日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の概要
老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 報酬比例部分 / 経過的加算 / 加給年金
設例のAさん(1968年7月10日生まれ)が原則として65歳から受給できる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2021年度価額)について、計算の手順に従って空欄①~④に入る数値を求めなさい(円未満四捨五入)。 <Aさんの年金加入歴> ・20歳~22歳(33月):学生のため未加入 ・2003年3月以前の厚生年金期間:144月(平均標準報酬月額25万円) ・2003年4月以後の厚生年金期間:303月(平均標準報酬額45万円) ※厚生年金保険の被保険者期間はすべて20歳以上60歳未満の期間である(合計447月)。 ※妻Bさん(1966年6月15日生まれ)と同居・生計維持関係にある。
解答・解説を表示
解答
① 727,213(円) ② 1,003,834(円) ③ 503(円) ④ 1,004,337(円)
解説
公的年金の老齢給付において、老齢基礎年金は20歳から60歳までの保険料納付月数に応じて算定されます。老齢厚生年金は報酬比例部分と定額部分との差額を調整する経過的加算から成り、被保険者期間が20年以上ある受給権者が65歳到達時に65歳未満の生計維持関係にある配偶者を有している場合に加給年金が加算されます。
解き方
- Aさんの被保険者月数を整理し、老齢基礎年金の月数(447月)と厚生年金期間(144月および303月)を確認して、老齢基礎年金および報酬比例部分・経過的加算をそれぞれ算出する。
- Aさんが65歳到達時の妻Bさんの年齢を確認し、妻がすでに65歳以上であることから加給年金額が加算されないことを判断し、合計額を計算する。
答えの内訳
- ①:727,213
- 老齢基礎年金の額は、満額780,900円×(保険料納付済月数447月/480月)=727,213.125円となり、円未満を四捨五入して727,213円となります。
- ②:1,003,834
- 報酬比例部分は、ⓐ2003年3月以前分:250,000円×(7.125/1,000)×144月=256,500円、ⓑ2003年4月以後分:450,000円×(5.481/1,000)×303月=747,334.35円の合計で、256,500円+747,334.35円=1,003,834.35円となり、円未満四捨五入で1,003,834円となります。
- ③:503
- 経過的加算額は、定額部分1,628円×447月-老齢基礎年金相当額780,900円×(447月/480月)=727,716円-727,213.125円=502.875円となり、円未満四捨五入で503円となります。
- ④:1,004,337
- 基本年金額は②1,003,834円+③503円=1,004,337円です。Aさんが65歳到達時に妻Bさん(1966年6月生)はすでに67歳(65歳以上)に達しているため加給年金は加算されず、老齢厚生年金の額は1,004,337円となります。
覚えるポイント
- 加給年金は受給権者が65歳に到達した時点で「65歳未満」の生計を維持している配偶者等がいる場合に加算されるため、年上の配偶者ですでに65歳以上の場合は加算されません。
間違えやすいところ
- 妻が生計維持関係にある配偶者であることから機械的に加給年金(390,500円)を加算してしまうミスが多いため、受給権取得時点における配偶者の年齢要件を必ず確認する必要があります。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の公的年金各法令および2021年度価額
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
妻の老齢給付(特別支給・振替加算・第3号被保険者期間)の取扱い
ライフプランニングと資金計画 · 特別支給の老齢厚生年金 / 振替加算 / 第3号被保険者期間
妻Bさん(1966年6月15日生まれ)が受給できる公的年金制度からの老齢給付に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。 ① 妻Bさんは、報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の支給はなく、原則として65歳から老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給することになる。 ② 妻Bさんが65歳から受給することができる老齢基礎年金の額には、振替加算額が加算される。 ③ 国民年金の第3号被保険者であった期間は、合算対象期間として老齢基礎年金の受給資格期間に算入されるが、老齢基礎年金の年金額には反映されない。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
公的年金制度において、女性の特別支給の老齢厚生年金および老齢基礎年金に加算される振替加算は、昭和41年(1966年)4月1日以前生まれを対象とする経過措置です。また、第2号被保険者に扶養される配偶者である第3号被保険者の期間は保険料納付済期間として年金額に反映されます。
解き方
- 妻Bさんの生年月日(1966年6月15日)と特別支給の老齢厚生年金・振替加算の生年月日要件(昭和41年4月1日以前)を対比して該非を判定する。
- 国民年金の第3号被保険者期間が合算対象期間(カラ期間)ではなく保険料納付済期間である規定を確認し、年金額への反映の有無を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 女性の特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)は、昭和41年(1966年)4月1日以前生まれの人までが支給対象であり、1966年6月15日生まれの妻Bさんには支給されず、65歳からの受給となるため適切です。
- 小問 ②:×
- 振替加算の対象となるのは昭和41年(1966年)4月1日以前に生まれた人です。妻Bさんは1966年6月15日生まれであるため、振替加算の加算対象とはならず不適切です。
- 小問 ③:×
- 国民年金の第3号被保険者であった期間は「保険料納付済期間」として受給資格期間に算入されるとともに、老齢基礎年金の年金額計算にも全額反映されるため不適切です(合算対象期間ではありません)。
覚えるポイント
- 特別支給の老齢厚生年金(女性)および振替加算の対象となる生年月日の境界は「昭和41年(1966年)4月1日以前」生まれです。
間違えやすいところ
- 第3号被保険者本人は保険料を直接納付していないため合算対象期間や免除期間と混同しやすいですが、年金制度上は保険料納付済期間として扱われます。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の国民年金法および厚生年金保険法
