日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 公的年金 / 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 報酬比例部分 / 経過的加算
設例のAさん(40歳・個人事業主)の公的年金加入歴に基づき、原則として65歳から受給できる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2020年度価額)について、計算の手順の空欄①〜④に入る数値を計算しなさい(円未満四捨五入)。 <加入歴(60歳までの見込み含む)> ・20歳〜22歳:国民年金未納期間(26月) ・2003年4月〜2019年6月:厚生年金保険被保険者期間(194月、平均標準報酬額30万円、すべて2003年4月以後) ・2019年6月〜60歳:国民年金保険料納付済期間(260月)
解答・解説を表示
解答
① 739,358(円)、② 318,994(円)、③ 283(円)、④ 319,277(円)
解説
公的年金の老齢給付において、老齢基礎年金は保険料納付済月数等を基に満額から按分計算されます。老齢厚生年金は主として現役時代の報酬と加入月数に応じた報酬比例部分と定額部分の差額調整である経過的加算で構成されます。加給年金は厚生年金被保険者期間が240月以上あることが要件です。
解き方
- 老齢基礎年金の月数(第2号被保険者期間194月+第1号納付済期間260月=454月)を算出して満額781,700円に乗じて按分計算する。
- 老齢厚生年金の報酬比例部分(2003年4月以後の計算式:平均標準報酬額×5.481/1,000×194月)を計算する。
- 経過的加算額(1,630円×被保険者月数-老齢基礎年金相当額)を算出し、円未満を四捨五入する。
- 被保険者月数(194月)が加給年金の要件である原則240月を満たすか確認し、加算の有無を判定して老齢厚生年金の年金額を合算する。
答えの内訳
- ①:739,358
- 老齢基礎年金の計算式に基づき、保険料納付済月数は厚生年金194月+国民年金260月=454月となります。781,700円×(454月/480月)=739,357.91...円となり、円未満四捨五入して739,358円です。
- ②:318,994
- 老齢厚生年金の報酬比例部分の額は、2003年4月以後の期間分のみであるため、300,000円×(5.481/1,000)×194月=318,994.2円となり、円未満四捨五入して318,994円です。
- ③:283
- 経過的加算額は、定額部分の額から厚生年金期間に係る老齢基礎年金相当額を差し引いて計算します。1,630円×194月-781,700円×(194月/480月)=316,220円-315,937.08...円=282.91...円となり、円未満四捨五入して283円です。
- ④:319,277
- 老齢厚生年金の基本年金額は報酬比例部分(318,994円)+経過的加算(283円)=319,277円です。Aさんの厚生年金被保険者期間は194月であり、加給年金の受給要件である原則240月以上を満たさないため加給年金額は加算されず、年金額は319,277円となります。
覚えるポイント
- 老齢基礎年金の計算において、厚生年金保険の被保険者期間(第2号被保険者期間)は20歳以上60歳未満であれば保険料納付済期間に含まれる。
- 加給年金の支給要件は、原則として厚生年金保険の被保険者期間が20年(240月)以上あること。
間違えやすいところ
- 厚生年金の加入期間(194月)を老齢基礎年金の納付済月数に合算し忘れるミスに注意する。
- 加給年金の受給要件である被保険者月数240月を満たしていないにもかかわらず、生計を維持する配偶者や子がいることで加算してしまうミスに注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等および問題文の<資料>記載の計算式(2020年度価額:満額781,700円等)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
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国民年金の付加年金および国民年金基金の仕組み
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金 / 付加年金 / 国民年金基金
国民年金の付加年金および国民年金基金に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群から選定しなさい。 Ⅰ「Aさんは、所定の手続により、国民年金の定額保険料に加えて、国民年金の付加保険料を納付することができます。仮に、Aさんが付加保険料を120月納付し、65歳から老齢基礎年金を受け取る場合、老齢基礎年金の額に付加年金として( ① )円が上乗せされます」 Ⅱ「国民年金基金は、老齢基礎年金に上乗せする年金を支給する任意加入の年金制度です。加入は口数制となっており、1口目は保証期間のある( ② )年金A型、保証期間のない( ② )年金B型のいずれかを選択してください。掛金の額は、加入者が選択した給付の型や口数、加入時の年齢等で決まり、掛金の拠出限度額は月額( ③ )円となります。なお、国民年金基金に加入した場合は国民年金の付加保険料を納付することはできません」
- イ
- 24,000
- ロ
- 48,000
- ハ
- 55,000
- ニ
- 68,000
- ホ
- 70,000
- ヘ
- 有期
- ト
- 確定
- チ
- 終身
解答・解説を表示
解答
① イ、② チ、③ ニ
解説
国民年金第1号被保険者は、老齢基礎年金への上乗せとして付加年金(月額400円の付加保険料を納付し、年額「200円×月数」を受給)または国民年金基金を選択できます。国民年金基金は1口目が終身年金に限定され、掛金限度額は月額68,000円です。なお、付加年金と国民年金基金は併用できません。
解き方
- 付加年金の年金額算定式「200円×納付月数」に120月を代入して年額を計算する。
- 国民年金基金の加入規定において、基本となる1口目の給付形態が終身年金(A型・B型)であることを確認する。
- 国民年金基金の月額掛金限度額(68,000円)を確認し、語句群から対応する記号を選択する。
- 選択肢 イ正解
- 付加年金の金額は「200円×120月=24,000円」となるため、空欄①の解答として適切です。
- 選択肢 ロ不正解
- 48,000円は付加保険料の総額(400円×120月)であり、受け取る付加年金額ではないため不適切です。
- 選択肢 ハ不正解
- 55,000円は確定拠出年金等における別の拠出限度額区分であり、本問の空欄には適合しません。
- 選択肢 ニ正解
- 国民年金基金の掛金限度額は月額68,000円であるため、空欄③の解答として適切です。
- 選択肢 ホ不正解
