日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務の概要
公的年金制度の遺族給付(遺族基礎年金および遺族厚生年金)の概要
損保顧客資産相談業務 · 遺族基礎年金 / 遺族厚生年金 / 中高齢寡婦加算 / 短期要件の300月みなし
会社員の夫Aさん(45歳)が死亡した場合に妻Bさん(41歳、子2人)へ支給される公的年金制度の遺族給付に関する次の説明文について、空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を語句群から選択しなさい。 「妻Bさんが受給することができる遺族基礎年金の額は、( ① )円(2020年度価額)となり、長女Cさんの( ② )歳到達年度の末日終了後は、□□□円(2020年度価額)となります。 遺族厚生年金の額は、Aさんの厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の4分の3相当額になります。ただし、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が( ③ )月に満たないときは、( ③ )月とみなして年金額が計算されます。また、二女Dさんの( ② )歳到達年度の末日が終了し、妻Bさんの有する遺族基礎年金の受給権が消滅したときは、妻Bさんが65歳に達するまでの間、妻Bさんに支給される遺族厚生年金の額に( ④ )が加算されます」
- イ
- 18
- ロ
- 20
- ハ
- 22
- ニ
- 300
- ホ
- 360
- ヘ
- 420
- ト
- 781,700
- チ
- 1,006,600
- リ
- 1,231,500
- ヌ
- 経過的寡婦加算
- ル
- 中高齢寡婦加算
- ヲ
- 加給年金
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解答
① リ、② イ、③ ニ、④ ル
解説
遺族基礎年金は生計を維持されていた「子のいる配偶者」または「子」に支給され、子は原則18歳年度末まで対象です。遺族厚生年金の短期要件では被保険者期間が300月未満の場合に300月みなしが適用され、要件を満たす妻には中高齢寡婦加算が行われます。
解き方
- 設例の家族構成(配偶者と子2人)から2020年度価額の遺族基礎年金額(基本額781,700円+子の加算額224,900円×2人=1,231,500円)および子の年齢要件(18歳到達年度末)を特定する。
- 被保険者死亡による短期要件の遺族厚生年金における最低保障月数(300月)および、遺族基礎年金失権後に65歳まで上乗せされる給付名称(中高齢寡婦加算)を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:リ
- 2020年度の遺族基礎年金の基本額は781,700円、第1子・第2子の加算額は各224,900円です。子2人のため「781,700円+224,900円×2=1,231,500円」となります。
- 小問 ②:イ
- 遺族基礎年金における「子」とは、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない者(または一定の障害状態にある20歳未満の者)を指します。
- 小問 ③:ニ
- 被保険者期間中の死亡等による遺族厚生年金(短期要件)では、厚生年金保険の被保険者期間が300月未満の場合、300月とみなして報酬比例部分を計算します。
- 小問 ④:ル
- 遺族厚生年金を受給する妻が40歳以上65歳未満で子の加算要件を満たさなくなった場合等に、65歳到達まで加算される給付は中高齢寡婦加算です。
覚えるポイント
- 遺族基礎年金の子の要件は原則18歳到達年度末まで。
- 短期要件の遺族厚生年金は被保険者期間が300月未満なら300月みなしが適用される。
- 中高齢寡婦加算は要件を満たす妻が40歳以上65歳未満の期間に支給される。
間違えやすいところ
- 子の加算対象を20歳未満と混同しないようにする(障害状態にない通常の子は18歳年度末まで)。
- 300月みなしの対象期間を老齢厚生年金の受給資格期間(25年・300月)や受給月数と混同しないようにする。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令・年金額基準
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族厚生年金の年金額の計算(短期要件・300月みなし)
損保顧客資産相談業務 · 遺族厚生年金 / 報酬比例部分の計算 / 短期要件 / 中高齢寡婦加算
夫Aさんが現時点(2020年9月13日)で死亡した場合に妻Bさんが受給できる遺族厚生年金の年金額を求める下記の<計算式>の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 <計算式> ・遺族厚生年金の年金額 (□□□円 × 7.125/1,000 ×( ① )月 + □□□円 × 5.481/1,000 × □□□月)× □□□月 /( ② )月 × 3/4 =( ③ )円(円未満四捨五入)
解答・解説を表示
解答
① 60、② 269、③ 445,057
解説
厚生年金保険の被保険者期間中の死亡等による遺族厚生年金の額は、死亡した者の厚生年金記録に基づく老齢厚生年金の報酬比例部分の額の4分の3相当額です。被保険者期間が300月未満の場合は「300/実被保険者期間月数」を乗じて300月みなしの補正計算を行います。
解き方
- 設例の資料から2003年3月以前の被保険者期間(60月)と2003年4月以後の被保険者期間(209月)を確認し、実被保険者期間の合計月数(269月)を計算して空欄①および②に当てはめる。
- 与えられた乗率(7.125/1,000および5.481/1,000)を用いて報酬比例部分の基礎額を算出し、300/269を乗じて300月換算を行う。
- 換算後の金額に3/4を乗じ、最後に円未満を四捨五入して空欄③の年金額を算出する。
答えの内訳
- ①:60
- 2003年3月以前の厚生年金保険被保険者期間は資料より「60月」です。
- ②:269
- Aさんの厚生年金保険の実期間の合計月数は、2003年3月以前の60月と2003年4月以後の209月を合計した「269月」です。
- ③:445,057
- 2003年3月以前分:280,000円×(7.125/1,000)×60月=119,700円。2003年4月以後分:360,000円×(5.481/1,000)×209月=412,390.44円。報酬比例合計:119,700円+412,390.44円=532,090.44円。300月みなし計算:532,090.44円×300/269=593,409.412...円。4分の3乗算:593,409.412...円×3/4=445,057.059...円。円未満を四捨五入して「445,057円」となります。
覚えるポイント
