日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の概要
遺族基礎年金・遺族厚生年金および年金生活者支援給付金の計算
ライフプランニングと資金計画 · 遺族基礎年金 / 遺族厚生年金 / 遺族年金生活者支援給付金
設例において、個人事業主のAさんが現時点(2020年1月26日)で死亡した場合に妻Bさんに支給される遺族基礎年金、遺族厚生年金の年金額、および遺族年金生活者支援給付金(年額)について、計算式中の空欄①~④に入る適切な数値を求めなさい(2019年度価額に基づく)。 <計算式> ・遺族基礎年金の年金額 ( ① )円+224,500円+224,500円=□□□円 ・遺族厚生年金の年金額 □□□円×(7.125/1,000)×( ② )月×( ③ )=□□□円 ・遺族年金生活者支援給付金(年額) ( ④ )円×12カ月=□□□円
解答・解説を表示
解答
① 780,100 ② 84 ③ 3/4 ④ 5,000
解説
公的年金の被保険者または被保険者であった者が死亡した場合、遺族基礎年金および遺族厚生年金が支給されます。遺族基礎年金は定額の基本額に子の加算額を加えた額となり、遺族厚生年金は報酬比例部分の原則4分の3が支給されます。また、一定の所得要件等を満たす遺族基礎年金受給者には遺族年金生活者支援給付金が支給されます。
解き方
- 2019年度における遺族基礎年金の基本額(780,100円)を確認し、空欄①を特定する。
- Aさんの年金記録から厚生年金保険の被保険者期間が84月であることを確認し、空欄②を特定する。
- 遺族厚生年金の年金額の算出割合である4分の3(3/4)を空欄③に当てはめる。
- 遺族年金生活者支援給付金の月額である5,000円を空欄④に当てはめる。
答えの内訳
- ①:780,100
- 2019年度の遺族基礎年金の基本額(満額の老齢基礎年金と同額)は780,100円です。
- ②:84
- Aさんの厚生年金保険の被保険者期間は84月であり、短縮実月数(2003年3月以前の期間)としてそのまま84が入ります。
- ③:3/4
- 遺族厚生年金の基本年金額は、死亡した者の報酬比例部分の計算式の4分の3(3/4)相当額となります。
- ④:5,000
- 2019年度(制度導入時)の遺族年金生活者支援給付金の月額基準額は5,000円です。
覚えるポイント
- 遺族基礎年金の基本額は老齢基礎年金の満額と同額(2019年度は780,100円)。
- 遺族厚生年金の額は原則として報酬比例部分の3/4。
- 遺族年金生活者支援給付金の基準額は月額5,000円。
間違えやすいところ
- 遺族厚生年金の短期要件(300月みなし)と、報酬比例計算式内の実月数表記の指定を取り違えないように注意する。
- 遺族年金生活者支援給付金の月額(5,000円)と老齢年金生活者支援給付金の計算式を混同しないようにする。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等および2019年度価額に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模企業共済制度の仕組みと税務
中小企業・事業承継 · 小規模企業共済 / 掛金の拠出と所得控除 / 共済金の受給要件 / 共済金の課税関係
小規模企業共済制度に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 小規模企業共済制度の毎月の掛金は、1,000円から7万円までの範囲内で500円単位で選択することができ、納付した掛金の全額を、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することができます。 ② 個人事業主に対する共済金は、掛金納付月数が6カ月以上ある共済契約者が事業を廃業等した場合、または掛金納付月数が180カ月以上ある65歳以上の共済契約者が老齢給付の請求を行った場合に支払われます。 ③ Aさんが、小規模企業共済制度に加入した後に事業を廃業して共済金を受け取る場合、税法上、一括で受け取る共済金は一時所得として所得税の課税対象となり、分割で受け取る共済金は公的年金等に係る雑所得として所得税の課税対象となります。
- ①
- 小規模企業共済制度の毎月の掛金は、1,000円から7万円までの範囲内で500円単位で選択することができ、納付した掛金の全額を、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することができます。
- ②
- 個人事業主に対する共済金は、掛金納付月数が6カ月以上ある共済契約者が事業を廃業等した場合、または掛金納付月数が180カ月以上ある65歳以上の共済契約者が老齢給付の請求を行った場合に支払われます。
- ③
- Aさんが、小規模企業共済制度に加入した後に事業を廃業して共済金を受け取る場合、税法上、一括で受け取る共済金は一時所得として所得税の課税対象となり、分割で受け取る共済金は公的年金等に係る雑所得として所得税の課税対象となります。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
小規模企業共済制度は、個人事業主や会社役員のための退職金積立制度です。掛金は月額1,000円~7万円の範囲で全額が小規模企業共済等掛金控除となり、廃業等に伴い一括で受給する共済金は退職所得として、分割で受給する共済金は公的年金等控除が適用される雑所得として課税されます。