- 70,000円は小規模企業共済の掛金上限(月額7万円)であり、国民年金基金の限度額としては不適切です。
- 選択肢 ヘ不正解
- 有期年金は2口目以降で選択可能な給付型であり、1口目として選択することはできないため不適切です。
- 選択肢 ト不正解
- 国民年金基金において1口目は確定年金を選択することはできず終身年金に限られるため不適切です。
- 選択肢 チ正解
- 国民年金基金の1口目は終身年金(A型・B型)から選択するため、空欄②の解答として適切です。
答えの内訳
- ①:イ
- 付加年金の年金額は「200円×付加保険料納付月数」で計算されます。120月納付した場合の上乗せ額は200円×120月=24,000円となり、語句群の「イ」が適切です。
- ②:チ
- 国民年金基金の1口目は、終身年金(保証期間付きのA型、保証期間なしのB型)のいずれかから選択することが義務付けられているため、語句群の「チ」が適切です。
- ③:ニ
- 国民年金基金の掛金の拠出限度額は月額68,000円(個人型確定拠出年金iDeCoにも加入する場合は合算して月額68,000円)であるため、語句群の「ニ」が適切です。
覚えるポイント
- 付加年金の年金額=200円×納付済月数(納付保険料は月額400円なので、受給開始後2年で元が取れる)。
- 国民年金基金の1口目は終身年金(A型またはB型)から選択し、拠出限度額は月額68,000円。
間違えやすいところ
- 付加年金の年金額の計算において、納付保険料(400円)と受給年額の乗数(200円)を取り違えてしまうミスに注意する。
- 小規模企業共済の掛金月額上限(70,000円)と国民年金基金の限度額(68,000円)を混同しないようにする。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等(国民年金法・国民年金基金規則)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
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公的年金制度等の各種取扱い(繰下げ・iDeCo・国民年金基金)
ライフプランニングと資金計画 · 老齢年金の繰下げ支給 / 個人型確定拠出年金(iDeCo) / 国民年金基金の脱退要件
公的年金制度および関連制度の取扱いに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① Aさんは老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができる。仮に68歳0カ月で繰下げ支給の申出をした場合の増額率は18.0%となる。 ② Aさんは老後の年金収入を増やすために個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できるが、加入した場合は国民年金基金や小規模企業共済制度に加入することはできない。 ③ Aさんが国民年金基金に加入した場合、加入者の都合で任意に脱退することはできず、資格喪失は限定された事由に該当した場合のみとなる。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
公的年金の繰下げ支給では月あたり0.7%が増額され、個人事業主の老後資金対策としてiDeCo・国民年金基金・小規模企業共済制度の併用が認められていますが、国民年金基金は自己都合による途中脱退が認められていない点に留意する必要があります。
解き方
- 繰下げ増額率の算式「繰下げ月数×0.7%」に基づき、68歳0カ月時点(36カ月繰下げ)の増額率が25.2%であることを計算して正誤を判定する。
- 第1号被保険者におけるiDeCoと国民年金基金(枠合算で併用可能)および小規模企業共済(併用可能)の重複加入ルールを確認する。
- 国民年金基金が任意加入制度でありながら任意脱退が禁止されている法定脱退制の原則を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給による増額率は「月あたり0.7%」です。68歳0カ月で繰下げ支給の申出を行った場合、繰下げ月数は36カ月(3年×12カ月)となるため、増額率は「0.7%×36カ月=25.2%」となります。記述の18.0%は誤りです。
- 小問 ②:×
- 国民年金の第1号被保険者である個人事業主は、個人型確定拠出年金(iDeCo)と国民年金基金を合算して月額6万8,000円の限度額内で併用加入することができます。また、小規模企業共済制度についても制限なく併せて加入することが可能です。
- 小問 ③:○
- 国民年金基金は任意加入の制度ですが、自己都合による任意脱退は法律上認められていません。資格を喪失するのは、国民年金の第1号被保険者でなくなったとき(第2号・第3号被保険者への種別変更、海外移住等)や死亡したときなどの法定事由に該当した場合に限られます。
覚えるポイント
- 繰下げ増額率は「月0.7%」(最大60カ月で42%増額、2022年4月以降は最大120カ月で84%増額)
- 国民年金第1号被保険者のiDeCo掛金限度額は国民年金基金(または付加保険料)と合算で月額6.8万円
間違えやすいところ
- 繰上げ減額率(月0.5%、法改正前)と繰下げ増額率(月0.7%)の料率を取り違えないこと
- 国民年金基金は加入こそ任意であるものの、途中で自己都合脱退はできない点に注意すること
出題の前提:2020年10月1日現在施行の公的年金制度および確定拠出年金法、国民年金基金規則に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
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株式投資指標の算出(ROEおよび配当利回り)
金融資産運用 · ROE(自己資本当期純利益率) / 配当利回り / 財務諸表分析
X社株式の関連情報およびX社の財務データに基づき、次の①・②を算出しなさい。なお、計算結果は%表示の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで解答すること。 <X社株式の関連情報> ・株価:1,350円 ・発行済株式数:2億株 ・決算期:2021年6月30日 <X社の財務データ(単位:百万円)> ・60期 純資産の部合計(自己資本):360,000 ・61期 純資産の部合計(自己資本):350,000 ・61期 当期純利益:19,500 ・61期 配当金総額:12,000 ① 61期におけるROE(自己資本は60期と61期の平均を用いる) ② 61期における配当利回り
解答・解説を表示
解答
① 5.49(%) ② 4.44(%)
解説
ROE(自己資本当期純利益率)は当期純利益を自己資本で除して投下資本の運用効率を測定する指標であり、配当利回りは1株当たり年間配当金を株価で除して投資額に対するインカムゲイン割合を測定する指標です。
