日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の概要
特別支給の老齢厚生年金の受給要件および支給停止基準
ライフプランニングと資金計画 · 特別支給の老齢厚生年金 / 在職老齢年金 / 受給資格期間
MさんがAさんに対して説明した、65歳になるまでに受給できる老齢給付に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を〈数値群〉の中から選びなさい。 「老齢厚生年金の支給開始年齢は原則として65歳ですが、経過措置として、老齢基礎年金に係る( ① )年の受給資格期間を満たし、かつ、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることなどの所定の要件を満たしている方は、65歳到達前に特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。 1958年5月生まれのAさんは、原則として、( ② )歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。 なお、( ② )歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者としてX社に勤務する場合、特別支給の老齢厚生年金は、総報酬月額相当額と基本月額との合計額が( ③ )万円(2019年度の支給停止調整開始額)を超えるときは当該年金額の一部または全部が支給停止となります」 〈数値群〉 イ.10 ロ.20 ハ.25 ニ.28 ホ.46 ヘ.47 ト.62 チ.63 リ.64
- イ
- 10
- ロ
- 20
- ハ
- 25
- ニ
- 28
- ホ
- 46
- ヘ
- 47
- ト
- 62
- チ
- 63
- リ
- 64
解答・解説を表示
解答
① イ、② チ、③ ニ
解説
特別支給の老齢厚生年金は受給資格期間10年以上かつ被保険者期間1年以上で受給でき、男性は生年月日に応じて支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられています。また在職中の年金は在職老齢年金の仕組みにより基準額を超えると減額・停止されます。
解き方
- 受給資格期間の要件が10年であることを確認し、空欄①にイ(10)を特定します。
- Aさん(1958年5月生まれ・男性)の生年月日に対応する報酬比例部分の受給開始年齢が63歳であることを確認し、空欄②にチ(63)を特定します。
- 2019年度の60歳台前半の在職老齢年金における支給停止調整開始額が28万円であることを確認し、空欄③にニ(28)を特定します。
- 選択肢 イ正解
- 公的年金の受給資格期間は短縮特例により10年となっており、空欄①の正答です。
- 選択肢 ロ不正解
- 加給年金の要件である厚生年金被保険者期間20年などの数値であり、本問の空欄にはあてはまりません。
- 選択肢 ハ不正解
- 法改正前の受給資格期間である25年の数値であり、現在の要件としては誤りです。
- 選択肢 ニ正解
- 2019年度における低在老(60歳台前半)の支給停止調整開始額である28万円を示しており、空欄③の正答です。
- 選択肢 ホ不正解
- 在職老齢年金の高在老(65歳以降)の支給停止調整額(47万円・2019年度)等に類する数値であり、該当しません。
- 選択肢 ヘ不正解
- 2019年度における65歳以上の在職老齢年金の支給停止調整額である47万円であり、60歳台前半の基準額ではありません。
- 選択肢 ト不正解
- 男性昭和30年4月2日~昭和33年4月1日生まれの支給開始年齢である62歳であり、Aさんにはあてはまりません。
- 選択肢 チ正解
- 1958年(昭和33年)5月生まれの男性の報酬比例部分支給開始年齢である63歳を示しており、空欄②の正答です。
- 選択肢 リ不正解
- 男性昭和35年4月2日~昭和36年4月1日生まれの支給開始年齢である64歳であり、Aさんにはあてはまりません。
答えの内訳
- ①:イ
- 老齢年金の受給資格期間は、平成29年8月1日の法改正により従来の25年から「10年」に短縮されました。
- ②:チ
- 男性の場合、昭和33年(1958年)4月2日から昭和35年(1960年)4月1日生まれの人は「63歳」から報酬比例部分のみの支給が開始されます。
- ③:ニ
- 60歳台前半の在職老齢年金では、総報酬月額相当額と基本月額の合計額が「28万円」(2019年度の支給停止調整開始額)を超えると支給停止の対象になります。
覚えるポイント
- 受給資格期間は10年であること
- 男性昭和33年4月2日〜35年4月1日生まれは63歳支給開始
- 当時の60歳台前半の在職老齢年金支給停止調整開始額は28万円
間違えやすいところ
- 受給資格期間を法改正前の25年と混同してしまうミス
- 60歳台前半と65歳以降の在職老齢年金の支給停止基準額(28万円と47万円)を取り違える誤り
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
妻の特別支給の老齢厚生年金・任意加入・振替加算
ライフプランニングと資金計画 · 特別支給の老齢厚生年金 / 国民年金任意加入 / 振替加算
MさんがAさんに対して説明した、妻Bさん(1962年7月10日生まれ)が受給することができる公的年金制度からの老齢給付に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① 「1962年7月生まれの妻Bさんは、65歳到達前に報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます」 ② 「妻Bさんは、60歳以後、国民年金に任意加入し、国民年金の保険料を納付することにより、老齢基礎年金の年金額を増やすことができます」 ③ 「妻Bさんが65歳から老齢基礎年金を受給する場合、老齢基礎年金の額に振替加算額が加算されます」
解答・解説を表示
解答
① ○、② ×、③ ○
解説
特別支給の老齢厚生年金は女性の場合、男性より5年遅れて引き上げられています。老齢基礎年金を満額満たしている者は任意加入できません。また配偶者加給年金の対象となっていた配偶者が65歳になると老齢基礎年金に振替加算が支給されます。
解き方
- 記述①について、1962年7月生まれの女性の支給開始年齢(62歳)および厚生年金加入要件(1年以上)を満たしているか確認し、適切(○)と判定します。
- 記述②について、妻Bさんの20歳から60歳までの納付済期間を計算し、すでに480月を満たして満額受給となるため任意加入できないことを確認し、不適切(×)と判定します。
