日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
遺族基礎年金および遺族厚生年金の受給要件・給付額
ライフプランニングと資金計画 · 遺族基礎年金 / 子の要件 / 遺族年金生活者支援給付金 / 遺族厚生年金の短期要件(300月みなし)
被保険者Aさん(43歳、妻Bさん45歳、長女Cさん10歳)が現時点で死亡した場合に支給される公的年金制度の遺族給付および遺族年金生活者支援給付金について、文章中の空欄①~④に当てはまる適切な語句または数値を語句群の中から選択しなさい。 Ⅰ 「遺族基礎年金を受けられる遺族の範囲における『子』とは、( ① )歳到達年度の末日までの間にあるか、20歳未満で障害等級1級または2級に該当する障害の状態にあり、かつ現に婚姻していない子を指します。妻Bさんが受給できる遺族基礎年金の額は( ② )円(2021年度価額)となり、長女Cさんの( ① )歳到達年度の末日終了により受給権を失います。また、妻Bさんの前年所得が一定額以下である場合、遺族年金生活者支援給付金を受給でき、その年額は( ③ )円(2021年度価額)となります」 Ⅱ 「遺族厚生年金の額は、報酬比例部分の額の4分の3相当額となります。ただし、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が( ④ )に満たない場合、( ④ )とみなして計算されます」
- イ
- 16
- ロ
- 18
- ハ
- 20
- ニ
- 60,000
- ホ
- 60,360
- ヘ
- 74,900
- ト
- 855,800
- チ
- 1,005,600
- リ
- 240月
- ヌ
- 300月
- ル
- 360月
解答・解説を表示
解答
① ロ、② チ、③ ホ、④ ヌ
解説
遺族基礎年金は生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」に支給され、子は原則18歳到達年度末までが対象です。また、被保険者死亡による遺族厚生年金(短期要件)では被保険者期間が300月未満の場合に300月保障が適用されます。
解き方
- 遺族基礎年金の「子」の年齢要件(18歳年度末)および2021年度の基本額+子1人加算額(780,900円+224,700円)を確認する。
- 遺族年金生活者支援給付金の月額(5,030円)から年額(60,360円)を算出する。
- 在職中死亡に伴う遺族厚生年金の計算において、実期間が300月未満の場合の最低保障月数(300月)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 遺族基礎年金の対象となる「子」は、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、または20歳未満で障害等級1級・2級の障害状態にある子です。したがって「18」が入ります。
- 小問 ②:チ
- 2021年度の遺族基礎年金の基本額は780,900円、第1子の加算額は224,700円であるため、合計支給額は 780,900円 + 224,700円 = 1,005,600円 となります。
- 小問 ③:ホ
- 2021年度の遺族年金生活者支援給付金の給付基準額は月額5,030円であり、年額換算すると 5,030円 × 12月 = 60,360円 となります。
- 小問 ④:ヌ
- 被保険者死亡による短期要件の遺族厚生年金では、厚生年金保険の被保険者期間が300月(25年)未満の場合、一律に300月とみなして年金額を計算する最低保障(300月みなし)が適用されます。
覚えるポイント
- 遺族基礎年金の子は原則18歳到達年度末(3月31日)まで
- 遺族厚生年金の短期要件は被保険者期間300月未満の場合300月みなしで計算
間違えやすいところ
- 遺族基礎年金の子加算額を第3子以降の額(74,900円)と混同して計算すること
- 厚生年金のみなし被保険者期間を240月(中高齢の特例等の月数)と誤解すること
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等(2021年度価額基準)
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族厚生年金の支給額の計算(300月みなし適用)
ライフプランニングと資金計画 · 遺族厚生年金 / 報酬比例部分の計算 / 短期要件の300月みなし
被保険者Aさん(43歳)が現時点(2021年9月12日)で死亡した場合、《設例》の公的年金加入歴および所定の算式に基づき、妻Bさんが受給することができる遺族厚生年金の額(本来水準の額)を求めなさい。なお、年金額は2021年度価額に基づいて計算し、円未満は四捨五入すること。 <Aさんの厚生年金被保険者期間等のデータ> ・2003年3月以前の被保険者期間:36月、平均標準報酬月額:24万円 ・2003年4月以後の被保険者期間:221月、平均標準報酬額:36万円 ・合計被保険者期間:257月
解答・解説を表示
解答
435,667(円)
解説
死亡した被保険者の厚生年金期間が300月未満である場合、短期要件による遺族厚生年金の額は、実際の加入月数で算定した報酬比例部分の額に「300月 / 実加入月数」を乗じて300月に引き上げたうえで、その4分の3を乗じて算出します。
解き方
- 2003年3月以前の額 ⓐ = 240,000 × (7.125 / 1,000) × 36 = 61,560円 を算出する。
- 2003年4月以後の額 ⓑ = 360,000 × (5.481 / 1,000) × 221 = 436,068.36円 を算出する。
- 合計加入月数(36 + 221 = 257月)が300月未満であることを確認し、300月みなしの補正率(300 / 257)を適用する。
- (ⓐ + ⓑ)× (300 / 257) × (3 / 4) を計算し、円未満を四捨五入して年金額を求める。
覚えるポイント
- 被保険者の厚生年金加入期間が300月未満の場合は (300 / 実月数) を乗じて300月みなし計算を行う
- 遺族厚生年金の支給額は老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3
間違えやすいところ
- 実加入月数(257月)のまま300月みなし調整を掛け忘れて4分の3を計算してしまうこと
- 最後の4分の3を掛け忘れて老齢厚生年金相当額のまま解答してしまうこと
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等(2021年度価額基準)
