日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の概要
公的年金の年金額試算(老齢基礎年金・老齢厚生年金)
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 経過的加算 / 加給年金
45歳の個人事業主Aさん(1975年8月10日生まれ)の公的年金加入歴(厚生年金保険被保険者期間108月、国民年金保険料未納期間48月、同納付済期間340月、20歳到達は1995年8月)に基づき、原則として65歳から受給できる老齢基礎年金および老齢厚生年金の計算式における空欄①~④に入る数値または語句を求めなさい。なお、年金額は2020年度価額に基づく。
- される
- 加給年金額が加算される
- されない
- 加給年金額は加算されない
解答・解説を表示
解答
① 781,700 ② 432 ③ 92 ④ されない
解説
老齢年金の受給額計算では、老齢基礎年金が20歳以上60歳未満の保険料納付済月数を反映するのに対し、厚生年金の経過的加算は全被保険者期間の定額単価計算から20歳以上60歳未満相当額を差し引いて差額を調整します。また、加給年金の受給には原則20年(240月)以上の被保険者期間が必要です。
解き方
- 1975年8月10日生まれのAさんが20歳に到達する1995年8月までの被保険者期間(1994年4月~1995年7月の16月)を厚生年金108月から除き、20歳以上60歳未満の厚生年金期間(92月)を算出する。
- 老齢基礎年金の算定月数(92月+第1号納付済340月=432月)および2020年度満額781,700円を特定する。
- 経過的加算の控除式における厚生年金の20歳以上60歳未満被保険者月数が92月であることを確認し、厚生年金加入期間が240月未満であることから加給年金は不支給と判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:781,700
- 2020年度の老齢基礎年金の満額(改定率反映後)は781,700円です。
- 小問 ②:432
- 老齢基礎年金の月数は20歳以上60歳未満の納付済期間です。第2号被保険者期間108月のうち20歳未満の16月を除いた92月と、第1号被保険者の保険料納付済期間340月を合算して432月(92月+340月)となります。
- 小問 ③:92
- 経過的加算の控除額において、老齢基礎年金相当額の計算に用いる厚生年金保険の被保険者期間は「20歳以上60歳未満」の月数に限られるため、108月から20歳未満の16月を差し引いた92月となります。
- 小問 ④:されない
- 老齢厚生年金に加給年金額が加算されるためには厚生年金保険の被保険者期間が原則240月以上必要ですが、Aさんは108月であるため加算されません。
覚えるポイント
- 経過的加算の控除対象となる月数は「20歳以上60歳未満」の厚生年金被保険者月数(上限480月)です。
- 加給年金の加算要件は原則として厚生年金保険の被保険者期間が240月以上であることです。
間違えやすいところ
- 20歳未満(18歳~20歳前月)の厚生年金被保険者期間(16月)を老齢基礎年金の算定月数にそのまま合算してしまう誤り。
- 経過的加算の定額部分(被保険者期間全体)と控除部分(20歳以上60歳未満のみ)の月数を混同してしまうこと。
出題の前提:2020年4月1日現在施行法令および2020年度年金額(満額781,700円)
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模企業共済制度の加入要件・掛金・貸付限度額
ライフプランニングと資金計画 · 小規模企業共済 / 従業員規模要件 / 一般貸付制度
小規模企業共済制度に関する説明文の空欄①~③に入る最も適切な語句を、語句群(イ~リ)の中から選びなさい。 「Aさんのような個人事業主の場合、卸売業、小売業、サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)の常時使用する従業員数は( ① )以下であれば加入できます。毎月の掛金は、( ② )から7万円までの範囲内で500円単位で設定できます。一般貸付制度では、掛金納付月数に応じた範囲内で上限( ③ )まで借り入れることができます。」
- イ
- 5人
- ロ
- 10人
- ハ
- 15人
- ニ
- 1,000円
- ホ
- 2,000円
- ヘ
- 5,000円
- ト
- 500万円
- チ
- 1,000万円
- リ
- 2,000万円
解答・解説を表示
解答
① イ ② ニ ③ リ
解説
小規模企業共済は、小規模企業の個人事業主や会社役員が退職金・生活資金を積み立てる制度です。業種区分に応じた従業員規模要件(商業・サービス業は5人以下、その他は20人以下)が定められており、掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となり、納付済掛金の範囲内で低利の共済契約者貸付を利用できます。
解き方
- 業種別の従業員要件を確認し、卸売業・小売業・サービス業の基準である「5人以下」を選択する。
- 毎月の掛金設定範囲が「1,000円~70,000円(500円刻み)」であることを確認する。
- 共済契約者向けの一般貸付限度額の上限が「2,000万円」であることを特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 商業(卸売業・小売業)およびサービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の常時使用する従業員数要件は5人以下です。
- 小問 ②:ニ
- 小規模企業共済制度の月額掛金は、最低1,000円から最高70,000円までの範囲内で500円単位で設定できます。
- 小問 ③:リ
- 共済契約者が利用できる一般貸付制度の借入限度額は、掛金納付月数に応じた範囲内(納付掛金の7~9割)で最高2,000万円です。
覚えるポイント
- 小規模企業共済の従業員要件:製造業・建設業等は20人以下、商業・サービス業は5人以下です。
- 掛金月額は1,000円~70,000円(500円単位)、全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)です。
- 一般貸付の上限額は2,000万円です。
間違えやすいところ
- iDeCoの最低掛金額(5,000円)と小規模企業共済の最低掛金額(1,000円)を取り違えること。
- 業種別の従業員要件(20人と5人)の適用業種を逆に覚えてしまうこと。
出題の前提:2020年4月1日現在施行法令および中小企業基盤整備機構規定
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定拠出年金(個人型年金・iDeCo)の仕組みと給付要件