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険の介護休業給付の支給要件・限度日数・支給率
ライフプランニングと資金計画 · 介護休業給付金 / 雇用保険
雇用保険の介護休業給付について説明した次の文章の空欄①〜③に入る最も適切な語句を、〈語句群〉の中から選びなさい。 「介護休業給付金は、雇用保険の一般被保険者が、配偶者や父母などの対象家族に係る所定の介護休業を取得し、かつ、介護休業開始日前2年間にみなし被保険者期間が通算して( ① )以上ある場合に支給されます。なお、介護休業給付金の支給対象となる介護休業は、支給単位期間における就業日数が10日以下であるものに限られます。 また、被保険者が同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、介護休業を開始した日から通算して93日を限度に( ② )までに限り支給されます。 介護休業給付金の額は、介護休業期間中に事業主から賃金の支払がない場合、一支給単位期間当たり『休業開始時賃金日額×支給日数×( ③ )』の算式で算出されます。事業主から賃金の支払がある場合は、その支給単位期間における介護休業給付金は、賃金の額が『休業開始時賃金日額×支給日数』の13%相当額超80%相当額未満であるときは減額支給となり、80%相当額以上であるときは支給されません」
- イ
- 3カ月
- ロ
- 6カ月
- ハ
- 12カ月
- ニ
- 3回
- ホ
- 4回
- ヘ
- 5回
- ト
- 50%
- チ
- 67%
- リ
- 75%
解答・解説を表示
解答
① ハ、② ニ、③ チ
解説
雇用保険の介護休業給付は、家族の介護のために休業する労働者の生活および雇用の継続を支援する制度であり、支給要件・限度回数・給付率が法律で定められています。
解き方
- 介護休業開始日前2年間の受給要件となる被保険者期間(12カ月以上)を確認する。
- 同一対象家族についての通算限度日数(93日)および分割取得可能回数(3回まで)を特定する。
- 休業期間中に賃金が支払われない場合の給付率(67%)を選択肢から特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 介護休業給付金の受給資格要件は、介護休業開始日前2年間にみなし被保険者期間が通算して12カ月以上あることです。
- 小問 ②:ニ
- 同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、通算93日を限度として3回まで分割取得が可能です。
- 小問 ③:チ
- 介護休業給付金の支給額は、休業開始時賃金日額×支給日数×67%で計算されます。
覚えるポイント
- 介護休業給付金は「前2年間に通算12カ月以上」「通算93日・3回まで」「給付率67%」をセットで暗記します。
間違えやすいところ
- 育児休業給付金のように期間経過後に支給率が50%に低下すると誤解しないよう注意が必要です。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的介護保険の被保険者区分・要介護認定・自己負担割合・保険料徴収
リスク管理 · 公的介護保険 / 要介護認定 / 介護保険料の特別徴収
公的介護保険について説明した次の文章の空欄①〜④に入る最も適切な語句または数値を、〈語句群〉の中から選びなさい。 「介護保険の被保険者は、( ① )歳以上の第1号被保険者と40歳以上( ① )歳未満の医療保険加入者である第2号被保険者に区分されます。介護保険の被保険者が保険給付を受けるためには、( ② )から要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。 介護保険の保険給付を受ける被保険者は、原則として、費用(食費、居住費等を除く)の1割を負担することになります。ただし、第1号被保険者のうち、一定額以上の所得を有する者については、自己負担割合が2割または3割となります。第1号被保険者本人の合計所得金額が( ③ )万円以上、かつ、同一世帯の第1号被保険者の年金収入とその他の合計所得金額の合計額が一定額以上の場合、自己負担割合は3割となります。 第2号被保険者に係る介護保険料は、各医療保険者がそれぞれの医療保険各法に基づいて、賦課・徴収します。他方、第1号被保険者に係る介護保険料は、被保険者が公的年金制度から年額( ④ )万円以上の年金を受給している場合には、原則として公的年金から特別徴収されます」
- イ
- 15
- ロ
- 18
- ハ
- 20
- ニ
- 60
- ホ
- 65
- へ
- 70
- ト
- 160
- チ
- 220
- リ
- 340
- ヌ
- 都道府県
- ル
- 市町村(特別区を含む)
解答・解説を表示
解答
① ホ、② ル、③ チ、④ ロ
解説
公的介護保険制度は市町村および特別区を保険者とし、第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40歳以上65歳未満)に区分され、所得水準に応じた利用者負担や年金受給額に応じた徴収方法が規定されています。
解き方
- 介護保険の被保険者の年齢区分(第1号:65歳以上、第2号:40歳以上65歳未満)を確認する。
- 要介護認定・要支援認定の実施主体が市町村(特別区を含む)であることを特定する。
- 介護保険サービス利用時の3割負担となる第1号被保険者本人の合計所得金額基準(220万円以上)を確認する。
- 第1号被保険者の保険料が公的年金から天引き(特別徴収)される年金受取基準額(年額18万円以上)を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ホ
- 介護保険の第1号被保険者は65歳以上の者、第2号被保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者です。
- 小問 ②:ル
- 介護保険の保険給付を受けるための要介護認定・要支援認定は、保険者である市町村(特別区を含む)が行います。
- 小問 ③:チ
- 第1号被保険者本人の合計所得金額が220万円以上で世帯の年金等年収が一定以上の基準を満たす場合、自己負担割合は3割となります。
- 小問 ④:ロ
- 第1号被保険者の公的年金受給額が年額18万円以上の場合、保険料は年金から特別徴収(天引き)されます。
覚えるポイント
- 公的介護保険の保険者は市町村・特別区、特別徴収は年金年額18万円以上、3割負担基準は合計所得金額220万円以上です。
間違えやすいところ
- 保険料の特別徴収基準である「年額18万円以上」を「月額」や「15万円」と取り違えないよう確認しましょう。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険の見直し(特約減額・契約転換制度・保険料の仕組み)
リスク管理 · 生命保険の見直し / 契約転換制度 / 保険料の計算基礎
