日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
公的年金制度における特別支給の老齢厚生年金および繰上げ支給
ライフプランニングと資金計画 · 特別支給の老齢厚生年金 / 在職老齢年金 / 老齢年金の繰上げ請求
Mさんは、Aさん(1962年4月13日生まれの女性)に対して、65歳になるまでに受給できる公的年金の老齢給付について説明した。次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。 ① 「1962年4月生まれのAさんは、61歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。また、仮に、X社の継続雇用制度を利用して63歳になるまで働き、同社退職後、再就職をしない場合、長期加入者の特例により、63歳から特別支給の老齢厚生年金の定額部分も受給することができます」 ② 「厚生年金保険の被保険者に支給される特別支給の老齢厚生年金は、当該被保険者の総報酬月額相当額と基本月額に応じて調整が行われますが、2022年4月以降、60歳台前半の在職老齢年金の仕組みが変更され、支給停止とならない範囲が拡大されます」 ③ 「Aさんが希望すれば、60歳から老齢基礎年金の繰上げ支給を請求することができます。2022年4月以降、繰上げによる当該年金額の減額率は引き上げられ、仮に、Aさんが61歳8カ月で老齢基礎年金の繰上げ支給を請求した場合、当該年金額の減額率は28%となります」
- ①
- 1962年4月生まれの女性であるAさんは61歳から特別支給の老齢厚生年金を受給でき、63歳退職後に長期加入者の特例により定額部分も受給できるとする説明。
- ②
- 2022年4月以降、60歳台前半の在職老齢年金の仕組みが変更され、特別支給の老齢厚生年金が支給停止とならない範囲が拡大されるとする説明。
- ③
- 2022年4月以降の法改正で繰上げによる年金額の減額率が引き上げられ、61歳8カ月で請求した場合の減額率が28%になるとする説明。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
公的年金制度の特別支給の老齢厚生年金は性別・生年月日により支給開始年齢が段階的に引き上げられており、女性は男性より5年遅れてスケジュールが設定されています。また、在職老齢年金の支給停止基準額や繰上げ請求時の減額率など、年金制度改正による変更点の正確な理解が問われます。
解き方
- Aさんの属性(1962年4月13日生まれの女性)を確認し、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢が63歳からであることを判定する。
- 2022年4月の年金制度改正における60歳台前半の在職老齢年金の支給停止基準額の引き上げ(47万円への緩和)の内容を確認する。
- 繰上げ請求における法改正の内容(1月当たり0.4%への減額率引き下げ)を確認し、誤りの有無を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 女性の特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢は男性より5年遅れて引き上げられており、1962年4月2日〜1964年4月1日生まれの女性は63歳から支給開始となります。したがって61歳から受給できるとする記述は誤りです。
- 小問 ②:○
- 2022年4月より、60歳〜64歳を対象とする低在職老齢年金の支給停止調整開始額が、従来の月額28万円から月額47万円へと引き上げられ、全額受給できる範囲が大幅に拡大されました。
- 小問 ③:×
- 2022年4月以降に60歳に達する者(1962年4月2日以降生まれ)について、年金の繰上げ減額率は月0.5%から月0.4%へ「引き下げ」られます。引き上げられるという説明および28%という減額率は誤りです。
覚えるポイント
- 女性の特別支給の老齢厚生年金の支給開始スケジュールは男性よりも5年遅いこと
- 2022年4月改正により低在職老齢年金の基準額が28万円から47万円へ緩和されたこと
- 繰上げ減額率は月0.5%から月0.4%へ引き下げられたこと
間違えやすいところ
- 設例の対象者が女性であることを看落とし、男性の受給開始年齢スケジュール(61歳開始)で誤って判断してしまうこと
- 年金の繰上げ減額率が0.4%へ緩和(引き下げ)されたことを「引き上げ」と読み違えてしまうこと
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等(2022年4月施行の年金制度改正事項を含む)
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
高年齢雇用継続基本給付金および健康保険の任意継続被保険者
ライフプランニングと資金計画 · 高年齢雇用継続基本給付金 / 雇用保険 / 任意継続被保険者 / 健康保険法
Mさんが説明した社会保険に係る各種の取扱いに関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉から選びなさい。 Ⅰ 「AさんがX社の継続雇用制度を利用し、60歳以後もX社に勤務した場合、Aさんは雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金を受給することができます。60歳以後の各月(支給対象月)に支払われる賃金額が60歳到達時の賃金月額の( ① )未満となる場合、高年齢雇用継続基本給付金の額は、支給対象月ごとに、賃金額の低下率に応じて一定の方法により算定されます」 Ⅱ 「Aさんが継続雇用制度を利用せず、X社を定年退職した場合、Aさんは、所定の手続を行うことにより、最長で( ② )年間、全国健康保険協会管掌健康保険に任意継続被保険者として加入することができます。なお、任意継続被保険者の保険料は、( ③ )負担します」 〈語句群〉 イ.2 ロ.3 ハ.5 ニ.75% ホ.80% ヘ.85% ト.Aさんと事業主が折半で チ.Aさんが全額を リ.事業主が全額を
- イ
- 2
- ロ
- 3
- ハ
- 5
- ニ
- 75%
- ホ
- 80%
- ヘ
- 85%
- ト
- Aさんと事業主が折半で
- チ
- Aさんが全額を
- リ
- 事業主が全額を
解答・解説を表示
解答
① ニ ② イ ③ チ
解説
