日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 公的年金 / 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 報酬比例部分 / 経過的加算
設例のAさん(1973年6月12日生まれ・47歳)が、60歳でX社を定年退職し、その後再就職等をしない場合、原則として65歳から受給することができる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2020年度価額)について、計算の手順に従って空欄①~④に入る数値を計算しなさい。 <Aさんの公的年金加入歴> ・20歳~22歳:国民年金保険料納付済期間 34月 ・22歳~2003年3月:厚生年金保険被保険者期間 84月(平均標準報酬月額28万円) ・2003年4月~60歳:厚生年金保険被保険者期間 362月(平均標準報酬額40万円) <家族構成等> ・妻Bさん(48歳・会社員):20~22歳(33月)第1号、22歳から現在(305月)厚生年金、65歳まで厚生年金被保険者として勤務見込み。 ・長女Cさん(19歳・大学生) ※妻および長女はAさんと同居・生計維持関係にある。
解答・解説を表示
解答
① 781,700円 ② 961,229円 ③ 650円 ④ 961,879円
解説
老齢年金の受給額計算では、老齢基礎年金は満額を基準に加入可能月数(480月)に対する納付済月数等の割合で按分します。老齢厚生年金は報酬比例部分と経過的加算から構成され、生計を維持している対象配偶者や子がいる要件を満たす場合に限り加給年金が加算されます。
解き方
- 老齢基礎年金の月数を集計する。第1号被保険者期間34月と厚生年金加入期間446月(84月+362月)を合算すると480月となるため、満額の781,700円が支給される。
- 報酬比例部分を総報酬制導入前(2003年3月以前)と導入後(2003年4月以後)に分けて計算し、合算して円未満を四捨五入する。
- 経過的加算額を計算式(1,630円×厚生年金月数-781,700円×20歳以上60歳未満の厚生年金月数/480)に基づいて計算し、円未満四捨五入する。
- 加給年金の加算要件を判定する。65歳到達時点で配偶者が厚生年金被保険者期間20年以上の受給権を得る見込み等により対象外、かつ長女も18歳到達年度末を過ぎているため加算は0円となり、基本年金額(報酬比例部分+経過的加算)が合計受給額となる。
答えの内訳
- ①:781,700
- 老齢基礎年金の満額は781,700円です。Aさんの保険料納付済月数は国民年金第1号期間34月と厚生年金被保険者期間(84月+362月=446月)の合計480月となり、480月に達しているため、781,700円×480月/480月=781,700円となります。
- ②:961,229
- 報酬比例部分の額は、2003年3月以前分ⓐ:280,000円×7.125/1,000×84月=167,580円、2003年4月以後分ⓑ:400,000円×5.481/1,000×362月=793,648.8円の合計(ⓐ+ⓑ)=961,228.8円となり、円未満を四捨五入して961,229円となります。
- ③:650
- 経過的加算額の計算式に従い、定額部分=1,630円×446月=726,980円、控除部分=781,700円×446月/480月=726,329.58…円。差引726,980円-726,329.58…円=650.41…円となり、円未満四捨五入で650円となります。
- ④:961,879
- 妻Bさんは厚生年金の被保険者期間が20年以上となる見込みであり、Aさんが65歳到達時点で長女Cさんは20歳に達しているため加給年金額は加算されません。したがって、老齢厚生年金の額は基本年金額(報酬比例部分961,229円+経過的加算額650円)のみとなり、961,879円となります。
覚えるポイント
- 経過的加算は厚生年金の定額部分と老齢基礎年金相当額との差額を補正する給付であること
- 加給年金額は要件を満たす65歳未満の配偶者や18歳年度末までの子がいる場合にのみ加算されること
間違えやすいところ
- 経過的加算の月数上限(480月)や20歳以上60歳未満の被保険者月数のカウントミス
- 配偶者が被保険者期間20年以上の受給権を有する場合等、加給年金の支給停止・不支給要件の見落とし
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定拠出年金(個人型年金:iDeCo)の加入要件・限度額・税制上の取扱い
ライフプランニングと資金計画 · 確定拠出年金 / 個人型確定拠出年金(iDeCo) / 拠出限度額 / 小規模企業共済等掛金控除
確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)に関する文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 Ⅰ 「Aさんおよび妻Bさんは、老後の年金収入を増やす方法として、個人型年金に加入することができます。拠出できる掛金の限度額は、Aさんの場合は年額144,000円、妻Bさんの場合は年額( ① )円です。Aさんおよび妻Bさんが60歳到達時に老齢給付金を受給するためには、通算加入者等期間が( ② )年以上必要となります」 Ⅱ 「個人型年金のメリットの1つとして、税制の優遇措置が挙げられます。拠出する掛金は全額( ③ )として所得控除の対象となります。また、老齢給付金を年金で受け取った場合、当該給付金は雑所得として総合課税の対象となりますが、老齢基礎年金および老齢厚生年金と同様に公的年金等控除の対象となります。なお、個人型年金は、Aさんの指図に基づく運用実績により、将来の年金受取額が増減する点に留意する必要があります」
- イ
- 5
- ロ
- 10
- ハ
- 15
- ニ
- 240,000
- ホ
- 276,000
- ヘ
- 816,000
- ト
- 生命保険料控除
- チ
- 小規模企業共済等掛金控除
- リ
- 社会保険料控除
解答・解説を表示
解答
① ホ ② ロ ③ チ
解説
確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)では、加入者の属性(第1号、第2号の企業年金有無、第3号)によって拠出限度額が細かく規定されています。支払った掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除となり、受給開始時期は通算加入者等期間(60歳受給には原則10年以上)に応じて段階的に制限されます。
解き方
- 妻Bさんの加入要件を確認する。他の企業年金がない会社員(第2号被保険者)のiDeCo限度額は月額23,000円(年額276,000円)であるため、「ホ」を選択する。
- 60歳時点で老齢給付金の受給を開始するための要件である通算加入者等期間「10年以上」を確認し、「ロ」を選択する。
