日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の概要
老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額の算定
年金・社会保険 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算
Aさん(1976年4月27日生まれ、65歳で勇退予定)が原則として65歳から受給できる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2021年度価額)を計算するにあたり、下記の<計算式>の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 <公的年金加入歴> ・20歳~65歳までの期間(全540月) ・国民年金(保険料未納期間):36月 ・厚生年金保険(2003年3月以前):48月 ・厚生年金保険(2003年4月以後):456月 <計算式> ・老齢基礎年金の年金額 780,900円 ×( ① )月 / 480月 ・老齢厚生年金の年金額(本来水準の額) イ)報酬比例部分の額 □□□円 × 7.125 / 1,000 × □□□月 + □□□円 × 5.481 / 1,000 ×( ② )月 = □□□円 ロ)経過的加算額 1,628円 ×( ③ )月 - 780,900円 × □□□月 / 480月 = □□□円
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解答
① 444(月) ② 456(月) ③ 480(月)
解説
公的年金の給付額計算において、老齢基礎年金は20歳から60歳までの保険料納付済月数等を基に計算され、上限は480月です。また、特別支給の老齢厚生年金の定額部分が支給されない場合でも、厚生年金保険被保険者期間に応じた定額部分と老齢基礎年金相当額との差額を経等的加算として受給できます。経過的加算の計算に用いる被保険者月数の上限も480月です。
解き方
- 老齢基礎年金の計算において、20歳から60歳までの期間(480月)から保険料未納期間(36月)を差し引いて納付済月数(444月)を求める。
- 報酬比例部分の2003年4月以後の月数として、資料から該当する被保険者期間(456月)を特定する。
- 経過的加算の被保険者月数は実月数(48月+456月=504月)と上限月数(480月)を比較し、上限である480月を適用する。
答えの内訳
- ①:444
- 老齢基礎年金の満額月数480月から、20歳以上60歳未満の未納期間36月を控除した保険料納付済月数は「480月-36月=444月」となります。なお、60歳以後の厚生年金被保険者期間は老齢基礎年金の受給額算定の月数には算入されません。
- ②:456
- 2003年(平成15年)4月以後の厚生年金保険被保険者期間における報酬比例部分の計算式であり、設例の加入歴より「456月」が入ります。
- ③:480
- 経過的加算額の定額部分の被保険者月数は、被保険者期間の月数(20歳前や60歳以後の厚生年金被保険者期間を含む)を用いますが、480月が上限となります。Aさんの全厚生年金被保険者期間は「48月+456月=504月」ですが、上限の「480月」が適用されます。
覚えるポイント
- 老齢基礎年金の対象月数は20歳以上60歳未満の期間(最大480月)である。
- 経過的加算の定額部分の計算月数は20歳未満・60歳以後も含めた厚生年金加入月数だが、上限は480月である。
間違えやすいところ
- 60歳以後の厚生年金加入月数を老齢基礎年金の月数に含めて計算してしまう誤り。
- 経過的加算の上限480月を失念し、実被保険者期間の合計月数(504月)をそのまま記入してしまう誤り。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等(2021年度価額:老齢基礎年金満額780,900円、定額部分単価1,628円)
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定拠出年金(企業型年金)の仕組み
年金・社会保険 · 確定拠出年金 / 企業型年金 / 加入対象者 / 受給方法 / マッチング拠出
確定拠出年金の企業型年金(企業型年金)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「企業型年金は、企業型年金を実施している会社に勤務し、企業型年金に係る規約に定める要件を満たす方が加入対象となります。企業型年金は、従業員だけでなく、役員でも加入することができます」 ② 「老齢給付金の受給が可能となる年齢は、通算加入者等期間により異なります。企業型年金に係る規約の定めるところにより、『10年以上25年以下の有期年金または終身年金』『一時金』『年金または一時金の併用』により受け取ることができます」 ③ 「企業型年金に係る規約に定めることにより、企業型年金加入者掛金の拠出も認められますが、その額は、事業主掛金の額を超えることはできずかつ事業主掛金との合計が拠出限度額の範囲内となります」
- ①
- 企業型年金は、企業型年金を実施している会社に勤務し、企業型年金に係る規約に定める要件を満たす方が加入対象となります。企業型年金は、従業員だけでなく、役員でも加入することができます
- ②
- 老齢給付金の受給が可能となる年齢は、通算加入者等期間により異なります。企業型年金に係る規約の定めるところにより、『10年以上25年以下の有期年金または終身年金』『一時金』『年金または一時金の併用』により受け取ることができます
- ③
- 企業型年金に係る規約に定めることにより、企業型年金加入者掛金の拠出も認められますが、その額は、事業主掛金の額を超えることはできずかつ事業主掛金との合計が拠出限度額の範囲内となります
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解答
① ○ ② × ③ ○
解説
確定拠出年金の企業型年金は、厚生年金適用事業所の第2号被保険者(役員を含む)を対象とし、事業主が掛金を拠出します。規約により加入者が上乗せ拠出するマッチング拠出も可能ですが、加入者掛金が事業主掛金を超えないこと等の制限があります。また、給付形態として年金(5年以上20年以下の有期年金や終身年金)や一時金受給が認められています。
解き方
- 企業型年金の加入対象者(厚生年金の被保険者であれば役員も含む)の要件を確認する。
- 老齢給付金の受給方法における有期年金の期間(5年以上20年以下)と記述内容(10年以上25年以下)を比較照合する。
- マッチング拠出における加入者掛金の制限要件(事業主掛金を超えないこと、合計額が拠出限度額以下であること)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 企業型年金は、厚生年金保険の被保険者であれば従業員だけでなく役員であっても規約に定める要件を満たすことで加入することができます。
- 小問 ②:×