雇用保険の高年齢雇用継続給付は、高齢者の就労促進を目的として60歳到達時の賃金から75%未満に低下した場合に支給されます。また、退職後の健康保険の任意継続被保険者制度は、資格喪失前の保険給付を最長2年間継続できる仕組みですが、保険料は在職中の労使折半から全額自己負担へと変わります。
解き方
- 高年齢雇用継続基本給付金の支給要件となる賃金低下率の基準が「60歳到達時賃金の75%未満」であることを確認し、空欄①に「ニ」を選択する。
- 健康保険の任意継続被保険者の最長加入可能期間が「2年間」であることを確認し、空欄②に「イ」を選択する。
- 任意継続被保険者の保険料は事業主折半ではなく「被保険者が全額負担」することを確認し、空欄③に「チ」を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ニ
- 雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以後の賃金額が60歳到達時賃金月額の75%未満に低下した場合に支給されます。
- 小問 ②:イ
- 健康保険の任意継続被保険者として加入できる期間は、任意継続被保険者となった日から起算して最長で2年間です。
- 小問 ③:チ
- 任意継続被保険者の保険料は事業主負担がなくなるため、被保険者であった本人が全額を自己負担して納付する必要があります。
覚えるポイント
- 高年齢雇用継続基本給付金の支給要件は「60歳到達時賃金月額の75%未満」
- 任意継続被保険者の加入期間は最長「2年」
- 任意継続被保険者の保険料は「全額自己負担」
間違えやすいところ
- 任意継続被保険者の保険料負担について、在職中と同様に事業主と折半と勘違いしてしまうこと
- 高年齢雇用継続給付の支給対象限度基準(75%)と最大支給率(賃金の15%)を混同してしまうこと
出題の前提:2021年10月1日現在施行の雇用保険法および健康保険法
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
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老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算 / 加給年金
Aさん(1962年4月13日生まれ、59歳)が60歳でX社を定年退職し、その後再就職せず継続雇用制度も利用しない場合、原則として65歳から受給できる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2021年度価額)について、計算の手順に従って空欄①~④に入る数値を求めなさい(円未満四捨五入)。 <公的年金加入歴(18歳~60歳:合計492月)> ・2003年3月以前:厚生年金保険264月(平均標準報酬月額28万円) ・2003年4月以後:厚生年金保険228月(平均標準報酬額40万円) ・20歳以上60歳未満の厚生年金保険被保険者期間は480月 <計算式・基準> ・老齢基礎年金満額:780,900円 ・経過的加算額=1,628円×被保険者期間の月数(上限480月)-780,900円×(20歳以上60歳未満の被保険者期間の月数/480) ・家族関係:29歳の長女Cさんと同居(配偶者なし)
解答・解説を表示
解答
① 780,900 ② 1,026,547 ③ 540 ④ 1,027,087
解説
老齢年金は、65歳から支給される老齢基礎年金と老齢厚生年金で構成されます。老齢厚生年金は報酬比例部分と経過的加算額からなり、要件を満たす配偶者や子がいる場合は加給年金が加算されます。
解き方
- 20歳以上60歳未満の厚生年金加入月数を確認し、老齢基礎年金額を計算する。
- 総報酬制導入前後の各期間について計算式を適用し、報酬比例部分の額を算出して合算・四捨五入する。
- 被保険者月数の上限(480月)に注意して経過的加算額を計算し、加給年金の対象者の有無を確認して老齢厚生年金額を求める。
答えの内訳
- ①:780,900
- 老齢基礎年金額は、780,900円×(保険料納付済月数480月/480)=780,900円となります。20歳以上60歳未満の厚生年金加入期間(第2号被保険者期間)は40年(480月)すべて満たしているため満額です。
- ②:1,026,547
- 報酬比例部分の額は、2003年3月以前分「280,000円×(7.125/1,000)×264月=526,680円」と、2003年4月以後分「400,000円×(5.481/1,000)×228月=499,867.2円」を合計した1,026,547.2円となり、円未満四捨五入により1,026,547円です。
- ③:540
- 経過的加算額は、定額部分「1,628円×480月(厚生年金被保険者期間の上限480月)=781,440円」から、控除額「780,900円×(480月/480)=780,900円」を差し引いた、781,440円-780,900円=540円となります。
- ④:1,027,087
- 基本年金額は報酬比例部分1,026,547円+経過的加算540円=1,027,087円です。長女Cさんは29歳で加給年金の対象外であり配偶者もいないため、加給年金は加算されず、老齢厚生年金の年金額は1,027,087円となります。
覚えるポイント
- 経過的加算の定額部分の乗算月数は上限480月である点に注意する。
- 加給年金の対象となる子は、18歳到達年度末までの子または障害等級1・2級の20歳未満の子に限られる。
間違えやすいところ
- 経過的加算の定額部分の計算で、総月数492月を上限の480月に置き換えずにそのまま掛けてしまうミスが多い。
- 高校卒業後(18歳~20歳未満)の厚生年金加入期間を、老齢基礎年金の計算の基礎となる20歳以上60歳未満の月数に誤って算入してしまう。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等(2021年度価額)
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ROEおよび配当利回りの計算
金融資産運用 · ROE(自己資本当期純利益率) / 配当利回り / 財務指標分析
X社株式の関連情報(株価4,800円、発行済株式数1,000万株)および財務データに基づき、次の①・②を計算しなさい。なお、小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで解答すること。 <財務データ(百万円)> ・純資産(自己資本):85期 40,000、86期 45,000 ・当期純利益:86期 4,000 ・配当金総額:86期 2,000 ① 86期におけるROE(自己資本は85期と86期の平均を用いること) ② 86期における配当利回り