解き方
- 60期と61期の純資産(自己資本)の期中平均値(355,000百万円)を求める。
- 61期当期純利益(19,500百万円)を自己資本平均で除して100を掛け、ROEを算出して端数処理する。
- 配当金総額(12,000百万円)を発行済株式数(2億株)で除して1株当たり配当金(60円)を算出する。
- 1株当たり配当金を株価(1,350円)で除して100を掛け、配当利回りを算出して端数処理する。
答えの内訳
- ①:5.49(%)
- 自己資本(平均)=(60期純資産360,000百万円+61期純資産350,000百万円)÷ 2 = 355,000百万円。 ROE = 61期当期純利益 ÷ 自己資本(平均)× 100 = 19,500百万円 ÷ 355,000百万円 × 100 ≒ 5.4929…%。 小数点以下第3位を四捨五入して、5.49%となります。
- ②:4.44(%)
- 1株当たり年間配当金 = 配当金総額12,000百万円 ÷ 発行済株式数200百万株 = 60円。 配当利回り = 1株当たり年間配当金 ÷ 株価 × 100 = 60円 ÷ 1,350円 × 100 ≒ 4.4444…%。 (または配当金総額12,000百万円 ÷ 時価総額270,000百万円 × 100 ≒ 4.4444…%) 小数点以下第3位を四捨五入して、4.44%となります。
覚えるポイント
- ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(問題の指示により期首・期末平均を用いる場合がある)
- 配当利回り(%)= 1株当たり配当金 ÷ 株価 × 100
間違えやすいところ
- ROEの計算で期末自己資本(350,000百万円)のみを分母にしてしまい、指示された期首・期末の平均値を用い忘れる誤り
- 百万円単位と株式数(億株)の桁数を合わせ損ねて1株当たり配当金の計算を誤るミス
出題の前提:2020年10月1日現在施行の会社法・企業会計基準および出題条件の財務データに基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資の指標・権利確定日および一般NISAの取扱い
金融資産運用 · PBR / 権利確定日と受渡日 / 一般NISA
設例のX社株式の関連情報および財務データに基づき、ファイナンシャル・プランナーのMさんが説明したX社株式購入時の留意点等に関する記述①〜③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を付けなさい。 ① 「X社株式のPBRは1.0倍を下回っていますが、PBRの1倍割れだけをもって、割安と判断するのは注意が必要です。PER等の他の投資指標も併せて比較・検討するなど、多角的な視点が望まれます」 ② 「配当を受け取るためには、権利確定日に株主として株主名簿に記載される必要があります。次回の配当を受け取るためには、権利確定日の3営業日前である6月25日(金)までに買付けを行ってください」 ③ 「X社株式を購入する場合、一般NISAを利用することが考えられます。2021年中に一般NISA勘定に受け入れることができる限度額(非課税投資枠)は120万円です」
- ①
- X社株式のPBRは1.0倍を下回っていますが、PBRの1倍割れだけをもって、割安と判断するのは注意が必要です。PER等の他の投資指標も併せて比較・検討するなど、多角的な視点が望まれます。
- ②
- 配当を受け取るためには、権利確定日に株主として株主名簿に記載される必要があります。次回の配当を受け取るためには、権利確定日の3営業日前である6月25日(金)までに買付けを行ってください。
- ③
- X社株式を購入する場合、一般NISAを利用することが考えられます。2021年中に一般NISA勘定に受け入れることができる限度額(非課税投資枠)は120万円です。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
上場株式の投資判断では株価純資産倍率(PBR)等の各種財務指標を総合的に比較検討し、配当受給には権利付最終日(権利確定日の2営業日前)までの約定が必要です。また一般NISAの年間投資枠は120万円です。
解き方
- 財務データからBPSおよびPBRを算出し、投資指標としての判断および記述の妥当性を確認する。
- 株式の受渡決済期間のルールに基づき、配当権利確定日に株主となるための権利付最終日を判定する。
- 一般NISA制度の年間非課税投資枠の上限(120万円)と対象商品を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 61期のBPS(1株当たり純資産)は3,500億円÷2億株=1,750円であり、PBRは株価1,350円÷1,750円≒0.77倍と1.0倍を下回っています。ただしPBR単独でなくPER等の指標も併せた多角的判断が必要であるため適切です。
- 小問 ②:×
- 株式の受渡日は約定日から起算して3営業日目(権利確定日の2営業日前)であるため、2021年6月30日(水)の権利確定日に記載されるには、2営業日前の6月28日(月)までに買い付ける必要があり不適切です。
- 小問 ③:○
- 一般NISAは上場株式や公募株式投資信託等を対象とし、2021年分において一般NISA勘定に受け入れることができる年間の非課税投資枠は120万円であるため適切です。
覚えるポイント
- 上場株式の受渡日は約定日から3営業日目であり、権利付最終日は権利確定日の2営業日前となります。
間違えやすいところ
- 株式の決済期間短縮(2営業日前)を旧ルールの3営業日前と混同しないよう注意が必要です。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
つみたてNISAの制度概要と対象商品
金融資産運用 · つみたてNISA / 非課税投資枠の繰越し / 非課税期間 / 対象商品
設例のAさんに対して、ファイナンシャル・プランナーのMさんが説明したつみたてNISAに関する記述①〜③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を付けなさい。 ① 「つみたてNISAの年間の非課税投資の上限は40万円です。購入は累積投資契約に基づく定期かつ継続的な買付けを行う方法に限られていますが、使い切れなかった非課税投資枠は翌年以降に繰り越すことができますので、年の途中から始めても、非課税投資枠を無駄にすることはありません」 ② 「つみたてNISAの従来の非課税期間は20年間ですが、2020年度税制改正により、2021年から非課税期間が25年間に延長されています」 ③ 「つみたてNISA勘定に受け入れることができる商品は、所定の要件を満たすインデックス型の公募株式投資信託に限られています。X社株式をつみたてNISA勘定に受け入れることはできません」
- ①
