日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務の概要
定年退職後の社会保険制度の取扱い
ライフプランニングと資金計画 · 健康保険任意継続 / 国民健康保険 / 国民年金任意加入
会社員Aさん(59歳)がX社の再雇用制度を利用せず60歳で定年退職した場合の社会保険の取扱いに関する次の記述①〜③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① X社定年退職後、所定期間内に任意継続被保険者の資格取得申出を行うことで、最長2年間、健康保険の任意継続被保険者として加入できる。 ② 定年退職後に国民健康保険に加入する方法もあるが、国民健康保険には高額療養費制度は設けられていない。 ③ 国民年金の未加入期間がある場合、定年退職後から65歳になるまでの間、国民年金に任意加入して保険料を納付すれば老齢基礎年金の額を増額できる。
- ①
- X社を定年退職すると、健康保険の被保険者資格を喪失するが、所定の期間内に資格取得の申出を行うことで最長2年間、任意継続被保険者として加入することができる。
- ②
- 定年退職後に国民健康保険に加入する方法もあるが、国民健康保険では高額療養費制度は設けられていない。
- ③
- 国民年金の未加入期間がある場合、定年退職後から65歳になるまでの間に国民年金に任意加入して保険料を納付することで、老齢基礎年金の年金額を増額できる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
退職後の公的医療保険には健康保険の任意継続制度や国民健康保険への加入等の選択肢があり、いずれの保険でも高額療養費制度が利用可能です。また、公的年金では未加入期間がある場合に60歳以降65歳未満での任意加入によって老齢基礎年金額を増やす仕組みが設けられています。
解き方
- 記述①:健康保険の任意継続被保険者の加入可能期間(最長2年)および要件を確認し、正しいと判断する。
- 記述②:国民健康保険における高額療養費制度の有無を確認し、制度が存在するため誤りと判断する。
- 記述③:国民年金の未加入月数(32月)を埋めるための60歳以降の任意加入制度の適格性を確認し、正しいと判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 健康保険の被保険者期間が継続して2カ月以上ある者は、退職等の資格喪失日から20日以内に申出を行うことで、最長2年間任意継続被保険者となることができます。
- 小問 ②:×
- 高額療養費制度は健康保険だけでなく国民健康保険にも設けられており、自己負担限度額を超えた医療費の払い戻しを受けることができます。
- 小問 ③:○
- 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない場合や満額に達していない場合、日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者は国民年金に任意加入して受給額を増額させることができます。
覚えるポイント
- 健康保険の任意継続被保険者の資格期間は最長2年間で、申出期限は資格喪失日から20日以内です。
- 高額療養費制度は国民健康保険を含む公的医療保険制度共通の給付です。
間違えやすいところ
- 国民健康保険には傷病手当金や出産手当金が原則としてないことを、高額療養費制度もないと誤認して混同しがちです。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の健康保険法および国民年金法
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
高年齢雇用継続基本給付金および雇用保険の基本手当
ライフプランニングと資金計画 · 高年齢雇用継続基本給付金 / 雇用保険基本手当 / 所定給付日数
AさんがX社の再雇用制度を利用して雇用保険の一般被保険者として勤務し続けた場合の失業等給付に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群から選びなさい。 Ⅰ Aさんが60歳以後も引き続き勤務し、各月に支払われた賃金額が60歳到達時の賃金月額の( ① )%相当額を下回る場合、原則として高年齢雇用継続基本給付金を受給できる。 Ⅱ 65歳到達前に退職して求職を希望する場合、基本手当を受給できる。基本手当の日額は、原則として被保険者期間として計算された最後の( ② )カ月間に支払われた賃金総額を基に算出される。特定受給資格者等に該当しない場合、基本手当は原則として退職した日の翌日から起算して( ③ )以内の失業している日について所定給付日数を限度として支給される。 〈語句群〉 イ.2 ロ.3 ハ.6 ニ.75 ホ.80 ヘ.85 ト.1年 チ.1年6カ月 リ.2年
- イ
- 2
- ロ
- 3
- ハ
- 6
- ニ
- 75
- ホ
- 80
- ヘ
- 85
- ト
- 1年
- チ
- 1年6カ月
- リ
- 2年
解答・解説を表示
解答
① ニ ② ハ ③ ト
解説
雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金は、定年後の再雇用等で60歳到達時の賃金から75%未満に低下した被保険者を支援する制度です。また、雇用保険の基本手当は離職前6カ月間の賃金を基準に日額が算定され、原則として退職翌日から1年間が受給期間となります。
解き方
- 空欄①:高年齢雇用継続基本給付金の支給要件となる賃金低下率の基準である「75%未満」を当てはめ、「ニ」を選択する。
- 空欄②:基本手当の賃金日額の基礎となる直近の被保険者期間(直前の「6カ月間」)を確認し、「ハ」を選択する。
- 空欄③:基本手当の受給期間である離職日の翌日から「1年」以内を確認し、「ト」を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ニ
- 高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以後受けている各月の賃金が60歳到達時点の賃金月額の75%未満に低下した場合に支給されます。
- 小問 ②:ハ
- 雇用保険の基本手当における賃金日額は、原則として退職前直近の被保険者期間として計算された最後の6カ月間に支払われた賃金総額(賞与等を除く)を180で除して算出されます。
- 小問 ③:ト
- 一般離職者の基本手当の受給期間は、原則として離職の日の翌日から起算して1年間(1年以内の失業している日について支給)と規定されています。
覚えるポイント