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金の遺族給付および障害給付の支給要件と年金額
リスク管理・年金 · 遺族基礎年金 / 障害基礎年金 / 障害厚生年金 / 加給年金
公的年金制度における遺族給付および障害給付に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×をそれぞれ判定しなさい。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
- ①
- 仮に、妻Bさんが現時点で死亡した場合、妻Bさんは国民年金の第3号被保険者に該当するため、Aさんは、遺族基礎年金を受給することができません。
- ②
- 仮に、Aさんの障害の程度が国民年金法に規定される障害等級1級と認定され、障害基礎年金を受給することになった場合、その障害基礎年金の額(2021年度価額)は、『780,900円×1.2+224,700円(子の加算)』の算式により算出されます。
- ③
- 仮に、Aさんの障害の程度が厚生年金保険法に規定される障害等級3級と認定され、障害厚生年金を受給することになった場合、その障害厚生年金の額に配偶者の加給年金額が加算されます。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ×
解説
公的年金の遺族基礎年金は被保険者の死亡時に「子のある配偶者」または「子」へ支給され、第3号被保険者の死亡でも対象となります。また障害給付では、障害基礎年金1級が基本額の1.25倍、加給年金の加算対象は障害等級1級・2級のみである点に留意が必要です。
解き方
- 遺族基礎年金の受給要件を確認し、第3号被保険者である妻の死亡により子のある夫が受給可能かを判定する。
- 障害基礎年金1級の年金額の計算式における乗率(基本額の1.25倍)を確認する。
- 障害厚生年金における配偶者加給年金の加算対象となる障害等級(1級・2級に限定)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 国民年金の被保険者(第3号被保険者を含む)が死亡した場合、その被保険者によって生計を維持されていた子のある配偶者または子は遺族基礎年金を受給することができます。妻Bさんは第3号被保険者であり、10歳の子Cがいるため、夫Aさんは遺族基礎年金を受給できます。
- 小問 ②:×
- 障害基礎年金1級の年金額は、2級の年金額(定額780,900円)の1.25倍に子の加算額を合算して計算されます。算式中の「×1.2」は誤りであり、正しくは「780,900円×1.25+子の加算額」です。
- 小問 ③:×
- 障害厚生年金に生計を維持する65歳未満の配偶者がいる場合の加給年金額が加算されるのは、障害等級が1級または2級の場合に限られます。障害等級3級の障害厚生年金には加給年金額は加算されません。
覚えるポイント
- 遺族基礎年金の受給対象は「子のある配偶者」または「子」であること
- 障害基礎年金1級の年金額は2級相当額の1.25倍(子の加算額あり)であること
- 障害厚生年金の配偶者加給年金は1級および2級のみ加算されること
間違えやすいところ
- 障害基礎年金1級の倍率を1.25倍ではなく1.2倍や1.5倍と混同すること
- 障害厚生年金3級でも加給年金が加算されると誤認すること
出題の前提:2021年4月1日現在施行の公的年金各法令(国民年金法・厚生年金保険法)
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資指標(ROEおよびPBR)の計算
金融資産運用 · 財務分析 / ROE / PBR / 自己資本利益率 / 株価純資産倍率
設例の財務データおよび株価データに基づき、X社およびY社の①ROE(自己資本利益率)と②PBR(株価純資産倍率)をそれぞれ求めなさい。解答は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までとしなさい。
解答・解説を表示
解答
① X社:5.63(%) Y社:7.14(%)、② X社:1.41(倍) Y社:1.43(倍)
解説
ROE(自己資本利益率)は株主資本を活用してどれだけ利益を生み出したかを示す指標(当期純利益÷自己資本×100)であり、PBR(株価純資産倍率)は株価が1株当たり純資産の何倍まで買われているか(株価÷BPS、または時価総額÷純資産)を示す指標です。
解き方
- 各社の当期純利益を自己資本(純資産)で除し、100を掛けてROEを算出し、小数点以下第3位を四捨五入する。
- 各社の純資産を発行済株式数で除して1株当たり純資産(BPS)を求める(または株価に発行済株式数を掛けて時価総額を求める)。
- 株価をBPSで除してPBRを算出し、小数点以下第3位を四捨五入する。
答えの内訳
- ① X社:5.63(%)
- ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 = 90,000百万円 ÷ 1,600,000百万円 × 100 = 5.625%。小数点以下第3位を四捨五入して5.63%となります。
- ① Y社:7.14(%)
- ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 = 100,000百万円 ÷ 1,400,000百万円 × 100 = 7.1428…%。小数点以下第3位を四捨五入して7.14%となります。
- ② X社:1.41(倍)
- 1株当たり純資産(BPS)= 純資産1,600,000百万円 ÷ 発行済株式数5億株 = 3,200円。PBR = 株価4,500円 ÷ 3,200円 = 1.40625倍。小数点以下第3位を四捨五入して1.41倍となります。
- ② Y社:1.43(倍)
- 1株当たり純資産(BPS)= 純資産1,400,000百万円 ÷ 発行済株式数10億株 = 1,400円。PBR = 株価2,000円 ÷ 1,400円 = 1.4285…倍。小数点以下第3位を四捨五入して1.43倍となります。
覚えるポイント
- ROE(自己資本利益率)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
- PBR(株価純資産倍率)= 株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS) = 時価総額 ÷ 純資産
