日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の概要
公的介護保険の被保険者と給付・保険料
ライフプランニングと資金計画 · 公的介護保険 / 第2号被保険者 / 介護給付 / 介護保険料
公的介護保険に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「介護保険の保険給付を受けるためには、市町村(特別区を含む)から要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。また、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である介護保険の第2号被保険者は、特定疾病が原因で要介護状態または要支援状態となった場合に介護保険の保険給付を受けることができます」 ② 「介護保険の第2号被保険者に係る介護保険料は、国民健康保険の保険料の納付方法にかかわらず、市町村(特別区を含む)から送付される納付書により納付することになります」 ③ 「介護保険の第2号被保険者が保険給付を受けた場合の自己負担割合は、原則として実際にかかった費用(食費、居住費等を除く)の1割となりますが、一定金額以上の所得を有する第2号被保険者については、自己負担割合が2割または3割となります」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
公的介護保険において、第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)は加齢に起因する特定疾病による要介護・要支援状態に限り受給権があり、保険料は加入医療保険と一体徴収され、利用時の自己負担は所得にかかわらず一律1割と定められています。
解き方
- 記述①について、介護給付の要件(要介護・要支援認定)と第2号被保険者の給付原因(特定疾病に起因すること)が正しいかを確認して適切(○)と判定します。
- 記述②について、国民健康保険加入者の第2号被保険者保険料の徴収方法(国民健康保険料と一体納付)を確認し、個別の納付書納付ではないため不適切(×)と判定します。
- 記述③について、一定以上所得者への2割・3割負担の適用対象が第1号被保険者のみであることを確認し、第2号被保険者は一律1割であるため不適切(×)と判定します。
答えの内訳
- ①:○
- 公的介護保険の保険給付を受けるには要介護認定または要支援認定が必要です。第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)は、加齢に伴う16種類の特定疾病によって要介護・要支援状態となった場合に限定して給付を受けることができます。
- ②:×
- 国民健康保険に加入している第2号被保険者の介護保険料は、国民健康保険税(料)に合算されて一体として徴収・納付されるため、介護保険料単独で納付書が送付されるわけではありません。
- ③:×
- 介護保険給付の利用者負担割合について、一定以上の所得がある場合に2割または3割負担となる制度は第1号被保険者(65歳以上)のみが対象であり、第2号被保険者の自己負担割合は所得にかかわらず一律1割です。
覚えるポイント
- 第2号被保険者の給付対象は「16の特定疾病」による要介護・要支援状態に限定される点。
- 第2号被保険者の利用者負担は所得にかかわらず一律1割である点(2割・3割負担は第1号被保険者のみ)。
間違えやすいところ
- 第2号被保険者の保険料納付を市区町村からの直接徴収と勘違いしないよう注意する(加入中の医療保険者を通じて納付)。
- 高所得者の介護保険自己負担増(2割・3割)が第2号被保険者にも及ぶと誤認しやすい点に注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の介護保険法および関係法令
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢基礎年金と付加年金の計算
タックスプランニング · 老齢基礎年金 / 学生納付特例 / 付加年金 / 年金計算式
Aさんが受給することができる老齢基礎年金の額および付加年金の額について、設例の条件(2020年度価額・60歳到達まで保険料納付・付加保険料250月納付・65歳受給開始)に基づき、次の計算式の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 <老齢基礎年金の額> ( ① )円 × ( ② )月 / 480月 = □□□円(円未満四捨五入) <付加年金の額> ( ③ )円 × 250月 = □□□円
解答・解説を表示
解答
① 781,700(円) ② 445(月) ③ 200(円)
解説
老齢基礎年金の受給額は「満額×(保険料納付済月数+免除等に応じた月数)/480月」で計算され、未追納の学生納付特例期間は年金額計算の月数から除外されます。また、付加年金の年金額は「200円×付加保険料納付済月数」で計算されます。
解き方
- 2020年度の老齢基礎年金の満額が781,700円であることを確認し、空欄①に入れます。
- Aさんの公的年金加入歴から、年金額に反映される月数を計算します。学生納付特例期間35月は反映されず、納付済期間205月+納付予定期間240月=445月となるため、空欄②に入れます。
- 付加年金の計算式が「200円×付加保険料納付済月数」であることから、空欄③に200を入れます。
答えの内訳
- ①:781,700
- 2020年度(令和2年度)における老齢基礎年金の満額(改定率反映後の基本額)は781,700円です。
- ②:445
- 老齢基礎年金の額の計算において、学生納付特例期間(35月)は追納しない限り年金額の反映対象となりません。そのため、分子となる月数は保険料納付済期間205月と保険料納付予定期間240月を合算した445月となります。
- ③:200
- 付加年金の年金額は「200円 × 付加保険料納付済月数」で算出されるため、空欄③には200が入ります。
覚えるポイント
- 2020年度の老齢基礎年金満額は781,700円であること。
- 学生納付特例期間は受給資格期間には算入されるが、追納しない限り年金額には反映されないこと。
- 付加年金の受給額計算式は「200円×納付月数」(納付保険料は月額400円で2年受給すれば元が取れる設計)であること。
間違えやすいところ
- 学生納付特例期間を免除期間と混同して年金額計算の分子に加えてしまう誤り。
