日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の概要
遺族基礎年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 遺族基礎年金 / 子の加算 / 公的年金
個人事業主であるAさん(国民年金第1号被保険者)が現時点(2022年1月23日)で死亡した場合に、生計を同一にしていた妻Bさんに支給される遺族基礎年金の見込額について、次の期間に応じた年金額をそれぞれ求めなさい。なお、年金額は2021年度価額に基づき、子の加算額は第1子・第2子は各224,700円、第3子以降は各74,900円とする。①受給開始から長女Cさん(5歳)が18歳に到達する年度の末日までの年額、②長女Cさんの加算終了後、長男Dさん(3歳)が18歳に到達する年度の末日までの年額。
解答・解説を表示
解答
① 1,230,300(円)、② 1,005,600(円)
解説
遺族基礎年金は、国民年金の被保険者等が死亡したときに、生計を維持されていた「子のいる配偶者」または「子」に支給されます。受給対象となる子は原則18歳到達年度の末日(3月31日)までの間にある未婚の子です。年金額は基本額に子の加算額を合算して算定され、第1子・第2子と第3子以降で加算額が異なります。
解き方
- 2021年度における遺族基礎年金の基本額(780,900円)と子の加算額(第1子・第2子は各224,700円)を確認します。
- 長女Cさんが18歳年度末までの期間は子2人分の加算を合算し、その後長男Dさんが18歳年度末までの期間は子1人分の加算を合算して計算します。
答えの内訳
- ①:1,230,300(円)
- 遺族基礎年金の基本額780,900円に、子2人分(長女Cさん・長男Dさん)の加算額(224,700円×2=449,400円)を加算して、780,900円+449,400円=1,230,300円となります。
- ②:1,005,600(円)
- 長女Cさんが18歳到達年度末を過ぎると加算対象から外れ、対象となる子は長男Dさんの1人のみとなるため、基本額780,900円+加算額224,700円=1,005,600円となります。
覚えるポイント
- 遺族基礎年金の子の加算額は第1子・第2子が各224,700円、第3子以降が各74,900円(2021年度価額)です。
間違えやすいところ
- 子が18歳を迎えた時点で加算が外れるのではなく、18歳に到達した年度の末日(3月31日)まで支給される点に注意が必要です。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等および2021年度価額に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自営業者の老後資金準備制度(国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済)
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金基金 / 付加年金 / iDeCo / 小規模企業共済 / 税務
自営業者の老後資金を増やすための各種制度(国民年金基金、iDeCo、小規模企業共済)に関する次の記述①〜③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。①「国民年金の第1号被保険者は国民年金基金に加入でき、基金に加入しながら国民年金の付加保険料を納付すると老後資金をさらに増やせる。」②「iDeCoに加入して将来年金として受け取る老齢給付金は、公的年金等控除を控除した金額が雑所得として課税対象となる。」③「小規模企業共済に加入し廃業により一括で受け取る共済金は、所得税法上退職所得として課税対象となる。」
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ○
解説
個人事業主等の第1号被保険者が利用できる老後資金準備制度には、国民年金基金、iDeCo(個人型確定拠出年金)、小規模企業共済などがあります。国民年金基金は付加年金を代行・拡充する性質を持つため付加保険料との併用はできません。また、各制度で受け取る給付金の税務上の区分(年金受給時は雑所得・一時金受給時は退職所得)を正しく把握することが重要です。
解き方
- 国民年金基金と国民年金の付加保険料納付の併用可否の規定を確認します。
- iDeCoの老齢給付金を年金形式で受け取った場合の所得区分と控除(公的年金等控除・雑所得)を確認します。
- 小規模企業共済を個人事業主が廃業に伴って一括受給した場合の所得税法上の所得区分(退職所得)を確認します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 国民年金基金に加入している者は、国民年金の付加保険料を納付することができません(国民年金基金と付加保険料の納付は併用不可)。
- 小問 ②:○
- iDeCoの老齢給付金を年金形式で受給する場合、税法上は公的年金等に該当し、公的年金等控除を適用した後の金額が雑所得として課税対象となります。
- 小問 ③:○
- 個人事業主が事業を廃業したこと等により小規模企業共済から一括で受給する共済金は、退職所得として課税対象となります。
覚えるポイント
- 国民年金基金と付加年金(付加保険料の納付)は重複して加入・納付することができません。
間違えやすいところ
- 小規模企業共済の一括受取を一時所得と混同しやすいですが、廃業に伴う一括共済金は退職所得となります。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老後資金を増やす各種制度(国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済)の掛金
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金基金 / 個人型確定拠出年金(iDeCo) / 小規模企業共済 / 所得控除