解答・解説を表示
解答
① 9.41 ② 4.17
解説
ROE(自己資本当期純利益率)は株主資本を使ってどれだけ効率的に利益を上げたかを示す指標で「当期純利益÷自己資本×100」で求められます。配当利回りは投資額に対する受取配当金の割合を示す指標で「1株当たり年間配当金÷株価×100」で算出します。
解き方
- 前期末(85期)と当期末(86期)の自己資本から期中平均自己資本を算出し、当期純利益を割ってROEを算出する。
- 当期の配当金総額を発行済株式数で割って1株当たり配当金を求め、株価で割って配当利回りを算出する。
- 指示に従い、各指標の小数点以下第3位を四捨五入して小数点以下第2位まで求める。
答えの内訳
- ①:9.41
- 86期の自己資本の平均は(40,000百万円+45,000百万円)÷2=42,500百万円です。ROE=当期純利益4,000百万円÷期中平均自己資本42,500百万円×100=9.4117…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して9.41%となります。
- ②:4.17
- 86期の1株当たり年間配当金は、配当金総額2,000百万円÷発行済株式数10百万株(1,000万株)=200円です。配当利回り=1株当たり配当金200円÷株価4,800円×100=4.1666…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して4.17%となります。
覚えるポイント
- ROEの計算で自己資本の指定がある場合、期中平均自己資本(前期と当期の平均)を用いる点を確認する。
- 配当利回りは「配当金総額÷時価総額×100」でも「1株当たり配当金÷株価×100」でも同じ結果が得られる。
間違えやすいところ
- ROEの自己資本に期中平均ではなく当期末(86期)の数値(45,000百万円)のみを用いてしまう計算ミス。
- 発行済株式数(1,000万株)と財務データの単位(百万円)の単位換算を誤ってしまう。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資の留意点(PBR・権利確定日と受渡日・NISA)
金融資産運用 · PBR / 受渡期日 / 一般NISA / つみたてNISA
ファイナンシャル・プランナーのMさんがAさんに対して説明した、X社株式を購入する際の留意点等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「X社株式のPBRは1倍を下回っていますが、PBRの1倍割れだけをもって割安と判断するのは注意する必要があります。PERなどの他の投資指標についても比較検討するなど、多角的な視点が望まれます」 ② 「上場株式の配当を受け取るためには、権利確定日に株主として株主名簿に記載される必要があります。X社株式については、普通取引により、権利確定日の2営業日前である2022年3月29日(火)までに買付けを行えば、次回の配当を受け取ることができます」 ③ 「X社株式を購入する場合、一般NISAまたはつみたてNISAのいずれかを利用することができます。2022年中に一般NISA勘定に受け入れることができる金額は120万円、同年中につみたてNISA勘定に受け入れることができる金額は40万円が上限です」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
株式投資にあたっては、株価純資産倍率(PBR)などの財務指標に基づいた企業価値の評価、権利確定日の2営業日前(権利付最終日)までの約定による配当受領権の確保、ならびに個別株式投資に利用可能な非課税制度(一般NISAは可能、つみたてNISAは投資信託等に限定)の正確な理解が求められます。
解き方
- 設例の純資産と発行済株式数から1株当たり純資産を算出し、株価と比較してPBRが1倍を下回っているかを検証する。
- 約定日から受渡日までの日数関係(2営業日後受渡)を確認し、権利確定日に株主名簿に記載されるための買付期限を判定する。
- 一般NISAとつみたてNISAの対象商品の違いを確認し、個別上場株式につみたてNISAが適用可能かを判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 86期の1株当たり純資産は45,000百万円÷1,000万株=4,500円であり、株価4,800円で計算したPBRは約1.07倍となり1倍を下回っていません。
- 小問 ②:○
- 上場株式の普通取引は売買成立日を含めて3営業日目(2営業日後)に受け渡されるため、権利確定日(3月31日)の2営業日前である3月29日までに買い付けることで配当受領権を得られます。
- 小問 ③:×
- つみたてNISAの対象商品は要件を満たす一定の公募株式投資信託およびETFに限定されており、個別の上場株式の買付けに利用することはできません。
覚えるポイント
- PBRは「株価÷1株当たり純資産(BPS)」で算出し、1倍を下回ると解散価値を下回り割安とされる。
- 株式の受渡日は約定日から起算して3営業日目(2営業日後)のため、権利付最終日は権利確定日の2営業日前となる。
間違えやすいところ
- つみたてNISAでも一般NISAと同様に個別の上場株式を購入できると混同しやすい。
- 権利付最終日を権利確定日の前営業日(1営業日前)と誤認しないよう注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
昨今の投資事情(ポイント投資・インサイダー取引規制・特定口座の税率)
金融資産運用 · ポイント投資 / インサイダー取引規制 / 特定口座 / 株式等譲渡益課税
ファイナンシャル・プランナーのMさんがAさんに対して説明した、昨今の投資事情等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「昨今、クレジットカード決済で『積立型』の投資信託や上場株式を購入し、ポイントが付与されるサービスや、付与されたポイント相当額で、証券会社に開設した口座を通じて投資信託等に投資することができるサービスが展開されています」 ② 「法人の内部情報を知りうる特別な立場にある者が、決算予想値の大幅な修正等の未公表の重要事実に基づき、当該法人の上場株式、J-REIT、上場インフラファンドの売買を行うことについても、金融商品取引法上、インサイダー取引に該当し、禁止されています」 ③ 「仮に、Aさんが特定口座(源泉徴収あり)においてX社株式を株価4,800円で200株購入し、同年中に株価5,300円で全株売却した場合、その他の取引や手数料等を考慮しなければ、売却益10万円に対して10.21%相当額が源泉徴収等されます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