- 企業型年金の老齢給付金の受給方法は、規約の定めにより「5年以上20年以下の有期年金」または「終身年金」等とされており、「10年以上25年以下」ではありません。
- 小問 ③:○
- マッチング拠出(加入者掛金の拠出)では、加入者掛金額は事業主掛金額を超えることができず、かつ事業主掛金と加入者掛金の合計額が拠出限度額の範囲内である必要があります。
覚えるポイント
- 企業型年金の有期年金の支給期間は「5年以上20年以下」である。
- マッチング拠出の加入者掛金は「事業主掛金以下」かつ「合算して拠出限度額以下」である。
間違えやすいところ
- 確定拠出年金の有期年金支給期間を「10年以上」や「25年以下」と誤認する。
- 役員は確定拠出年金(企業型)に加入できないと誤解する(小規模企業共済や中退共との混同)。
出題の前提:確定拠出年金法(2021年4月1日現在施行法令)
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業退職金共済制度(中退共)の概要
中小事業主の退職金・年金対策 · 中小企業退職金共済制度 / 掛金負担 / 国の助成制度 / 損金算入 / 掛金納付月数の通算
中小企業退職金共済制度(中退共)に関する次の説明文の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 「中退共は、中小企業の退職金制度を確立し、従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与することを目的として設けられた制度です。 掛金は、被共済者(従業員)ごとに、毎月一定額の掛金を、( ① )します。 掛金については国の助成制度があり、新規加入の場合は、掛金月額の2分の1(被共済者ごとに上限5,000円)について加入後4カ月目から( ② )年間にわたり助成が受けられます。また、1万8,000円以下の掛金月額を増額する場合は、増額分の3分の1について増額月から( ② )年間にわたり助成が受けられます。法人が支出した掛金については、その( ③ )を損金の額に算入することができます。 被共済者が退職したときの退職金は、勤労者退職金共済機構から被共済者に直接支給され、事業主が受け取ることはできません。 なお、掛金納付月数が12カ月以上ある被共済者が中退共に加入している企業に転職した場合、前企業での中退共での退職金を請求せず、退職後( ④ )年以内に通算の申出を行えば、前企業での掛金納付月数を引き継ぐこともできます」
- イ
- 1
- ロ
- 2
- ハ
- 3
- ニ
- 4
- ホ
- 5
- ヘ
- 6
- ト
- 7
- チ
- 事業主が全額を負担
- リ
- 事業主と被共済者が折半して負担
- ヌ
- 被共済者が全額を負担
- ル
- 全額
- ヲ
- 2分の1相当額
- ワ
- 4分の1相当額
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解答
① チ、② イ、③ ル、④ ハ
解説
中小企業退職金共済(中退共)は、単独では退職金制度を設けることが困難な中小企業のために国が設けた共済制度です。事業主が掛金を全額負担し、損金算入できるほか、国による掛金助成や転職時の通算制度が用意されています。
解き方
- 掛金の負担者および税制上の取扱い(全額事業主負担、全額損金算入)を確認する。
- 国による新規加入時および増額時の掛金助成期間(いずれも1年間)を確認する。
- 転職時の掛金納付月数の通算申出期限(退職後3年以内)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:チ
- 中退共の掛金は、事業主が全額を負担することとされており、従業員に掛金を負担させることはできません。
- 小問 ②:イ
- 中退共の新規加入助成は加入後4カ月目から1年間、月額掛金の2分の1(上限5,000円)が助成され、増額助成も増額月から1年間にわたり助成されます。
- 小問 ③:ル
- 法人が支出した中退共の掛金は、税法上その全額を損金の額に算入することができます(個人事業主の場合は必要経費)。
- 小問 ④:ハ
- 中退共の加入企業間で転職した場合、退職金を請求せずに退職後3年以内に申出を行うことで、前の企業での掛金納付月数を通算(引き継ぎ)できます。
覚えるポイント
- 中退共の掛金は事業主が全額負担し、法人は全額損金算入できる。
- 中退共の助成期間は新規加入・増額ともに1年間、転職時の通算申出は退職後3年以内である。
間違えやすいところ
- 社会保険料のように事業主と従業員で折半負担できると誤認しやすい。
- 通算申出の期間を雇用保険の基本手当受給期間(原則1年)などと混同して1年や2年と間違えやすい。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資指標(PER・ROE・配当性向)の計算と特徴
金融資産運用(株式投資) · PER(株価収益率) / ROE(自己資本利益率) / 配当性向 / 財務諸表分析
設例の<X社およびY社に関する資料>に基づき、Mさんが説明した次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入している。 <X社およびY社に関する資料> ・X社:総資産 15,200億円、純資産(自己資本) 4,100億円、当期純利益(年間) 200億円、配当金総額(年間) 150億円、発行済株式数 1億株、株価 8,200円 ・Y社:総資産 11,000億円、純資産(自己資本) 5,600億円、当期純利益(年間) 200億円、配当金総額(年間) 100億円、発行済株式数 4億株、株価 3,000円 ① 「株価の割高・割安を判定する代表的な投資指標として、PERがあります。X社のPERは2.00倍です。一般に、この指標は、同じ業界で同規模の競合他社との比較や時系列比較などを行って利用するとよいでしょう」 ② 「会社の収益性や経営効率を測る代表的な指標として、ROEがあります。X社のROEは4.88%です。ROEが低い会社であっても、自己資本比率が高かったり、現預金を豊富に保有していたりするなど、財務の安全性が高いケースもあります」 ③ 「株主への利益還元度合いを測る指標として、配当性向があります。Y社の配当性向は50.00%です。配当性向が高い会社は、株主に多くの利益を還元していることになりますが、利益水準が低かったり、内部留保が少なく積極的な投資ができていなかったりする可能性もあります」
- ①
- 記述①の正誤(○または×)
- ②
- 記述②の正誤(○または×)
- ③
- 記述③の正誤(○または×)
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解答
① ×、② ○、③ ○
解説
PER(株価収益率)は「株価÷1株当たり当期純利益(EPS)」、ROE(自己資本利益率)は「当期純利益÷自己資本×100」、配当性向は「配当金総額÷当期純利益×100」(または「1株当たり配当金÷EPS×100」)によって計算されます。