Aさんに対して、老後資金を増やす各種制度の掛金についてMさんが説明した文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を、〈語句群〉の中から選択しなさい。 「国民年金基金の掛金額は、選択した給付の型、加入口数、加入時の年齢、性別によって決まりますが、掛金の上限は月額□□□円です。前納制度を利用して4月から翌年3月までの1年分の掛金を納付する場合には、( ① )分相当の掛金が割引されます。 iDeCoに毎月掛金を拠出する場合の掛金額は、月額( ② )以上1,000円単位で自由に設定できますが、一定の拠出限度額が定められています。 小規模企業共済の掛金額は、月額1,000円から( ③ )までの範囲内(500円単位)で自由に選択することができます。掛金の納付方法には、月払い、半年払い、年払いがあります。 なお、国民年金基金の掛金は( ④ )として、iDeCoの掛金は□□□として、小規模企業共済の掛金は□□□として、それぞれ所得税の所得控除の対象となります」
- イ
- 0.1カ月
- ロ
- 0.5カ月
- ハ
- 1カ月
- ニ
- 1,000円
- ホ
- 5,000円
- ヘ
- 1万円
- ト
- 3万円
- チ
- 6万8,000円
- リ
- 7万円
- ヌ
- 生命保険料控除
- ル
- 社会保険料控除
- ヲ
- 小規模企業共済等掛金控除
解答・解説を表示
解答
① イ、② ホ、③ リ、④ ル
解説
自営業者等の第1号被保険者が利用できる老後資産形成制度には国民年金基金、iDeCo、小規模企業共済があり、それぞれ掛金要件や税制上の控除区分が定められています。
解き方
- 国民年金基金の1年分前納割引基準(0.1カ月分相当)を確認して空欄①を判断する。
- iDeCoの最低掛金額要件(月額5,000円以上、1,000円単位)を確認して空欄②を判断する。
- 小規模企業共済の掛金限度額(月額上限7万円、500円単位)を確認して空欄③を判断する。
- 国民年金基金の掛金に係る所得税の控除区分(社会保険料控除)を確認して空欄④を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 国民年金基金の掛金を前納する場合、4月から翌年3月までの1年分の前納で0.1カ月分の掛金が割引されます。
- 小問 ②:ホ
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)の毎月の掛金額は、最低月額5,000円以上、1,000円単位で設定します。
- 小問 ③:リ
- 小規模企業共済の毎月の掛金額は、1,000円から7万円までの範囲内において500円単位で選択できます。
- 小問 ④:ル
- 国民年金基金の掛金は全額が「社会保険料控除」の対象です。なお、iDeCoおよび小規模企業共済の掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。
覚えるポイント
- 国民年金基金の掛金は「社会保険料控除」、iDeCo・小規模企業共済の掛金は「小規模企業共済等掛金控除」となる。
間違えやすいところ
- 国民年金基金の控除区分を小規模企業共済等掛金控除と混同しやすいので注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
財務データに基づく株式投資指標(PER・PBR・サスティナブル成長率・配当利回り)の判定
金融資産運用 · PER / PBR / サスティナブル成長率 / 配当利回り
Mさんは、Aさんに対して、《設例》の<X社およびY社の財務データ>に基づき、株式の投資指標について説明した。Mさんが説明した記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 <X社およびY社の財務データ> ・X社:総資産 118,000億円、純資産(自己資本) 40,000億円、当期純利益 5,000億円、配当金総額 1,000億円、発行済株式数 10億株、株価 6,000円 ・Y社:総資産 48,000億円、純資産(自己資本) 28,000億円、当期純利益 2,000億円、配当金総額 800億円、発行済株式数 20億株、株価 1,500円 記述①:「株式の代表的な投資指標であるPERとPBRによってX社株式とY社株式を比較すると、いずれもX社株式のほうが低いため、X社株式は、Y社株式よりも相対的に割安であるといえます」 記述②:「サスティナブル成長率は、企業の内部留保と利益率から今後の成長率を予測する際に用いられる指標であり、X社のサスティナブル成長率は10%と算出されます」 記述③:「株式の代表的な投資指標である配当利回りによってX社とY社を比較すると、X社のほうがY社よりも高いため、同じ投資金額の場合には、Y社よりもX社に投資したほうが多額の配当を受け取ることができます」
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ×
解説
株式の代表的な投資指標であるPER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、配当利回り、サスティナブル成長率(内部留保による成長力指標)は、財務諸表の数値および株価から各定義式に基づいて算定し比較・評価します。
解き方
- X社とY社の1株当たり当期純利益(EPS)および1株当たり純資産(BPS)を算出し、PERとPBRを比較して記述①を判定する。
- X社のROE(当期純利益÷自己資本)と内部留保率(1-配当性向)を算出し、サスティナブル成長率を計算して記述②を判定する。
- X社とY社の1株当たり年間配当金を株価で除して配当利回りを算出し、両社の高低を比較して記述③を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- X社のPERは12倍(6,000円÷(5,000億円÷10億株))、PBRは1.5倍(6,000円÷(40,000億円÷10億株))です。一方、Y社のPERは15倍(1,500円÷(2,000億円÷20億株))、PBRは約1.07倍(1,500円÷(28,000億円÷20億株))です。PERはX社の方が低いものの、PBRはX社の方が高いため、いずれもX社の方が低いとする本記述は不適切です。
- 小問 ②:○
- サスティナブル成長率は「ROE×(1-配当性向)」で求められます。X社のROEは12.5%(5,000億円÷40,000億円)、配当性向は20%(1,000億円÷5,000億円)であるため、サスティナブル成長率=12.5%×(1-0.2)=10%となり適切です。
- 小問 ③:×