- 付加保険料の月額(400円)と付加年金の算式乗数(200円)を取り違えてしまう誤り。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の国民年金法および2020年度年金額改定基準
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老後資金準備のための各種制度(iDeCo・国民年金基金・小規模企業共済)
ライフプランニングと資金計画 · 確定拠出年金(個人型) / 国民年金基金 / 小規模企業共済制度
個人事業主の老後資金準備に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、〈語句群〉の中から選びなさい。 ⅰ)確定拠出年金の個人型年金(iDeCo) 「国民年金の第1号被保険者であるAさんは、個人型年金に加入することができます。個人型年金の老齢給付金は、通算加入者等期間が( ① )年以上ある場合、60歳から受給することができます。加入者が拠出する掛金は、( ② )控除の対象となります」 ⅱ)国民年金基金 「国民年金基金への加入は口数制となっており、1口目は終身年金A型・B型から選択します。拠出する掛金は、月額( ③ )円が上限となります。国民年金の付加保険料を納付している者が加入する場合、付加保険料の納付をやめる手続が必要です」 ⅲ)小規模企業共済制度 「個人事業主が廃業等した場合の資金を準備できる共済制度です。毎月の掛金は、1,000円から( ④ )円の範囲内で、500円単位で選択することができます」
- イ
- 2
- ロ
- 5
- ハ
- 10
- ニ
- 12,000
- ホ
- 20,000
- へ
- 23,000
- ト
- 68,000
- チ
- 70,000
- リ
- 小規模企業共済等掛金
- ヌ
- 生命保険料
- ル
- 社会保険料
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解答
① ハ ② リ ③ ト ④ チ
解説
自営業者等の第1号被保険者が利用できる私的年金や共済制度(iDeCo・国民年金基金・小規模企業共済)には、掛金の上限額や税制優遇(小規模企業共済等掛金控除)、受給開始要件が法令により明確に定められています。
解き方
- 確定拠出年金(iDeCo)の受給要件(通算加入者等期間10年以上で60歳受給開始)および掛金の所得控除区分(小規模企業共済等掛金控除)を確認する。
- 国民年金基金の掛金限度額(月額68,000円)および小規模企業共済の掛金上限(月額70,000円、500円単位)を当てはめて各記号を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)の老齢給付金は、通算加入者等期間が10年以上ある場合に原則として60歳から受給できます。
- 小問 ②:リ
- 確定拠出年金の個人型年金で加入者が拠出した掛金は、全額が所得税・住民税の計算において「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。
- 小問 ③:ト
- 国民年金基金の掛金月額の上限は68,000円です(個人型確定拠出年金と併用する場合は両者の合計で月額68,000円が限度となります)。
- 小問 ④:チ
- 小規模企業共済制度の掛金月額は、1,000円から70,000円までの範囲内において500円単位で自由に設定することができます。
覚えるポイント
- iDeCo掛金と小規模企業共済掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」となる。
- 第1号被保険者の掛金上限は、国民年金基金とiDeCo合算で月額68,000円、小規模企業共済は月額70,000円。
間違えやすいところ
- 小規模企業共済の掛金控除区分を生命保険料控除や社会保険料控除と混同しないように注意する。
- 国民年金基金の上限(68,000円)と小規模企業共済の上限(70,000円)の数値を入れ違えて誤答しやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族年金および障害年金の受給要件と給付内容
リスク管理 · 遺族基礎年金 / 遺族厚生年金 / 障害基礎年金 / 障害厚生年金
会社員であるAさん(厚生年金保険の被保険者、子なし・妻31歳)に関する公的年金制度の給付について、ファイナンシャル・プランナーが説明した次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 「Aさんが現時点で死亡した場合、妻Bさんは、遺族基礎年金を受給することはできません」 ② 「Aさんが現時点で死亡した場合、妻Bさんは、遺族厚生年金を受給することができます。遺族厚生年金の額は、原則として、Aさんの厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の3分の2相当額です」 ③ 「Aさんが病気やケガ等で障害状態となり、その障害の程度が厚生年金保険法に規定される障害等級3級と認定された場合、Aさんは障害基礎年金および障害厚生年金を受給することができます」
- ○
- 記述の内容が適切である
- ×
- 記述の内容が不適切である
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解答
① ○ ② × ③ ×
解説
公的年金の遺族給付・障害給付では、年金制度の階層(1階の基礎年金と2階の厚生年金)によって受給権者の範囲、給付水準、対象となる障害等級が厳格に区別されています。
解き方
- 記述①:遺族基礎年金の対象者が「子の有無」に依存することを確認し、子のいない妻は対象外となるため適切(○)と判断する。
- 記述②:遺族厚生年金の基本給付額の乗率が報酬比例部分の「4分の3」である点と問題文の「3分の2」を照らし合わせて不適切(×)と判断する。
- 記述③:障害等級3級が障害厚生年金のみの対象であり、障害基礎年金(1・2級)は支給されない点を確認して不適切(×)と判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 遺族基礎年金の受給対象者は「生計を維持されていた子のある配偶者」または「子」に限られます。Aさん夫妻には子がいないため、妻Bさんは遺族基礎年金を受給できません。
- 小問 ②:×
- 遺族厚生年金の額は、原則として被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の「4分の3」相当額です(3分の2ではありません)。
