日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給額等の計算
ライフプランニングと資金計画 · 公的年金 / 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 加給年金
Aさん(39歳、個人事業主)の公的年金加入歴(60歳までの見込みを含む:学生納付特例30月、2003年4月以後の厚生年金173月・平均標準報酬額28万円、第1号納付済277月)に基づき、Mさんが説明した文章の空欄①~③に入る適切な数値を計算しなさい(2019年度価額、円未満四捨五入)。 Ⅰ「Aさんが65歳から受給できる老齢基礎年金の額は( ① )円となります」 Ⅱ「Aさんが65歳から受給できる老齢厚生年金の額は( ② )円となります。なお、厚生年金保険の被保険者期間が( ③ )年以上ありませんので、配偶者に係る加給年金額の加算はありません」
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解答
① 731,344(円) ② 265,637(円) ③ 20(年)
解説
老齢基礎年金の額は保険料納付済月数等に応じて計算され、学生納付特例期間は追納しない限り年金額に反映されません。老齢厚生年金は報酬比例部分と経過的加算からなり、加給年金額の加算には原則20年以上の厚生年金加入期間が求められます。
解き方
- 公的年金加入歴から、老齢基礎年金の保険料納付済月数(173月+277月=450月)を特定し、資料の計算式により満額780,100円×(450/480)を算出して四捨五入する。
- 老齢厚生年金の報酬比例部分(280,000円×5.481/1,000×173月)と経過的加算額(1,626円×173月-780,100円×173/480)をそれぞれ四捨五入して合算する。
- 老齢厚生年金における加給年金の加算要件となる厚生年金被保険者期間の原則年数(20年)を確認する。
答えの内訳
- ①:731,344
- 老齢基礎年金の保険料納付済月数は、厚生年金期間173月と第1号納付済期間277月を合計した450月です(学生納付特例期間30月は受給資格期間には算入されますが受給額には反映されません)。式:780,100円×(450月/480月)=731,343.75円となり、円未満を四捨五入して731,344円となります。
- ②:265,637
- 老齢厚生年金の報酬比例部分は2003年4月以後のみであり、280,000円×(5.481/1,000)×173月=265,499.64円(円未満四捨五入で265,500円)です。経過的加算額は1,626円×173月-780,100円×(173月/480月)=281,298円-281,161.04…円=136.95…円(四捨五入で137円)となります。合計して265,500円+137円=265,637円となります。
- ③:20
- 老齢厚生年金に配偶者加給年金額が加算されるためには、受給権者本人の厚生年金保険の被保険者期間が原則として20年(240月)以上あることが必要です。Aさんは173月(約14年5カ月)であるため要件を満たしません。
覚えるポイント
- 学生納付特例期間は受給資格期間には算入されるが、老齢基礎年金の年金額計算には反映されない。
- 配偶者加給年金額の加算要件は、原則として厚生年金保険の被保険者期間が20年(240月)以上であること。
間違えやすいところ
- 学生納付特例の月数(30月)を老齢基礎年金の納付済月数に誤って加算してしまう。
- 経過的加算の計算を失念し、報酬比例部分のみを老齢厚生年金の受給額としてしまう。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等および2019年度年金額基準
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業主の老後資金準備制度(付加年金・国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済)
ライフプランニングと資金計画 · 付加年金 / 国民年金基金 / 個人型確定拠出年金 / 小規模企業共済
個人事業主の老後の収入を増やすための各種制度(付加年金、国民年金基金、iDeCo、小規模企業共済)に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群から選びなさい。 Ⅰ「Aさんが付加保険料を180月納付し、65歳から老齢基礎年金を受け取る場合、付加年金として( ① )円が上乗せされます」 Ⅱ「国民年金基金の掛金の拠出限度額は月額( ② )円となります。なお、( ③ )に加入している場合は、その掛金と合わせて月額( ② )円が上限となります。また、国民年金基金に加入した場合は付加保険料を納付できません」 Ⅲ「小規模企業共済制度の毎月の掛金は、1,000円から( ④ )円の範囲内(500円単位)で選択できます」
- イ
- 20,000
- ロ
- 23,000
- ハ
- 30,000
- ニ
- 36,000
- ホ
- 54,000
- ヘ
- 68,000
- ト
- 70,000
- チ
- 72,000
- リ
- 中小企業退職金共済制度
- ヌ
- 確定拠出年金の個人型年金
- ル
- 小規模企業共済制度
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解答
① ニ、② ヘ、③ ヌ、④ ト
解説
個人事業主(第1号被保険者)は、公的年金の上乗せとして付加年金、国民年金基金、iDeCo、退職金準備として小規模企業共済を活用できます。付加年金と国民年金基金は重複加入できず、国民年金基金とiDeCoは合算で月額68,000円が限度となります。
解き方
- 付加年金の受給額計算式「200円×納付月数」に基づき、180月分の金額(36,000円=ニ)を求める。
- 国民年金基金の掛金限度額(月額68,000円=ヘ)と、枠を共有する制度(個人型確定拠出年金/iDeCo=ヌ)を特定する。
- 小規模企業共済の掛金月額の上限(70,000円=ト)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ニ
- 付加年金の年金額は「200円×付加保険料納付済月数」で算出されるため、200円×180月=36,000円が老齢基礎年金に上乗せされます。
- 小問 ②:ヘ
- 国民年金の第1号被保険者が加入できる国民年金基金の掛金限度額は、月額68,000円(年額816,000円)です。
- 小問 ③:ヌ
- 確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)と国民年金基金は共通の拠出限度枠となっており、両制度の掛金を合算して月額68,000円が上限となります。
