日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
公的年金制度の遺族給付(遺族基礎年金・遺族厚生年金)
ライフプランニングと資金計画 · 遺族基礎年金の受給要件 / 遺族基礎年金の受給額 / 遺族厚生年金の報酬比例部分
被保険者である会社員の夫が死亡した際、生計を維持されていた妻が受給できる公的年金制度の遺族給付に関する次の文章の空欄①〜④に当てはまる最も適切な語句または数値を語句群から選択しなさい。 Ⅰ「Aさんが現時点において死亡した場合、妻Bさんに対して遺族基礎年金および遺族厚生年金が支給されます。遺族基礎年金を受けられる遺族の範囲は、死亡した被保険者によって生計を維持されていた『子のある( ① )』または『子』です。『子』とは、18歳到達年度の末日までの間にあるか、20歳未満で障害等級1級または2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻していない子を指します。妻Bさんが受給することができる遺族基礎年金の額は( ② )円(2020年度価額)となり、長女Cさんの18歳到達年度の末日終了後は( ③ )円(2020年度価額)となります」 Ⅱ「遺族厚生年金の額は、Aさんの厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の( ④ )相当額になります。ただし、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が□□□月に満たないときは、□□□月とみなして年金額が計算されます」
- イ
- 781,700
- ロ
- 1,006,600
- ハ
- 1,081,600
- ニ
- 1,231,500
- ホ
- 妻
- ヘ
- 配偶者
- ト
- 2分の1
- チ
- 3分の2
- リ
- 4分の3
解答・解説を表示
解答
① ヘ ② ニ ③ ロ ④ リ
解説
遺族基礎年金は国民年金の被保険者等が死亡した際に子のいる配偶者または子に対して生活保障として支給され、遺族厚生年金は厚生年金の被保険者等が死亡した際に報酬比例部分の4分の3を基本として支給されます。
解き方
- 遺族基礎年金の対象者が「子のある配偶者」であることを確認し、空欄①を特定する。
- 基本額(781,700円)と子2人分の加算額(各224,900円)を合算して空欄②を計算する。
- 長女が対象外となり子1人分となった場合の加算額(基本額+224,900円)を求めて空欄③を計算する。
- 遺族厚生年金の報酬比例部分の支給割合が「4分の3」であることを確認し、空欄④を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ヘ
- 遺族基礎年金の受給対象となる遺族は、被保険者等によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」です。法改正により夫も受給対象となったため「妻」ではなく「配偶者」となります。
- 小問 ②:ニ
- 2020年度の遺族基礎年金の基本額は781,700円です。生計を維持する子が2人(長女・二女)いる場合、第1子・第2子の加算額は各224,900円であるため、合計支給額は781,700円+224,900円×2=1,231,500円となります。
- 小問 ③:ロ
- 長女が18歳到達年度の末日を経過すると加算対象の子は二女の1人のみとなるため、遺族基礎年金の額は基本額781,700円+第1子加算額224,900円=1,006,600円となります。
- 小問 ④:リ
- 遺族厚生年金の基本となる年金額は、死亡した被保険者の厚生年金記録に基づいて計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の4分の3相当額となります。
覚えるポイント
- 遺族基礎年金の受給対象は「子のある配偶者」または「子」であること。
- 遺族基礎年金の子の加算額は第1子・第2子は各224,900円(2020年度)であること。
間違えやすいところ
- 遺族基礎年金の受給権者を「妻」と誤って選んでしまうミス。
- 遺族厚生年金の報酬比例部分の乗数を3分の2や2分の1と混同するミス。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等(2020年度価額)
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族厚生年金の額の計算(中高齢・短期要件300月みなし)
ライフプランニングと資金計画 · 遺族厚生年金 / 報酬比例部分の計算 / 300月みなし(短期要件)
Aさんが現時点(2021年1月24日)で死亡した場合、設例の<Aさんとその家族に関する資料>および<資料>に基づき、妻Bさんが受給することができる遺族厚生年金の年金額を計算しなさい。なお、年金額は2020年度価額に基づいて計算し、端数処理は円未満を四捨五入すること。
解答・解説を表示
解答
485,122(円)
解説
被保険者死亡による遺族厚生年金(短期要件)では、厚生年金保険の被保険者期間の合計月数が300月未満の場合、300月とみなして年金額を計算し、老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3相当額を支給します。
解き方
- 2003年3月以前の期間の額ⓐを計算する:280,000円×(7.125/1,000)×48月=95,760円。
- 2003年4月以後の期間の額ⓑを計算する:400,000円×(5.481/1,000)×213月=466,981.2円。
- 被保険者月数の合計(48月+213月=261月)を確認し、300月未満であるため「300月/261月」の補正を行う。
- 老齢厚生年金の報酬比例額の3/4を乗じ、円未満を四捨五入して遺族厚生年金額を求める:(95,760円+466,981.2円)×(300/261)×(3/4)=485,121.724…円 → 485,122円。
覚えるポイント
- 被保険者中の死亡など短期要件では、厚生年金加入月数が300月未満のときは300月みなしが適用される。
- 遺族厚生年金の報酬比例部分の計算では、最後に4分の3を乗じることを忘れないこと。
間違えやすいところ