- つみたてNISAの年間の非課税投資の上限は40万円です。購入は累積投資契約に基づく定期かつ継続的な買付けを行う方法に限られていますが、使い切れなかった非課税投資枠は翌年以降に繰り越すことができますので、年の途中から始めても、非課税投資枠を無駄にすることはありません。
- ②
- つみたてNISAの従来の非課税期間は20年間ですが、2020年度税制改正により、2021年から非課税期間が25年間に延長されています。
- ③
- つみたてNISA勘定に受け入れることができる商品は、所定の要件を満たすインデックス型の公募株式投資信託に限られています。X社株式をつみたてNISA勘定に受け入れることはできません。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ×
解説
つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資を支援する制度であり、年間40万円を上限とする非課税枠の翌年繰越しは不可、非課税期間は最長20年間、対象商品は一定の要件を満たす公募株式投信(インデックス型・アクティブ型)およびETFです。
解き方
- つみたてNISAにおける年間投資上限額および未使用枠の繰越し可否ルールを確認する。
- 制度における各年投資分の非課税期間(最長20年間)の規定を確認する。
- つみたてNISA対象商品として定められている適格投資信託等の範囲(インデックス型、アクティブ型、指定ETF)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- つみたてNISAの年間非課税投資枠(上限40万円)のうち、その年に使い切れなかった未使用分を翌年以降に繰り越すことはできないため不適切です。
- 小問 ②:×
- つみたてNISAの非課税期間は最長20年間であり、2020年度税制改正によって新規投資可能期間は延長されたものの非課税期間自体は25年間に延長されていないため不適切です。
- 小問 ③:×
- つみたてNISAの対象商品はインデックス型投資信託だけでなく、要件を満たすアクティブ型公募株式投資信託やETFも含まれるため、「インデックス型に限られている」とする記述は不適切です。
覚えるポイント
- NISA制度における年間の非課税枠の未使用分は翌年以降へ繰り越すことができません。
間違えやすいところ
- つみたてNISAの対象商品はインデックス型のみと誤解されがちですが、一定の条件を満たすアクティブ型投信やETFも対象となります。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の青色申告制度
タックスプランニング · 青色申告特別控除 / 純損失の繰戻還付 / 青色申告の特典
所得税における青色申告制度に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 Ⅰ 「事業所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最高( ① )万円を控除することができます。( ① )万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、事業所得に係る取引を正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出することに加えて、e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存を行う必要があります。なお、確定申告書を法定申告期限後に提出した場合、青色申告特別控除額は最高( ② )万円となります」 Ⅱ 「青色申告者が受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除のほかに、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の3年間の繰越控除、( ③ )の所得に対する税額から還付を受けられる純損失の繰戻還付、棚卸資産の評価について低価法を選択できることなどが挙げられます」 〈語句群〉 イ.10 ロ.38 ハ.48 ニ.55 ホ.65 ヘ.前年分 ト.過去5年分 チ.過去7年分
- イ
- 10
- ロ
- 38
- ハ
- 48
- ニ
- 55
- ホ
- 65
- ヘ
- 前年分
- ト
- 過去5年分
- チ
- 過去7年分
解答・解説を表示
解答
① ホ、② イ、③ ヘ
解説
所得税の青色申告制度では、複式簿記等の一定の帳簿書類を備え付ける納税者に対して、青色申告特別控除(最大65万円)、青色事業専従者給与の経費算入、純損失の繰越控除(3年間)および前年分への繰戻還付などの各種特典が認められています。
解き方
- 最高額の青色申告特別控除(65万円)の要件として、正規の簿記の原則による記帳、期限内申告、e-Taxまたは電子帳簿保存を確認する。
- 期限後申告の場合に適用される青色申告特別控除額が10万円となることを確認する。
- 青色申告者の純損失の繰戻還付は前年分の所得に対して行われることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ホ
- 青色申告特別控除は、正規の簿記の原則による記帳を行い、期限内申告書に貸借対照表等を添付し、かつe-Taxによる申告または電子帳簿保存を行うことで最高65万円(選択肢ホ)が控除されます。
- 小問 ②:イ
- 確定申告書を法定申告期限後に提出(期限後申告)した場合、55万円または65万円の控除要件を満たさなくなるため、控除額は最高10万円(選択肢イ)となります。
- 小問 ③:ヘ
- 青色申告者が事業所得等で純損失が生じた場合、その損失額を前年分(選択肢ヘ)に繰り戻して前年分の所得税額の還付を受ける「純損失の繰戻還付」を選択できます。
覚えるポイント
- 青色申告特別控除は「10万円」「55万円」「65万円(e-Taxまたは電子帳簿保存)」の3区分があること。
- 純損失は翌年以後3年間の繰越控除、または前年分への繰戻還付ができること。
間違えやすいところ
- 期限後申告になると正規の簿記で記帳していても10万円控除に下がってしまう点を見落としやすい。
- 繰戻還付ができる期間を繰越控除の期間(3年)と混同して複数年遡れると誤認しやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一時払養老保険の差益・扶養控除・基礎控除の判定
タックスプランニング · 一時払養老保険の課税 / 一時所得 / 扶養控除 / 公的年金等控除 / 基礎控除
Aさんの2020年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「Aさんが受け取った一時払養老保険の満期保険金に係る差益は、源泉分離課税の対象となります」 ② 「母Dさんの公的年金等に係る雑所得の金額は算出されません。Aさんは母Dさんに係る扶養控除の適用を受けることができます」 ③ 「Aさんが適用を受けることができる基礎控除の額は、48万円です」