- 遺族厚生年金の報酬比例部分は、2003年3月以前(平均標準報酬月額×7.125/1000×月数)と2003年4月以後(平均標準報酬額×5.481/1000×月数)に分けて計算する。
- 短期要件で実月数が300月未満の場合、計算式全体に「300/実被保険者月数」を乗じて300月に引き上げる。
間違えやすいところ
- 国民年金納付済期間(34月)を厚生年金保険の被保険者月数に合算してしまうミス。
- 最後に3/4を掛け忘れて老齢厚生年金の報酬比例部分相当額のまま解答してしまうミス。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令・年金額基準
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金からの遺族給付の支給時期・在職支給停止・課税関係
ライフプランニングと資金計画 · 遺族基礎年金 / 遺族厚生年金 / 年金の支給月 / 在職老齢年金 / 非課税所得
会社員の夫が死亡した場合における遺族年金の受給ルールに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 遺族基礎年金および遺族厚生年金は、原則として、毎年2月、4月、6月、8月、10月および12月の偶数月に、それぞれの前月までの2カ月分が支給される。 ② 仮に、妻が遺族厚生年金の受給後に厚生年金保険の被保険者として勤務した場合、翌年の遺族厚生年金の支給が停止される。 ③ 遺族基礎年金および遺族厚生年金は、雑所得として総合課税の対象となるが、公的年金等控除の適用を受けることができる。
- ①
- 遺族基礎年金および遺族厚生年金は、原則として、毎年2月、4月、6月、8月、10月および12月の偶数月に、それぞれの前月までの2カ月分が支給される。
- ②
- 仮に、妻が遺族厚生年金の受給後に厚生年金保険の被保険者として勤務した場合、翌年の遺族厚生年金の支給が停止される。
- ③
- 遺族基礎年金および遺族厚生年金は、雑所得として総合課税の対象となるが、公的年金等控除の適用を受けることができる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
公的年金制度における遺族給付は、生計維持者の死亡によって遺族が受ける経済的困窮を防ぐ目的を持つため、税制上は全額非課税とされ、在職就労に伴う年金額の減額支給停止も行われません。
解き方
- 年金の一般的な給付サイクル(原則として年6回の偶数月、前月までの2カ月分支給)を確認する。
- 在職老齢年金制度の適用対象が老齢給付に限られ、遺族給付や障害給付には適用されない点を確認する。
- 公的年金等の課税区分において、老齢年金は雑所得(公的年金等控除対象)であるのに対し、遺族年金・障害年金は非課税である点を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 公的年金の支払期月は原則として偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の15日であり、各支払期月においてその前月までの2カ月分が支給されるため適切です。
- 小問 ②:×
- 厚生年金保険の被保険者として働きながら受給する場合に支給停止の対象となるのは老齢厚生年金(在職老齢年金)であり、遺族厚生年金には在職による支給停止の仕組みはありません。
- 小問 ③:×
- 遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)や障害年金は、受給者の生活保障の観点から所得税法上非課税所得とされており、雑所得として課税されることはありません。
覚えるポイント
- 遺族年金と障害年金は全額非課税であり、確定申告や公的年金等控除の対象外となること。
- 公的年金は偶数月の15日に支払われ、前月までの2か月分がまとめて支給されること。
間違えやすいところ
- 老齢年金が雑所得(課税対象)であることと混同し、遺族年金にも課税や控除が適用されると誤認しやすい。
- 被保険者として勤務すると年金が停止される「在職老齢年金」の仕組みが遺族厚生年金にも適用されると勘違いしやすい。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令(国民年金法、厚生年金保険法、所得税法)
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の支払限度額および重大な過失による減額
リスク管理 · 自賠責保険 / 支払限度額 / 重過失減額 / 対人賠償
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、〈数値群〉の中から選びなさい。 「自賠責保険は、自動車損害賠償保障法の規定によって、原則として、すべての車に加入が義務付けられています。自賠責保険における被害者1人当たりの保険金の支払限度額は、死亡の場合で( ① )万円、傷害の場合で( ② )万円です。また、後遺障害の場合は障害の程度に応じて最高で4,000万円が支払われます。 なお、自賠責保険では、被害者に重大な過失がある場合、損害賠償額が減額される仕組みがあります。具体的には、下記の<表>のとおり、被害者の過失割合が( ③ )割以上の場合、その過失割合に応じて、積算した損害額が保険金額に満たない場合には積算した損害額から、保険金額以上となる場合には保険金額から減額されます」 <表(一部抜粋)> ・( ③ )割未満:減額なし ・( ③ )割以上 8割未満:2割減額 〈数値群〉 イ.5 ロ.6 ハ.7 ニ.100 ホ.120 ヘ.150 ト.2,000 チ.2,500 リ.3,000
- イ
- 5
- ロ
- 6
- ハ
- 7
- ニ
- 100
- ホ
- 120
- ヘ
- 150
- ト
- 2,000
- チ
- 2,500
- リ
- 3,000
解答・解説を表示
解答
① リ ② ホ ③ ハ
解説
自動車損害賠償保障法に基づく自賠責保険は、人身事故における被害者救済を主目的とした強制保険です。被害者の損害に対して法定の支払限度額が設定されており、被害者に7割以上の重大な過失がある場合に限り過失相殺に準ずる減額措置が行われます。
解き方
- 自賠責保険の被害者1人当たりの補償限度額(傷害120万円、死亡3,000万円、後遺障害最高4,000万円)を整理する。
- 被害者救済の観点から設けられている重過失減額制度の適用基準(被害者の過失割合が7割以上で減額対象)を確認する。
- 提示された数値群の中から該当する数値(3,000万円=リ、120万円=ホ、7割=ハ)を選出する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:リ
- 自賠責保険における被害者1人当たりの支払限度額は、死亡事故の場合3,000万円(記号リ)となります。
- 小問 ②:ホ
- 自賠責保険における被害者1人当たりの支払限度額は、傷害事故の場合120万円(記号ホ)となります。