- 小問 ③:×
- 障害基礎年金は障害等級1級および2級のみが対象です。障害等級3級に認定された場合に受給できるのは障害厚生年金のみであり、障害基礎年金は支給されません。
覚えるポイント
- 遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」のみが受給可能。
- 遺族厚生年金の額は報酬比例部分の「4分の3」。
- 障害等級3級は「障害厚生年金」のみ支給(障害基礎年金は1級・2級のみ)。
間違えやすいところ
- 遺族厚生年金の額を「3分の2」や「全額」と誤解しやすいので「4分の3」と正確に覚える。
- 障害等級3級でも基礎年金がもらえると誤認しやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特約組立型総合保険の保障内容の判定
リスク管理 · 生命保険の保障内容 / 入院特約の1入院の扱い / 先進医療特約の要件 / 指定代理請求特約
提案された生命保険(終身保険特約200万円、定期保険特約500万円、傷害特約500万円、就業不能サポート特約、入院特約、先進医療特約、指定代理請求特約、リビング・ニーズ特約)の保障内容等に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ × ④ ○
解説
総合保険では各特約の支払事由(普通死亡と災害死亡の区分、1入院限度日数の通算規定、先進医療の判定基準時)および税務上の取扱いを正確に把握して給付内容を判定します。
解き方
- 普通死亡保険金の対象となる特約(終身保険特約と定期保険特約)を合算し、傷害特約を除外して死亡保障額を算出する。
- 入院特約の通算規定(180日ルール)、先進医療特約の判定基準時(療養受療時基準)、指定代理請求時の非課税要件を個別に確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 病気等の普通死亡時には終身保険特約(200万円)と定期保険特約(500万円)から合計700万円が支払われます。傷害特約は不慮の事故等による死亡が要件であるため含まれません。
- 小問 ②:○
- 疾病入院特約では、退院後一定期間内(一般に180日以内)に同一の病気や直接の原因となった病気で再入院した場合、医学的に1回の入院とみなして通算限度日数をカウントします。
- 小問 ③:×
- 先進医療特約の給付対象となるのは、契約時点ではなく「療養を受けた時点」において厚生労働大臣によって先進医療として指定・承認されている技術に限られます。
- 小問 ④:○
- 被保険者本人が請求できない特別の事情がある場合、あらかじめ指定された代理請求人が代理請求可能です。また、身体の傷害等に起因する給付金は受取人が配偶者等であっても非課税所得となります。
覚えるポイント
- 先進医療特約は「療養を受けた時点」で厚生労働大臣が認めている先進医療が対象となる。
間違えやすいところ
- 不慮の事故以外での普通死亡時に、傷害特約の保障金額まで合算してしまうミスが多い。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険料控除の上限額および特約保険金の税務
リスク管理 · 新生命保険料控除 / 住民税の生命保険料控除限度額 / リビング・ニーズ特約の税務
提案された生命保険の課税関係に関する文章中の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選び記号で答えなさい。 Ⅰ「各保険料控除の適用限度額は、所得税で40,000円、住民税で( ① )円です。また、一般・介護医療・個人年金保険料控除の合計適用限度額は、所得税で120,000円、住民税で( ② )円となります」 Ⅱ「リビング・ニーズ特約により、余命6カ月以内と判断された場合に本人が受け取る特約保険金は、( ③ )となります」
- イ
- 28,000
- ロ
- 35,000
- ハ
- 50,000
- ニ
- 70,000
- ホ
- 84,000
- ヘ
- 105,000
- ト
- 所得税の課税対象
- チ
- 贈与税の課税対象
- リ
- 非課税
解答・解説を表示
解答
① イ ② ニ ③ リ
解説
新生命保険料控除制度(2012年以降)における各控除枠の所得税・住民税限度額と合計上限額のルール、および身体の傷害・疾病に準じて非課税とされる生前給付金の税務を整理します。
解き方
- 新契約の各控除枠(一般・介護医療・個人年金)の適用限度額(所得税各4万円・住民税各2.8万円)と全体の合計限度額(所得税12万円・住民税7万円)を確認する。
- リビング・ニーズ特約保険金が生前給付であり所得税法上非課税となる規定を適用する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 新制度における住民税の生命保険料控除の各区分(一般・介護医療・個人年金)の最高限度額はそれぞれ28,000円です。
- 小問 ②:ニ
- 新制度における住民税の生命保険料控除の全体合計限度額は、28,000円×3=84,000円ではなく、上限70,000円に制限されています。
- 小問 ③:リ
- リビング・ニーズ特約によって被保険者本人が生前に受け取る給付金は、所得税法第9条により非課税所得として扱われます。
覚えるポイント
- 新生命保険料控除の住民税限度額は各枠2.8万円、合計で7.0万円(8.4万円ではない)である。
間違えやすいところ
- 住民税の合計限度額を28,000円×3=84,000円と計算してしまう間違いが非常に多い。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金の退職所得控除額および退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得 / 退職所得控除額 / 役員退職金
将来、X社がAさんに役員退職金4,000万円を支給した場合、Aさんが受け取る役員退職金に係る退職所得控除額および退職所得の金額をそれぞれ求めなさい。なお、Aさんの役員在任期間(勤続年数)は33年3カ月とし、これ以外に退職手当等の収入はなく、障害者になったことが退職の直接の原因ではないものとする(答は万円単位)。
解答・解説を表示
解答
① 1,780(万円) ② 1,110(万円)
解説
退職所得控除額の計算において、勤続年数に1年未満の端数があるときは切り上げて1年として計算します。勤続年数20年超の場合は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」を適用し、原則として控除後の残額の2分の1が退職所得の金額となります。