- 配当利回りは「1株当たり配当金÷株価」で計算します。X社は1.67%((1,000億円÷10億株)÷6,000円)、Y社は約2.67%((800億円÷20億株)÷1,500円)となり、配当利回りはY社の方が高いため本記述は不適切です。
覚えるポイント
- サスティナブル成長率=ROE×内部留保率=(当期純利益÷自己資本)×(1-配当性向)
間違えやすいところ
- PERとPBRの比準で、片方(PER)だけが低いのにもう片方(PBR)も低いと思い込んで誤認しないよう、両方の数値を正確に計算して比較する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公募株式投資信託の収益分配金の仕組み
金融資産運用 · 毎月分配型投資信託 / 普通分配金 / 元本払戻金(特別分配金) / 個別元本
MさんがAさんに対して説明した、毎月分配型の公募株式投資信託の収益分配金に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を〈語句群〉から選びなさい。 「毎月分配型の投資信託は、1カ月ごとに決算を行い、収益等の一部を分配金として毎月分配する運用方針になっています。毎月分配型の投資信託では、定期的に分配金を受け取ることが期待できますが、分配金が支払われた場合、その金額相当分、基準価額は( ① )。また、分配金は、計算期間中に発生した収益(経費控除後の配当等収益および評価益を含む売買益)を超えて支払われる場合があり、この場合、当期決算日の基準価額は、前期決算日と比べて( ① )。 投資信託の分配金には、( ② )と( ③ )の2種類があります。分配後の基準価額が従前の( ④ )を上回った場合、分配金はすべて( ② )となります。また、分配後の基準価額が従前の( ④ )を下回った場合、分配金のうち( ④ )を下回る部分が( ③ )となります。 投資信託の収益については、分配金だけに着目するのではなく、分配金の受取額と投資信託の基準価額の増減額の合計額で判断するとよいでしょう」 〈語句群〉 イ.上がります ロ.下がります ハ.変化しません ニ.個別元本 ホ.元本払戻金(特別分配金) ヘ.実績分配金 ト.普通分配金 チ.信託財産留保額 リ.ベンチマーク
- イ
- 上がります
- ロ
- 下がります
- ハ
- 変化しません
- ニ
- 個別元本
- ホ
- 元本払戻金(特別分配金)
- ヘ
- 実績分配金
- ト
- 普通分配金
- チ
- 信託財産留保額
- リ
- ベンチマーク
解答・解説を表示
解答
① ロ、② ト、③ ホ、④ ニ
解説
公募株式投資信託の分配金は、受益者ごとの個別元本を基準として、元本を取り崩さない運用収益部分である「普通分配金(課税)」と、個別元本を取り崩して払い戻す部分である「元本払戻金(特別分配金・非課税)」に区分されます。分配金が支払われると信託財産が減少するため、その分基準価額は必ず下落します。
解き方
- 投資信託の分配金が信託財産から払い出されることによる基準価額の変動方向(下落)を確認する。
- 受益者の個別元本と分配落ち後の基準価額の比較関係に基づき、普通分配金と元本払戻金(特別分配金)の定義をあてはめる。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 投資信託の分配金は信託財産から支払われるため、分配金支払い後の基準価額はその支払額相当分だけ「下がります」。また当期の発生収益を超えて支払われた場合も、前期決算日に比べて基準価額は「下がります」。
- 小問 ②:ト
- 文脈上、分配後の基準価額が従前の個別元本を上回っている(元本割れしていない)場合に全額が該当する分配金であるため、「普通分配金」が入ります。
- 小問 ③:ホ
- 分配後の基準価額が従前の個別元本を下回った場合、その個別元本を下回る部分(投資元本の払い戻しに相当する部分)は非課税の「元本払戻金(特別分配金)」となります。
- 小問 ④:ニ
- 受益者ごとの課税上の購入単価(手数料等を除く)を指す語句は「個別元本」であり、分配落ち後の基準価額がこれを上回るか下回るかによって普通分配金と元本払戻金に区分されます。
覚えるポイント
- 分配金支払い後は基準価額が必ず下落する
- 分配落ち後基準価額≧個別元本なら全額が普通分配金(課税)
- 分配落ち後基準価額<個別元本なら下回る部分は元本払戻金(非課税)で、その分個別元本が修正される
間違えやすいところ
- 元本払戻金(特別分配金)を受領した際、個別元本が引き下げられる処理を見落としやすい点
- 高利回りの分配金が出ていても、基準価額が下落していればトータルリターンがマイナスになる場合がある点
出題の前提:2021年10月1日現在施行の税法・投資信託関連法規に基づく一般的な公募株式投資信託の取扱条件による。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定口座(源泉徴収選択口座)の税務上の取扱い
金融資産運用 · 特定口座 / 源泉徴収選択口座 / 公募株式投資信託の税務 / 上場株式等の譲渡損失の繰越控除
MさんがAさんに対して説明した、特定口座(源泉徴収選択口座)の一般的な取扱いに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「源泉徴収選択口座において株式投資信託の収益分配金が支払われた場合、普通分配金と元本払戻金(特別分配金)の合計額に所得税・復興特別所得税15.315%および住民税5%の税率を乗じて計算した金額が源泉徴収等されます」 ② 「源泉徴収選択口座において上場株式等を譲渡した場合、譲渡益に相当する金額に所得税・復興特別所得税15.315%および住民税5%の税率を乗じて計算した金額が源泉徴収等されます」 ③ 「源泉徴収選択口座において、上場株式等の譲渡損失がある場合は、一定の要件のもと、その譲渡損失を翌年以後最長3年間まで繰り越して、その後の各年の上場株式等の譲渡益や申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等から控除することができます」
- ①
- 「源泉徴収選択口座において株式投資信託の収益分配金が支払われた場合、普通分配金と元本払戻金(特別分配金)の合計額に所得税・復興特別所得税15.315%および住民税5%の税率を乗じて計算した金額が源泉徴収等されます」
- ②
- 「源泉徴収選択口座において上場株式等を譲渡した場合、譲渡益に相当する金額に所得税・復興特別所得税15.315%および住民税5%の税率を乗じて計算した金額が源泉徴収等されます」