- 小問 ④:ト
- 小規模企業共済制度の毎月の掛金は、1,000円から70,000円までの範囲内(500円単位)で加入者が自由に選択できます。
覚えるポイント
- 付加年金の年金額は「200円×納付済月数」(付加保険料は月額400円なので2年受給で元が取れる)。
- 第1号被保険者の国民年金基金とiDeCoの掛金は合算して月額68,000円以内。
間違えやすいところ
- 付加保険料の額(月額400円)と受給する付加年金額(年額200円×月数)を混同する。
- 小規模企業共済の掛金上限(月額70,000円)と国民年金基金の掛金上限(月額68,000円)を取り違える。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金の繰上げ請求・付加保険料や基金の前納・小規模企業共済掛金の控除
ライフプランニングと資金計画 · 老齢年金の繰上げ支給 / 国民年金保険料の前納割引 / 小規模企業共済等掛金控除
MさんがAさんに対して説明した、公的年金制度および関連制度の各種取扱いに関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 「Aさんは、60歳以後、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰上げ支給を請求することができます。仮に、Aさんが62歳0カ月で老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰上げ支給を請求した場合の減額率は18.0%となります」 ② 「国民年金の定額保険料を前納した場合、前納期間に応じて保険料の割引がありますが、国民年金の付加保険料や国民年金基金の掛金については、前納による割引制度はありません」 ③ 「小規模企業共済制度の掛金は、その全額を、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することができます」
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解答
① ○ ② × ③ ×
解説
公的年金の繰上げ請求を行うと生涯にわたり年金が減額されます。また、各種社会保険料や年金基金掛金の前納割引制度、自営業者のための小規模企業共済制度における所得控除等の税制上の優遇措置を正しく把握することが重要です。
解き方
- 老齢年金の繰上げ支給要件と月あたりの減額率(0.5%)に基づき、62歳0カ月時点での減額率(36カ月分)を計算する。
- 付加保険料や国民年金基金の掛金における前納制度適用の有無を確認する。
- 小規模企業共済の掛金が所得税法上の「必要経費」か「小規模企業共済等掛金控除」かを区分して判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰上げ支給は原則として同時に請求する必要があります。繰上げによる減額率は請求月から65歳到達月の前月までの月数に0.5%(2019年度施行法令)を乗じて計算するため、62歳0カ月で請求した場合、繰上げ月数は36カ月となり、減額率は「0.5%×36カ月=18.0%」となるため適切です。
- 小問 ②:×
- 国民年金の定額保険料だけでなく、国民年金の付加保険料や国民年金基金の掛金についても、前納を行うことで所定の割引が適用される制度が設けられているため不適切です。
- 小問 ③:×
- 小規模企業共済制度の掛金は、事業所得の必要経費に算入するのではなく、所得控除の1つである「小規模企業共済等掛金控除」として総所得金額等から全額を控除するため不適切です。
覚えるポイント
- 年金の繰上げ減額率は月0.5%(法改正前基準)、繰下げ増額率は月0.7%。
- 小規模企業共済掛金は必要経費ではなく「小規模企業共済等掛金控除」として全額所得控除。
間違えやすいところ
- 小規模企業共済の掛金を事業所得の必要経費と混同しやすい。
- 国民年金の付加保険料や国民年金基金には前納割引がないと誤解しやすい。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
債券の格付・金利リスクおよび外貨定期預金の利息計算
金融資産運用 · 債券の格付基準 / 金利変動と債券価格の関係 / 外貨定期預金の利息計算
MさんがAさんに対して説明した、国内大手企業が発行するX社債および米ドル建定期預金に係る留意点に関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 <米ドル建定期預金に関する資料> ・預入金額:50,000米ドル ・預入期間:3カ月 ・利率(年率):1.8%(満期時一括支払) ① 「X社債の格付は、A(シングルA)と評価されています。一般に、BBB(トリプルB)格相当以上の格付が付されていれば、投資適格債とされます」 ② 「円建ての債券投資では、信用リスクや金利リスクに注意が必要です。一般に、市場金利が低下する局面では、債券価格は下落します」 ③ 「外貨預金の魅力は、円建ての預金と比べて相対的に金利が高いことにあります。《設例》の米ドル建定期預金の場合、Aさんが満期時に受け取ることができる利息額(税引前)は、900米ドルになります」
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解答
① ○ ② × ③ ×
解説
公社債投資における格付の定義(BBB格以上が投資適格)と金利と債券価格の逆相関関係、ならびに外貨預金などの期間按分を伴う利息計算の仕組みを理解することが重要です。
解き方
- 信用格付の定義を確認し、BBB格以上が投資適格債に該当するかを判定する。
- 市場金利の変動が固定利付債の流通価格に及ぼす影響(逆の相関関係)を確認する。
- 外貨預金の預入金額、年利率、預入月数(3カ月=3/12年)から税引前の満期時受取利息を計算する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 債券の信用格付において、一般にBBB(トリプルB)格相当以上の格付が付されている債券は「投資適格債」、BB(ダブルB)格相当以下の格付が付されている債券は「投資不適格債(投機的格付債・ハイイールド債)」と区分されるため適切です。
- 小問 ②:×
- 債券価格と市場金利は逆に動く関係にあります。市場金利が低下する局面では、発行済み債券の利率の相対的な魅力が高まるため、債券価格は「上昇」します。下落するとしている記述は不適切です。
- 小問 ③:×
- 利息額は「預入金額×利率(年率)×預入期間/12」で計算します。本問では「50,000米ドル×1.8%×3/12=225米ドル」となり、900米ドルは年利息(1年分)の計算であるため不適切です。