解き方
- 役員在任期間33年3カ月について、1年未満の端数を切り上げて勤続年数を34年と判定する。
- 勤続年数20年超の算式に基づき、800万円+70万円×(34年-20年)=1,780万円を求める。
- 退職所得の金額の計算式に代入し、(4,000万円-1,780万円)×1/2=1,110万円を算出する。
答えの内訳
- ①:1,780(万円)
- 勤続年数の端数は切り上げて34年となります。勤続年数20年超の退職所得控除額は「800万円+70万円×(34年-20年)=1,780万円」と計算されます。
- ②:1,110(万円)
- 退職所得の金額は「(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2」で計算します。(4,000万円-1,780万円)×1/2=1,110万円となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の1年未満の端数は切り上げること
- 勤続年数20年超の控除額算式:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
間違えやすいところ
- 端数の3カ月を切り捨てて33年として計算してしまう誤り
- 退職所得控除を引いた後の金額に2分の1を掛け忘れる誤り
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人が契約する定期保険の税務処理および契約内容の取扱い
リスク管理 · 法人保険の経理処理 / 契約者貸付制度 / 払済保険
資料の定期保険(契約者・死亡保険金受取人:X社、被保険者:Aさん、最高解約返戻率49%)に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。 ①「当該定期保険の最高解約返戻率は50%以下であるため、支払保険料の全額を損金の額に算入することができます」 ②「保険期間中にX社に緊急の資金需要が発生し、契約者貸付制度を利用する場合、当該制度により借り入れることができる金額は、利用時点での既払込保険料相当額が限度となります」 ③「当該定期保険をAさんの勇退時に払済終身保険に変更した場合、契約は継続しているため、経理処理の必要はありません」
- ①
- 当該定期保険の最高解約返戻率は50%以下であるため、支払保険料の全額を損金の額に算入することができます。
- ②
- 保険期間中にX社に緊急の資金需要が発生し、契約者貸付制度を利用する場合、当該制度により借り入れることができる金額は、利用時点での既払込保険料相当額が限度となります。
- ③
- 当該定期保険をAさんの勇退時に払済終身保険に変更した場合、契約は継続しているため、経理処理の必要はありません。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
法人契約の定期保険等の保険料は最高解約返戻率の区分に応じて損金算入割合が決まり、50%以下のものは全額損金算入できます。また、契約者貸付の限度額は解約返戻金基準であり、払済保険への変更時はその時点の解約返戻金相当額に応じた経理処理が必要となります。
解き方
- 記述①:最高解約返戻率が49%(50%以下)であるため、保険料全額が損金算入されることを確認し適切と判定する。
- 記述②:契約者貸付の限度額基準が既払込保険料ではなく解約返戻金である点を確認し不適切と判定する。
- 記述③:払済保険への変更時には変更時の解約返戻金額等を用いた経理処理が必要であることを確認し不適切と判定する。
- 選択肢 ①正解
- 最高解約返戻率が50%以下の定期保険等の保険料は、全額を損金の額に算入できるため正しい記述です。
- 選択肢 ②不正解
- 契約者貸付制度の借入限度額は「既払込保険料相当額」ではなく「解約返戻金の一定範囲内」であるため誤りです。
- 選択肢 ③不正解
- 払済終身保険に変更した際は、変更時の解約返戻金相当額を資産計上する等の経理処理が必要となるため誤りです。
答えの内訳
- ①:○
- 2019年7月8日以後の契約において、法人が契約者で最高解約返戻率が50%以下の定期保険等の支払保険料は、原則として全額を損金算入できます。
- ②:×
- 契約者貸付制度により借り入れることができる金額は、「既払込保険料相当額」ではなく「解約返戻金の所定の範囲内(一般に8〜9割程度)」となります。
- ③:×
- 定期保険を払済終身保険に変更した場合、変更時の解約返戻金相当額を保険料積立金として資産計上するなどの経理処理(税務処理)が必要となります。
覚えるポイント
- 法人定期保険の最高解約返戻率50%以下は全額損金算入
- 契約者貸付の利用限度額は解約返戻金の所定割合
- 払済保険への変更時には解約返戻金相当額の経理処理が必要
間違えやすいところ
- 契約者貸付の限度額を既払込保険料の額と混同してしまうこと
- 払済保険に変更しても解約していないため経理処理は不要と誤解すること
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等(2019年7月8日以後の法人保険税務取扱)
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業退職金共済制度(中退共)の掛金・助成・給付
タックスプランニング · 中小企業退職金共済制度 / 掛金月額の範囲 / 国の掛金助成制度 / 退職金の受取方法
中小企業退職金共済制度(中退共)に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を、語句群のなかから選びなさい。 「中退共は、中小企業の事業主が独立行政法人勤労者退職金共済機構と雇用者(従業員)を被共済者とする退職金共済契約を締結して、退職金を社外に積み立てる共済制度です。 掛金は、被共済者(従業員)1人につき、月額5,000円から( ① )までの範囲から選択し、事業主が全額を負担します。なお、短時間労働者(パートタイマー等)は、特例として、月額2,000円から加入することができます。 中退共に新たに加入する事業主に対して、原則として、掛金月額の2分の1(被共済者1人ごとに5,000円が上限)を加入後( ② )から1年間、国が助成する制度があります。また、掛金月額が18,000円以下の被共済者(従業員)の掛金を増額した事業主に対して、増額分の( ③ )を増額月から1年間、国が助成する制度もあります。 被共済者(従業員)が定年退職した場合、独立行政法人勤労者退職金共済機構から退職金が( ④ )支給されます。退職金は、退職時に一括して受け取る一時払いのほか、退職金が所定の金額以上であることなどの要件を満たした場合は、退職金の全部または一部を分割払いにすることもできます」