- 掛金の税法上の所得控除の区分が「小規模企業共済等掛金控除」であることを確認し、「チ」を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ホ
- 妻Bさんは勤務先で企業型年金や確定給付企業年金等の企業年金を実施していない第2号被保険者であるため、iDeCoの拠出限度額は月額2.3万円(年額276,000円)となります。
- 小問 ②:ロ
- 確定拠出年金の老齢給付金を60歳から受給するためには、通算加入者等期間が10年以上必要と規定されています。
- 小問 ③:チ
- 個人型年金の加入者が拠出した掛金は、その全額が所得税・住民税において「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象となります。
覚えるポイント
- 企業年金なしの第2号被保険者のiDeCo拠出限度額は月額2.3万円(年額27.6万円)
- iDeCoの掛金は全額「小規模企業共済等掛金控除」となること
間違えやすいところ
- 掛金控除を「社会保険料控除」や「生命保険料控除」と取り違えるミス
- 企業年金制度の有無による第2号被保険者の限度額区分の混同
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金の受給開始・iDeCoの脱退・学生納付特例制度の判定
ライフプランニングと資金計画 · 特別支給の老齢厚生年金 / 確定拠出年金(iDeCo)の中途脱退 / 国民年金の学生納付特例制度
MさんがAさんに対して行った次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「Aさんおよび妻Bさんには、特別支給の老齢厚生年金の支給はありません。原則として、65歳から老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給することになります」 ② 「確定拠出年金の個人型年金は、Aさん自身の都合で任意に中途脱退することができます。脱退した場合に受け取る脱退一時金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象となります」 ③ 「長女Cさんは、2020年12月から国民年金の保険料を納付する必要がありますが、Aさんおよび妻Bさんの前年所得が一定額以下の場合、長女Cさんは国民年金の学生納付特例制度を利用することができます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
公的年金の支給開始年齢の生年月日要件、私的年金である確定拠出年金の中途解約制限の趣旨、および国民年金の各種保険料免除・猶予制度における所得審査対象の差異を正確に理解しておくことが重要です。
解き方
- 生年月日から特別支給の老齢厚生年金の受給権の有無を確認する(男性は昭和36年4月2日以降、女性は昭和41年4月2日以降生まれは対象外)。
- iDeCoの原則(老後資金確保の観点から60歳まで任意脱退・途中引出不可)を確認する。
- 学生納付特例の要件(所得制限は学生本人所得のみで判定され、親の所得は問われない)を確認して成否を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 特別支給の老齢厚生年金は、男性は1961年(昭和36年)4月2日以後生まれ、女性は1966年(昭和41年)4月2日以後生まれの者には支給されません。Aさんは1973年生まれの男性、妻Bさんは1972年生まれの女性であるため、両者とも支給対象外となり、年金は原則65歳からの受給となります。
- 小問 ②:×
- 確定拠出年金(個人型年金・iDeCo)は高齢期における資産形成を目的とする制度であるため、加入者自身の都合による任意の中途脱退や積立金の引き出しは原則として認められていません。脱退一時金の受給要件も極めて限定的です。
- 小問 ③:×
- 学生納付特例制度の所得審査は「学生本人の前年所得」のみが基準とされ、一定額以下であれば適用を受けることができます。一般の保険料免除制度とは異なり、父母など扶養義務者(Aさんや妻Bさん)の所得は問われません。
覚えるポイント
- 特別支給の老齢厚生年金が出ない生年月日:男性は1961年4月2日以降、女性は1966年4月2日以降
- 学生納付特例は「本人の所得」のみで審査され、親の所得は問われない
間違えやすいところ
- 学生納付特例を一般の全額・一部免除制度(本人・配偶者・世帯主の所得が審査対象)と混同して親の所得要件があると誤認しやすい
- iDeCoを一般的な積立貯金のようにいつでも中途解約できると誤解しやすい
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ROE(自己資本当期純利益率)および配当利回りの計算
金融資産運用 · ROE(自己資本当期純利益率) / 配当利回り / 株式指標
設例の<X社株式の関連情報>および<X社の財務データ>に基づいて、50期における次の①、②の数値を計算しなさい(計算過程の記載は不要)。%表示の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。 ① 50期におけるROE(自己資本は49期と50期の平均を用いる) ② 50期における配当利回り <X社株式の関連情報> ・株価:3,800円 ・発行済株式数:8億株 ・決算期:2020年11月30日(月) <X社の財務データ(百万円)> ・49期 純資産の部合計(=自己資本):1,920,000百万円 ・50期 純資産の部合計(=自己資本):2,000,000百万円 ・50期 当期純利益:255,000百万円 ・50期 配当金総額:96,000百万円
解答・解説を表示
解答
① 13.01(%) ② 3.16(%)
解説
ROE(自己資本当期純利益率)は株主資本を活用してどれだけ効率的に利益を上げたかを示す指標であり、当期純利益を自己資本で除して求めます。配当利回りは投資金額(株価)に対する年間受取配当金の割合を示す指標です。
解き方
- 【① ROEの計算】49期と50期の純資産(自己資本)の合計を2で割り、期中平均自己資本(1,960,000百万円)を算出する。当期純利益255,000百万円を割って100を乗じ、13.0102…%を端数処理して13.01%を得る。
- 【② 配当利回りの計算】配当金総額96,000百万円を発行済株式数8億株で除して1株当たり年間配当金(120円)を求め、これを株価3,800円で除して100を乗じ、3.1578…%を端数処理して3.16%を得る。
答えの内訳
- ①:13.01
- 49期と50期の期中平均自己資本は (1,920,000百万円 + 2,000,000百万円) ÷ 2 = 1,960,000百万円 です。ROE = 50期当期純利益 ÷ 平均自己資本 × 100 = 255,000 ÷ 1,960,000 × 100 = 13.0102…% となり、小数点以下第3位を四捨五入して 13.01% となります。
- ②:3.16