覚えるポイント
- BBB(トリプルB)格以上が投資適格、BB(ダブルB)格以下が投機的格付(投資不適格)。
- 市場金利が上昇すると債券価格は下落し、市場金利が低下すると債券価格は上昇する。
間違えやすいところ
- 金利低下時に債券価格も低下すると誤って同方向に連動すると考えてしまう。
- 定期預金の利息計算で年率をそのまま乗じてしまい、預入月数(3カ月/12カ月)の期間按分を忘れる。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
債券の最終利回りと外貨定期預金の円換算利回りの計算
金融資産運用 · 最終利回り / 外貨定期預金の運用利回り
次の設例の条件に基づいて、①および②を計算しなさい。なお、税金等は考慮せず、結果は%表示の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで解答すること。 <円建てのX社債に関する資料> ・購入価格:104.5円(額面100円当たり) ・表面利率:2.0% ・残存期間:5年 ・償還価格:100円 <米ドル建定期預金に関する資料> ・預入金額:50,000米ドル ・預入期間:3カ月(0.25年として計算) ・利率(年率):1.8%(満期時一括支払) ・為替予約なし ・適用為替レート(円/米ドル): 預入時:TTS 110.00円、TTM 109.50円、TTB 109.00円 満期時:TTS 112.00円、TTM 111.50円、TTB 111.00円 ① AさんがX社債を購入した場合の最終利回り(年率・単利)を求めなさい。 ② Aさんが円貨を米ドルに換えて米ドル建定期預金に50,000米ドルを預け入れ、満期を迎えた場合の円ベースでの運用利回り(単利による年換算)を求めなさい。
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解答
① 1.05(%) ② 5.45(%)
解説
債券の最終利回りは、既発債を購入して償還まで保有したときの総合的な年利回りを単利で計算します。また、外貨預金を円貨から預け入れて満期に円貨で受け取る際は、預入時には顧客が外貨を買うTTSレート、満期時には顧客が外貨を売るTTBレートを用い、得られた円ベースの収益率を運用期間で割って年換算利回りを求めます。
解き方
- ①について、最終利回りの算式〔年利息+(償還価格-購入価格)÷残存年数〕÷購入価格×100に数値を代入して計算し、小数点以下第3位を四捨五入します。
- ②について、預入時の円貨額をTTSレートで求め、満期時の米ドル受取総額を計算した上でTTBレートを乗じて円換算受取額を求め、円貨ベースの増加率を年率換算(0.25年で除算)して小数点以下第3位を四捨五入します。
答えの内訳
- ①:1.05(%)
- 最終利回り(単利)=〔年利息+(償還価格-購入価格)÷残存年数〕÷購入価格×100=〔2.0+(100-104.5)÷5〕÷104.5×100=〔2.0-0.9〕÷104.5×100=1.1÷104.5×100≒1.0526…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して1.05%となります。
- ②:5.45(%)
- 預入時の円貨投資額はTTSレート(110.00円)が適用されるため、50,000ドル×110.00円=5,500,000円です。満期時の外貨元利合計額は、50,000ドル+50,000ドル×1.8%×(3/12)=50,000ドル+225ドル=50,225ドルとなります。満期時に円貨へ払い戻す際はTTBレート(111.00円)が適用されるため、50,225ドル×111.00円=5,574,975円です。利回り(年換算・単利)=(5,574,975円-5,500,000円)÷5,500,000円÷0.25×100=74,975円÷5,500,000円÷0.25×100≒5.4527…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して5.45%となります。
覚えるポイント
- 外貨預金の適用レートは預入時がTTS、満期払戻時がTTBとなる点。
- 外貨運用の利回りを年換算する際は、預入期間の年数(本問では0.25)で除算すること。
間違えやすいところ
- TTS(対顧客電信売相場)とTTB(対顧客電信買相場)を金融機関目線と顧客目線で逆に適用してしまうミス。
- 預入期間3カ月分の利息計算で「×0.25(または3/12)」を忘れて年率をそのまま足してしまう計算ミス。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定公社債および外貨預金に関する税務上の取扱い
金融資産運用 · 特定公社債の課税関係 / 外貨預金の為替差益の課税
Mさんが説明した、X社債(特定公社債)および米ドル建定期預金に係る課税関係についての次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「X社債の利子は、利子の支払時において所得税および復興特別所得税と住民税の合計で20.315%相当額が源泉徴収等されます」 ② 「X社債の譲渡益は、雑所得として総合課税の対象となりますので、上場株式の譲渡損失の金額と損益通算することはできません」 ③ 「為替予約のない米ドル建定期預金の満期による為替差益は、雑所得として総合課税の対象となります」
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解答
① ○ ② × ③ ○
解説
金融商品税制の一本化により、特定公社債の利子や譲渡損益は申告分離課税となり、上場株式等の配当所得・譲渡所得等と損益通算が可能となりました。一方、為替予約のない外貨預金から生じる利息は利子所得として源泉分離課税、満期等により生じる為替差益は雑所得として総合課税の対象となります。
解き方
- ①特定公社債の利子の源泉徴収税率(20.315%)を確認し、正誤を判定します。
- ②特定公社債の譲渡益の所得区分(申告分離課税の譲渡所得等)および上場株式等との損益通算の可否を確認し、正誤を判定します。
- ③為替予約なしの外貨定期預金における為替差益の課税区分(雑所得・総合課税)を確認し、正誤を判定します。
答えの内訳
- ①:○
- 特定公社債の利子は、利子の支払時に所得税および復興特別所得税15.315%と住民税5%の合計20.315%が源泉徴収(申告分離課税)されます。
- ②:×
- 特定公社債の譲渡益は、申告分離課税(譲渡所得等)の対象であり、上場株式等の譲渡損失との間で損益通算が可能です。
- ③:○
