~7万円)と所得控除の取扱いを確認する。
- 国民年金基金の給付設計において、年齢に応じた選択肢(確定年金の選択制限等)および1口目・2口目以降のルールを確認する。
- 国民年金基金と付加年金(併用不可)、国民年金基金とiDeCo(合算枠6.8万円)、国民年金基金と小規模企業共済(別枠・併用可)の関係を正しく判別する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 付加年金の年金額は「200円×付加保険料納付月数」で算出されるため、100月納付した場合は200円×100月=20,000円(年額)となり記述は正しいです。
- 小問 ②:○
- 小規模企業共済の掛金月額は1,000円から7万円までの範囲内(500円単位)で設定でき、支払った掛金全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除されます。
- 小問 ③:×
- 国民年金基金の確定年金(Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型・Ⅳ型・Ⅴ型)のうち、加入資格が50歳未満に限定されているもの(60歳満了の確定年金等)や受給終了年齢の要件があるため、加入時の年齢によって選択できる型が限られます。49歳で加入する場合、選択できない確定年金型があるため「5種類の確定年金から選択できる」とする記述は誤りです。
- 小問 ④:×
- 国民年金基金の掛金限度額(月額68,000円)は個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金と合算して管理されますが、小規模企業共済の掛金(月額最大7万円)とは合算枠ではなく別枠で全額を拠出・控除できます。
覚えるポイント
- 付加年金の年金額=200円×納付月数(2年受給で元が取れる)
- 国民年金基金と付加保険料は併用不可
- 国民年金基金とiDeCoの掛金は合算して月額6.8万円まで
- 小規模企業共済の掛金(上限月7万円)は国民年金基金とは完全に別枠
間違えやすいところ
- 国民年金基金と合算枠になる制度を小規模企業共済と混同しやすい(実際はiDeCoと合算)
- 付加年金の受給額の計算で「納付月数×400円」と誤認しやすい(受給額は200円×月数)
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
日本の証券市場の構造と取引制度・開示規則
金融資産運用 · 金融商品取引所 / 市場区分再編 / 取引時間 / 適時開示・決算短信
日本の証券市場の全体像とその動向等に関する以下の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 国内で株式の現物取引を行う金融商品取引所は東京・新潟・名古屋・福岡の4つである。かつて大阪証券取引所が存在したが経営統合後に先物市場に特化し大阪取引所となった。 ② 東京証券取引所では2022年4月から市場第一部・第二部・マザーズ・ジャスダックの4区分が「プレミア」「メイン」「ネクスト」の3市場に再編された。 ③ 東京証券取引所の立会内取引時間は前場(9時~11時)と後場(12時30分~15時)であるが、2024年をめどに後場の立会時間が30分延長される予定である。 ④ 上場企業が公表する決算短信は重要な判断材料であり、東京証券取引所規則では、事業年度や四半期累計期間の決算内容が定まった場合、直ちにその内容を開示しなければならないと定められている。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ × ④ ○
解説
日本の金融商品取引所における取引所の所在(東証・名証・福証・札証)、東証の市場再編区分(プライム・スタンダード・グロース)、立会時間、および適時開示義務(決算短信等の直ちの開示)は証券市場の基本ルールです。
解き方
- 国内の現存する4つの金融商品取引所(東京・名古屋・福岡・札幌)を確認し、新潟証券取引所の廃止を踏まえて正誤を判断する。
- 2022年4月に実施された東証の新市場区分(プライム・スタンダード・グロース)を確認する。
- 東証の現行立会内取引時間(前場9:00~11:30、後場12:30~15:00)を確認する。
- 上場企業における決算内容の適時開示(直ちに開示する義務)に関する取引所規則を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 国内で株式の現物取引を行っている金融商品取引所は、東京、名古屋、福岡、札幌の4取引所です。新潟証券取引所は2000年に東京証券取引所に吸収合併されて廃止されているため誤りです。
- 小問 ②:×
- 2022年4月からの東京証券取引所の新市場区分は「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3市場であり、「プレミア」「メイン」「ネクスト」ではないため誤りです。
- 小問 ③:×
- 東京証券取引所の取引時間(前場)は9時から11時30分までです(後場は12時30分から15時)。前場の終了時刻を「11時まで」としている点が誤りです。
- 小問 ④:○
- 東京証券取引所の有価証券上場規程等において、上場会社は事業年度または四半期累計期間に係る決算の内容が定まったときは、直ちにその内容を開示(適時開示)しなければならないと定められています。
覚えるポイント
- 現存する現物証券取引所は東京・名古屋・福岡・札幌の4カ所
- 2022年4月導入の新市場区分は「プライム」「スタンダード」「グロース」
- 前場は9:00~11:30、後場は12:30~15:00(2024年11月以降は15:30まで延長)
間違えやすいところ
- 前場の終了時刻を11時00分と勘違いしやすい(正しくは11時30分)
- 新市場区分の名称(プライム・スタンダード・グロース)を英語の類語と混同しやすい
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