- 記述③について、夫Aさんの厚生年金期間が20年以上であり、妻Bさんが65歳到達時に加給年金から振替加算へと引き継がれる要件を満たすか確認し、適切(○)と判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 女性の場合、昭和37年(1962年)4月2日~昭和39年(1964年)4月1日生まれの人は62歳から報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金が支給されます。妻Bさんは10年間(1年以上)の被保険者期間を満たしているため受給できます。
- 小問 ②:×
- 妻Bさんは20歳から60歳までの40年間(480月)すべて保険料納付済期間(第2号または第3号被保険者)となるため老齢基礎年金は満額支給され、年金額を増やす目的で60歳以降に任意加入することはできません。
- 小問 ③:○
- 夫Aさんは厚生年金被保険者期間が20年以上あり、Aさんが受給する老齢厚生年金の加給年金額の対象となっている妻Bさんが65歳に到達した際、妻Bさんの老齢基礎年金に振替加算が加算されます。
覚えるポイント
- 女性の特別支給の老齢厚生年金のスケジュールは男性より5年遅れ
- 20歳から60歳までの480月がすべて納付済であれば国民年金の任意加入は不可
- 配偶者が65歳に達すると加給年金が終了し振替加算へ移行する
間違えやすいところ
- 女性の支給開始年齢を男性の生年区分と同じように計算してしまうミス
- 18歳から20歳までの厚生年金期間を老齢基礎年金の480月計算に含めてしまう混同(老齢基礎年金の枠は20歳以上60歳未満の480月)
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額の計算
公的年金・社会保険 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算 / 加給年金
設例のAさん(1958年5月11日生まれ)が、原則として65歳から受給できる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2019年度価額)について、計算手順の空欄①〜④に入る数値を求めなさい。 <計算の手順> 1.老齢基礎年金の年金額(円未満四捨五入):( ① )円 2.老齢厚生年金の年金額 (1)報酬比例部分の額(円未満四捨五入):( ② )円 (2)経過的加算額(円未満四捨五入):( ③ )円 (3)基本年金額(上記「(1)+(2)」の額):□□□円 (4)加給年金額(要件を満たしている場合のみ加算すること) (5)老齢厚生年金の年金額:( ④ )円
解答・解説を表示
解答
① 723,218(円)、② 1,224,761(円)、③ 57,262(円)、④ 1,672,123(円)
解説
老齢厚生年金を受給できる人が65歳に達したときの年金額は、老齢基礎年金と老齢厚生年金(報酬比例部分+経過的加算+加給年金)から構成されます。老齢基礎年金の月数は20歳以上60歳未満の厚生年金期間が反映され、経過的加算は定額部分(上限480月)と基礎年金額との差額を補正します。厚生年金期間が20年以上で要件を満たす配偶者がいれば加給年金が上乗せされます。
解き方
- 老齢基礎年金の月数として20歳以上60歳未満の厚生年金期間(480月-未加入35月=445月)を算定し、年金額を計算する。
- 2003年3月以前と4月以後の各期間について平均標準報酬(月)額に乗率と月数を乗じて合算し、報酬比例部分の額を計算する。
- 被保険者月数の上限480月を用いた定額部分から老齢基礎年金相当額を控除し、経過的加算額を計算する。
- 被保険者期間20年以上の要件および65歳未満の生計維持配偶者の存在を確認し、基本年金額に加給年金額を加算して老齢厚生年金額を算出する。
答えの内訳
- ①:723,218
- 老齢基礎年金の保険料納付済月数は、20歳以上60歳未満の厚生年金保険被保険者期間です。20歳から60歳までの480月から未加入期間35月を控除した445月となるため、780,100円×445月/480月=723,217.708…円となり、円未満四捨五入により723,218円となります。
- ②:1,224,761
- 報酬比例部分の額は、2003年3月以前分「300,000円×(7.125/1,000)×264月=564,300円」と2003年4月以後分「500,000円×(5.481/1,000)×241月=660,460.5円」の合計1,224,760.5円となり、円未満四捨五入により1,224,761円となります。
- ③:57,262
- 経過的加算額は、厚生年金の全被保険者月数505月(上限480月)に基づく定額部分から老齢基礎年金相当額を差し引いて求めます。「1,626円×480月-780,100円×(445月/480月)=780,480円-723,217.708…円=57,262.29…円」となり、円未満四捨五入により57,262円となります。
- ④:1,672,123
- 基本年金額は報酬比例部分1,224,761円+経過的加算57,262円=1,282,023円です。Aさんは被保険者期間が20年以上あり、65歳到達時に生計を維持している65歳未満の配偶者(妻Bさん)がいるため加給年金額390,100円が加算されます。合計で1,282,023円+390,100円=1,672,123円となります。
覚えるポイント
- 経過的加算の計算における被保険者期間の上限は480月である点。
- 加給年金額の加算対象となる配偶者は、厚生年金被保険者期間20年以上の受給権者により生計を維持されている65歳未満の者である点。
間違えやすいところ
- 老齢基礎年金の計算で、20歳未満や60歳以後の厚生年金加入月数を含めて計算してしまうミス。
- 経過的加算の第1項で、実月数(505月)のまま計算し、上限480月を適用し忘れるミス。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等(2019年度価額)
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
必要保障額の計算および定期保険特約付終身保険の死亡保険金額
リスク管理 · 必要保障額 / 定期保険特約付終身保険 / 特定疾病保障定期保険特約 / 傷害特約
設例の<条件>に基づき、Aさんが現時点で死亡した場合の必要保障額(空欄①)および、現在加入している定期保険特約付終身保険から妻Bさんに支払われる死亡保険金額(病気死亡等:空欄②、不慮の事故による死亡:空欄③)に入る数値を求めなさい。なお、空欄①の金額がマイナスになる場合は、金額の前に「▲」を記載すること。
解答・解説を表示
解答
① ▲280(万円)、② 2,500(万円)、③ 3,000(万円)
解説
必要保障額は「残された遺族に必要な支出見込額」から「公的年金や退職金・手持ち資産などの収入見込額」を差し引いて算出します。生命保険の死亡保障において、特定疾病保障定期保険特約は特定疾病で所定の状態になった場合のほか、死亡時にも同額の死亡保険金が支払われます。また、傷害特約は不慮の事故等による所定の死亡時に主契約や定期保険特約等に上乗せして支払われます。