- 1株当たり配当金 = 配当金総額 96,000百万円 ÷ 発行済株式数 800百万株 = 120円 です。配当利回り = 1株当たり配当金 ÷ 株価 × 100 = 120円 ÷ 3,800円 × 100 = 3.1578…% となり、小数点以下第3位を四捨五入して 3.16% となります。
覚えるポイント
- ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100(問題の指示に応じて期中平均自己資本を用いる)
- 配当利回り(%)= 1株当たり配当金 ÷ 株価 × 100 = 配当金総額 ÷ 時価総額 × 100
間違えやすいところ
- ROEの計算で期中平均ではなく50期末の自己資本のみを用いて計算してしまう(指示の見落とし)
- 配当性向(配当金総額÷当期純利益)と配当利回り(1株当たり配当金÷株価)を混同してしまう
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
米国の経済指標と金融政策
金融資産運用 · ISM製造業景況感指数 / 米国雇用統計 / FOMC / 金融政策
ファイナンシャル・プランナーのMさんがAさんに対して説明した米国の経済指標等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 「米国のISM製造業景況感指数は、製造業の購買・供給管理責任者を調査対象にした企業の景況感を反映した指標です。通常、当該指数が100%を上回ると景気拡大、100%を下回ると景気後退と判断されます」 ② 「米国の雇用統計は、米国の労働省から四半期ごとに発表される指標です。非農業部門雇用者数や失業率などの数値は、株式市場や為替市場などの市場参加者が注視する重要な経済指標です」 ③ 「米国の政策金利は、連邦準備制度理事会(FRB)が開催する連邦公開市場委員会(FOMC)により決定されます。2019年は、米国景気の堅調さを反映し、3回の利上げを行っています」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ×
解説
米国の主要な経済指標や金融政策の決定プロセスおよびその動向は、世界の株式市場や為替相場に大きな影響を与えるため正確な理解が求められます。
解き方
- 各指標の公表頻度・基準となる数値(ISMの50%ライン、雇用統計の毎月公表)を確認する。
- 政策金利の決定機関(FOMC)と対象年(2019年)における金融政策の方向性(利下げか利上げか)を照合して正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- ISM製造業景況感指数は、景気の拡大・後退の分岐点が50%(50)とされています。100%ではないため不適切です。
- 小問 ②:×
- 米国の雇用統計は四半期ごとではなく、米国労働省労働統計局から原則として毎月(第1金曜日など)発表されるため不適切です。
- 小問 ③:×
- 米国のFOMCにおいて2019年は景気減速懸念等への対応(予防的利下げ)として3回の「利下げ」が行われたため不適切です。
覚えるポイント
- ISM景況感指数の好不況の分岐点は50%であること
- 米国雇用統計は毎月発表されること
- 2019年の米国金融政策は利下げ局面であったこと
間違えやすいところ
- ISM景況感指数の基準値である50%を、他の統計指数と混同して100%と思い込むこと
- GDP統計(四半期)と雇用統計(毎月)の公表周期を混同すること
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等および公表データに基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の取引と指標(税金・受渡期日・PBR)
金融資産運用 · 特定口座(源泉徴収あり) / 権利付き最終日 / PBR
ファイナンシャル・プランナーのMさんがAさんに対して説明したX社株式の購入等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 「Aさんが特定口座(源泉徴収あり)においてX社株式を株価3,800円で100株購入し、同年中に株価4,000円で全株売却した場合、その他の取引や手数料等を考慮しなければ、売買益2万円に対して20.315%相当額が源泉徴収等されます」 ② 「AさんがX社株式の次回の配当を受け取るためには、権利付き最終日までにX社株式を購入しておく必要があります。X社株式の権利付き最終日は、権利確定日の3営業日前である2020年11月25日(水)です」 ③ 「50期におけるX社株式のPBRは、1.52倍です。一般に、PBRが高いほうが株価は割安と判断されますが、何倍程度が妥当であるかは、同業他社との比較や過去のトレンドを確認するなど、相対的な数値として捉えることが大切です」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
上場株式の譲渡所得課税(申告分離課税・特定口座)、株式決済制度(受渡期日・権利確定)、および株価指標(PBR等)の定義を正しく理解しておく必要があります。
解き方
- 売買差益を計算し、特定口座(源泉徴収あり)における源泉徴収税率(20.315%)を照合する。
- 株式の受渡期間(約定日から起算して3営業日目=権利付き最終日は権利確定日の2営業日前)を適用して日程を確認する。
- PBRの計算式および割高・割安の判定基準(低いほうが割安)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 売買益は(4,000円-3,800円)×100株=20,000円です。特定口座(源泉徴収あり)では20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)が源泉徴収されるため適切です。
- 小問 ②:×
- 2019年7月の株式決済期間短縮(T+2化)に伴い、権利付き最終日は権利確定日の「2営業日前」となっています。2020年11月30日の2営業日前は11月26日(木)となるため不適切です。
- 小問 ③:×
- PBR(株価純資産倍率)は、一般に数値が「低い」ほうが株価は割安と判断されます。「高いほうが割安」としているため不適切です。
覚えるポイント
- 上場株式の譲渡所得に係る源泉徴収税率は20.315%であること
- 権利付き最終日は権利確定日の2営業日前であること(2019年7月受渡日短縮以降)
- PERやPBRは数値が低いほど割安と判断されること
間違えやすいところ
- 以前の制度(権利確定日の3営業日前)と現行制度(2営業日前)を混同すること
- PBRやPERにおいて、倍率が高いほうが割安であると取り違えること
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
医療費控除およびセルフメディケーション税制の控除額の計算式
タックスプランニング · 医療費控除 / セルフメディケーション税制