- 小問 ③:ハ
- 自賠責保険の重過失減額では、被害者の過失割合が7割(70%、記号ハ)未満の場合は減額されず全額補償され、7割以上となった場合に過失割合に応じた減額が適用されます。
覚えるポイント
- 自賠責保険の被害者1人当たり支払限度額:傷害120万円、死亡3,000万円、後遺障害最高4,000万円(常時介護等を要する場合)。
- 自賠責保険の重過失減額は、被害者の過失が7割以上の場合にのみ適用され、7割未満では減額されないこと。
間違えやすいところ
- 一般の民事上の過失相殺(過失割合に応じて全額から減額)と自賠責保険の重過失減額(7割未満は減額なし)を混同しやすい。
- 死亡の限度額3,000万円と、後遺障害(要介護)の最高限度額4,000万円を取り違えてしまう。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の自動車損害賠償保障法および自動車損害賠償責任保険の支払基準
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自動車損害賠償責任保険および自動車保険の商品性
損害保険 · 自賠責保険の仕組み / 自動車保険の補償範囲 / ノンフリート等級制度 / 車両保険の補償タイプ
自賠責保険および任意自動車保険の商品性や制度に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 自賠責保険の保険料は、損害保険会社による差異はなく、運転者の年齢と保険期間に応じて定められている。 ② 自賠責保険は対人賠償が補償対象であり、自身のケガや車両損害などは補償されないため、自動車保険の手当てが推奨される。 ③ 初めて自動車を購入して自動車保険に加入する場合、ノンフリート等級は6等級(6S)が適用され、対人・対物賠償の保険事故があった場合は1等級下がる。 ④ 車両保険において「車対車+A」や「エコノミー」等の限定補償型では、単独事故(自損事故)や当て逃げによる損害は補償対象外となる。
- ①
- 自賠責保険の保険料は、締結する損害保険会社による差異はなく、運転者の年齢と保険期間に応じて定められています。
- ②
- 自賠責保険は、対人賠償が補償の対象となり、Aさん自身のケガや自動車の車両の損害などは、自賠責保険では補償されませんので、自動車保険を契約するようにしてください。
- ③
- 初めて自動車を購入し、自動車保険に加入する場合、ノンフリート等級は6等級(6S)が適用されます。1年間保険事故がなかった場合、等級は1つ上がり、対人賠償や対物賠償の保険事故があった場合は等級が1つ下がります。
- ④
- 車両保険は、契約条件により、対象となる事故の範囲が異なります。保険会社により呼称は異なりますが、『車対車+A』や『エコノミー』では、単独事故(ガードレール等に衝突、車庫入れに失敗など)や当て逃げされたことによる損害は補償の対象となりません。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ × ④ ○
解説
自賠責保険は対人賠償に特化した強制保険であり、運転者の年齢区分はなく一律の基準料率が適用されます。一方、任意自動車保険は自賠責保険でカバーできない対物賠償・人身傷害・車両損害等を補償し、等級制度(事故時は原則3等級ダウン)や各種補償範囲の限定特約によってリスクに応じた契約設計を行います。
解き方
- 自賠責保険の補償対象(対人のみ)および保険料決定要素(車種・地域・期間で年齢は問わない)を確認する。
- 任意自動車保険の等級制度における事故発生時の等級ダウン幅(対人・対物事故は3等級ダウン)を確認する。
- 車両保険のタイプ別の補償範囲(一般条件とエコノミー型の補償対象の違い)を照合して各正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 自賠責保険の保険料は保険会社ごとの差異はありませんが、自動車の車種区分や使用地域、保険期間等に応じて定められており、運転者の年齢による区分はありません。
- 小問 ②:○
- 自賠責保険は人身事故による被害者の救済を目的とした対人賠償のみを補償対象としており、運転者自身のケガや自車の車両損害、相手の物的損害は補償されません。
- 小問 ③:×
- 対人賠償保険や対物賠償保険を使用する事故は「3等級ダウン事故」に該当するため、事故があった翌年度のノンフリート等級は1等級ではなく3等級下がります。
- 小問 ④:○
- 「車対車+A」や「エコノミー型」などの限定危険タイプの車両保険では、相手が特定できない当て逃げや、電柱・ガードレール衝突等の単独事故(自損事故)は補償対象外となります。
覚えるポイント
- 自賠責保険料は「車種・地域・期間」で決定され、年齢条件は存在しない
- 対人・対物賠償の保険金支払いは原則として「3等級ダウン事故」となる
間違えやすいところ
- 任意保険の年齢条件特約と混同して自賠責保険にも年齢区分があると誤認しやすい
- 事故による等級低下を「一律1等級ダウン」と誤解しやすいが、対人・対物事故は3等級ダウンである
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令・標準約款基準
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人賠償責任補償および自転車事故への備え
損害保険 · 自転車損害賠償責任保険等の義務化条例 / 個人賠償責任保険の付帯方法 / TSマーク付帯保険 / 不法行為責任と不可抗力
個人賠償責任の補償および自転車事故への備えに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 2020年4月1日より、すべての自治体で自転車利用者に自転車保険等の加入が一律に義務付けられた。 ② 自転車事故による損害賠償への備えとして、単体の自転車保険のほか、火災保険や自動車保険への個人賠償責任特約の付帯、普通自転車のTSマーク付帯保険を活用する方法がある。 ③ 強風で自宅の瓦が飛散して隣家に損害を与えた場合、自宅の管理状態にかかわらず通常は法律上の賠償責任が発生するため、個人賠償責任特約での備えが推奨される。
- ①
- 2020年4月1日より、すべての自治体で自転車利用者に自転車保険等の加入が義務付けられました。自転車利用中の事故により、高額な賠償責任を負うケースがありますので、賠償事故に備える保険や共済へ加入しましょう。
- ②
- 自転車事故により法律上の賠償責任を負ったことによる損害に備える方法として、自転車保険に加入するほかに、火災保険や自動車保険に個人賠償責任(補償)特約を付帯する方法や、自転車安全整備士が点検確認した普通自転車に貼付されるTSマーク(自転車向け保険)で備える方法があります。
- ③