解き方
- 妻の月額生活費(現在の50%)、余命年数、死亡整理資金等から遺族の総支出見込額を計算する。
- 死亡退職金等と公的年金受取総額から総収入見込額を計算し、支出から差し引いて必要保障額(マイナスの場合は▲)を算出する。
- 病気等の死亡時に支払われる保険(主契約+定期保険特約+特定疾病保障特約)の合計額を計算する。
- 不慮の事故による死亡時に上乗せされる傷害特約の保険金額を加算して事故死亡時の受取総額を計算する。
答えの内訳
- ①:▲280
- 支出見込額は、妻Bさんの生活費「35万円×50%×12カ月×32年=6,720万円」と死亡整理資金等500万円の合計で7,220万円です。収入見込額は、死亡退職金等2,000万円+公的年金等5,500万円=7,500万円です。必要保障額=支出見込額-収入見込額=7,220万円-7,500万円=▲280万円となります。
- ②:2,500
- 病気死亡など不慮の事故・所定の感染症以外の死亡の場合、終身保険200万円、定期保険特約2,000万円、特定疾病保障定期保険特約300万円(死亡保険金と同額)が支払われます。合計で200万円+2,000万円+300万円=2,500万円となります。
- ③:3,000
- 不慮の事故で180日以内に死亡した場合、病気死亡等で支払われる2,500万円(主契約+定期特約+特定疾病特約)に加えて、傷害特約の保険金額500万円が支払われます。合計で2,500万円+500万円=3,000万円となります。
覚えるポイント
- 必要保障額の算式:支出見込額(遺族生活費+死亡整理資金等)- 収入見込額(公的年金+退職金・金融資産)。
- 特定疾病保障定期保険特約は、特定疾病保険金を受け取らずに死亡した場合、同額の死亡保険金が支払われる。
間違えやすいところ
- 特定疾病保障定期保険特約を生前給付のみと誤認し、死亡保険金の合計額から除外してしまうミス。
- 病気死亡等の保険金計算に傷害特約の金額を含めてしまうミス。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的医療保険制度(一部負担割合・高額療養費・任意継続被保険者)
リスク管理 · 公的医療保険 / 一部負担金 / 高額療養費制度 / 健康保険任意継続被保険者
健康保険に加入する会社員Aさん(59歳)に対する公的医療保険制度の説明に関する次の記述①〜③について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。 ①「Aさんが病気などで医師の診察を受けた場合、医療費の一部負担金の割合は、原則3割となります。ただし、高額療養費制度により、一医療機関の窓口で支払う同一月内の一部負担金を、所定の自己負担限度額までとすることができます」 ②「高額療養費制度における自己負担限度額は、年齢および所得状況等に応じて決められています。同じ所得金額であっても、65歳未満の者と65歳以上70歳未満の者とで自己負担限度額の計算の区分は異なります」 ③「Aさんが定年退職により健康保険の被保険者資格を喪失した場合、一定期間、任意継続被保険者として加入することができます。任意継続被保険者となった場合は、原則として、在職中と同様の給付を受けられますが、高額療養費の支給は受けられません」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
公的医療保険の自己負担割合は小学校就学後から70歳未満まで原則3割であり、高額療養費の年齢区分も70歳未満と70歳以上で分かれています。また、退職後の任意継続被保険者は原則在職中と同様の高額療養費等を受給できますが、休業補償である傷病手当金や出産手当金は支給対象外となります。
解き方
- 70歳未満の患者の窓口負担割合(3割)と限度額適用認定証による窓口支払上限のルールを確認する。
- 高額療養費の年齢区分が「70歳未満」と「70歳以上」で設定されている点を確認し、65歳を境界とした区分の正誤を判断する。
- 任意継続被保険者に対して支給される給付(高額療養費は支給対象)と支給されない給付(傷病手当金等)を区別して正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 70歳未満の者の医療費の一部負担割合は原則3割です。また、事前に限度額適用認定証等の交付を受けて提示することで、同一医療機関の窓口での支払いを1カ月あたりの自己負担限度額までとすることができます。
- 小問 ②:×
- 高額療養費制度における自己負担限度額の区分は原則として「70歳未満」と「70歳以上」に分かれており、65歳未満と65歳以上70歳未満で区分が分かれているわけではありません。
- 小問 ③:×
- 健康保険の任意継続被保険者となった場合、原則として一般の被保険者と同様に療養の給付や高額療養費の支給を受けることができます(傷病手当金や出産手当金は原則として支給されません)。
覚えるポイント
- 高額療養費の区分は70歳未満と70歳以上で大きく分かれる(65歳での区分はない)。
- 任意継続被保険者は高額療養費を受給できるが、傷病手当金・出産手当金は原則受給できない。
間違えやすいところ
- 年金制度の65歳基準と混同して、高額療養費の自己負担限度額区分も65歳で分かれると誤認しやすい。
- 任意継続被保険者で支給されない傷病手当金・出産手当金と、支給される高額療養費を取り違えやすい。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の健康保険法および関連法令
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険の見直し(払済保険・先進医療特約・医療保険の動向)
リスク管理 · 生命保険の見直し / 払済保険 / 先進医療特約 / 医療保険の保障内容
生命保険の見直しの方法や提案を受けた終身医療保険の特徴に関する次の記述①〜③について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。 ①「現在加入している定期保険特約付終身保険を払済終身保険に変更した場合、付加されている特定疾病保障定期保険特約は消滅します。そのため、特定疾病などの重度の疾病に備える保障をどのように確保するか、検討事項の1つとなります」 ②「先進医療特約は、療養を受けた時点ではなく、当該特約に加入した時点で先進医療と定められていれば支払対象となります。一部の先進医療については費用が高額となるケースもありますので、先進医療特約の付加をご検討ください」 ③「保険会社各社は、入院給付金や手術給付金が定額で受け取れるタイプの医療保険や通院保障が手厚いものなど、最近の医療事情に合わせて、さまざまなタイプの医療保険を取り扱っています。保障内容や保障範囲をしっかりと確認したうえで、加入を検討されることをお勧めします」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