- ③
- 「源泉徴収選択口座において、上場株式等の譲渡損失がある場合は、一定の要件のもと、その譲渡損失を翌年以後最長3年間まで繰り越して、その後の各年の上場株式等の譲渡益や申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等から控除することができます」
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ○
解説
特定口座(源泉徴収あり)では、口座内で生じた上場株式等の譲渡益や公募株式投資信託の普通分配金に対して20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収され、原則として確定申告不要です。元本払戻金(特別分配金)は非課税となります。また、年間の通算で生じた譲渡損失は確定申告により翌年以後3年間の繰越控除が可能です。
解き方
- 株式投資信託の分配金のうち、課税対象となるもの(普通分配金のみ)と非課税となるもの(元本払戻金)を確認する。
- 上場株式等の譲渡益に対する源泉徴収税率(所得税等15.315%+住民税5%=合計20.315%)を確認する。
- 上場株式等の譲渡損失の繰越控除の適用要件(最長3年間、確定申告要件)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 元本払戻金(特別分配金)は投資元本の払い戻しであるため非課税です。源泉徴収の対象となるのは「普通分配金」のみであり、合計額に課税されるとする記述は不適切です。
- 小問 ②:○
- 源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡益に対しては、所得税・復興特別所得税15.315%および住民税5%(合計20.315%)が源泉徴収(特別徴収)されます。
- 小問 ③:○
- 上場株式等の譲渡損失が生じた場合、確定申告を行うことにより、その損失を翌年以後3年間にわたって繰り越し、上場株式等の譲渡益や申告分離課税を選択した配当所得等から控除することができます。
覚えるポイント
- 公募株式投資信託の元本払戻金(特別分配金)は非課税
- 上場株式等の譲渡益・普通分配金の税率は合計20.315%(所得税等15.315%、住民税5%)
- 譲渡損失の繰越控除期間は最長3年間(確定申告が必須)
間違えやすいところ
- 元本払戻金(特別分配金)にも課税されると誤認してしまう
- 源泉徴収選択口座であっても、損失の繰越控除の適用を受けるためには確定申告(連続提出)が必要である点を見落とすこと
出題の前提:2021年10月1日現在施行の所得税法・租税特別措置法(上場株式等の配当・譲渡所得等に対する申告分離課税・特定口座制度)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
財務諸表分析(経営指標の算出と分解)
中小事業主資産相談業務 · 財務分析 / 流動比率 / 固定長期適合率 / ROA / ROE
設例の貸借対照表および損益計算書に基づき、X社の経営指標等に関する記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。なお、純資産と自己資本は同額、③・④で使用する利益は当期純利益とし、計算結果は表示単位の小数点以下第2位を四捨五入している。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○ ④ ×
解説
企業の安全性や収益性を測る各種財務指標は、その算式や指標が示す意味だけでなく、デュポンシステムによる構成要素への分解関係(ROA=売上高利益率×総資産回転率、ROE=ROA×財務レバレッジ=ROA÷自己資本比率)まで正確に理解することが重要です。
解き方
- 貸借対照表および損益計算書の各数値から、流動比率(流動資産/流動負債)および固定長期適合率(固定資産/(固定負債+純資産))を計算して判定する。
- ROA(当期純利益/総資産)およびROE(当期純利益/自己資本)を計算し、それぞれの分解式との整合性を検証して判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 流動比率は「流動資産÷流動負債×100」で算出され、X社は166,000千円÷130,000千円×100≒127.7%です。一般に100%を下回ると短期の支払能力に懸念があるとされるため適切です。
- 小問 ②:×
- 固定長期適合率は「固定資産÷(自己資本+固定負債)×100」で算出されます。X社は78,000千円÷(48,000千円+66,000千円)×100=78,000÷114,000×100≒68.4%であり、162.5%という記述は誤りです。
- 小問 ③:○
- 総資産利益率(ROA)は「当期純利益÷総資産×100」であり、5,000千円÷244,000千円×100≒2.0%です。また、ROA=売上高純利益率×総資産回転率と分解できるため適切です。
- 小問 ④:×
- 自己資本利益率(ROE)は「当期純利益÷自己資本×100」であり、5,000千円÷48,000千円×100≒10.4%です。ただし、ROEのデュポン分解は「総資産利益率(ROA)×財務レバレッジ(総資産÷自己資本)」であり、自己資本比率を乗じるのではなく、自己資本比率の逆数を乗じる(またはROAを自己資本比率で割る)ため誤りです。
覚えるポイント
- 固定比率=固定資産÷自己資本×100
- 固定長期適合率=固定資産÷(自己資本+固定負債)×100(100%以下が望ましい)
- ROE=ROA÷自己資本比率=ROA×財務レバレッジ
間違えやすいところ
- 固定比率と固定長期適合率の分母を取り違えるミス
- ROEの分解において「自己資本比率を掛ける」と誤認するミス(実際はROAを自己資本比率で割る)
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の課税所得金額および税額計算
中小事業主資産相談業務 · 法人税 / 申告調整 / 課税所得金額 / 中小法人税率
X社の当期の損益計算書および申告調整事項に基づき、当期の法人税における(1)課税所得金額、および(2)法人税額を求め、空欄①および②に入る適切な数値を計算しなさい。
解答・解説を表示