- 高年齢雇用継続給付金の支給要件は「60歳到達時賃金の75%未満への低下」です。
- 基本手当の賃金日額は「最後の6カ月間」の賃金総額から算出され、受給期間は「離職日の翌日から起算して1年」です。
間違えやすいところ
- 高年齢雇用継続基本給付金の支給基準である「75%」を、最大支給率である賃金の「15%」や他の数値と混同しないよう注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の雇用保険法
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金制度における老齢給付額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算 / 報酬比例部分
設例のAさん(1962年8月5日生まれ、独身)が65歳以後に受給できる公的年金制度の老齢給付について、老齢基礎年金および老齢厚生年金の各年金額(2021年度価額)を求め、空欄①~④に入る数値を答えなさい。 <公的年金加入歴> ・20歳~22歳:国民年金未加入期間 32月(学生・任意未加入) ・22歳~65歳:厚生年金保険被保険者期間 合計508月(うち2003年3月以前が216月・平均標準報酬月額30万円、2003年4月以後が292月・平均標準報酬額50万円、20歳以上60歳未満の厚生年金期間は448月) ※生計維持関係にある配偶者および子はいない。
解答・解説を表示
解答
① 728,840(円) ② 1,261,926(円) ③ 52,600(円) ④ 1,314,526(円)
解説
老齢基礎年金は20歳から60歳までの保険料納付済月数(第2号被保険者期間を含む)に応じて満額(480月分)から按分計算されます。老齢厚生年金は、総報酬制導入前後の月数・標準報酬に応じた報酬比例部分と、基礎年金の満額に達しない期間等を補正する経過的加算額、および要件を満たす場合の加給年金額から構成されます。
解き方
- 老齢基礎年金について、20歳から60歳までの厚生年金被保険者期間(480月-未加入32月=448月)を納付済月数として年金額を計算する。
- 老齢厚生年金の報酬比例部分について、2003年3月以前(平均標準報酬月額×7.125/1,000×月数)と2003年4月以後(平均標準報酬額×5.481/1,000×月数)をそれぞれ計算して合算する。
- 経過的加算額について、被保険者期間の月数(上限480月)に乗じた定額部分から、20歳以上60歳未満の厚生年金期間(448月)に応じた老齢基礎年金相当額を差し引いて算出する。
- 加給年金の支給要件(厚生年金被保険者期間20年以上、かつ生計維持関係のある配偶者や子の存在)を確認し、基本年金額に合算して老齢厚生年金額を求める。
小問ごとの答え
- 小問 ①:728,840(円)
- 老齢基礎年金額は「780,900円×(保険料納付済月数448月/480月)=728,840円」となります。
- 小問 ②:1,261,926(円)
- 報酬比例部分はⓐ「300,000円×(7.125/1,000)×216月=461,700円」とⓑ「500,000円×(5.481/1,000)×292月=800,226円」の合計で1,261,926円となります。
- 小問 ③:52,600(円)
- 経過的加算額は、定額部分の上限480月を適用した「1,628円×480月=781,440円」から老齢基礎年金相当額「780,900円×(448月/480月)=728,840円」を差し引いた「781,440円-728,840円=52,600円」となります。
- 小問 ④:1,314,526(円)
- Aさんには生計維持関係にある配偶者や子がいないため加給年金額は加算されず、報酬比例部分1,261,926円と経過的加算額52,600円を合算した1,314,526円が老齢厚生年金額となります。
覚えるポイント
- 経過的加算の定額部分における厚生年金被保険者期間の上限は480月であること。
- 加給年金は厚生年金被保険者期間が20年以上あること、および生計を維持する65歳未満の配偶者や子がいることが加算条件であること。
間違えやすいところ
- 経過的加算の定額部分の乗数に上限(480月)を超えて総被保険者月数(508月)をそのまま掛けてしまうミス。
- 加給年金の要件を見落とし、独身の対象者に対しても加給年金額(390,500円)を加算してしまうミス。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等(2021年度年金額基準)
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
火災保険の補償内容・対象および税務上の取扱い
リスク管理 · 火災保険の補償対象 / 家財の範囲 / 損害保険金の非課税
Aさんに対する火災保険の一般的な商品内容等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「火災保険は、火災・落雷・風災などの自然災害による損害を補償するものであるため、盗難による損害や建物外部からの物体の落下・飛来による損害は補償の対象とすることはできません」 ② 「家財を保険の対象として火災保険を契約する場合、家具や衣類等のみならず、住宅敷地内にある自動車も保険の対象となります」 ③ 「Aさんの自宅が火災により損害を受け、Aさんが火災保険金を受け取った場合、当該保険金は、一時所得として総合課税の対象となります」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ×
解説
住宅を対象とする火災保険は、火災等の災害だけでなく盗難や物体の飛来・衝突等の人為的・偶発的リスクも包括的に補償可能です。ただし保険の対象となる家財には自動車(登録自動車等)は含まれず、また被災により個人が受け取る損害保険金は非課税所得として扱われます。
解き方
- 記述①について、一般的な住宅火災保険・住宅総合保険の補償範囲(盗難や落下・飛来リスクの包含関係)を確認して判定する。
- 記述②について、火災保険における「家財」の定義と、自動車が含まれるか否かを確認して判定する。
- 記述③について、個人が受領する損害保険金に関する所得税の非課税規定を確認して判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 火災保険(住宅総合保険等)では、火災や風災等の自然災害だけでなく、盗難による損害や建物外部からの物体の落下・飛来・衝突などによる損害も補償の対象とすることができます。
- 小問 ②:×
- 住宅敷地内にある自動車は火災保険の「家財」の対象には含まれず、自動車保険(車両保険等)の補償対象となります。