MさんがAさんに対して説明した、生命保険の見直しに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「現在加入している定期保険特約の保険金額を減額し、提案を受けた生命保険に加入することも検討事項の1つです。現時点でのAさんの必要保障額を算出し、適正な死亡保険金額を把握することから保障内容の見直しを始めてください」 ② 「現在加入している生命保険を契約転換して、X生命保険が取り扱っている介護保険・認知症保険等に加入する方法もあります。転換後契約の保険料は転換前契約の加入時の年齢により算出されるため、新規に加入する場合と比較し、保険料負担を抑えることができます」 ③ 「認知症保険に係る保険料は、保険金額が同額であれば、被保険者の年齢に関係なく、同一となります。今回は提案を受けた生命保険への加入を見送り、終身保険の保険料払込満了後に加入することも検討事項の1つです」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
生命保険の見直しでは、ライフステージの変化に応じて必要保障額を再計算し、不要な特約の減額等で保険料負担を調整します。契約転換は新契約への買い替えであるため、保険料率は転換時点の年齢で計算されます。
解き方
- 加入中の契約の特約減額等の見直し方法と、現時点の必要保障額の算定という見直しの基本手順を確認する。
- 契約転換制度における責任準備金の充当と、転換後契約の保険料率の基準となる年齢(転換時年齢)のルールを判断する。
- 民間医療・介護保険等における年齢と保険料(リスクに応じた保険料設定)の関係を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 必要保障額を算出して過大な死亡保障(定期保険特約)を減額し、浮いた保険料を介護・認知症の備えに振り向ける見直し手順は適切です。
- 小問 ②:×
- 契約転換制度における転換後契約の保険料は、転換前契約の加入時ではなく「転換時の年齢」およびその時点の保険料率に基づいて算出されます。
- 小問 ③:×
- 認知症保険の保険料は一般に加入時の年齢や性別等に応じて異なり、高齢で新規加入するほどリスクが高まるため保険料は高くなります。
覚えるポイント
- 契約転換制度の転換後保険料は「転換時(現在)の年齢」で計算される。
- 生命保険の保険料は一般に加入時の年齢が高いほど高額になる。
間違えやすいところ
- 契約転換制度を契約内容の変更(特約中途付加など)と混同し、加入時の年齢が引き継がれると誤認しやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
指定代理請求特約・給付金への課税関係・軽度認知障害(MCI)保障
リスク管理 · 指定代理請求特約 / 保険給付金の課税関係 / 認知症保険
MさんがAさんに対して説明した、提案を受けた生命保険の保障内容および課税関係に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「指定代理請求特約は、介護一時金や認知症一時金について、Aさんが請求できない所定の事情がある場合に、指定代理請求人である妻BさんがAさんに代わって、成年後見制度を利用することなく、当該一時金を代理請求することができる特約です」 ② 「妻BさんがAさんに代わって認知症一時金を受け取った場合、当該一時金は一時所得の収入金額として所得税の課税対象となります」 ③ 「最近では、軽度認知障害(MCI)を保障の対象とする保険商品も販売されています。X生命保険やY生命保険以外の生命保険会社が取り扱う介護保険・認知症保険の保障内容や支払基準も確認したうえで、加入の可否を検討することをお勧めします」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
指定代理請求特約は被保険者本人が給付金を請求できない場合に指定代理人が請求できる制度です。心身の障害・疾病に起因して支払われる一時金や給付金は所得税法上非課税であり、代理受取であっても課税されません。
解き方
- 指定代理請求特約の趣旨および成年後見制度との関係(後見開始前でも利用可能)を確認する。
- 所得税法における身体の傷害・疾病に起因する給付金(介護・認知症一時金)の非課税規定および代理受取時の課税関係を適用する。
- 近年の民間認知症保険(軽度認知障害MCI保障など)の保障内容の多様化とFPとしての比較提案姿勢を評価する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 指定代理請求特約は、被保険者本人が請求できない特別な事情がある場合に、あらかじめ指定された代理人が成年後見制度を利用せず代理請求できる特約です。
- 小問 ②:×
- 疾病・身体の傷害等に起因して受け取る給付金・一時金は非課税であり、指定代理請求人が代わりに受領した場合であっても所得税は非課税となります。
- 小問 ③:○
- 認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)を対象とする商品も普及しており、複数社の支払要件や保障内容を比較検討することは適切です。
覚えるポイント
- 身体の障害や疾病に基因して受け取る給付金・一時金は所得税が非課税となる。
- 指定代理請求人が代わりに受取を行った場合でも非課税の取扱いは変わらない。
間違えやすいところ
- 契約者・被保険者(夫)と異なる受取代理人(妻)が受け取ったことで、贈与税や一時所得が課税されると勘違いしやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金に係る退職所得控除額および退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 役員退職金 / 退職所得控除額 / 退職所得の金額
X社がAさんに役員退職金4,000万円を支給した場合における、Aさんが受け取る役員退職金の退職所得控除額(①)および退職所得の金額(②)を万円単位で求めなさい。なお、Aさんの役員在任期間(勤続年数)は34年3カ月とし、他に退職手当等の収入はなく、障害者となったことが退職の直接原因ではないものとする。
解答・解説を表示
解答
① 1,850万円 ② 1,075万円
解説
退職所得控除額の計算では勤続年数に1年未満の端数がある場合は切り上げます。また、勤続年数5年以下の特定役員等でない限り、退職所得の金額は収入金額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1となります。
解き方
- 勤続年数34年3カ月の端数を切り上げて35年として退職所得控除額を計算する。
- 退職金収入4,000万円から控除額を差し引き、2分の1を乗じて退職所得の金額を算出する。
答えの内訳
- ①:1,850
- 勤続年数の端数は切り上げて35年とします。勤続年数20年超の退職所得控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」により、800万円+70万円×(35年-20年)=1,850万円となります。
- ②:1,075
- 役員等の勤続年数が5年超であるため通常の計算式が適用され、「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」により、(4,000万円-1,850万円)×1/2=1,075万円となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の1年未満の端数は一律に切り上げて1年として計算すること。