解答
① 35,000(千円) ② 7,464(千円)
解説
法人税の課税所得金額は、会計上の当期純利益を基礎として、税務上の益金・損金との差異を調整(申告調整)して算出します。中小法人の場合、年800万円以下の課税所得に対して軽減税率15%が適用され、800万円超の部分には本則税率23.2%が適用されます。
解き方
- 損益計算書の当期純利益(5,000千円)に、加算項目(益金算入・損金不算入)を足し、減算項目(損金算入・益金不算入)を差し引いて課税所得金額を算出する。
- 課税所得金額のうち年800万円(8,000千円)以下の部分に15%、年800万円を超える部分に23.2%を乗じて合計税額を算出する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:35,000
- 課税所得金額=当期純利益+加算項目(益金算入額+損金不算入額)-減算項目(益金不算入額+損金算入額)となります。5,000千円+(14,000千円+38,000千円)-(3,000千円+19,000千円)=35,000千円です。
- 小問 ②:7,464
- 資本金1,000万円以下の中小企業者であるため、年800万円(8,000千円)以下の部分は15%、年800万円を超える部分は23.2%が適用されます。法人税額=8,000千円×15%+(35,000千円-8,000千円)×23.2%=1,200千円+27,000千円×23.2%=1,200千円+6,264千円=7,464千円となります。
覚えるポイント
- 課税所得金額=当期純利益+(益金算入+損金不算入)-(損金算入+益金不算入)
- 普通法人の中小法人(資本金1億円以下等)の税率は年800万円以下が15%、超が23.2%
間違えやすいところ
- 加算項目と減算項目のプラス・マイナスの符号を取り違えるミス
- 軽減税率の適用限度額である年800万円を控除し忘れて全額に23.2%を乗じるミス
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業向け補助金の要件と概要
中小事業主資産相談業務 · 事業再構築補助金 / IT導入補助金 / 事業承継・引継ぎ補助金
2021年度実施の国の補助金に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 事業再構築補助金(通常枠)を申請するには、「所定の期間、売上等が減少している」「事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等に取り組む」「認定情報処理支援機関と事業計画を策定する」の3つの要件を満たす必要がある。 ② IT導入補助金(通常枠)は、中小企業・小規模事業者等が直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入等)等に対応するため、生産性の向上に資するITツールを導入するための事業費等の経費の一部を補助するものである。 ③ 事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)は、中小企業者等が事業承継等を契機として新たな取組みを行う事業等について経費の一部を補助するものであり、物品・不動産等のみを保有する事業を承継(売買含む)する場合に限り、交付対象となる。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
国の中小企業支援補助金にはそれぞれ目的と申請要件が定められており、連携すべき専門機関(認定経営革新等支援機関等)や補助対象となる事業内容・経費の範囲を正確に把握しておく必要があります。
解き方
- 事業再構築補助金の申請要件における支援機関の種類(認定経営革新等支援機関)を確認する。
- IT導入補助金の対象趣旨および補助内容が事業内容と整合しているかを判断する。
- 事業承継・引継ぎ補助金において資産保有型事業等の承継が交付除外事由に該当するかを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 事業再構築補助金の事業計画は「認定情報処理支援機関」ではなく、「認定経営革新等支援機関」等と策定することが申請要件となっているため不適切です。
- 小問 ②:○
- IT導入補助金(通常枠)は、中小企業・小規模事業者等の業務効率化や生産性向上を図るため、ITツール導入にかかる経費の一部を補助する制度であり適切です。
- 小問 ③:×
- 事業承継・引継ぎ補助金では、実質的な事業活動を伴わない物品・不動産等のみを保有する事業・会社の承継は補助の交付対象外とされるため不適切です。
覚えるポイント
- 事業再構築補助金の計画策定パートナーは「認定経営革新等支援機関」である点。
- 資産保有型会社の承継など実質的営業活動を伴わない承継は補助金対象外となる点。
間違えやすいところ
- 認定情報処理支援機関(スマートSMEサポーター)と認定経営革新等支援機関を混同しやすい点。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等および2021年度実施の公募要領等基準
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
複数地域にまたがる敷地の建築面積および延べ面積の最高限度の計算
不動産 · 建蔽率の緩和 / 指定容積率 / 前面道路幅員制限 / 耐火建築物
甲土地(300㎡、近隣商業地域・指定建蔽率80%・指定容積率400%・法定乗数6/10・準防火地域・前面道路6m)と乙土地(200㎡、第一種住居地域・指定建蔽率60%・指定容積率200%・法定乗数4/10・準防火地域・前面道路4m)を一体とした敷地(合計500㎡、2本の公道に挟まれている)に耐火建築物を建築する場合の、(1)建蔽率の上限となる建築面積、および(2)容積率の上限となる延べ面積を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 410(㎡) ② 1,480(㎡)
解説
異なる用途地域等にまたがる一体敷地では、建蔽率・容積率ともに地域ごとの上限面積を算出して合算(加重平均)します。準防火地域内の耐火建築物は建蔽率が10%緩和され、敷地が2以上の道路に接するときは幅員の最大値が前面道路幅員となります。
解き方