- イ
- 3万円
- ロ
- 4万円
- ハ
- 5万円
- ニ
- 4カ月目
- ホ
- 5カ月目
- ヘ
- 6カ月目
- ト
- 2分の1
- チ
- 3分の1
- リ
- 4分の1
- ヌ
- 従業員に直接
- ル
- 事業主を経由して従業員に
解答・解説を表示
解答
① イ ② ニ ③ チ ④ ヌ
解説
中小企業退職金共済制度(中退共)は、単独では退職金制度を設けることが困難な中小企業のために国が設けた共済制度です。事業主が掛金を全額負担して社外に積み立て、退職時には機構から従業員へ直接退職金が支給される仕組みとなっています。
解き方
- 中退共の掛金月額の選択範囲(一般従業員は5,000円〜3万円)を確認し、空欄①を特定する。
- 国の掛金助成制度における新規加入助成の開始月(4カ月目から1年間)と、月額18,000円以下からの増額助成割合(3分の1を1年間)を確認し、空欄②・③を特定する。
- 退職金が事業主の手を経ずに機構から直接被共済者(従業員)へ支払われる受取ルールを確認し、空欄④を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 中退共の一般被共済者の掛金月額は、5,000円から最高30,000円(3万円)までの16種類から選択します(短時間労働者は2,000円、3,000円、4,000円の特例あり)。
- 小問 ②:ニ
- 新規加入助成は、新しく中退共制度に加入する事業主に対し、掛金月額の2分の1(従業員ごとに上限5,000円)を加入後4カ月目から1年間、国が助成します。
- 小問 ③:チ
- 月額掛金が18,000円以下の従業員の掛金を増額する事業主に対しては、増額分の3分の1を増額月から1年間、国が助成します。
- 小問 ④:ヌ
- 退職金は事業主を経由せず、機構(独立行政法人勤労者退職金共済機構)から退職した従業員に直接支払われます。
覚えるポイント
- 中退共の掛金月額は5,000円から3万円まで、事業主が全額負担し損金算入可能。
- 新規加入助成は加入後4カ月目から1年間、掛金の2分の1(上限月5,000円)が助成される。
- 退職金は機構から従業員本人に直接支給され、事業主が受け取ることはできない。
間違えやすいところ
- 新規加入助成(掛金の1/2・4カ月目から)と月額18,000円以下からの増額助成(増額分の1/3・増額月から)の助成割合や開始月を混同しないように注意する。
- 退職金は事業主口座を経由して支払われると誤解しやすいが、実際には機構から従業員へ直接支給される。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
青色申告制度の青色申告特別控除と税務上の特典
タックスプランニング · 青色申告制度 / 青色申告特別控除 / e-Taxによる電子申告 / 純損失の繰越控除
所得税における青色申告に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、数値群のなかから選びなさい。 Ⅰ 「事業所得に係る取引を正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出することにより、最高□□□万円の青色申告特別控除の適用を受けることができます。2020年分以後の所得税からはこれらの要件に加えて、e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存を行うことで、最高( ① )万円の青色申告特別控除の適用を受けることができます。ただし、確定申告書を確定申告期限後に提出した場合、青色申告特別控除額は最高( ② )万円です」 Ⅱ 「青色申告者が受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除のほかに、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の( ③ )年間の繰越控除、純損失の繰戻還付、棚卸資産の評価について低価法を選択できることなどが挙げられます」
- イ
- 3
- ロ
- 5
- ハ
- 7
- ニ
- 10
- ホ
- 20
- へ
- 30
- ト
- 55
- チ
- 63
- リ
- 65
解答・解説を表示
解答
① リ ② ニ ③ イ
解説
青色申告制度は、一定の帳簿書類を備え付け正確に記帳する納税者に対し、税制上の優遇措置を与える制度です。最大65万円の青色申告特別控除(電子申告等の要件あり)、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の3年間の繰越控除などの特典が設けられています。
解き方
- 2020年分以後の青色申告特別控除の改正(基礎控除引き上げに伴い、通常55万円、e-Tax申告または電子帳簿保存で65万円)を確認し、空欄①を特定する。
- 確定申告期限を過ぎて提出した場合に適用される控除額(10万円)を確認し、空欄②を特定する。
- 青色申告者の純損失の繰越控除期間(3年間)を確認し、空欄③を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:リ
- 2020年分以後の所得税において、正規の簿記の原則による記帳・貸借対照表等の添付・期限内申告の要件を満たした上で、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を行うことで、最高65万円の青色申告特別控除が適用されます(満たさない場合は55万円)。
- 小問 ②:ニ
- 法定申告期限後に確定申告書を提出した場合、正規の簿記の原則で記帳されていても55万円または65万円の控除は受けられず、最高10万円の青色申告特別控除となります。
- 小問 ③:イ
- 青色申告者は、事業所得等に生じた純損失の金額を翌年以後3年間にわたって繰越控除することができます。
覚えるポイント
- 2020年分以後の青色申告特別控除は、複式簿記+期限内申告で55万円、さらにe-Taxまたは電子帳簿保存で65万円となる。
- 期限後申告となった場合は複式簿記であっても10万円の控除にとどまる。
- 青色申告の純損失は翌年以後3年間の繰越控除が可能(前年分の所得税について繰戻還付も可能)。
間違えやすいところ