解き方
- 記述①について、掛金の税務上の取扱いが必要経費ではなく「小規模企業共済等掛金控除」である点を確認して誤りと判定する。
- 記述②について、個人事業主の廃業等共済金の要件(納付月数6カ月以上)および老齢給付要件(納付月数180カ月以上・65歳以上)が法令基準と合致していることを確認し正しいと判定する。
- 記述③について、廃業による一括共済金の所得区分が「退職所得」であるか確認し、「一時所得」とする記述を誤りと判定する。
- 選択肢 ①不正解
- 納付した掛金の全額は「小規模企業共済等掛金控除」として総所得金額等から控除されますが、必要経費には算入されません。
- 選択肢 ②正解
- 個人事業主が事業を廃業した場合は掛金納付月数6カ月以上で共済金が支給され、老齢給付は掛金納付月数180カ月以上かつ65歳以上で請求できます。
- 選択肢 ③不正解
- 廃業により一括受領する共済金は「退職所得」として課税されます。一時所得ではありません。
答えの内訳
- ①:×
- 納付した掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象となり、事業所得の必要経費には算入されません。
- ②:○
- 個人事業主の共済金(共済金A)は納付月数6カ月以上の廃業等で支給され、老齢給付は納付月数180カ月以上かつ65歳以上で請求可能です。
- ③:×
- 廃業に伴い一括受取する共済金は退職所得として課税されます(一時所得ではありません)。分割受取は公的年金等の雑所得となります。
覚えるポイント
- 小規模企業共済の掛金は事業の必要経費ではなく「小規模企業共済等掛金控除」。
- 廃業等による一括共済金は「退職所得」、分割受取は「公的年金等に係る雑所得」。
- 老齢給付の要件は65歳以上かつ掛金納付月数180カ月以上。
間違えやすいところ
- 掛金を事業所得の必要経費と誤認しやすい。
- 廃業に伴う一括受取の共済金を一時所得と混同しやすい(解約手当金の一括受取は一時所得になるが、廃業による共済金A・Bの一括受取は退職所得扱い)。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
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確定拠出年金(個人型年金・iDeCo)の仕組み
ライフプランニングと資金計画 · 確定拠出年金 / iDeCo / 小規模企業共済等掛金控除 / 老齢給付金の受給要件
確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。 ① 「Aさん(国民年金の第1号被保険者)が個人型年金に加入した場合の掛金の拠出限度額は、国民年金の付加保険料と合わせて年額66万円です」 ② 「拠出した掛金は、税法上、小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象となります」 ③ 「老齢給付金を60歳から受け取るためには通算加入者等期間が10年以上必要となり、通算加入者等期間が10年に満たない場合は、受給可能な年齢が繰り下げられます」
- ①
- 掛金の拠出限度額は付加保険料と合わせて年額66万円である
- ②
- 拠出した掛金は小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象となる
- ③
- 60歳受給には通算加入者等期間10年以上が必要で、満たない場合は受給可能年齢が繰り下がる
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
確定拠出年金の個人型(iDeCo)は、被保険者種別ごとに拠出限度額が定められており、第1号被保険者は月額6万8,000円(国民年金基金・付加保険料との合算枠)です。拠出掛金は全額小規模企業共済等掛金控除の対象となり、老齢給付金は60歳受給に通算加入者等期間10年以上を要します。
解き方
- 第1号被保険者のiDeCo拠出限度額(月額6.8万円・年額81.6万円、付加保険料等を含む枠)を確認する。
- 掛金の税務上の取扱いが小規模企業共済等掛金控除(全額所得控除)であることを確認する。
- 老齢給付金の受給要件(通算加入者等期間10年以上で60歳受給可能、満たない場合は受給開始年齢繰下げ)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 国民年金第1号被保険者の個人型年金(iDeCo)の拠出限度額は月額6万8,000円(年額81万6,000円)です。この限度額は国民年金基金の掛金または付加保険料と合算した枠となります(設問の年額66万円は誤りです)。
- 小問 ②:○
- 確定拠出年金の個人型年金において加入者本人が拠出した掛金は、その全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除(総所得金額等からの控除)の対象となります。
- 小問 ③:○
- 老齢給付金を原則である60歳から受給するためには、通算加入者等期間が10年以上必要です。10年に満たない場合は、加入期間に応じて受給開始可能年齢が段階的に繰り下げられます(最長65歳)。
覚えるポイント
- 第1号被保険者のiDeCo上限は月額6.8万円(年額81.6万円、付加保険料・国民年金基金合算枠)