解き方
- X社のEPSを計算し(200億円÷1億株=200円)、株価8,200円をEPSで除してPER(41.00倍)を求め、記述①の数値を判定する。
- X社の当期純利益200億円を自己資本4,100億円で除してROE(約4.88%)を求め、記述②の数値を判定する。
- Y社の年間配当金総額100億円を当期純利益200億円で除して配当性向(50.00%)を求め、記述③の数値を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- X社の1株当たり当期純利益(EPS)は、当期純利益200億円÷発行済株式数1億株=200円です。PER(株価収益率)は、株価8,200円÷EPS200円=41.00倍となるため、「2.00倍」とする記述は不適切です。
- 小問 ②:○
- X社のROE(自己資本利益率)は、当期純利益200億円÷自己資本4,100億円×100≒4.878…%となり、小数点以下第3位を四捨五入すると4.88%で正しいです。また、安全性との関係についての記述も適切です。
- 小問 ③:○
- Y社の配当性向は、配当金総額100億円÷当期純利益200億円×100=50.00%で正しいです。また、配当性向の解釈に関する記述も適切です。
覚えるポイント
- PER=株価÷EPS(1株当たり当期純利益)。倍率が低いほど割安とされる。
- ROE=当期純利益÷自己資本×100。自己資本を使ってどれだけ効率的に利益を稼いだかを表す。
- 配当性向=配当金総額÷当期純利益×100。当期純利益のうちどれだけを配当に回したかを表す。
間違えやすいところ
- PERの計算において、株価とEPSの分子・分母を逆にしたり、当期純利益そのもので株価を割ったりしてしまうミスがある。
- 配当性向の計算で、分母を自己資本や総資産と混同してしまうミスがある。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
日経平均株価連動型ETFの仕組みと取引ルール
金融資産運用 · 上場投資信託(ETF) / インサイダー取引規制 / 市場取引
中小事業主のAさんに対する、東京証券取引所に上場している日経平均株価に連動するETF(上場投資信託)の一般的な仕組みに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「日経平均株価に連動するETFの基準価額は、日経平均株価の値動きと連動するように運用されるため、その変動率は日経平均株価の変動率と一致し、かい離することはありません」 ② 「日経平均株価に連動するETFは、証券会社を通じて証券取引所の取引時間中に市場価格で購入することができます。購入にあたっては、指値注文や成行注文が可能で、信用取引もできます」 ③ 「日経平均株価に連動するETFの売買は、金融商品取引法によるインサイダー取引規制の対象となります」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
上場投資信託(ETF)は取引所に上場されているため、一般の上場株式と同様に市場価格でリアルタイム取引や信用取引が可能です。ただし、運用上のコスト等により基準価額と対象指数には乖離が生じるほか、広範な株価指数連動型ETFはインサイダー取引規制の対象外とされています。
解き方
- 記述①について、信託報酬や構成銘柄の入替コスト等によって指数と基準価額の間にかい離が生じ得るかを確認し、誤り(×)と判断します。
- 記述②について、証券取引所における取引形態(指値・成行注文、信用取引の可否)を確認し、正しい(○)と判断します。
- 記述③について、株価指数連動型ETFがインサイダー取引規制の適用除外とされている規定を確認し、誤り(×)と判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- ETFの基準価額は対象指数への連動を目指して運用されますが、信託報酬等のコストや組入銘柄の配当金、売買コスト等の要因により、指数の変動率との間に乖離(トラッキングエラー)が生じることがあります。
- 小問 ②:○
- 上場ETFは株式と同様に取引時間中に市場価格で売買でき、指値注文・成行注文が可能で、信用取引を利用することもできます。
- 小問 ③:×
- 日経平均株価やTOPIX等の多数の銘柄で構成される株価指数に連動するETFは、個別の未公開重要事実によって市場全体が左右される可能性が低いため、金融商品取引法上のインサイダー取引規制の対象から除外されています。
覚えるポイント
- 株価指数連動型ETFはインサイダー取引規制の対象外であること。
- ETFの基準価額は運用コスト等のため対象指数と乖離(トラッキングエラー)が生じること。
間違えやすいところ
- 上場有価証券だからといって全てのETFがインサイダー取引規制の対象になると勘違いしやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
NISA制度における投資限度額の比較
金融資産運用 · 一般NISA / つみたてNISA / 新NISA(2020年度税制改正時)
中小事業主のAさんに対する、NISA制度に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を〈語句群〉から選び、その記号を答えなさい。 Ⅰ 「AさんがNISAを利用する場合、一般NISAとつみたてNISAのいずれかを選択することになります。2021年においては、一般NISAの年間の投資上限額(非課税枠)は( ① )であり、つみたてNISAの年間の投資上限額(非課税枠)は( ② )です」 Ⅱ 「NISAは、制度改正により、2024年以後、下記の<資料>のようになる予定です」 <資料>2024年以後の制度概要(新NISA) 年間の投資上限額(非課税枠):〔2階部分〕( ③ )、〔1階部分〕( ④ ) ※原則として、1階部分での投資を行った者が2階部分での投資を行うことができる。 つみたてNISA:年間の投資上限額(非課税枠)( ② ) 〈語句群〉 イ.20万円 ロ.30万円 ハ.40万円 ニ.90万円 ホ.100万円 ヘ.102万円 ト.105万円 チ.120万円 リ.150万円
- イ
- 20万円
- ロ
- 30万円
- ハ
- 40万円
- ニ
- 90万円
- ホ
- 100万円
- ヘ
- 102万円
- ト
- 105万円
- チ
- 120万円
- リ
- 150万円
解答・解説を表示
解答
① チ ② ハ ③ ヘ ④ イ
解説
一般NISAとつみたてNISAは選択制であり、それぞれ年間投資上限額(一般NISAは120万円、つみたてNISAは40万円)が定められています。また、2020年度税制改正当時に策定された2024年開始予定の新NISAは、1階(20万円)と2階(102万円)の二階建て構造として設計されていました。
解き方
- 現行(2021年時)の一般NISA(年間120万円)とつみたてNISA(年間40万円)の投資限度額を特定し、①にチ、②にハを選定します。