ライフプランニングと資金計画 · 確定拠出年金 / iDeCo / 拠出限度額 / 給付要件
確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 個人型年金では、加入者はその個人別管理資産について、自己の責任において運用指図を行う。 ② 国民年金の第1号被保険者が個人型年金に加入する場合、掛金の拠出限度額は、年額27万6,000円となる。 ③ 原則として、老齢給付金は60歳になるまで受給することができず、個人別管理資産を途中で引き出すこともできない。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
確定拠出年金(iDeCo)は、加入者本人が掛金を拠出して自己責任で資産運用を行い、その運用結果に基づき給付を受ける年金制度です。被保険者種別によって拠出限度額が異なり、長期的な資産形成を促す税制上の優遇措置が講じられている一方、原則として60歳まで資産を引き出すことができない制約があります。
解き方
- 加入者の自己責任による運用指図の原則を確認し、記述①の正誤を判定する。
- 国民年金第1号被保険者におけるiDeCo掛金の拠出限度額(月額6万8,000円・年額81万6,000円)を確認し、記述②の誤りを判定する。
- 老齢給付金の受給開始可能年齢および途中引き出し不可の原則を確認し、記述③の正誤を判定する。
答えの内訳
- ①:○
- 確定拠出年金(個人型・企業型とも)において、加入者は提示された運用商品(預貯金、投資信託等)のなかから自ら選択し、自己の責任において運用指図を行います。
- ②:×
- 国民年金の第1号被保険者の個人型年金の掛金拠出限度額は月額6万8,000円(年額81万6,000円)です(国民年金基金の掛金等との合算枠)。年額27万6,000円(月額2万3,000円)は、企業年金等に加入していない第2号被保険者等の限度額です。
- ③:○
- 個人型確定拠出年金は老後の資産形成を主目的とした制度であるため、原則として60歳まで老齢給付金を受給できず、途中で中途引き出し(解約・脱退一時金の受給)を行うことも法令上の厳しい要件を満たさない限りできません。
覚えるポイント
- 第1号被保険者のiDeCo拠出限度額は月額6万8,000円(年額81万6,000円、付加保険料・国民年金基金と合算枠)。
- 確定拠出年金の老齢給付金は原則60歳まで受給できず、資産の中途引き出しも原則不可。
間違えやすいところ
- 第1号被保険者の限度額(月6.8万円)と、企業年金のない第2号被保険者の限度額(月2.3万円/年27.6万円)を取り違えやすいので注意する。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の投資指標(PER・PBR・ROE・配当性向)の計算と判定
金融資産運用 · PER / PBR / ROE / 配当性向
設例の<X社およびY社に関する資料>に基づき、説明文中の空欄①~④に入る最も適切な数値を〈数値群〉から選びなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。 「株式の代表的な投資指標として、PERやPBRがあります。X社株式のPERは( ① )倍であり、Y社株式の値を下回っています。また、Y社株式のPBRは( ② )倍であり、X社株式の値を上回っています。一般に、いずれも倍率が高いほど株価が割高であるといえますが、相対的な指標ですので、過去の推移や同業他社の数値、業界平均値などと比較するとよいでしょう。なお、経営効率を測る指標としてROEがありますが、X社のROEは( ③ )%となり、Y社の2倍以上の水準です。 次に、株主への利益還元度合いを示す指標として、配当性向があります。Y社の配当性向は( ④ )%であり、X社の2倍近い水準です」
- イ
- 1.44
- ロ
- 1.53
- ハ
- 5.45
- ニ
- 11.20
- ホ
- 12.86
- ヘ
- 28.00
- ト
- 32.14
- チ
- 63.33
解答・解説を表示
解答
① ホ ② ロ ③ ニ ④ チ
解説
株式の主要投資指標において、PER(株価収益率)は株価÷1株当たり当期純利益、PBR(株価純資産倍率)は株価÷1株当たり純資産で算出します。経営効率を測るROE(自己資本利益率)は当期純利益÷自己資本×100、株主還元度合いを示す配当性向は配当金総額÷当期純利益×100(または1株当たり配当金÷EPS×100)によって算出されます。
解き方
- X社のEPS(1,400億円÷5億株=280円)を求め、PER(3,600円÷280円≒12.86倍)を算出して空欄①を特定する。
- Y社のBPS(11,000億円÷8億株=1,375円)を求め、PBR(2,100円÷1,375円≒1.53倍)を算出して空欄②を特定する。
- X社のROE(当期純利益1,400億円÷自己資本12,500億円×100=11.20%)を計算して空欄③を特定する。
- Y社の配当性向(配当金総額380億円÷当期純利益600億円×100≒63.33%)を計算して空欄④を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ホ
- X社の1株当たり当期純利益(EPS)=1,400億円÷5億株=280円。PER=3,600円÷280円≒12.857倍となり、四捨五入して12.86倍です。
- 小問 ②:ロ
- Y社の1株当たり純資産(BPS)=11,000億円÷8億株=1,375円。PBR=2,100円÷1,375円≒1.527倍となり、四捨五入して1.53倍です。
- 小問 ③:ニ
- X社の自己資本利益率(ROE)=当期純利益1,400億円÷自己資本12,500億円×100=11.20%です。
- 小問 ④:チ
- Y社の配当性向=配当金総額380億円÷当期純利益600億円×100≒63.333%となり、四捨五入して63.33%です。
覚えるポイント
- PER=株価÷EPS(1株当たり純利益)、PBR=株価÷BPS(1株当たり純資産)。
- ROE=当期純利益÷自己資本×100、配当性向=配当金総額÷当期純利益×100。
間違えやすいところ
- X社とY社の数値を逆にして計算してしまうミスに注意する。
- 配当性向の計算で、総資産や純資産で割ってしまう初歩的ミスに注意する(利益に対する配当金の割合)。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
債券の利回り計算(直接利回り・最終利回り・所有期間利回り)
金融資産運用 · 債券投資 / 利回り計算 / 単利計算