昨今の資産運用実務においては、キャッシュレス決済やポイント制度を利用した投資サービスの普及状況を把握するとともに、上場株式・J-REIT・上場インフラファンドに適用されるインサイダー取引規制の範囲、および特定口座(源泉徴収あり)における譲渡益への課税税率(一律20.315%)等の基本法規を正確に押さえる必要があります。
解き方
- 近年の証券取引で普及しているクレジットカード決済による積立やポイント投資サービスの提供実態を確認する。
- 金融商品取引法における内部者取引規制(インサイダー取引規制)の対象有価証券にJ-REITや上場インフラファンドが含まれるかを判定する。
- 特定口座(源泉徴収あり)において上場株式の譲渡益に課される所得税・復興特別所得税・住民税の合計税率(20.315%)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- クレジットカード決済による積立投資でのポイント付与や、保有ポイント相当額を活用して投資信託等を購入するサービスが広く展開されています。
- 小問 ②:○
- 金融商品取引法におけるインサイダー取引規制は上場株式だけでなく、J-REIT(不動産投資信託証券)や上場インフラファンドの投資口などの取引にも適用されます。
- 小問 ③:×
- 上場株式等の売却益に対する源泉徴収税率は、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%を合計した20.315%であり、10.21%ではありません。
覚えるポイント
- 上場株式等の譲渡益に対する課税割合は、所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%を合わせた20.315%である。
- インサイダー取引規制の対象には、上場株式だけでなくJ-REITや上場インフラファンド等も含まれる。
間違えやすいところ
- 10.21%は給与所得以外の報酬・料金等の源泉徴収税率であり、株式譲渡所得の源泉徴収税率(20.315%)と混同しやすい。
- インサイダー取引規制の対象は一般事業法人の株式に限定され、投資法人(J-REIT等)の投資口は対象外であると誤解しやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の金額
AさんがX社から受け取った退職金2,700万円に係る退職所得の金額を計算した次の計算式の空欄①~③に入る数値を求めなさい。なお、Aさんは勤続年数36年8カ月で定年退職し、「退職所得の受給に関する申告書」を提出しており、障害者となったことが退職の直接の原因ではない。 <退職所得控除額> ( ① )万円+□□□万円×(□□□年-20年)=( ② )万円 <退職所得の金額> (2,700万円-( ② )万円)×□□□=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 800、② 1,990、③ 355
解説
退職所得控除額は、勤続年数20年以下の期間は1年につき40万円(最低80万円)、20年を超える期間は1年につき70万円を加算して計算し、勤続年数の端数は1年に切り上げます。原則として(収入金額-退職所得控除額)×1/2により退職所得の金額を求めます。
解き方
- 勤続年数36年8カ月の端数を切り上げて37年とする。
- 退職所得控除額を計算する:40万円×20年+70万円×(37年-20年)=800万円+1,190万円=1,990万円。
- 退職所得の金額を計算する:(2,700万円-1,990万円)×1/2=355万円。
答えの内訳
- ①:800
- 勤続年数が20年を超える場合、20年以下の期間に対応する控除額は40万円×20年=800万円となります。
- ②:1,990
- 勤続年数は36年8カ月であり、端数を切り上げて37年と計算します。退職所得控除額は800万円+70万円×(37年-20年)=800万円+1,190万円=1,990万円となります。
- ③:355
- 退職所得の金額は、(退職手当等の収入金額2,700万円-退職所得控除額1,990万円)×1/2=710万円×1/2=355万円となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の1年未満の端数は1年に切り上げて年数を算出する点
- 勤続20年超の退職所得控除額の計算式は800万円+70万円×(勤続年数-20年)
間違えやすいところ
- 勤続年数の月数を切り捨てて36年としてしまう計算ミス
- 退職所得の計算時に2分の1を掛け忘れて710万円としてしまうミス
出題の前提:2021年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一時所得および総所得金額の計算
タックスプランニング · 一時所得 / 給与所得 / 不動産所得の損益通算 / 総所得金額
Aさんの2021年分の所得金額について、①総所得金額に算入される一時所得の金額、②総所得金額をそれぞれ万円単位で求めなさい。 <Aさんの2021年分の状況> ・給与収入:900万円 ・不動産所得:▲100万円(損失100万円のうち土地取得に係る負債利子10万円を含む) ・一時払変額個人年金保険(10年確定年金、2013年5月契約)の解約返戻金:600万円、払込保険料:500万円 ・退職金:2,700万円(退職所得) ※所得金額調整控除の適用対象者に該当する場合は控除すること。
解答・解説を表示
解答
① 25、② 635
解説
総所得金額は、総合課税の各種所得金額(給与所得、不動産所得、一時所得の1/2など)を合計して算出します。不動産所得の損失のうち土地取得に要した負債の利子に相当する部分は損益通算の対象外となります。また、給与等の収入金額が850万円を超え、23歳未満の扶養親族を有する場合等は所得金額調整控除が適用されます。
解き方
- 一時所得の金額を計算する:600万円-500万円-50万円=50万円。総所得金額算入額は50万円×1/2=25万円。