- 当時の2024年以後の改正案における新NISAの枠組み(1階部分20万円、2階部分102万円)を特定し、③にヘ、④にイを選定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:チ
- 2021年時点の一般NISAにおける年間の非課税投資上限額は120万円です。
- 小問 ②:ハ
- つみたてNISAの年間の非課税投資上限額は40万円です。
- 小問 ③:ヘ
- 2020年度税制改正で創設が予定されていた新NISAにおいて、2階部分(上場株式等)の年間投資上限額は102万円です。
- 小問 ④:イ
- 新NISAにおいて、1階部分(積立投資枠)の年間投資上限額は20万円です(合計で年間122万円)。
覚えるポイント
- 一般NISAは年間120万円(最長5年)、つみたてNISAは年間40万円(最長20年)。
- 2020年度税制改正時の新NISAは1階が20万円、2階が102万円の合計122万円。
間違えやすいところ
- 新NISAの1階と2階の限度額(20万円と102万円)を混同しやすいため注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税における所得金額の計算と申告調整
タックスプランニング · 交際費等の損金不算入 / 役員に対する低額譲渡 / 減価償却資産の法定償却方法
X社の当期の法人税における所得の金額の計算に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。なお、法人税申告書別表四とは当期利益の額を基に加算・減算の申告調整を行う明細書であり、複数の選択肢がある場合は所得金額が最も少なくなる方法を選択すること。
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解答
① × ② ○ ③ ×
解説
法人の課税所得は企業会計上の当期純利益に税法独自の益金・損金の加算・減算(別表四の申告調整)を行って算出します。中小法人の交際費特例や役員への経済的利益の損金不算入、届出がない場合の法定償却方法の適用ルールを正しく理解する必要があります。
解き方
- 交際費等は「接待飲食費の50%損金算入」と「定額控除限度額(年800万円)」を比較し、所得が最も少なくなる(損金不算入額が最小となる)有利な方を選択する。
- 役員への低額譲渡は時価との差額が役員給与と認定され、事前確定届出給与の届出がない場合は損金不算入(加算)となることを確認する。
- 器具備品の償却方法の届出がない場合の法定償却方法は定率法であることを確認し、事業年度途中取得の月割計算(6/12)を適用して償却限度額を算出する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 中小法人(資本金1億円以下)は交際費等の損金不算入額の計算において「接待飲食費の50%損金算入」と「年800万円までの定額控除限度額」のいずれかを選択できます。本問では定額控除を選択すると不算入額が530万円(1,330万円-800万円)となり、接待飲食費基準の730万円(1,330万円-1,200万円×50%)より所得金額が少なくなるため、加算額は530万円が適切です。
- 小問 ②:○
- 役員に対して時価より著しく低い対価で資産を譲渡した場合、時価と譲渡対価との差額(1,400万円-1,000万円=400万円)は役員に対する経済的利益(役員給与・賞与)とみなされます。事前確定届出給与に関する届出書を提出していないため損金不算入となり、法人税申告書別表四において加算(社外流出)されます。
- 小問 ③:×
- 減価償却資産の償却方法の届出書を提出していない場合、備品(器具及び備品)の法定償却方法は定率法となります。当期の普通償却限度額は「取得価額380万円×定率法償却率0.4×使用月数6月/12月=76万円」となるため、38万円とする記述は誤りです。
覚えるポイント
- 中小法人の交際費は定額控除限度額(年800万円)と飲食費50%の有利選択が可能。
- 法人の備品等の法定償却方法は定率法(届出がない場合)。
間違えやすいところ
- 個人の所得税における減価償却の法定償却方法は定額法ですが、法人の器具備品等は定率法となる混同に注意が必要です。
- 交際費の有利判定で、加算額(損金不算入額)が少ない方を選択する点を見落としやすいです。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の税制・法人税法および租税特別措置法
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の課税所得金額および法人税額の計算
タックスプランニング · 課税所得金額の計算 / 法人税の軽減税率 / 中小法人等の法人税額の計算
《設例》の<資料>に基づき、X社の当期の法人税額を求める下記の<計算式>の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 <計算式> ・課税所得金額 ( ① )万円 ・法人税額 □□□万円×15.0%+{( ① )万円-□□□万円}×( ② )%=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 4,800(万円) ② 23.2(%) ③ 1,048(万円)
解説
法人税額は、確定した決算に基づく当期利益に税務調整(申告調整)を行って課税所得金額を算出し、その所得金額に応じた税率を乗じて計算します。資本金1億円以下の中小法人等には、年800万円以下の所得に対して軽減税率15.0%が適用され、年800万円を超える所得部分には標準税率23.2%が適用されます。
解き方
- 所得金額(課税所得金額)を「当期利益+加算項目(益金算入+損金不算入)-減算項目(益金不算入+損金算入)」の算式により計算する。
- 中小法人の税率区分に基づき、年800万円以下の部分(15.0%)と年800万円超の部分(23.2%)に所得を区分する。
- それぞれの区分ごとに税額を算出し、合算して法人税額を計算する。
答えの内訳
- ①:4,800
- 課税所得金額は、当期利益の額に申告調整の加算項目を加え、減算項目を控除して求めます。「当期利益1,700万円+益金算入額500万円+損金不算入額3,600万円-益金不算入額130万円-損金算入額870万円=4,800万円」となります。
- ②:23.2
- 資本金1,000万円の中小法人等(普通法人)に適用される法人税率は、所得金額のうち年800万円以下の部分については15.0%(軽減税率)、年800万円超の部分については23.2%となります。
- ③:1,048
- 法人税額の計算は、「800万円×15.0%+(4,800万円-800万円)×23.2%=120万円+4,000万円×23.2%=120万円+928万円=1,048万円」となります。
覚えるポイント
- 所得金額の算出式:当期利益+加算額-減算額
- 中小法人(資本金1億円以下)の法人税率:年800万円以下は15.0%、年800万円超は23.2%