設例の<Z社社債の条件>(購入価格:額面100円当たり100.90円、表面利率:0.55%、残存期間:5年)に基づき、①直接利回り、②償還まで保有した場合の最終利回り(年率・単利)、③2年後に額面100円当たり100.50円で売却した場合の所有期間利回り(年率・単利)をそれぞれ計算しなさい。なお、計算結果は表示単位のパーセント表示において小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで算出すること。税金や手数料等は考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
① 0.55%、② 0.37%、③ 0.35%
解説
債券の利回り計算(単利)では、1年あたりに受け取るインカムゲイン(表面利率)と、保有年数で按分した1年あたりのキャピタルゲイン/ロスを合算した年間収益を、投資元本である購入価格で除して年利回りを求めます。
解き方
- 設例から購入価格100.90円、表面利率0.55%、残存期間5年、売却条件(2年後100.50円)を正確に整理します。
- 各大問の利回り公式(直接利回り・最終利回り・所有期間利回り)に各数値を代入して年率換算の利回りを計算します。
- それぞれ計算結果のパーセント値における小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで算出します。
答えの内訳
- ①:0.55(%)
- 直接利回り=表面利率÷購入価格×100=0.55÷100.90×100=0.5450...%となり、小数点以下第3位を四捨五入すると0.55%となります。
- ②:0.37(%)
- 最終利回り={表面利率+(償還価格100円-購入価格)÷残存年数}÷購入価格×100={0.55+(100-100.90)÷5}÷100.90×100=(0.55-0.18)÷100.90×100=0.37÷100.90×100=0.3667...%となり、小数点以下第3位を四捨五入すると0.37%となります。
- ③:0.35(%)
- 所有期間利回り={表面利率+(売却価格-購入価格)÷所有年数}÷購入価格×100={0.55+(100.50-100.90)÷2}÷100.90×100=(0.55-0.20)÷100.90×100=0.35÷100.90×100=0.3468...%となり、小数点以下第3位を四捨五入すると0.35%となります。
覚えるポイント
- すべての単利利回り計算の分母は常に「購入価格」となります(額面100円ではありません)。
- 端数処理は最終的なパーセント値(%)に対して指示された桁数(小数点以下第3位四捨五入)で行います。
間違えやすいところ
- 分母に誤って額面100円を代入してしまうミスが頻発するため注意が必要です。
- 償還差損益や売却差損益の年数按分(割る残存年数・所有年数)の計算漏れに注意が必要です。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一般NISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る非課税措置)の仕組み
金融資産運用 · NISA / 配当金の非課税方式 / 損益通算の制限
「非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得および譲渡所得等の非課税措置(一般NISA)」に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。 ① NISA口座の非課税管理勘定に受け入れることができる上場株式等の限度額(非課税枠)は年間120万円であり、その配当金や譲渡益等の非課税期間は、当該非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長で7年間である。 ② NISA口座に受け入れた上場株式の配当金を非課税とするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択する必要がある。 ③ NISA口座内の上場株式等の譲渡損失の金額については、確定申告を行うことにより、特定口座内の上場株式等の譲渡益と通算することができる。
- ①
- NISA口座の非課税管理勘定に受け入れることができる上場株式等の限度額(非課税枠)は年間120万円であり、その配当金や譲渡益等の非課税期間は、当該非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長で7年間である。
- ②
- NISA口座に受け入れた上場株式の配当金を非課税とするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択する必要がある。
- ③
- NISA口座内の上場株式等の譲渡損失の金額については、確定申告を行うことにより、特定口座内の上場株式等の譲渡益と通算することができる。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ×
解説
一般NISAは年間120万円までの新規投資について最長5年間の譲渡益・配当金が非課税となる制度です。ただし配当金の非課税適用には株式数比例配分方式の選択が必須であり、発生した譲渡損失は税務上ないものとみなされるため他の課税口座との損益通算は一切認められません。
解き方
- 記述①の非課税枠(120万円)と非課税期間(5年)の制度要件を確認し、期間の誤りを判定します。
- 記述②の上場株式配当金の非課税受取要件(株式数比例配分方式の選択義務)を確認します。
- 記述③のNISA口座内で生じた損失の税務上の取扱い(損益通算および繰越控除の不可)を確認します。
- 選択肢 ①不正解
- 一般NISAの非課税期間は最長で5年間であり、記述の「最長で7年間」という点が誤りです。
- 選択肢 ②正解
- 上場株式の配当金をNISA口座で非課税とするためには、配当金の受取方法に「株式数比例配分方式」を選択しなければなりません。
- 選択肢 ③不正解
- NISA口座で生じた譲渡損失は税務上「ないもの」とされるため、確定申告を行っても特定口座等の譲渡益と通算することはできません。
答えの内訳
- ①:×
- 一般NISAの年間投資限度額は120万円ですが、非課税期間は最長で「5年間」です。7年間ではありません。
- ②:○
- NISA口座に受け入れた上場株式の配当金を非課税とするためには、証券会社を通じて配当金を受け取る「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。
- ③:×
- NISA口座内で生じた上場株式等の譲渡損失は、税務上生じなかったものとみなされるため、特定口座や一般口座等の課税口座で生じた配当等や譲渡益との損益通算はできず、繰越控除もできません。
覚えるポイント
- 一般NISAの非課税期間は最長5年間(つみたてNISAは最長20年間)。
- NISA口座で生じた損失は損益通算不可・繰越控除不可。
間違えやすいところ