- 小問 ③:×
- 個人が受け取る火災保険金などの損害保険金は、資産の損害を填補する実損補填の性質を持つため、所得税法上、非課税とされています。
覚えるポイント
- 火災保険の家財に自動車は含まれない(原動機付自転車や自転車は対象となる場合がある)。
- 個人が受け取る損害保険金(実損填補型)は非課税であること。
間違えやすいところ
- 敷地内にある自動車を家財の一部と混同して保険対象と誤認するミス。
- 火災保険金を満期保険金や一時払終身保険の解約返戻金と混同し、一時所得として課税対象と判断してしまうミス。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地震保険の制度概要と商品性
リスク管理 · 地震保険 / 保険金額の限度額 / 割引制度 / 損害区分と支払割合
地震保険の一般的な商品内容等に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 Ⅰ 「地震保険は、火災保険に付帯する形で加入します。地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内での設定となり、限度額は建物で5,000万円、家財で( ① )です」 Ⅱ 「地震保険には、4種類(建築年割引・耐震等級割引・免震建築物割引・耐震診断割引)の割引制度が設けられています。それぞれの割引制度の重複適用は( ② )」 Ⅲ 「地震保険は、損害の程度により、保険金額の一定割合が支払われます。損害の程度が全損に該当した場合は保険金額の100%、大半損に該当した場合は保険金額の( ③ )、小半損に該当した場合は保険金額の30%、一部損に該当した場合は保険金額の5%が支払われます。ただし、地震等の発生した日の翌日から起算して( ④ )を経過した後に発生した損害については、保険金は支払われません」
- イ
- 500万円
- ロ
- 1,000万円
- ハ
- 2,000万円
- ニ
- できません
- ホ
- 可能です
- ヘ
- 50%
- ト
- 60%
- チ
- 70%
- リ
- 5日
- ヌ
- 7日
- ル
- 10日
解答・解説を表示
解答
① ロ、② ニ、③ ト、④ ル
解説
地震保険は「地震保険に関する法律」に基づき、政府と損害保険会社が共同で運営する公的性格の強い補償制度です。単独での加入はできず火災保険への付帯が必須であり、被災者の生活再建を支える目的から、保険金額の上限設定や4区分の損害認定、一定期間経過後の免責規定などが細かく定められています。
解き方
- 空欄①:地震保険の家財の補償上限額は1,000万円(建物は5,000万円)であるため「ロ」を選択します。
- 空欄②:4種類の耐震等に関する保険料割引制度は重複適用が認められていないため「ニ」を選択します。
- 空欄③:損害区分は大半損の支払割合が保険金額の60%であるため「ト」を選択します。
- 空欄④:地震等による損害の担保期間は発生翌日から起算して10日以内であるため「ル」を選択します。
- 選択肢 イ不正解
- 500万円は地震保険の家財上限額(1,000万円)としては誤りです。
- 選択肢 ロ正解
- 地震保険における家財の契約限度額は1,000万円です。
- 選択肢 ハ不正解
- 2,000万円は家財の保険金額上限(1,000万円)としては誤りです。
- 選択肢 ニ正解
- 地震保険の割引制度相互の重複適用は認められていません。
- 選択肢 ホ不正解
- 割引制度の重複適用は不可であるため、可能ですとする記述は誤りです。
- 選択肢 ヘ不正解
- 50%は大半損の支払割合(60%)としては誤りです。
- 選択肢 ト正解
- 大半損に該当した場合の支払割合は保険金額の60%です。
- 選択肢 チ不正解
- 70%は大半損の支払割合(60%)としては誤りです。
- 選択肢 リ不正解
- 5日は地震保険の免責起算日数(10日)としては誤りです。
- 選択肢 ヌ不正解
- 7日は地震保険の免責起算日数(10日)としては誤りです。
- 選択肢 ル正解
- 地震等の発生した日の翌日から起算して10日を経過した後の損害は免責となります。
答えの内訳
- ①:ロ
- 地震保険の保険金額は主契約である火災保険の30%~50%の範囲で設定し、限度額は建物が5,000万円、家財が1,000万円と定められています。
- ②:ニ
- 地震保険の割引制度(建築年割引、耐震等級割引、免震建築物割引、耐震診断割引)は、重複して適用することはできません。
- ③:ト
- 地震保険の損害区分に応じた支払割合は、全損が100%、大半損が60%、小半損が30%、一部損が5%となっています。
- ④:ル
- 地震等の発生した日の翌日から起算して10日を経過した後に生じた損害に対しては、地震保険の保険金は支払われません。
覚えるポイント
- 地震保険の限度額:建物5,000万円、家財1,000万円(火災保険金額の30%~50%)
- 損害認定4区分と支払割合:全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%
- 地震発生翌日から10日経過後の損害は対象外
間違えやすいところ
- 大半損の支払割合(60%)を50%と取り違えるミス
- 割引制度の重複適用が可能であると誤認するミス
- 免責期間を「7日」や「14日」と混同するミス
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令・約款基準
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人賠償責任(補償)特約の補償範囲と適用関係
リスク管理 · 個人賠償責任特約 / 被保険者の範囲 / 別居の未婚の子 / 補償対象と免責事項
個人賠償責任(補償)特約の一般的な商品内容等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 「Aさんが記名被保険者として個人賠償責任(補償)特約に加入した場合、妻Bさんおよび二女Dさんは被保険者の範囲に含まれますが、1人暮らしをしている長女Cさんは被保険者の範囲に含まれません」 ② 「個人賠償責任(補償)特約に加入することにより、自転車事故による法律上の損害賠償責任を負うリスクにも備えることができます。自転車での通学中の事故により、高額な賠償責任を負うケースもありますので、賠償事故に備える保険(特約)へ加入することは検討事項の1つです」 ③ 「個人賠償責任(補償)特約に加入することにより、自動車事故による法律上の損害賠償責任を負うリスクやAさんの職務遂行に直接起因する法律上の損害賠償責任を負うリスクにも備えることができます」