生命保険を払済保険に変更すると特約はすべて消滅するため特約保障の再構築が必要です。また、先進医療特約は療養を受けた時点の指定状況によって給付可否が判断される仕組みとなっています。
解き方
- 払済保険への変更に伴い、定期保険特約や特定疾病保障特約などの付加特約が消滅することを確認する。
- 先進医療特約の判定基準日が「契約時」ではなく「療養を受けた時点」であることを照合する。
- 医療実態の変化(入院短期化等)に伴う医療保険の多様化と、その保障確認の適切性を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 保険料の払込みを中止して払済保険に変更した場合、主契約のみが縮小された保障額で継続し、付加されていた各種特約は原則としてすべて消滅します。
- 小問 ②:×
- 先進医療特約の給付対象となる先進医療は、「加入した時点」ではなく「療養を受けた時点」において厚生労働大臣によって承認されているものが対象となります。
- 小問 ③:○
- 短期入院の増加に伴い、入院一時金などの定額給付型や通院特約を充実させた医療保険など多様な商品が開発されており、保障内容を精査して加入を検討することは適切です。
覚えるポイント
- 払済保険・延長保険への変更では、付加されていた各種特約は原則として消滅する。
- 先進医療特約の対象となる先進医療は「療養を受けた時点」で厚生労働大臣が認めている技術である。
間違えやすいところ
- 先進医療の判定時期を「保険契約時」と勘違いしやすい。
- 払済保険に変更した際に、特約も減額されて残ると誤解しやすい。
出題の前提:2019年10月1日現在の生命保険約款および実務慣行基準
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金に係る退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得 / 退職所得控除額 / 役員退職金
仮に、Aさんが役員在任期間(勤続年数)35年4カ月でX社を退任し、X社から役員退職金として4,000万円の支給を受けた場合、Aさんが受け取る退職所得の金額を算出するための計算式について、空欄①~④に入る適切な数値を求めなさい。なお、他に退職手当等の収入はなく、障害者となったことによる退職ではないものとする。 <退職所得控除額> ( ① )万円+( ② )万円×(□□□年-20年)=( ③ )万円 <退職所得の金額> (4,000万円-( ③ )万円)×□□□=( ④ )万円
解答・解説を表示
解答
① 800 ② 70 ③ 1,920 ④ 1,040
解説
退職所得控除額は、勤続年数20年以下の部分は年40万円(最低80万円)、20年超の部分は年70万円として計算し、勤続年数の1年未満の端数は切り上げます。役員等としての勤続年数が5年を超える場合、通常の退職所得と同様に控除後の金額に2分の1を乗じて退職所得の金額を求めます。
解き方
- 勤続年数35年4カ月の端数を1年に切り上げ、勤続年数を36年とする。
- 20年以下の控除額(40万円×20年=800万円)と20年超の控除額(70万円×16年=1,120万円)を合算して退職所得控除額1,920万円を算出する。
- 役員退職金4,000万円から控除額1,920万円を差し引き、2分の1を乗じて退職所得の金額1,040万円を求める。
答えの内訳
- ①:800
- 勤続年数が20年以下の部分に対する退職所得控除額は「40万円×勤続年数(20年まで)」であるため、40万円×20年=800万円となります。
- ②:70
- 勤続年数が20年を超える部分に対する退職所得控除額の計算において、1年あたりの控除額は「70万円」となります。
- ③:1,920
- 勤続年数35年4カ月は端数切上げにより36年となります。退職所得控除額は、800万円+70万円×(36年-20年)=800万円+1,120万円=1,920万円です。
- ④:1,040
- 退職所得の金額は「(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2」で計算します(勤続年数が5年を超えるため役員等でも2分の1計算が適用されます)。(4,000万円-1,920万円)×1/2=1,040万円となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の端数は月数単位であっても1年に切り上げて計算する。
- 勤続年数20年超の控除計算式は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」となる。
- 特定役員退職手当等(役員等勤続年数5年以下)でない限り、退職所得は2分の1を乗じる。
間違えやすいところ
- 勤続年数35年4カ月の端数4カ月を切り捨てて35年として計算してしまう誤り。
- 役員退職金であることから無条件で2分の1計算が適用されないと誤認してしまうミス(勤続5年超は2分の1が適用される)。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人が支払う定期保険等の保険料の経理処理(2019年通達改正)
リスク管理 · 法人契約の生命保険 / 定期保険の経理処理 / 最高解約返戻率 / 新通達の経過措置
定期保険の保険料に係る経理処理に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉の中から選びなさい。 「2019年6月28日に『定期保険等の保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合の取扱い』に関する通達が新設され、法人が支払う定期保険等の保険料の取扱いが変更されました。 当該通達によると、定期保険等の最高解約返戻率に応じて資産計上期間や資産計上額が決定されます。最高解約返戻率が( ① )%超70%以下の契約については、保険期間の前半4割に相当する期間に、当期分支払保険料の40%を資産に計上し、最高解約返戻率が70%超85%以下の契約については、保険期間の前半4割に相当する期間に、当期分支払保険料の60%を資産に計上します。最高解約返戻率が85%を超える契約については『当期分支払保険料×最高解約返戻率×70%(保険期間開始日から10年を経過する日までは90%)』の算式により、資産計上額が決定されます。また、最高解約返戻率が( ① )%以下の契約については、支払保険料の( ② )を損金の額に算入することができます。 なお、Aさんが現在加入している無配当逓増定期保険の2020年3月に支払う保険料について、当該通達の規定が適用( ③ )」 〈語句群〉 イ.40 ロ.50 ハ.60 ニ.3分の2 ホ.4分の3 へ.全額 ト.されます チ.されません