- 準防火地域内の耐火建築物に対する建蔽率10%緩和を各地域に適用し、建築面積上限(甲:300㎡×90%=270㎡、乙:200㎡×70%=140㎡)を求めて合算する。
- 敷地が2つの道路に面しているため、広い方の前面道路幅員(6m)を基準に各地域の道路幅員制限容積率を算出する。
- 各地域の指定容積率と道路幅員制限容積率の小さい方を採用し、延べ面積上限(甲:300㎡×360%=1,080㎡、乙:200㎡×200%=400㎡)を求めて合算する。
答えの内訳
- ①:410(㎡)
- 準防火地域内に耐火建築物を建築するため建蔽率がそれぞれ10%緩和されます。甲土地は80%+10%=90%で建築面積限度は300㎡×90%=270㎡。乙土地は60%+10%=70%で建築面積限度は200㎡×70%=140㎡。合計建築面積は270㎡+140㎡=410㎡となります。
- ②:1,480(㎡)
- 2本の道路に接する場合、広い方の道路幅員(6m)が前面道路幅員として適用されます。甲土地の道路幅員制限は6m×6/10=360%であり指定容積率400%より低いため360%が適用され、300㎡×360%=1,080㎡。乙土地の道路幅員制限は6m×4/10=240%ですが指定容積率200%が低いため200%が適用され、200㎡×200%=400㎡。合計延べ面積は1,080㎡+400㎡=1,480㎡となります。
覚えるポイント
- 準防火地域内で耐火建築物(または準耐火建築物等)を建てる場合は建蔽率が+10%緩和される。
- 敷地が2つ以上の道路に接する場合、容積率の前面道路幅員制限には最も広い道路の幅員を用いる。
間違えやすいところ
- 乙土地の容積率計算で乙土地側の4m道路の幅員を用いて計算してしまうミス。
- 近隣商業地域(指定建蔽率80%)で防火地域の場合は建蔽率制限なし(100%)となるが、準防火地域では+10%(90%)となる点を取り違えるミス。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の建築基準法
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における建築物の高さ制限
不動産 · 建築基準法 / 道路斜線制限 / 隣地斜線制限 / 日影規制
建築基準法に規定される建築物の高さ制限(道路斜線制限、隣地斜線制限、日影規制)に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。
- ○
- 記述の内容が適切である。
- ×
- 記述の内容が不適切である。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ×、③ ○
解説
建築基準法では、周囲の通風・採光・日照環境を保つために道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限・日影規制などの高さ制限が地域ごとに細かく規定されています。
解き方
- 道路斜線制限の斜線勾配(住居系1.25、その他1.5)を確認して記述①の正誤を判定する。
- 低層住居専用地域等には絶対高さ制限があり隣地斜線制限は適用されない点を確認して記述②の正誤を判定する。
- 日影規制の適用区域外にあっても高さ10m超で区域内に日影を落とす建築物は規制対象となる点を確認して記述③の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 道路斜線制限において、反対側境界線までの水平距離に乗じる数値は、住居系地域では原則として1.25、住居系以外の用途地域では1.5と定められています。記述の「1.5、2.0」は誤りです。
- 小問 ②:×
- 第一種・第二種低層住居専用地域および田園住居地域には絶対高さ制限(10mまたは12m)が定められているため、隣地斜線制限は適用されません。記述は適用関係が正反対であり不適切です。
- 小問 ③:○
- 日影規制の対象区域外にある高さ10mを超える建築物であっても、冬至日に対象区域内の土地に一定の日影を生じさせるものは、日影規制の対象となります。
覚えるポイント
- 道路斜線の勾配は住居系1.25・その他1.5、隣地斜線は低層住居専用地域等には適用されない。
間違えやすいところ
- 低層住居専用地域は良好な住環境を守るため全ての斜線制限が課されると誤解しがちですが、隣地斜線制限は課されず絶対高さ制限が適用されます。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の建築基準法第56条(建築物の各部分の高さの制限)および第56条の2(日影による中高層の建築物の高さの制限)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定の資産の買換えの場合の課税の特例における圧縮限度額の計算
タックスプランニング · 法人税法 / 租税特別措置法 / 特定の資産の買換え特例 / 圧縮記帳
法人が適用を受ける「特定の資産の買換えの場合の課税の特例」(租税特別措置法第65条の7)の要件および圧縮限度額の算定に関して、文章中の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を〈語句群〉から選びなさい。 【設問文】 本特例により、法人が、その所有する棚卸資産以外の特定の資産を譲渡し、譲渡の日を含む事業年度において買換資産を取得し、かつ、取得の日から( ① )年以内に買換資産を事業の用に供した場合には、買換資産について圧縮限度額の範囲内で帳簿価額を損金経理により減額するなどの一定の方法で経理したときは、その経理した金額を損金の額に算入する圧縮記帳の適用を受けることができる。 本特例による圧縮限度額は、原則として、以下の算式により計算する。 圧縮限度額=圧縮基礎取得価額×( ② )×80% 例えば、X社が同一事業年度内に土地を買い換え、譲渡資産の譲渡対価の額が5億円、買換資産の取得価額が4億円、譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額が1億円、譲渡に要した費用の額が2,500万円である場合、本特例の適用を受けることによる圧縮限度額は、( ③ )である。 〈語句群〉 イ.1 ロ.2 ハ.3 ニ.差益割合 ホ.圧縮割合 ヘ.課税割合 ト.1億5,000万円 チ.2億4,000万円 リ.2億5,000万円
- イ
- 1
- ロ
- 2
- ハ