間違えやすいところ
- 益金算入・損金不算入を加算、益金不算入・損金算入を減算とする符号の取り違えに注意が必要です。
- 年800万円超の部分にかかる税率(23.2%)を、軽減税率の対象とならない部分全体に適用する計算手順を誤らないようにします。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の税制・法人税法
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
青色申告法人の欠損金の繰越控除
タックスプランニング · 青色申告 / 繰越欠損金 / 中小法人等の特例
法人税における青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除に関する次の文中の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 「2018年4月1日以後に開始した事業年度において生じた欠損金額の繰越期間は、最長( ① )年である。 繰り越された欠損金額を損金の額に算入するためには、欠損金額が生じた事業年度について青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後の各事業年度について連続して( ② )である確定申告書を提出していなければならない。 なお、資本金の額が( ③ )億円以下の普通法人(中小法人等)に該当する場合には、繰越欠損金控除前の所得金額の( ④ )%相当額が繰越控除の限度額となる」
- イ
- 1
- ロ
- 5
- ハ
- 8
- ニ
- 10
- ホ
- 20
- ヘ
- 50
- ト
- 60
- チ
- 80
- リ
- 100
- ヌ
- 青色申告書
- ル
- 青色申告書または白色申告書
- ヲ
- 白色申告書
解答・解説を表示
解答
① ニ ② ル ③ イ ④ リ
解説
法人税の青色申告欠損金の繰越控除は、赤字が生じた事業年度の青色申告およびその後の連続した確定申告を要件として、将来の事業年度の所得から欠損金を控除できる制度です。中小法人等には控除限度額の制限がなく全額控除できる特例があります。
解き方
- 欠損金が生じた事業年度の開始日に応じた繰越可能期間(2018年4月1日以後は10年)を確認する。
- 繰越控除を受けるための事後的な申告要件(連続して確定申告書を提出していること)を確認する。
- 中小法人等の区分基準(期末資本金1億円以下)と、大法人(50%制限)との差異(中小法人は100%控除可能)を適用する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ニ
- 2018年4月1日以後に開始した事業年度において生じた青色欠損金の繰越期間は最長10年と定められています。
- 小問 ②:ル
- 欠損金が生じた事業年度に青色申告書を提出していれば、その後の各事業年度は連続して青色申告書または白色申告書を提出していれば控除が認められます。
- 小問 ③:イ
- 中小法人等に該当する資本金の基準は「1億円以下」の普通法人(大法人による完全支配関係等がある場合を除く)です。
- 小問 ④:リ
- 大法人では繰越欠損金の控除限度額が所得金額の50%に制限されますが、中小法人等については所得金額の100%(全額)を限度として控除できます。
覚えるポイント
- 繰越期間は2018年4月1日以後開始事業年度から「10年」に延長されたこと。
- 中小法人等(資本金1億円以下)は所得の「100%」まで繰越欠損金を控除可能であること。
間違えやすいところ
- 欠損金が生じた年度だけでなく、その後の年度も青色申告を継続していなければならないと誤解しやすい点(その後の年度は白色申告でも連続提出していれば有効)。
- 大法人に適用される50%の控除限度額制限を中小法人等にも当てはめてしまうミス。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法人税法第57条(青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定の資産の買換えの場合の課税の特例
不動産 · 事業用資産の買換え / 圧縮記帳 / 譲渡所得 / 法人税
特定の資産の買換えの場合の課税の特例(租税特別措置法第65条の7)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 本特例は、法人が所有する特定の資産を譲渡した場合に対象となるが、この特定の資産には棚卸資産は含まれない。 ② 本特例による圧縮限度額は、原則として「圧縮基礎取得価額×差益割合×80%」によって計算されるが、この圧縮基礎取得価額とは、買換資産の取得価額と譲渡資産の譲渡対価の額のうち、いずれか大きいほうの金額である。 ③ 買換資産が土地等である場合、本特例の対象となる土地等の面積は、譲渡資産である土地等の面積の10倍以内の面積の部分までとされている。
- ①
- 本特例は、法人が所有する特定の資産を譲渡した場合に対象となるが、この特定の資産には棚卸資産は含まれない。
- ②
- 本特例による圧縮限度額は、原則として「圧縮基礎取得価額×差益割合×80%」によって計算されるが、この圧縮基礎取得価額とは、買換資産の取得価額と譲渡資産の譲渡対価の額のうち、いずれか大きいほうの金額である。
- ③
- 買換資産が土地等である場合、本特例の対象となる土地等の面積は、譲渡資産である土地等の面積の10倍以内の面積の部分までとされている。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
特定の資産の買換えの特例は、法人が事業用資産を譲渡して一定の要件を満たす資産を買い換えた場合に、譲渡益の一定割合(原則80%)の課税を将来に繰り延べる(圧縮記帳する)制度です。事業用資産の円滑な更新を支援することを目的としています。
解き方
- 譲渡資産の範囲(事業用固定資産等に限定され、棚卸資産は除外されること)を確認する。
- 圧縮限度額の計算における圧縮基礎取得価額の定義(買換取得価額と譲渡対価のいずれか「低い方」)を確認する。
- 買換資産が土地等である場合の面積制限(譲渡資産の面積の原則「5倍」以内)を確認して正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 本特例の対象となる譲渡資産は事業の用に供している固定資産等に限定されており、販売目的で保有している棚卸資産は対象に含まれません。
- 小問 ②:×
- 圧縮基礎取得価額は、買換資産の取得価額と譲渡資産の譲渡対価の額のうち「いずれか少ない(小さい)ほう」の金額となります。
- 小問 ③:×
- 買換資産が土地等である場合、特例の適用対象となる面積は、原則として譲渡資産である土地等の面積の「5倍」以内の部分と定められています。
覚えるポイント
- 圧縮基礎取得価額は「買換資産の取得価額」と「譲渡資産の譲渡対価」のうち『小さい方』であること。
- 買換資産が土地等の場合、面積要件は譲渡資産の『5倍以内』であること。