- 2020年分以降の改正により、e-Taxや電子帳簿保存がない紙申告では55万円控除になる点を忘れ、すべて65万円と混同しやすい。
- 期限後申告になると55万円や65万円の適用要件を失い、10万円控除に減額される点に注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の所得控除(配偶者控除・扶養控除)の要件と控除額
タックスプランニング · 配偶者控除 / 青色事業専従者給与 / 扶養控除 / 特定扶養親族
設例の家族構成(妻Bさん48歳・専業主婦、長女Cさん20歳・給与収入50万円、二女Dさん19歳・収入なし、全員が生計を一にする)に基づく、Aさんの2020年分の所得税の所得控除等に関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ①「Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます。また、仮に、将来妻BさんがAさんの青色事業専従者として給与の支払を受ける者となった場合でも、所定の要件を満たせば、妻Bさんは控除対象配偶者となります」 ②「長女Cさんの合計所得金額が48万円を超えるため、Aさんは長女Cさんに係る扶養控除の適用を受けることはできません」 ③「Aさんが適用を受けることができる二女Dさんに係る扶養控除の控除額は、63万円です」
- ①
- 配偶者控除および青色事業専従者給与の重複適用の可否に関する記述
- ②
- アルバイト給与収入50万円がある長女Cさんに係る扶養控除適用の可否に関する記述
- ③
- 19歳で無収入の二女Dさんに係る扶養控除の控除額に関する記述
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
所得控除において、配偶者控除は青色事業専従者給与を受ける者とは重複適用できず、扶養控除は合計所得金額48万円以下の生計を一にする親族が対象で、19歳以上23歳未満は特定扶養親族として控除額が加算されます。
解き方
- 青色事業専従者給与の受給者が控除対象配偶者に該当し得るかを判定する。
- 長女の給与収入から給与所得控除額を引いて合計所得金額を算出し、扶養控除の所得要件と比較する。
- 二女の年齢(19歳)から扶養控除の区分(一般または特定)を確認し、該当する控除額を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 青色事業専従者給与の支払を受ける者は、控除対象配偶者や扶養親族になることはできません。したがって、将来妻Bさんが青色事業専従者となった場合、配偶者控除の対象外となるため不適切です。
- 小問 ②:×
- 給与収入50万円から給与所得控除(最低55万円)を差し引くと、長女Cさんの給与所得の金額は0円となり、合計所得金額48万円以下の要件を満たします。したがって扶養控除の対象となるため不適切です。
- 小問 ③:○
- 二女Dさんはその年の12月31日時点で19歳(19歳以上23歳未満)であり、特定扶養親族に該当するため、適用される扶養控除額は63万円となり適切です。
覚えるポイント
- 給与所得控除の最低額は55万円であり、給与収入103万円以下であれば合計所得金額は48万円以下となる。
- 青色事業専従者給与と配偶者控除・扶養控除は重複適用できない。
間違えやすいところ
- 給与収入の金額そのものを合計所得金額と誤認して扶養控除から外してしまうミス。
- 特定扶養親族の対象年齢(19歳以上23歳未満)と老人扶養親族等の控除額を混同すること。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等(2020年分以後の所得税法)
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人年金の解約一時所得・生命保険料控除・基礎控除および所得税額の計算
タックスプランニング · 一時所得 / 総所得金額 / 生命保険料控除 / 基礎控除 / 所得税の算出税額
設例の資料に基づき、Aさんの2020年分の所得税の算出税額の計算表における空欄①~④に入る数値を求めなさい。 <資料抜粋> ・事業所得の金額:5,300,000円 ・一時払変額個人年金保険(契約2011年5月):解約返戻金600万円、正味払込保険料500万円 ・生命保険料(2012年6月契約・新契約): 終身保険(一般生命保険料)年間支払保険料150,000円 医療保険(介護医療保険料)年間支払保険料70,000円 ・所得控除の合計額:(b)3,200,000円
解答・解説を表示
解答
① 5,550,000 ② 77,500 ③ 480,000 ④ 137,500
解説
総所得金額は一時所得の金額に2分の1を乗じて合算し、新契約の生命保険料控除は各枠(一般・介護医療・年金)ごとに計算して合算(上限12万円)し、税率は課税総所得金額に速算表を適用して税額を算出します。
解き方
- 解約返戻金から払込保険料と特別控除50万円を差し引き、その2分の1を事業所得に加算して総所得金額①を求める。
- 新契約の控除速算式を用いて一般分(40,000円)と介護医療分(37,500円)を合算し生命保険料控除額②を求める。
- 合計所得金額2,400万円以下の基礎控除額③(480,000円)を特定する。
- 総所得金額から所得控除合計を引いて課税総所得金額を算出し、所得税の速算表を適用して算出税額④を計算する。
答えの内訳
- ①:5,550,000
- 一時払変額個人年金の解約返戻金に係る一時所得の金額は「600万円-500万円-特別控除50万円=50万円」です。総所得金額に算入される一時所得は「50万円×1/2=250,000円」となるため、総所得金額は事業所得5,300,000円+250,000円=5,550,000円となります。
- ②:77,500
- 新契約の生命保険料控除額は、一般分が「支払保険料150,000円>8万円」より最高限度額の40,000円、介護医療分が「70,000円×1/4+20,000円=37,500円」となり、合計控除額は40,000円+37,500円=77,500円となります。
- ③:480,000
- 2020年分以後の所得税において、合計所得金額が2,400万円以下である個人の基礎控除額は480,000円となります。
- ④:137,500
- 課税総所得金額は総所得金額5,550,000円-所得控除合計3,200,000円=2,350,000円です。速算表より「2,350,000円×10%-97,500円=137,500円」が算出税額となります。