- 3
- ニ
- 差益割合
- ホ
- 圧縮割合
- ヘ
- 課税割合
- ト
- 1億5,000万円
- チ
- 2億4,000万円
- リ
- 2億5,000万円
解答・解説を表示
解答
① イ、② ニ、③ チ
解説
特定の事業用資産の買換え特例は、事業用資産を売却して新たな事業用資産を取得した場合に、譲渡益の80%(地域等により異なる)について課税を将来へ繰り延べる(圧縮記帳を行う)制度です。
解き方
- 買換資産を事業の用に供する期限が取得から1年以内であることを確認して①を選択する。
- 圧縮限度額の算定式における乗率が「差益割合」であることを確認して②を選択する。
- 差益割合(譲渡益÷譲渡対価)を計算し、買換資産取得価額(上限は譲渡対価)に乗じて80%を掛けることで③の金額を求める。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 買換資産を取得した日から「1年以内」に事業の用に供するか、または供する見込みであることが特例適用の要件です。
- 小問 ②:ニ
- 圧縮限度額の計算式は「圧縮基礎取得価額 × 差益割合 × 80%(原則)」となります。したがって空欄②には「差益割合」が入ります。
- 小問 ③:チ
- 圧縮基礎取得価額は買換資産の取得価額4億円と譲渡対価5億円のいずれか少ない金額なので4億円です。差益割合は[5億円-(1億円+2,500万円)]÷ 5億円 = 3億7,500万円 ÷ 5億円 = 75%です。圧縮限度額 = 4億円 × 75% × 80% = 2億4,000万円となります。
覚えるポイント
- 差益割合 = [譲渡対価 - (帳簿価額 + 譲渡経費)] ÷ 譲渡対価、圧縮限度額 = 圧縮基礎取得価額 × 差益割合 × 80%。
間違えやすいところ
- 圧縮基礎取得価額は買換資産の取得価額全額ではなく、譲渡資産の譲渡対価の額が上限となる点に注意が必要です(本問では取得価額4億円<対価5億円のため4億円)。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の租税特別措置法第65条の7(特定の資産の買換えの場合の課税の特例)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
類似業種比準価額および併用方式による取引相場のない株式の評価
相続・事業承継 · 取引相場のない株式 / 類似業種比準方式 / 中会社の株式評価 / 類似業種比準価額と純資産価額の併用方式
設例の<X社の概要>に基づき、X社株式の1株当たりの「類似業種比準価額」と「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による相続税評価額」を計算し、計算式中の空欄①および②に入る適切な数値を求めなさい。 <X社の概要抜粋> ・資本金等の額:5,000万円、発行済株式総数:100,000株(1株につき1個の議決権) ・規模区分:「中会社の小」、特定の評価会社には該当しない ・1株(50円)当たりの年配当金額:X社 17.2円、類似業種 8.6円 ・1株(50円)当たりの年利益金額:X社 30円、類似業種 10円 ・1株(50円)当たりの簿価純資産価額:X社 420円、類似業種 420円 ・類似業種の株価:200円 ・純資産価額方式による1株当たりの評価額:1,600円
解答・解説を表示
解答
① 2,400(円) ② 2,080(円)
解説
取引相場のない株式の評価において、中会社は原則として類似業種比準方式と純資産価額方式を併用して評価します。類似業種比準価額の算定では配当・利益・純資産の3要素を1倍ずつ比準し、中会社の斟酌割合(0.60)を乗じます。また併用割合(L値)は中会社の大が0.90、中が0.75、小が0.60と定められています。
解き方
- 1株当たりの資本金等の額(5,000万円÷10万株=500円)から50円換算倍率(10倍)を求め、比準要素の平均値(2.0)および中会社の斟酌割合(0.60)を乗じて類似業種比準価額(2,400円)を算出します。
- 規模区分「中会社の小」に対応する併用割合L=0.60を適用し、類似業種比準価額と純資産価額を加重平均して評価額(2,080円)を算出します。
答えの内訳
- ①:2,400(円)
- 類似業種比準価額の計算式は、類似業種株価×{(配当比準+利益比準+純資産比準)÷3}×斟酌割合×(1株当たり資本金等の額÷50円)となります。X社の1株当たり資本金等の額は5,000万円÷10万株=500円、中会社の斟酌割合は0.60です。したがって、200円×{(17.2/8.6+30/10+420/420)÷3}×0.60×(500円÷50円)=200円×2.0×0.60×10=2,400円となります。
- ②:2,080(円)
- X社の規模区分は「中会社の小」であるため、併用方式における類似業種比準価額の割合(L値)は0.60(60%)となります。併用方式による相続税評価額は、類似業種比準価額×L+純資産価額×(1-L)で計算するため、2,400円×0.60+1,600円×(1-0.60)=1,440円+640円=2,080円となります。
覚えるポイント
- 類似業種比準価額の斟酌割合は大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5であること
- 中会社の併用割合(L値)は大が0.90、中が0.75、小が0.60であること
間違えやすいところ
- 資本金等の額から算定する1株当たり資本金(500円)と50円換算の調整(10倍)を反映し忘れるミス
- 中会社の小におけるL値(0.60)と斟酌割合(0.60)の数値を混同して誤った算式を立ててしまうこと
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺留分の算定および経営承継円滑化法における民法の特例
相続・事業承継 · 遺留分の算定 / 法定相続分 / 経営承継円滑化法 / 除外合意と固定合意