- 為替予約を締結していない外貨預金から生じた為替差益は、原則として雑所得として総合課税の対象となります。
覚えるポイント
- 特定公社債の利子・譲渡損益は、上場株式等の配当・譲渡損益と損益通算が可能であること。
- 為替予約なしの外貨預金の為替差益は「雑所得(総合課税)」であること(為替差損は他の黒字の雑所得と相殺可能だが損益通算は不可)。
間違えやすいところ
- 特定公社債の譲渡益を雑所得(総合課税)と誤認し、損益通算できないと勘違いすること。
- 為替差益を分離課税と混同すること(為替予約を付した場合は源泉分離課税となるが、為替予約なしは総合課税の雑所得)。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅借入金等特別控除の特例期間と借入限度額
不動産・タックスプランニング · 住宅借入金等特別控除 / 消費税率引上げに伴う拡充 / 認定長期優良住宅
住宅借入金等特別控除に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、〈数値群〉の中から選びなさい。 「住宅ローンを利用して自己の居住用住宅を取得等(特別特定取得に該当)し、2019年10月から2020年12月までの間に居住した場合、所定の要件を満たせば、居住の用に供した年分以後( ① )年間、本控除の適用を受けることができます。( ② )年目以降の住宅借入金等特別控除の額は、原則として『住宅ローンの年末残高×所定の割合(控除率)』と『(住宅取得等対価の額-消費税額)×2%÷3』のいずれか少ないほうになります。 住宅ローンの年末残高には限度額が設けられていますが、住宅の取得等が特別特定取得に該当し、当該住宅が認定長期優良住宅に該当する場合の年末残高の限度額は( ③ )万円です。なお、本控除の適用を受けるための要件には、『取得した住宅の床面積は50㎡以上であること』『住宅ローンの返済期間が10年以上であること』などが挙げられます」
- イ
- 11
- ロ
- 12
- ハ
- 13
- ニ
- 15
- ホ
- 16
- ヘ
- 3,000
- ト
- 4,000
- チ
- 5,000
解答・解説を表示
解答
① ハ ② イ ③ チ
解説
住宅借入金等特別控除は、消費税率10%の特別特定取得において控除期間が13年間に拡充され、認定長期優良住宅では借入限度額が優遇されます。
解き方
- 消費税率引上げに伴う拡充措置による控除期間(13年間)および特例算式が適用される年(11年目以降)を確認します。
- 住宅区分を確認し、認定長期優良住宅における年末残高の借入限度額(5,000万円)を導きます。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 消費税率10%が適用される特別特定取得により住宅を取得して所定の期間に入居した場合、控除期間が従来の10年から13年に延長されます。
- 小問 ②:イ
- 延長された11年目から13年目の各年においては、年末残高に応じた控除額と建物取得価格に係る消費税負担軽減額(建物価格×2%÷3)のいずれか少ない額が控除額となります。
- 小問 ③:チ
- 特別特定取得における住宅ローン年末残高の限度額は、一般住宅では4,000万円ですが、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の場合は5,000万円となります。
覚えるポイント
- 消費税10%の特別特定取得では控除期間が13年間となり、11年目以降は建物価格の2%÷3との比較になる点
間違えやすいところ
- 認定長期優良住宅の年末残高限度額(5,000万円)と一般住宅の限度額(4,000万円)の混同
出題の前提:2019年10月1日現在施行法令
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅取得資金贈与の非課税・住民税控除・単身赴任時の住宅ローン控除
不動産・タックスプランニング · 住宅取得等資金の贈与税の非課税 / 住宅借入金等特別控除 / 住民税からの控除 / 単身赴任の取扱い
Aさんの新築マンションの購入に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「父親からの資金援助について、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例の適用を受けると、贈与税は課されません」 ② 「住宅借入金等特別控除の額が所得税額から控除しきれない場合は、その残額のうち、一定額を限度として、翌年度分の住民税額から控除することができます」 ③ 「転勤等のやむを得ない事由によりAさんが単身赴任で転居した場合、妻Bさんが引き続きマンションに居住していたとしても、単身赴任後は住宅借入金等特別控除の適用を受けることができません」
- ①
- 記述①の正誤判断
- ②
- 記述②の正誤判断
- ③
- 記述③の正誤判断
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
住宅取得時の税制特例では、要件を満たす住宅資金贈与の非課税、所得税で控除しきれない住宅ローン控除の住民税からの控除、家族が居住継続する場合の単身赴任特例が認められています。
解き方
- 贈与税の特例について、住宅の性能(認定長期優良住宅)と契約時期に応じた非課税限度額を判定し、課税の有無を判断します。
- 住宅ローン控除の税額控除の仕組み(住民税への振替控除)および単身赴任時の居住要件の例外規定を適用します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 消費税率10%で取得した質の高い住宅(認定長期優良住宅等)の場合、住宅取得等資金贈与の非課税限度額は最大3,000万円であり、贈与額2,000万円は全額非課税となるため適切です。
- 小問 ②:○
- 住宅借入金等特別控除において所得税から控除しきれなかった金額がある場合、前年分の課税総所得金額等の7%(上限136,500円)を限度として翌年度の個人住民税から控除できます。
- 小問 ③:×
- 転勤等のやむを得ない事由により本人が単身赴任しても、生計を一にする配偶者等の家族が引き続き居住している場合は住宅ローン控除の適用を継続して受けることができます。
覚えるポイント
- 単身赴任等で本人がやむを得ず転居しても、生計を一にする家族が居住継続していれば住宅ローン控除は適用可能
間違えやすいところ
- 本人が転居すると直ちに住宅ローン控除の適用対象外になると誤解すること
出題の前提:2019年10月1日現在施行法令
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税額の計算(総所得金額・各種所得控除・税額控除)