- イ
- 40
- ロ
- 50
- ハ
- 60
- ニ
- 3分の2
- ホ
- 4分の3
- へ
- 全額
- ト
- されます
- チ
- されません
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ヘ ③ チ
解説
法人が支払う定期保険等の保険料は、2019年の税制改正通達により最高解約返戻率に応じた資産計上ルール(50%以下は全額損金、50%超70%以下は40%資産計上、70%超85%以下は60%資産計上、85%超は返戻率×70%または90%を資産計上)に見直されました。ただし、2019年7月8日の施行日より前に加入した既契約には従来の経理処理が継続適用されます。
解き方
- 最高解約返戻率による区分基準を確認し、損金算入が認められる基準値が「50%」以下であることを特定する。
- 最高解約返戻率50%以下の支払保険料の損金算入割合が「全額」であることを確認する。
- 資料1の契約日(2012年3月1日)を確認し、新通達(2019年7月8日以後契約)の適用対象外(適用されない)である経過措置を適用する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 2019年改正通達において、最高解約返戻率が「50%」以下の定期保険等については、支払保険料の全額を損金算入することができます。
- 小問 ②:ヘ
- 最高解約返戻率が50%以下の契約については、支払保険料の「全額」を損金の額に算入することができます。
- 小問 ③:チ
- 2019年6月通達(7月8日施行)は施行日以後の新規契約に適用され、施行日前に締結された既契約(Aさんの契約は2012年3月締結)については従前の通達が引き続き適用されるため、新通達は適用「されません」。
覚えるポイント
- 新通達における定期保険の損金算入:最高解約返戻率50%以下は全額損金算入できる。
- 新通達は2019年7月8日以後の契約に適用され、既契約は従来の取扱いのままとなる。
間違えやすいところ
- 2019年7月8日前の既契約に対しても、新通達の施行後に支払う保険料から新ルールが適用されると勘違いしてしまう誤り。
出題の前提:2019年6月28日付法人税基本通達等の一部改正(2019年7月8日適用)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
逓増定期保険の仕組みと解約・変更時の経理処理
金融資産運用・タックスプランニング · 逓増定期保険 / 返戻率の推移 / 法人税の経理処理 / 現物支給
X社が契約している無配当逓増定期保険(契約日2012年3月1日、保険期間77歳満了、基本保険金額1億円、第9保険年度から逓増、年払保険料750万円、払込累計6,000万円、解約返戻金4,600万円)に関する次の記述①〜③について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。 ① 当該生命保険の単純返戻率は、逓増率変更年度の前後でピークを迎え、その後、保険期間満了時まで同程度の水準を維持しながら推移していく。 ② 現時点で当該生命保険を解約した場合、保険期間のうち当初6割相当期間内での解約であるため、解約時の資産計上額である3,000万円との差額1,600万円を雑収入として経理処理する。 ③ 勇退時に当該生命保険を払済終身保険に変更し、契約者をAさん、死亡保険金受取人をAさんの配偶者等に名義変更することで、終身保険契約を役員退職金の一部として現物支給することができる。
- ①
- 単純返戻率のピーク後の推移についての記述
- ②
- 当初6割期間内における解約時の経理処理についての記述
- ③
- 払済終身保険への変更と役員退職金としての現物支給についての記述
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
逓増定期保険は契約満了に向けて解約返戻金が減少して最終的にゼロになります。解約時には計上済みの資産勘定を取り崩し、受取額との差額を雑収入または雑損失として経理処理します。
解き方
- 逓増定期保険の返戻率推移の特性(ピーク後に急減して満了時にゼロになる)を確認する。
- 従来の税務取扱いに基づき、当初6割期間における資産計上残高(保険料累計6,000万円の50%=3,000万円)と解約返戻金の差額の益金処理を確認する。
- 払済保険への変更および退任役員への契約移転による現物支給の可否を判定する。
- 選択肢 ①不正解
- 逓増定期保険の返戻率は一定水準を維持するのではなく、ピーク後は満了日に向けて急激に低下します。
- 選択肢 ②正解
- 資産計上額3,000万円を取り崩し、解約返戻金4,600万円との差額1,600万円を雑収入に計上するため適切です。
- 選択肢 ③正解
- 払済終身保険に変更した後の契約を名義変更し、役員退職金として現物支給することは認められています。
答えの内訳
- ①:×
- 逓増定期保険の解約返戻率は、逓増率変更年度の前後にピークを迎えた後、満期に向けて急激に減少し満了時には0%となるため、同程度の水準を維持するわけではありません。
- ②:○
- 保険期間の当初6割相当期間内は支払保険料の2分の1を資産計上しているため、累計資産計上額は3,000万円です。受け取った解約返戻金4,600万円との差額1,600万円は雑収入として益金算入します。
- ③:○
- 契約中の保険を払済終身保険に変更したうえで名義を退任役員等に変更し、解約返戻金相当額を退職手当の現物支給として支給することは認められています。
覚えるポイント
- 逓増定期保険は定期保険であるため、保険期間満了時の解約返戻金はゼロになる点に注意する。
間違えやすいところ
- 解約返戻金がピーク後も満期まで維持されると終身保険と混同しないようにする。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業主における青色申告制度の要件と特典
タックスプランニング · 青色申告特別控除 / 棚卸資産の評価方法 / 低価法 / 帳簿書類の保存期間