財務比率の計算(ROE・配当性向)
金融資産運用 · ROE(自己資本利益率) / 配当性向 / 財務分析
X社の<関連情報>および<財務データ>に基づき、57期における①ROE(自己資本は56期と57期の平均を使用)および②配当性向を計算しなさい。計算結果は%表示とし、小数点以下第3位を四捨五入して小数点以下第2位まで求めなさい。 <財務データ(単位:百万円)> ・56期:純資産の部合計 125,000、当期純利益 9,000、配当金総額 2,500 ・57期:純資産の部合計 135,000、当期純利益 9,500、配当金総額 2,700 ※純資産の金額と自己資本の金額は同額とする。
解答・解説を表示
解答
① 7.31%、② 28.42%
解説
ROE(自己資本利益率)は株主が出資した自己資本を使って企業がどれだけ効率的に利益を上げたかを示す指標です。期中の自己資本に増減がある場合は前期末と当期末の平均値を用います。配当性向は当期純利益のうちどれだけを配当金として株主に還元したかを示す指標です。
解き方
- ROEの計算に必要な56期と57期の平均自己資本(純資産)を(125,000+135,000)÷2により算出する。
- 57期の当期純利益9,500百万円を平均自己資本130,000百万円で除し、100を掛けて四捨五入しROEを求める。
- 57期の配当金総額2,700百万円を当期純利益9,500百万円で除し、100を掛けて四捨五入し配当性向を求める。
答えの内訳
- ①:7.31(%)
- ROE(自己資本利益率)は「当期純利益÷自己資本×100」で算出します。設例の指示に基づき期中平均自己資本を用いると、(125,000百万円+135,000百万円)÷2=130,000百万円となります。したがって、57期のROEは 9,500百万円÷130,000百万円×100=7.3076…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して「7.31%」となります。
- ②:28.42(%)
- 配当性向は「配当金総額÷当期純利益×100」で算出します。57期の数値を用いて計算すると、2,700百万円÷9,500百万円×100=28.4210…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して「28.42%」となります。
覚えるポイント
- ROE=当期純利益÷自己資本×100(期中平均を用いる指示に注意)
- 配当性向=配当金総額÷当期純利益×100=1株当たり配当金÷EPS×100
間違えやすいところ
- ROEの分母に当期末の自己資本のみを使ってしまい、問題文の「平均を用いる」という指示を見落とすミス。
- 配当性向の計算で、分母に売上高や営業利益などを誤って設定してしまうミス。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
つみたてNISAの制度概要と留意点
金融資産運用 · つみたてNISA / 非課税投資枠 / 投資対象商品 / 累積投資契約
つみたてNISAに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① つみたてNISAの年間の非課税投資枠は40万円である。ただし、2024年からはその上限額が42万円に拡大される。 ② つみたてNISA勘定に受け入れることができる商品は、所定の要件を満たす公募株式投資信託と上場投資信託(ETF)に限られている。したがって、Aさんが投資を検討しているX社株式をつみたてNISA勘定に受け入れることはできない。 ③ つみたてNISAを利用した買付けは、累積投資契約に基づく定期かつ継続的な買付けを行う方法に限られている。また、買い付けた年に使い切れなかった非課税投資枠をその翌年以降に繰り越すことはできない。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ○
解説
つみたてNISA(少額投資非課税制度)は、長期・積立・分散投資を支援するための制度です。年間40万円までの非課税投資枠があり、対象商品は手数料が低水準など法令の要件を満たす公募株式投資信託およびETFに限られ、個別株式の一括買付けなどは認められていません。
解き方
- 記述①について、年間非課税投資枠の上限(40万円)および2024年以降の改正内容(42万円拡大ではない)を確認して正誤を判定する。
- 記述②について、つみたてNISAの対象資産(公募投信・ETF限定、上場株式不可)を確認して正誤を判定する。
- 記述③について、買付方法が定期・継続的な積立契約に限られる点、および未使用枠の翌年繰越が不可である点を確認して正誤を判定する。
答えの内訳
- ①:×
- つみたてNISAの年間非課税投資枠は40万円です。2024年以降の上限額が42万円に拡大されるという制度規定はありません(2024年からの新制度では年間120万円のつみたて投資枠が設けられています)。したがって本記述は不適切です。
- ②:○
- つみたてNISAの対象商品は、長期・積立・分散投資に適した一定の要件を満たす公募株式投資信託および上場投資信託(ETF)に限定されています。個別の上場株式は対象外であるため、X社株式を受け入れることはできません。したがって本記述は適切です。
- ③:○
- つみたてNISAにおける買付け方法は、累積投資契約に基づく定期かつ継続的な買付け(積立買付け)に限定されています。また、年間非課税投資枠の未使用分を翌年以降に繰り越して利用することはできません。したがって本記述は適切です。
覚えるポイント
- つみたてNISAの対象商品は所定の要件を満たす公募株式投資信託とETFのみで、上場株式は対象外。
- つみたてNISAの買付けは積立方式のみで、スポット購入や非課税枠の翌年繰越しは不可。
間違えやすいところ
- 一般NISA(上場株式や公募投信が幅広く対象、一括購入可能)とつみたてNISAの対象商品や買付方法を混同してしまうミス。