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ○
解説
一時払養老保険の差益は、保険期間5年超であれば総合課税の一時所得、保険期間5年以内(または5年以内に解約)なら20.315%の源泉分離課税(金融類似商品)となります。扶養控除は合計所得金額が48万円以下の親族が対象で、65歳以上の公的年金等控除額は最低110万円です。また2020年分以降、基礎控除は原則48万円(高額所得者には制限あり)となっています。
解き方
- 設例の一時払養老保険の契約期間(2010年4月から2020年の満期まで約10年)を確認し、5年超であるため源泉分離課税ではなく一時所得(総合課税)と判断する。
- 母Dさん(70歳)の公的年金収入(80万円)から公的年金等控除額(110万円)を差し引き、雑所得が0円となり扶養控除の対象となることを確認する。
- Aさんの合計所得金額が2,400万円以下であることを確認し、基礎控除額が48万円となることを判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 契約期間が5年を超える一時払養老保険(2010年4月契約、満期まで10年間)の満期保険金差益は、源泉分離課税ではなく一時所得として総合課税の対象となります。
- 小問 ②:○
- 70歳である母Dさんの公的年金等控除額は110万円であるため、公的年金収入80万円の場合、雑所得の金額は0円となります。合計所得金額が48万円以下であり生計を一にしているため、Aさんは母Dさんを控除対象扶養親族として扶養控除の適用を受けられます。
- 小問 ③:○
- 2020年分の所得税において、合計所得金額が2,400万円以下の納税者の基礎控除額は一律48万円となります。Aさんの合計所得金額は2,400万円以下であるため48万円が適用されます。
覚えるポイント
- 一時払養老保険は「契約期間5年以下」または「5年以内の解約」の場合に金融類似商品として源泉分離課税の対象となる。
- 65歳以上の公的年金等控除額の最低額は110万円(年金収入330万円以下の場合)。
- 2020年分からの基礎控除額は合計所得金額2,400万円以下で48万円。
間違えやすいところ
- 一時払養老保険であれば無条件に源泉分離課税になると誤解しやすい(5年超満期の場合は一時所得)。
- 税制改正前の基礎控除額(38万円)や控除対象扶養親族の所得要件(38万円以下)の旧数値を適用してしまう。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の総所得金額および税額計算
タックスプランニング · 損益通算 / 一時所得 / 扶養控除 / 所得税額の計算
設例のAさんの2020年分の収入等および家族に関する資料に基づき、総所得金額、扶養控除額、算出税額を計算し、空欄①~③に入る数値を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 5,000,000円 ② 580,000円 ③ 192,500円
解説
所得税の計算では、各所得の金額を求めて損益通算を行い総所得金額を算出します。一時払養老保険(契約から5年超)の満期保険金は一時所得となり、収入から払込保険料と特別控除(最高50万円)を控除します。扶養控除は16歳以上の扶養親族が対象で、同居している70歳以上の老親等については58万円が控除されます。
解き方
- 事業所得600万円と不動産所得▲100万円を通算し、一時所得0円(525万円-500万円-50万円≦0)を加えて総所得金額500万円を求めます。
- 妻は青色事業専従者、長男は16歳未満のため対象外であり、母(同居老親等)の扶養控除額58万円を特定します。
- 総所得金額から所得控除合計210万円を差し引いて課税総所得金額290万円を算出し、速算表を適用して算出税額を計算します。
答えの内訳
- ①:5,000,000
- 事業所得600万円と不動産所得の損失▲100万円を損益通算し、一時所得は差益25万円から特別控除50万円を差し引くと0円となるため、総所得金額は5,000,000円となります。
- ②:580,000
- 母Dさんは70歳以上で同居しており、年金収入80万円から公的年金等控除を引いた所得が48万円以下であるため同居老親等に該当し、扶養控除額は580,000円となります。
- ③:192,500
- 課税総所得金額290万円(500万円-210万円)に対し、速算表より税率10%・控除額9万7,500円を適用して、2,900,000円×10%-97,500円=192,500円となります。
覚えるポイント
- 16歳未満の年少扶養親族には扶養控除が適用されない点
- 青色事業専従者として給与を受ける者は配偶者控除等の対象外となる点
- 同居老親等(70歳以上で同居)の扶養控除額は58万円である点
間違えやすいところ
- 一時所得の特別控除50万円の控除を失念して総所得金額に加算してしまう誤り
- 16歳未満の長男(9歳)に対して扶養控除38万円を適用してしまう誤り
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく建築面積および延べ面積の上限計算
不動産 · 建蔽率の緩和 / 前面道路幅員による容積率制限 / 建築面積 / 延べ面積
設例の甲土地と乙土地を一体とした敷地(900㎡)上に耐火建築物を建築する場合における、建蔽率の上限となる建築面積および容積率の上限となる延べ面積を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 720㎡ ② 2,700㎡
解説
建蔽率は、準防火地域内で耐火建築物等を建築する場合に10%、特定行政庁が指定する角地である場合に10%がそれぞれ緩和されます。容積率は、2つ以上の前面道路がある場合は広い方の幅員を用いて道路幅員制限を計算し、指定容積率と比較していずれか小さい方の数値を敷地面積に乗じて延べ面積の上限を求めます。
解き方
- 敷地面積の合計(甲450㎡+乙450㎡=900㎡)に対し、指定建蔽率60%に耐火建築物緩和10%と角地緩和10%を合算して適用建蔽率80%を求め、建築面積を算出します。
- 前面道路幅員は広い方の8mを用い、道路幅員制限(8m×4/10=320%)と指定容積率(300%)を比較して厳しい300%を採用し、延べ面積の上限を算出します。
答えの内訳
- ①:720
- 指定建蔽率60%に準防火地域内の耐火建築物(+10%)および特定行政庁指定の角地(+10%)の緩和を加え適用建蔽率は80%となり、900㎡×80%=720㎡となります。
- ②:2,700
- 前面道路幅員は広い方の8mを採用し、幅員制限8m×4/10=320%と指定容積率300%を比較して小さい300%が適用されるため、900㎡×300%=2,700㎡となります。
覚えるポイント
- 準防火地域内の耐火建築物は建蔽率が10%緩和される点