間違えやすいところ
- 圧縮限度額の計算で「小さい方」と「大きい方」を取り違えてしまうミス。
- 土地の面積制限要件について、居住用財産の特例や他の法令の数値(10倍等)と混同してしまうミス。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の租税特別措置法第65条の7(特定の資産の買換えの場合の課税の特例)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく建築面積および延べ面積の上限の計算
不動産 · 建蔽率 / 容積率 / セットバック / 用途地域のまたがり
甲土地(面積500㎡、準住居地域300㎡・近隣商業地域200㎡)上に耐火建築物を建築する場合における、①建蔽率の上限となる建築面積、および②容積率の上限となる延べ面積をそれぞれ求めなさい。なお、西側の幅員3mの市道は建築基準法第42条第2項道路(道路中心線は中央、反対側は宅地)であり、北側は幅員6mの市道に接している。また、角地指定による建蔽率緩和はない。
解答・解説を表示
解答
① 403㎡ ② 1,416㎡
解説
建築基準法第42条第2項道路に面する敷地はセットバック部分を敷地面積から除外します。建蔽率は準防火地域の耐火建築物で+10%緩和、防火地域かつ指定建蔽率80%地域での耐火建築物は100%(制限除外)となります。容積率は幅員の広い方の道路幅員に法定乗数を乗じた値と指定容積率のいずれか小さい方を適用し、各地域ごとに加重計算します。
解き方
- 幅員3mの2項道路の中心線からのセットバック幅(0.5m)を求め、後退面積(0.5m×20m=10㎡)を準住居地域の敷地面積(300㎡-10㎡=290㎡)から除外する。
- 建蔽率を適用し、準住居地域(290㎡×70%=203㎡)と近隣商業地域(200㎡×100%=200㎡)の建築面積を合算して403㎡を求める。
- 最大道路幅員(6m)を基準に道路容積率制限を計算し、準住居地域(290㎡×240%=696㎡)と近隣商業地域(200㎡×360%=720㎡)の延べ面積を合算して1,416㎡を求める。
答えの内訳
- ①:403(㎡)
- 幅員3mの2項道路に接する部分は、中心線から2m後退(セットバック)が必要となるため、後退幅は(4m-3m)÷2=0.5mとなり、後退面積は0.5m×20m=10㎡です。この10㎡は準住居地域から減算され、敷地面積は準住居地域が290㎡、近隣商業地域が200㎡となります。準住居地域(準防火地域)に耐火建築物を建築するため建蔽率は+10%緩和され70%(290㎡×70%=203㎡)、近隣商業地域(防火地域かつ指定建蔽率80%)に耐火建築物を建築するため建蔽率は100%(200㎡×100%=200㎡)となり、建築面積の上限の合計は203㎡+200㎡=403㎡となります。
- ②:1,416(㎡)
- 敷地が2以上の道路に接する場合、前面道路の幅員は広い方の道路(6m)を採用します。準住居地域の容積率の上限は、指定容積率300%と道路幅員制限(6m×4/10=240%)の小さい方である240%となり、延べ面積は290㎡×240%=696㎡です。近隣商業地域の容積率の上限は、指定容積率400%と道路幅員制限(6m×6/10=360%)の小さい方である360%となり、延べ面積は200㎡×360%=720㎡です。したがって、延べ面積の上限の合計は696㎡+720㎡=1,416㎡となります。
覚えるポイント
- セットバック部分は敷地面積から除外され、建蔽率・容積率の計算対象外となること。
- 防火地域内で指定建蔽率80%の地域に耐火建築物を建てる場合は建蔽率100%になること。
間違えやすいところ
- セットバック面積を計算せずに500㎡のまま計算してしまうミス。
- 前面道路幅員として幅員の狭い3m(または4m)を用いて容積率制限を誤って計算してしまうこと。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の建築基準法
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土地の有効活用手法(建設協力金方式・事業受託方式)
不動産 · 土地有効活用 / 建設協力金方式 / 事業受託方式
土地の有効活用手法に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、〈語句群〉の中から選びなさい。 「有効活用の手法のうち、自己建設方式は、土地所有者が有効活用を行う際に、資金の調達から建設工事の発注、建物の管理・運営まで自ら行う方式です。 また、( ① )方式は、建物に入居するテナントから建物の( ② )相当額の全部または一部を借り受け、そのテナントが要求する建物を建てて賃貸する方式です。 事業受託方式は、土地所有者であるX社の依頼を受けたデベロッパーが、管理・運営を受託し、賃貸事業の運営を行う方式です。事業受託方式による有効活用にあたっての土地建物の名義は( ③ )になります。また、建築資金の調達は、( ③ )が借主となって行うことになります。デベロッパーの事業受託費用が発生しますが、豊富なノウハウの提供を受けられます。なお、デベロッパーが一括借上げし、それをテナントへ転貸することにより収益を安定させる方式もあります」 〈語句群〉 イ.建設協力金 ロ.定期借地権 ハ.土地信託 ニ.建築費 ホ.権利金 ヘ.固定資産税 ト.土地所有者 チ.デベロッパー リ.テナント
- イ
- 建設協力金
- ロ
- 定期借地権
- ハ
- 土地信託
- ニ
- 建築費
- ホ
- 権利金
- ヘ
- 固定資産税
- ト
- 土地所有者
- チ
- デベロッパー
- リ
- テナント
解答・解説を表示
解答
① イ ② ニ ③ ト
解説
土地の有効活用手法には、自己建設方式、事業受託方式、土地信託方式、等価交換方式、建設協力金方式、定期借地権方式などがあります。資金調達の負担者、土地建物の所有名義、事業リスクの帰属先を正しく区別して理解することが重要です。
解き方
- 空欄①・②について、テナントから資金を借り受けてテナント専用建物を建築する方式の特徴から「建設協力金」および「建築費」を特定する。
- 空欄③について、事業受託方式における土地・建物の所有権者および資金借入の主勢力が誰であるかを確認し、「土地所有者」を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ(建設協力金)
- 将来入居する予定のテナントから建築費等の全部または一部を無利息や低利の「建設協力金」として預かり受けて建物を建築し、完成後にそのテナントに賃貸する手法は「建設協力金方式」と呼ばれます。
- 小問 ②:ニ(建築費)
- 建設協力金方式では、テナントの要望(オーダーメイド)に応じた仕様で建物を建築するため、その「建築費」に相当する資金の全部または一部をテナント側から調達します。
- 小問 ③:ト(土地所有者)
- 事業受託方式は、デベロッパーに企画・建築・管理運営等を委託する方式ですが、資金調達の借主および土地建物の所有名義はあくまで「土地所有者」となります。