- 加入期間261月が300月未満であるにもかかわらず、300月みなしの補正(300/261)を忘れて実月数のまま計算してしまうミス。
- 最後に4分の3を乗じるのを忘れて、老齢厚生年金の報酬比例部分の全額を答えてしまうミス。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等(2020年度価額)
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族給付の取扱い(在職老齢年金・中高齢寡婦加算・課税関係)
ライフプランニングと資金計画 · 遺族厚生年金 / 中高齢寡婦加算 / 在職老齢年金 / 遺族年金の非課税
ファイナンシャル・プランナーのMさんがAさんに対して説明した、妻Bさんに係る公的年金制度の遺族給付の各種取扱いに関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。
- ①
- Aさんの死亡後、妻Bさんが厚生年金保険の被保険者として働くことは可能性として考えられると思います。遺族厚生年金の年金額は、妻Bさんの総報酬月額相当額と基本月額との合計額が47万円(2020年度価額)を超えなければ、全額支給されますので、支給停止となるケースを過度に心配されることはないと思います。
- ②
- 二女Dさんの18歳到達年度の末日が終了し、妻Bさんの有する遺族基礎年金の受給権が消滅したときは、妻Bさんが65歳に達するまでの間、妻Bさんに支給される遺族厚生年金の額に中高齢寡婦加算が加算されます。
- ③
- 妻Bさんが受け取る遺族基礎年金および遺族厚生年金の年金額は、所得税法上、非課税所得となります。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
公的年金制度における遺族給付は、残された遺族の生活保障を目的としているため、所得税法上は非課税とされています。また、在職中の給与との調整である在職老齢年金の仕組みは老齢厚生年金に固有のものであり遺族年金には適用されません。さらに、遺族基礎年金が終了した後の40歳以上65歳未満の妻には中高齢寡婦加算による手厚い保障が用意されています。
解き方
- 記述①について、在職老齢年金制度の対象が老齢厚生年金であり遺族厚生年金には適用されない点を確認して正誤を判定する。
- 記述②について、遺族基礎年金失権時における妻の年齢要件(40歳以上65歳未満)を満たしているか確認し中高齢寡婦加算の可否を判定する。
- 記述③について、遺族年金・障害年金に対する所得税法の非課税規定を確認して正誤を判定する。
- 選択肢 ①不正解
- 在職老齢年金による年金額の支給停止は老齢厚生年金が対象であり、遺族厚生年金は被保険者として就労しても支給停止の対象とならないため不適切です。
- 選択肢 ②正解
- 子が要件から外れて遺族基礎年金の受給権が消滅した時点で、妻Bさんは40歳以上65歳未満であるため、65歳まで中高齢寡婦加算が支給されることから適切です。
- 選択肢 ③正解
- 所得税法第9条の規定により、遺族基礎年金や遺族厚生年金などの遺族給付は非課税所得とされているため適切です。
答えの内訳
- ①:×
- 在職老齢年金による支給停止の仕組みは老齢厚生年金を対象とするものであり、遺族厚生年金には適用されません。妻Bさんが厚生年金保険の被保険者として就労して給与を得たとしても、総報酬月額相当額と基本月額との合計額による支給停止は行われません。
- ②:○
- 遺族基礎年金を受給していた妻が、子の18歳到達年度末日終了等によって遺族基礎年金の受給権を失った際、40歳以上65歳未満であれば、65歳に達するまでの間、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されます。二女Dさんの要件喪失時、妻Bさんは40歳以上65歳未満であるため加算対象となります。
- ③:○
- 所得税法上、公的年金制度に基づく遺族基礎年金や遺族厚生年金などの遺族給付および障害給付は非課税所得と定められており、課税の対象となりません。
覚えるポイント
- 遺族年金および障害年金は非課税所得である(老齢年金は雑所得として課税対象)。
- 在職老齢年金(総報酬月額相当額と基本月額の合計による支給停止)は老齢厚生年金のみに適用される。
間違えやすいところ
- 遺族厚生年金を受給しながら厚生年金に加入して働くと在職老齢年金の仕組みで減額されると勘違いしやすい。
- 中高齢寡婦加算の加算期間が65歳以降も継続すると誤認しやすい(65歳で自身の老齢基礎年金へ切り替わるため終了)。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の公的年金各法および所得税法
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資指標の計算(ROE・PER)
金融資産運用 · ROE / PER / 自己資本当期純利益率 / 株価収益率
設例の<財務データ>および<株価データ>に基づいて算出される、X社およびY社の①ROE(%)と②PER(倍)を求めなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで解答すること。
解答・解説を表示
解答
① X社:10.18(%) Y社:8.33(%)、② X社:11.16(倍) Y社:13.54(倍)
解説
ROE(自己資本当期純利益率)は株主が出資した自己資本を使って企業がどれだけ効率的に利益を上げたかを示す指標です。PER(株価収益率)は株価が1株当たり当期純利益(EPS)の何倍まで買われているかを示し、株価の割高・割安を判断する指標です(時価総額÷当期純利益でも算出可能)。
解き方
- 設例の財務データから、X社・Y社の当期純利益と純資産(自己資本)を抽出し、当期純利益÷自己資本×100によりROEを算出して端数処理を行う。
- 当期純利益を発行済株式数で除して1株当たり当期純利益(EPS)を計算する。
- 株価をEPSで除してPERを算出し、小数点以下第3位を四捨五入して小数点以下第2位まで求める。
答えの内訳
- ① X社:10.18(%)
- ROE(自己資本当期純利益率)= 当期純利益 ÷ 自己資本(純資産) × 100 = 56,000百万円 ÷ 550,000百万円 × 100 = 10.1818...% となり、小数点以下第3位を四捨五入して10.18%となります。