- ○
- 適切な記述
- ×
- 不適切な記述
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ×
解説
個人賠償責任(補償)特約は、被保険者が日常生活において偶然な事故により他人にケガをさせたり他人の財物を破損させたりして法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金を支払う特約です。被保険者本人のみならず配偶者、同居親族、別居の未婚の子まで広くカバーされますが、自動車事故や職務遂行上の賠償事故などは専用の保険(自動車保険や業務災害・施設賠償責任保険等)で手当てすべきものとして免責事項に指定されています。
解き方
- 記述①:長女Cさんは進学に伴い一人暮らしをしていますが未婚であるため「別居の未婚の子」として被保険者となります。よって「含まれない」とする記述は不適切(×)と判断します。
- 記述②:日常生活における自転車事故による賠償責任は個人賠償責任特約の典型的な補償対象であるため、適切(○)と判断します。
- 記述③:自動車事故は自動車保険の対人・対物賠償責任保険、職務遂行に起因する賠償は事業用賠償責任保険の守備範囲であり、個人賠償責任特約では免責であるため、不適切(×)と判断します。
- 選択肢 ○正解
- 記述②は個人賠償責任特約で自転車事故の賠償責任に備えられる旨を正しく述べています。
- 選択肢 ×不正解
- 記述①(別居の未婚の子の除外)および記述③(自動車事故・業務上賠償の対象化)はそれぞれ規定と相違しており誤りです。
答えの内訳
- ①:×
- 個人賠償責任特約の被保険者には、記名被保険者本人、その配偶者、同居の親族に加え、「別居の未婚の子」も含まれるため、一人暮らしをしている未婚の長女Cさんも被保険者の範囲に含まれます。
- ②:○
- 自転車運転中に他人に衝突して怪我を負わせる等の自転車事故による日常生活上の賠償責任は、個人賠償責任特約の補償対象となります。
- ③:×
- 自動車の運行・使用・管理に起因する賠償責任や、業務・職務の遂行に直接起因する賠償責任は、日常生活における賠償責任を対象とする個人賠償責任特約では免責(補償対象外)とされています。
覚えるポイント
- 個人賠償特約の被保険者の範囲:本人、配偶者、同居親族、別居の未婚の子
- 補償対象:自転車事故、飼い犬の噛みつき、日常生活の買い物中の破損等
- 主な免責事項:自動車事故、職務遂行上の事故、同居親族に対する損害賠償、預かり物の損壊
間違えやすいところ
- 「別居している子」というだけで直ちに被保険者から外れると誤認するミス(未婚であれば対象)
- 自動車による賠償事故も個人賠償責任特約で補償されると勘違いするミス
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令・約款基準
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金に係る退職所得控除額および退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得 / 退職所得控除 / 役員退職金
将来、X社が創業者である社長のAさんに役員退職金4,000万円を支給した場合における退職所得について、次の①退職所得控除額および②退職所得の金額を万円単位で求めなさい。なお、Aさんの役員在任期間(勤続年数)は35年3カ月とし、これ以外に退職手当等の収入はなく、障害者になったことが退職の直接の原因ではないものとする。
解答・解説を表示
解答
① 1,920万円 ② 1,040万円
解説
退職所得控除額の計算において、勤続年数に1年未満の端数がある場合は切り上げて1年として扱います。勤続年数20年以下の部分は1年あたり40万円(最低80万円)、20年を超える部分は1年あたり70万円を加算します。退職所得の金額は、原則として(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2によって計算します。
解き方
- 勤続年数35年3カ月の1年未満の端数を切り上げ、勤続年数を36年とします。
- 勤続年数20年超の算式「800万円+70万円×(36年-20年)」により退職所得控除額1,920万円を算出します。
- 役員等勤続年数が5年超であるため一般の退職手当等として「(4,000万円-1,920万円)×1/2」を計算し、1,040万円を求めます。
答えの内訳
- ①:1,920(万円)
- 勤続年数は35年3カ月であり、1年未満の端数は切り上げて36年として計算します。勤続年数が20年を超える場合の退職所得控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」であるため、800万円+70万円×(36年-20年)=1,920万円となります。
- ②:1,040(万円)
- Aさんの役員等勤続年数は5年を超えているため、特定役員退職手当等には該当せず通常の計算式が適用されます。退職所得の金額は「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」で求められるため、(4,000万円-1,920万円)×1/2=1,040万円となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の1年未満の端数は1年に切り上げる点
- 勤続20年超の退職所得控除額は800万円+70万円×(勤続年数-20年)で計算する点
間違えやすいところ
- 勤続月数の3カ月を切り捨てて35年で計算してしまうミス
- 特定役員退職手当等(役員勤続5年以下)と混同して1/2を乗じ忘れてしまうミス
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
労働災害総合保険の一般的な商品性
リスク管理 · 労働災害総合保険 / 法定外補償保険 / 使用者賠償責任保険
労働災害総合保険の一般的な商品性に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ①「労働災害総合保険は、労働者災害補償保険(政府労災保険)等の上乗せ補償を目的とした『法定外補償保険』と、労働災害により使用者が法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害を補償する『使用者賠償責任保険』の2つの補償から構成されており、いずれか一方のみに加入することも可能です」 ②「労働災害総合保険の補償の対象となる被用者は、事業主に使用される常用雇用労働者であり、有期契約労働者や短時間労働者を対象に含めることはできません」 ③「法定外補償保険の保険金額の設定は、定額で保険金額を定める定額方式と1日当たりの平均賃金に対する日数で保険金額を定める定率方式のいずれかを選択します。定額方式と定率方式の組合せにより保険金額を設定することはできません」 ④「労働災害総合保険は、労働者災害補償保険(政府労災保険)の認定の有無にかかわらず、損害保険会社所定の認定基準を満たすことで、保険金が支払われます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ × ④ ×