所得税における青色申告制度に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 「事業所得に係る取引を正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出することにより、事業所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最高( ① )万円を控除することができます。なお、2020年分以後、( ① )万円を控除するためには、その年分の事業に係る帳簿等について電子帳簿保存法で定められた電磁的記録の備付けおよび保存をすることまたはその年分の所得税の確定申告書等の提出をe-Taxを使用して行うことが要件として追加されました。 青色申告者が適用を受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除のほかに、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の3年間の繰越控除、棚卸資産の評価について( ② )を選択できることなどが挙げられます。なお、青色申告者が備え付けるべき決算関係書類などの帳簿書類は、原則として( ③ )年間保存しなければなりません」 〈語句群〉 イ.2 ロ.5 ハ.7 ニ.10 ホ.55 ヘ.65 ト.原価法 チ.低価法
- イ
- 2
- ロ
- 5
- ハ
- 7
- ニ
- 10
- ホ
- 55
- ヘ
- 65
- ト
- 原価法
- チ
- 低価法
解答・解説を表示
解答
① ヘ ② チ ③ ハ
解説
所得税の青色申告制度では、複式簿記に基づく適正な記帳と申告を行う見返りとして、最高65万円の特別控除、損失の繰越控除、低価法の選択、専従者給与の必要経費算入など複数の税務上の特典が用意されています。
解き方
- 青色申告特別控除の最高限度額(正規の簿記・期限内申告)が65万円であることを特定する。
- 青色申告者のみに認められる棚卸資産の評価方法が低価法であることを確認する。
- 青色申告における帳簿書類(総勘定元帳・決算書類等)の原則的な保存義務期間が7年間であることを導く。
- 選択肢 イ不正解
- 空欄①・②・③のいずれの規定数値・用語にも該当しません。
- 選択肢 ロ不正解
- 保存期間には5年の書類もありますが、帳簿書類の原則的な保存期間は7年です。
- 選択肢 ハ正解
- 空欄③に当てはまります。帳簿や決算関係書類の保存期間は原則7年間です。
- 選択肢 ニ不正解
- 青色申告特別控除の簡易簿記による控除額は10万円ですが、本問の最高限度額ではありません。
- 選択肢 ホ不正解
- 2020年分以降でe-Tax要件等を満たさない場合の控除額は55万円ですが、最高控除額は65万円です。
- 選択肢 ヘ正解
- 空欄①に当てはまります。要件を満たした青色申告特別控除の最高額は65万円です。
- 選択肢 ト不正解
- 法定評価方法として原則用いられるのは原価法であり、特典として選択できるのは低価法です。
- 選択肢 チ正解
- 空欄②に当てはまります。青色申告者は棚卸資産の評価方法として低価法を選択できます。
答えの内訳
- ①:ヘ
- 正規の簿記の原則による記帳、貸借対照表等の添付、期限内申告を満たすことで受けられる青色申告特別控除の最高限度額は65万円です。
- ②:チ
- 青色申告者の税務上の特典として、棚卸資産の評価方法に「低価法」を選択することが認められています。
- ③:ハ
- 青色申告者が備え付けるべき帳簿書類(総勘定元帳や決算関係書類など)の保存期間は原則として7年間と定められています。
覚えるポイント
- 青色申告特別控除の最高額は65万円、原則的な帳簿書類の保存期間は7年間。
間違えやすいところ
- 白色申告でも可能な原価法と、青色申告の特典である低価法を取り違えないように注意する。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一時払変額個人年金保険の課税関係および公的年金控除・扶養控除の判定
タックスプランニング · 一時所得 / 公的年金等控除 / 扶養控除
Aさんおよび母Dさんの2019年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① Aさんが受け取った一時払変額個人年金保険の解約返戻金は、契約から10年以内の解約のため金融類似商品に該当し、源泉分離課税の対象となる。 ② 母Dさんの公的年金の収入金額は70万円であるため、公的年金等に係る雑所得の金額は算出されない。 ③ 母Dさんは65歳以上であるため、老人扶養親族に該当し、Aさんが適用を受けることができる母Dさんに係る扶養控除の額は58万円となる。
- ①
- Aさんが受け取った一時払変額個人年金保険の解約返戻金は、契約から10年以内の解約のため金融類似商品に該当し、源泉分離課税の対象となる。
- ②
- 母Dさんの公的年金の収入金額は70万円であるため、公的年金等に係る雑所得の金額は算出されない。
- ③
- 母Dさんは65歳以上であるため、老人扶養親族に該当し、Aさんが適用を受けることができる母Dさんに係る扶養控除の額は58万円となる。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
所得税における所得の種類・控除の適用判定では、保険商品の性質(定額か変額か)、年金受給者の年齢に応じた公的年金等控除額、および扶養親族の年齢区分(一般扶養親族は16歳以上、特定扶養親族は19歳以上23歳未満、老人扶養親族は70歳以上)を正確に把握することが重要です。
解き方
- 一時払変額個人年金保険の税制上の取扱いを確認し、金融類似商品(源泉分離課税)に該当せず総合課税の一時所得となることを判定する。
- 65歳以上の公的年金等控除額の最低額(120万円)と収入金額(70万円)を比較し、雑所得が0円になることを確認する。
- 老人扶養親族の年齢要件(70歳以上)を確認し、67歳の母Dさんは一般の控除対象扶養親族(控除額38万円)となることを判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 一時払変額個人年金保険は運用実績に応じて給付額が変動するため金融類似商品から除外されており、解約返戻金と払込保険料の差益は一時所得として総合課税の対象となります。
- 小問 ②:○
- 65歳以上の者の公的年金等控除額は最低120万円(2019年分)であるため、収入金額70万円から控除額を差し引くと所得は生じず、雑所得の金額は算出されません(0円)。
- 小問 ③:×
- 所得税法上の老人扶養親族は控除対象扶養親族のうちその年12月31日現在の年齢が70歳以上の者を指します。67歳の母Dさんは一般の控除対象扶養親族(控除額38万円)に該当します。
覚えるポイント
- 金融類似商品(源泉分離課税)に該当する一時払養老保険等は保険期間5年以内(または5年以内に解約)のものに限られ、変額保険は対象外。
- 老人扶養親族の年齢要件はその年の12月31日現在で「70歳以上」であること。
間違えやすいところ
- 65歳以上であれば老人扶養親族に該当すると誤認しやすいが、正しくは70歳以上である点に注意する。
- 一時払養老保険の5年以内解約による金融類似商品課税を変額年金保険にも適用されると混同しないようにする。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業主の所得税における総所得金額・扶養控除額・算出税額の計算