覚えるポイント
- 一時所得の総所得金額算入額は、特別控除(最大50万円)後の金額の2分の1である。
- 2020年分以後の所得税の基礎控除額は原則480,000円である(合計所得金額2,400万円以下)。
間違えやすいところ
- 一時所得を2分の1にするのを忘れてそのまま総所得金額に合算してしまうミス。
- 生命保険料控除の新契約と旧契約の計算式を混同したり、各区分の最高限度額(4万円)を超えて計算してしまうミス。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等(2020年分以後の税制改正後)
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続における各種期限・生命保険金の非課税限度額・空き家の譲渡所得特別控除
相続・事業承継 · 準確定申告 / 相続税の申告期限 / 死亡保険金の非課税金額 / 被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除
被相続人Dさんの相続に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。 Ⅰ 「賃貸アパートを経営していた父Dさんが2021年分の所得税について確定申告書を提出しなければならない場合に該当するとき、相続人は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ① )カ月以内に準確定申告書を提出しなければなりません」 Ⅱ 「相続税の申告書の提出期限は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ② )カ月以内です。申告書の提出先は、父Dさんの死亡時の住所地を所轄する税務署長になります」 Ⅲ 「弟Bさんが受け取る死亡保険金(2,000万円)のうち、相続税の課税価格に算入される金額は、( ③ )万円となります」 Ⅳ 「自宅(実家)の敷地および建物をAさんが取得し、『被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例』の適用を受けた場合、譲渡所得の金額の計算上、最高( ④ )万円の特別控除の適用を受けることができます」
解答・解説を表示
解答
① 4 ② 10 ③ 500 ④ 3,000
解説
相続開始後の手続きには、準確定申告(4カ月以内)や相続税申告(10カ月以内)などの法定申告期限が定められています。また、生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額があり、要件を満たす被相続人の空き家の譲渡では最高3,000万円の特別控除が認められます。
解き方
- 準確定申告と相続税申告の法定申告期限の月数(それぞれ4カ月、10カ月)を確認する。
- 法定相続人の数(3人)に基づき、生命保険金の非課税限度額(1,500万円)を算定し、受取保険金額(2,000万円)から差し引いて課税価格への算入額(500万円)を求める。
- 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の最高限度額(3,000万円)を確認する。
答えの内訳
- ①:4
- 被相続人が死亡した年の所得税の準確定申告書は、相続人が相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に提出しなければなりません。
- ②:10
- 相続税の申告書の提出期限は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内と定められています。
- ③:500
- 生命保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」です。法定相続人は子3人(Aさん、弟Bさん、妹Cさん)なので「500万円×3人=1,500万円」となります。受け取った保険金2,000万円から非課税枠1,500万円を控除した500万円が課税価格に算入されます。
- ④:3,000
- 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例を適用した場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円を控除することができます。
覚えるポイント
- 準確定申告は相続開始を知った翌日から4カ月以内、相続税申告は10カ月以内。
- 死亡保険金の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」。
- 空き家譲渡の特別控除額は最高3,000万円。
間違えやすいところ
- 準確定申告の期限(4カ月)と相続税の申告期限(10カ月)を取り違えないこと。
- 生命保険金の非課税枠の計算において、相続放棄者がいた場合でも民法上の法定相続人の数で計算する点に注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の要件と併用限度
相続・事業承継 · 小規模宅地等の特例 / 特定居住用宅地等 / 家なき子特例 / 貸付事業用宅地等との併用
「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「Aさんが自宅(実家)の敷地を相続し、特定居住用宅地等として本特例の適用を受けた場合、その敷地の400㎡までを限度面積として、評価額の80%相当額を減額した金額を、相続税の課税価格に算入すべき価額とすることができます」 ② 「Aさんが自宅(実家)の敷地を相続し、当該敷地を相続税の申告期限前に売却した場合であっても、本特例の適用を受けることができます」 ③ 「自宅(実家)の敷地と賃貸アパートの敷地について、本特例の適用を受けようとする場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの宅地等の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます」
- ①
- 自宅(実家)の敷地の特定居住用宅地等としての限度面積は400㎡である。
- ②
- 相続税の申告期限前に売却した場合であっても本特例の適用を受けられる。
- ③
- 自宅敷地と賃貸アパート敷地を併用する場合、適用対象面積の調整をせずそれぞれの限度面積まで適用できる。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ×