解説
労働災害総合保険は、企業の福利厚生として法定外の給付を行う法定外補償保険と、安全配慮義務違反等で使用者が民法上の損害賠償責任を負った場合に備える使用者賠償責任保険を柱としています。原則として政府労災保険の認定・給付を前提とし、多様な雇用形態の労働者を対象に設定できます。
解き方
- 記述①:法定外補償と使用者賠償責任の2つで構成され単独加入も可能である点を確認して適切(○)と判定します。
- 記述②:有期契約労働者や短時間労働者(パート・アルバイト)も対象に含められるため不適切(×)と判定します。
- 記述③:定額方式と定率方式の組合せ設定が可能であるため不適切(×)と判定します。
- 記述④:原則として政府労災保険の給付が前提条件となるため不適切(×)と判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 労働災害総合保険は、政府労災保険の給付に上乗せして補償する「法定外補償保険」と、労災事故で企業の損害賠償責任を担保する「使用者賠償責任保険」から構成されており、いずれか一方のみを契約することも可能です。
- 小問 ②:×
- 補償の対象となる被用者には、正社員などの常用雇用労働者だけでなく、パート・アルバイト等の短時間労働者や有期契約労働者も含めることができます。
- 小問 ③:×
- 法定外補償保険の保険金額の設定方法には定額方式と定率方式があり、これらを組み合わせて保険金額を設定することも可能です。
- 小問 ④:×
- 労働災害総合保険は原則として、労働者災害補償保険(政府労災保険)等から保険給付が行われること(認定を受けること)が保険金支払いの要件となります。
覚えるポイント
- 労働災害総合保険は「法定外補償」と「使用者賠償責任」の単独加入が可能である点
- パートやアルバイト等の短時間労働者も補償対象に含めることができる点
- 原則として政府労災保険の認定・支給が前提となる点
間違えやすいところ
- 労働災害総合保険が政府労災保険と無関係に単独で損害認定・給付を行うと誤認するミス
- 定額方式と定率方式の併用ができないと誤認するミス
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
労働災害総合保険の保険料算出と経理処理
リスク管理 · 労働災害総合保険 / 保険料算出基準 / 法人税の経理処理
労働災害総合保険の保険料に関する次の文章について、空欄①~③に入る最も適切な語句を〈語句群〉の中から選択しなさい。 「保険期間が1年の労働災害総合保険の保険料は、一般に、契約時に保険期間中の平均被用者数または( ① )の見込額に基づき算出された暫定保険料を支払うことになり、その( ② )。保険期間満了時には暫定保険料と実際の数値に基づき算出された確定保険料の精算が必要となり、暫定保険料が確定保険料を上回り返金を受けた場合、暫定保険料と確定保険料の差額を( ③ )として経理処理します」
- イ
- 営業利益
- ロ
- 経常利益
- ハ
- 賃金総額
- ニ
- 全額を資産に計上します
- ホ
- 2分の1を資産に計上します
- ヘ
- 全額を損金の額に算入することができます
- ト
- 雑収入
- チ
- 雑損失
解答・解説を表示
解答
① ハ、② ヘ、③ ト
解説
労働災害総合保険は、従業員の労災事故に備える民間保険であり、保険料は被用者数や賃金総額の実績に連動して決定されます。企業が支払う保険料は福利厚生費等として全額損金算入され、確定精算による過納返還分は雑収入として益金算入します。
解き方
- 労働災害総合保険の保険料算出基準が「平均被用者数」または「賃金総額」であることを確認し、空欄①にハを選択します。
- 法人が契約者として支払う労働災害総合保険の暫定保険料の税務上の取扱いが全額損金算入であることを確認し、空欄②にヘを選択します。
- 保険期間満了に伴う確定精算において、過払い分の返還を受けた際の勘定科目が「雑収入」であることを確認し、空欄③にトを選択します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 労働災害総合保険の保険料は、契約方式により保険期間中の「平均被用者数」または「賃金総額」の見込額に基づいて暫定的に算出されます。
- 小問 ②:ヘ
- 法人が負担した労働災害総合保険の保険料は、役員・従業員の福利厚生目的であるため、支払時に全額を損金の額に算入することができます。
- 小問 ③:ト
- 保険期間満了時の確定精算において、暫定保険料が確定保険料を上回り差額の返戻を受けた場合、その返還額は雑収入(益金)として処理します。
覚えるポイント
- 労働災害総合保険の保険料計算基準は「平均被用者数」または「賃金総額」であること
- 法人が支払う労働災害総合保険料は全額損金算入され、返戻精算額は雑収入となること
間違えやすいところ
- 役員・従業員を対象とする保険であっても養老保険のような2分の1資産計上と混同しないこと
- 保険料精算で返戻を受けた場合(雑収入)と追加納付した場合(雑損失・保険料)を取り違えないこと
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得控除(配偶者控除・扶養控除・所得金額調整控除)の適用判定
タックスプランニング · 配偶者控除 / 扶養控除 / 所得金額調整控除
Aさんの2021年分の所得税の所得控除等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の控除額は、38万円です」 ② 「Aさんが適用を受けることができる扶養控除の控除額は、63万円です」 ③ 「Aさんは、給与収入の金額が850万円を超え、かつ、23歳未満の扶養親族を有しているため、所得金額調整控除の適用を受けることができます」
解答・解説を表示
解答
① ○、② ○、③ ○
解説
所得税の配偶者控除は納税者の合計所得金額が900万円以下であれば満額38万円が適用されます。19歳以上23歳未満の控除対象扶養親族は特定扶養親族として63万円の控除が認められます。また給与収入850万円超で23歳未満の扶養親族がいる場合は給与所得から一定額を控除する所得金額調整控除が適用されます。