- iDeCo掛金は全額「小規模企業共済等掛金控除」
- 60歳受給開始には通算加入者等期間10年以上が必要
間違えやすいところ
- 月額6.8万円(年額81.6万円)を年額66万円などと取り違えるミス
- 小規模企業共済等掛金控除を事業所得の必要経費算入と混同するミス
出題の前提:2019年10月1日現在施行法令
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の投資指標(PER・配当性向・配当利回り)の計算
金融資産運用 · PER / 配当性向 / 配当利回り / 1株当たり指標
設例の<X社およびY社の財務データ等>に基づき、以下の説明文の空欄①~③に入る適切な数値を計算しなさい。 <財務データ> [X社]当期純利益 300億円、配当金総額 180億円、発行済株式数 6億株、株価 1,800円 [Y社]当期純利益 180億円、配当金総額 54億円、発行済株式数 1.5億株、株価 2,400円 「X社とY社をPERで比較すると、X社株式が( ① )倍、Y社株式が□□□倍となり、X社株式のほうが割高といえます。 次に、配当性向で比較すると、X社が□□□%、Y社が( ② )%となります。 また、配当利回りは、X社株式が□□□%であるのに対してY社株式は( ③ )%となっています」
解答・解説を表示
解答
① 36(倍) ② 30(%) ③ 1.5(%)
解説
投資指標の基本計算式: ・PER(株価収益率)=株価÷1株当たり当期純利益(EPS) ・配当性向=配当金総額÷当期純利益×100(%) ・配当利回り=1株当たり年間配当金÷株価×100(%)
解き方
- 空欄①:X社のEPSを計算(300億円÷6億株=50円)し、株価1,800円をEPSで除してPER=36倍を算出する。
- 空欄②:Y社の配当性向を計算(54億円÷180億円×100=30%)する。
- 空欄③:Y社の1株当たり配当金を計算(54億円÷1.5億株=36円)し、株価2,400円で除して配当利回り=1.5%を算出する。
答えの内訳
- ①:36
- X社の1株当たり当期純利益(EPS)=当期純利益300億円÷発行済株式数6億株=50円。X社のPER=株価1,800円÷EPS50円=36倍となります。
- ②:30
- Y社の配当性向=配当金総額54億円÷当期純利益180億円×100=30%(または1株当たり配当金36円÷1株当たり純利益120円×100=30%)となります。
- ③:1.5
- Y社の1株当たり年間配当金=配当金総額54億円÷発行済株式数1.5億株=36円。Y社の配当利回り=1株当たり年間配当金36円÷株価2,400円×100=1.5%となります。
覚えるポイント
- PER=株価÷EPS(倍)
- 配当性向=配当金総額÷当期純利益×100(%)
- 配当利回り=1株当たり配当金÷株価×100(%)
間違えやすいところ
- 配当利回りの分母に純資産や利益を使ってしまうミス(株価で除す)
- 配当性向と配当利回りの定義の混同
- 単位(倍、%)の取り違え
出題の前提:2019年10月1日現在施行法令
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
投資信託の費用・評価指標および保護の仕組み
金融資産運用 · 投資信託の費用 / 信託報酬 / シャープ・レシオ / 日本投資者保護基金
ファイナンシャル・プランナーのMさんが個人事業主のAさんに対して説明した、投資信託の特徴に関する次の記述①〜③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。
- ①
- 運用管理費用(信託報酬)は、投資信託を保有する投資家が間接的に負担する費用であり、一般に、インデックス型投資信託よりもアクティブ型投資信託のほうが高い傾向があります。
- ②
- 投資信託のパフォーマンスを評価する代表的な手法であるシャープ・レシオは、超過収益率を標準偏差で除すことで算出することができ、シャープ・レシオが小さいほど、その投資信託が効率よく運用されていると評価することができます。
- ③
- 投資信託の販売会社である銀行が破綻し、顧客資産の一部または全部が返還されない事態が生じた場合、日本投資者保護基金により顧客1人当たり1,000万円を上限として顧客資産が補償されます。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
投資信託の費用は保有中に信託財産から控除される運用管理費用(信託報酬)などがあります。運用効率を測る指標であるシャープ・レシオはリスクあたりのリターンの大きさを評価するため数値が大きいほど優秀と判定されます。また、破綻時の投資者保護制度は購入窓口(証券会社か銀行か)によって適用関係が異なります。
解き方
- 投資信託の信託報酬の仕組みおよびインデックス型とアクティブ型のコストの違いを確認して①の正誤を判定する。
- シャープ・レシオの定義式(超過収益率÷標準偏差)と数値の大小による運用の効率性評価を確認して②の正誤を判定する。
- 日本投資者保護基金の保護対象となる金融機関の種類(証券会社のみで銀行等の登録金融機関は対象外)を確認して③の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 運用管理費用(信託報酬)は投資信託の保有期間中に信託財産から日々差し引かれる間接的な費用です。アクティブ型は銘柄選定や調査・分析等に手間やコストがかかるため、市場指数に連動するインデックス型よりも信託報酬が高めに設定されている傾向があり、記述は適切です。