- 給与所得控除後の給与等の金額を計算する:900万円-195万円=705万円。21歳の長女(生計一の親族・収入0)がいるため所得金額調整控除が適用され、控除額は(900万円-850万円)×10%=5万円。したがって給与所得は705万円-5万円=700万円。
- 不動産所得の損益通算対象額を計算する:損失100万円のうち土地取得借入金利子10万円を除いた90万円を他の黒字から控除。
- 総所得金額を合算する:給与所得700万円-不動産損失通算90万円+一時所得の1/2算入額25万円=635万円。
答えの内訳
- ①:25
- 一時払変額個人年金保険(契約後5年超経過)の解約返戻金は一時所得となります。一時所得の金額は600万円-500万円-特別控除50万円=50万円であり、総所得金額に算入される額はその2分の1の25万円となります。
- ②:635
- 給与所得控除額は上限の195万円で、所得金額調整控除の適用要件(特別障害者該当または23歳未満の扶養親族等の有無:長女Cさんは21歳で生計を一にする扶養親族)を満たすため、調整控除額(900万円-850万円)×10%=5万円を控除し、給与所得は900万円-195万円-5万円=700万円。不動産所得の損失100万円のうち土地負債利子10万円を除いた90万円を損益通算するため、総所得金額は700万円-90万円+25万円(一時所得の1/2)=635万円となります。
覚えるポイント
- 不動産所得の赤字のうち土地の取得に係る借入金利子は損益通算の対象外
- 給与収入850万円超で23歳未満の扶養親族等がいる場合の所得金額調整控除の計算式:(給与収入-850万円)×10%(上限15万円)
間違えやすいところ
- 一時所得の総所得金額算入時に2分の1にするのを忘れるミス
- 所得金額調整控除の適用対象(23歳未満の親族)であることを見落とし、控除を忘れるミス
- 不動産所得の損失全額(100万円)を通算してしまうミス
出題の前提:2021年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の所得控除(基礎控除・配偶者控除・扶養控除)
タックスプランニング · 基礎控除 / 配偶者控除 / 特定扶養親族 / 扶養控除
Aさんの2021年分の所得税における所得控除に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「Aさんが適用を受けることができる基礎控除の額は、38万円です」 ② 「Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の額は、48万円です」 ③ 「Aさんが適用を受けることができる長女Cさんに係る扶養控除の額は、63万円です」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
所得税の所得控除では、納税者本人の合計所得金額や控除対象親族等の年齢・合計所得金額に応じて控除額が細かく定められています。特に基礎控除の一律48万円(2,400万円以下)、一般の控除対象配偶者に係る配偶者控除の38万円、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)に係る扶養控除の63万円の各金額を正確に把握しておく必要があります。
解き方
- 納税者本人(Aさん)および親族(妻Bさん、長女Cさん)の2021年12月31日時点における年齢および合計所得金額を確認する。
- 基礎控除・配偶者控除・扶養控除の各要件に当てはめ、適用される控除額を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 2020年分の税制改正により、基礎控除の額は合計所得金額2,400万円以下の納税者については48万円(従来の38万円から引き上げ)とされています。
- 小問 ②:×
- 控除対象配偶者(70歳未満)に係る配偶者控除の額は、控除を受ける納税者の合計所得金額が900万円以下の場合は38万円(48万円ではない)となります。
- 小問 ③:○
- 長女Cさんは2021年12月31日時点で21歳であり、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)に該当するため、適用される扶養控除の額は63万円となります。
覚えるポイント
- 基礎控除は合計所得金額2,400万円以下で48万円(2020年分以降)。
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の扶養控除額は63万円。
間違えやすいところ
- 税制改正前の基礎控除額38万円と混同しないように注意する。
- 配偶者控除の最高額(38万円)と配偶者特別控除の最高額等を混同しないように注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の税制・法令
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく建築面積および延べ面積の最高限度計算
不動産 · 建蔽率の緩和 / 指定角地 / 準防火地域 / 耐火建築物 / 容積率の制限 / 前面道路幅員
設例の甲土地(敷地面積600㎡、用途地域:第一種住居地域、指定建蔽率:60%、指定容積率:300%、準防火地域、特定行政庁が指定する角地、前面道路:北側市道幅員7m・東側市道幅員5m)上に耐火建築物を建築する場合における、次の①建蔽率の上限となる建築面積、および②容積率の上限となる延べ面積をそれぞれ求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 480 ② 1,680
解説
建築基準法において、建築面積の上限は敷地面積に適用される建蔽率の最高限度を乗じて求め、延べ面積の上限は敷地面積に適用される容積率の最高限度を乗じて求めます。建蔽率は角地指定や防火規制地域における耐火建築物等の要件により緩和され、容積率は指定容積率と前面道路幅員制限のいずれか小さい方が適用されます。
解き方
- 建蔽率を求める:指定建蔽率60%に、特定行政庁が指定する角地の緩和(+10%)および準防火地域内の耐火建築物の緩和(+10%)を加え、適用建蔽率80%を算出する。建築面積上限=600㎡×80%=480㎡。
- 容積率を求める:2つの前面道路(7m、5m)のうち広い方である7mを採用し、住居系地域の乗数4/10を乗じて280%を算出する。指定容積率300%と道路幅員制限280%のうち小さい方の280%を基準容積率とする。延べ面積上限=600㎡×280%=1,680㎡。