- 未使用の非課税投資枠が翌年へロールオーバー(繰越し)できると誤解するミス。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産所得の損益通算・公的年金等控除・青色申告の承認申請手続
タックスプランニング · 不動産所得の損益通算の特例 / 公的年金等控除 / 青色申告承認申請
会社員Aさん(62歳)の2021年分の所得税の課税に関する記述①~③について、それぞれ適切・不適切を判定しなさい。 ① 不動産所得の計算上生じた損失のうち、土地等の取得に係る負債の利子10万円に相当する部分は、他の所得と損益通算できない。 ② Aさんの公的年金等の収入金額が60万円以下であるため、公的年金等に係る雑所得の金額は算出されない。 ③ 確定申告時に納税地の所轄税務署長へ青色申告承認申請書を提出すれば、2021年分から純損失の繰越控除や青色申告特別控除の適用を受けられる。
- ①
- 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、土地等の取得に係る負債の利子10万円に相当する部分の金額は、他の所得の金額と損益通算することはできません
- ②
- Aさんの場合、公的年金等の収入金額が60万円以下であるため、公的年金等に係る雑所得の金額は算出されません
- ③
- Aさんが所得税の確定申告をするときに、納税地の所轄税務署長に所得税の青色申告承認申請書を提出すれば、2021年分の所得金額から、純損失の繰越控除や青色申告特別控除の適用を受けることができます
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
所得税において不動産所得の赤字のうち土地取得負債利子相当分は損益通算が認められず、雑所得の公的年金等控除は年齢に応じた最低額が設定されており、青色申告の承認申請には厳格な提出期限が定められています。
解き方
- 土地取得負債利子部分の損失は他の各種所得との損益通算が制限される特例を確認します。
- 受給者の年齢(62歳=65歳未満)に応じた公的年金等控除額の最低保障額(60万円)と収入金額を比較します。
- 青色申告承認申請書の原則的な提出期限(適用を受けようとする年の3月15日まで)を確認します。
- 選択肢 ①正解
- 不動産所得の計算上生じた赤字のうち、土地等を取得するために要した負債の利子部分は損益通算の対象外となるため正しい記述です。
- 選択肢 ②正解
- 65歳未満の者の公的年金等控除額の最低額は60万円であるため、公的年金等の収入金額が40万円であるAさんは雑所得の金額が算出されず正しい記述です。
- 選択肢 ③不正解
- 青色申告の承認申請手続は原則としてその年の3月15日までに提出が必要であり、確定申告書提出時の申請ではその年の適用を受けられないため誤りです。
答えの内訳
- ①:○
- 租税特別措置法により、不動産所得の損失のうち土地等の取得に要した負債の利子に相当する部分は損益通算の対象から除外されるため適切です。
- ②:○
- 65歳未満で公的年金等の収入金額が60万円以下の場合は公的年金等控除額(60万円)を下回るため、公的年金等に係る雑所得の金額は0円となり生じません。
- ③:×
- その年分から青色申告の適用を受けるには原則としてその年の3月15日までに承認申請書を提出する必要があり、確定申告時の提出では当年の適用は受けられません。
覚えるポイント
- 不動産所得の土地取得に係る借入金利子は損益通算の対象外となる点
- 公的年金等控除の最低額は65歳未満で60万円、65歳以上で110万円である点
- 青色申告承認申請書の提出期限は原則として適用を受けようとする年の3月15日までである点
間違えやすいところ
- 建物取得のための負債利子まで損益通算対象外と誤認してしまうミス
- 確定申告書と一緒に青色申告承認申請書を提出すればその申告年分から青色申告できると誤解するミス
出題の前提:2021年10月1日現在施行の所得税法および租税特別措置法
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雑所得の金額および損益通算後の総所得金額の計算
タックスプランニング · 雑所得の計算 / 不動産所得の損益通算 / 総所得金額の計算
設例のAさん(62歳)の2021年分の収入等に関する資料に基づき、次の①・②の数値をそれぞれ求めなさい(計算過程は不要、単位:万円)。 ① 総所得金額に算入される雑所得の金額 ② 総所得金額 【資料抜粋】 ・給与所得の金額:223万円 ・不動産所得の金額:▲120万円(損失額のうち土地取得負債利子10万円を含む) ・確定拠出年金の老齢給付年金額:40万円 ・個人年金保険契約に基づく年金収入:100万円(必要経費70万円)
解答・解説を表示
解答
① 30(万円) ② 143(万円)
解説
総所得金額の算出にあたっては、各所得金額を計算した上で損益通算を行います。公的年金等は控除額を差し引いて計算し、個人年金保険は必要経費を控除します。また、不動産所得の赤字から土地取得負債利子を除いた額のみを通算できます。
解き方
- 雑所得を「公的年金等」と「その他(私的年金)」に区分してそれぞれ算定し、合計額を求めます。
- 不動産所得の損失120万円から、損益通算対象外となる土地取得負債利子10万円を除外し、通算可能な損失額(110万円)を求めます。
- 給与所得223万円と雑所得30万円の合計から通算可能損失110万円を差し引き、総所得金額を算出します。
答えの内訳
- ①:30(万円)
- 公的年金等に係る雑所得は収入40万円-控除60万円=0円。業務・その他雑所得は個人年金収入100万円-必要経費70万円=30万円。合計で雑所得は30万円となります。
- ②:143(万円)
- 損益通算できる不動産所得の損失は▲120万円+10万円=▲110万円。給与所得223万円+雑所得30万円-不動産損失110万円=143万円となります。
覚えるポイント