- 指定された端数処理(小数点以下第3位四捨五入で第2位まで表示)を厳守すること
間違えやすいところ
- ROEの分子に営業利益や経常利益を使用してしまうミス
- PBRの計算でPER(株価収益率)と混同して当期純利益で除してしまうミス
- 端数処理において切り捨て・切り上げをしてしまうミス
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令・出題条件に基づく
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の投資指標の理解と判定
金融資産運用 · PER(株価収益率) / 配当利回り / 自己資本比率
設例の財務データおよび株価データに基づき、株式の投資指標等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「一般に、PERが高い銘柄ほど、株価は割高とみられますが、今後の高い利益成長が期待され、高くなっていることもあります。PERは、Y社のほうがX社よりも高くなっています」 ② 「一般に、配当利回りが高いほど、株主に対する利益還元の度合いが高いと考えることができます。配当利回りは、X社株式のほうがY社株式よりも高くなっています」 ③ 「一般に、自己資本比率が高いほど、経営の安全性が高いと考えられています。自己資本比率は、Y社のほうがX社よりも高くなっています」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
PER(株価収益率)は株価をEPSで割ったもので割安・割高感を測り、配当利回りは株価に対する年間配当金の割合を示し、自己資本比率は総資産に対する自己資本の割合から財務の健全性・安全性を評価する指標です。
解き方
- 各社の当期純利益と発行済株式数から1株当たり当期純利益(EPS)を算出し、株価をEPSで除してPERを比較する。
- 各社の1株当たり年間配当金を株価で除して配当利回りを計算し、高低を比較する。
- 純資産(自己資本)の部合計を資産の部合計で除して自己資本比率を算出し、高低を比較する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 1株当たり当期純利益(EPS)は、X社が90,000百万円÷5億株=180円、Y社が100,000百万円÷10億株=100円となります。PERは、X社が4,500円÷180円=25.0倍、Y社が2,000円÷100円=20.0倍であり、X社のほうが高いため不適切です。
- 小問 ②:×
- 配当利回りは「1株当たり年間配当金÷株価×100」で求められます。X社は100円÷4,500円×100≒2.22%、Y社は60円÷2,000円×100=3.00%となり、Y社株式のほうが配当利回りが高いため不適切です。
- 小問 ③:○
- 自己資本比率は「自己資本(純資産)÷総資産×100」で求められます。X社は1,600,000÷4,400,000×100≒36.36%、Y社は1,400,000÷2,500,000×100=56.00%となり、Y社のほうがX社よりも高いため適切です。
覚えるポイント
- PER=株価÷1株当たり当期純利益(EPS)
- 配当利回り(%)=1株当たり年間配当金÷株価×100
- 自己資本比率(%)=自己資本÷総資産×100
間違えやすいところ
- PERの計算で分子と分母(株価とEPS)を逆にして計算してしまう。
- 配当性向(配当金÷純利益)と配当利回り(配当金÷株価)の計算式を混同してしまう。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一般NISAおよびつみたてNISAの制度概要
金融資産運用 · 一般NISAの非課税投資枠と期間 / 株式数比例配分方式 / つみたてNISAの対象商品
MさんがAさんに対して説明した、NISA(少額投資非課税制度)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「2021年中に一般NISA勘定に受け入れることができる上場株式等の限度額(非課税枠)は年間120万円であり、その配当金や譲渡益等の非課税期間は、当該勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長で5年間です」 ② 「NISA口座で購入した上場株式の配当金を非課税とするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択する必要があります」 ③ 「NISA口座で上場株式を購入し、長期の積立・分散投資を行う場合、つみたてNISAを利用してください」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
一般NISAは年間120万円・最長5年間の非課税枠で株式や投信を購入できますが、配当金を非課税にするには株式数比例配分方式の選択が必須です。また、つみたてNISAの対象商品は公募投信・ETF等に限定され個別の上場株式は対象外です。
解き方
- 一般NISAの年間投資上限額(120万円)および非課税保有期間(最長5年間)の要件を確認する。
- NISA口座内の上場株式の配当金非課税適用には株式数比例配分方式の指定が必須であるルールを確認する。
- つみたてNISAの対象商品が公募株式投資信託・ETF等に限定されており、上場個別株式は買付不可であることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 2021年時点の一般NISAにおいて、年間非課税投資枠は120万円、非課税期間は勘定設定年の1月1日から最長5年間と定められているため、記述は適切です。
- 小問 ②:○
- NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税とするためには、証券会社の取引口座で配当金を受領する「株式数比例配分方式」を選択する必要があるため、記述は適切です。
- 小問 ③:×
- つみたてNISAの投資対象商品は、手数料が低水準など法令の要件を満たす公募株式投資信託および上場投資信託(ETF)に限られており、上場株式(個別株)を直接購入することはできないため不適切です。
覚えるポイント
- 一般NISAの年間非課税投資枠は120万円で最長5年間
- 上場株式の配当金を非課税にするには株式数比例配分方式の選択が必須
- つみたてNISAの対象商品は所定の投資信託およびETFであり、個別株式は対象外
間違えやすいところ