タックスプランニング · 一時所得の計算 / 総所得金額 / 扶養控除 / 所得税の税額計算
Aさんの2019年分の所得税の算出税額を計算した表の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 【前提条件】 ・事業所得の金額:6,000,000円 ・一時払変額個人年金保険の解約返戻金:7,000,000円(一時払保険料5,000,000円) ・一時払終身保険の解約返戻金:4,900,000円(一時払保険料5,000,000円) ・控除対象親族:妻Bさん(42歳・収入なし)、長男Cさん(16歳・収入なし)、母Dさん(67歳・公的年金収入70万円) ・所得控除合計額(b):2,000,000円(配偶者控除380,000円、基礎控除380,000円等を含む)
解答・解説を表示
解答
① 6,700,000(円) ② 760,000(円) ③ 512,500(円)
解説
総所得金額の計算において、同一年に生じた複数の一時所得の利益と損失は通算され、最高50万円の特別控除を控除した後の金額の2分の1が総所得金額に算入されます。また、課税総所得金額に超過累進税率を適用して算出税額を計算します。
解き方
- 解約した2つの保険の差益(+200万円)と差損(▲10万円)を通算して純差益190万円を算出し、特別控除50万円を控除した140万円の2分の1である70万円を事業所得600万円に加算して総所得金額(① 6,700,000円)を求める。
- 控除対象扶養親族となる長男C(16歳、38万円)と母D(67歳、38万円)の控除額を合算して扶養控除額(② 760,000円)を算出する。
- 総所得金額から所得控除額を差し引いて課税総所得金額(4,700,000円)を求め、速算表を適用して算出税額(③ 512,500円)を計算する。
答えの内訳
- ①:6,700,000
- 一時所得の総収入金額は700万円+490万円=1,190万円、支出金額は500万円+500万円=1,000万円となり、差引利益は190万円です。特別控除額50万円を引いた一時所得の金額は140万円となり、総所得金額に算入する額はその2分の1の70万円です。したがって総所得金額は事業所得600万円+70万円=6,700,000円となります。
- ②:760,000
- 長男Cさん(16歳)は一般の控除対象扶養親族として38万円、母Dさん(67歳・合計所得金額0円)も70歳未満のため一般の控除対象扶養親族として38万円が適用され、扶養控除の合計額は38万円+38万円=760,000円となります。
- ③:512,500
- 課税総所得金額は総所得金額6,700,000円-所得控除合計2,000,000円=4,700,000円です。速算表より4,700,000円×20%-427,500円=512,500円となります。
覚えるポイント
- 一時所得の総所得金額への算入割合は「(総収入金額-支出金額-特別控除50万円)× 1/2」であること。
- 同一年に生じた一時所得の内部通算(損失と利益の相殺)が可能であること。
間違えやすいところ
- 一時払終身保険の差損(▲10万円)を無視して変額年金の差益(200万円)のみで特別控除を引いてしまうミス。
- 一時所得の金額を2分の1にするのを忘れてそのまま総所得金額に加算してしまう計算ミス。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額 / 相続税の総額
現時点(2020年1月26日)において、Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額を計算し、下表の空欄①〜③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、相続税の課税価格の合計額は2億9,000万円とし、推定相続人は妻Bさん、長女Cさん、長男Dさんの3人とする。 ・相続税の課税価格の合計額:2億9,000万円 ・遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 ・課税遺産総額:□□□万円 ・相続税の総額の基となる税額 妻Bさん:□□□万円 長女Cさん:( ② )万円 長男Dさん:□□□万円 ・相続税の総額:( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 4,800(万円)、② 1,115(万円)、③ 5,370(万円)
解説
相続税の総額は、課税遺産総額を実際の遺産分割割合ではなく法定相続分に応じて按分した額に各税率を適用し、それらを合算して求めます。
解き方
- 法定相続人の数を確認し、遺産に係る基礎控除額を計算して課税遺産総額を求めます。
- 課税遺産総額を各相続人の法定相続分で按分し、速算表を適用して各人の相続税額を算出して合算します。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求められます。本問の法定相続人は妻Bさん、長女Cさん、長男Dさんの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:1,115
- 課税遺産総額は2億9,000万円-4,800万円=2億4,200万円です。これを法定相続分(妻Bさん1/2、長女Cさん1/4、長男Dさん1/4)で按分すると、長女Cさんの法定相続分に応ずる取得金額は2億4,200万円×1/4=6,050万円となります。速算表より、税額は6,050万円×30%-700万円=1,115万円となります。
- ③:5,370
- 各人の税額を求めます。妻Bさんは2億4,200万円×1/2=1億2,100万円に対し、1億2,100万円×40%-1,700万円=3,140万円です。長男Dさんは長女Cさんと同額の1,115万円です。これらを合計した相続税の総額は、3,140万円+1,115万円+1,115万円=5,370万円となります。
覚えるポイント
- 基礎控除額の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。
間違えやすいところ
- 実際の遺産分割割合ではなく、必ず民法上の法定相続分で按分して各税額を計算する点に注意が必要です。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
未分割遺産・生命保険非課税限度額・自筆証書遺言の要件
相続・事業承継 · 未分割遺産に対する特例の適用制限 / 死亡保険金の非課税限度額 / 自筆証書遺言の方式