- 個人賠償責任(補償)特約では、偶然な事故により他人の身体や財物に損害を与えて法律上の賠償責任を負ったことによる損害に保険金が支払われます。強風で自宅の瓦が飛ばされ、隣家に損害を与えてしまった場合、自宅の管理状態にかかわらず、通常、法律上の賠償責任が発生するため、当該特約で備えることをお勧めします。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
個人賠償責任補償は、日常生活上の偶然な事故により他人の生命・身体・財物に損害を与え、民法上の不法行為責任(法律上の損害賠償責任)を負った場合に損害を補償します。不可抗力による自然災害で建物管理に瑕疵がない場合は損害賠償責任自体が成立しません。また自転車保険の義務化は各自治体の条例に基づくため、自治体ごとに義務・努力義務・未制定等の差異があります。
解き方
- 自転車保険の加入義務化が国の法令ではなく地方自治体の条例ごとに制定されている点を確認する。
- 自転車事故による賠償責任を担保する手段(火災・自動車保険の個人賠償責任特約、TSマーク)の有効性を確認する。
- 民法上の工作物責任において、不可抗力かつ管理瑕疵がない場合に損害賠償責任が発生するかどうかを法理に基づき判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 自転車損害賠償責任保険等への加入義務付けは各地方自治体の条例で定められており、全国すべての自治体で一律に加入義務化されているわけではありません。
- 小問 ②:○
- 自転車事故の損害賠償責任には、単体の自転車保険だけでなく、火災保険や自動車保険に付帯する個人賠償責任特約や、点検整備時に貼付されるTSマーク付帯保険で備えることができます。
- 小問 ③:×
- 自然災害(強風等)で瓦が飛散した場合、建物の維持・管理に瑕疵(過失)がなければ不可抗力として法律上の損害賠償責任は発生しないため、「管理状態にかかわらず責任が発生する」とする点は誤りです。
覚えるポイント
- 自転車保険加入の義務化は自治体の条例によるもので全国一律ではない
- 自然災害による飛来物損害は建物の維持管理に瑕疵がなければ法律上の賠償責任を負わない
間違えやすいところ
- 自宅の瓦が飛んで他人に被害を与えたら常に無過失・不可抗力でも賠償責任を負うと誤解しやすい
- 自転車保険は単体商品でしか加入できないと思い込み、火災保険や自動車保険の特約・TSマークの存在を見落としやすい
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令基準
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金に係る退職所得控除額および退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得 / 退職所得控除額 / 勤続年数の端数処理
建設業を営むX社の創業社長であるAさん(役員在任期間30年3カ月)が退任し、役員退職金として5,000万円が支給された。これ以外に退職手当等の収入はなく、障害者となったことが退職の直接原因ではない場合における、退職所得控除額および退職所得の金額の計算式中の空欄①~③に入る数値を求めなさい。 <退職所得控除額> 800万円+( ① )万円×(□□□年-20年)=( ② )万円 <退職所得の金額> (5,000万円-( ② )万円)×□□□=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 70(万円)、② 1,570(万円)、③ 1,715(万円)
解説
退職所得は長年の勤労に対する報償的な性質を持つため税制上の優遇措置が大きく、勤続年数に応じた退職所得控除額を差し引いた後の金額の2分の1に課税されます。また、勤続年数に1年未満の端数がある場合は切り上げて1年として計算します。
解き方
- 勤続年数(役員在任期間)30年3カ月の1年未満の端数を切り上げ、31年として算出する。
- 勤続年数20年超の算式「800万円+70万円×(31年-20年)」を適用し、退職所得控除額1,570万円を計算する。
- 収入金額5,000万円から控除額1,570万円を差し引き、1/2を乗じて退職所得の金額1,715万円を求める。
答えの内訳
- ①:70
- 勤続年数が20年を超える場合の退職所得控除額の計算式は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」であるため、空欄①には70が入ります。
- ②:1,570
- 役員在任期間は30年3カ月であり、1年未満の端数は切り上げて勤続年数は31年となります。控除額は「800万円+70万円×(31年-20年)=1,570万円」となります。
- ③:1,715
- 退職所得の金額は「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」で計算します。(5,000万円-1,570万円)×1/2=1,715万円となります。
覚えるポイント
- 退職所得控除額は勤続20年以下が40万円×年数(最低80万円)、20年超は800万円+70万円×(年数-20年)。
- 勤続年数の端数は月数にかかわらず切り上げて1年とする。
間違えやすいところ
- 役員在任期間30年3カ月の端数を切り捨てて30年として計算してしまう誤り。
- 退職所得控除額を差し引いた後に2分の1を掛け忘れてしまう計算ミス。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
労働災害総合保険の商品性・保険料処理・労災認定
損害保険 · 労働災害総合保険 / 法定外補償保険 / 使用者賠償責任保険 / 損金算入
X社が加入を検討している労働災害総合保険の商品内容等に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 労働災害総合保険は、労働者災害補償保険(政府労災保険)の上乗せ補償を目的とした「法定外補償保険」と、労働災害により使用者が法律上の損害賠償責任を負うことによる損害を補償する「使用者賠償責任保険」の2つの補償から構成されており、いずれか一方のみに加入することはできません。 ② 労働災害総合保険には、契約時に平均被用者数や賃金総額の見込額に基づき算出された暫定保険料を支払い、保険期間終了後に実際の数値に基づき算出された確定保険料との差額を精算する契約方式があります。 ③ 労働災害総合保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができます。 ④ 労働災害総合保険における労働災害の認定および後遺障害の等級については、労働者災害補償保険(政府労災保険)の認定に従うことになります。
- ①
- 労働災害総合保険は、法定外補償保険と使用者賠償責任保険のいずれか一方のみに加入することはできない。
- ②
- 契約時に見込額に基づく暫定保険料を支払い、保険期間終了後に確定保険料と精算する契約方式がある。
- ③
- 労働災害総合保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。
- ④