- 配当金の受取方式を登録配当金受領口座方式や配当金領収証方式にすると、課税(源泉徴収)されてしまう点を見落とす。
- つみたてNISAでも一般NISAと同様に上場株式(個別銘柄)が購入できると誤認する。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅借入金等特別控除の適用要件と控除期間・控除額の特例
タックスプランニング · 住宅借入金等特別控除 / 床面積要件の緩和 / 特例控除期間(13年間) / 控除額の計算
住宅借入金等特別控除(以下、「本控除」という)に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、〈語句群〉の中から選びなさい。 「個人が、住宅ローンを利用して、2020年12月1日から2021年11月30日までに締結した売買契約に基づき、自己の居住用住宅を取得(特別特定取得に該当)し、2021年1月1日から2022年12月31日までに居住した場合、『取得した住宅の床面積は( ① )㎡以上であること』などの一定の要件を満たせば、居住の用に供した年分以後、最大で( ② )年間、本控除の適用を受けることができます。ただし、取得した住宅の床面積が( ① )㎡以上□□□㎡未満の場合、その年分の所得税に係る合計所得金額が1,000万円を超えたときは、本控除の適用を受けることができません。 1年目から□□□年目までの本控除の額は、原則として『住宅ローンの年末残高×所定の割合(控除率)』の額になりますが、( ③ )年目から( ② )年目までの本控除の額は、原則として『住宅ローンの年末残高×所定の割合(控除率)』と『(住宅取得等対価の額-消費税額)×2%÷3』のいずれか( ④ )ほうの額になります」 〈語句群〉 イ.11 ロ.12 ハ.13 ニ.14 ホ.15 ヘ.30 ト.40 チ.50 リ.多い ヌ.少ない
- イ
- 11
- ロ
- 12
- ハ
- 13
- ニ
- 14
- ホ
- 15
- ヘ
- 30
- ト
- 40
- チ
- 50
- リ
- 多い
- ヌ
- 少ない
解答・解説を表示
解答
① ト、② ハ、③ イ、④ ヌ
解説
住宅借入金等特別控除は、居住者が一定の住宅ローンを利用して新築等の取得をした場合に所得税額から税額控除を受けられる制度です。消費税率引上げに伴う特例や税制改正措置により、控除期間が13年間に拡充されたほか、一定の契約・入居期日を満たすことで床面積要件が50㎡以上から40㎡以上へと緩和されています(40㎡以上50㎡未満は合計所得金額1,000万円以下に限定)。11年目〜13年目の各年控除限度額は建物取得対価の2%を3等分した額と年末残高×控除率のいずれか小さい方とされます。
解き方
- 住宅取得要件の緩和措置を確認し、40㎡以上50㎡未満の場合の所得制限(1,000万円以下)と床面積の下限「40㎡(ト)」を判定する。
- 特別特定取得における控除期間の延長特例の最長年数「13年間(ハ)」を確認する。
- 13年特例における控除額の計算方式の分岐年(10年経過後の「11年目(イ)」から13年目)を特定する。
- 11年目から13年目の控除額上限が「ローン年末残高×控除率」と「(対価額-消費税額)×2%÷3」のいずれか「少ない(ヌ)」ほうであることを判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ト
- 特別特例取得等に係る措置により、床面積要件は通常「50㎡以上」のところ、合計所得金額1,000万円以下の年分に限り「40㎡以上」に緩和されています。したがって空欄①には「40」を示す「ト」が入ります。
- 小問 ②:ハ
- 消費税率10%が適用される特別特定取得等について要件を満たして居住の用に供した場合、控除期間は通常の10年間から最大「13年間」に延長されます。したがって空欄②には「13」を示す「ハ」が入ります。
- 小問 ③:イ
- 13年間に延長された場合、1年目から10年目までは住宅ローン年末残高に控除率を乗じた額となり、延長された「11年目」から13年目までの3年間は建物価格の2%割戻し計算との比較が行われます。したがって空欄③には「11」を示す「イ」が入ります。
- 小問 ④:ヌ
- 11年目から13年目までの各年の控除額は、「住宅ローンの年末残高×所定の控除率」と「(住宅取得等対価の額-消費税額)×2%÷3」のいずれか「少ない」ほうの金額となります。したがって空欄④には「少ない」を示す「ヌ」が入ります。
覚えるポイント
- 特別特定取得等の13年特例:1〜10年目は年末残高×控除率、11〜13年目は年末残高×控除率と(建物価格×2%÷3)の少ないほう
- 床面積40㎡以上50㎡未満への緩和は合計所得金額1,000万円以下の年分のみ適用可能
間違えやすいところ
- 床面積の緩和要件を従来の原則である「50㎡以上」と誤認してしまうミス
- 11年目〜13年目の控除額上限の比較で「多いほう」を選択してしまうミス
出題の前提:2021年4月1日現在施行の税制(租税特別措置法、住宅借入金等特別控除)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
新築分譲マンション取得時の税金(贈与税特例・確定申告・住民税控除)
タックスプランニング · 住宅取得等資金の贈与税の非課税特例 / 住宅借入金等特別控除の初年度手続き / 住民税からの住宅ローン控除
Aさんが新築分譲マンションを購入した場合の税金に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 「Aさんが、父親からの資金援助について『直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例』の適用を受けた場合、その贈与を受けた金額は贈与税が課されません」 ② 「Aさんが2021年分の所得税において住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、一定の書類を添付して、Aさんの住所地を所轄する税務署長に確定申告書を提出する必要があり、年末調整においてその適用を受けることはできません」 ③ 「仮に、Aさんが、2022年分以降の住宅借入金等特別控除の額がその年分の所得税額から控除しきれなかったにもかかわらず、Aさんの住所地の市区町村にその旨を申告しなかった場合、その残額は、翌年度分の住民税額の控除対象にはなりません」
解答・解説を表示
解答
① ○、② ○、③ ×
解説