解き方
- Aさんの合計所得金額を計算し(給与所得840万円+一時所得の1/2である30万円=870万円)、900万円以下であることを確認して配偶者控除額38万円の正誤を判定します。
- 長男Cさんの年齢(19歳)および所得要件を確認し、特定扶養親族に該当することから扶養控除額63万円の正誤を判定します。
- 給与等の収入金額が1,050万円(850万円超)で、23歳未満の扶養親族(19歳の長男Cさん)がいることから、所得金額調整控除の適用要件を満たすことを判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- Aさんの合計所得金額は870万円(給与所得840万円+総所得算入一時所得30万円)で900万円以下であり、妻Bさんの合計所得金額は0円(48万円以下)であるため、一般の配偶者控除額38万円が全額適用されます。
- 小問 ②:○
- 長男Cさんは19歳で合計所得金額が48万円以下(収入なし)であるため、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)に該当し、扶養控除の控除額は63万円となります。
- 小問 ③:○
- 給与収入金額が850万円を超え、かつ23歳未満の扶養親族(19歳の長男Cさん)を有しているため、所得金額調整控除(子ども等)の要件をすべて満たし、適用を受けることができます。
覚えるポイント
- 配偶者控除の満額38万円の適用要件は納税者の合計所得金額が900万円以下であること
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の扶養控除額は63万円であること
- 給与収入850万円超で23歳未満の扶養親族がいる場合は所得金額調整控除が受けられること
間違えやすいところ
- Aさんの合計所得金額の判定において、給与所得だけでなく一時所得の金額(1/2後)を合算し忘れること
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満、控除額63万円)と一般の控除対象扶養親族(16歳以上、控除額38万円)を取り違えること
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の算出税額の計算
タックスプランニング · 一時所得 / 地震保険料控除 / 基礎控除 / 所得税の速算表
設例の会社員Aさんの2021年分の所得税の算出税額を計算した表の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 300,000(円) ② 12,000(円) ③ 480,000(円) ④ 632,500(円)
解説
一時所得の総所得金額への算入は特別控除後の2分の1とし、地震保険料控除は支払額全額(上限5万円)、基礎控除は合計所得金額に応じて判定し、課税総所得金額に速算表の税率を適用して算出税額を計算します。
解き方
- 一時所得の金額を求め、その2分の1を計算して空欄①の総所得金額算入額を算出する。
- 損害保険料のうち地震保険料のみを対象として空欄②の地震保険料控除額を特定する。
- 合計所得金額を算定して判定基準に照らし、空欄③の基礎控除額を決定する。
- 総所得金額から所得控除合計額を差し引いて課税総所得金額を求め、速算表を用いて空欄④の算出税額を計算する。
答えの内訳
- ①:300,000
- 一時所得の金額は「総収入金額(610万円)-収入を得るために支出した金額(500万円)-特別控除額(最高50万円)」により60万円となります。総所得金額に算入される金額はその2分の1であるため、60万円×1/2=300,000円となります。
- ②:12,000
- 地震保険料控除の控除額は、支払った地震保険料の全額(最高5万円)となります。火災保険料は控除の対象外であるため、地震保険料として支払った12,000円がそのまま控除額となります。
- ③:480,000
- Aさんの合計所得金額は給与所得840万円+一時所得の算入額30万円=870万円であり、2,400万円以下であるため、基礎控除の額は48万円(480,000円)となります。
- ④:632,500
- 総所得金額(a)は840万円+30万円=870万円、所得控除合計額(b)は340万円であるため、課税総所得金額(c)は870万円-340万円=530万円です。速算表より「530万円×20%-42万7,500円=632,500円」となります。
覚えるポイント
- 一時所得の総所得金額算入額は「(収入-支出-特別控除最高50万円)×1/2」で計算する。
- 地震保険料控除の対象は地震保険部分のみであり、支払額が5万円以下ならその全額が控除される。
間違えやすいところ
- 一時所得の金額そのもの(60万円)を総所得金額算入額としてしまい、2分の1にするのを忘れる。
- 火災保険料を含めて地震保険料控除を計算してしまう。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の所得税法および関係法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅借入金等特別控除等の取扱い
タックスプランニング · 住宅借入金等特別控除 / 確定申告 / 団体信用生命保険
設例のAさんに関する住宅借入金等特別控除等についての次の記述①~③の正誤を判定しなさい。
- ①
- Aさんは、2021年分の所得税から最長で15年間、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。
- ②
- Aさんが2021年分の所得税において住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、一定の書類を添付して、所轄税務署長に確定申告書を提出する必要がありますが、翌年分以後の所得税については、年末調整においてその適用を受けることができます。
- ③
- Aさんが住宅ローンの借り入れの際に加入した団体信用生命保険の支払保険料は、生命保険料控除の対象となります。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
住宅借入金等特別控除の控除期間は原則10年(特例13年)であり、初年分は確定申告が必須ですが2年目以降は年末調整で手続きが可能です。また受取人が金融機関となる団体信用生命保険の保険料は生命保険料控除の対象外です。
解き方
- 住宅借入金等特別控除の適用期間の規定(10年または特例13年)を確認して記述①の正誤を判断する。