答えの内訳
- ①:480
- 建蔽率は、特定行政庁が指定する角地であるため+10%、準防火地域内における耐火建築物の建築であるため+10%の緩和が適用され、合計80%(60%+10%+10%)となります。建築面積の上限は、600㎡×80%=480㎡です。
- ②:1,680
- 前面道路幅員は広い方の7mを採用し、住居系地域の法定乗数4/10を乗じると7m×4/10=280%となります。指定容積率300%と比較して小さい280%が基準容積率となり、延べ面積の上限は600㎡×280%=1,680㎡です。
覚えるポイント
- 準防火地域内の耐火建築物(または準耐火建築物等)の建築による建蔽率緩和は+10%。
- 前面道路が2つ以上ある場合、幅員の最大値を用いて道路幅員による容積率制限を計算する。
間違えやすいところ
- 道路幅員制限の計算で狭い方の道路(5m)を用いてしまわないよう注意する。
- 準防火地域内の耐火建築物に対する建蔽率緩和(+10%)の適用を見落とさないようにする。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の建築基準法
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
不動産 · 空き家に係る譲渡所得の特別控除 / 相続税の取得費加算の特例
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例(本特例)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「本特例の適用を受けるためには、相続した家屋について、1981年5月31日以前に建築されたこと、相続開始直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったことなどの要件を満たす必要があります」 ② 「本特例の適用を受けるためには、家屋を取り壊して更地で譲渡するか、または、家屋を一定の耐震基準を満たすようにリフォームしてから、その家屋のみを譲渡するか、もしくはその家屋とともに敷地を譲渡する必要があります」 ③ 「本特例と相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(相続税の取得費加算の特例)は、重複して適用を受けることができます」
- ○
- 適切な記述である
- ×
- 不適切な記述である
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
被相続人の居住用財産(空き家)を売却した際の3,000万円特別控除の特例は、旧耐震基準の建物の耐震改修または除却後の敷地売却を促す制度であり、建物のみの譲渡や他特例との重複適用は認められていません。
解き方
- 家屋の建築時期(1981年5月31日以前)や居住要件(一人暮らし)の適用要件を確認する。
- 譲渡の態様(家屋と敷地を共に譲渡、または更地にして譲渡)および他特例(取得費加算の特例)との選択適用関係を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 本特例の対象となる被相続人居住用家屋は、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋(旧耐震基準)であり、かつ相続開始の直前において被相続人以外に居住していた者がいなかったこと(一人暮らし)等の要件を満たす必要があります。
- 小問 ②:×
- 本特例は、耐震基準を満たした家屋とその敷地等を譲渡するか、または家屋を取り壊した後の敷地等(更地)を譲渡する場合に適用されます。「家屋のみを譲渡する」場合には適用を受けることができません。
- 小問 ③:×
- 本特例(空き家の3,000万円特別控除)と、相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(相続税の取得費加算の特例)は選択適用とされており、同一の譲渡資産について重複して適用を受けることはできません。
覚えるポイント
- 空き家特例は1981年5月31日以前建築(旧耐震)の一人暮らし家屋が対象であること
- 家屋のみの譲渡は特例対象外であり、敷地とともに譲渡するか取り壊して敷地を譲渡する必要があること
- 空き家特例と相続税の取得費加算の特例は重複適用できず選択適用であること
間違えやすいところ
- 家屋のみをリフォームして売却しても特例の対象になると誤認すること
- 相続税の取得費加算の特例と併用できると混同すること
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第35条第3項等)
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
借地借家法上の事業用定期借地権等
不動産 · 事業用定期借地権等 / 定期借地権の契約方式 / 貸宅地の相続税評価
借地借家法の事業用定期借地権等に係る借地契約に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のなかから選び、その記号を答えなさい。 「事業用定期借地権等は、事業用に限定して土地を定期で貸し出す方式です。事業用定期借地権等は、存続期間が10年以上( ① )年未満の事業用借地権と( ① )年以上50年未満の事業用定期借地権に区別されます。事業用定期借地権等の設定契約は、公正証書( ② )。 仮に、Z社が、事業用定期借地権等が設定された甲土地にデイサービス(通所介護)の施設を建設した後に、Aさんに相続が開始した場合、相続税額の計算上、甲土地は( ③ )として評価されます」 〈語句群〉 イ.20 ロ.25 ハ.30 ニ.により作成しなければなりません ホ.による等書面により作成します ヘ.自用地 ト.貸宅地 チ.貸家建付地
- イ
- 20
- ロ
- 25
- ハ
- 30
- ニ
- により作成しなければなりません
- ホ
- による等書面により作成します
- ヘ
- 自用地
- ト
- 貸宅地
- チ
- 貸家建付地
解答・解説を表示
解答
① ハ ② ニ ③ ト
解説
事業用定期借地権等は専ら事業用に供する建物の所有を目的とする借地権で、存続期間の境界は30年であり、契約方式は厳格に公正証書による必要があります。また、借地権が設定された土地は貸宅地として評価されます。