所得税における医療費控除およびセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、〈数値群〉の中から選びなさい。 「通常の医療費控除は、その年分の総所得金額等の合計額が200万円以上である居住者の場合、その年中に支払った医療費の総額から保険金などで補填される金額を控除した金額が( ① )円を超えるときは、その超える部分の金額(最高200万円)をその居住者のその年分の総所得金額等から控除します。また、通常の医療費控除との選択適用となるセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)では、定期健康診断や予防接種などの一定の取組みを行っている者が自己または自己と生計を一にする配偶者等のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合、その額が( ② )円を超えるときは、その超える部分の金額(最高( ③ )円)を総所得金額等から控除することができます」 〈数値群〉 イ.12,000 ロ.24,000 ハ.38,000 ニ.68,000 ホ.88,000 ヘ.100,000 ト.120,000 チ.150,000 リ.200,000
- イ
- 12,000
- ロ
- 24,000
- ハ
- 38,000
- ニ
- 68,000
- ホ
- 88,000
- ヘ
- 100,000
- ト
- 120,000
- チ
- 150,000
- リ
- 200,000
解答・解説を表示
解答
① ヘ ② イ ③ ホ
解説
医療費控除は、支払った医療費から補填金を控除した額が総所得金額等の5%(総所得金額等200万円未満)または10万円(総所得金額等200万円以上)を超えた場合に適用されます(最高200万円)。選択適用となるセルフメディケーション税制は、対象医薬品購入額から補填金を控除した額が12,000円を超える場合に、その超える部分について最高88,000円まで控除できます。
解き方
- 通常の医療費控除における総所得金額等200万円以上の足切り額が100,000円であることを確認し、空欄①を「ヘ」とする。
- セルフメディケーション税制において差し引かれる基準額が12,000円であることを確認し、空欄②を「イ」とする。
- セルフメディケーション税制の控除限度額が年額88,000円であることを確認し、空欄③を「ホ」とする。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ヘ
- 総所得金額等の合計額が200万円以上の居住者の場合、通常の医療費控除の足切り額(控除額の計算において差し引く額)は10万円(100,000円)です。
- 小問 ②:イ
- セルフメディケーション税制において、支払った特定一般用医薬品等購入費の自己負担額から差し引く下限額(足切り額)は12,000円です。
- 小問 ③:ホ
- セルフメディケーション税制による医療費控除の特例の控除限度額(最高限度額)は88,000円です。
覚えるポイント
- 通常の医療費控除の足切り額は「総所得金額等の5%」または「10万円」のいずれか低い方で、最高限度額は200万円です。
- セルフメディケーション税制の足切り額は「12,000円」で、最高限度額は「88,000円」です。
間違えやすいところ
- 通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できず、選択適用である点に注意が必要です。
- セルフメディケーション税制の最高限度額(88,000円)と、購入費の上限額(10万円=12,000円+88,000円)を混同しないようにしましょう。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産所得の損益通算・配偶者控除・医療費控除の申告要件
タックスプランニング · 損益通算 / 配偶者控除 / 医療費控除 / 年末調整
Aさんの2020年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 「Aさんは不動産所得の金額に損失が生じているため、確定申告をすることによって、純損失の繰越控除の適用を受けることができます」 ② 「Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の控除額は、38万円です」 ③ 「医療費控除については、年末調整では適用を受けることができないため、医療費控除の適用を受けるためには、所得税の確定申告が必要となります」
- ○
- 適切である
- ×
- 不適切である
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
不動産所得の損失は一定の除外項目(土地取得に係る負債利子等)を除き損益通算できますが、他の黒字所得と相殺してなお控除しきれない純損失が残らなければ繰越控除はできません。また、配偶者控除の額は控除対象配偶者の所得要件および納税者本人の合計所得金額に応じて決定され、医療費控除・寄附金控除・雑損控除は年末調整で適用できないため確定申告を要します。
解き方
- 記述①:給与所得(給与収入800万円に対する所得は610万円)から損益通算可能な不動産所得の損失80万円を差し引いても総所得金額は黒字であるため、純損失の繰越控除は発生しないと判断する(不適切)。
- 記述②:Aさんの合計所得金額が900万円以下、妻Bさんの合計所得金額が48万円以下(0円)であるため、一般の配偶者控除額が38万円であることを確認する(適切)。
- 記述③:医療費控除は年末調整では受けられず、確定申告が必要である事実を確認する(適切)。
- 選択肢 ○正解
- 記述②および記述③の正誤判定に対応します。
- 選択肢 ×正解
- 記述①の正誤判定に対応します。
答えの内訳
- ①:×
- 不動産所得の赤字(損失100万円のうち土地取得利子20万円を除いた80万円)は給与所得から損益通算されますが、通算後の総所得金額がプラス(黒字)であるため純損失は生じず、純損失の繰越控除の適用は受けられません。
- ②:○
- 妻Bさんは2020年中の収入がなく合計所得金額が48万円以下であり、Aさんの合計所得金額も900万円以下(給与所得控除後610万円-通算損失80万円=530万円)であるため、配偶者控除の控除額は38万円となります。
- ③:○
- 医療費控除は年末調整の対象外の控除であるため、給与所得者が医療費控除の適用を受けるためには確定申告を行う必要があります。
覚えるポイント
- 不動産所得の赤字のうち、土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分は損益通算の対象外です。
- 年末調整で受けることができず確定申告が必要な所得控除は「医療費控除」「寄附金控除」「雑損控除」の3つです。
間違えやすいところ
- 不動産所得に赤字が出たからといって直ちに「純損失の繰越控除」ができるわけではなく、他の所得と損益通算した後に全体として赤字(純損失)が残る必要があります。