- 前面道路が複数ある場合は最も広い幅員を採用して道路幅員制限を計算する点
間違えやすいところ
- 狭い方の前面道路幅員(6m)を用いて容積率制限(240%)を計算してしまう誤り
- 準防火地域内の耐火建築物に対する建蔽率緩和の10%加算を見落としてしまう誤り
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産を譲渡した場合の特例
不動産 · 居住用財産の3,000万円特別控除 / 居住用財産の軽減税率の特例 / 家屋取壊し後の敷地譲渡
Aさんが所有する自宅(建物とその敷地である甲土地)の譲渡に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 仮に、Aさんがタワーマンションに転居し、その後、居住していない現在の自宅を譲渡した場合に、Aさんが居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の適用を受けるためには、家屋に自己が居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡であること等の要件を満たす必要がある。 ② Aさんが老朽化した自宅の建物を取り壊し、甲土地を更地にした場合、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の適用を受けることはできない。本特例の適用を受けるためには、自宅の建物と甲土地を同時に譲渡する必要がある。 ③ 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率の特例)の適用を受けるためには、譲渡した年の1月1日において自宅の所有期間が20年を超えていなければならない。相続により取得した不動産は取得時期を引き継ぐため、Aさんは軽減税率の特例の適用を受けることができる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
居住用財産の3,000万円特別控除や軽減税率の特例は、マイホームを売却した個人の税負担を軽減する制度です。空き家となった後の適用可能期限や建物取壊し後の敷地売却要件、軽減税率の所有期間要件(譲渡年の1月1日時点で10年超)などの諸条件を正確に把握しておく必要があります。
解き方
- 住まなくなった自宅に対する3,000万円特別控除の適用期限(3年を経過する日の属する年の12月31日まで)を確認する。
- 建物を取り壊して更地として譲渡する場合における3,000万円特別控除の適用可否(1年以内契約・貸付禁止等の要件充足で適用可)を判定する。
- 軽減税率の特例の所有期間要件が「譲渡した年の1月1日において10年超」であることを確認し、設問の「20年超」の誤りを判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除は、以前に住んでいた家屋や敷地を譲渡する場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すれば適用を受けることができます。
- 小問 ②:×
- 家屋を取り壊して更地を譲渡する場合でも、取り壊しの日から1年以内に譲渡契約を締結し、かつ住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに譲渡する等の要件を満たせば、3,000万円特別控除の適用を受けられます。
- 小問 ③:×
- 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例の適用要件は、譲渡した年の1月1日において所有期間が「10年超」であり、20年超ではありません。
覚えるポイント
- 3,000万円特別控除は転居後3年を経過する年の12月31日まで適用可能
- 取壊し後更地譲渡でも1年以内契約等の要件を満たせば3,000万円特別控除は適用可能
- 居住用財産の軽減税率の特例の所有期間要件は譲渡年の1月1日時点で10年超
間違えやすいところ
- 建物を取り壊すと一切特例が使えなくなると誤認しやすい
- 軽減税率の特例の「所有期間10年超」を、贈与税配偶者控除の「婚姻期間20年以上」などと混同しやすい
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
等価交換方式による土地の有効活用
不動産 · 等価交換方式の仕組み / 等価交換のメリット・遺産分割 / 立体買換えの特例
等価交換方式による甲土地と乙土地を一体とした土地の有効活用に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 等価交換方式とは、マンション開発業者のX社からAさんが建設資金を借り受けて、マンションを建設し、完成した区分所有建物と土地の共有持分をAさんとX社がそれぞれの出資割合に応じて取得する手法である。 ② 等価交換方式により取得したマンション住戸を賃貸することで、賃料収入を得ることができる。また、複数のマンション住戸を区分所有していれば、相続時の遺産分割が比較的容易になるというメリットが考えられる。 ③ Aさんは、等価交換方式による有効活用にあたり、譲渡益に対する課税を100%繰り延べることができる『既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(立体買換えの特例)』の適用を検討することができる。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
等価交換方式は、土地所有者が土地の所有権(一部または全部)を提供し、デベロッパー(開発業者)が建築資金を拠出して建物を建築する方式です。土地所有者は資金調達をすることなく新しい建物の区分所有権を取得でき、税務上の立体買換え特例を利用して課税の繰延べを受けられるほか、複数戸取得による遺産分割の円滑化といったメリットがあります。
解き方
- 等価交換方式の定義を確認し、土地所有者が資金を借り受ける必要がないことから記述①を誤りと判断する。
- 等価交換後の区分所有住戸の活用(賃貸収入)および相続時の遺産分割における利便性から記述②を正しいと判断する。
- 租税特別措置法に基づく立体買換えの特例の適用により、譲渡益に対する課税を100%繰り延べることができる点から記述③を正しいと判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 等価交換方式は、土地所有者が土地を提供し、開発業者が建設資金を全額負担して建物を建設し、完成後に土地価格と建築費の割合に応じて建物と土地持分を配分する手法であり、土地所有者が建設資金を借り受ける必要はありません。
- 小問 ②:○
- 等価交換によって取得したマンション住戸を賃貸に回すことで安定的な賃料収入を得られるほか、複数の区分所有住戸を保有することで相続時に相続人間で分割しやすくなるメリットがあります。
- 小問 ③:○