- 小問 ②:×
- シャープ・レシオは「(ポートフォリオの収益率-無リスク資産の利子率)÷標準偏差」で算出され、リスク(標準偏差)1単位当たりの超過収益率を表します。数値が大きいほどリスクの割に高いリターンを獲得しており、効率よく運用されていると評価されるため、小さいほど効率的とする記述は誤りです。
- 小問 ③:×
- 日本投資者保護基金の補償対象となるのは、金融商品取引業者(証券会社など)を通じて購入した顧客資産です。銀行などの登録金融機関で購入した投資信託は日本投資者保護基金の補償対象外であり、また預金保険制度の保護対象でもありません(信託財産自体の分別管理は義務付けられています)。
覚えるポイント
- シャープ・レシオは大きいほどリスクに見合った超過リターンが高く運用効率が良いと評価される。
- 日本投資者保護基金は証券会社が対象であり、銀行等の登録金融機関で購入した投資信託は対象外である。
間違えやすいところ
- シャープ・レシオの数値が小さいほどリスクが低くて優秀であると数値を逆に解釈してしまう。
- 銀行で購入した投資信託でも日本投資者保護基金や預金保険制度で1,000万円まで保護されると誤解してしまう。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一般NISAおよびつみたてNISAの仕組みと損益通算の可否
金融資産運用 · 少額投資非課税制度 / 一般NISA / つみたてNISA / 損益通算
ファイナンシャル・プランナーのMさんが個人事業主のAさんに対して説明した、一般NISAおよびつみたてNISAの仕組みに関する文章中の空欄①〜④に入る最も適切な語句または数値を語句群から選びなさい。
- イ
- 5
- ロ
- 10
- ハ
- 20
- ニ
- 40
- ホ
- 50
- ヘ
- 80
- ト
- 100
- チ
- 120
- リ
- 150
- ヌ
- できます
- ル
- できません
解答・解説を表示
解答
① チ ② ニ ③ ハ ④ ル
解説
少額投資非課税制度(NISA)は、拠出枠内での投資で生じた配当金・譲渡益が非課税となる制度です。一般NISAは年120万円・最長5年間、つみたてNISAは年40万円・最長20年間となっています。NISA口座内の売却損は税務上「ないもの」と扱われるため、課税口座との損益通算や損失の繰越控除はできません。
解き方
- 一般NISA勘定の年間投資上限枠が120万円(チ)であることを確認する。
- つみたてNISA勘定の年間投資上限枠が40万円(ニ)、非課税期間が最長20年間(ハ)であることを確認する。
- NISA口座で生じた譲渡損失の税制上の取扱いを確認し、他の課税口座との損益通算が「できません」(ル)であることを導く。
小問ごとの答え
- 小問 ①:チ
- 2020年における一般NISA勘定の新規投資限度額(年間非課税枠)は120万円(最長5年間)です。
- 小問 ②:ニ
- 2020年におけるつみたてNISA勘定の新規投資限度額(年間非課税枠)は40万円です。
- 小問 ③:ハ
- つみたてNISAの非課税期間は、各勘定が設けられた年の1月1日から最長で20年間です。
- 小問 ④:ル
- NISA口座(一般・つみたて共)内で発生した譲渡損失は税務上生じなかったものとみなされるため、特定口座や一般口座等の課税口座で生じた譲渡益等と損益通算することはできません。
覚えるポイント
- 一般NISAは年間120万円・最長5年間、つみたてNISAは年間40万円・最長20年間。
- NISA口座内で生じた損失は税務上ないものとみなされ、特定口座・一般口座との損益通算や繰越控除は一切できない。
間違えやすいところ
- 一般NISAとつみたてNISAの年間投資枠(120万円と40万円)や非課税期間(5年と20年)を混同してしまう。
- NISA口座で損失が出た場合に特定口座の利益と相殺(損益通算)できると勘違いしてしまう。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等(2020年当時のNISA制度)
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税における所得金額の計算(交際費等・役員給与・養老保険)
タックスプランニング · 交際費等の損金不算入 / 役員に対する高額譲受と役員給与 / ハーフタックスプラン(養老保険)
小売業を営むX社(資本金1,000万円の中小法人、青色申告)の2020年3月期における法人税の所得金額計算に関する記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。なお、所得金額の計算上、選択すべき複数の方法がある場合は所得金額が低くなる方法を選択すること。 ① X社が支出した交際費等の金額1,750万円のうち、定額控除限度額を超える部分の金額である950万円を法人税申告書別表四で加算する。 ② X社が代表取締役社長Aさんから取得した土地(時価2,500万円を3,300万円で買取り、差額800万円を損金経理)については、時価と実際に支払った対価との差額の2分の1相当額が損金の額に算入されないため、400万円を法人税申告書別表四で加算する。 ③ X社が支払った役員・従業員全員を被保険者、死亡保険金受取人を遺族、満期受取人をX社とする養老保険の保険料600万円(全額損金経理)は、その2分の1の金額を損金の額に算入することが認められるため、300万円を法人税申告書別表四で加算する。