- 役員退職金であっても勤続年数が5年超であれば2分の1計算が適用されること。
間違えやすいところ
- 勤続年数の3カ月の端数を切り捨てて34年として計算してしまうミス。
- 役員退職金だからといって勤続年数にかかわらず2分の1計算を除外してしまうミス。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人契約の長期平準定期保険の解約および払済保険変更時の経理処理
リスク管理 · 長期平準定期保険 / 解約返戻金 / 払済終身保険 / 益金算入
<資料1>の長期平準定期保険(契約日2002年4月1日、払込保険料累計6,000万円、現時点の解約返戻金4,800万円)に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を解答用紙に記入しなさい。 ①「当該生命保険を現時点で解約した場合、X社が受け取る解約返戻金は、Aさんに支給する役員退職金の原資として活用することができます」 ②「当該生命保険を現時点で解約した場合、X社はそれまで資産計上していた前払保険料3,000万円を取り崩して、解約返戻金4,800万円との差額1,800万円を雑損失として経理処理します」 ③「当該生命保険を現時点で払済終身保険に変更した場合、変更した事業年度において雑損失が計上されます。したがって、変更した事業年度の利益を減少させる効果があります」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
法人契約の保険を解約または払済保険に変更した際、受取額(または払済時の返戻金額)が資産計上額を上回る場合は差額が「雑収入」として益金算入され、下回る場合は「雑損失」として損金算入されます。
解き方
- 解約返戻金が役員退職金の原資として法人で活用可能であることを確認する。
- 受取解約返戻金額とこれまでの資産計上額を比較し、差額が雑収入(益金)となることを確認して記述②と③の誤りを判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 法人が受取人となっている生命保険を解約して受領した解約返戻金は会社の資金となるため、退職する役員への退職慰労金の支払原資として充当することができます。
- 小問 ②:×
- 解約返戻金額(4,800万円)が資産計上額(前払保険料3,000万円)を上回っているため、その差額である1,800万円は雑損失ではなく「雑収入」(益金)として経理処理します。
- 小問 ③:×
- 払済終身保険へ変更した場合、変更時の解約返戻金額(4,800万円)と既往の資産計上額(3,000万円)との差額1,800万円は雑収入(益金)となるため、利益を増加させる効果があります。
覚えるポイント
- 解約返戻金額が資産計上額を上回る場合の差額は雑収入(益金)となること。
- 払済保険への変更時も解約返戻金相当額による精算が行われ、資産計上額との差額が損益計上されること。
間違えやすいところ
- 払込保険料累計額と解約返戻金額を直接比較して損失が出ていると勘違いするミス(すでに半分は損金算入されているため資産計上額と比較する)。
- 払済保険への変更時に課税関係が生じないと誤認してしまうミス。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人が加入する定期保険の支払保険料の経理処理
タックスプランニング · 定期保険の経理処理 / 最高解約返戻率 / 資産計上割合
Mさんは、長男Bさんに対して、<資料2>の定期保険の支払保険料の経理処理について説明した。Mさんが説明した文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を、〈数値群〉の中から選びなさい。 「法人を契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人とし、役員または従業員を被保険者とする保険期間が3年以上の定期保険で、最高解約返戻率が( ① )%を超えるものの支払保険料の経理処理については、最高解約返戻率が『( ① )%超70%以下』『70%超( ② )%以下』『( ② )%超』である場合の3つの区分に応じて取り扱います。 <資料2>の定期保険の最高解約返戻率は『70%超( ② )%以下』であるため、保険期間開始日から保険期間の( ③ )割に相当する期間を経過する日までは、当期分支払保険料の( ④ )%相当額を前払保険料として資産に計上し、残額は損金の額に算入します。( ③ )割に相当する期間経過後は、当期分支払保険料の全額を損金の額に算入するとともに、資産に計上した金額については、保険期間の7.5割に相当する期間経過後から保険期間終了日までにおいて均等に取り崩し、損金の額に算入します」 〈数値群〉 イ.4 ロ.5 ハ.6 ニ.30 ホ.40 ヘ.50 ト.60 チ.75 リ.85 ヌ.90 ル.105
- イ
- 4
- ロ
- 5
- ハ
- 6
- ニ
- 30
- ホ
- 40
- ヘ
- 50
- ト
- 60
- チ
- 75
- リ
- 85
- ヌ
- 90
- ル
- 105
解答・解説を表示
解答
① ヘ、② リ、③ イ、④ ホ
解説
法人が契約する定期保険等の保険料の税務処理(法人税基本通達9-3-5の2)では、最高解約返戻率が50%超の契約について解約返戻率の区分に応じた資産計上割合と資産計上期間が定められています。
解き方
- 法人税基本通達における定期保険の最高解約返戻率基準の3区分(50%超70%以下、70%超85%以下、85%超)を確認し、空欄①に50(ヘ)、空欄②に85(リ)を当てはめます。
- 最高解約返戻率が70%超85%以下(本問では83%)の場合の資産計上期間が保険期間の「4割」、資産計上割合が「40%」(損金算入60%)であることを確認し、空欄③に4(イ)、空欄④に40(ホ)を当てはめます。
- 選択肢 イ正解
- 空欄③の正答です。最高解約返戻率70%超85%以下の資産計上期間は保険期間の「4割」に相当する期間です。
- 選択肢 ロ不正解
- 最高解約返戻率85%超の保険期間等において用いられる数値であり、空欄③の4割には該当しません。
- 選択肢 ハ不正解
- 50%超70%以下の資産計上期間(保険期間の6割)で用いられる数値であり、70%超85%以下の空欄③には該当しません。
- 選択肢 ニ不正解
- どの空欄の基準数値にも該当しません。
- 選択肢 ホ正解
- 空欄④の正答です。最高解約返戻率70%超85%以下の資産計上期間における資産計上割合は「40%」です。
- 選択肢 ヘ正解
- 空欄①の正答です。新ルールが適用される基準となる最高解約返戻率は「50%」超です。
- 選択肢 ト不正解
- 70%超85%以下の期間における損金算入割合(60%)または50%超70%以下の資産計上期間(6割)の数値であり、資産計上割合を問う空欄④には該当しません。
- 選択肢 チ不正解