解き方
- 事業用定期借地権等の存続期間(10年以上30年未満、30年以上50年未満)の区分の数値を確認する。
- 事業用定期借地権等の設定契約方式(公正証書限定)を確認する。
- 借地人が建物を建築・所有している場合の底地の相続税評価区分(貸宅地)を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 借地借家法上の事業用定期借地権等は、存続期間が10年以上30年未満のもの(法23条2項)と、30年以上50年未満のもの(法23条1項)に区分されます。したがって空欄①には「30」が入ります。
- 小問 ②:ニ
- 一般定期借地権の設定契約は「公正証書による等書面」で足りますが、事業用定期借地権等の設定契約は「公正証書により作成しなければならない」と定められています。
- 小問 ③:ト
- 借地権が設定され、借地人が自己の所有する建物を建築・運営している土地は、土地所有者の相続税評価上、「貸宅地」として自用地評価額から借地権相当額を控除して評価されます。
覚えるポイント
- 事業用定期借地権等の存続期間は10年以上50年未満(境界は30年)
- 事業用定期借地権等の契約は公正証書が絶対要件(書面だけでは無効)
- 土地を他人に貸して他人の建物が建つ土地は「貸宅地」
間違えやすいところ
- 一般定期借地権(50年以上・公正証書等の書面)と事業用定期借地権(10年以上50年未満・公正証書必須)の要件を混同すること
- 貸宅地と貸家建付地(自己所有の賃貸物件が建つ敷地)の定義を混同すること
出題の前提:2021年10月1日現在施行の借地借家法第23条および財産評価基本通達
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生前贈与における贈与税額の計算および教育資金の一括贈与非課税制度
相続・事業承継 · 贈与税の計算(特例贈与財産) / 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
次の生前贈与に関する文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 Ⅰ 「仮に、長女Cさんが暦年課税(各種非課税制度の適用はない)により、2022年中にAさんから現金750万円の贈与を受けた場合、その贈与税額は( ① )万円となります」 Ⅱ 「仮に、孫Eさんや孫Fさんが、2022年中にAさんから教育資金の贈与を受け、『直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度』の適用を受けた場合、受贈者1人につき( ② )万円までの金額に相当する部分の価額については、贈与税が非課税となります。ただし、学習塾などの学校等以外の者に対して直接支払われる金銭については、□□□万円が限度となります。 なお、教育資金管理契約期間中にAさんが死亡した場合、教育資金管理契約に係る非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額(管理残額)があるときは、その死亡の日において、孫Eさんや孫Fさんが( ③ )歳未満である等の一定の場合を除き、その残額は、相続税の課税の対象となります」
解答・解説を表示
解答
① 102、② 1,500、③ 23
解説
暦年課税では受贈者が贈与年の1月1日時点で成人かつ直系卑属の場合に特例税率が適用され、教育資金一括贈与特例では1,500万円を限度に非課税となります。
解き方
- 受贈者(長女Cさん)の属性・年齢を確認し、特例贈与財産として基礎控除110万円を差し引いた課税価格から贈与税額を算出する。
- 教育資金の一括贈与非課税制度の受贈者1人あたりの非課税限度額(1,500万円)と、贈与者死亡時の管理残額の課税除外要件(23歳未満等)を確認する。
答えの内訳
- ①:102
- 直系尊属(父Aさん・69歳)から贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上である直系卑属(長女Cさん・40歳)への贈与であるため「特例贈与財産」の税率が適用されます。課税価格は750万円-基礎控除110万円=640万円です。速算表より「600万円超1,000万円以下」の税率30%、控除額90万円を適用し、640万円×30%-90万円=102万円となります。
- ②:1,500
- 「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」において、受贈者1人あたりの非課税限度額は最大1,500万円です。なお、学校等以外の習い事等に直接支払われる金銭については500万円が限度となります。
- ③:23
- 信託等の契約期間中に贈与者が死亡した場合、原則として管理残額が相続税の課税対象となりますが、死亡日において受贈者が23歳未満である場合や、学校等に在学している場合などは相続税の課税対象から除外されます。
覚えるポイント
- 特例贈与財産は直系尊属からその年の1月1日において成人である直系卑属への贈与に適用される。
- 教育資金一括贈与の非課税枠は最高1,500万円(学校等以外は最高500万円)。
- 教育資金管理契約中の贈与者死亡時、受贈者が23歳未満や学校在学中等の場合は残額への相続税課税が免除される。
間違えやすいところ
- 特例贈与財産の税率を適用すべきところで、一般贈与財産の税率(40%-125万円=131万円)を誤って使ってしまう。
- 教育資金一括贈与において、全体の限度額1,500万円と学校等以外の限度額500万円を混同する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続時精算課税制度の適用要件と仕組み
相続・事業承継 · 相続時精算課税制度の特別控除額 / 相続時精算課税の撤回不可ルール / 相続時精算課税の受贈者要件
相続時精算課税制度(以下、「本制度」という)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① 「Aさんから贈与を受けた長女Cさんが本制度を選択した場合、累計で2,500万円までの贈与について贈与税は課されませんが、その額を超える部分については、一律20%の税率により贈与税が課されます」 ② 「Aさんから贈与を受けた長女Cさんが本制度を選択した場合、その後に行われるAさんからの贈与については、暦年課税を選択することができません」 ③ 「本制度における受贈者は、贈与を受けた年の1月1日において15歳以上でなければなりません。したがって、現時点においてAさんが孫Eさんに現金を贈与する場合、孫Eさんは本制度を活用することができます」