- ①
- 交際費等の金額1,750万円のうち定額控除限度額を超える部分の950万円を加算する。
- ②
- 役員から買い取った土地の差額800万円の2分の1相当額である400万円を加算する。
- ③
- 養老保険の支払保険料600万円のうち損金不算入となる2分の1相当額である300万円を加算する。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
法人税の所得金額は、企業会計上の当期純利益に税法独自の益金加算・減算および損金加算・減算の申告調整を行って計算します。交際費等の損金不算入や役員に対する不当な利益供与の損金不算入、生命保険料の適正な経理処理規定に従って加算調整が行われます。
解き方
- 交際費等は「定額控除限度額800万円」と「接待飲食費の50%=850万円」を比較し、より損金算入額が大きく所得が低くなる後者を選択して判定する。
- 役員からの高額譲受差額は役員賞与認定となり全額が損金不算入となる原則を適用する。
- ハーフタックスプランの養老保険料は半額が資産計上であるため、損金経理した全額のうち半額を加算調整する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 資本金1億円以下の中小法人における交際費等の損金不算入額の計算では、「年800万円までの定額控除」または「接待飲食費の50%損金算入」のいずれかを選択できます。本問では接待飲食費が1,700万円あり、その50%である850万円が損金算入できるため、限度額800万円の定額控除を選択するよりも損金不算入額が少なくなります(所得金額が低くなる方法)。したがって、接待飲食費の50%損金算入(不算入額900万円)を選択すべきであり、定額控除(不算入額950万円)を加算する記述は不適切です。
- 小問 ②:×
- 法人が役員から資産を時価より高い価額で買い取った場合、時価を超える部分の金額(本問では3,300万円-2,500万円=800万円)は役員に対する経済的利益の供与(実質的な賞与)とみなされます。事前確定届出給与等の要件を満たしていないため、その全額(800万円)が損金不算入となり、別表四で800万円全額を加算・社外流出(賞与)として調整します。「2分の1相当額の400万円を加算する」とする記述は誤りです。
- 小問 ③:○
- 被保険者を役員・従業員全員とし、死亡保険金受取人を被保険者の遺族、満期保険金受取人を法人とする養老保険(ハーフタックスプラン)の支払保険料は、2分の1相当額を資産(保険料積立金)に計上し、残り2分の1相当額を損金(福利厚生費等)に算入します。会社が全額(600万円)を損金経理しているため、資産計上すべき2分の1の300万円を別表四において加算(損金不算入)して所得を調整します。
覚えるポイント
- 中小法人の交際費等は定額控除(年800万円)と接待飲食費50%の有利選択が可能
- 役員からの高額譲受差額は全額が役員賞与認定され損金不算入
- 養老保険のハーフタックスプランは支払保険料の2分の1が損金・2分の1が資産計上
間違えやすいところ
- 交際費の有利判定で接待飲食費の金額そのものと800万円を比較してしまう誤り(接待飲食費の50%と比較する)
- 役員への利益供与の損金不算入額を寄付金等の限度計算と混同して一部損金算入できると誤認すること
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法人税法および租税特別措置法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小法人の課税所得金額および法人税額の計算
タックスプランニング · 法人税の課税所得金額の計算 / 中小法人に対する軽減税率 / 法人税率の適用区分
《設例》の<資料>に基づき、小売業を営むX社(資本金1,000万円)の当期の法人税額を求める計算式の空欄①~③に入る数値を計算しなさい。 <計算式> ・課税所得金額 ( ① )万円 ・法人税額 □□□万円×15.0%+{( ① )万円-□□□万円}×( ② )% =( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 5,800(万円) ② 23.2(%) ③ 1,280(万円)
解説
法人税の課税所得金額は「当期利益 + 加算項目(益金算入・損金不算入) - 減算項目(益金不算入・損金算入)」で算出されます。資本金1億円以下の中小法人等では、所得金額のうち年800万円以下の部分には15%の軽減税率が、年800万円超の部分には23.2%の本則税率が適用されます。
解き方
- 設例の資料(4)から、当期利益2,100万円に加算額(400万+3,900万=4,300万円)を足し、減算額(230万+370万=600万円)を引いて課税所得金額5,800万円を算出する。
- 年800万円超の課税所得に適用される中小法人の法人税率(23.2%)を特定する。
- 年800万円以下の税額(800万円×15%=120万円)と年800万円超の税額(5,000万円×23.2%=1,160万円)を合算して合計法人税額1,280万円を求める。
答えの内訳
- ①:5,800