- 個人年金保険の年金収入は「収入金額-必要経費」でその他雑所得を計算する点
- 不動産所得の赤字から土地取得分の借入金利子を引いてから損益通算を行う点
間違えやすいところ
- 公的年金等控除を差し引いた結果のマイナスを他の雑所得と相殺してしまうミス(公的年金等の雑所得は最低0円)
- 不動産所得の損失120万円全額をそのまま給与所得等から通算控除してしまうミス
出題の前提:2021年10月1日現在施行の所得税法および租税特別措置法
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
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所得税の所得控除(配偶者控除・扶養控除・医療費控除の特例)
タックスプランニング · 配偶者控除 / 扶養控除 / セルフメディケーション税制
設例の家族構成および収入状況に基づき、Aさんの2021年分の所得税における所得控除に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。 ① 「妻Bさんの合計所得金額は48万円以下であるため、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます」 ② 「長男Cさんの合計所得金額は48万円以下であるため、Aさんは、長男Cさんに係る扶養控除の適用を受けることができ、その控除額は38万円です」 ③ 「Aさんがセルフメディケーション税制の適用を受けるためには、Aさん自身に加え、生計を一にする妻Bさんおよび長男Cさんが定期健康診断や予防接種などの一定の取組みを行っている必要があります」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
所得控除における同一生計配偶者や扶養親族の判定要件は合計所得金額48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)です。また、セルフメディケーション税制で健康診断等の取組が求められるのは申告者本人のみです。
解き方
- 妻Bさんの給与所得および公的年金等に係る雑所得を計算し、合計所得金額が48万円以下であるかを確認して配偶者控除の適用可否を判定する。
- 長男Cさんの給与所得を計算して合計所得要件(48万円以下)を満たすことを確認し、年齢(28歳)から一般の控除対象扶養親族の控除額(38万円)を導く。
- セルフメディケーション税制において一定の取組み(健康診査・予防接種等)が求められる対象者が申告者本人に限られることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 妻Bさんの給与所得は45万円(給与収入100万円-給与所得控除55万円)、特別支給の老齢厚生年金35万円は65歳未満の公的年金等控除額(60万円)以下のため雑所得は0円となり、合計所得金額は45万円(48万円以下)です。控除を受けるAさんの合計所得金額も1,000万円以下であるため、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます。
- 小問 ②:○
- 長男Cさん(28歳)の給与所得は45万円(給与収入100万円-給与所得控除55万円)で合計所得金額が48万円以下であり、生計を一にする親族であるため控除対象扶養親族に該当します。長男Cさんは特定扶養親族(19歳以上23歳未満)や老人扶養親族(70歳以上)に該当しない一般の控除対象扶養親族(16歳以上)であるため、扶養控除額は38万円となります。
- 小問 ③:×
- セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の適用を受けるためには、控除の適用を受ける納税者本人が健康の保持増進及び疾病の予防への取組(定期健康診断や予防接種など)を行っていればよく、生計を一にする配偶者やその他の親族までがその取組みを行っている必要はありません。
覚えるポイント
- 配偶者控除および扶養控除の合計所得金額要件は48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)。
- セルフメディケーション税制で一定の取組(健診・予防接種等)が義務付けられているのは申告者本人のみ。
間違えやすいところ
- 生計を一にする家族の購入分を合算して申告する場合でも、家族全員が健康診断等を受診している必要はない点を見落としやすい。
- 65歳未満の公的年金等控除額の最低額(60万円)を忘れ、年金収入全額を所得に算入してしまうミスに注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の税法・法令基準
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
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建築基準法に基づく建築面積および延べ面積の最高限度の計算
不動産 · 建蔽率の緩和 / 容積率の制限 / 前面道路幅員制限
甲土地(敷地面積650㎡、用途地域:第一種住居地域、指定建蔽率:60%、指定容積率:300%、防火規制:準防火地域、特定行政庁が指定する角地、幅員8mおよび7mの公道に接道)に耐火建築物を建築する場合における、次の①、②を求めなさい。 ① 建蔽率の上限となる建築面積 ② 容積率の上限となる延べ面積
解答・解説を表示
解答
① 520(㎡) ② 1,950(㎡)
解説
建築基準法において、準防火地域内の耐火建築物および特定行政庁指定の角地はそれぞれ建蔽率が10%緩和されます。容積率は指定容積率と前面道路幅員による制限値(2面以上の接道時は最大幅員を採用)のいずれか小さい方が適用されます。
解き方
- 建蔽率の緩和条件(準防火地域の耐火建築物で+10%、特定行政庁指定角地で+10%)を合算し、敷地面積に乗じて建築面積の上限を算出する。