- 既成市街地等内の中高層耐火建築物等の建設のための買換え(立体買換えの特例)の適用要件を満たす場合、等価交換により取得した買換資産について、譲渡益に対する課税を100%繰り延べることができます。
覚えるポイント
- 等価交換方式では土地所有者が建設資金を借り入れる必要はない
- 等価交換方式で複数住戸を取得すると相続時の遺産分割が容易になる
- 立体買換えの特例を適用することで譲渡益課税を100%繰り延べることが可能
間違えやすいところ
- 建設協力金方式や事業受託方式と等価交換方式の資金負担の仕組みを混同しやすい
- 立体買換えの特例による繰延べを「非課税(免除)」と混同しやすいが、あくまで将来への課税繰延べである点に留意する
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生前贈与の税金(暦年課税・相続時精算課税・教育資金一括贈与)
相続・事業承継 · 暦年課税 / 特例贈与財産 / 相続時精算課税 / 教育資金の一括贈与
次の生前贈与に関する文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を答えなさい。 Ⅰ「Aさんが生前贈与を実行するにあたっては、暦年課税制度による贈与、相続時精算課税制度による贈与などが考えられます。仮に、長女Dさんが暦年課税(各種非課税制度の適用はない)により、2021年中にAさんから現金600万円の贈与を受けた場合、贈与税額は( ① )万円となります」 Ⅱ「Aさんからの贈与について、長女Dさんが暦年課税制度による贈与ではなく、相続時精算課税制度を選択した場合、累計で( ② )万円までの贈与について贈与税は課されませんが、その額を超える部分については、一律20%の税率により贈与税が課されます。長女Dさんが相続時精算課税制度を選択した場合、その後に行われるAさんからの贈与について、暦年課税を選択することはできません」 Ⅲ「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の適用を受ける場合、受贈者1人につき1,500万円までは贈与税が非課税となります。ただし、学習塾などの学校等以外の者に対して直接支払われる金銭については( ③ )万円が限度となります」 <資料>贈与税の速算表(一部抜粋) 基礎控除後の課税価格:特例贈与財産(税率/控除額)、一般贈与財産(税率/控除額) ~200万円以下:10%/―、10%/― 200万円超~300万円以下:15%/10万円、15%/10万円 300万円超~400万円以下:15%/10万円、20%/25万円 400万円超~600万円以下:20%/30万円、30%/65万円
解答・解説を表示
解答
① 68(万円)、② 2,500(万円)、③ 500(万円)
解説
生前贈与における贈与税の計算では、暦年課税(特例税率と一般税率の区分)と相続時精算課税の特別控除額の仕組み、および各種非課税特例(教育資金の一括贈与等)の限度額規定を正しく適用することが基本となります。
解き方
- 空欄①:贈与者と受贈者の続柄および受贈者の年齢から特例税率の該当性を判定し、基礎控除110万円を差し引いた後の課税価格に速算表を適用して税額を計算する。
- 空欄②:相続時精算課税制度における非課税枠となる特別控除限度額(累計2,500万円)を特定する。
- 空欄③:教育資金一括贈与の非課税制度において、学校等以外(塾や習い事など)に支払われる費用の限度額(500万円)を導出する。
答えの内訳
- ①:68
- 長女Dさん(42歳)は直系尊属である父Aさん(75歳)からの贈与を受ける成人の子であるため、特例贈与財産の税率が適用されます。基礎控除後の課税価格は 600万円-110万円=490万円 です。特例贈与財産の速算表(400万円超600万円以下:税率20%、控除額30万円)を適用して、490万円×20%-30万円=68万円 と計算されます。
- ②:2,500
- 相続時精算課税制度を選択した場合の特別控除額は、特定贈与者ごとに累計で2,500万円まで非課税となり、これを超える部分については一律20%の税率が課されます。
- ③:500
- 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度では、受贈者1人あたり1,500万円が限度ですが、学校等以外の者(学習塾や習い事など)に直接支払われる金銭については500万円が限度とされています。
覚えるポイント
- 特例贈与財産(直系尊属から贈与年の1月1日時点で20歳以上(2022年4月以降は18歳以上)の子・孫への贈与)の速算表適用を間違えないこと。
- 相続時精算課税の特別控除額は累計2,500万円、超える部分は一律20%。
- 教育資金一括贈与は最大1,500万円、うち学校等以外は最大500万円。
間違えやすいところ
- 成人の直系卑属への贈与であるにもかかわらず、一般贈与財産の税率を適用して計算ミスをすること。
- 教育資金一括贈与全体の1,500万円と、塾等の学校等以外の枠500万円を混同すること。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額 / 相続税の総額
現時点(2021年5月23日)において、Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額を試算した下記の表の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、相続税の課税価格の合計額は6億円とし、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。 (a)相続税の課税価格の合計額:6億円 (b)遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 課税遺産総額((a)-(b)):□□□万円 相続税の総額の基となる税額 妻Bさん:( ② )万円 長男Cさん:□□□万円 長女Dさん:□□□万円 (c)相続税の総額:( ③ )万円 <資料>相続税の速算表(一部抜粋) 法定相続分に応ずる取得金額:税率/控除額 ~1,000万円以下:10%/- 1,000万円超~3,000万円以下:15%/50万円 3,000万円超~5,000万円以下:20%/200万円 5,000万円超~10,000万円以下:30%/700万円 10,000万円超~20,000万円以下:40%/1,700万円 20,000万円超~30,000万円以下:45%/2,700万円 30,000万円超~60,000万円以下:50%/4,200万円
解答・解説を表示
解答
① 4,800(万円)、② 9,720(万円)、③ 17,360(万円)
解説
相続税の総額の計算は、課税遺産総額(課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いた額)を各法定相続人が法定相続分に応じて按分したと仮定して各人の税額を速算表から計算し、それらを合算して求めます。