- 配当領収証受取方式や登録配当金受領口座方式にしていると、NISA口座内の株式であっても配当金が課税されてしまう点を見落としやすいです。
- 確定申告をすればNISA口座の損失も通算できると誤認しやすいので注意が必要です。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
企業の財務分析(所要運転資金・財務比率)
中小事業主の財務分析 · 所要運転資金 / 流動比率 / 固定長期適合率 / インタレスト・カバレッジ・レシオ
X社の貸借対照表および損益計算書に基づき、各種経営指標等に関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい(計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること)。 ① X社の所要運転資金は760万円であり、同社の売上債権が10%減少すると所要運転資金は334万円増加する。 ② X社の純資産と自己資本を同額とした場合、同社の流動比率は110.13%であり、固定長期適合率は90.53%である。 ③ X社の営業外収益をすべて金融収益、営業外費用をすべて金融費用とした場合、同社のインタレスト・カバレッジ・レシオは9.33倍である。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
財務分析では、短期の支払能力を測る流動比率、設備投資が長期安定資金で賄われているかを評価する固定長期適合率、借入金等の利息支払能力を示すインタレスト・カバレッジ・レシオ、および営業活動に必要な所要運転資金の定義と算定式を正しく理解しておく必要があります。
解き方
- 所要運転資金(売上債権+棚卸資産-買入債務)において、控除された割引手形を加算した上で算定し、売上債権増減の影響方向を確認する。
- 貸借対照表の数値から流動比率および固定長期適合率を計算し、設問の数値と照合する。
- 損益計算書の数値からインタレスト・カバレッジ・レシオ(分子に営業利益と金融収益の合計、分母に金融費用)を計算して正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 所要運転資金(売上債権+棚卸資産-買入債務)を計算する際、割引手形(70万円)を加算した売上債権は3,410万円となります。所要運転資金は3,410万円+3,090万円-7,260万円=▲760万円(資金余剰)です。また、売上債権が減少すれば所要運転資金は減少するため、「334万円増加する」とする記述は誤りです。
- 小問 ②:○
- 流動比率は「流動資産11,740万円÷流動負債10,660万円×100≒110.13%」です。固定長期適合率は「固定資産10,330万円÷(自己資本5,410万円+固定負債6,000万円)×100≒90.53%」となり、記述の数値と合致するため適切です。
- 小問 ③:×
- インタレスト・カバレッジ・レシオは「(営業利益+金融収益)÷金融費用」で算出します。(営業利益1,980万円+金融収益190万円)÷金融費用210万円=2,170万円÷210万円≒10.33倍となるため、9.33倍とする記述は誤りです。
覚えるポイント
- 割引手形がある場合は売上債権に加算して所要運転資金を算出します。また、インタレスト・カバレッジ・レシオの分子は経常利益ではなく「営業利益+受取利息・配当金(金融収益)」です。
間違えやすいところ
- インタレスト・カバレッジ・レシオの計算で分子に経常利益を用いてしまう誤りや、売上債権の減少が運転資金の減少につながる関係を取り違えるミスに注意が必要です。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の課税所得金額および法人税額の計算
法人税 · 別表四の申告調整 / 課税所得金額 / 中小法人の軽減税率
X社の当期における法人税の課税所得金額の計算に関する資料(当期利益の額1,480万円、益金算入額32万円、益金不算入額29万円、損金算入額180万円、損金不算入額447万円)に基づき、課税所得金額および法人税額の計算式の空欄①~④に入る数値を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 1,750(万円) ② 800(万円) ③ 15(%) ④ 3,404,000(円)
解説
法人税の課税所得金額は、企業会計上の当期純利益に税務上の申告調整(益金算入・損金不算入を加算、益金不算入・損金算入を減算)を行って算出します。資本金1億円以下の中小法人は、年800万円以下の所得に15%の軽減税率、年800万円超の部分に本則税率23.2%が適用されます。
解き方
- 当期純利益に加算項目(益金算入額・損金不算入額)を加え、減算項目(益金不算入額・損金算入額)を控除して課税所得金額①を求める。
- 中小法人の軽減税率適用限度額②(800万円)および税率③(15%)を特定する。
- 年800万円以下の税額と年800万円超(23.2%)の税額を計算し、合算して法人税額④を算出する。
答えの内訳
- ①:1,750(万円)
- 課税所得金額は「当期利益+加算項目(益金算入額+損金不算入額)-減算項目(益金不算入額+損金算入額)」で計算します。1,480万円+(32万円+447万円)-(29万円+180万円)=1,750万円となります。
- ②:800(万円)
- 中小法人(資本金1,000万円)の法人税率において、軽減税率が適用される課税所得金額の基準上限は年800万円です。
- ③:15(%)
- 中小法人の年800万円以下の課税所得金額部分に適用される軽減税率は15%です。
- ④:3,404,000(円)
- 法人税額は、800万円×15%+(1,750万円-800万円)×23.2%=120万円+950万円×23.2%=120万円+220万4,000円=3,404,000円となります。
覚えるポイント
- 申告調整の加減算関係(加算=益金算入・損金不算入、減算=益金不算入・損金算入)と、中小法人の年800万円以下の軽減税率15%を確実に記憶しておきます。
間違えやすいところ
- 損金算入と損金不算入のプラスマイナスを逆にして計算する誤りや、800万円超の部分の税率計算で所得全体から800万円を引かずに掛けてしまうミスに注意が必要です。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
オープンイノベーション促進税制(特別勘定を設けた場合の損金算入特例)
タックスプランニング · オープンイノベーション促進税制 / 法人税の特別償却・準備金 / 損金算入