- 控除を受けるための初年分(確定申告)と2年目以降(年末調整)の手続きを確認して記述②の正誤を判断する。
- 団体信用生命保険の受取人および保険料の性質から生命保険料控除の適否を確認して記述③の正誤を判断する。
- 選択肢 ①不正解
- 控除期間は原則10年(一定の特例適用時で最長13年)であり、15年とする記述は誤りです。
- 選択肢 ②正解
- 給与所得者の初年度適用は確定申告書の提出が必要ですが、2年目以降は年末調整で適用を受けることができるため正しい記述です。
- 選択肢 ③不正解
- 団体信用生命保険は保険金受取人が債権者(金融機関)であるため、支払保険料は生命保険料控除の対象外であり誤りです。
答えの内訳
- ①:×
- 住宅借入金等特別控除の控除期間は原則として10年間(消費税率引上げに伴う特例措置等でも最長13年間)であり、15年間ではありません。
- ②:○
- 給与所得者が住宅借入金等特別控除の適用を受ける初年分は確定申告を行う必要がありますが、2年目以降は勤務先の年末調整で控除の適用を受けることができます。
- ③:×
- 団体信用生命保険(団信)の保険金受取人は融資を行った金融機関等であるため、加入者が支払う保険料は生命保険料控除の対象になりません。
覚えるポイント
- 住宅ローン控除の初年度は必ず確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で処理できる。
- 団体信用生命保険(団信)の保険料は生命保険料控除の対象外となる。
間違えやすいところ
- 住宅借入金等特別控除の特例による延長期間を15年と混同してしまう。
- 生命保険という名称から団体信用生命保険も生命保険料控除の対象になると誤認してしまう。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の所得税法および租税特別措置法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 遺産に係る基礎控除額 / 課税遺産総額 / 法定相続分に応ずる取得金額 / 相続税の総額
被相続人Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額の計算に関して、空欄①〜③に入る数値を求めなさい。なお、相続税の課税価格の合計額は2億1,000万円とし、法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、二男Dさん、三男Eさんの4人(配偶者と子3人)とする。
解答・解説を表示
解答
① 5,400(万円) ② 340(万円) ③ 2,660(万円)
解説
相続税の総額を計算する際は、まず課税価格の合計額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を控除して課税遺産総額を求めます。次に、実際の遺産分割割合にかかわらず民法の法定相続分で按分した各法定相続人の取得金額を仮定し、相続税の速算表を適用して税額を算出し、それらを合算して総額を算出します。
解き方
- 法定相続人の数(4人)から、遺産に係る基礎控除額を「3,000万円+600万円×4人=5,400万円」と計算する。
- 課税価格の合計額2億1,000万円から基礎控除額5,400万円を差し引いて、課税遺産総額1億5,600万円を算出する。
- 課税遺産総額を各人の法定相続分(配偶者1/2、子各自1/6)で按分し、速算表を用いて各人の税額を算出する(長男C:2,600万円×15%-50万円=340万円)。
- 妻Bさんの税額1,640万円と子3人の税額計1,020万円を合算し、相続税の総額2,660万円を求める。
答えの内訳
- ①:5,400
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、二男Dさん、三男Eさんの計4人であるため、3,000万円+600万円×4人=5,400万円となります。
- ②:340
- 課税遺産総額は、課税価格の合計額2億1,000万円から基礎控除額5,400万円を差し引いた1億5,600万円です。これを民法の法定相続分(妻2分の1、子それぞれ6分の1)で按分すると、長男Cさんの取得金額は1億5,600万円×6分の1=2,600万円となります。速算表(1,000万円超3,000万円以下:税率15%、控除額50万円)を適用して税額を求めると、2,600万円×15%-50万円=340万円となります。
- ③:2,660
- 妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額は1億5,600万円×2分の1=7,800万円で、税額は7,800万円×30%-700万円=1,640万円です。子3人(長男C、二男D、三男E)の税額は各自340万円(合計1,020万円)となります。したがって、相続税の総額は各人の税額を合計した1,640万円+340万円×3人=2,660万円となります。
覚えるポイント
- 遺産に係る基礎控除額の算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」である。
- 相続税の総額は実際の遺産分割比率ではなく、法定相続分で按分した取得金額を速算表に当てはめて計算した税額の合算である。
間違えやすいところ
- 実際の遺産分割割合や取得見込割合で按分して税額を計算してしまう誤り。
- 基礎控除額の計算において、相続放棄者がいた場合でも民法上の法定相続人の数に含める規定と混同すること。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の相続税法および関係法令
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
賃貸マンションの建築と相続税評価・特例
相続・事業承継 · 債務控除 / 貸家建付地 / 小規模宅地等の特例 / 限度面積の調整
賃貸マンションの建築等に関する次の記述①〜③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
不動産の相続対策では、建築資金借入金による債務控除や、自己所有地に賃貸建物を建てることによる貸家建付地評価減を活用します。小規模宅地等の特例を併用する場合、貸付事業用宅地等が含まれるときは完全併用ができず調整計算が必要となります。
解き方
- 金融機関からの借入金が被相続人の確実な債務として債務控除の対象になるか確認する(対象となるため①は適切)。
- 土地所有者が自己所有の建物を賃貸する場合の敷地評価が「貸家建付地」であるか確認する(「貸宅地」ではないため②は不適切)。