- 労働災害の認定および後遺障害の等級は、政府労災保険の認定に従うこととなる。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ○、④ ○
解説
労働災害総合保険は、労災事故に対して政府労災保険に上乗せして給付を行う「法定外補償」と、安全配慮義務違反等で使用者が負う損害賠償リスクを補償する「使用者賠償責任」を組み合わせた保険です。契約方式や税務上の損金算入要件、政府労災との関係性が問われます。
解き方
- 記述①:法定外補償保険と使用者賠償責任保険はそれぞれ単独でも加入可能であるため、不適切(×)と判断する。
- 記述②:見込額で暫定保険料を支払い、期末に確定精算する方式があるため、適切(○)と判断する。
- 記述③:法人が負担した保険料は全額が損金算入できるため、適切(○)と判断する。
- 記述④:労災認定や後遺障害等級は政府労災の決定に連動するため、適切(○)と判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 労働災害総合保険は「法定外補償保険」と「使用者賠償責任保険」の2つの補償で構成されていますが、企業のニーズに合わせていずれか一方のみを選択して単独加入することも可能です。
- 小問 ②:○
- 労働災害総合保険の保険料算出方法には、契約時に見込人数や賃金総額で暫定保険料を払い込み、保険期間終了後に確定数値に基づき精算を行う方式が存在します。
- 小問 ③:○
- 企業が従業員のために支払った労働災害総合保険の保険料は、事業運営上の必要経費として全額を損金の額に算入することができます。
- 小問 ④:○
- 労働災害総合保険における業務上・通勤災害の認定および後遺障害等級の決定は、原則として政府労災保険(労働者災害補償保険)の認定結果に従って行われます。
覚えるポイント
- 労働災害総合保険の構成部分(法定外補償と使用者賠償責任)は単独加入も可能。
- 法人が支払う保険料は全額損金算入が可能。
- 労災事故の認定や後遺障害等級は政府労災保険の認定に従う。
間違えやすいところ
- 法定外補償保険と使用者賠償責任保険のセット加入が必須であると誤認してしまうこと。
- 損害保険会社が独自に後遺障害の等級認定を行うと誤認してしまうこと。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令・保険実務規定に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人の事業活動に伴う損害保険の補償内容
リスク管理 · 生産物賠償責任保険 / 請負業者賠償責任保険 / 会社役員賠償責任保険
建設業を営むX社に対する損害保険のアドバイスに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を付けなさい。 ① 「生産物賠償責任保険(PL保険)に加入することにより、顧客から受注して設置した看板が落下し、通行人がケガをして、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害に備えることができます」 ② 「請負業者賠償責任保険に加入することにより、住宅等の建設工事において工事期間中における火災、爆発、落雷等の不測かつ突発的な事故によって工事の目的物について生じる損害に備えることができます」 ③ 「会社役員賠償責任保険(D&O保険)に加入することにより、被保険者である会社役員が役員の業務に係る行為に起因して損害賠償請求がなされたことにより被る法律上の損害賠償金や争訟費用等を支払うことによる損害に備えることができます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
企業向け損害保険では、他者に対する法律上の損害賠償責任を補償する賠償責任保険と、自社や工事の目的物そのものの物的損害を補償する物損保険を正確に区別することが重要です。また賠償責任保険においても、作業遂行中の事故か引き渡し後の完成物の欠陥による事故かによって適用される保険種目が異なります。
解き方
- 記述①について、看板の設置工事完了・引き渡し後の事故であり、仕事の結果に起因する対人賠償であるため生産物賠償責任保険の対象となるかを判断する。
- 記述②について、請負業者賠償責任保険が補償する損害賠償責任と、工事目的物自体の損害を補償する建設工事保険の対象範囲を照らし合わせて正誤を判定する。
- 記述③について、会社役員賠償責任保険の補償範囲(役員個人の損害賠償金・争訟費用等)と記述の内容が合致しているか確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 生産物賠償責任保険(PL保険)は、製造・販売した製品や引き渡した仕事の結果に起因して他人の身体や財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を補償します。設置工事完了後に引き渡した看板が落下して通行人がケガをした事故は、引き渡した仕事の結果に起因する事故であるため補償の対象となります。
- 小問 ②:×
- 請負業者賠償責任保険は、請負工事の作業遂行中や施設の管理に起因して他人の身体・財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を補償する保険です。工事期間中の火災や爆発等により工事の目的物自体に生じた損害は、建設工事保険の補償対象であり、請負業者賠償責任保険では補償されません。
- 小問 ③:○
- 会社役員賠償責任保険(D&O保険)は、会社役員が業務遂行に伴う行為に起因して株主や第三者等から損害賠償請求を受けた場合に被る法律上の損害賠償金や、訴訟に対応するための争訟費用(弁護士費用等)を補償する保険です。
覚えるポイント
- 生産物賠償責任保険(PL保険)は製品や引き渡し後の仕事の結果による事故を補償する。
- 請負業者賠償責任保険は作業遂行中の第三者への賠償事故を補償し、目的物自体の損害は対象外(建設工事保険の対象)となる。
- 会社役員賠償責任保険(D&O保険)は役員の業務上の行為に起因する賠償責任や争訟費用を補償する。
間違えやすいところ
- 請負業者賠償責任保険と建設工事保険の補償対象を取り違えて、工事目的物の物損事故も請負業者賠償責任保険で補償されると誤認しやすい。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の配偶者控除および扶養控除の計算
タックスプランニング · 配偶者控除 / 扶養控除 / 同居老親等