- 取り崩し開始時期である保険期間の「7.5割」などに現れる数値であり、空欄①~④には当てはまりません。
- 選択肢 リ正解
- 空欄②の正答です。定期保険の区分境界となる解約返戻率は「85%」です。
- 選択肢 ヌ不正解
- 85%超のうちさらに高返戻率となる「90%超」の区分等で用いられる数値です。
- 選択肢 ル不正解
- いずれの空欄にも該当しない数値です。
答えの内訳
- ①:ヘ
- 2019年7月8日以後の通達改正により、定期保険等の支払保険料の税務取扱いは、最高解約返戻率が50%を超えるものについて解約返戻率に応じた資産計上ルールが適用されます。したがって空欄①には「50」(ヘ)が入ります。
- ②:リ
- 最高解約返戻率が50%超の定期保険の経理処理区分は、「50%超70%以下」「70%超85%以下」「85%超」の3区分(85%超はさらに最高解約返戻率90%超等で細分化)に分類されるため、空欄②には「85」(リ)が入ります。
- ③:イ
- 最高解約返戻率が70%超85%以下の定期保険では、保険期間開始日から保険期間の4割(40%)に相当する期間を経過する日まで前払保険料として資産計上を行うため、空欄③には「4」(イ)が入ります。
- ④:ホ
- 最高解約返戻率が70%超85%以下の定期保険では、資産計上期間中の当期支払保険料のうち40%相当額を前払保険料として資産計上し、残額(60%)を損金算入するため、空欄④には「40」(ホ)が入ります。
覚えるポイント
- 最高解約返戻率70%超85%以下:保険期間の4割相当期間まで支払保険料の40%を資産計上(60%損金)。
- 最高解約返戻率50%超70%以下:保険期間の6割相当期間まで支払保険料の40%を資産計上(60%損金)。
間違えやすいところ
- 資産計上期間における「資産計上割合(40%)」と「損金算入割合(60%)」を取り違えて解答してしまうミスが多いです。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法人税基本通達9-3-5の2(令元課法2-5)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
満期保険金・解約返戻金等の課税関係と所得金額調整控除
タックスプランニング · 一時所得 / 金融類似商品 / 所得金額調整控除 / 確定申告の要否
Aさんの2021年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 「一時払養老保険は金融類似商品に該当するため、Aさんが受け取った満期保険金に係る保険差益は源泉分離課税の対象となります」 ② 「Aさんの場合、総所得金額に算入される一時所得の金額が20万円を超えるため、所得税の確定申告をしなければなりません」 ③ 「Aさんは、給与収入の金額が850万円を超え、かつ、扶養親族を有しているため、総所得金額の計算上、所得金額調整控除として、給与収入の金額から850万円を控除した金額の10%相当額を給与所得の金額から控除します」
- ○
- 適切
- ×
- 不適切
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ×
解説
一時払の生命保険の差益は原則として一時所得(総合課税)ですが、保険期間5年以下のものは金融類似商品として源泉分離課税となります。また給与収入850万円超の所得金額調整控除は23歳未満の扶養親族等がいる場合に限られます。
解き方
- 記述①:契約期間が10年の満期受取であるため、金融類似商品(5年以下)に該当せず一時所得となることを確認して不適切(×)と判断します。
- 記述②:一時所得の金額(140万円-50万円=90万円)を計算し、その2分の1(45万円)が総所得金額に算入され、20万円超のため確定申告が必要であることから適切(○)と判断します。
- 記述③:所得金額調整控除の要件である扶養親族の年齢要件(23歳未満)に対し、長女Cさんは24歳で要件を満たさないため不適切(×)と判断します。
- 選択肢 ○正解
- 記述②は正しい記述です。一時所得の金額の2分の1である45万円が給与以外の所得として生じるため、確定申告が義務付けられます。
- 選択肢 ×正解
- 記述①(10年満期のため一時所得)および記述③(長女が23歳以上のため所得金額調整控除の対象外)は誤った記述です。
答えの内訳
- ①:×
- 一時払養老保険等の差益が金融類似商品として20.315%の源泉分離課税の対象となるのは、保険期間が5年以下または5年以内に解約された場合です。本問の一時払養老保険は保険期間10年で満期を迎えているため金融類似商品には該当せず、一時所得として総合課税の対象となります。
- ②:○
- 一時所得の総収入金額は養老保険差益20万円(320万円-300万円)と変額個人年金保険差益120万円(520万円-400万円)の合計140万円です。一時所得の金額は140万円-特別控除50万円=90万円となり、総所得金額への算入額はその1/2である45万円となります。給与所得者において給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円を超えるため、確定申告を行う必要があります。
- ③:×
- 給与収入が850万円超の給与所得者に適用される所得金額調整控除(子ども・特別障害者等)の対象要件となる扶養親族は「23歳未満」である必要があります。Aさんの扶養親族である長女Cさんは24歳であり、かつ特別障害者でもないため、所得金額調整控除の適用を受けることはできません。
覚えるポイント
- 金融類似商品となる一時払養老保険等は保険期間「5年以下」または「5年以内解約」のもの。
- 所得金額調整控除(子ども・特別障害者等)の対象となる扶養親族は「23歳未満」であること(通常の扶養控除対象の16歳以上とは異なる点に注意)。
間違えやすいところ
- 一時所得の金額(総収入金額-支出金額-50万円)をそのまま給与以外の所得として判定せず、総所得金額に算入する「2分の1」の掛け忘れに注意が必要です(本問ではいずれにせよ20万円超となりますが正確な計算が求められます)。
- 所得金額調整控除の扶養親族要件(23歳未満)を、一般の扶養控除要件(16歳以上)や特定扶養親族(19歳以上23歳未満)と混同しないように整理が必要です。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の所得税法(第22条、第34条、第57条の2、第174条等)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配偶者控除および扶養控除
タックスプランニング · 所得控除 / 配偶者控除 / 扶養控除
Aさんの2021年分の所得税における所得控除に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、〈数値群〉の中から選びなさい。 Ⅰ 「Aさんの合計所得金額は( ① )万円以下であるため、Aさんは38万円の配偶者控除の適用を受けることができます。仮に、Aさんの合計所得金額が( ① )万円を超えると、配偶者控除の額は段階的に縮小し、合計所得金額が( ② )万円を超えると、適用を受けることができなくなります」 Ⅱ 「Aさんが適用を受けることができる扶養控除の額は、( ③ )万円です」 〈数値群〉 イ.38 ロ.58 ハ.63 ニ.800 ホ.850 ヘ.900 ト.1,000 チ.1,200 リ.2,000