- 接する2つの前面道路のうち広い方の幅員(8m)に住居系地域の法定乗数(4/10)を乗じて道路幅員制限容積率(320%)を算出する。
- 指定容積率(300%)と道路幅員制限(320%)のうち小さい方(300%)を適用容積率とし、敷地面積に乗じて延べ面積の上限を算出する。
答えの内訳
- ①:520(㎡)
- 甲土地は準防火地域内の耐火建築物であるため建蔽率が+10%、特定行政庁が指定する角地であるためさらに+10%緩和され、適用される建蔽率は60%+10%+10%=80%となります。したがって、建築面積の最高限度は650㎡×80%=520㎡です。
- ②:1,950(㎡)
- 甲土地は幅員8mと7mの道路に接しているため、広い方の幅員8mを用います。住居系地域における前面道路幅員制限は8m×(4/10)=320%となります。指定容積率(300%)と前面道路幅員による容積率(320%)を比較し、厳しい方である300%が適用容積率となります。したがって、延べ面積の最高限度は650㎡×300%=1,950㎡です。
覚えるポイント
- 準防火地域内の耐火建築物(または同等以上の延焼防止性能を有する建築物)は建蔽率+10%緩和。
- 特定行政庁指定の角地は建蔽率+10%緩和(両方該当する場合は+20%)。
- 前面道路が2つ以上ある場合は、最も広い幅員の道路を基準として容積率制限を計算する。
間違えやすいところ
- 準防火地域内耐火建築物の建蔽率緩和(+10%)を見落として角地緩和の+10%だけを加算してしまうミスが多い。
- 前面道路幅員の制限計算で、幅員7mを用いて計算したり、指定容積率300%と比較せず大きい方を採用してしまうミスに注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の建築基準法基準
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
賃貸マンション事業の法律関係と税務
不動産 · サブリース方式 / 貸家建付地の評価 / 相続税の債務控除
甲土地に自己建設方式で賃貸マンションを建設し、特定賃貸借(マスターリース)契約を締結する計画に関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。
- ①
- マスターリース契約(特定賃貸借契約)において、賃料が保証されている場合、その契約が定期借家契約でない限り、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律や借地借家法に基づき、AさんがX社から経済事情等により賃料の減額請求を受けることはありません。
- ②
- Aさんが甲土地に賃貸マンションを建設した場合、相続税額の計算上、甲土地は貸家建付地として評価されます。仮に、甲土地の自用地価額を1億円、借地権割合を60%、借家権割合を30%、賃貸割合を100%とした場合の相続税評価額は、8,200万円です。
- ③
- 仮に、Aさんが金融機関から融資を受けて賃貸マンションを建設した場合、相続税の課税価格の計算上、Aさんの相続開始時における当該借入金残高は、債務控除の対象となります。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
不動産の有効活用におけるサブリース契約では賃料改定リスクがある一方、貸家建付地評価による土地評価減や借入金による債務控除など、相続税の圧縮効果が得られます。
解き方
- マスターリース契約における借地借家法上の借賃減額請求権の適用関係を確認する。
- 貸家建付地の計算式「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」に数値を当てはめて算出する。
- 相続開始時における借入金残高が相続税法上の債務控除要件を満たすか判定する。
- 選択肢 ①不正解
- 借地借家法第32条の借賃増減請求権の規定は強行規定と解されており、賃料保証の定めがあっても借主(サブリース会社)からの減額請求は排除されません。
- 選択肢 ②正解
- 計算式「1億円×(1-0.60×0.30×1.00)=8,200万円」のとおり、自用地価額より1,800万円減額された評価額となります。
- 選択肢 ③正解
- 被相続人が賃貸マンション建築のために金融機関から借り入れた債務の残高は、確実な債務として相続税の課税価格から控除できます。
答えの内訳
- ①:×
- マスターリース契約で家賃保証を定めていても、借地借家法第32条の規定に基づく借賃減額請求権が認められるため、経済情勢の変動等により賃料減額請求を受ける可能性があります。
- ②:○
- 貸家建付地の相続税評価額は「自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で計算されるため、1億円×(1-60%×30%×100%)=8,200万円となり正しいです。
- ③:○
- 相続開始時点で現存し確実に履行しなければならない被相続人の債務(建築資金の借入金残高)は、相続税の課税価格の計算上、債務控除として遺産総額から差し引くことができます。
覚えるポイント
- サブリース(特定賃貸借)契約であっても借賃減額請求を受ける可能性がある
- 貸家建付地の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
間違えやすいところ
- 「賃料保証」という文言から減額請求が法的に不可能であると誤認しやすい
- 貸家建付地の評価式において借家権割合と借地権割合を足し算してしまうミス
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
賃貸不動産の事業計画とリスク管理
不動産 · レンタブル比 / 元金均等返済と利息計算 / 地震保険
賃貸マンションの事業計画とリスク対策に関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。
- ①