2020年度税制改正により創設された「特別新事業開拓事業者に対し特定事業活動として出資をした場合の課税の特例」(いわゆるオープンイノベーション促進税制)に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、〈語句群〉の中から選びなさい。 「特別新事業開拓事業者と共同して特定事業活動を行う一定の青色申告法人が、特別新事業開拓事業者が発行する特定株式を取得し、かつ、その取得した日を含む事業年度終了の日まで引き続き有している場合において、その株式の取得価額(1回の払込額のうち100億円を上限)の( ① )%に相当する額以下の金額を、特別勘定を設ける方法によって経理したときは、その事業年度の所得の金額を上限として、その経理した金額を損金の額に算入することができる。 本特例の適用を受けるためには、取得する株式の額に関して、外国法人の株式を除き、原則として1億円以上であることが要件となっているが、中小企業者が行う出資の場合、( ② )万円以上であれば要件を満たすことになっている。 なお、特定株式を取得から( ③ )以内に処分等した場合、所得の金額の計算上、所定の金額を益金の額に算入することになる。」 〈語句群〉 イ.25 ロ.35 ハ.50 ニ.500 ホ.800 ヘ.1,000 ト.5年 チ.7年 リ.10年
- イ
- 25
- ロ
- 35
- ハ
- 50
- ニ
- 500
- ホ
- 800
- ヘ
- 1,000
- ト
- 5年
- チ
- 7年
- リ
- 10年
解答・解説を表示
解答
① イ ② ヘ ③ ト
解説
オープンイノベーション促進税制は、青色申告法人が設立10年未満等のベンチャー企業の株式を取得した場合に、取得価額の25%を損金算入できる制度です。中小企業者の出資要件は1,000万円以上、保有継続要件は5年と定められています。
解き方
- 損金算入できる割合が株式取得価額の「25%」であることを確認し、①に「イ」を選択する。
- 出資の下限額について、一般企業は1億円以上、中小企業者は「1,000万円」以上であることから、②に「ヘ」を選択する。
- 株式の保有継続期間(処分した場合に特別勘定を取り崩して益金算入する期間)が「5年」以内であることから、③に「ト」を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- オープンイノベーション促進税制では、取得価額の25%以下を特別勘定に繰り入れた場合に損金算入が認められます。
- 小問 ②:ヘ
- 国内スタートアップ等への出資要件は原則1億円以上ですが、中小企業者が出資する場合は1,000万円以上とされています。
- 小問 ③:ト
- 特定株式を取得した日から5年以内に株式を譲渡・処分等した場合、損金算入した特別勘定を取り崩して益金算入する必要があります。
覚えるポイント
- オープンイノベーション促進税制の損金算入割合は25%
- 中小企業者の出資額下限は1,000万円以上(大企業は原則1億円以上)
- 5年以内の処分・譲渡等は益金算入
間違えやすいところ
- 出資下限額を大企業の要件である1億円と中小企業の特例である1,000万円で混同しやすい点
- 保有期間の制限を3年や10年と誤認しやすい点
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等(2020年度税制改正により導入された租税特別措置法に基づくオープンイノベーション促進税制)
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法(用途地域境界・建蔽率・容積率不算入・天空率)
不動産 · 用途地域のまたがり / 建蔽率の限度 / 共用廊下・階段の容積率不算入 / 天空率による道路斜線制限緩和
甲土地(近隣商業地域・指定建蔽率80%・面積300㎡)と乙土地(近隣商業地域100㎡・指定建蔽率80%、第一種住居地域200㎡・指定建蔽率60%)を一体利用する場合における建築基準法の規定に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 甲土地と乙土地を一体とした土地上に、近隣商業地域に属する部分と第一種住居地域に属する部分にまたがって建築物を建築する場合、その全部について、近隣商業地域の建築物の用途に関する規定が適用される。 ② 甲土地と乙土地を一体とした土地上に耐火建築物を建築する場合、建蔽率の上限となる建築面積は、429㎡である。 ③ 甲土地と乙土地を一体とした土地上に共同住宅を建築する場合、共用の廊下および階段の用に供する部分の床面積は、当該共同住宅の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の3分の1を限度として、建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入されない。 ④ 甲土地と乙土地を一体とした土地上に建築する建築物が、天空率により計算した採光、通風等が道路斜線制限により高さを制限された場合と同程度以上であるときは、道路斜線制限は適用されない。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ × ④ ○
解説
建築基準法における敷地のまたがりでは、用途制限は敷地の過半が属する地域の制限が適用されます。建蔽率は地域ごとの面積按分により計算し、共同住宅の共用廊下・階段は面積制限なく容積率算定の延べ面積から除外されます。また天空率の適合により斜線制限の適用が除外されます。
解き方
- ①について、敷地全体600㎡のうち近隣商業地域が400㎡で過半であるため、用途制限が近隣商業地域のものになることを確認し「○」とする。
- ②について、セットバック面積の控除および準防火地域内の耐火建築物緩和(近隣商業地域80%→100%、第一種住居地域60%→70%)を適用した建築面積の限度を算出し、429㎡ではないことを確認して「×」とする。
- ③について、共同住宅の共用廊下・階段の床面積不算入は限度額なし(3分の1限度ではない)であることを確認し「×」とする。
- ④について、天空率の基準を満たすことで道路斜線制限が適用除外となる規定を確認し「○」とする。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 建築物の敷地が異なる用途地域にまたがる場合、建築物の用途制限はその敷地の過半が属する地域の規定が敷地全体に適用されます。一体地の総敷地面積は600㎡(甲300㎡+乙300㎡)で、近隣商業地域が400㎡(300+100)と過半(300㎡超)を占めるため、建物全体に近隣商業地域の用途規定が適用されます。
- 小問 ②:×
- 3m市道に面するため道路後退(セットバック)が必要です。幅員3mの中心線から2m後退するため、敷地後退幅は0.5m、後退部分は乙土地(接道長20m)のうち「第一種住居地域」側(15m×0.5m=7.5㎡)ではなく、図面の長さ(近隣商業地域側5m、第一種住居地域側15m)等に該当します。近隣商業地域(準防火地域かつ指定建蔽率80%)は耐火建築物の建築により制限なし(100%)となり、第一種住居地域(指定60%)は耐火建築物で+10%(70%)となります。セットバック控除後の敷地面積に乗じる加重平均の建築面積上限は429㎡とはならず誤りです。