- イ
- 38
- ロ
- 58
- ハ
- 63
- ニ
- 800
- ホ
- 850
- ヘ
- 900
- ト
- 1,000
- チ
- 1,200
- リ
- 2,000
解答・解説を表示
解答
① ヘ、② ト、③ イ
解説
配偶者控除は納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、控除対象配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合に適用されます。本人の合計所得金額が900万円以下であれば満額38万円、900万円超950万円以下は26万円、950万円超1,000万円以下は13万円と段階的に縮小します。また、扶養控除は年齢が16歳以上の扶養親族(合計所得金額48万円以下)が対象で、年末時点で16歳以上19歳未満および23歳以上70歳未満の一般扶養親族の控除額は38万円、19歳以上23歳未満の特定扶養親族は63万円です。
解き方
- 配偶者控除の本人の所得制限基準(900万円以下で38万円、1,000万円超で不適用)を確認する。
- 長女Cさんの年齢(24歳)から扶養区分の判定を行い、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)ではなく一般の控除対象扶養親族(控除額38万円)であることを導く。
- 選択肢 イ正解
- 38は一般の控除対象扶養親族に係る控除額(38万円)であり、空欄③の正答です。
- 選択肢 ロ不正解
- 58は同居老親等以外の老人扶養親族の控除額(48万円)や特定扶養親族(63万円)等と異なる数値であり、不適切です。
- 選択肢 ハ不正解
- 63は特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の控除額(63万円)であり、24歳の長女Cさんには該当しません。
- 選択肢 ニ不正解
- 800は配偶者控除等の所得制限判定の基準値ではありません。
- 選択肢 ホ不正解
- 850は給与所得控除の上限(給与収入850万円超)や所得金額調整控除で用いられる基準ですが、配偶者控除の所得制限判定値ではありません。
- 選択肢 ヘ正解
- 900は配偶者控除の控除額が最高額(38万円)となる合計所得金額の上限(900万円)であり、空欄①の正答です。
- 選択肢 ト正解
- 1,000は配偶者控除の適用を受けることができる本人の合計所得金額の上限(1,000万円)であり、空欄②の正答です。
- 選択肢 チ不正解
- 1,200は所得制限の基準値ではありません。
- 選択肢 リ不正解
- 2,000は基礎控除等の逓減要件等で現れる数値の基準ですが、配偶者控除の所得制限には該当しません。
答えの内訳
- ①:ヘ
- 配偶者控除で満額の控除(38万円)を受けるための納税者本人の合計所得金額の要件は「900万円以下」です。
- ②:ト
- 配偶者控除は合計所得金額が900万円を超えると段階的に縮小し、「1,000万円」を超えると適用を受けることができなくなります。
- ③:イ
- 控除対象扶養親族である長女Cさんは24歳であり、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)には該当しないため、一般の控除対象扶養親族として控除額は「38万円」となります。
覚えるポイント
- 配偶者控除の納税者本人の合計所得要件は900万円以下(満額)、950万円以下(中)、1,000万円以下(小)、1,000万円超(適用なし)。
- 扶養控除の特定扶養親族は年末時点で満19歳以上23歳未満(控除額63万円)。24歳の大学生・大学院生は一般扶養控除(控除額38万円)となる。
間違えやすいところ
- 学生・大学院生だからといって年齢を確認せずに「特定扶養親族(63万円)」と早合点してしまうミスが多い(19歳以上23歳未満に限られる)。
- 配偶者控除の適用制限の上限(1,000万円)と満額適用の所得上限(900万円)を取り違えるミスに注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額・所得控除・所得税額の計算
タックスプランニング · 一時所得 / 総所得金額 / 生命保険料控除 / 基礎控除 / 所得税の速算表
設例に基づき、Aさんの2021年分の所得税の算出税額を計算した表の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。 給与所得の金額:7,050,000円 総所得金額に算入される一時所得の金額:□□□円 (a)総所得金額:( ① )円 社会保険料控除:□□□円 生命保険料控除:( ② )円 配偶者控除:□□□円 扶養控除:□□□円 基礎控除:( ③ )円 (b)所得控除の額の合計額:2,800,000円 (c)課税総所得金額((a)-(b)):□□□円 (d)算出税額((c)に対する所得税額):( ④ )円
解答・解説を表示
解答
① 7,500,000(円)、② 40,000(円)、③ 480,000(円)、④ 512,500(円)
解説
一時所得の金額は「総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)」で計算し、その2分の1の金額が総所得金額に算入されます。新制度の生命保険料控除(介護医療保険料控除含む)は年払保険料が8万円超の場合に上限4万円です。合計所得金額が2,400万円以下の基礎控除額は48万円です。課税総所得金額は総所得金額から所得控除合計額を控除(1,000円未満切捨て)して求め、速算表の税率と控除額を乗除・減算して算出税額を求めます。
解き方
- 一時払養老保険の満期保険金差益(320万-300万=20万円)と一時払変額個人年金保険の解約返戻金差益(520万-400万=120万円)を合算した差益140万円から特別控除50万円を控除し、一時所得90万円の2分の1である45万円を給与所得705万円に加算して総所得金額750万円を求める。
- 2021年4月契約の医療保険料85,000円(新制度)から介護医療保険料控除の最高限度額である40,000円を求める。
- 合計所得金額750万円に基づき基礎控除額480,000円を特定する。
- 総所得金額750万円から所得控除計280万円を控除して課税総所得金額470万円を算出し、速算表(税率20%、控除額427,500円)から算出税額512,500円を計算する。
答えの内訳
- ①:7,500,000
- 一時払変額個人年金保険の解約返戻金に係る一時所得の金額は、520万円-400万円-特別控除50万円=70万円。総所得金額に算入される一時所得の金額はその2分の1であるため35万円。一時払養老保険の差益20万円は源泉分離課税(保険期間5年超・差益発生による金融類似商品判定:設例では契約日から10年満期だが一時払養老保険は5年超でも一律総合課税とされる場合と異なり、本問では問10①が×であることから一時払養老保険の差益は一時所得となる。一時所得の総収入金額は養老差益20万円と変額年金差益120万円の計140万円。特別控除50万円を引いて一時所得の金額は90万円。総所得金額算入額は90万円×1/2=45万円。したがって総所得金額は7,050,000円+450,000円=7,500,000円)。