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例は、要件を満たして確定申告を行うことで限度額まで贈与税が非課税となります。給与所得者の住宅ローン控除は初年度のみ確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で適用できます。また、所得税から控除しきれなかった控除額は翌年度の住民税から自動的に控除され、納税者が市区町村に別途申告書を提出する必要はありません。
解き方
- 記述①:受贈額1,000万円が非課税限度額の範囲内であり特例適用により非課税となるかを確認し、正しい(○)と判定する。
- 記述②:給与所得者の住宅ローン控除の初年度手続きは年末調整ではなく確定申告が必須であることを確認し、正しい(○)と判定する。
- 記述③:住民税の住宅ローン控除の適用にあたり市区町村への独自申告が必要かどうか(確定申告や年末調整情報から自動連動されるため申告不要)を確認し、誤り(×)と判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- Aさんが取得した住宅は一般住宅(良質住宅等に該当しない)であり、受贈時の非課税限度額(本問条件では1,000万円)の範囲内であるため、特例の適用を受けることで全額に贈与税が課されません。よって適切です。
- 小問 ②:○
- 給与所得者が住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合、適用を受ける初年分(2021年分)については年末調整で控除を受けることはできず、所轄税務署長に確定申告書を提出する必要があります。よって適切です。
- 小問 ③:×
- 所得税から控除しきれなかった住宅借入金等特別控除の残額を翌年度分の個人住民税から控除する際、確定申告書や給与支払報告書(年末調整)の情報をもとに市区町村が自動的に計算・控除するため、市区町村へ別途申告書を提出する必要はありません。よって不適切です。
覚えるポイント
- 給与所得者の住宅借入金等特別控除の初年度は確定申告が必須(2年目以降は年末調整可)
- 所得税で控除しきれなかった住宅ローン控除の住民税控除は市区町村への申告不要で自動適用される
間違えやすいところ
- 住民税の住宅借入金等特別控除について、市区町村役場へ別途申告が必要だった旧制度の規定と混同してしまうミス
- 給与所得者であれば住宅ローン控除の初年度から年末調整で処理できると誤認してしまうミス
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令(租税特別措置法、所得税法、地方税法)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税額の計算(総所得金額・扶養控除・住宅借入金等特別控除)
タックスプランニング · 総所得金額 / 所得金額調整控除 / 特定扶養親族 / 住宅借入金等特別控除
会社員のAさん(45歳)の2021年分の所得税額の計算に関する次の資料に基づき、空欄①~③に入る数値を求めなさい。 <資料> ・給与収入金額:1,000万円 ・家族構成:妻Bさん(42歳、給与収入90万円)、長男Cさん(19歳、大学生・収入なし)。全員同居・生計を一にする。 ・新築分譲マンション(特別特定取得・一般住宅)を2021年7月に取得・入居。2021年12月末借入金残高1,960万円、返済期間20年。 ・表の計算項目:(a)総所得金額(①)円、扶養控除(②)円、(e)税額控除(住宅借入金等特別控除)(③)円。
解答・解説を表示
解答
① 7,900,000円、② 630,000円、③ 196,000円
解説
給与収入が850万円を超える給与所得者が23歳未満の扶養親族等を有する場合、所得金額調整控除の適用を受けられます。また、19歳以上23歳未満の扶養親族は特定扶養親族として63万円の控除が受けられます。
解き方
- 給与収入1,000万円から給与所得控除上限額195万円を差し引いた後、23歳未満の扶養親族がいることによる所得金額調整控除(15万円)を控除して総所得金額を算出する。
- 19歳の長男Cさんが特定扶養親族に該当することを確認し、控除額63万円を適用する。
- 住宅ローン年末残高1,960万円に特別特定取得時の控除率1%を乗じて税額控除額を算出する。
答えの内訳
- ①:7,900,000(円)
- 給与収入1,000万円の場合、給与所得控除額は上限の195万円となり、控除後額は805万円です。また、23歳未満の扶養親族(19歳の長男Cさん)を有するため所得金額調整控除((1,000万円-850万円)×10%=15万円)が適用され、給与所得金額(総所得金額)は805万円-15万円=7,900,000円となります。
- ②:630,000(円)
- 長男Cさんは2021年12月31日現在で19歳(19歳以上23歳未満)であり、特定扶養親族に該当するため、扶養控除額は630,000円となります。
- ③:196,000(円)
- 本問の特別特定取得による一般住宅における住宅借入金等特別控除額は、年末借入金残高1,960万円(限度額4,000万円以下)に控除率1.0%を乗じて計算するため、1,960万円×1%=196,000円となります。
覚えるポイント
- 所得金額調整控除(子ども・特別障害者等)の計算式は(給与収入額(上限1,000万円)-850万円)×10%です。
- 扶養控除の区分として一般扶養親族は38万円、19歳以上23歳未満の特定扶養親族は63万円です。
間違えやすいところ
- 給与収入が850万円を超えていて23歳未満の子がいる場合に所得金額調整控除を差し引き忘れるミスが多いです。
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の控除額を一般扶養控除の38万円と混同しないよう注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法(建蔽率と容積率の上限計算)
不動産 · 建蔽率の緩和 / 指定角地 / 準防火地域の耐火建築物 / 前面道路幅員制限
敷地面積440㎡の甲土地(第一種住居地域、指定建蔽率60%、指定容積率200%、準防火地域、北側幅員6m市道・東側幅員4m市道に接面、特定行政庁が指定する角地)に耐火建築物を建築する場合における、次の①建蔽率の上限となる建築面積、②容積率の上限となる延べ面積をそれぞれ求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 352㎡、② 880㎡
解説