- ① Y社:8.33(%)
- ROE(自己資本当期純利益率)= 当期純利益 ÷ 自己資本(純資産) × 100 = 20,000百万円 ÷ 240,000百万円 × 100 = 8.3333...% となり、小数点以下第3位を四捨五入して8.33%となります。
- ② X社:11.16(倍)
- 1株当たり当期純利益(EPS)= 当期純利益56,000百万円 ÷ 発行済株式数5億株 = 112円。PER(株価収益率)= 株価1,250円 ÷ 112円 = 11.1607...倍 となり、小数点以下第3位を四捨五入して11.16倍となります。
- ② Y社:13.54(倍)
- 1株当たり当期純利益(EPS)= 当期純利益20,000百万円 ÷ 発行済株式数2億株 = 100円。PER(株価収益率)= 株価1,354円 ÷ 100円 = 13.54倍となります。
覚えるポイント
- ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
- PER(倍)= 株価 ÷ 1株当たり当期純利益(EPS)= 時価総額 ÷ 当期純利益
間違えやすいところ
- ROEの計算で、分子に経常利益や営業利益を用いてしまうミスに注意する。
- PERの計算で、EPSを求めずに配当金総額など無関係な数値で除算してしまうミス。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等および標準的な株式投資指標の定義
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資指標および財務分析(PBR・配当利回り・自己資本比率)の正誤判定
金融資産運用 · PBR(株価純資産倍率) / 配当利回り / 自己資本比率
設例の財務データおよび株価データに基づき、ファイナンシャル・プランナーのMさんがAさんに対して説明した以下の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 「PBRは、株価(時価総額)が企業の純資産(自己資本)と比べて割高であるか、割安であるかを判断するための指標です。PBRが1倍を下回るX社株式およびY社株式は割安と判断できます」 ② 「一般に、配当利回りが高いほど、株主に対する利益還元の度合いが高いと考えることができます。Y社株式の配当利回りは50%であり、X社株式の配当利回りを上回ります」 ③ 「一般に、自己資本比率が高いほど、経営の安全性が高いと考えられています。自己資本比率はY社よりもX社のほうが高くなっています」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
投資指標の計算では、株価と純資産を比較するPBR、株価と配当を比較する配当利回り、企業の財務健全性を示す自己資本比率の定義を正しく押さえる必要があります。特に単位(円、%、倍率)や株価と配当金の比率関係を誤認しないことが重要です。
解き方
- 各指標の計算式に設例の数値を代入して正しく計算を実行する(BPS・PBR、配当利回り、自己資本比率)。
- 計算結果を各記述の文面・数値・大小関係と照合して適切・不適切を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株当たり純資産(BPS)または時価総額÷純資産で算出します。X社のBPSは550,000百万円÷5億株=1,100円であり、PBR=1,250円÷1,100円≒1.14倍です。Y社のBPSは240,000百万円÷2億株=1,200円であり、PBR=1,354円÷1,200円≒1.13倍です。両社ともに1倍を超えているため、「1倍を下回る」とする記述は誤りです。
- 小問 ②:×
- 配当利回り=1株当たり年間配当金÷株価×100で算出します。Y社の配当利回りは50円÷1,354円×100≒3.69%です(50%ではありません)。X社の配当利回りは40円÷1,250円×100=3.20%であるため、Y社の方が高い点は合っていますが、「50%」という数値が誤りです。
- 小問 ③:○
- 自己資本比率=自己資本(純資産)÷総資産×100で計算します。X社は550,000百万円÷920,000百万円×100≒59.78%、Y社は240,000百万円÷720,000百万円×100≒33.33%となり、自己資本比率はY社よりもX社の方が高いため適切です。
覚えるポイント
- PBR=株価÷BPS(1株当たり純資産)
- 配当利回り=1株当たり配当金÷株価×100(%)
- 自己資本比率=自己資本÷総資産×100(%)
間違えやすいところ
- 配当利回りの計算において分母と分子を取り違えたり、配当額そのものをパーセントと混同すること。
- PBRの計算で純資産総額と発行済株式数からBPSを正しく求めずに誤算すること。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
NISA制度(一般NISA・つみたてNISA)の仕組みと取扱いの正誤判定
金融資産運用 · 一般NISA / つみたてNISA / 非課税枠
ファイナンシャル・プランナーのMさんがAさんに対して説明した、NISA(少額投資非課税制度)に関する以下の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 「NISA口座で上場株式を購入する場合は、一般NISAを利用してください。つみたてNISA勘定に受け入れることができる対象商品は、所定の要件を満たす公募株式投資信託やETFですので、上場株式をつみたてNISA勘定に受け入れることはできません」 ② 「一般NISAとつみたてNISAは、同一年中において、併用して新規投資等に利用することができませんので、どちらか一方を選択して、利用することになります」 ③ 「2020年度税制改正により、2021年中に一般NISA勘定に新規で受け入れることができる非課税投資枠は、年間120万円から102万円に見直されています」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
少額投資非課税制度(NISA)において、一般NISAとつみたてNISAでは対象商品や非課税投資枠、投資方法が異なります。また、両制度は1年単位での選択制であり同一年内の併用は認められず、法改正の適用時期と枠の推移を正確に把握しておく必要があります。