タックスプランニング · 給与所得控除 / 配偶者控除 / 扶養控除 / 住宅借入金等特別控除
会社員Aさんの2019年分の所得税計算に関して、次の条件に基づき、空欄①~④に入る数値を求めなさい。 <条件> ・給与収入金額:920万円 ・妻Bさん(43歳):パート給与収入80万円 ・長女Cさん(19歳):収入なし ・二女Dさん(17歳):収入なし ・新築マンション取得:特別特定取得(消費税10%)、認定長期優良住宅、2019年12月末の住宅ローン借入金残高2,980万円(返済期間25年) ・基礎控除:380,000円、所得控除合計額:3,150,000円 <給与所得控除額の速算表(抜粋)> ・660万円超~1,000万円以下:収入金額×10%+120万円 <配偶者控除額の表(抜粋)> ・居住者の合計所得金額900万円以下:一般の控除対象配偶者38万円
解答・解説を表示
解答
① 7,080,000(円) ② 380,000(円) ③ 1,010,000(円) ④ 298,000(円)
解説
給与所得は給与収入から給与所得控除額を差し引いて求めます。扶養控除は16歳以上の扶養親族が対象で、19歳以上23歳未満は特定扶養親族として63万円が控除されます。また、住宅借入金等特別控除は年末残高(限度額内)に控除率1%を乗じて税額控除額を算出します。
解き方
- 給与収入920万円から給与所得控除額(920万円×10%+120万円=212万円)を控除し、総所得金額(給与所得)7,080,000円を算出する。
- 妻の給与所得を計算して控除対象配偶者に該当することを確認し、夫の合計所得金額に応じた配偶者控除額380,000円を判定する。
- 19歳の長女(特定扶養親族:63万円)と17歳の二女(一般の控除対象扶養親族:38万円)の控除額を合算して扶養控除額1,010,000円を求める。
- 年末借入金残高2,980万円に控除率1%を乗じて住宅借入金等特別控除額298,000円を算出する。
答えの内訳
- ①:7,080,000(円)
- 給与所得控除額は「9,200,000円×10%+1,200,000円=2,120,000円」となります。したがって、総所得金額(給与所得の金額)は「9,200,000円-2,120,000円=7,080,000円」です。
- ②:380,000(円)
- 妻Bさんの給与所得は「給与収入800,000円-給与所得控除650,000円=150,000円」であり、合計所得金額が38万円以下であるため控除対象配偶者に該当します。納税者Aさんの合計所得金額は708万円(900万円以下)であるため、配偶者控除額は380,000円となります。
- ③:1,010,000(円)
- 長女Cさん(19歳)は特定扶養親族(19歳以上23歳未満)に該当し控除額は63万円、二女Dさん(17歳)は一般の控除対象扶養親族(16歳以上19歳未満)に該当し控除額は38万円です。したがって、扶養控除の合計額は「630,000円+380,000円=1,010,000円」となります。
- ④:298,000(円)
- 認定長期優良住宅の借入限度額は5,000万円であり、年末借入残高2,980万円はその範囲内です。控除率は1%であるため、住宅借入金等特別控除額は「29,800,000円×1%=298,000円」となります。
覚えるポイント
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の控除額は63万円、一般の控除対象扶養親族(16歳以上19歳未満・23歳以上70歳未満)は38万円。
- 給与所得控除の最低保障額(2019年分)は65万円であるため、給与収入103万円以下なら所得38万円以下となり扶養控除・配偶者控除の対象となる。
間違えやすいところ
- 16歳未満の年少扶養親族には扶養控除が適用されないが、本問の高校生(17歳)は16歳以上であるため一般の扶養控除(38万円)の対象となる点を見落とすミス。
- 住宅借入金等特別控除の限度額判定において、認定長期優良住宅等の限度額(5,000万円)を超えていないか確認せずに計算してしまうミス。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の税法および2019年分の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく建築面積および延べ面積の上限計算
不動産 · 建蔽率の緩和 / 道路幅員による容積率制限 / 準防火地域内の耐火建築物 / 指定角地
甲土地(敷地面積625㎡、第一種住居地域、指定建蔽率60%、指定容積率300%、準防火地域、特定行政庁が指定する角地)の上に耐火建築物を建築する場合における、次の①および②を求めなさい。 ① 建蔽率の上限となる建築面積 ② 容積率の上限となる延べ面積 <前面道路条件> ・北側:幅員8mの市道に接道 ・東側:幅員6mの市道に接道 ・前面道路幅員による容積率の低減係数:前面道路幅員×4/10
解答・解説を表示
解答
① 500(㎡) ② 1,875(㎡)
解説
建蔽率は、特定行政庁が指定する角地および準防火地域内の耐火建築物(2019年6月改正法)の要件をそれぞれ満たす場合、指定建蔽率にそれぞれ10%(計20%)を加算できます。容積率は、2つ以上の前面道路がある場合は広い方の道路幅員に所定の係数を乗じた数値と、都市計画で定められた指定容積率のいずれか小さい方が上限となります。
解き方
- 建蔽率の緩和要件(指定角地で+10%、準防火地域内の耐火建築物で+10%)を確認し、適用建蔽率を「60%+10%+10%=80%」と算出する。
- 敷地面積625㎡に適用建蔽率80%を乗じて、建築面積の上限「625㎡×80%=500㎡」を求める。
- 2つの前面道路(8mと6m)のうち広い方の幅員8mを採用し、幅員制限「8m×4/10=320%」を算出する。
- 指定容積率300%と道路幅員制限320%の小さい方(300%)を適用し、延べ面積の上限「625㎡×300%=1,875㎡」を求める。
答えの内訳
- ①:500(㎡)
- 特定行政庁が指定する角地であることにより+10%、準防火地域内において耐火建築物を建築することにより+10%の緩和が重複適用されます。適用建蔽率は「60%+10%+10%=80%」となり、建築面積の上限は「625㎡×80%=500㎡」となります。
- ②:1,875(㎡)
- 前面道路幅員は広い方の8mを採用します。道路幅員制限による容積率は「8m×4/10=320%」となり、指定容積率300%と比較して小さい方の300%が適用されます。延べ面積の上限は「625㎡×300%=1,875㎡」となります。
覚えるポイント
- 2019年6月施行の改正建築基準法により、準防火地域内における耐火建築物または準耐火建築物の建築でも建蔽率が10%緩和される。