Aさんの相続等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 相続人間で争いが起こり、相続税の申告期限までに遺産分割協議が調わなかった場合、相続税の申告時において、未分割の財産に対して『配偶者に対する相続税額の軽減』や『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることができない。 ② 契約者(=保険料負担者)および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を法定相続人とする終身保険に加入されることをお勧めします。終身保険に加入後、Aさんの相続が開始した場合、相続人が受け取る死亡保険金は1,500万円を限度として、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができる。 ③ 円滑な遺産分割のための手段として遺言書の作成をお勧めします。自筆証書遺言は、その遺言の全文および財産目録をパソコンで作成し、日付および氏名を自書して押印することで作成することができる。
解答・解説を表示
解答
① ○、② ○、③ ×
解説
未分割財産に対する税法上の優遇措置の制限、生命保険金の非課税枠の計算要件、および自筆証書遺言の自書要件の例外範囲を正しく理解しておく必要があります。
解き方
- 申告期限までに遺産が未分割である場合の税務上の特例適用の可否を判定します。
- 法定相続人の人数から生命保険金の非課税限度額を計算します。
- 民法改正による自筆証書遺言の緩和内容(自書不要な部分の範囲)を確認します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 適切です。申告期限までに遺産分割協議が調わない未分割の財産については、原則として申告時において配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用を受けることはできません。
- 小問 ②:○
- 適切です。被相続人の死亡により相続人が取得した生命保険金は、「500万円×法定相続人の数」まで非課税となります。Aさんの法定相続人は妻・長女・長男の3人であるため、500万円×3人=1,500万円が非課税限度額となります。
- 小問 ③:×
- 不適切です。2019年1月施行の民法改正により財産目録についてはパソコン等で作成することが可能となりましたが、遺言の「全文」「日付」「氏名」は遺言者が自書しなければならず、全文をパソコンで作成した遺言は無効となります。
覚えるポイント
- 自筆証書遺言でパソコン作成が認められるのは「財産目録」のみであり、本文・日付・氏名は自書が必須です。
間違えやすいところ
- 自筆証書遺言の方式緩和により、遺言書本文までパソコン作成可能になったと誤解しないように注意しましょう。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生前贈与における各制度の控除額・非課税限度額および税率
資産承継・生前贈与 · 暦年課税 / 相続時精算課税制度 / 教育資金の一括贈与の非課税
生前贈与に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を、〈数値群〉の中から選びなさい。 Ⅰ「Aさんが生前贈与を実行するにあたっては、暦年課税制度による贈与、相続時精算課税制度による贈与、教育資金の非課税制度を活用した贈与などが考えられます。暦年贈与の場合、その年分の贈与税の課税価格から基礎控除額として最高( ① )万円を控除することができます。相続時精算課税制度を選択した場合、累計で( ② )万円までの贈与について贈与税は課されませんが、その額を超える部分については、一律( ③ )%の税率により贈与税が課されます」 Ⅱ「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の適用を受けた場合、受贈者1人につき( ④ )万円までは贈与税が非課税となります」 〈数値群〉 イ.15 ロ.20 ハ.25 ニ.100 ホ.110 ヘ.150 ト.1,000 チ.1,500 リ.2,000 ヌ.2,500 ル.3,000
- イ
- 15
- ロ
- 20
- ハ
- 25
- ニ
- 100
- ホ
- 110
- ヘ
- 150
- ト
- 1,000
- チ
- 1,500
- リ
- 2,000
- ヌ
- 2,500
- ル
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解答・解説を表示
解答
① ホ、② ヌ、③ ロ、④ チ
解説
生前贈与における主要な課税方式や特例制度には、それぞれ固有の非課税枠・特別控除額・適用税率が定められており、受贈者ごとの限度額や要件を正確に把握しておく必要があります。
解き方
- 暦年課税の基礎控除額(年110万円)を確認し、空欄①に該当する記号(ホ)を選択する。
- 相続時精算課税制度の特別控除限度額(累計2,500万円)および超過分の税率(一律20%)を確認し、空欄②(ヌ)と空欄③(ロ)を選択する。
- 教育資金の一括贈与の非課税限度額(受贈者1人につき最高1,500万円)を確認し、空欄④(チ)を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ホ
- 暦年課税制度において、受贈者1人あたり年間に控除できる基礎控除額は最高110万円です。
- 小問 ②:ヌ
- 相続時精算課税制度における特別控除額は、同一の特定贈与者からの贈与につき累計で2,500万円です。
- 小問 ③:ロ
- 相続時精算課税制度において特別控除額(累計2,500万円)を超えた部分の税率は、一律20%となります。
- 小問 ④:チ
- 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度では、受贈者1人につき最高1,500万円までが非課税となります。
覚えるポイント
- 暦年課税の基礎控除は年110万円であること。
- 相続時精算課税は累計2,500万円まで非課税、超過分は一律20%の税率であること。
- 教育資金の一括贈与の非課税限度額は受贈者1人あたり最高1,500万円(学校等以外は500万円限度)であること。
間違えやすいところ
- 教育資金の一括贈与の限度額(1,500万円)と結婚・子育て資金の一括贈与の限度額(1,000万円)を取り違えるミス。
- 相続時精算課税制度の超過税率(一律20%)を暦年課税の累進税率と混同するミス。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の税法基準に基づく贈与税の各規定
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2020年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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