覚えるポイント
- 事業受託方式:土地建物名義は土地所有者、資金調達も土地所有者が行う。
- 土地信託方式:土地所有権は信託会社に移転し、資金調達も信託会社が行う。
間違えやすいところ
- 事業受託方式と土地信託方式において、土地建物の名義がどちらになるかを混同しやすいので注意する。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の評価(類似業種比準価額および併用方式)
事業承継・相続 · 取引相場のない株式の評価 / 類似業種比準方式 / 中会社の株式評価(併用方式)
設例のX社に関する資料に基づき、X社株式の1株当たりの「類似業種比準価額」および「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による相続税評価額」を求める計算式の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 <計算式> ・類似業種比準価額 ( ① )円 × { (5.0円 / 5.0円 + 58円 / 29円 + 336円 / 324円) / ( ② ) } × 0.6 × (50円 / 50円) = □□□円 ・類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による相続税評価額 □□□円 × ( ③ ) + 372円 × ( 1 - ( ③ ) ) = □□□円
解答・解説を表示
解答
① 280 ② 3 ③ 0.60
解説
取引相場のない株式の類似業種比準方式では、類似業種の株価について課税時期の属する月、前月、前々月、前年平均、2年間平均のうち最も有利な最低値を選択します。また、中会社の評価では規模区分(大:L=0.90、中:L=0.75、小:L=0.60)に応じたLの割合で類似業種比準価額と純資産価額を按分して評価額を算定します。
解き方
- 類似業種の株価データ(308円、295円、295円、282円、280円)を比較し、最も低い280円を特定する。
- 比準要素である配当・利益・純資産の3項目の平均を求めるための除数「3」を確認する。
- X社の規模区分が「中会社の小」であることを確認し、適用されるL値である「0.60」を決定する。
答えの内訳
- ①:280
- 類似業種比準方式で用いる類似業種の株価は、「課税時期の属する月(308円)」「前月(295円)」「前々月(295円)」「前年平均(282円)」「過去2年間平均(280円)」のうち最も低い価額を選択するため、空欄①には280が入ります。
- ②:3
- 類似業種比準方式における比準割合は、配当・利益・純資産の3要素の比準割合の合計を3で除して計算するため、空欄②には「3」が入ります。
- ③:0.60
- X社は「中会社の小」に該当するため、類似業種比準方式と純資産価額方式の併用割合における類似業種比準価額の割合(L)は0.60(60%)となります。したがって、空欄③には「0.60」が入ります。
覚えるポイント
- 類似業種の株価は5つの候補(当月・前月・前々月・前年・2年平均)のうち最も低いものを選択する。
- 中会社のL値は、中会社の大が0.90、中会社の中が0.75、中会社の小が0.60である。
間違えやすいところ
- 類似業種の株価として当月の株価などを無条件に採用してしまう誤り。
- 中会社の規模区分「大・中・小」に対応するL値(0.90、0.75、0.60)を取り違えてしまう誤り。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の財産評価基本通達(取引相場のない株式の評価)
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業承継税制(法人版事業承継税制の特例措置)
事業承継・相続 · 事業承継税制 / 特例承継計画 / 贈与税の納税猶予
「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 「本特例は、先代経営者等である贈与者から後継者である受贈者が贈与を受けた非上場株式等に係る贈与税額について、非上場株式等の贈与者の死亡の日等まで納税を猶予する制度で、2018年1月1日から( ① )12月31日までの間の贈与に係る贈与税について適用されます。 長男CさんがAさん所有のX社株式の全部(700,000株)の贈与を受けて本特例の適用を受ける場合、納税猶予の対象となる株式は、( ② )となります。なお、本特例の適用を受けるためには、2023年3月31日までに( ③ )を( ④ )に提出し、その確認を受ける必要があります」 〈語句群〉 イ.2023年 ロ.2025年 ハ.2027年 ニ.500,000株 ホ.700,000株 ヘ.1,000,000株 ト.継続届出書 チ.特例承継計画 リ.中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の認定書 ヌ.所轄税務署長 ル.都道府県知事 ヲ.所轄法務局
- イ
- 2023年
- ロ
- 2025年
- ハ
- 2027年
- ニ
- 500,000株
- ホ
- 700,000株
- ヘ
- 1,000,000株
- ト
- 継続届出書
- チ
- 特例承継計画
- リ
- 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の認定書
- ヌ
- 所轄税務署長
- ル
- 都道府県知事
- ヲ
- 所轄法務局
解答・解説を表示
解答
① ハ ② ホ ③ チ ④ ル
解説
法人版事業承継税制の特例措置では、対象株式数の上限(総数の3分の2)が撤廃されて全株式(100%)が猶予対象となり、猶予割合も100%に拡充されています。この特例を適用するためには、所定の期日までに「特例承継計画」を作成し、都道府県知事に提出して確認を受ける必要があります。
解き方
- 特例措置の適用期限が2018年1月1日から2027年12月31日までであることを確認し、空欄①に「ハ」を選ぶ。
- 特例措置では上限なく全株式が猶予対象となるため、贈与を受ける700,000株全株が対象となることを確認し、空欄②に「ホ」を選ぶ。
- 事前に提出する計画の名称が「特例承継計画」であることを確認し、空欄③に「チ」を選ぶ。
- 特例承継計画の提出先・確認先が「都道府県知事」であることを確認し、空欄④に「ル」を選ぶ。
- 選択肢 イ不正解
- 2023年は出題時点における特例承継計画の当初提出期限であり、特例措置の適用期間の終了年ではありません。
- 選択肢 ロ不正解
- 2025年は特例措置の適用期間の終了年ではありません。
- 選択肢 ハ正解
- 特例措置の適用期間は2018年1月1日から2027年12月31日までの10年間と定められています。
- 選択肢 ニ不正解
- 500,000株は特例措置における対象株式数ではありません(一般措置の上限も議決権総数の3分の2です)。
- 選択肢 ホ正解