- ②:40,000
- 2021年4月に契約した終身医療保険(介護医療保険料控除の対象)の支払保険料は85,000円(新契約)。新制度の介護医療保険料控除は、支払保険料が80,000円超の場合、一律上限の40,000円が控除額となります。
- ③:480,000
- Aさんの合計所得金額は7,500,000円であり、2,400万円以下であるため、基礎控除の額は満額の480,000円となります。
- ④:512,500
- 課税総所得金額(c)=7,500,000円-2,800,000円=4,700,000円(1,000円未満切捨て不要)。所得税の速算表より「330万円超 695万円以下」の区分(税率20%、控除額427,500円)を適用し、4,700,000円×20%-427,500円=512,500円。
覚えるポイント
- 一時所得の特別控除は年間最高50万円で、総所得金額に算入するのはその2分の1である。
- 新制度(2012年1月1日以後契約)の各生命保険料控除は年間支払保険料が8万円超で一律上限4万円。
- 合計所得金額2,400万円以下の基礎控除額は48万円。
間違えやすいところ
- 一時所得の特別控除50万円を引いた後、2分の1にするのを忘れて総所得金額に加算してしまう計算ミス。
- 一時払養老保険(5年超)を金融類似商品(源泉分離課税)と誤認して一時所得の計算から除外してしまうミス(保険期間5年超の場合は原則として一時所得の総合課税対象)。
- 課税総所得金額に税率20%を乗じた後、速算表の控除額(427,500円)を差し引き忘れるミス。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の評価と承継手法(類似業種比準・相続時精算課税・事業承継税制)
相続・事業承継 · 類似業種比準価額 / 相続時精算課税制度 / 事業承継税制の特例
X社株式の評価および長男Cさんへの株式移転手法に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 Ⅰ 「X社株式の相続税評価額は、原則として類似業種比準方式により評価されます。類似業種比準価額は、類似業種の株価ならびに1株当たりの配当金額、1株当たりの( ① )、1株当たりの純資産価額の3つの比準要素を基に計算されます」 Ⅱ 「長男CさんにX社株式を移転する方法として、相続時精算課税制度の活用が考えられます。相続時精算課税は、2,500万円を超える金額について( ② )%の税率で贈与税が課されますが、その後、X社株式の評価額が上昇しても、相続財産に加算されるX社株式の価額は贈与時の価額とされるなどのメリットがあります」 Ⅲ 「長男CさんにX社株式を移転する方法として、『非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例(事業承継税制の特例)』の活用が考えられます。本特例の適用を受けた場合、贈与者の死亡時まで本特例の対象となる非上場株式等の贈与に係る贈与税額の( ③ )の納税が猶予されます」 〈語句群〉 イ.10 ロ.15 ハ.20 ニ.売上金額 ホ.利益金額 へ.資本金等の額 ト.3分の2 チ.5分の4 リ.全額
- イ
- 10
- ロ
- 15
- ハ
- 20
- ニ
- 売上金額
- ホ
- 利益金額
- へ
- 資本金等の額
- ト
- 3分の2
- チ
- 5分の4
- リ
- 全額
解答・解説を表示
解答
① ホ、② ハ、③ リ
解説
大会社の非上場株式評価では類似業種比準方式が原則となり、配当・利益・純資産の3要素を比準します。株式承継時の贈与税対策として、将来の値上がりを見越した相続時精算課税(一律20%課税・贈与時評価額で相続税精算)や、特例承継計画に基づく事業承継税制の特例(全株式・全額納税猶予)が用いられます。
解き方
- 類似業種比準価額の算定に用いられる3つの要素(配当・利益・純資産)を確認し、空欄①を特定する。
- 相続時精算課税制度の特別控除限度額(2,500万円)超過分に適用される一律の税率(20%)を確認し、空欄②を特定する。
- 事業承継税制の特例措置における納税猶予割合が全額(100%)であることを確認し、空欄③を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ホ
- 類似業種比準方式における3つの比準要素は、「1株当たりの配当金額」「1株当たりの利益金額」「1株当たりの純資産価額(簿価)」です。したがって空欄①には「利益金額」(ホ)が入ります。
- 小問 ②:ハ
- 相続時精算課税制度を選択した場合、特別控除額2,500万円(累計)を超える部分に対して一律20%の税率で贈与税が課されます。したがって空欄②には「20」(ハ)が入ります。
- 小問 ③:リ
- 事業承継税制の特例措置(特例承継計画に基づくもの)では、対象株式の全部(上限なし)について、贈与税の「全額」(100%)の納税が猶予されます(一般措置では発行済議決権株式総数の3分の2まで・納税猶予割合80%)。したがって空欄③には「全額」(リ)が入ります。
覚えるポイント
- 類似業種比準の3要素は「配当」「利益」「純資産」であること
- 相続時精算課税の特別控除は累計2,500万円、超える部分は一律20%課税であること
- 事業承継税制の特例措置は対象株式数制限なし・納税猶予割合が100%(全額)であること
間違えやすいところ
- 事業承継税制の一般措置(上限2/3、猶予割合80%)と特例措置(上限なし、猶予割合100%)の数値を混同しやすい点
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続対策(自筆証書遺言保管制度・生命保険金の非課税枠・小規模宅地等の特例)
相続・事業承継 · 自筆証書遺言書保管制度 / 死亡保険金の非課税限度額 / 小規模宅地等の特例
Aさんの相続等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「円滑な遺産分割のための手段として遺言の作成を検討してください。自筆証書遺言については、法務局における保管制度がありますが、当該制度を利用するためには証人2人以上の立会いが必要です」 ② 「納税資金の確保を目的として、契約者(=保険料負担者)および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を長男Cさんとする終身保険に加入することも検討事項の1つです。長男Cさんが受け取る死亡保険金は、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることで最大1,500万円が非課税となります」 ③ 「長男CさんがX社本社敷地を相続により取得し、特定同族会社事業用宅地等として『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、X社本社敷地は400㎡までを限度面積として、評価額の80%相当額を減額した金額を、相続税の課税価格に算入すべき価額とすることができます」