- 小問 ③:×
- 共同住宅の共用の廊下や階段の用に供する部分の床面積は、限度なく(全額)容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入されません。「3分の1を限度」とする規定はエレベーターその他の昇降機の昇降路部分や住宅等の地下室に対する制限であり、共用廊下・階段には限度額制限がありません。
- 小問 ④:○
- 建築基準法第56条第7項の規定により、天空率を用いて計算した位置における採光、通風等の環境が道路斜線制限に適合する建築物と同程度以上であると認められる場合は、道路斜線制限は適用されません。
覚えるポイント
- 用途地域のまたがり:敷地の過半が属する地域の用途規制を適用
- 共同住宅の共用廊下・共用階段:容積率算定基礎から限度なく全額不算入
- 天空率緩和:斜線制限(道路・隣地・北側)の適用が除外される
間違えやすいところ
- 共同住宅の共用廊下・階段を「住宅の地下室(3分の1限度)」や「自動車車庫(5分の1限度)」などの限度基準と混同しやすい点
- 用途地域のまたがりにおいて、過半主義(敷地の過半の地域)が適用されるのは用途制限であり、建蔽率・容積率は加重平均(面積按分)となる点
出題の前提:2020年4月1日現在施行の建築基準法(法第42条第2項、法第52条第6項、法第53条、法第56条第7項、法第91条)
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく容積率の上限延べ面積の計算
不動産 · 容積率制限 / 前面道路幅員による制限 / セットバック / 2以上の地域にわたる敷地
甲土地と乙土地を一体とした土地(接道:北側6m市道、東側3m市道(2項道路))に建築物を建築する場合、容積率の上限となる延べ面積を求める計算式の空欄①~③に入る数値を求めなさい。 <条件> ・北側道路:幅員6m市道、東側道路:幅員3m市道(建築基準法第42条第2項道路、中心線より2m後退、反対側は宅地) ・甲土地:300㎡、乙土地:300㎡(うち近隣商業地域100㎡、第一種住居地域200㎡) ・近隣商業地域:指定容積率300%、前面道路幅員の法定乗数6/10 ・第一種住居地域:指定容積率300%、前面道路幅員の法定乗数4/10 <計算式> 1.近隣商業地域部分の延べ面積の限度 (1) 容積率の判定 ・指定容積率:300% ・前面道路の幅員による容積率制限:( ① )% したがって、近隣商業地域部分において上限となる容積率は□□□%である。 (2) 延べ面積の限度の計算 □□□㎡×□□□%=□□□㎡ 2.第一種住居地域部分の延べ面積の限度 (1) 容積率の判定 ・指定容積率:300% ・前面道路の幅員による容積率制限:□□□% したがって、第一種住居地域部分において上限となる容積率は□□□%である。 (2) 延べ面積の限度の計算 ( ② )㎡×□□□%=□□□㎡ 3.一体地の延べ面積の限度 □□□㎡+□□□㎡=( ③ )㎡
解答・解説を表示
解答
① 360(%) ② 195(㎡) ③ 1,638(㎡)
解説
前面道路が2つ以上ある敷地の容積率の計算では、原則として最も広い道路の幅員を前面道路幅員として各地域の法定乗数を乗じます。また、建築基準法第42条第2項道路に面する敷地は、幅員4mを確保するためのセットバック部分が敷地面積から除外されます。敷地が2以上の用途地域にまたがる場合は、各地域ごとに算定した延べ面積の上限を合算して敷地全体の上限延べ面積を求めます。
解き方
- 基準となる前面道路幅員を決定します。北側6mと東側3mの道路に接しているため、最大幅員である6mを採用し、近隣商業地域の道路幅員制限は 6m×(6/10)=360% と計算します。
- 東側道路(幅員3m)の後退幅(セットバック)を計算します。道路中心線から2m後退するため、後退幅は (4m-3m)/2=0.5m となり、第一種住居地域部分(接道長10m)の後退面積は 0.5m×10m=5㎡、有効敷地面積は 200㎡-5㎡=195㎡ となります。
- 近隣商業地域部分の有効敷地面積(400㎡-0.5m×20m=390㎡)に適用容積率300%(指定300%≦道路360%)を乗じて1,170㎡、第一種住居地域部分(195㎡)に適用容積率240%(指定300%>道路240%)を乗じて468㎡を求め、両者を合計して一体地の上限延べ面積1,638㎡を算出します。
答えの内訳
- ①:360
- 2以上の前面道路がある場合、広い方の幅員(北側市道6m)を基準とします。近隣商業地域の前面道路幅員制限は、6m×6/10=360%となります。
- ②:195
- 第一種住居地域部分(乙土地の南側10m部分、200㎡)は、東側の2項道路(幅員3m)に接しているため、道路中心線から2mのセットバックが必要です。後退幅0.5m×接道長さ10m=5㎡が敷地面積から除外されるため、有効敷地面積は 200㎡-5㎡=195㎡ となります。
- ③:1,638
- 近隣商業地域部分の有効敷地面積は、甲土地300㎡+乙土地100㎡から東側セットバック分(0.5m×20m=10㎡)を控除した390㎡です。容積率は指定300%と幅員制限360%の小さい方で300%となり、延べ面積限度は 390㎡×300%=1,170㎡ です。第一種住居地域部分は容積率が指定300%と幅員制限(6m×4/10=240%)の小さい方で240%となり、延べ面積限度は 195㎡×240%=468㎡ です。一体地全体の上限延べ面積は 1,170㎡+468㎡=1,638㎡ となります。
覚えるポイント
- 2以上の前面道路があるときは最大幅員の道路を基準にして道路幅員制限を判定する。
- 2項道路の中心線からのセットバック面積は敷地面積に算入されない。
間違えやすいところ
- 狭い方の前面道路幅員(3m)を使って道路幅員制限を計算してしまうミス。
- セットバックが必要な接道長さを敷地全体と混同し、用途地域別の後退面積の按分を誤るミス。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の建築基準法等の法令
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定の資産の買換えの場合の課税の特例
不動産 · 特定の資産の買換え特例 / 長期所有資産の買換え / 圧縮記帳 / 面積制限