- 配偶者控除は納税者本人の所得制限があり、合計所得金額が900万円を超えると段階的に減額され、1,000万円を超えると適用不可となる点に注意が必要です。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の課税総所得金額の計算(給与所得・不動産所得の損益通算・扶養控除・基礎控除)
タックスプランニング · 損益通算 / 給与所得控除 / 扶養控除 / 基礎控除
会社員Aさん(55歳)の2020年分の所得税における課税総所得金額を計算するにあたり、下記の条件に基づき、表中の空欄①〜③に入る最も適切な数値を求めなさい。 <Aさんの収入等に関する資料> ・給与収入金額:800万円 ・不動産所得の金額:▲100万円(白色申告、損失100万円のうち土地等取得に係る負債の利子20万円を含む) <家族の状況> ・妻Bさん(53歳):専業主婦、収入なし ・長女Cさん(20歳):大学生、収入なし(全員同居・生計を一にし、障害者には該当しない) <給与所得控除額の算式(給与収入660万円超850万円以下)> ・収入金額×10%+110万円 【表】 (a)総所得金額:( ① )円 所得控除:扶養控除( ② )円、基礎控除( ③ )円などを含む合計額2,900,000円 (c)課税総所得金額((a)-(b)):□□□円
解答・解説を表示
解答
① 5,300,000(円) ② 630,000(円) ③ 480,000(円)
解説
総所得金額の計算において、不動産所得の損失のうち土地等を取得するために要した負債の利子相当額は損益通算の対象外となります。扶養親族の年齢区分(特定扶養親族は19歳以上23歳未満で63万円)および税制改正後の基礎控除額(合計所得金額2,400万円以下で48万円)を正しく適用することが重要です。
解き方
- 給与収入から給与所得控除額を差し引いて給与所得金額を算出する。
- 不動産所得の赤字から土地取得分の借入金利子を除外して損益通算対象額を求め、給与所得から差し引いて総所得金額を計算する。
- 長女の年齢(20歳)から特定扶養親族(63万円)を判定し、合計所得金額に応じた基礎控除額(48万円)を求める。
答えの内訳
- ①:5,300,000
- 給与所得控除額は「800万円×10%+110万円=190万円」となるため、給与所得は「800万円-190万円=610万円」です。不動産所得の損失100万円のうち、土地等の取得に係る負債の利子20万円は損益通算の対象外となるため、通算できる損失は「100万円-20万円=80万円」となります。したがって、総所得金額は「610万円-80万円=530万円(5,300,000円)」です。
- ②:630,000
- 長女Cさんは20歳(19歳以上23歳未満)であり、収入がないため控除対象扶養親族のうち「特定扶養親族」に該当します。特定扶養親族の扶養控除額は63万円(630,000円)です。
- ③:480,000
- 2020年分以後の所得税において、合計所得金額が2,400万円以下の納税者に適用される基礎控除の額は48万円(480,000円)です。
覚えるポイント
- 不動産所得の赤字における「土地取得に係る負債の利子」は損益通算の対象外
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の扶養控除額は63万円
- 2020年分以降の所得税の基礎控除額は原則48万円(合計所得2,400万円以下)
間違えやすいところ
- 不動産所得の損失全額(100万円)をそのまま給与所得から差し引いてしまうミス
- 特定扶養親族の控除額(63万円)を一般の控除対象扶養親族の控除額(38万円)と混同するミス
- 税制改正前の基礎控除額である38万円を記入してしまうミス
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等(2020年分所得税法)
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく建築面積および延べ面積の最高限度の計算
不動産 · 建蔽率の緩和 / 容積率の制限 / 複数地域にわたる敷地
Aさんが所有する甲土地(400㎡)と乙土地(260㎡)を一体とした敷地(合計660㎡)に耐火建築物を建築する場合、建蔽率の上限となる建築面積および容積率の上限となる延べ面積を計算した次の<計算の手順>の空欄①〜④に入る最も適切な数値を求めなさい。 <土地および条件の概要> ・一体の土地は特定行政庁が指定する角地である。 ・近隣商業地域(敷地300㎡):指定建蔽率80%、指定容積率400%、道路幅員制限6/10、防火地域 ・第一種住居地域(敷地360㎡):指定建蔽率60%、指定容積率300%、道路幅員制限4/10、準防火地域 ・前面道路:北側幅員8m(市道)、東側幅員6m(市道) <計算の手順> 1.建蔽率の上限となる建築面積 (1)近隣商業地域の部分:300㎡×( ① )%=(ⓐ)㎡ (2)第一種住居地域の部分:360㎡×□□□%=(ⓑ)㎡ (3)建蔽率の上限となる建築面積:(ⓐ)㎡+(ⓑ)㎡=( ② )㎡ 2.容積率の上限となる延べ面積 (1)近隣商業地域の部分:延べ面積の限度=(ⓒ)㎡ (2)第一種住居地域の部分:360㎡×( ③ )%=(ⓓ)㎡ (3)容積率の上限となる延べ面積:(ⓒ)㎡+(ⓓ)㎡=( ④ )㎡
解答・解説を表示
解答
① 100(%) ② 588(㎡) ③ 300(%) ④ 2,280(㎡)
解説
建蔽率・容積率が異なる地域にまたがる土地では、それぞれの地域ごとに建築面積・延べ面積の上限を計算し、合算して敷地全体の上限を求めます。防火地域内で指定建蔽率80%の地域に耐火建築物を建てる場合は建蔽率制限が適用されず(100%)、準防火地域内の耐火建築物や角地指定による緩和条件、前面道路幅員制限(2以上の前面道路がある場合は最大幅員を採用)を正確に適用する必要があります。
解き方
- 近隣商業地域(建蔽率80%+防火地域+耐火建築物=100%)と第一種住居地域(指定60%+角地10%+準防火耐火10%=80%)の各建築面積を算出して合算する。
- 前面道路幅員として広い方の幅員(8m)を採用し、各地域の前面道路幅員制限(幅員×法定乗数)と指定容積率を比較して各地域の上限容積率を特定する。
- 各地域の面積に上限容積率を乗じて延べ面積上限をそれぞれ算出し、敷地全体の延べ面積の上限を合算する。
答えの内訳
- ①:100
- 近隣商業地域の部分は、指定建蔽率が80%で防火地域内に耐火建築物を建築するため、建築基準法第53条第6項により建蔽率の制限が適用されず、建蔽率の上限は100%となります。
- ②:588
- 近隣商業地域の建築面積上限は「300㎡×100%=300㎡(ⓐ)」です。第一種住居地域の部分は指定建蔽率60%に加え、特定行政庁が指定する角地(+10%)および準防火地域内の耐火建築物(+10%)の緩和が適用されるため「60%+10%+10%=80%」となり、建築面積上限は「360㎡×80%=288㎡(ⓑ)」です。合計して「300㎡+288㎡=588㎡」となります。