解説
小規模宅地等の特例は、事業用や居住用宅地の相続税負担を軽減する制度です。特定居住用宅地等は限度面積330㎡(減額割合80%)であり、同居親族以外の親族が取得する場合は申告期限までの保有継続要件が課されます。また、貸付事業用宅地等と併用する場合は面積調整計算が必要です。
解き方
- 特定居住用宅地等の限度面積(330㎡)と減額割合(80%)を確認し、記述①の面積誤り(400㎡)を判定する。
- 被相続人と別居していた親族が特定居住用宅地等の適用を受ける際の要件(申告期限までの保有継続)を確認し、記述②の適否を判定する。
- 特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等を併用する場合の制限(完全併用不可・面積調整計算が必要)を確認し、記述③の適否を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受ける場合、限度面積は330㎡(減額割合80%)です。記述の「400㎡」は特定事業用宅地等や特定同族会社事業用宅地等の限度面積であり、不適切です。
- 小問 ②:×
- 同居していない親族(いわゆる家なき子)が特定居住用宅地等の適用を受けるためには、相続税の申告期限まで引き続きその宅地等を所有(保有)している必要があります。申告期限前に売却した場合は適用を受けられません。
- 小問 ③:×
- 特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等(賃貸アパートの敷地)を併用する場合、完全併用は認められず、限度面積の調整計算を行う必要があります。無調整でそれぞれの限度面積まで適用できるわけではありません。
覚えるポイント
- 特定居住用宅地等の限度面積は330㎡、減額割合は80%。
- 家なき子特例は相続税申告期限までの保有継続要件がある。
- 貸付事業用宅地等(200㎡・50%減額)を併用する場合は面積調整計算が必須。
間違えやすいところ
- 特定居住用宅地等の限度面積(330㎡)と特定事業用宅地等の限度面積(400㎡)を混同しないこと。
- 特定事業用宅地等と特定居住用宅地等であれば完全併用(400㎡+330㎡=730㎡)が可能だが、貸付事業用宅地等が絡むと完全併用できなくなる点に注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算(遺産に係る基礎控除額と税額計算)
相続・事業承継 · 相続税の総額 / 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額
父Dさんの相続(相続人は長男Aさん、弟Bさん、妹Cさんの3名、配偶者は既に死亡)における相続税の総額について試算を行う。相続税の課税価格の合計額が1億5,000万円である場合、計算表の空欄①〜③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、単位は万円とする。<計算表>(a)相続税の課税価格の合計額:1億5,000万円、(b)遺産に係る基礎控除額:( ① )万円、課税遺産総額((a)-(b)):□□□万円、相続税の総額の基となる税額[Aさん:( ② )万円、弟Bさん:□□□万円、妹Cさん:□□□万円]、(c)相続税の総額:( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 4,800 ② 480 ③ 1,440
解説
相続税の総額の計算では、課税価格の合計額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を控除して課税遺産総額を求め、それを実際の遺産分割割合ではなく法定相続分どおりに取得したものと仮定して各相続人の税額を速算表から計算し、それらを合算して求めます。
解き方
- 法定相続人の数を確認し、遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×3人=4,800万円)を求めて空欄①に当てはめる。
- 課税遺産総額(1億5,000万円-4,800万円=1億200万円)を法定相続分(各1/3)で按分し、各人の法定相続分に応ずる取得金額(3,400万円)を算出する。
- 速算表(税率20%、控除額200万円)を適用してAさんの税額(3,400万円×20%-200万円=480万円)を算出し、空欄②に当てはめる。
- 全相続人の税額を合算して相続税の総額(480万円×3人=1,440万円)を求め、空欄③に当てはめる。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出されます。本問の法定相続人は実子3人(Aさん、弟Bさん、妹Cさん)の計3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:480
- 課税遺産総額は1億5,000万円-4,800万円=1億200万円となります。これを法定相続分(子3人で各3分の1)で按分すると、Aさんの法定相続分に応ずる取得金額は1億200万円×1/3=3,400万円です。速算表より「3,000万円超5,000万円以下」の税率20%・控除額200万円を適用し、3,400万円×20%-200万円=480万円が算出税額となります。
- ③:1,440
- 各相続人の法定相続分に応ずる取得金額は均等(各3,400万円)であるため、弟Bさん・妹Cさんの税額もAさんと同じく各480万円となります。これらを合計した相続税の総額は、480万円×3=1,440万円となります。
覚えるポイント
- 遺産に係る基礎控除額の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」である。
- 相続税の総額は、実際の遺産分割割合に関わらず法定相続分で按分した取得金額を基礎として計算する。
間違えやすいところ
- 基礎控除額の計算式において、旧制度の「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」と混同しないようにする。
- 生命保険金の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)と遺産に係る基礎控除の加算額(600万円×法定相続人の数)を取り違えやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2021年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