「特定の資産の買換えの場合の課税の特例」(租税特別措置法第65条の7)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 本特例のうち、長期所有資産の買換え(6号(旧7号)買換え)の場合、譲渡資産が土地であるときは、その土地の所有期間が譲渡した日の属する年の1月1日において10年を超えていなければ、本特例の適用対象とならない。 ② 本特例の適用を受けることにより、買換資産の帳簿価額を減額し、その減額した金額を損金の額に算入することができる金額の限度額(圧縮限度額)は、圧縮基礎取得価額に差益割合を乗じて得た額の50%相当額である。 ③ 土地の買換えにあたって、買い換えた土地の面積が譲渡した土地の面積の2倍を超える場合、原則として、その超える部分については本特例の対象とならない。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
法人が事業の用に供している特定の資産を譲渡し、一定期間内に特定の事業用資産を取得して事業の用に供した場合、「特定の資産の買換えの場合の課税の特例」により譲渡益の繰延べ(圧縮記帳)が認められます。長期所有資産の買換えでは譲渡資産の10年超所有要件、圧縮限度額の繰延割合(原則80%)、買換土地の面積制限(原則として譲渡土地の5倍以内)などの要件が定められています。
解き方
- 記述①の所有期間要件を確認します。長期所有の事業用資産の買換えでは、譲渡年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていることが要件であるため適切(○)と判定します。
- 記述②の圧縮限度額の繰延割合を確認します。圧縮限度額の計算における繰延割合は原則80%であり、50%ではないため不適切(×)と判定します。
- 記述③の買換土地の面積制限を確認します。買換土地の面積要件は原則として譲渡土地の面積の「5倍」以内であるため、2倍とする記述は不適切(×)と判定します。
答えの内訳
- ①:○
- 法人の長期所有資産の買換えの特例(租税特別措置法第65条の7第1項第6号)において、譲渡資産が土地等である場合は、譲渡の日の属する年の1月1日現在で所有期間が10年を超えている必要があります。
- ②:×
- 圧縮記帳における圧縮限度額は、圧縮基礎取得価額に差益割合を乗じ、さらに原則として80%(地域区分等の要件により70%または75%等の場合あり)を乗じて計算するため、50%相当額とする記述は誤りです。
- ③:×
- 買換資産である土地等の面積が、譲渡した土地等の面積の「5倍」を超える場合、原則としてその5倍を超える部分については本特例の対象外とされます。記述の「2倍」は誤りです。
覚えるポイント
- 特定の資産の買換え特例(長期所有)の所有期間は、譲渡年の1月1日において10年超であること。
- 買換資産の土地面積限度は譲渡土地面積の原則5倍以内、圧縮限度額の課税繰延割合は原則80%であること。
間違えやすいところ
- 買換土地の面積制限の「5倍」を「2倍」や「3倍」と誤認するミス。
- 圧縮限度額の課税繰延割合(原則80%)を低率な割合(50%など)と混同するミス。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の租税特別措置法等の法令
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の評価(類似業種比準価額と併用方式)
資産承継・相続・事業承継 · 取引相場のない株式の評価 / 類似業種比準方式 / 中会社の評価方式 / Lの割合
非上場会社であるX社(中会社の大、資本金5,000万円、発行済株式総数100,000株)の株式について、提示された計算式の空欄①~④に入る適切な数値を求めなさい。なお、計算式中の「□□□」は問題の性質上伏せられている。
解答・解説を表示
解答
① 0.6、② 500、③ 1,800、④ 0.9
解説
中会社に区分される取引相場のない株式は、類似業種比準価額に中会社の規模に応じた斟酌割合(0.6)と1株当たり資本金等の額を反映して計算した上で、原則として類似業種比準価額と純資産価額を「Lの割合」に応じて併用して評価します。
解き方
- 中会社における類似業種比準価額の斟酌割合(0.6)および1株当たり資本金等の額(5,000万円÷10万株=500円)を確認して空欄①・②を埋める。
- 比準要素の比率の合計平均から類似業種比準価額(250円×1.2×0.6×10=1,800円)を計算し空欄③を求める。
- 「中会社の大」に対応するLの割合(類似業種比準価額の併用割合)が0.90であることを適用して空欄④を埋める。
答えの内訳
- ①:0.6
- 類似業種比準価額の計算において乗じる斟酌割合は、会社規模区分に応じて定められており、大会社は0.7、中会社は0.6、小会社は0.5となります。X社は中会社(中会社の大)に該当するため、斟酌割合は0.6となります。
- ②:500
- X社の1株当たりの資本金等の額は、資本金等の額5,000万円を発行済株式総数100,000株で除して求められるため、500円となります。
- ③:1,800
- 比準割合は各比準要素の比率の平均であり、(4.8/4.0+36/30+360/300)÷3=(1.2+1.2+1.2)÷3=1.2です。これに類似業種の株価250円、斟酌割合0.6、資本金等の額の調整(500円/50円)を乗じると、250円×1.2×0.6×(500円/50円)=1,800円となります。
- ④:0.9
- 中会社の評価において類似業種比準価額と純資産価額を併用する際の類似業種比準価額の割合(Lの割合)は、中会社の大では0.90(0.9)と定められています。
覚えるポイント
- 類似業種比準価額の斟酌割合は大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5であること。
- 中会社のLの割合は大0.90、中0.75、小0.60であること。
間違えやすいところ
- 斟酌割合(大0.7・中0.6・小0.5)と、併用方式のLの割合(大0.9・中0.75・小0.6)の数値を混同しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の財産評価基本通達に基づいて解答すること。
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺留分の算定および遺留分に関する民法の特例
資産承継・相続・事業承継 · 遺留分算定の基礎財産 / 遺留分の割合 / 遺留分に関する民法の特例 / 経営承継円滑化法
遺留分に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① Aさんが、X社株式を長男Cさんに贈与し、贈与後にAさんの相続が開始した場合、贈与の時期にかかわらず、その贈与した株式の価額はすべて遺留分を算定するための財産の価額に算入される。 ② 仮に現時点(2020年9月13日)において、Aさんの相続が開始し、遺留分を算定するための財産の価額が2億4,000万円である場合、長女Dさんの遺留分の額は3,000万円となる。 ③ 長男Cさんが、Aさんから贈与を受けるX社株式について「遺留分に関する民法の特例」の適用を受ける場合、都道府県知事の確認を受け、家庭裁判所の許可を受ける必要がある。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