- ③:300
- 前面道路の幅員は広い方の8mを採用します。第一種住居地域における前面道路幅員による容積率制限は「8m×4/10=320%」となります。指定容積率(300%)と道路幅員制限(320%)を比較し、厳しい方(小さい方)が上限となるため、上限容積率は300%となります。
- ④:2,280
- 近隣商業地域の上限容積率は、指定容積率400%と道路幅員制限「8m×6/10=480%」の小さい方である400%となり、延べ面積上限は「300㎡×400%=1,200㎡(ⓒ)」です。第一種住居地域の延べ面積上限は「360㎡×300%=1,080㎡(ⓓ)」です。敷地全体の上限延べ面積は「1,200㎡+1,080㎡=2,280㎡」となります。
覚えるポイント
- 「指定建蔽率80%の地域」かつ「防火地域」に耐火建築物を建築する場合は建蔽率が100%(制限なし)
- 準防火地域内の耐火建築物(等)には建蔽率+10%の緩和が適用される
- 2面以上の道路に面する場合は最も広い前面道路の幅員を用いて容積率制限を計算する
間違えやすいところ
- 建蔽率80%地域で角地緩和を足して90%等と誤算してしまうミス(防火地域内の耐火建築物により100%となる)
- 角地等による2つの前面道路がある場合に、狭い方の道路幅員(6m)を用いて容積率制限を計算してしまうミス
- 第一種住居地域の敷地面積(甲土地100㎡+乙土地260㎡=360㎡)を甲土地の100㎡だけで計算してしまうミス
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等(建築基準法)
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土地の有効活用と建築基準法の制限
不動産 · 用途地域の制限(過半の原則) / 等価交換方式 / 容積率算定における駐車場面積の不算入
甲土地(400㎡、うち近隣商業地域300㎡・第一種住居地域100㎡)と乙土地(260㎡、第一種住居地域)を一体とした土地(対象地:合計660㎡、近隣商業地域300㎡・第一種住居地域360㎡)の有効活用に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
建築基準法における用途制限の跨ぎ規定は敷地の過半の用途地域が全体に適用される一方、建蔽率や容積率は加重平均等で算出されます。また、容積率不算入の特例割合(車庫は5分の1限度、備蓄倉庫等は50分の1限度など)や不動産有効活用の各事業手法の定義を正確に理解することが重要です。
解き方
- ①について、対象地全体の地積(660㎡)のうち第一種住居地域の地積(100㎡+260㎡=360㎡)が過半を占めるため、過半の用途規制が適用されることを確認する。
- ②について、等価交換方式の定義(土地提供と資金負担による区分所有権の取得)と合致しているか確認する。
- ③について、容積率算定における車庫等床面積の不算入限度割合(延べ面積の5分の1)と記述の数値(3分の1)を比較判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 建築物の敷地が2以上の異なる用途地域にまたがる場合、建築物の用途制限はその敷地の過半が属する地域の規定が敷地全体に適用されます。対象地660㎡のうち第一種住居地域は360㎡で過半を占めるため、第一種住居地域の用途制限が全体に適用されます。
- 小問 ②:○
- 等価交換方式は、土地所有者が土地を提供し、デベロッパー等の事業者が建築資金を負担して建物を建設し、完成後に両者がそれぞれの出資割合等に応じて土地および建物の専有部分等を区分所有する手法です。
- 小問 ③:×
- 建築物内に設ける自動車車庫等の駐車場部分の床面積について、容積率の算定基礎となる延べ面積から除外できる限度は、当該建築物の延べ面積の「5分の1」を限度とします。「3分の1」とする記述は誤りです。
覚えるポイント
- 用途地域の用途制限は敷地の過半が属する地域の規定が適用される(過半主義)。
- 自動車車庫等の容積率不算入限度は各階床面積合計の5分の1まで。
間違えやすいところ
- 建蔽率や容積率は面積による加重平均で按分計算するのに対し、用途制限は過半が全体に適用される点を混同しないよう注意する。
- 地階の住宅等の不算入限度(3分の1)と車庫等の不算入限度(5分の1)の割合を取り違えないように注意する。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の建築基準法および関連法令
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
路線価の見方と角地の評価および貸家建付地の評価額計算
不動産 · 路線価図の記号(借地権割合) / 側方路線影響加算 / 貸家建付地の評価
甲土地と乙土地を一体とした土地(対象地)の有効活用に関する文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を語句群から選び、記号で答えなさい。 Ⅰ「対象地の面する道路に付された『300C』『200C』の数値は、1㎡当たりの価額を千円単位で表示した相続税路線価です。数値の後に表示されている『C』の記号(アルファベット)は、借地権割合が( ① )であることを示しています」 Ⅱ「正面と側方に路線がある宅地(角地)の価額は、『(正面路線価×奥行価格補正率+側方路線価×奥行価格補正率×( ② ))×地積』の算式により評価します。対象地の場合、正面路線は幅員8m市道になります」 Ⅲ「Aさんが対象地に賃貸マンションを建設した場合、相続税額の計算上、対象地は貸家建付地として評価されます。仮に、対象地の自用地価額を2億円、借地権割合( ① )、借家権割合30%、賃貸割合100%とした場合、当該土地の相続税評価額は( ③ )となります」 〈語句群〉イ.60% ロ.70% ハ.80% ニ.3,600万円 ホ.4,200万円 ヘ.1億5,800万円 ト.1億6,400万円 チ.側方路線影響加算率 リ.二方路線影響加算率 ヌ.不整形地補正率
- イ
- 60%
- ロ
- 70%
- ハ
- 80%
- ニ
- 3,600万円
- ホ
- 4,200万円
- ヘ
- 1億5,800万円
- ト
- 1億6,400万円
- チ
- 側方路線影響加算率
- リ
- 二方路線影響加算率
- ヌ
- 不整形地補正率
解答・解説を表示
解答
① ロ ② チ ③ ヘ
解説
相続税の財産評価において、路線価図のアルファベット記号は借地権割合(A:90%~G:30%)を表します。また、角地は利便性が高いため側方路線影響加算率を用いて評価額を加算し、自用地にアパート等の賃貸建物を建てた敷地(貸家建付地)は借地権割合・借家権割合・賃貸割合に応じて評価減を行います。
解き方
- 空欄①について、路線価の記号「C」に対応する借地権割合を判定する(A:90%、B:80%、C:70% → ロ)。