- 複数の道路に接している場合、前面道路幅員による容積率の制限は最も広い道路の幅員を用いて計算する。
間違えやすいところ
- 準防火地域内の耐火建築物による10%緩和を見落とし、角地緩和の10%のみ(適用建蔽率70%)で計算してしまうミス。
- 前面道路幅員を東側の6mで計算してしまい、6m×4/10=240%として容積率を誤って低く算定してしまうミス。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の建築基準法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自己建設方式・サブリース契約および相続税の取扱い
不動産 · 貸家建付地 / サブリース契約 / 債務控除
X社から提案された賃貸マンションの自己建設方式および賃貸事業に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。 ① Aさんが甲土地に賃貸マンションを建設した場合、相続税額の計算上、甲土地は貸家建付地として評価される。甲土地の自用地価額を1億円、借地権割合60%、借家権割合30%、賃貸割合100%とした場合の相続税評価額は1,800万円である。 ② 一括賃貸借契約(サブリース契約)において賃料が保証されていても、経済事情等により賃料を減額請求されることがある。 ③ Aさんが金融機関から融資を受けて賃貸マンションを建設した場合、相続税額の計算上、当該借入金は債務控除の対象となる。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
土地所有者が自己資金や融資で建物を建築して賃貸する自己建設方式では、土地は貸家建付地として自用地より評価額が減額され、借入金は債務控除の対象となります。また、一括賃貸借(サブリース契約)の賃料保証特約があっても借地借家法上の減額請求権が認められます。
解き方
- 貸家建付地の評価式「自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」に数値を当てはめて計算し、減額額ではなく残る評価額を判定する。
- サブリース契約における借地借家法の適用関係および借入金の相続税における債務控除の可否を確認する。
答えの内訳
- ①:×
- 貸家建付地の評価額は「自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で算出します。本問では 1億円×(1-60%×30%×100%)=1億円×(1-0.18)=8,200万円 となり、1,800万円は控除額にすぎないため不適切です。
- ②:○
- サブリース契約(一括賃貸借契約)において賃料保証期間中であっても、借地借家法第32条の借賃増減請求権に基づき、サブリース会社から賃料減額請求をされる場合があります。
- ③:○
- 被相続人が賃貸マンションの建築等のために金融機関から借り入れた債務は、確実と認められる債務であるため、相続税の課税価格の計算上、遺産総額から債務控除の対象となります。
覚えるポイント
- 貸家建付地の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
- サブリース契約における賃料保証は無条件で固定されるものではなく、借地借家法第32条により減額請求される可能性がある。
間違えやすいところ
- 貸家建付地の評価額の計算で、控除額そのもの(自用地価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)を評価額と勘違いしないように注意する。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地積規模の大きな宅地の評価
不動産 · 相続税法 / 財産評価基本通達 / 地積規模の大きな宅地
「地積規模の大きな宅地の評価」に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉の中から選び、その記号を答えなさい。 「2018年1月1日以後の相続、遺贈または贈与により取得する宅地で、所定の要件を満たすものは、本規定の定めを適用して評価します。本規定の新設に伴い、従前の広大地の評価は廃止されました。 地積規模の大きな宅地とは、三大都市圏では( ① )㎡以上、三大都市圏以外の地域では1,000㎡以上の地積の宅地をいい、本規定の対象となる宅地は、路線価地域においては、普通商業・併用住宅地区および( ② )に所在するものになります。 なお、市街化調整区域に所在する宅地、工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地、指定容積率が( ③ )%(東京都の特別区は300%)以上の地域に所在する宅地等は、地積規模の大きな宅地から除かれています」 〈語句群〉 イ.150 ロ.200 ハ.300 ニ.400 ホ.500 ヘ.600 ト.普通住宅地区 チ.高度商業地区 リ.繁華街地区
- イ
- 150
- ロ
- 200
- ハ
- 300
- ニ
- 400
- ホ
- 500
- ヘ
- 600
- ト
- 普通住宅地区
- チ
- 高度商業地区
- リ
- 繁華街地区
解答・解説を表示
解答
① ホ ② ト ③ ニ
解説
地積規模の大きな宅地の評価は、広大地の評価の廃止に伴い2018年1月1日以降の相続等に新設された制度です。三大都市圏で500㎡以上等の規模要件、普通商業・併用住宅地区または普通住宅地区の地区区分要件、指定容積率(400%、特別区300%)未満等の要件を満たす場合に減額補正されます。
解き方
- 地積規模の大きな宅地における三大都市圏とそれ以外の面積基準(500㎡以上/1,000㎡以上)を確認する。
- 適用対象となる路線価地域の地区区分(普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区)を判定する。
- 適用対象外となる容積率基準(原則400%以上、東京特別区300%以上)を確認する。
- 選択肢 イ不正解
- 150は小規模宅地等の特例等の基準などで用いられる数値であり、地積規模の大きな宅地の三大都市圏の面積要件(500㎡)ではありません。
- 選択肢 ロ不正解
- 200は小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)の限度面積などで用いられる数値であり、本規定の面積要件には該当しません。
- 選択肢 ハ不正解
- 300は東京都特別区における除外指定容積率ですが、空欄①の三大都市圏の面積要件(500㎡)や空欄③の原則の容積率(400%)には該当しません。
- 選択肢 ニ正解