解き方
- 一般NISAとつみたてNISAの対象商品(上場株式の可否)を確認する。
- 一般NISAとつみたてNISAの併用制限ルール(同一年内の選択制)を確認する。
- 試験基準日時点における一般NISAの年間投資枠(120万円)および税制改正の施行時期を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- つみたてNISAの対象商品は、長期・積立・分散投資に適した一定の要件を満たす公募株式投資信託および上場投資信託(ETF)に限られており、上場株式は対象外です。したがって、上場株式を購入するには一般NISAを利用する必要があるため適切です。
- 小問 ②:○
- 一般NISAとつみたてNISAは選択制であり、同一の年中において両勘定を併用して新規買付けを行うことはできず、年単位でどちらか一方を選択して利用します。
- 小問 ③:×
- 2020年度税制改正におけるNISA制度の見直し(2階建て新NISA等への改組)の施行予定は2024年1月1日以降であり、2021年中の一般NISAの年間非課税投資枠は120万円のままです(102万円への見直しではありません)。
覚えるポイント
- つみたてNISAの投資対象は要件を満たす公募投信・ETFのみで、上場株式は買付け不可。
- 一般NISAとつみたてNISAは年単位の選択制で同一年内の併用不可。
- 当時の一般NISAの年間非課税投資枠は120万円。
間違えやすいところ
- 2020年度税制改正で提示された将来の制度設計(2階建て新NISA、後に新しいNISAへと再改正)と現行の適用年度・投資枠を混同すること。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の金額 / 勤続年数の端数切上げ
会社員Aさん(勤続年数34年9カ月)が受給した退職金2,200万円に係る退職所得の金額を算出する以下の計算式の空欄①~③に入る数値を求めなさい。なお、障害者となったことによる退職ではなく、「退職所得の受給に関する申告書」は提出済みである。 <退職所得控除額> 800万円+( ① )万円×(□□□年-20年)=( ② )万円 <退職所得の金額> (2,200万円-( ② )万円)×□□□=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 70 ② 1,850 ③ 175
解説
退職所得は長年の勤務の対価であるため、担税力に配慮して大きな控除額が認められており、原則として控除後の残額の2分の1に課税されます。勤続年数に1年未満の端数があるときは切り上げて1年として計算します。
解き方
- 勤続年数34年9カ月の端数を切り上げて、勤続年数を35年と判定する。
- 勤続年数20年超の退職所得控除額を「800万円+70万円×(35年-20年)=1,850万円」と計算する。
- 退職金2,200万円から控除額1,850万円を差し引き、2分の1を乗じて「(2,200万円-1,850万円)×1/2=175万円」を算出する。
答えの内訳
- ①:70
- 退職所得控除額の計算において、勤続年数が20年を超える場合、20年を超える部分の1年あたりの控除額は70万円となります。
- ②:1,850
- 勤続年数34年9カ月の端数は切り上げて35年とみなします。退職所得控除額は「800万円+70万円×(35年-20年)=1,850万円」となります。
- ③:175
- 退職所得の金額は「(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2」で計算するため、「(2,200万円-1,850万円)×1/2=175万円」となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の端数は月数にかかわらず1年に切り上げること
- 勤続20年以下の控除は年40万円(最低80万円)、勤続20年超の部分は年70万円であること
間違えやすいところ
- 勤続年数の端数月数を切り捨てて34年として計算してしまう誤り
- 退職所得金額の計算で最後の2分の1を掛け忘れて350万円としてしまうミス
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一時所得の金額および総所得金額の計算
タックスプランニング · 給与所得 / 一時所得 / 損益通算 / 土地等取得負債利子 / 総所得金額
Aさんの2020年分の所得データ(給与収入750万円、不動産所得の損失▲150万円〔うち土地等取得に係る負債の利子10万円〕、変額個人年金保険解約返戻金800万円〔払込保険料500万円・契約期間11年〕、退職金2,200万円)に基づき、次の①・②の金額(万円単位)を求めなさい。 ① 総所得金額に算入される一時所得の金額 ② 総所得金額
解答・解説を表示
解答
① 125(万円) ② 550(万円)
解説
総所得金額は総合課税の対象となる各所得の合計額です。一時所得は特別控除(最高50万円)後の金額の2分の1を算入します。不動産所得の損失は損益通算できますが、土地等の取得に要した負債利子相当分は損益通算の対象から除外されます。また、退職所得は申告分離課税であるため総所得金額には含まれません。
解き方
- 一時所得の金額「800万円-500万円-50万円=250万円」を求め、その1/2である125万円を算出する。
- 給与収入750万円から給与所得控除額「750万円×10%+110万円=185万円」を差し引き、給与所得565万円を算出する。
- 不動産所得の損失▲150万円から損益通算対象外の土地取得負債利子10万円を除外し、損益通算できる損失額を▲140万円とする。
- 分離課税の退職所得を除外したうえで、給与所得565万円、通算後の不動産損失▲140万円、一時所得125万円を合算して総所得金額550万円を算出する。
答えの内訳
- ①:125
- 一時所得の金額は「800万円-500万円-特別控除50万円=250万円」です。総所得金額に算入される金額はその2分の1となるため「250万円×1/2=125万円」となります。
- ②:550