解答・解説を表示
解答
① ○、② ○、③ ×
解説
相続時精算課税制度は60歳以上の父母・祖父母から一定年齢以上の直系卑属への贈与に適用され、累計2,500万円まで特別控除が認められますが、一度選択すると暦年課税に戻すことはできません。
解き方
- 記述①について、相続時精算課税制度の特別控除額(累計2,500万円)および超過分の税率(一律20%)を確認して真偽を判断する。
- 記述②について、相続時精算課税制度を選択した後の暦年課税への変更可否(撤回不可)を確認して真偽を判断する。
- 記述③について、受贈者の年齢要件(贈与年の1月1日現在で20歳以上)を確認し、15歳の孫Eさんに適用可能か判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 相続時精算課税制度を選択した場合、同一の贈与者からの贈与について特別控除額(累計2,500万円)までは贈与税が非課税となり、2,500万円を超えた部分については一律20%の税率で贈与税が課されます。
- 小問 ②:○
- 一度相続時精算課税制度を選択すると、その後同一の贈与者からの贈与については、途中で暦年課税に変更することはできません(選択後は撤回不可)。
- 小問 ③:×
- 本制度の受贈者の要件は、贈与を受けた年の1月1日において原則として20歳以上(2022年4月1日以後は18歳以上)の直系卑属である子や孫です。「15歳以上」ではないため、15歳である孫Eさんは本制度を利用できません。
覚えるポイント
- 相続時精算課税の特別控除額は同一贈与者ごとに累計2,500万円、超過部分は一律20%課税。
- 相続時精算課税を選択すると、その後の同一贈与者からの贈与で暦年課税に戻ることはできない。
- 相続時精算課税の受贈者要件は贈与年の1月1日時点で成人(試験基準日時点で20歳以上)の直系卑属である子・孫。
間違えやすいところ
- 相続時精算課税を選択した年以降でも、暦年課税に戻れると誤認してしまう。
- 受贈者の年齢要件を15歳以上や16歳以上などと他の制度の要件と混同してしまう。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の非課税限度額・基礎控除・小規模宅地等の特例
相続・事業承継 · 死亡保険金の非課税金額 / 遺産に係る基礎控除額 / 小規模宅地等の特例
Aさんの相続が2022年1月23日時点で開始した場合における次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。なお、特別養子縁組以外の縁組による養子を普通養子とする。 ① 仮に、契約者(=保険料負担者)および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を長女Cさんとする終身保険のみに加入していた場合、長女Cさんが受け取る死亡保険金は、相続税法における死亡保険金の非課税金額の規定により最大1,000万円が非課税となる。 ② 仮に、Aさんが相続開始前に孫Eさんと孫Fさんを普通養子としていた場合、Aさんの相続税額の計算上、遺産に係る基礎控除額は5,400万円になる。 ③ 仮に、妻Bさんが自宅の敷地と建物を相続し、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた場合、自宅の敷地(敷地面積400㎡、相続税評価額8,000万円)について、相続税の課税価格に算入すべき価額は1,600万円となる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
相続税の計算では、法定相続人の数に基づく非課税枠や基礎控除額の算定ルール、および小規模宅地等の特例における適用対象面積の上限(特定居住用宅地等は330㎡)を正確に適用することが基本原則となります。
解き方
- 法定相続人の構成(実子の有無と養子の算入制限)を確認し、死亡保険金の非課税限度額および遺産に係る基礎控除額を算出する。
- 小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)について、限度面積330㎡と敷地全体の面積を比較し、減額額および課税価格算入額を計算して各記述の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 被相続人の死亡によって取得した生命保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」で計算されます。Aさんの法定相続人は妻Bさんと長女Cさんの計2人であるため、非課税限度額は500万円×2人=1,000万円となり、記述は適切です。
- 小問 ②:×
- 遺産に係る基礎控除額の計算上、被相続人に実子がいる場合、法定相続人の数に算入できる養子の数は1人までに制限されます。したがって法定相続人の数は妻Bさん、実子Cさん、養子1人の計3人となり、基礎控除額は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」となるため、5,400万円とする記述は誤りです。
- 小問 ③:×
- 特定居住用宅地等に係る小規模宅地等の特例は、限度面積が330㎡まで(減額割合80%)と定められています。本問の自宅敷地(400㎡)では全額に特例が適用されるわけではなく、減額対象は330㎡分となるため、課税価格に算入すべき価額は「8,000万円-8,000万円×(330㎡/400㎡)×80%=2,720万円」となり、1,600万円とする記述は誤りです。
覚えるポイント
- 被相続人に実子がいる場合、相続税法上の法定相続人の数に含められる養子は1人まで(実子がいない場合は2人まで)。
- 特定居住用宅地等の限度面積は330㎡、減額割合は80%であり、限度面積を超える部分は減額されない。
間違えやすいところ
- 小規模宅地等の特例で敷地面積が限度面積330㎡を超えているにもかかわらず、敷地全体(400㎡)に80%減額を掛けて計算してしまうミスに注意する。
- 民法上の養子縁組数と、相続税法上カウントできる養子の制限人数(実子ありなら1人)を混同しないように注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2022年1月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