建蔽率は特定行政庁が指定する角地および準防火地域内の耐火建築物の要件を満たすことでそれぞれ10%ずつ加算緩和されます。容積率は指定容積率と前面道路幅員に応じた制限のうち厳しい(小さい)方が上限となります。
解き方
- 建蔽率について、指定建蔽率60%に角地緩和(+10%)と準防火地域内の耐火建築物緩和(+10%)を加えて80%を求め、敷地面積440㎡に乗じる。
- 前面道路幅員は広い方の6mを用い、住居系法定乗数4/10を乗じて240%を算出する。
- 指定容積率200%と道路幅員制限240%を比較し、小さい方の200%を敷地面積440㎡に乗じて延べ面積上限を算出する。
答えの内訳
- ①:352(㎡)
- 指定建蔽率は60%ですが、特定行政庁が指定する角地であるため+10%、準防火地域内に耐火建築物を建築するためさらに+10%の緩和が受けられます。合計適用建蔽率は60%+10%+10%=80%となり、建築面積の上限は440㎡×80%=352㎡となります。
- ②:880(㎡)
- 前面道路が2つある場合は幅員の広い北側道路(6m)を採用します。第一種住居地域(住居系)の道路幅員制限は6m×4/10=240%です。指定容積率200%と道路幅員制限240%のうち小さいほうである200%が適用されるため、延べ面積の上限は440㎡×200%=880㎡となります。
覚えるポイント
- 準防火地域内で耐火建築物(または延焼防止建築物)を建築する場合、建蔽率は10%緩和されます。
- 2以上の前面道路がある場合、最も幅員の広い道路の幅員を前面道路幅員制限の計算に用います。
間違えやすいところ
- 準防火地域内の耐火建築物に対する建蔽率緩和(10%加算)を見落とし、角地緩和の10%しか足さない誤りがあります。
- 道路幅員制限の計算において幅員の狭い方の道路(4m)を採用してしまうミスに注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
賃貸アパートの自己建設方式と事業リスク(DSCR・マスターリース)
不動産 · 自己建設方式 / マスターリース契約 / DSCR(借入金償還余裕率)
ハウスメーカーのX社から提案された賃貸アパートの自己建設方式等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① Aさん自身が不動産賃貸事業の業務のすべてを行うのであれば、賃貸経営から得られる収益をすべて享受することができますが、専門的な知識や経験の有無、相応の手間と時間を要することを考えると、業務の全部または一部を外部の専門業者に委託することが現実的な選択であると思います。 ② X社に一括賃貸(普通借家契約・マスターリース契約(特定賃貸借契約))することで、賃料収入が保証されることはメリットだと思います。普通借家契約の場合、借地借家法の規定により、X社から賃料の減額請求をされることはありません。 ③ Aさんが金融機関から融資を受けて賃貸アパートを建築する場合、借入金による事業リスクを考慮する必要があります。DSCR(借入金償還余裕率)の値が1.0未満のときは、賃料収入だけでは借入金の返済が困難であることを示しています。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
土地活用の自己建設方式では、事業収益性を高めつつ空室や金利上昇などの投資リスクを管理することが重要です。また、サブリース(マスターリース契約)であっても借地借家法上の借賃減額請求権は排除できず、DSCRなどの財務指標によって元利返済の安全性を定量的に把握する必要があります。
解き方
- 管理委託等の業務形態におけるメリットと負担のトレードオフを確認し、記述①の妥当性を判断する。
- マスターリース契約における借地借家法の適用関係(賃料減額請求権の行使可否)を検討し、記述②の誤りを指摘する。
- DSCR(借入金償還余裕率=純収益/年間返済額)の定義から、数値が1.0を下回る意味を照合して記述③の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 土地所有者自身がアパートを建築して経営する自己建設方式では、自力管理すれば収益を最大化できますが、管理業務負担が大きいため外部の専門業者に管理委託や一括借上げを依頼することが一般的で現実的な選択肢となります。
- 小問 ②:×
- 借地借家法第32条の借賃増減請求権の規定は強行法規的性質を持つため、普通借家契約によるサブリースであっても、経済事情の変動等を理由にサブリース業者から賃料の減額請求が行われることがあり、「減額請求されない」とする記述は不適切です。
- 小問 ③:○
- DSCR(借入金償還余裕率)は「純営業収益(NOI)÷年間元利返済額」で算出され、借入金の元利返済に対する支払余力を示す指標です。1.0未満の場合は賃料等の営業純収益だけでは借入金の返済元利金を賄えない状態を示しています。
覚えるポイント
- サブリース(一括転貸)契約であっても、借地借家法に基づき業者からの賃料減額請求が認められる点に留意する。
- DSCR(借入金償還余裕率)=純営業収益(NOI)÷元利返済額であり、1.0未満は債務返済が困難な水準である。
間違えやすいところ
- 「賃料保証」と謳われていても、将来にわたり賃料が減額されない保証ではないと認識しておくこと。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等(借地借家法・不動産投資指標基準)
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
賃貸事業開始後の土地評価(地積規模の大きな宅地・貸家建付地・路線価記号)
相続・事業承継 · 地積規模の大きな宅地の評価 / 貸家建付地 / 相続税路線価・借地権割合
Aさんが甲土地に賃貸アパートを建築した場合における賃貸事業開始後の甲土地の相続税評価額に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「甲土地は、地積規模の大きな宅地の評価の規定の適用を受けることができます」 ② 「甲土地は、貸家建付地として、『自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)』の算式により評価されます」 ③ 「対象地の面する道路に付された『250D』『200D』の数値は、1㎡当たりの価額を千円単位で表示した相続税路線価です。数値の後に表示されている『D』の記号(アルファベット)は、借地権割合が70%であることを示しています」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