Aさんの2020年分の所得税の計算における所得控除に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、〈数値群〉のなかから選び、その記号を答えなさい。 Ⅰ 「Aさんの合計所得金額は900万円以下であるため、Aさんは( ① )万円の配偶者控除の適用を受けることができます。仮に、Aさんの合計所得金額が900万円を超えると、配偶者控除の額は段階的に縮小し、合計所得金額が( ② )万円を超えると、適用を受けることができません」 Ⅱ 「母Eさんは、老人扶養親族に該当します。Aさんが適用を受けることができる母Eさんに係る扶養控除の額は( ③ )万円になります」 〈数値群〉 イ.26 ロ.38 ハ.48 ニ.58 ホ.63 へ.1,000 ト.1,200 チ.2,000
- イ
- 26
- ロ
- 38
- ハ
- 48
- ニ
- 58
- ホ
- 63
- へ
- 1,000
- ト
- 1,200
- チ
- 2,000
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ヘ ③ ニ
解説
所得税の人的控除において、配偶者控除は控除を受ける納税者本人の合計所得金額による所得制限が設けられており、900万円超で逓減し1,000万円超で適用対象外となります。また、扶養控除では扶養親族の年齢区分(一般、特定、老人)や同居の有無(同居老親等か否か)によって控除額が異なります。
解き方
- 納税者本人の合計所得金額が900万円以下であるときの配偶者控除の額(38万円)と、控除が受けられなくなる所得要件の上限(1,000万円超)を確認する。
- 母Eさんの年齢(74歳)と所得(年金収入60万円、公的年金等控除後0円)から老人扶養親族に該当することを確認する。
- 母EさんはAさんと同居しているため「同居老親等」に該当し、扶養控除額が58万円となることを確認して数値を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 控除対象配偶者(合計所得金額48万円以下)を有する納税者の合計所得金額が900万円以下である場合、配偶者控除の適用額は一般の控除額である38万円となります。
- 小問 ②:へ
- 配偶者控除は納税者の合計所得金額に応じて控除額が逓減し、合計所得金額が1,000万円を超えると適用を受けることができなくなります。
- 小問 ③:ニ
- 母Eさん(74歳)は70歳以上で合計所得金額が48万円以下(老齢基礎年金60万円から公的年金等控除60万円を控除すると0円)であるため老人扶養親族に該当します。さらにAさんと同居しているため「同居老親等」に該当し、扶養控除額は58万円となります。
覚えるポイント
- 配偶者控除の所得制限:納税者の合計所得金額が900万円以下は38万円、900万円超950万円以下は26万円、950万円超1,000万円以下は13万円、1,000万円超は適用なし。
- 扶養控除の額:一般扶養親族(16歳以上)38万円、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)63万円、老人扶養親族(70歳以上)同居老親等58万円・同居老親等以外48万円。
間違えやすいところ
- 母が70歳以上の老人扶養親族である場合、同居している同居老親等(58万円)と同居老親等以外(48万円)を取り違えやすい。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の課税・損益通算・所得控除の判定
タックスプランニング · 不動産所得の損益通算 / 一時払変額個人年金保険の課税関係 / 扶養控除の対象要件
Aさんの2020年分の所得税の課税等に関する次の記述①~③について、それぞれ適切・不適切を判定しなさい。 ① 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、土地の取得に要した負債の利子20万円に相当する部分の金額は、Aさんの給与所得の金額と損益通算することができない。 ② 一時払変額個人年金保険の解約返戻金は、契約から10年以内の解約のため、源泉分離課税の対象となる。 ③ Aさんは二女Dさんに係る扶養控除の適用を受けることができる。二女Dさんに係る扶養控除の額は38万円となる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
所得税の計算において、不動産所得の損失における土地負債利子は損益通算から除外され、保険解約差益は契約期間や保険商品性によって一時所得か源泉分離課税かが分かれ、扶養控除は年齢要件(16歳以上)によって適用可否が定まります。
解き方
- 不動産所得の損失のうち、土地取得のための負債利子部分が損益通算から除外される規定を確認する。
- 変額個人年金保険の契約期間(2012年8月から2020年=約8年)が5年を超えているため一時所得(総合課税)となることを確認する。
- 二女Dさんの年齢(15歳)が扶養控除の対象(16歳以上)を満たさないことを確認する。
答えの内訳
- ①:○
- 不動産所得の金額の計算上生じた損失のうち、土地を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額は、租税特別措置法により損益通算の対象外とされています。したがって、本問の20万円は給与所得と損益通算することができません。
- ②:×
- 契約から5年超経過して解約した場合の一時払変額個人年金保険の解約返戻金差益は、源泉分離課税ではなく総合課税の一時所得として扱われます(契約年月2012年8月、解約2020年で約8年経過)。金融類似商品として20.315%の源泉分離課税となるのは、契約日から5年以内に解約した場合等です。
- ③:×
- 扶養控除の対象となる扶養親族は、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の親族に限られます。二女Dさんは15歳(中学生)であるため、年少扶養親族に該当し扶養控除の適用対象外です。
覚えるポイント
- 不動産所得の損失のうち土地取得負債利子部分は損益通算できない
- 扶養控除の対象となる控除対象扶養親族は16歳以上である
間違えやすいところ
- 一時払養老保険や変額保険の解約差益について、源泉分離課税となる期間(5年以内)と一時所得となる期間(5年超)を混同しやすい。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一時所得および総所得金額の計算
タックスプランニング · 給与所得控除 / 一時所得の特別控除 / 損益通算 / 総所得金額の計算
設例の資料に基づいて、Aさんの2020年分の所得金額について、次の①、②を求めなさい(万円単位)。 ① 総所得金額に算入される一時所得の金額 ② 総所得金額
解答・解説を表示
解答
① 25(万円) ② 500(万円)
解説
一時所得は同一年中の対象取引の総収入金額から支出金額の合計を差し引き、さらに最高50万円の特別控除額を引いた金額の2分の1を総所得金額に算入します。総所得金額の算出では、不動産所得等の損益通算の制限(土地負債利子の除外)に留意して各所得を合算します。
解き方
- 一時所得の計算:総収入金額(620万円+480万円=1,100万円)-支出金額(500万円+500万円=1,000万円)=100万円。特別控除後の一時所得の金額=100万円-50万円=50万円。総所得金額算入額=50万円×1/2=25万円。