- 空欄②について、正面と側方に路線がある宅地(角地)で側方路線価に掛ける加算率の名称(側方路線影響加算率 → チ)を選択する。
- 空欄③について、貸家建付地の計算式「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」に数値を代入して計算する(2億円×(1-0.70×0.30×1.00)=1億5,800万円 → ヘ)。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 路線価の末尾のアルファベットは借地権割合を示し、A=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、G=30%です。記号「C」は70%(ロ)に該当します。
- 小問 ②:チ
- 角地(正面と側方に路線がある宅地)の評価では、側方路線の影響を反映させるため「側方路線影響加算率(チ)」を加算します。裏面に路線がある場合は「二方路線影響加算率」を用います。
- 小問 ③:ヘ
- 貸家建付地の評価額=自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)=2億円×(1-70%×30%×100%)=2億円×(1-0.21)=2億円×0.79=1億5,800万円(ヘ)となります。
覚えるポイント
- 借地権割合の記号:A(90%)、B(80%)、C(70%)、D(60%)、E(50%)、F(40%)、G(30%)。
- 貸家建付地の評価額=自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)。
間違えやすいところ
- 貸家建付地の計算で、控除額(自用地価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)と評価額(控除後の残額)を取り違えてしまう。
- 正面と裏面の道路(二方路線)と正面と側面の道路(角地=側方路線)の加算率を混同しないようにする。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の財産評価基本通達
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例
相続・事業承継 · 住宅取得等資金の非課税 / 贈与税 / 要件 / 限度額
《設例》の二男Dさんが住宅取得資金の援助を受けるにあたり、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」に関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日が2020年4月1日から2021年3月31日であること、消費税10%により住宅用家屋を取得したことなどの所定の要件を満たした場合、本特例の非課税限度額は省エネ等住宅で最高3,000万円、一般住宅で最高2,000万円となる。 ② 本特例の適用を受けるためには、二男Dさんの贈与を受けた年分の合計所得金額が2,000万円以下であること、取得する住宅用家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下であることなど、所定の要件を満たす必要がある。 ③ 本特例は、暦年課税の基礎控除または相続時精算課税の特別控除と併用して適用を受けることができる。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
直系尊属からの住宅取得等資金贈与の非課税特例は、受贈者の所得要件(2,000万円以下)や家屋の床面積要件(50㎡以上240㎡以下)を満たすことで適用され、基礎控除や相続時精算課税とも併用可能です。非課税限度額は契約締結時期や消費税率、住宅の質(省エネ等住宅か一般住宅か)によって段階的に定められています。
解き方
- 契約締結時期に応じた非課税限度額(2020年4月1日~2021年3月31日締結時は省エネ等住宅1,500万円・一般住宅1,000万円)を確認する。
- 受贈者の所得要件(合計所得金額2,000万円以下)および住宅の床面積要件(50㎡以上240㎡以下)を確認する。
- 暦年課税の基礎控除(110万円)や相続時精算課税制度との併用可否を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 契約締結日が2020年4月1日から2021年3月31日までの場合、消費税率10%が適用される住宅取得等資金の非課税限度額は、省エネ等住宅で1,500万円、一般住宅で1,000万円です。設問にある「省エネ等住宅3,000万円、一般住宅2,000万円」は2020年3月31日までに契約締結した場合の限度額であるため不適切です。
- 小問 ②:○
- 本特例の受贈者の所得要件は、贈与を受けた年分の合計所得金額が2,000万円以下であることです。また、取得する住宅用家屋の床面積(登記簿面積)要件は50㎡以上240㎡以下であるため、記述は適切です。
- 小問 ③:○
- 住宅取得等資金の贈与税の非課税特例は、暦年課税の基礎控除(年110万円)または相続時精算課税の特別控除(最大2,500万円)のいずれとも併用して適用を受けることができます。
覚えるポイント
- 住宅取得等資金の非課税特例は、暦年課税の基礎控除(110万円)や相続時精算課税(2,500万円)と重複適用が可能。
間違えやすいところ
- 契約締結時期による非課税限度額の引き下げスケジュールを取り違えないように注意する。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額 / 基礎控除額 / 法定相続分 / 税率速算表
現時点(2020年9月13日)において、Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額を試算した表の空欄①~③に入る適切な数値を求めなさい。なお、相続税の課税価格の合計額は9億円とする。 (a)相続税の課税価格の合計額:9億円 (b)遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 課税遺産総額((a)-(b)):□□□万円 相続税の総額の基となる税額 妻Bさん:□□□万円 長男Cさん:( ② )万円 二男Dさん:□□□万円 (c)相続税の総額:( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 4,800(万円) ② 6,885(万円) ③ 30,870(万円)
解説
相続税の総額は、課税遺産総額(課税価格の合計額-基礎控除額)を各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものと仮定して各人の取得金額を計算し、それぞれに超過累進税率を適用して算出した税額を合計して求めます。
解き方
- 法定相続人の数を確認し、遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を算出し、課税遺産総額を求める。