土地上に賃貸建物を建築すると、借家人の権利が存在するため土地の利用が制約され、相続税評価上「貸家建付地」として自用地より減額評価されます。また、路線価図のアルファベット記号は借地権割合(Aの90%からGの30%まで)を示し、地積規模の大きな宅地の特例適用には指定規模(三大都市圏で500㎡以上等)を満たす必要があります。
解き方
- 甲土地の所在地(三大都市圏)と面積(440㎡)を確認し、地積規模の大きな宅地の適用要件(500㎡以上)を満たすか比較して記述①を判定する。
- 賃貸アパートの敷地となる貸家建付地の評価減算式が正しいかどうかを確認し、記述②の妥当性を評価する。
- 路線価記号における「D」の借地権割合(60%)を照合し、設問の「70%(C記号)」の正誤を判断して記述③を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 「地積規模の大きな宅地の評価」の適用を受けるためには、三大都市圏においては地積が500㎡以上(三大都市圏以外は1,000㎡以上)である必要があります。甲土地の地積は440㎡であり、500㎡未満のため本規定の適用対象外です。
- 小問 ②:○
- 所有する土地上に自己所有の賃貸アパート等を建築して賃貸している場合、その敷地は「貸家建付地」に該当し、「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」の算式により相続税評価額を算出します。
- 小問 ③:×
- 路線価に付されたアルファベット記号は借地権割合を示し、A=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、G=30%となっています。記号「D」が示す借地権割合は60%であるため、70%とする記述は誤りです。
覚えるポイント
- 地積規模の大きな宅地の面積要件:三大都市圏は500㎡以上、三大都市圏以外は1,000㎡以上。
- 路線価の借地権割合記号:A(90%)、B(80%)、C(70%)、D(60%)、E(50%)、F(40%)、G(30%)。
間違えやすいところ
- 記号C(70%)と記号D(60%)の借地権割合の取り違えに注意する。
- 三大都市圏の規模要件(500㎡)を満たさない土地に「地積規模の大きな宅地」を誤って適用しないこと。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達)
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額 / 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額
現時点(2021年9月12日)において、Aさんに相続が開始した場合の相続税の総額を試算した表の空欄①〜③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、相続税の課税価格の合計額は1億6,000万円とし、推定相続人は長男Bさんおよび二男Cさんの2人である。
解答・解説を表示
解答
① 4,200(万円)、② 1,070(万円)、③ 2,140(万円)
解説
相続税の総額は、課税遺産総額(課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除した額)を各法定相続人が法定相続分に応じて取得したものとして按分し、その金額に速算表の税率・控除額を適用して各自の税額を求めた後、それらを合算して算出します。
解き方
- 法定相続人の数を確認し、基礎控除額(3,000万円+600万円×2人=4,200万円)を算出して課税遺産総額を求めます。
- 課税遺産総額(1億1,800万円)を法定相続分(長男1/2、二男1/2)により各自5,900万円として按分します。
- 各自の取得金額5,900万円に速算表を適用して各税額(1,070万円)を計算し、合算して相続税の総額(2,140万円)を求めます。
答えの内訳
- ①:4,200
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は長男Bさんと二男Cさんの2人であるため、3,000万円+600万円×2人=4,200万円となります。
- ②:1,070
- 課税遺産総額は1億6,000万円-4,200万円=1億1,800万円です。これを法定相続分(長男B:1/2、二男C:1/2)で按分すると、長男Bさんの取得金額は5,900万円となります。速算表(5,000万円超1億円以下:税率30%、控除額700万円)を適用して、5,900万円×30%-700万円=1,070万円となります。
- ③:2,140
- 二男Cさんの法定相続分に応ずる取得金額も長男Bさんと同額の5,900万円であるため、税額は同様に1,070万円となります。したがって、相続税の総額は長男Bさんの税額1,070万円+二男Cさんの税額1,070万円=2,140万円となります。
覚えるポイント
- 遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
間違えやすいところ
- 法定相続分で按分する前に課税遺産総額全体に直接税率を適用してしまう誤りに注意する。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自筆証書遺言・公正証書遺言および遺留分の放棄
相続・事業承継 · 自筆証書遺言の方式緩和 / 公正証書遺言の証人欠格事由 / 生前の遺留分の放棄
Aさんの相続に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ○
解説
自筆証書遺言は自書が原則ですが財産目録のみパソコン等作成が許容されています。公正証書遺言では利害関係者である推定相続人やその配偶者・直系血族は証人になれません。また、遺留分の放棄は被相続人の生前でも家庭裁判所の許可を得れば有効に行えます(相続放棄は生前にはできません)。
解き方
- 記述①:自筆証書遺言の方式緩和の対象が財産目録のみである点を確認し、正誤を判定します。
- 記述②:公正証書遺言における証人の欠格事由(推定相続人およびその配偶者・直系血族)を確認し、正誤を判定します。
- 記述③:生前の遺留分放棄が家庭裁判所の許可により可能である点(相続放棄との違い)を確認し、正誤を判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 自筆証書遺言においてパソコン等による作成が認められたのは「添付する財産目録」に限られ、遺言書の本文・日付・氏名は依然として遺言者が自書しなければなりません。全文をパソコンで作成することは認められていないため不適切です。