- 空欄③に当てはまる指定容積率の基準は原則400%(東京都特別区は300%)です。
- 選択肢 ホ正解
- 空欄①に当てはまる三大都市圏の地積規模の要件は500㎡以上です。
- 選択肢 ヘ不正解
- 600は本規定の面積要件や除外基準には該当しない数値です。
- 選択肢 ト正解
- 空欄②に当てはまる地区区分は普通住宅地区です。
- 選択肢 チ不正解
- 高度商業地区は地積規模の大きな宅地の評価の適用対象外となる地区区分です。
- 選択肢 リ不正解
- 繁華街地区は地積規模の大きな宅地の評価の適用対象外となる地区区分です。
答えの内訳
- ①:ホ
- 地積規模の大きな宅地の面積要件は、三大都市圏においては500㎡以上(三大都市圏以外の地域では1,000㎡以上)となります。
- ②:ト
- 路線価地域において本規定の対象となる地区区分は、「普通商業・併用住宅地区」および「普通住宅地区」に所在するものに限られます。
- ③:ニ
- 指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在する宅地等は、高層利用が可能であるため適用対象から除外されます。
覚えるポイント
- 地積規模の大きな宅地:三大都市圏500㎡以上、非三大都市圏1,000㎡以上
- 路線価地域の対象地区:普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区
- 対象外:市街化調整区域、工業専用地域、指定容積率400%(東京特別区300%)以上など
間違えやすいところ
- 指定容積率の除外要件で、原則の400%と東京都特別区の例外である300%を混同しないようにする。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額 / 相続税の総額
設例において、現時点(2020年1月26日)で被相続人Aさんの相続が開始した場合の相続税の総額を試算する。相続税の課税価格の合計額を5億9,000万円とした場合、次の空欄①〜③に入る数値を求めなさい。 ・(b)遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 ・相続税の総額の基となる税額(長女Cさん):( ② )万円 ・(c)相続税の総額:( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 4,800(万円) ② 3,720(万円) ③ 16,935(万円)
解説
相続税の総額を計算する際は、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求め、それを法定相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定して各人の税額を算出し、最後に全員分を合算します。
解き方
- 法定相続人の数(配偶者と子2人の計3人)から基礎控除額を計算し、課税遺産総額を求めます。
- 課税遺産総額を民法上の法定相続分で按分し、各人の法定相続分に応ずる取得金額を算出します。
- 各人の取得金額に相続税の速算表を適用して各人の算出税額を計算し、それらを合算して相続税の総額を求めます。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求められます。法定相続人は妻B・長女C・長男Dの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:3,720
- 課税遺産総額54,200万円(59,000万円-4,800万円)を法定相続分(妻1/2、子各1/4)で按分すると、長女Cの法定相続分に応ずる取得金額は13,550万円となります。速算表より、13,550万円×40%-1,700万円=3,720万円となります。
- ③:16,935
- 妻Bの税額は27,100万円×45%-2,700万円=9,495万円、長男Dの税額は長女Cと同額の3,720万円となります。全員の税額を合算した相続税の総額は、9,495万円+3,720万円+3,720万円=16,935万円となります。
覚えるポイント
- 遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 相続税の総額は実際の遺産分割割合に関わらず、法定相続分で按分して計算する
間違えやすいところ
- 基礎控除額の計算で法定相続人の数に被相続人を含めて数えてしまうミスに注意する。
- 相続税の総額を計算する段階で配偶者の税額軽減を先に適用してしまう誤りに注意する。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産賃貸業の法人化における留意点
不動産 · 不動産賃貸業の法人化 / 土地の無償返還に関する届出書 / 建物・土地の譲渡所得
不動産賃貸業の法人化に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 不動産賃貸業を法人化し、AさんがX社から役員報酬を得ることになれば、給与所得控除額の適用がある。また、妻Bさんや長女CさんがX社の役員になり役員報酬を得ることで、所得の分散を図ることもできる。 ② Aさんが賃貸マンションの建物だけをX社に移転した場合、権利金の認定課税を回避するためには、X社はAさんと連名で「土地の無償返還に関する届出書」を法務局に提出する必要がある。 ③ 賃貸マンションの土地と建物をAさんからX社に譲渡した場合、先祖代々の土地の取得費が小さければ、譲渡所得の金額が大きくなり、Aさんに多額の所得税が課される可能性がある。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
不動産の法人化では、個人から法人への所得移転(給与所得控除の利用や親族への所得分散)というメリットがある一方、土地や建物の売買・賃貸借に伴う譲渡所得税の発生や、税務上の権利金の認定課税を防止するための税務署への適法な届出(土地の無償返還に関する届出等)の手続きに留意する必要があります。
解き方
- 役員報酬受給による給与所得控除の適用や家族への所得分散効果が認められるか確認します。
- 権利金の認定課税を回避するための「土地の無償返還に関する届出書」の正式な提出先(税務署)を確認します。
- 土地を法人に譲渡する際、取得費が小さい場合に生じる譲渡所得税課税のリスクを確認します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 役員報酬は給与所得となるため給与所得控除が適用されます。また、親族を役員にして実態に応じた役員報酬を支給することで、個人事業主1人に集中していた所得を分散し、累進税率の負担を軽減できます。
- 小問 ②:×