- 給与所得の計算:給与収入750万円に対する給与所得控除額=750万円×10%+110万円=185万円。給与所得=750万円-185万円=565万円。
- 不動産所得の損益通算:損失▲110万円から土地負債利子20万円を除外した▲90万円を給与所得565万円と損益通算し、475万円とする。
- 総所得金額の合算:給与所得等通算後(475万円)+一時所得の1/2(25万円)=500万円。
答えの内訳
- ①:25(万円)
- 一時払変額個人年金保険の解約返戻金620万円と一時払保険料500万円により、差益は120万円となります。一時払終身保険の解約返戻金480万円と一時払保険料500万円は損失(▲20万円)ですが、一時所得内部での通算が可能です。一時所得の総収入金額は620万円、支出金額は500万円(終身保険は収入480万円・支出480万円とみなし差益ゼロ、または(620万円-500万円)+(480万円-480万円)=120万円。なお一時所得の損失は他の所得とは通算できずゼロ)。一時所得の金額=120万円-特別控除50万円=70万円。総所得金額に算入される金額はその2分の1であるため、70万円×1/2=35万円…ではなく、終身保険の支出500万円全額を引いて(620万円+480万円)-(500万円+500万円)=100万円、100万円-50万円=50万円、50万円×1/2=25万円となります。
- ②:500(万円)
- 給与収入750万円に対する給与所得控除額は750万円×10%+110万円=185万円、給与所得金額は750万円-185万円=565万円。不動産所得の損失▲110万円のうち、土地負債利子20万円を除く▲90万円が損益通算可能となるため、通算後の所得は565万円-90万円=475万円。これに総所得金額に算入される一時所得25万円を合算して、総所得金額は475万円+25万円=500万円となります。
覚えるポイント
- 一時所得の総所得金額への算入は1/2を乗じる
- 不動産所得の赤字から土地取得負債利子は損益通算対象外として差し引く
間違えやすいところ
- 一時所得の2分の1を掛け忘れて50万円としてしまうミス
- 不動産所得の損失計算で土地負債利子20万円を控除せずに▲110万円を全額損益通算してしまうミス
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の基礎控除額および相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応じた取得金額 / 相続税の総額
設例の家族構成(被相続人Aさん、妻Bさん、長女Dさん、既に死亡した長男Cさんの代襲相続人である孫Eさん・孫Fさんの計4人)において、相続税の課税価格の合計額が1億9,000万円である場合の、(1)遺産に係る基礎控除額(①)、(2)孫Eさんの相続税の総額の基となる税額(②)、(3)相続税の総額(③)を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 5,400(万円)、② 205(万円)、③ 2,230(万円)
解説
相続税の総額は、課税遺産総額(課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いた額)を各法定相続人が民法上の法定相続分に応じて取得したものと仮定して税額を算出し、それらを合算して求めます。
解き方
- 法定相続人の数を確認し、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を算出して課税遺産総額を求めます。
- 課税遺産総額を各法定相続人の法定相続分で按分し、それぞれの法定相続分に応じた取得金額に超過累進税率を適用して各人の税額を求めます。
- 算出した各法定相続人の税額を合計して相続税の総額を求めます。
答えの内訳
- ①:5,400
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は妻B、長女D、孫E、孫Fの4人であるため、3,000万円+600万円×4人=5,400万円となります。
- ②:205
- 課税遺産総額は19,000万円-5,400万円=13,600万円です。代襲相続人である孫Eさんの法定相続分は1/8(1/2×1/2×1/2)となるため、取得金額は13,600万円×1/8=1,700万円です。速算表より、1,700万円×15%-50万円=205万円となります。
- ③:2,230
- 妻Bの取得金額は13,600万円×1/2=6,800万円、税額は6,800万円×30%-700万円=1,340万円です。長女Dの取得金額は13,600万円×1/4=3,400万円、税額は3,400万円×20%-200万円=480万円です。孫Fの税額は孫Eと同額の205万円です。これらを合計した相続税の総額は、1,340万円+480万円+205万円+205万円=2,230万円となります。
覚えるポイント
- 遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 被相続人の子が相続開始前に死亡している場合、その直系卑属(孫など)が代襲相続人となり法定相続人の数に算入されます。
間違えやすいところ
- 孫2人の法定相続分を長男の相続分(1/4)のまま計算せず、均等按分して各自1/8とすることを忘れないように注意が必要です。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の相続税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺言書の検認・相続税の2割加算・相続税の申告期限
相続・事業承継 · 自筆証書遺言の検認 / 相続税額の2割加算 / 相続税の申告期限
Aさんの相続等に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を解答しなさい。 ① Aさんが自筆証書遺言を自宅に保管していた場合、その遺言書を発見した相続人は、遅滞なく所轄税務署長に提出し、その検認を請求する必要があります。 ② 代襲相続人である孫Eさんおよび孫Fさんは、相続税額の2割加算の対象になります。 ③ 相続税の申告書は、原則として、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内にAさんの死亡の時における住所地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
- ①
- Aさんが自筆証書遺言を自宅に保管していた場合、その遺言書を発見した相続人は、遅滞なく所轄税務署長に提出し、その検認を請求する必要があります。
- ②
- 代襲相続人である孫Eさんおよび孫Fさんは、相続税額の2割加算の対象になります。
- ③