- 給与所得は「750万円×10%+110万円=185万円」を控除して565万円です。不動産所得の損失▲150万円のうち土地等取得負債利子10万円は損益通算できないため控除対象は▲140万円となります。退職所得は分離課税のため含めず、「給与所得565万円-不動産損失140万円+一時所得125万円=550万円」となります。
覚えるポイント
- 不動産所得の赤字のうち、土地等を取得するために要した負債の利子は他の所得と損益通算できないこと
- 退職所得は分離課税であり総所得金額には算入されないこと
間違えやすいところ
- 一時所得の2分の1への換算を忘れて250万円をそのまま合算してしまうミス
- 不動産所得の損失のうち土地取得負債利子10万円を差し引かずに全額通算してしまうミス
- 分離課税である退職所得を総所得金額に加算してしまうミス
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の各種所得控除(配偶者控除・扶養控除)の適用要件と控除額
タックスプランニング · 配偶者控除 / 扶養控除 / 同居老親等 / 特定扶養親族
Aさんの2020年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、それぞれ適切・不適切を判定しなさい。 <家族の状況(2020年12月31日現在)> ・Aさん(60歳):会社員、2020年分の給与収入750万円、退職金2,200万円(申告書提出済)、不動産所得▲150万円(土地利子10万円含む)、一時所得に係る保険金解約返戻金あり。合計所得金額は900万円以下。 ・妻Bさん(53歳):パートタイマー、2020年中の給与収入100万円。 ・長女Cさん(25歳):大学院生、2020年中の収入なし。 ・母Dさん(84歳):2020年中の収入は老齢基礎年金60万円のみ。 ※家族は同居・生計一、障害者等には該当しない。 ① 妻Bさんの合計所得金額は48万円以下であるため、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができる。 ② Aさんが適用を受けることができる長女Cさんに係る扶養控除の控除額は、38万円である。 ③ Aさんが適用を受けることができる母Dさんに係る扶養控除の控除額は、48万円である。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
所得税の扶養控除および配偶者控除は、生計を一にする親族等の合計所得金額が48万円以下である場合に適用されます。扶養控除額は対象親族の年齢や同居関係により異なり、一般の控除対象扶養親族(16歳以上)は38万円、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)は63万円、同居老親等(70歳以上かつ同居)は58万円、別居の老人扶養親族は48万円となります。
解き方
- 妻Bさん、長女Cさん、母Dさんの合計所得金額を計算し、控除対象の要件(48万円以下)を満たしているか確認する。
- 長女Cさん(25歳)および母Dさん(84歳・同居)の区分に応じた扶養控除額を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 妻Bさんの収入は給与収入100万円のみであり、給与所得控除額55万円を差し引いた合計所得金額は45万円となります。48万円以下であり、控除を受けるAさんの合計所得金額も900万円以下であるため、配偶者控除(控除額38万円)の適用を受けることができます。
- 小問 ②:○
- 長女Cさんは25歳であり、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)には該当せず、一般の控除対象扶養親族に該当します。合計所得金額が48万円以下(収入なし)であるため、扶養控除額は38万円となります。
- 小問 ③:×
- 母Dさんは84歳(70歳以上)で同居しているため「同居老親等」に該当します。老齢基礎年金60万円に対する公的年金等控除額は110万円で合計所得金額は0円となり扶養の要件を満たします。同居老親等に係る扶養控除額は48万円ではなく58万円(同居以外の老親等の場合は48万円)です。
覚えるポイント
- 老人扶養親族の控除額:同居老親等は58万円、同居老親等以外(別居)は48万円。
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の控除額は63万円、一般の扶養控除は38万円。
間違えやすいところ
- 同居老親等の控除額58万円と、別居の老人扶養親族の控除額48万円を混同しやすい。
- 大学生・大学院生だからといって無条件に特定扶養親族になるわけではなく、年末時点の年齢(19歳以上23歳未満)で判定することに注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく建築面積の最高限度および延べ面積の最高限度の計算
不動産 · 建蔽率 / 容積率 / 準防火地域 / 耐火建築物 / 前面道路制限
甲土地(地積300㎡、準住居地域、指定建蔽率60%、指定容積率200%、準防火地域、前面道路:北側幅員8m市道、道路幅員乗数4/10)上に耐火建築物を建築する場合における、次の①建蔽率の上限となる建築面積、および②容積率の上限となる延べ面積をそれぞれ求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 210(㎡) ② 600(㎡)
解説
建蔽率は、防火地域内の耐火建築物等または準防火地域内の耐火建築物等・準耐火建築物等について10%の緩和規定が適用されます。容積率は、前面道路の幅員が12m未満である場合、「前面道路幅員×法定乗数」と「都市計画に定められた指定容積率」のうち、いずれか小さいほうが上限となります。
解き方
- 準防火地域内の耐火建築物であるため建蔽率の緩和(+10%)を適用し、最高限度となる建蔽率(60%+10%=70%)に敷地面積300㎡を乗じて建築面積の上限を算出する。
- 前面道路幅員(8m)×乗数(4/10)=320%と指定容積率(200%)を比較し、小さいほうの200%に敷地面積300㎡を乗じて延べ面積の上限を算出する。
答えの内訳
- ①:210(㎡)
- 準防火地域内において耐火建築物を建築する場合、建蔽率の制限が10%緩和されます。したがって、適用される建蔽率は指定建蔽率60%+10%=70%となります。建築面積の上限は、敷地面積300㎡×70%=210㎡です。