設例に基づき、遺留分および経営承継円滑化法における「遺留分に関する民法の特例」に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 遺留分を算定するための財産の価額が2億4,000万円である場合、長女Dさんの遺留分の額は6,000万円である。 ② 長男CさんがAさんから贈与を受けたX社株式について「遺留分に関する民法の特例」の適用を受けるためには、長男Cさんが、推定相続人全員による合意の時点でX社の代表者であり、かつ、X社株式の総株主の議決権の過半数を有していることが必要である。 ③ 長男CさんがAさんから贈与を受けたX社株式について「遺留分に関する民法の特例」の適用を受けるための手続としては、家庭裁判所の確認を得たうえで経済産業大臣の許可が必要である。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
遺留分制度では兄弟姉妹以外の法定相続人に一定割合の相続財産が留保されます。一方、事業承継を円滑に進めるため、経営承継円滑化法では後継者が贈与等で取得した株式を遺留分の算定基礎から除外する「除外合意」や価額を合意時に固定する「固定合意」の特例が認められています。
解き方
- 相続人構成(配偶者および子2人)から総遺留分(1/2)および長女Dさんの個別遺留分割合(1/8)を特定して遺留分額を計算します。
- 経営承継円滑化法上の後継者要件(合意時点での代表者かつ議決権過半数の保有)を確認します。
- 民法の特例の手続順序(推定相続人全員の合意→合意後1カ月以内に経済産業大臣の確認→確認後1カ月以内に家庭裁判所の許可)の適否を判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 相続人が配偶者と子である場合、遺留分全体の割合は財産の2分の1です。子の法定相続分は各4分の1(配偶者2分の1、長男4分の1、長女4分の1)であるため、長女Dさんの遺留分割合は1/2×1/4=1/8となります。したがって、遺留分を算定するための財産が2億4,000万円の場合の遺留分割合は3,000万円(2億4,000万円×1/8)であり、6,000万円(法定相続分相当額)とする記述は不適切です。
- 小問 ②:○
- 経営承継円滑化法における「遺留分に関する民法の特例」の後継者要件として、推定相続人全員による書面合意の時において、後継者が対象会社の代表者であり、かつ保有する議決権(贈与等を受けた株式を含む)が総株主の議決権の過半数を占めていることが必要と定められているため、本記述は適切です。
- 小問 ③:×
- 遺留分に関する民法の特例を適用するための手続は、推定相続人全員の書面合意の日から1カ月以内に「経済産業大臣の確認」を受け、その確認を受けた日から1カ月以内に「家庭裁判所の許可」の申立てを行う必要があります。家庭裁判所の確認や経済産業大臣の許可とする記述は手続順序および各機関の権限が逆であるため不適切です。
覚えるポイント
- 直系卑属が相続人の場合の総遺留分は2分の1であり、各相続人の遺留分は総遺留分×法定相続分で求めること
- 経営承継円滑化法の民法特例の手続は「経済産業大臣の確認」→「家庭裁判所の許可」の順序であること
間違えやすいところ
- 遺留分の算定において、法定相続分そのものを遺留分額と誤認して計算してしまうこと
- 民法の特例手続における「経済産業大臣の確認」と「家庭裁判所の許可」の用語・順序を取り違えること
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業承継税制(特例措置と一般措置の比較)
事業承継・相続・事業再生 · 事業承継税制 / 非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除 / 特例措置と一般措置の比較
非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除等に関する下表の空欄①~③に入る最も適切な語句を〈語句群〉から選びなさい。 【特例措置と一般措置の比較】 ・対象株式数(議決権制限のない株式等に限る):特例措置は「発行済株式総数のすべて」、一般措置は「発行済株式総数の最大( ① )まで」 ・納税猶予割合:特例措置は「相続税・贈与税ともに( ② )」、一般措置は「相続税:80%、贈与税:100%」 ・承継パターン:特例措置は「複数の株主から、( ③ )の後継者への承継」、一般措置は「複数の株主から、1人の後継者への承継」
- イ
- 3分の1
- ロ
- 2分の1
- ハ
- 3分の2
- ニ
- 80%
- ホ
- 90%
- ヘ
- 100%
- ト
- 1人
- チ
- 最大2人
- リ
- 最大3人
解答・解説を表示
解答
① ハ、② ヘ、③ リ
解説
法人版事業承継税制は、中小企業経営者の円滑な世代交代を支援するため、後継者が取得した自社株式に係る相続税や贈与税の納税を猶予・免除する制度です。従来の「一般措置」に対し、時限的に大幅拡充された「特例措置」では、対象株式数の上限撤廃(全株式対象)、相続税の猶予割合の引上げ(100%猶予)、複数後継者(最大3人)への適用、雇用確保要件の実質的な緩和などが講じられています。
解き方
- 一般措置の対象株式数の上限を確認し、議決権株式総数の3分の2であることを特定して①に「ハ」を当てはめます。
- 特例措置の納税猶予割合を確認し、相続税・贈与税ともに100%であることを特定して②に「ヘ」を当てはめます。
- 特例措置における後継者の承継パターンを確認し、最大3人まで対象となることを特定して③に「リ」を当てはめます。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 一般措置における納税猶予の対象となる株式数は、発行済完全議決権株式総数の「3分の2」が上限です(特例措置では全株式が対象)。
- 小問 ②:ヘ
- 特例措置における納税猶予割合は、贈与税だけでなく相続税についても「100%」全額が猶予されます(一般措置の相続税は80%)。
- 小問 ③:リ
- 特例措置では、複数の株主から「最大3人」までの後継者に対する承継が納税猶予の対象として認められています(一般措置では1人のみ)。
覚えるポイント
- 事業承継税制の特例措置:全株式対象(100%)、相続税・贈与税の猶予割合100%、後継者は最大3人まで対象。
間違えやすいところ
- 一般措置では相続税の猶予割合が80%にとどまるのに対し、特例措置では100%に拡充されている点を取り違えないように注意が必要です。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2022年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