- 特例措置では株式数制限が撤廃されたため、Aさんから贈与を受ける700,000株すべてが対象となります。
- 選択肢 ヘ不正解
- 1,000,000株はX社の発行済株式総数であり、長男CさんがAさんから受贈する株式数(700,000株)を超えています。
- 選択肢 ト不正解
- 継続届出書は納税猶予の継続要件を満たしていることを報告するための事後書類であり、事前の確認書類ではありません。
- 選択肢 チ正解
- 事前に認定経営革新等支援機関の関与のもとで作成・提出すべき書類は「特例承継計画」です。
- 選択肢 リ不正解
- 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の認定書は、提出する文書自体の名称ではありません。
- 選択肢 ヌ不正解
- 特例承継計画の提出・確認を行う先は所轄税務署長ではなく都道府県知事です。
- 選択肢 ル正解
- 特例承継計画の提出先およびその確認を行う行政機関は「都道府県知事」です。
- 選択肢 ヲ不正解
- 所轄法務局は登記管轄機関であり、特例承継計画の提出先ではありません。
答えの内訳
- ①:ハ
- 事業承継税制の特例措置は、2018年1月1日から2027年(出題時点の規定)12月31日までの10年間の承継が対象となります。
- ②:ホ
- 特例措置では一般措置と異なり発行済完全議決権株式総数の3分の2という上限が撤廃され、対象株式の全株まで納税猶予が受けられるため、贈与される全株である700,000株が対象となります。
- ③:チ
- 特例措置の適用を受けるためには、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けて作成した「特例承継計画」を提出する必要があります。
- ④:ル
- 特例承継計画の提出先および確認を行う主体は、「都道府県知事」です(税務署長ではありません)。
覚えるポイント
- 法人版事業承継税制の特例措置は対象株式の上限(総数の3分の2)がなく、全株式(100%)が猶予対象となる。
- 特例承継計画の提出先は「都道府県知事」であり、「税務署長」ではない点に注意する。
間違えやすいところ
- 一般措置の「発行済議決権株式総数の3分の2まで」という制限を特例措置にも当てはめてしまう誤り。
- 特例承継計画の提出先を税務申告を行う「所轄税務署長」と誤認してしまうこと。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の租税特別措置法第70条の7の5(非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例)
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
資産承継・事業承継 · 住宅取得等資金の非課税 / 床面積要件 / 居住要件 / 非課税限度額
長女Dさん(合計所得金額1,000万円以下)が適用を検討している「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。 ① 本制度の対象となる住宅用家屋は、床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその区分所有する部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものである。 ② 長女Dさんが本制度の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに所定の要件を満たす住宅用家屋を取得等してその家屋に居住するか、または同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれることが必要である。 ③ 長女Dさんが、2021年10月に住宅取得等資金の贈与を受け、住宅用家屋の新築等に係る契約を同年12月31日までに締結しその対価等に含まれる消費税等の税率が10%である場合、本制度による非課税限度額は、一定の省エネ等住宅であれば1,200万円、それ以外であれば800万円である。
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解答
① × ② ○ ③ ×
解説
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例は、父母や祖父母から居住用家屋の新築・取得・増改築資金の贈与を受けた受贈者の税負担を軽減する制度であり、受贈者の所得要件、家屋の床面積要件、入居時期の要件、および契約時期に応じた非課税限度額が細かく定められています。
解き方
- 受贈者の合計所得金額を確認し、1,000万円以下である場合の床面積要件(40㎡以上240㎡以下)に該当するかを判定する。
- 贈与年の翌年3月15日までの取得・入居見込み要件を確認する。
- 契約締結時期および適用消費税率に応じた非課税限度額(本問の期間・10%適用時は省エネ等住宅1,500万円・一般住宅1,000万円)を照合する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 本制度の対象となる家屋の床面積要件は原則として50㎡以上240㎡以下ですが、受贈者の合計所得金額が1,000万円以下である場合には床面積の下限要件が40㎡以上に緩和されます。本問の長女Dさんの合計所得金額は1,000万円以下であるため、下限は40㎡以上となり、「50㎡以上」とする記述は不適切です。
- 小問 ②:○
- 本制度の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅用家屋の取得等をして居住するか、同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれることが要件とされており、記述は適切です。
- 小問 ③:×
- 消費税率10%が適用される新築等の契約を2021年4月1日から12月31日までに締結した場合の非課税限度額は、省エネ等の良質な住宅用家屋で1,500万円、それ以外の住宅用家屋で1,000万円となります。「省エネ等住宅で1,200万円、それ以外で800万円」とする記述は不適切です。
覚えるポイント
- 受贈者の合計所得金額が1,000万円以下の年分は床面積下限が40㎡以上に引き下げられる。
- 原則として贈与を受けた年の翌年3月15日までに取得および入居が必要である。
間違えやすいところ
- 合計所得金額1,000万円以下の特例を見落とし、一律50㎡以上と思い込んでしまう誤り。
- 契約時期別の非課税限度額の改定履歴(1,500万円/1,000万円と1,200万円/800万円など)を取り違える誤り。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2021年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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