- ②:600(㎡)
- 前面道路幅員による容積率の限度は、前面道路幅員8m×法定乗数4/10=32/10=320%となります。指定容積率200%と比較して小さいほうである200%が適用されます。延べ面積の上限は、敷地面積300㎡×200%=600㎡です。
覚えるポイント
- 準防火地域で耐火建築物または準耐火建築物を建築する場合、建蔽率が10%緩和される。
- 前面道路が12m未満の場合、道路幅員×乗数と指定容積率の小さいほうを採用する。
間違えやすいところ
- 準防火地域内の耐火建築物に対する建蔽率10%緩和を適用し忘れて60%(180㎡)としてしまうミス。
- 前面道路制限の計算(320%)と指定容積率(200%)を比較せず、大きいほうを採用してしまうミス。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業用定期借地権方式の特徴・要件・相続税評価
不動産 · 事業用定期借地権 / 公正証書 / 貸宅地評価
大手ドラッグストアのX社が提案する事業用定期借地権方式に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。
- ①
- 事業用定期借地権方式とは、借主であるX社が甲土地を契約で一定期間賃借し、X社が建物を建設する手法である。本方式のメリットとして、土地を手放さずに安定した地代収入を得ることができること、期間満了後は土地が更地となって返還される点などが挙げられる。
- ②
- 事業用定期借地権等は、存続期間が10年以上30年未満の事業用借地権と30年以上50年未満の事業用定期借地権に区別される。事業用定期借地権等の設定契約は、公正証書により作成しなければならない。
- ③
- X社が甲土地にドラッグストアの店舗を建設した場合、相続税額の計算上、甲土地は貸家建付地として評価される。自用地価額1億円、借地権割合60%、借家権割合30%、賃貸割合100%とした場合の甲土地の相続税評価額は8,200万円である。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
定期借地権方式では、土地所有者が土地を貸して借主が建物を建てて事業を行います。相続税評価において、他人の建物の敷地となっている土地は「貸宅地」に区分され、自己が建築した建物を他人に賃貸している「貸家建付地」とは区別して評価されます。
解き方
- 事業用定期借地権方式の仕組みと契約期間・公正証書作成義務の法的要件を確認する。
- 建物の所有者が借地人であるか土地所有者であるかにより、相続税評価上の土地区分(貸宅地か貸家建付地か)を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 事業用定期借地権方式は借地人が建物を建築・所有する手法であり、土地所有者は資金調達リスクを負わずに地代収入を得られ、満了時は更地で返還されます。
- 小問 ②:○
- 借地借家法上の事業用定期借地権等は10年以上30年未満と30年以上50年未満に分類され、設定契約は必ず公正証書によらなければなりません。
- 小問 ③:×
- 借地人が建物を所有する土地は「貸宅地」として評価され、自己所有の建物を貸し付ける「貸家建付地」の計算式を適用するのは誤りです。
覚えるポイント
- 事業用定期借地権等の設定契約は必ず公正証書によらなければならない(書面だけでは不可)。
間違えやすいところ
- 借地人が建物を建てて所有している場合の底地は「貸宅地」であり、「貸家建付地」と混同しないこと。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
不動産 · 空き家の3,000万円特別控除 / 相続税の取得費加算 / 被相続人居住用家屋等確認書
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。
- ①
- 本特例の適用を受けるための要件の1つとして、1981(昭和56)年5月31日以前に建築された家屋であることが挙げられる。実家の建物を取り壊して、甲土地を更地にした場合、本特例の適用を受けることはできないので、本特例の適用を検討しているのであれば、建物は現況の空き家のままにしておく必要がある。
- ②
- 本特例の適用を受けた場合の特別控除の額は最高3,000万円である。本特例と相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(相続税の取得費加算の特例)とは選択適用となるので、有利なほうを選択するようにする。
- ③
- 本特例の適用を受けるためには、確定申告書に被相続人居住用家屋等確認書を添付する必要がある。当該確認書は実家が所在する地域を管轄する法務局に申請し、交付を受ける。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除は、旧耐震基準の空き家家屋を耐震改修して譲渡するか、または家屋を取り壊して更地として譲渡した場合に最高3,000万円を控除できる特例です。適用にあたっては市区町村長から確認書の交付を受ける必要があります。
解き方
- 更地にして譲渡する場合でも本特例の対象となり得る要件を確認する。
- 相続税の取得費加算の特例との重複適用の可否(選択適用)を判定する。
- 申告に必要な「被相続人居住用家屋等確認書」の発行主体(市区町村)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 本特例は耐震基準を満たした建物の譲渡のほか、家屋を取り壊して更地として譲渡する場合にも適用できるため誤りです。
- 小問 ②:○
- 特別控除額は最高3,000万円であり、相続税の取得費加算の特例とは併用できず選択適用となるため適切です。
- 小問 ③:×
- 被相続人居住用家屋等確認書の交付申請先は、対象不動産が所在する市区町村の窓口であり、法務局ではないため誤りです。
覚えるポイント
- 空き家の3,000万円特別控除は、家屋を取り壊して更地で売却しても適用可能。
間違えやすいところ
- 被相続人居住用家屋等確認書の申請交付先は「市区町村」であり、「法務局」や「税務署」ではない点に注意。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