- 賃貸マンションの賃料収入を想定する際にはレンタブル比が重要です。一般に、賃貸マンションのグレードが高いほど、また規模が大きくなるほど、レンタブル比は低くなる傾向があり、レンタブル比が低いほど投資効率が高いことを示しています。
- ②
- 借入金の返済には、元金均等返済と元利均等返済の2つの方法があり、元金均等返済の場合、毎年の支払利息は同額になります。そのため、賃貸マンションの所有者は毎年、不動産所得の金額の計算上、一定額の支払利息を必要経費に算入することができます。
- ③
- 賃貸マンションの地震リスクに備えるため、火災保険に地震保険を付帯することをお勧めします。地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の60~80%の範囲で設定することができます。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ×
解説
賃貸不動産の収益効率はレンタブル比で測り、借入金利息は元金残高に応じて逓減するため経費算入額も年々変化します。また地震保険の付帯割合には法令上の上限枠が設定されています。
解き方
- レンタブル比の定義(有効賃貸面積/延床面積)と投資効率の正負関係を確認する。
- 元金均等返済における元金残高の推移と支払利息額の変動パターンを判定する。
- 地震保険の付帯条件(主契約火災保険金額に対する30%~50%の限度)を確認する。
- 選択肢 ①不正解
- レンタブル比が「高い」ほど賃貸可能な面積比率が大きくなり投資効率が高くなるため、「低いほど投資効率が高い」とする記述は誤りです。
- 選択肢 ②不正解
- 元金均等返済では返済が進むにつれて元金残高が減少し、支払利息も年々減少するため「毎年の支払利息は同額」という記述は誤りです。
- 選択肢 ③不正解
- 地震保険の契約金額は火災保険の「30%~50%」の範囲で定める必要があり、「60~80%」とする記述は誤りです。
答えの内訳
- ①:×
- レンタブル比は延べ床面積に対する賃貸可能面積の割合であり、レンタブル比が高いほど有効に収益を生み出す面積が多く投資効率が高くなります。
- ②:×
- 元金均等返済は毎期の返済元金が一定で借入残高が減少していくため、毎期の支払利息は年々減少します(利息が同額になることはありません)。
- ③:×
- 地震保険の保険金額は、主契約となる火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内(建物は最大5,000万円、家財は最大1,000万円)で設定します。
覚えるポイント
- レンタブル比が高いほど延床面積に対する収益面積の割合が大きく投資効率が高い
- 元金均等返済は元金が一定で利息・総返済額は逓減する
- 地震保険の保険金額は火災保険の30%~50%(建物上限5,000万円)
間違えやすいところ
- 元利均等返済(毎回の返済額が一定)と元金均等返済(毎回の元金部分が一定)の仕組みを取り違える
- 地震保険の付帯割合(30%~50%)を他の損害保険の割合と混同する
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
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準確定申告の期限・配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例
相続・事業承継 · 準確定申告 / 配偶者に対する相続税額の軽減 / 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
Aさんの相続等に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群(イ~ト)の中から選びなさい。 Ⅰ 「Aさんが2022年分の所得税および復興特別所得税について確定申告書を提出しなければならない場合に該当するとき、相続人は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ① )カ月以内に準確定申告書を提出しなければなりません」 Ⅱ 「配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けた場合、妻Bさんが相続により取得した財産の金額が、配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円とのいずれか( ② )金額を超えない限り、妻Bさんが納付すべき相続税額は算出されません」 Ⅲ 「仮に、妻Bさんが自宅の敷地および建物を相続により取得し、相続税の申告期限までに自宅の敷地を売却した場合、当該敷地は、特定居住用宅地等として小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けること( ③ )」 〈語句群〉 イ.3 ロ.4 ハ.10 ニ.少ない ホ.多い ヘ.ができます ト.ができません
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ホ ③ ヘ
解説
被相続人の死亡に伴う所得税の準確定申告の期限、配偶者に対する相続税額の軽減制度における非課税限度額の判定基準、および小規模宅地等の特例における配偶者の取得要件(保有継続要件の免除)に関する基本知識を正確に押さえることが重要です。
解き方
- 準確定申告の申告期限が「相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内」であることを確認して空欄①を特定します。
- 配偶者の税額軽減の非課税枠が「1億6,000万円」と「法定相続分相当額」のいずれか「多い」金額であることを確認して空欄②を特定します。