解き方
- 法定相続人の人数を確定し、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を算出する。
- 課税価格の合計額(6億円)から基礎控除額を引いて課税遺産総額を求める。
- 課税遺産総額に各人の法定相続分(妻1/2、長男1/4、長女1/4)を乗じて、それぞれの法定相続分に応ずる取得金額を計算する。
- 速算表を用いて各人の算出税額を求め、空欄②の妻Bさんの税額を算出する。
- 各人の算出税額をすべて合算して相続税の総額(空欄③)を算出する。
答えの内訳
- ①:4,800
- 法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの計3人です。遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」により、3,000万円+600万円×3人=4,800万円 となります。
- ②:9,720
- 課税遺産総額は 6億円-4,800万円=5億5,200万円(55,200万円)です。妻Bさんの法定相続分は1/2なので、取得金額は 55,200万円×1/2=27,600万円 となります。速算表(20,000万円超30,000万円以下:45%、控除額2,700万円)を適用して、27,600万円×45%-2,700万円=9,720万円 と計算されます。
- ③:17,360
- 長男Cさんと長女Dさんの法定相続分はそれぞれ1/4であり、取得金額は各 55,200万円×1/4=13,800万円 です。速算表(10,000万円超20,000万円以下:40%、控除額1,700万円)より、各税額は 13,800万円×40%-1,700万円=3,820万円 となります。よって、相続税の総額は 9,720万円+3,820万円+3,820万円=17,360万円 となります。
覚えるポイント
- 相続税の基礎控除額の算式:3,000万円+600万円×法定相続人の数。
- 相続税の総額は、実際の遺産分割割合ではなく法定相続分で按分して算定する。
間違えやすいところ
- 法定相続人の数に孫(代襲相続人でない)を含めてしまい、基礎控除額の計算を誤ること。
- 各人の税額を足し合わせる前に配偶者の税額軽減を適用してしまうこと(相続税の総額の計算段階では軽減等は適用しない)。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺言・遺留分・特定同族会社事業用宅地等の特例
相続・事業承継 · 自筆証書遺言書保管制度 / 遺留分の計算 / 特定同族会社事業用宅地等
Aさんの相続等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① 「遺産分割をめぐる争いを防ぐ手段として、遺言の作成をお勧めします。法務局において、自筆証書遺言を保管する制度が始まっています。この制度を利用した場合、家庭裁判所の検認の手続は必要ありません」 ② 「遺言により、相続財産の大半を妻Bさんおよび長男Cさんが相続した場合、長女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分を算定するための財産の価額を6億円とした場合、長女Dさんの遺留分の額は1億5,000万円となります」 ③ 「長男CさんがX社本社敷地を相続により取得し、当該敷地について、特定同族会社事業用宅地等に係る小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた場合、当該敷地(相続税評価額6,000万円)について、相続税の課税価格に算入すべき価額を1,200万円とすることができます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
自筆証書遺言は原則として家庭裁判所の検認が必要ですが、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言は検認が免除されます。また、兄弟姉妹以外の法定相続人には最低限の取り分である遺留分が保障されており、直系尊属のみが相続人である場合を除き全体の遺留分割合は2分の1となります。さらに小規模宅地等の特例では、宅地の区分ごとに定められた限度面積の範囲内でのみ所定の減額割合が適用されます。
解き方
- 法務局の自筆証書遺言書保管制度における家庭裁判所の検認要否を確認する(保管制度利用時は検認不要)。
- 相続人の構成(配偶者および子2人)から全体の遺留分割合(1/2)と長女Dの法定相続分(1/4)を求め、遺留分割合(1/8)および遺留分額を計算する。
- 特定同族会社事業用宅地等の限度面積(400㎡)と減額割合(80%)に基づき、敷地全体(600㎡)のうち限度面積部分のみ減額計算を行って課税価格への算入額を求める。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 法務局(遺言書保管所)における自筆証書遺言書保管制度を利用して保管されている遺言書については、家庭裁判所による検認の手続が不要とされています。
- 小問 ②:×
- 相続人が配偶者と子の場合、総遺留分は財産の2分の1です。長女Dさんの法定相続分は4分の1(1/2×1/2)であるため、遺留分の割合は8分の1(1/2×1/4)となり、遺留分の額は7,500万円(6億円×1/8)です。記述の1億5,000万円は法定相続分の額であり不適切です。
- 小問 ③:×
- 小規模宅地等の特例において、特定同族会社事業用宅地等の限度面積は400㎡、減額割合は80%です。本問の敷地面積は600㎡であるため限度面積400㎡までしか特例が適用されません。減額額は「6,000万円×(400㎡/600㎡)×80%=3,200万円」となり、課税価格に算入すべき価額は2,800万円(6,000万円-3,200万円)となります。
覚えるポイント
- 自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言は家庭裁判所の検認が不要である。
- 相続人が配偶者と子の場合、各子の遺留分は「1/2×法定相続分」で計算する。
- 特定同族会社事業用宅地等の限度面積は400㎡で80%減額される。
間違えやすいところ
- 遺留分の額の計算において、法定相続分の額そのもの(1/4)を遺留分と混同してしまう誤り。
- 小規模宅地等の特例で、敷地面積が限度面積を超えているにもかかわらず、敷地全体に80%減額を適用して計算してしまう誤り。
出題の前提:特に指示のない限り、2020年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2021年5月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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