- 課税所得金額は、当期利益の額に益金算入額および損金不算入額を加算し、益金不算入額および損金算入額を減算して算出します。 当期利益2,100万円 + 加算項目(益金算入400万円 + 損金不算入3,900万円) - 減算項目(益金不算入230万円 + 損金算入370万円) = 5,800万円となります。
- ②:23.2
- 資本金1億円以下の中小法人の普通法人に対する法人税率は、年800万円以下の部分について軽減税率(15.0%)が適用され、年800万円を超える部分については本則税率である23.2%が適用されます。したがって、空欄②は23.2となります。
- ③:1,280
- 課税所得金額5,800万円に対する法人税額を計算します。 年800万円以下の部分:800万円 × 15.0% = 120万円 年800万円超の部分:(5,800万円 - 800万円) × 23.2% = 5,000万円 × 23.2% = 1,160万円 合計法人税額:120万円 + 1,160万円 = 1,280万円となります。
覚えるポイント
- 課税所得金額 = 当期純利益 + 加算項目 - 減算項目
- 資本金1億円以下の中小法人の法人税率は年800万円以下が15%、年800万円超が23.2%
間違えやすいところ
- 加算項目と減算項目のプラス・マイナスを取り違えて計算してしまうミス
- 中小法人の年800万円超の税率を過去の税率(23.4%等)と混同してしまうこと
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法人税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
少額減価償却資産および一括償却資産の損金算入
法人税 · 減価償却 / 少額減価償却資産の特例 / 一括償却資産
法人税における減価償却に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を、〈数値群〉の中から選びなさい。 「X社が当期において取得して事業の用に供した減価償却資産のうち、その取得価額が30万円未満であるものは、『中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例』により、当期においてその取得価額に相当する金額を、本特例の適用を受ける減価償却資産の取得価額の合計額が( ① )万円を限度として、損金経理することにより損金の額に算入することができる。なお、本特例の適用対象法人は、青色申告法人である中小企業者等で、常時使用する従業員の数が( ② )人以下の法人に限定されている。 また、X社が当期において取得して事業の用に供した減価償却資産のうち、その取得価額が( ③ )万円未満であるものは、『一括償却資産の損金算入』により、当期においてその取得価額に相当する金額を損金経理する場合、その取得価額の3分の1相当額を当期以後( ④ )年間にわたって損金の額に算入することができる。」
- イ
- 2
- ロ
- 3
- ハ
- 5
- ニ
- 7
- ホ
- 10
- ヘ
- 20
- ト
- 30
- チ
- 50
- リ
- 100
- ヌ
- 200
- ル
- 300
- ヲ
- 500
- ワ
- 1,000
解答・解説を表示
解答
① ル ② ワ ③ ヘ ④ ロ
解説
法人税法における減価償却の特例として、中小企業者等の少額減価償却資産(取得価額30万円未満、年計300万円限度、即時損金算入)と、企業規模を問わない一括償却資産(取得価額20万円未満、3年均等償却)の要件と償却限度額を整理して理解することが重要です。
解き方
- 少額減価償却資産の特例要件を確認し、年間限度額が300万円、従業員要件が1,000人以下であることを判定する。
- 一括償却資産の要件を確認し、取得価額20万円未満の資産について3年間で均等償却することを判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ル
- 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例において、事業年度ごとの適用限度額の合計は300万円(1年未満の事業年度の場合は月数換算)となります。
- 小問 ②:ワ
- 少額減価償却資産の特例の対象となる中小企業者等は、資本金1億円以下の法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人(現行法規等では段階的改定あり)以下の法人等に限定されています。
- 小問 ③:ヘ
- 一括償却資産の損金算入制度は、取得価額が20万円未満の減価償却資産を対象とし、法定耐用年数にかかわらず3年間で均等償却できます。
- 小問 ④:ロ
- 一括償却資産は、取得価額の合計額の3分の1に相当する金額を、事業の用に供した事業年度以後3年間にわたって均等に損金算入します。
覚えるポイント
- 中小企業者等の少額減価償却資産:取得価額30万円未満、年間合計300万円まで即時損金算入。
- 一括償却資産:取得価額20万円未満、耐用年数に関わらず3年均等償却(年1/3)。
間違えやすいところ
- 少額減価償却資産の取得価額基準(30万円未満)と一括償却資産の基準(20万円未満)を取り違えやすい。