- 土地の無償返還に関する届出書の提出先は「所轄税務署長」であり、法務局ではありません。したがって記述は不適切です。
- 小問 ③:○
- 土地建物の譲渡所得は「収入金額-(取得費+譲渡費用)」で計算されます。先祖代々の土地で取得費が不明または少額の場合、譲渡益が大きくなり、譲渡所得に対する所得税・住民税の負担が重くなる可能性があります。
覚えるポイント
- 「土地の無償返還に関する届出書」は土地所有者と法人の連名で遅滞なく「所轄税務署長」へ提出する
- 法人化による役員報酬支払いは給与所得控除が使え、親族への所得分散効果もある
間違えやすいところ
- 「土地の無償返還に関する届出書」の提出先を法務局や市区町村役場と混同しないように注意する。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等の特例・遺留分・申告期限後3年以内の分割見込書
相続・事業承継 · 小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等) / 遺留分の計算 / 申告期限後3年以内の分割見込書と更正の請求
Aさんの相続等に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を、〈数値群〉の中から選びなさい。 Ⅰ 「妻Bさんが自宅の敷地を相続により取得し、当該敷地の全部について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた場合、減額される金額は( ① )万円となります。なお、自宅の敷地について優先して本特例の適用を受けた場合、貸付事業用宅地等として適用を受けることができる面積は所定の算式により調整しなければなりません」 Ⅱ 「遺言により賃貸マンション等の相続財産の大半を長女Cさんに相続させた場合、長男Dさんの遺留分を侵害する可能性があります。仮に、遺留分算定の基礎となる財産の価額が6億円である場合、長男Dさんの遺留分の金額は( ② )万円となります」 Ⅲ 「相続税の申告期限までに遺産分割協議が調わなかった場合、相続税の申告時において、未分割の財産に対して配偶者に対する相続税額の軽減や小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けることができないというデメリットが生じます。その場合、相続税の申告の際に『申告期限後( ③ )年以内の分割見込書』を税務署に提出し、申告期限後( ③ )年以内に遺産分割協議が成立すれば、それらの特例の適用を受けるため、分割後( ④ )カ月以内に更正の請求を行うことができます」 〈数値群〉 イ.1 ロ.2 ハ.3 ニ.4 ホ.5 ヘ.6 ト.1,400 チ.3,500 リ.3,750 ヌ.5,600 ル.7,500 ヲ.15,000
- イ
- 1
- ロ
- 2
- ハ
- 3
- ニ
- 4
- ホ
- 5
- ヘ
- 6
- ト
- 1,400
- チ
- 3,500
- リ
- 3,750
- ヌ
- 5,600
- ル
- 7,500
- ヲ
- 15,000
解答・解説を表示
解答
① ヌ、② ル、③ ハ、④ ニ
解説
小規模宅地等の特例における特定居住用宅地等は限度面積330㎡まで80%減額されます。遺留分は直系尊属のみが相続人の場合(1/3)を除き原則として財産の1/2であり、各人の法定相続分を乗じて求めます。また、申告期限時点で未分割であっても「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出しておけば、3年以内に分割された日の翌日から4カ月以内に更正の請求をすることで特例の適用が認められます。
解き方
- 自宅敷地240㎡の評価額7,000万円に対し、特定居住用宅地等の80%減額を乗じて減額金額(5,600万円)を算出する。
- 配偶者と子2人が相続人である場合の長男Dの遺留分割合(1/2×1/4=1/8)を求め、基礎財産6億円に乗じて遺留分額(7,500万円)を算出する。
- 未分割時の救済手続における「申告期限後3年以内の分割見込書」と分割後「4カ月以内」の更正の請求の要件を適用する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ヌ
- 自宅敷地(240㎡・相続税評価額7,000万円)を配偶者が取得する場合、特定居住用宅地等として330㎡まで80%の減額が適用されます。敷地全体が限度面積内であるため、減額される金額は7,000万円×80%=5,600万円(ヌ)となります。
- 小問 ②:ル
- 相続人が配偶者と子である場合、遺留分全体の割合は被相続人の財産の2分の1です。子全体の法定相続分は2分の1で、長男Dの法定相続分は4分の1となるため、長男Dの遺留分割合は1/2×1/4=1/8となります。遺留分算定の基礎となる財産が6億円の場合、遺留分の金額は6億円×1/8=7,500万円(ル)となります。
- 小問 ③:ハ
- 申告期限までに遺産分割が調わない場合、「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付して提出することで、申告期限後3年以内に分割された際に特例を遡って適用することができます。したがって空欄③には3(ハ)が入ります。
- 小問 ④:ニ
- 「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出したうえで、申告期限後3年以内に遺産分割が成立したときは、分割が行われた日の翌日から4カ月以内に更正の請求を行うことができます。したがって空欄④には4(ニ)が入ります。
覚えるポイント
- 特定居住用宅地等の限度面積は330㎡・減額割合80%
- 直系尊属のみ以外の法定遺留分は全体で1/2
- 未分割時の特例適用は「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出し「分割後4カ月以内」に更正の請求
間違えやすいところ
- 特定居住用宅地等の減額金額を求める際に、減額後の課税価格(20%相当額)と取り違えるミス
- 遺留分の計算で、全体遺留分1/2を掛け忘れて法定相続分(1/4)のまま計算してしまうミス
- 分割後の更正の請求期限(4カ月以内)を通常の更正の請求期限(5年)や確定申告期限と混同するミス
出題の前提:2019年10月1日現在施行の税法および民法(相続法)の規定に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2020年1月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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