- 配偶者が取得する特定居住用宅地等には申告期限までの保有継続要件が不要であり、売却しても適用できることを判断して空欄③を特定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 所得税の準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に、納税地の所轄税務署長に対して行わなければなりません(所得税法第125条第1項)。したがって、空欄①には「ロ(4)」が入ります。
- 小問 ②:ホ
- 配偶者に対する相続税額の軽減(配偶者控除)は、配偶者が取得した正味の遺産額が、配偶者の法定相続分相当額または1億6,000万円のいずれか「多い」金額までであれば、配偶者が納付すべき相続税額がゼロとなります(相続税法第19条の2第1項)。したがって、空欄②には「ホ(多い)」が入ります。
- 小問 ③:ヘ
- 被相続人の配偶者が特定居住用宅地等を取得する場合、被相続人との同居要件や申告期限までの居住継続要件・所有継続要件が課されないため、相続税の申告期限までに売却したとしても本特例の適用を受けることができます。したがって、空欄③には「ヘ(ができます)」が入ります。
覚えるポイント
- 準確定申告の申告・納付期限は相続開始を知った日の翌日から4カ月以内(相続税申告の10カ月以内と混同しない)。
- 配偶者の税額軽減は「1億6,000万円」または「法定相続分」のいずれか大きい(多い)金額まで相続税がかからない。
- 配偶者が取得する特定居住用宅地等は、同居の有無や申告期限までの所有・居住継続を問わず特例の対象となる。
間違えやすいところ
- 相続税の申告期限である「10カ月以内」と準確定申告の期限である「4カ月以内」を混同しやすい。
- 配偶者以外の親族に課される「申告期限までの居住継続・所有継続要件」が配偶者にも適用されると誤解しやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税額の2割加算・類似業種比準方式・相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 相続税額の2割加算 / 類似業種比準方式 / 相続税の総額
Aさんの相続等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「孫Eさんは、相続税額の2割加算の対象になりますが、孫Fさんは、二男Dさんの代襲相続人ですので、相続税額の2割加算の対象にはなりません」 ② 「X社株式の相続税評価額は、原則として、類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式により評価されます。そのうち類似業種比準方式は、類似業種の株価を基に、1株当たりの『配当金額』『取引金額』および『簿価純資産価額』の3つの要素から算出します」 ③ 「相続税の総額は、各相続人の実際の取得割合によって計算されますので、分割内容によって異なります」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
相続税の計算体系における相続税額の2割加算の対象範囲(代襲相続人の取扱い)、取引相場のない株式の類似業種比準方式における3つの比準要素、および法定相続分を基準として算出される相続税の総額の計算ルールを正確に理解する必要があります。
解き方
- 孫Eさんと孫Fさんの相続関係を整理し、代襲相続人である孫Fさんは2割加算の対象外、代襲相続人ではない孫Eさんは2割加算の対象となることから記述①を判定します。
- 類似業種比準方式の3要素が「配当金額」「利益金額」「純資産価額(簿価)」であることを確認し、「取引金額」とされている記述②を不適切と判断します。
- 相続税の総額は実際の取得割合ではなく「法定相続分」に応じて課税遺産総額を按分して計算するため、分割割合によって総額が変動しないことを確認し記述③を不適切と判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 孫Eさんは親(長男Cさん)が存命であるため代襲相続人ではなく、一親等の血族および配偶者以外の者として相続税額の2割加算の対象となります。一方、孫Fさんは被相続人より前に死亡した二男Dさんを代襲して相続人となった直系卑属であるため、相続税額の2割加算の対象にはなりません。したがって、本記述は適切(○)です。
- 小問 ②:×
- 類似業種比準方式において、類似業種の株価に乗じる比準要素は、1株当たりの「配当金額」「利益金額」「純資産価額(簿価)」の3つです。記述にある「取引金額」は比準要素に含まれないため、本記述は不適切(×)です。
- 小問 ③:×
- 相続税の総額の計算は、課税遺産総額を民法に定める「法定相続分」に応じて各法定相続人に按分した金額を基に各税額を算出し、それらを合算して求めます。実際の遺産分割割合(取得割合)で計算するわけではないため、遺産分割の内容によって相続税の総額が変わることはありません。したがって、本記述は不適切(×)です。
覚えるポイント
- 被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫を含む)および配偶者以外の者が財産を取得した場合は相続税額が2割加算される。
- 類似業種比準方式の3つの比準要素は、1株当たりの「配当金額」「利益金額」「純資産価額(簿価)」である。
- 相続税の総額は法定相続人の数と法定相続分によって一意に決まるため、実際の遺産分割内容によって変動しない。
間違えやすいところ
- 代襲相続人となった孫も孫であるという理由だけで2割加算の対象になると誤認しやすい。
- 類似業種比準要素の「利益金額」を「売上高」や「取引金額」などと混同しやすい。
- 実際の遺産分割の割合によって相続税の総額自体が増減すると誤解しやすい(総額は法定相続分で固定され、各人の納税額のみが分割割合等で決まる)。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · みなし相続財産の非課税限度額 / 遺産に係る基礎控除額 / 課税遺産総額の計算 / 相続税の総額の計算