- ①
- 自筆証書遺言に係る法務局保管制度の利用には証人2人以上の立会いが必要である。
- ②
- 契約者・被保険者Aさん、受取人長男Cさんの終身保険の死亡保険金は最大1,500万円が非課税となる。
- ③
- 特定同族会社事業用宅地等として小規模宅地等の特例を適用する場合、限度面積400㎡まで80%減額できる。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ○
解説
自筆証書遺言書保管制度は証人の立会いが不要であり検認も免除されます。被相続人が保険料を負担していた生命保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」で算定されます。また、小規模宅地等の特例において、特定同族会社事業用宅地等は限度面積400㎡・減額割合80%が適用されます。
解き方
- 記述①:自筆証書遺言書保管制度の手続き要件(証人の要否)を確認し、公正証書遺言との相違から正誤を判断する。
- 記述②:Aさんの法定相続人の数(配偶者+子2人の計3人)を数え、生命保険金の非課税枠(500万円×3人=1,500万円)を算定して正誤を判断する。
- 記述③:特定同族会社事業用宅地等における小規模宅地等の特例の限度面積(400㎡)および減額割合(80%)を確認し、正誤を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 法務局(遺言書保管所)における自筆証書遺言書保管制度を利用する際、遺言者本人が自ら出頭して申請を行いますが、証人の立会いは不要です(公正証書遺言の作成には証人2人以上の立会いが必要です)。
- 小問 ②:○
- 相続人が受け取った死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」までの非課税限度額が設けられています。Aさんの法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの計3人であるため、非課税限度額は「500万円×3人=1,500万円」となります。
- 小問 ③:○
- 特定同族会社事業用宅地等に該当する場合、限度面積400㎡までについて評価額の80%を減額することができます。
覚えるポイント
- 自筆証書遺言書保管制度は遺言者本人が申請し証人は不要(検認も不要)
- 生命保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」
- 特定同族会社事業用宅地等・特定事業用宅地等の限度面積は400㎡・減額割合80%
間違えやすいところ
- 公正証書遺言の作成要件(証人2人以上必要)と自筆証書遺言書保管制度(証人不要)を混同しやすい点
- 特定居住用宅地等(330㎡・80%減額)と特定事業用宅地等・特定同族会社事業用宅地等(400㎡・80%減額)の限度面積を混同しやすい点
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
資産承継・相続 · 相続税の総額 / 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分 / 相続税の速算表
現時点(2022年1月23日)において、Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額を試算した表の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、相続税の課税価格の合計額は3億3,000万円とし、推定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの3人とする。解答の数値は万円単位とする。
解答・解説を表示
解答
① 4,800(万円) ② 3,940(万円) ③ 1,415(万円) ④ 6,770(万円)
解説
相続税の総額は、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いた課税遺産総額を、実際の分割割合に関わらず民法の法定相続分に従って按分し、各取得金額に速算表の税率を適用して算出した税額を合計して計算します。
解き方
- 法定相続人の数(妻・長男・長女の計3人)から基礎控除額(3,000万円+600万円×3=4,800万円)を求め、課税遺産総額(3億3,000万円-4,800万円=2億8,200万円)を算出する。
- 課税遺産総額を法定相続分(妻1/2、長男1/4、長女1/4)で按分し、それぞれの取得金額(妻1億4,100万円、子各7,050万円)を求める。
- 各人の取得金額に速算表の税率・控除額を適用して税額を算出し、それらを合計して相続税の総額(3,940万円+1,415万円+1,415万円=6,770万円)を求める。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は妻B、長男C、長女Dの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:3,940
- 課税遺産総額は3億3,000万円-4,800万円=2億8,200万円です。妻Bさんの法定相続分は1/2なので法定相続分に応ずる取得金額は1億4,100万円となり、速算表より税額は1億4,100万円×40%-1,700万円=3,940万円となります。
- ③:1,415
- 長女Dさんの法定相続分は1/4(1/2×1/2)なので法定相続分に応ずる取得金額は7,050万円となり、速算表より税額は7,050万円×30%-700万円=1,415万円となります。
- ④:6,770
- 長男Cさんの税額も長女Dさんと同様に1,415万円です。相続税の総額は各人の税額を合算して求められるため、3,940万円(妻B)+1,415万円(長男C)+1,415万円(長女D)=6,770万円となります。
覚えるポイント
- 遺産に係る基礎控除額の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」であること。
- 相続税の総額の計算では、実際の遺産分割割合ではなく法定相続分で仮に取得したものとして各税額を計算・合算すること。
間違えやすいところ
- 基礎控除額の計算で以前の旧基準(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)と取り違えないようにすること。
- 相続税の総額の計算段階で配偶者の税額軽減を適用して控除してしまわないよう注意すること(総額算出後の各人納付税額の計算で適用する)。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2022年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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