遺留分は兄弟姉妹以外の法定相続人に保障された最低限の相続財産の取り分です。また、事業承継を円滑化するための民法の特例(除外合意・固定合意)では、経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可という二段階の手続きが必須です。
解き方
- 記述①:改正民法における共同相続人に対する生前贈与の遺留分算定基礎への算入期間(原則として相続開始前10年間)を照合して判定する。
- 記述②:相続人の構成(配偶者と子2人)から総遺留分割合(1/2)および長女Dの遺留分割合(1/8)を求め、2億4,000万円に乗じて3,000万円となることを確認する。
- 記述③:経営承継円滑化法における遺留分特例の申請先(経済産業大臣の確認+家庭裁判所の許可)を確認し、都道府県知事とする誤りを判定する。
答えの内訳
- ①:×
- 2019年7月1日施行の改正民法により、共同相続人に対する生前贈与で遺留分算定の基礎財産に算入されるものは、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってした等の例外を除き、原則として相続開始前10年間にされたものに限られます。
- ②:○
- 相続人が配偶者と子の場合、遺留分全体の割合は財産の2分の1です。長女Dさんの法定相続分は4分の1(子の頭数2人で均等配分)であるため、遺留分割合は1/2×1/4=1/8となります。遺留分算定基礎財産2億4,000万円×1/8=3,000万円となり適切です。
- ③:×
- 経営承継円滑化法に基づく「遺留分に関する民法の特例」の適用を受けるには、後継者を含めた推定相続人全員の合意後1か月以内に「経済産業大臣の確認」を受け、確認を受けた日から1か月以内に「家庭裁判所の許可」を受ける必要があります(都道府県知事の確認ではありません)。
覚えるポイント
- 共同相続人に対する特別受益となる贈与の遺留分算定への算入は原則「相続開始前10年間」であること。
- 遺留分に関する民法の特例は「経済産業大臣の確認」と「家庭裁判所の許可」が必要であること(都道府県知事ではない)。
間違えやすいところ
- 事業承継税制の認定(都道府県知事)と、遺留分に関する民法の特例の確認(経済産業大臣)を混同しやすいため注意が必要です。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の民法および中小企業経営承継円滑化法に基づいて解答すること。
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税の特例
相続・事業承継 · 教育資金の一括贈与 / 贈与税の非課税特例 / 相続税の課税価格への加算
「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、〈語句群〉の中から選びなさい。 本特例は、30歳未満の個人が、教育資金に充てるため、直系尊属から所定の贈与を受けた場合、その価額のうち( ① )万円までの金額に相当する部分の価額について贈与税が非課税となる制度である。本特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の前年分の受贈者の所得税に係る合計所得金額が( ② )万円以下でなければならない。 なお、教育資金管理契約期間中に贈与者が死亡し、受贈者がその死亡前3年以内に教育資金の贈与を受けた場合、教育資金管理契約に係る非課税拠出額から教育資金支出額(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度)を控除した残額があるときは、その死亡の日において受贈者が( ③ )未満である場合などを除き、その残額のうち所定の額は、相続または遺贈により取得したものとみなされて相続税の課税対象となる。
- イ
- 500
- ロ
- 1,000
- ハ
- 1,500
- ニ
- 2,000
- ホ
- 2,500
- ヘ
- 18歳
- ト
- 23歳
- チ
- 30歳
解答・解説を表示
解答
① ハ ② ロ ③ ト
解説
祖父母等の直系尊属から子や孫に対して教育資金を一括信託等により拠出した場合、1人あたり最大1,500万円まで贈与税が非課税となります。富裕層への優遇偏重を防ぐため、受贈者の前年合計所得金額が1,000万円超である場合は適用不可となり、拠出後3年以内の死亡時の残額について受贈者が23歳未満等の例外を除き相続税が課税される見直しが行われています。
解き方
- 教育資金の一括贈与の非課税拠出上限額が受贈者1人あたり1,500万円(学校等以外は500万円)であることを確認し、空欄①に「ハ」を選択する。
- 適用を受けるための受贈者の前年分合計所得金額の要件が1,000万円以下であることを確認し、空欄②に「ロ」を選択する。
- 贈与者死亡前3年以内の拠出残額が相続税課税対象から除外される受贈者の年齢基準が「23歳未満」であることを確認し、空欄③に「ト」を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税限度額は、受贈者1人につき最大1,500万円までです(学校等以外へ支払われるものは500万円が上限)。
- 小問 ②:ロ
- 本特例を適用するには受贈者の前年分の所得要件があり、所得税に係る合計所得金額が1,000万円以下である必要があります。
- 小問 ③:ト
- 贈与者の死亡前3年以内に拠出された信託受益権等の残額について、死亡日において受贈者が23歳未満である場合や学校等に在学している場合などを除き、相続税の課税対象となります。
覚えるポイント
- 教育資金一括贈与の非課税限度額は受贈者ごとに1,500万円(学校等以外は500万円)。
- 受贈者の前年合計所得金額要件は1,000万円以下。
- 死亡前3年以内拠出残額の相続税課税除外は受贈者が23歳未満または学校等在学中など。
間違えやすいところ
- 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税限度額(1,000万円)と教育資金一括贈与(1,500万円)を混同しやすい。
- 死亡時課税の例外規定において、制度終了年齢である「30歳未満」と課税除外年齢である「23歳未満」を取り違えやすい。
出題の前提:2020年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2020年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