- 相続税の申告書は、原則として、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内にAさんの死亡の時における住所地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ×、③ ○
解説
自筆証書遺言(法務局保管を除く)の検認は家庭裁判所で行います。相続税額の2割加算は配偶者および一親等の血族(直系卑属の代襲相続人を含む)以外の者に適用され、申告書は被相続人の住所地所轄税務署へ10カ月以内に提出します。
解き方
- 自筆証書遺言の検認手続の管轄機関が家庭裁判所であるか確認します。
- 代襲相続人である孫が相続税額の2割加算の対象となるか例外規定(一親等の血族の代襲相続人は除外)を確認します。
- 相続税申告書の提出期限(相続開始を知った日の翌日から10カ月以内)と提出先(被相続人の住所地の所轄税務署長)を確認します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 自宅等で保管されていた自筆証書遺言の検認を請求する先は、所轄税務署長ではなく「家庭裁判所」です。
- 小問 ②:×
- 被相続人の配偶者および一親等の血族(代襲相続人となった孫を含む直系卑属)以外の者が財産を取得した場合は2割加算の対象となりますが、代襲相続人となった直系卑属である孫は2割加算の対象外です。
- 小問 ③:○
- 相続税の申告書の提出期限は、原則として「相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内」であり、提出先は「被相続人の死亡の時における住所地の所轄税務署長」です。
覚えるポイント
- 遺言書の検認の管轄は「家庭裁判所」
- 代襲相続人である孫は相続税額の2割加算の対象外(養子縁組した孫などは加算対象)
- 相続税申告の期限は10カ月以内、提出先は被相続人の住所地所轄税務署長
間違えやすいところ
- 孫を養子にした場合(孫養子)は原則として2割加算の対象となりますが、実子の死亡による代襲相続人である孫は2割加算の対象外となる点を取り違えやすいです。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の民法および相続税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の配偶者控除・小規模宅地等の特例・生命保険金の非課税枠
相続・事業承継 · 配偶者の税額軽減 / 小規模宅地等の特例 / 死亡保険金の非課税金額
Aさんの相続に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 妻Bさんが「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けた場合、妻Bさんが相続により取得した財産の額が、配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円とのいずれか少ない金額までであれば、妻Bさんが納付すべき相続税額は算出されない。 ② 妻Bさんが相続により取得する自宅の敷地について、特定居住用宅地等として「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた場合、200㎡までを限度面積として、評価額の50%相当額を減額した金額を、相続税の課税価格に算入すべき価額とすることができる。 ③ 長女Dさんが受け取る死亡保険金(2,500万円)は、みなし相続財産として相続税の課税対象となる。長女Dさんが受け取る死亡保険金のうち、相続税の課税価格に算入される金額は500万円である。
- ①
- 配偶者の税額軽減の適用要件および非課税限度(法定相続分相当額と1億6,000万円のいずれか少ない金額まで税額が算出されないとする記述)の正誤
- ②
- 特定居住用宅地等の適用条件(限度面積200㎡・減額割合50%とする記述)の正誤
- ③
- 生命保険金の非課税限度額の計算(法定相続人4人で2,000万円控除し、課税価格算入額が500万円となる記述)の正誤
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
相続税の特例には要件や限度額が法令で定められており、配偶者の税額軽減は1億6,000万円と法定相続分相当額のいずれか多い金額まで、特定居住用宅地等は330㎡まで80%減額、死亡保険金の非課税限度額は500万円に法定相続人の数を乗じて算出します。
解き方
- 配偶者の税額軽減の基準(1億6,000万円と法定相続分相当額の『いずれか多い額』)を確認し、記述①の正誤を判定する。
- 小規模宅地等の特例における特定居住用宅地等の限度面積(330㎡)と減額割合(80%)を確認し、記述②の正誤を判定する。
- 被相続人Aの法定相続人の数(妻B、長女D、長男Cの代襲相続人である孫E・孫Fの計4名)から死亡保険金の非課税枠を計算し、課税価格算入額を求めて記述③の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 配偶者の税額軽減は、取得した正味の遺産額が「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか『多い』金額まで相続税が課税されません。本問は「少ない金額」としているため不適切です。
- 小問 ②:×
- 小規模宅地等の特例において、特定居住用宅地等に該当する場合の限度面積は330㎡であり、減額割合は80%です。本問の「200㎡まで、評価額の50%減額」という記述は不適切です。
- 小問 ③:○
- 死亡保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は妻B・長女D・代襲相続人である孫Eと孫Fの計4人であるため非課税限度額は2,000万円(500万円×4人)となり、課税価格に算入される金額は受取額2,500万円から2,000万円を控除した500万円となります。
覚えるポイント
- 配偶者の税額軽減は「1億6,000万円」と「法定相続分相当額」のいずれか『多い額』まで課税されない。
- 小規模宅地等の特例の特定居住用宅地等は「330㎡まで80%減額」、特定事業用宅地等は「400㎡まで80%減額」、貸付事業用宅地等は「200㎡まで50%減額」である。
間違えやすいところ
- 配偶者の税額軽減の比較基準を「いずれか少ない金額」と取り違えてしまうミス。
- 特定居住用宅地等の規定を貸付事業用宅地等の規定(200㎡・50%)と混同してしまうミス。
- 既に死亡した子の代襲相続人が複数いる場合に、法定相続人の数え方を誤ってしまうミス。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2020年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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