- 特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等を併用する際の限度面積について、調整計算が必要であるか確認する(無調整で限度面積まで併用はできないため③は不適切)。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 被相続人が金融機関から融資を受けて賃貸マンション等の建物を建築した場合、相続開始時において確定している未払いの借入金残高は、相続税の課税価格の計算上、債務控除の対象となります。
- 小問 ②:×
- 自己が所有する土地の上に自ら建築した賃貸マンション等の家屋を他人に賃貸している場合、その敷地は「貸家建付地」(自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合))として評価されます。「貸宅地」は他人に建物の所有を目的として貸し付けている土地(借地権が設定されている土地)を指すため不適切です。
- 小問 ③:×
- 小規模宅地等の特例において、特定居住用宅地等(上限330㎡)と貸付事業用宅地等(上限200㎡)を併用する場合、それぞれの限度面積まで完全に併用することはできず、一定の調整計算式(面積按分)に基づいて適用限度面積の判定を行う必要があります。
覚えるポイント
- 所有地に自己所有の賃貸建物を建てて賃貸している敷地は「貸家建付地」である。
- 貸付事業用宅地等と他の宅地等を併用する場合は、それぞれの限度面積まで無制限に適用することはできず面積調整が必要となる。
間違えやすいところ
- 「貸宅地」(借地権が設定された土地)と「貸家建付地」(賃貸アパート等の敷地)の定義を混同する誤り。
- 特定居住用宅地等と特定事業用等宅地等の完全併用(最大730㎡)と混同し、貸付事業用宅地等も無調整で併用できると誤認すること。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の相続税法および租税特別措置法
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続対策(自筆証書遺言保管制度・死亡保険金の非課税限度額・遺留分・配偶者の税額軽減)
相続・事業承継 · 自筆証書遺言保管制度 / 生命保険金の非課税限度額 / 遺留分の算定 / 配偶者に対する相続税額の軽減
Aさん(配偶者:妻B、子:長男C・二男D・三男Eの計4人)の相続対策等に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群のなかから選びなさい。 Ⅰ 「円滑な遺産分割のための手段として遺言書の作成をお勧めします。自筆証書遺言については、( ① )における保管制度があり、当該制度を活用することで、遺言書の紛失等を防ぐことができます」 Ⅱ 「妻Bさんが受け取る死亡保険金(3,000万円)は、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることで、相続税の課税価格に算入される金額は、( ② )万円となります」 Ⅲ 「相続財産の大半を妻Bさんおよび長男Cさんが相続により取得した場合、二男Dさんおよび三男Eさんの遺留分を侵害するおそれがあります。二男Dさんの遺留分の額は、遺留分を算定するための財産の価額に( ③ )を乗じた額となります」 Ⅳ 「『配偶者に対する相続税額の軽減』の適用を受けた場合、妻Bさんが相続または遺贈により取得した財産の額が、配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円とのいずれか( ④ )金額までであれば、妻Bさんが納付すべき相続税額は算出されません」
- イ
- 500
- ロ
- 1,000
- ハ
- 2,000
- ニ
- 6分の1
- ホ
- 8分の1
- ヘ
- 12分の1
- ト
- 法務局
- チ
- 家庭裁判所
- リ
- 所轄税務署
- ヌ
- 多い
- ル
- 少ない
解答・解説を表示
解答
① ト、② ロ、③ ヘ、④ ヌ
解説
相続における民法上の権利関係(遺言保管制度や遺留分)および税法上の優遇措置(死亡保険金の非課税限度額、配偶者の税額軽減)は、それぞれの要件や計算基準を正確に適用して判断します。
解き方
- 自筆証書遺言に係る保管制度の所管機関(法務局)を確認する。
- 法定相続人の数(4人)から生命保険金の非課税限度額(2,000万円)を算定し、受取額から控除して課税価格算入額(1,000万円)を導く。
- 全体の総遺留分割合(1/2)に二男の法定相続分(1/6)を乗じて、二男の遺留分割合(1/12)を計算する。
- 配偶者の税額軽減の適用要件(法定相続分相当額と1億6,000万円のいずれか多い額)の規定文言を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ト
- 自筆証書遺言書保管制度は、遺言者が作成した自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)に預けて保管してもらう制度です。
- 小問 ②:ロ
- 法定相続人は妻B、長男C、二男D、三男Eの4人であるため、非課税限度額は「500万円×4人=2,000万円」です。受け取る死亡保険金3,000万円から非課税枠2,000万円を差し引いた1,000万円が課税価格に算入されます。
- 小問 ③:ヘ
- 相続人が配偶者と子である場合の全体の総遺留分は2分の1です。二男Dの法定相続分は「1/2×1/3=1/6」となるため、二男Dの遺留分割合は「1/2×1/6=12分の1」となります。
- 小問 ④:ヌ
- 配偶者に対する相続税額の軽減では、配偶者の取得した正味の遺産額が法定相続分相当額または1億6,000万円のいずれか「多い」金額までであれば配偶者に相続税は課されません。
覚えるポイント
- 法務局における自筆証書遺言保管制度を利用した遺言は、家庭裁判所による検認手続きが不要となるメリットがあります。
- 死亡保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」で算定されます。
間違えやすいところ
- 非課税限度額(2,000万円)をそのまま課税価格算入額として解答してしまう誤りに注意が必要です。
- 法定相続分(1/6)と遺留分割合(1/12)を混同しないように注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2021年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