- 小問 ②:○
- 民法上、推定相続人およびその配偶者ならびに直系血族は、公正証書遺言の証人となることができません。長男Bさん、その妻子、二男Cさんはこれに該当するため、証人になることはできません。
- 小問 ③:○
- 遺留分の放棄は、被相続人の生前であっても家庭裁判所の許可を受けることによって行うことが可能です。
覚えるポイント
- 自筆証書遺言の本文・日付・氏名は自書必須(パソコン作成可は財産目録のみ)
- 遺留分の放棄は生前でも家庭裁判所の許可で可能だが、相続の放棄は生前にはできない
間違えやすいところ
- 相続の放棄と遺留分の放棄を混同し、遺留分の生前放棄もできないと誤認しやすい。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺留分の計算と小規模宅地等の減額特例の適用判断
相続・事業承継 · 遺留分の計算 / 小規模宅地等の減額特例 / 特定居住用宅地等 / 貸付事業用宅地等
Aさんの相続等に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のなかから選び、その記号を答えなさい。 Ⅰ 「遺言により自宅および賃貸アパートを長男Bさんに相続させた場合、二男Cさんの遺留分を侵害する可能性があります。仮に、遺留分を算定するための財産の価額を2億円とした場合、二男Cさんの遺留分の額は( ① )万円となります」 Ⅱ 「長男Bさんが自宅の敷地および建物を相続により取得し、自宅の敷地(相続税評価額:6,000万円)のすべてについて『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、相続税の課税価格に算入すべき価額を( ② )万円とすることができます」 Ⅲ 「長男Bさんが賃貸アパートの敷地および建物を相続により取得し、賃貸アパートの敷地(相続税評価額:5,000万円)のすべてについて『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、相続税の課税価格に算入すべき価額を( ③ )万円とすることができます」 Ⅳ 「自宅の敷地と賃貸アパートの敷地について『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けようとする場合、適用対象面積は調整されます。Aさんの相続においては、( ④ )の敷地を優先して『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けたほうが相続税評価額の軽減幅は大きくなります」 〈語句群〉 イ.1,000 ロ.1,200 ハ.2,000 ニ.2,500 ホ.3,000 ヘ.4,000 ト.4,800 チ.5,000 リ.自宅 ヌ.賃貸アパート
- イ
- 1,000
- ロ
- 1,200
- ハ
- 2,000
- ニ
- 2,500
- ホ
- 3,000
- ヘ
- 4,000
- ト
- 4,800
- チ
- 5,000
- リ
- 自宅
- ヌ
- 賃貸アパート
解答・解説を表示
解答
① チ、② ロ、③ ホ、④ リ
解説
兄弟姉妹以外の法定相続人には最低限の遺産取得分として遺留分が認められています。小規模宅地等の減額特例では、特定居住用宅地等は330㎡まで80%、貸付事業用宅地等は200㎡まで50%減額されます。
解き方
- 法定相続人とその法定相続分から各相続人の遺留分割合を算定し、対象財産価額を乗じて遺留分の額を計算する。
- 特定居住用宅地等(限度面積330㎡・減額率80%)および貸付事業用宅地等(限度面積200㎡・減額率50%)それぞれの特例適用後の課税価格への算入額を計算する。
- 特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等を併用する際の限度面積調整を踏まえ、軽減額が最大となる宅地の優先順位を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:チ
- 相続人が子のみの場合、遺留分全体の割合は2分の1です。法定相続分は長男と二男で各2分の1であるため、二男Cさんの遺留分割合は1/2×1/2=1/4(4分の1)となります。遺留分算定の基礎となる財産の価額が2億円である場合、二男Cさんの遺留分の額は2億円×1/4=5,000万円となり、語句群の「チ」が該当します。
- 小問 ②:ロ
- 自宅の敷地(250㎡)は特定居住用宅地等に該当し、限度面積330㎡まで80%減額されます。本問の敷地は250㎡のため全額が対象となり、課税価格に算入すべき価額は、評価額6,000万円×(1-0.8)=1,200万円となります。したがって語句群の「ロ」が該当します。
- 小問 ③:ホ
- 賃貸アパートの敷地(250㎡)は貸付事業用宅地等に該当し、限度面積200㎡まで50%減額されます。250㎡のうち200㎡分について50%減額されるため、減額される金額は5,000万円×(200㎡/250㎡)×50%=2,000万円です。したがって課税価格に算入すべき価額は、5,000万円-2,000万円=3,000万円となり、語句群の「ホ」が該当します。
- 小問 ④:リ
- 自宅敷地のみに特例を適用した場合の減額幅は6,000万円×80%=4,800万円です。一方、賃貸アパート敷地のみに適用した場合の減額幅は2,000万円にとどまります。併用調整を行う場合でも減額割合の高い自宅敷地を優先して適用したほうが減額幅が大きくなるため、語句群の「リ(自宅)」が該当します。
覚えるポイント
- 子のみが相続人の場合、全体の遺留分割合は1/2で、各子の遺留分は法定相続分×1/2となる。
- 特定居住用宅地等は限度面積330㎡で減額割合80%、貸付事業用宅地等は限度面積200㎡で減額割合50%となる。
間違えやすいところ
- 小規模宅地等の特例で求められているのが「減額される額」なのか「課税価格に算入すべき価額」なのかを取り違えてしまう。
- 貸付事業用宅地等の敷地面積が限度面積(200㎡)を超えている場合に、按分計算を忘れて全額を50%減額してしまう。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2021年9月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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