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遺言書の検認・準確定申告・相続税の申告期限
相続・事業承継 · 自筆証書遺言の検認 / 準確定申告の期限 / 相続税の申告期限
被相続人Aさんの相続等に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群から選択しなさい。 Ⅰ「Aさんの相続が開始し、相続人が自宅に保管されていたAさんの自筆証書遺言を発見した場合、相続人は、遅滞なく、自筆証書遺言を( ① )に提出して、その検認を請求しなければなりません」 Ⅱ「Aさんが2020年分の所得税および復興特別所得税について確定申告書を提出しなければならない場合に該当するとき、相続人は、原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ② )カ月以内に準確定申告書を提出しなければなりません」 Ⅲ「Aさんに係る相続税の申告書の提出期限は、原則として、2021年( ③ )になります。申告書の提出先は、Aさんの(死亡時の)住所地を所轄する税務署長です」
- イ
- 3
- ロ
- 4
- ハ
- 10
- ニ
- 公証役場
- ホ
- 家庭裁判所
- ヘ
- 法務局
- ト
- 9月22日(水)
- チ
- 10月22日(金)
- リ
- 11月22日(月)
解答・解説を表示
解答
① ホ ② ロ ③ チ
解説
相続発生後の諸手続には法律上の厳格な期限や手続機関が定められています。遺言書の検認は家庭裁判所で行い、被相続人の所得税準確定申告は相続開始を知った日の翌日から4カ月以内、相続税申告および納付は10カ月以内が期限です。
解き方
- 自筆証書遺言の検認の請求先が家庭裁判所であることを確認する。
- 被相続人に係る準確定申告の申告期限が「相続開始を知った日の翌日から4カ月以内」であることを確認する。
- 2020年12月22日の死亡日の翌日から10カ月後を起算し、相続税の申告期限が2021年10月22日であることを特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ホ
- 自宅等で保管されていた自筆証書遺言を発見した相続人は、遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出して検認を請求しなければなりません(法務局における自筆証書遺言書保管制度を利用している場合を除く)。
- 小問 ②:ロ
- 被相続人が確定申告を要する者であった場合、相続人は相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に準確定申告書を提出・納税しなければなりません。
- 小問 ③:チ
- 相続税の申告書の提出期限は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内です。2020年12月22日の死亡(同日知った場合)の翌日12月23日から起算して10カ月後は2021年10月22日(金)となります。
覚えるポイント
- 自筆証書遺言の検認先は家庭裁判所(法務局保管分を除く)
- 準確定申告は相続開始を知った日の翌日から4カ月以内
- 相続税申告は相続開始を知った日の翌日から10カ月以内
間違えやすいところ
- 準確定申告の4カ月と相続税申告の10カ月、相続放棄等の3カ月を混同しないようにする。
- 遺言書保管法による保管制度を利用していない自宅保管の遺言書は検認が必要である点に注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険金の非課税限度額・遺留分侵害額請求・相続税の2割加算
相続・事業承継 · 死亡保険金の非課税限度額 / 遺留分侵害額請求権の消滅時効 / 相続税の2割加算
被相続人Aさんの相続等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ①「妻Bさんが受け取った死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。妻Bさんが受け取った死亡保険金2,500万円のうち、相続税の課税価格に算入される金額は500万円となります」 ②「長女Dさんが遺留分に相当する財産を受け取ることができない場合、長女Dさんは、長男Cさんに対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができます。遺留分侵害額請求権は、相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に行使しない場合、時効により消滅します」 ③「孫Eさんは、相続税額の2割加算の対象になります」
- ①
- 妻Bさんが受け取った死亡保険金2,500万円のうち、相続税の課税価格に算入される金額は500万円となる。
- ②
- 遺留分侵害額請求権は、相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に行使しない場合、時効により消滅する。
- ③
- 孫Eさんは、相続税額の2割加算の対象になる。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が適用されます。また、遺留分侵害額請求権の消滅時効は侵害を知った時から1年(または相続開始から10年)です。相続税額の2割加算は配偶者および一親等の血族(代襲相続人を含む)以外の者が財産を取得したときに適用されます。
解き方
- 法定相続人の人数を数え(妻B・長男C・長女Dの3人)、保険金の非課税枠(1,500万円)と課税価格算入額(1,000万円)を算出して記述①の正誤を判定する。
- 遺留分侵害額請求権の消滅時効期間が「知った時から1年(相続開始から10年)」であることを確認し、記述②の正誤を判定する。
- 代襲相続人ではない孫への遺贈は一親等の血族に該当せず2割加算の対象となることを確認し、記述③の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 法定相続人は妻B・長男C・長女Dの3人です。生命保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」より500万円×3人=1,500万円となります。したがって課税価格に算入される金額は2,500万円-1,500万円=1,000万円であり、500万円ではありません。