- 課税遺産総額を各法定相続人の法定相続分で按分し、それぞれの法定相続分に応ずる取得金額を算出する。
- 相続税の速算表を用いて各相続人の税額を算出し、それらを合計して相続税の総額を求める。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、二男Dさんの計3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:6,885
- 課税遺産総額は9億円-4,800万円=8億5,200万円(85,200万円)です。長男Cさんの法定相続分は4分の1であり、法定相続分に応ずる取得金額は85,200万円×1/4=21,300万円となります。速算表より「2億円超3億円以下(税率45%・控除額2,700万円)」を適用し、21,300万円×45%-2,700万円=6,885万円となります。
- ③:30,870
- 各相続人の法定相続分に応じた税額を合計して相続税の総額を求めます。妻Bさん(1/2):42,600万円×50%-4,200万円=17,100万円。二男Dさん(1/4):長男と同額の6,885万円。したがって相続税の総額は17,100万円+6,885万円+6,885万円=30,870万円となります。
覚えるポイント
- 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数。相続税の総額は実際の按分割合ではなく、必ず「法定相続分」で仮定按分して計算する。
間違えやすいところ
- 実際の遺産分割割合や遺言での承継予定割合を使って各人の仮定税額を計算してしまう誤りに注意する。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺留分・公正証書遺言・小規模宅地等の特例
相続・事業承継 · 遺留分の計算 / 公正証書遺言の証人欠格 / 特定同族会社事業用宅地等 / 小規模宅地等の特例の併用
Aさんの相続等に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を〈語句群〉の中から選択しなさい。 Ⅰ 「遺言により、自宅および現預金等を妻Bさん、X社関連の資産(X社株式、X社本社敷地・建物)を長男Cさんに相続させた場合、二男Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分算定の基礎となる財産が9億円の場合、二男Dさんの遺留分の金額は、( ① )となります」 Ⅱ 「公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成するものです。推定相続人である妻Bさんや長男Cさんを証人にすること( ② )」 Ⅲ 「長男CさんがX社本社敷地を相続により取得し、当該敷地について、特定同族会社事業用宅地等に係る小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた場合、当該敷地(相続税評価額9,000万円)について、課税価格に算入すべき価額を( ③ )とすることができます。なお、自宅敷地とX社本社敷地について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けようとする場合、( ④ )」
- イ
- 1,800万円
- ロ
- 3,240万円
- ハ
- 5,760万円
- ニ
- 1億1,250万円
- ホ
- 2億2,500万円
- ヘ
- 3億円
- ト
- ができます
- チ
- はできません
- リ
- 適用対象面積は所定の算式により調整され、完全併用はできません
- ヌ
- それぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます
解答・解説を表示
解答
① ニ ② チ ③ ロ ④ ヌ
解説
遺留分は兄弟姉妹以外の法定相続人に保障された最低限の相続財産の割合であり、直系尊属のみが相続人の場合(1/3)を除き全体で1/2となります。公正証書遺言の証人には推定相続人などの利害関係者は就任できません。また小規模宅地等の特例では、居住用と事業用宅地等は限度面積まで完全併用が認められています。
解き方
- 空欄①:法定相続分(妻1/2、子各1/4)に総遺留分割合1/2を乗じて二男Dさんの遺留分割合1/8を求め、9億円に乗じて遺留分額を算出します。
- 空欄②:民法上の証人欠格事由に基づき、推定相続人である妻や長男が証人になれるかを判定します。
- 空欄③:特定同族会社事業用宅地等の限度面積(400㎡)と減額割合(80%)から減額額を計算し、敷地全体の評価額から控除して課税価格を求めます。
- 空欄④:特定居住用宅地等と特定事業用等宅地等の併用要件(完全併用の可否)を判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ニ
- 相続人が配偶者と子であるため、全体の遺留分割合は財産の2分の1です。二男Dさんの法定相続分は4分の1(1/2×1/2)となるため、遺留分割合は8分の1(1/2×1/4)です。したがって、遺留分の金額は9億円×1/8=1億1,250万円となります。
- 小問 ②:チ
- 民法上、未成年者、推定相続人およびその配偶者ならびに直系血族などは遺言の証人・立会人になることができません。妻Bさんや長男Cさんは推定相続人であるため、証人にすることはできません。
- 小問 ③:ロ
- 特定同族会社事業用宅地等の限度面積は400㎡、減額割合は80%です。X社本社敷地500㎡のうち400㎡部分(9,000万円×400㎡/500㎡=7,200万円)について80%(5,760万円)が減額されます。課税価格に算入すべき価額は、9,000万円-5,760万円=3,240万円となります。
- 小問 ④:ヌ
- 特定居住用宅地等(限度面積330㎡)と特定事業用等宅地等(特定同族会社事業用宅地等を含む・限度面積400㎡)を併用する場合、それぞれの適用対象限度面積まで完全併用(最大730㎡まで)して特例の適用を受けることができます。
覚えるポイント
- 特定居住用宅地等(330㎡・80%減額)と特定事業用等宅地等(400㎡・80%減額)は完全併用可能で最大730㎡まで適用できます。
- 推定相続人およびその配偶者・直系血族は、遺言の公正さを担保するため証人・立会人の欠格事由となります。
間違えやすいところ
- 遺留分の計算で、全体の遺留分割合(1/2)を掛け忘れて単なる法定相続分(1/4)で計算してしまうミス。
- 小規模宅地等の特例で、減額された金額そのものを解答欄に書いてしまい、課税価格に算入すべき価額(残額)と取り違えるミス。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2020年9月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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