被相続人Aさん(死亡)の親族関係および各人が取得する予定の相続財産(遺贈・みなし相続財産を含む)の情報に基づき、相続税の総額を計算する表の空欄①~④に入る数値を求めなさい。 <親族関係> ・妻Bさん(78歳) ・長男Cさん(53歳、子:孫Eさん18歳) ・二男Dさん(死亡、子:孫Fさん21歳) <取得財産等> ・妻Bさん:現預金3,000万円、自宅敷地2,000万円(小規模宅地等の特例適用後)、自宅建物1,500万円、死亡保険金1,500万円、死亡退職金3,000万円 ・長男Cさん:現預金8,000万円、X社株式1億2,000万円 ・孫Eさん:現預金2,000万円 ・孫Fさん:現預金3,000万円 <計算表> ・妻Bさんに係る課税価格:( ① )万円 ・(b)遺産に係る基礎控除額:( ② )万円 ・相続税の総額の基となる税額(孫Fさん):( ③ )万円 ・(c)相続税の総額:( ④ )万円
解答・解説を表示
解答
① 8,000(万円) ② 4,800(万円) ③ 1,415(万円) ④ 6,770(万円)
解説
相続税の計算では、まず法定相続人を確定させて非課税限度額(生命保険金・退職金)および遺産に係る基礎控除額を求めます。その後、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を算出し、これを法定相続分どおりに各法定相続人が按分取得したものと仮定して各人の税額を速算表から求め、それらを合計して「相続税の総額」を計算します。
解き方
- 法定相続人を確定する(妻B、長男C、二男Dを代襲した孫Fの3人。親である長男Cが存命の孫Eは相続人ではない)。
- みなし相続財産の非課税限度額(500万円×3人=1,500万円)を適用して妻Bさんの課税価格を計算する。
- 遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×3人=4,800万円)を計算する。
- 全受遺者・相続人の課税価格を合計(3億3,000万円)し、基礎控除額を差し引いて課税遺産総額(2億8,200万円)を算出する。
- 課税遺産総額を法定相続分(妻1/2、長男1/4、孫F1/4)に按分し、速算表を適用して各人の税額を求め、それらを合算して相続税の総額を算出する。
答えの内訳
- ①:8,000
- 法定相続人は配偶者Bさん、長男Cさん、二男Dさんを代襲相続した孫Fさんの3人です。生命保険金および死亡退職金の非課税限度額はそれぞれ「500万円×法定相続人の数(3人)=1,500万円」です。妻Bさんが受け取った死亡保険金1,500万円は全額非課税(課税価格への算入は0円)、死亡退職金3,000万円のうち非課税限度額1,500万円を控除した1,500万円が課税対象となります。したがって、妻Bさんに係る課税価格は「3,000万円(現預金)+2,000万円(自宅敷地)+1,500万円(自宅建物)+0円(死亡保険金)+1,500万円(死亡退職金)=8,000万円」です。
- ②:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出されます。法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、代襲相続人である孫Fさんの計3人(孫Eさんは代襲相続人ではないため含まれません)であるため、基礎控除額は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」となります。
- ③:1,415
- 課税価格の合計額は、妻Bさん8,000万円+長男Cさん20,000万円(現預金8,000万円+株式1億2,000万円)+孫Eさん2,000万円+孫Fさん3,000万円=33,000万円(3億3,000万円)です。ここから基礎控除額4,800万円を控除した課税遺産総額は「33,000万円-4,800万円=28,200万円」となります。孫Fさんの法定相続分は「1/2×1/2=1/4」なので、法定相続分に応ずる取得金額は「28,200万円×1/4=7,050万円」です。速算表より税率30%・控除額700万円を適用し、「7,050万円×30%-700万円=1,415万円」となります。
- ④:6,770
- 相続税の総額は、法定相続人ごとに法定相続分に応ずる取得金額から求めた税額を合計して算出します。妻Bさんの取得金額は「28,200万円×1/2=14,100万円」で、税額は「14,100万円×40%-1,700万円=3,940万円」。長男Cさんの取得金額は孫Fさんと同じく7,050万円で、税額は1,415万円。孫Fさんの税額も1,415万円です。これらを合計すると、「3,940万円+1,415万円+1,415万円=6,770万円」となります。
覚えるポイント
- 被相続人の子が相続開始前に死亡している場合、その子(孫)が代襲相続人として法定相続人の数に含まれる。
- 生命保険金・死亡退職金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」、基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」である。
- 相続税の総額は実際の按分割合ではなく、必ず「法定相続分」で仮に取得したものとして計算する。
間違えやすいところ
- 被相続人の子が生存している孫(本問の孫E)を法定相続人の数に含めてしまう誤り。
- 生命保険金と死亡退職金の両方にそれぞれ「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が適用できることを見落とし、合算で計算してしまう誤り。
- 課税遺産総額を各人の実際の相続割合で按分して税額を求めてしまう誤り。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2022年5月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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