- 少額減価償却資産の年間限度額300万円と、一括償却資産の3年間均等償却の「3」を混同しないように注意する。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等(法人税法および租税特別措置法)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法(用途制限・建蔽率・斜線制限)
不動産 · 建築基準法 / 用途規制 / 建蔽率の緩和 / 斜線制限
甲土地(300㎡、第一種住居地域、指定建蔽率60%、指定容積率300%、準防火地域)および乙土地(200㎡、第二種住居地域、指定建蔽率60%、指定容積率200%、準防火地域)に関する建築基準法の規定についての次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 甲土地と乙土地を一体とした土地上に建築物を建築する場合、建築物の用途制限については、その全部について、第一種住居地域の建築物の用途に関する規定が適用される。 ② 甲土地と乙土地を一体とした土地上に耐火建築物を建築する場合、建蔽率の上限となる建築面積の計算上、指定建蔽率に10%加算される。 ③ 甲土地と乙土地を一体とした土地上に建築物を建築する場合、建築物の高さに係る道路斜線制限は適用されるが、隣地斜線制限は適用されない。
- ①
- 建築物の敷地が異なる用途地域にまたがる場合、用途制限はその全部について第一種住居地域の規定が適用される。
- ②
- 耐火建築物を建築する場合、建蔽率の上限の計算上、指定建蔽率に10%加算される。
- ③
- 建築物を建築する場合、道路斜線制限は適用されるが、隣地斜線制限は適用されない。
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解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
建築基準法において、敷地が2つ以上の用途地域にまたがる場合の用途制限は「過半主義」がとられます。また、建蔽率は準防火地域内の耐火建築物等に対して10%緩和措置があり、高さ制限のうち道路斜線制限は全地域、隣地斜線制限は低層住居専用地域等を除く地域に適用されます。
解き方
- 敷地全体の面積(300㎡+200㎡=500㎡)に対する各用途地域の面積割合を確認し、過半(300㎡)を占める第一種住居地域の用途制限が全体に適用されることを確認する。
- 準防火地域内で耐火建築物を建築する場合の建蔽率10%加算の適用可否を判定する。
- 対象地域(住居地域)における道路斜線制限および隣地斜線制限の適用の有無を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 敷地が異なる用途地域にまたがる場合、建築物の用途制限は敷地の過半が属する地域の規定が適用されます。本件敷地全体500㎡のうち甲土地(第一種住居地域)が300㎡と過半を占めるため、敷地の全部に第一種住居地域の用途規定が適用されます。
- 小問 ②:○
- 準防火地域内において耐火建築物または延焼防止建築物を建築する場合、建蔽率は指定建蔽率に10%が加算されます。甲・乙土地ともに準防火地域であるため、加算の適用対象となります。
- 小問 ③:×
- 道路斜線制限はすべての用途地域で適用されます。一方、隣地斜線制限は第一種・第二種低層住居専用地域等を除き適用されるため、住居地域である本敷地にも隣地斜線制限は適用されます。
覚えるポイント
- 用途地域の制限:過半が属する地域の規定を敷地全体に適用(過半主義)。
- 準防火地域+耐火建築物・準耐火建築物等:建蔽率10%緩和(加算)。
- 隣地斜線制限:低層住居専用地域・田園住居地域には適用されず、その他の住居系・商業系・工業系地域に適用される。
間違えやすいところ
- 建蔽率や容積率の地域またがり(按分計算)と、用途制限(過半主義)の処理方法を混同しやすい。
- 低層住居専用地域に適用されない隣地斜線制限を、すべての住居地域で適用されないと誤認しやすい。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の建築基準法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
複数用途地域にわたる敷地の容積率と延べ面積の限度計算
不動産 · 建築基準法 / 容積率制限 / 前面道路幅員による制限 / 敷地が2以上の地域にわたる場合
甲土地(面積300㎡、第一種住居地域、指定容積率300%、前面道路:北側6m県道)と乙土地(面積200㎡、第二種住居地域、指定容積率200%、前面道路:南側4m市道)を一体とした敷地(500㎡)上に耐火建築物を建築する場合、容積率の上限となる延べ面積を求める次の計算手順の空欄①~③に入る数値を求めなさい。なお、住居系地域の前面道路幅員に乗じる法定乗数は4/10とする。
解答・解説を表示
解答
① 240(%) ② 400(㎡) ③ 1,120(㎡)
解説
建築物の敷地が2以上の地域にわたる場合、容積率の上限となる延べ面積は、それぞれの地域ごとに面積と上限容積率を乗じて得た延べ面積の限度を計算し、それらを合計(加重平均)して算出します。また、敷地が2以上の道路に面している場合、原則として幅員の最も広い道路の幅員が前面道路の幅員となります。
解き方
- 敷地全体に適用される前面道路幅員を決定する(北側6mと南側4mのうち広い方の6m県道を採用)。