- 小問 ②:×
- 遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間」行使しないときに時効によって消滅します(相続開始の時から10年を経過したときも同様)。3カ月ではありません。
- 小問 ③:○
- 相続税の2割加算の対象者は「一親等の血族(代襲相続人を含む)および配偶者」以外の者です。孫Eさんの親である長男Cさんが存命であるため、孫Eさんは代襲相続人ではなく、遺贈により財産を取得した受遺者であるため2割加算の対象となります。
覚えるポイント
- 生命保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
- 遺留分侵害額請求権の消滅時効=知った時から1年(相続開始から10年で除斥期間)
- 配偶者と一親等の血族(代襲相続人含む)以外の者は相続税2割加算の対象
間違えやすいところ
- 養子縁組していない孫や代襲相続人でない孫は一親等の血族に含まれず2割加算の対象になることを見落とさない。
- 遺留分侵害額請求の時効(1年)と相続放棄・限定承認の熟慮期間(3カ月)を混同しやすいので整理しておく。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の課税価格・基礎控除額および相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 課税価格の計算 / みなし相続財産の非課税限度額 / 遺産に係る基礎控除額 / 相続税の総額
被相続人Aさんの相続において、親族関係図および取得財産等の設例データに基づき、相続税の総額の計算過程における空欄①~④に入る数値を求めなさい。 【計算対象】 ・妻Bさんに係る課税価格:( ① )万円 ・遺産に係る基礎控除額:( ② )万円 ・相続税の総額の基となる税額(長男Cさん):( ③ )万円 ・相続税の総額:( ④ )万円
解答・解説を表示
解答
① 7,000(万円) ② 4,800(万円) ③ 1,790(万円) ④ 8,520(万円)
解説
相続税の総額は、実際の遺産分割割合ではなく、課税遺産総額(課税価格合計額から遺産に係る基礎控除額を控除した額)を各法定相続人が民法上の法定相続分に応じて按分取得したものとみなして各自の税額を計算し、それらを合算して算出します。
解き方
- 各人が取得した財産の価額(みなし相続財産から非課税限度額を控除した額を含む)を算定し、妻Bさんの課税価格および課税価格の合計額を計算する。
- 法定相続人の数を確認し、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を算出して課税遺産総額を求める。
- 課税遺産総額を法定相続分で按分し、各人の法定相続分に応ずる取得金額に速算表の税率・控除額を適用して各税額を算出し、それらを合算して相続税の総額を求める。
答えの内訳
- ①:7,000
- 法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの計3人です。生命保険金および死亡退職金の非課税限度額はそれぞれ「500万円×法定相続人の数=1,500万円」となります。妻Bさんの取得財産のうち、死亡保険金の課税価格は2,500万円-1,500万円=1,000万円、死亡退職金の課税価格は5,000万円-1,500万円=3,500万円です。これに現預金1,000万円、自宅敷地(特例適用後)1,000万円、自宅建物500万円を合算すると、妻Bさんに係る課税価格は1,000万円+1,000万円+500万円+1,000万円+3,500万円=7,000万円となります。
- ②:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの3人(孫Eさんは遺言で取得した受遺者であり代襲相続人ではないため法定相続人には含まれない)であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ③:1,790
- 課税価格の合計額(a)は、妻B(7,000万円)+長男C(2億8,000万円)+長女D(2,000万円)+孫E(1,000万円)=3億8,000万円です。課税遺産総額は3億8,000万円-4,800万円=3億3,200万円となります。長男Cさんの法定相続分は4分の1であるため、法定相続分に応ずる取得金額は3億3,200万円×1/4=8,300万円です。速算表(5,000万円超1億円以下:税率30%、控除額700万円)を適用すると、8,300万円×30%-700万円=1,790万円となります。
- ④:8,520
- 相続税の総額は各法定相続人の税額の合計です。妻Bさんの法定相続分(1/2)に応ずる取得金額は1億6,600万円で、税額は1億6,600万円×40%-1,700万円=4,940万円です。長女Dさんの税額は長男Cさんと同額の1,790万円です。したがって、相続税の総額は4,940万円+1,790万円+1,790万円=8,520万円となります。
覚えるポイント
- 死亡保険金および死亡退職金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」である。
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算する。
- 相続税の総額の計算では、遺言や遺産分割の割合に関わらず、必ず法定相続分で按分して税額を求める。
間違えやすいところ
- 孫Eさんは被相続人の子が健在なため代襲相続人にはならず、法定相続人の数にカウントしないこと。
- 死亡保険金と死亡退職金はそれぞれ別個に「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が適用される点を見落とさないこと。
- 相続税の総額を求める際、実際の財産取得割合で速算表を適用してしまう誤りに注意すること。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2021年1月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