- 第一種住居地域部分の道路幅員制限容積率(6m×4/10=240%)を算出し、指定容積率(300%)と比較して小さい方(240%)を上限として延べ面積限度(300㎡×240%=720㎡)を計算する。
- 第二種住居地域部分の道路幅員制限容積率(6m×4/10=240%)と指定容積率(200%)を比較し、小さい方(200%)を上限として延べ面積限度(200㎡×200%=400㎡)を計算する。
- 両地域の延べ面積限度を合計して一体地全体の延べ面積限度(720㎡+400㎡=1,120㎡)を求める。
答えの内訳
- ①:240
- 敷地が2つ以上の道路に接している場合、広い方の道路幅員(6m)を前面道路として適用します。住居系地域であるため法定乗数は4/10となり、道路幅員制限による容積率は「6m×4/10=240%」となります。指定容積率300%と比べて小さい方の240%が第一種住居地域部分の上限容積率です。
- ②:400
- 乙土地(第二種住居地域)部分についても一体の敷地であるため広い方の道路幅員(6m)が前面道路となり、道路幅員制限による容積率は240%となります。指定容積率は200%であるため、小さい方の200%が上限容積率となります。したがって、第二種住居地域部分の延べ面積の限度は「200㎡×200%=400㎡」となります。
- ③:1,120
- 第一種住居地域部分の延べ面積の限度は「300㎡×240%=720㎡」です。これに第二種住居地域部分の延べ面積の限度400㎡を加算することで、敷地全体の上限延べ面積は「720㎡+400㎡=1,120㎡」と算出されます。
覚えるポイント
- 敷地が2以上の道路に接する場合は原則として最も広い前面道路の幅員を全体に適用します。
- 容積率は地域ごとに「指定容積率」と「道路幅員×法定乗数」を比較し、小さい方を採用して面積按分します。
間違えやすいところ
- 乙土地の前面道路を南側の4m市道として計算してしまう誤り(一体利用の場合は広い方の6mが適用されます)。
- 住居系地域の法定乗数(4/10)と商業系地域の法定乗数(6/10)を混同してしまうこと。
出題の前提:建築基準法第52条(容積率)および2019年10月1日現在施行の法令基準に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定の資産の買換えの場合の課税の特例の要件と圧縮限度額の計算
タックスプランニング · 法人税 / 特定の資産の買換えの場合の課税の特例 / 租税特別措置法第65条の7 / 圧縮記帳
法人税における「特定の資産の買換えの場合の課税の特例」(租税特別措置法第65条の7)に関する次の記述①~④の正誤を判定しなさい。なお、譲渡資産および買換資産はいずれも土地であり、地域再生法に規定する一定の地域・集中地域以外の地域内に所在しているものとする。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○ ④ ○
解説
法人税における特定の資産の買換え特例は、事業用資産を譲渡して一定期間内に所定の資産を取得した場合に、課税繰延割合(原則80%)を乗じた圧縮限度額まで圧縮記帳を行うことで課税を将来に繰り延べる制度です。長期所有資産の買換え(7号買換え)では、所有期間10年超要件、買換資産の敷地面積要件(300㎡以上)、買換面積限度(譲渡面積の5倍以内)などの諸条件が定められています。
解き方
- 買換資産が土地の場合の面積制限(譲渡土地面積の5倍以内)の要件を照合し、記述①の正誤を判断する。
- 7号買換えの譲渡資産の所有期間要件(譲渡年1月1日時点で10年超)を確認し、記述②の正誤を判断する。
- 買換資産の取得面積要件(原則300㎡以上)を確認し、記述③の正誤を判断する。
- 譲渡利益金額(譲渡対価-帳簿価額-譲渡費用)を算出し、「譲渡利益×(取得価額/譲渡対価)×80%」により圧縮限度額を計算して記述④を検証する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 不適切です。譲渡資産および買換資産がいずれも土地等である場合、買換資産となる土地の面積は、原則として譲渡した土地等の面積の「5倍」を超える部分は対象外となります。設問の「3倍」は誤りです。
- 小問 ②:○
- 適切です。長期所有資産の買換え(いわゆる7号買換え)に該当するためには、譲渡資産である土地等について、譲渡した日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えている必要があります。
- 小問 ③:○
- 適切です。長期所有資産の買換え(7号買換え)により取得する買換資産が土地等である場合、その面積が原則として300㎡以上でなければなりません。
- 小問 ④:○
- 適切です。譲渡対価3億円、帳簿価額8,000万円、譲渡費用1,000万円の場合、譲渡利益は「3億円-(8,000万円+1,000万円)=2億1,000万円」です。買換資産の取得価額(2億円)が譲渡対価以下のため、課税繰延割合80%を適用した圧縮限度額は「2億1,000万円×(2億円/3億円)×80%=1億1,200万円」となります。
覚えるポイント
- 買換資産が土地の場合、取得可能面積は譲渡面積の「5倍」以内です。
- 長期所有資産の買換え(7号)では所有期間「10年超」、買換土地面積「300㎡以上」、課税繰延割合「80%」が標準的な要件となります。
間違えやすいところ
- 買換土地の面積制限を「3倍」と誤認してしまうこと(正しくは原則5倍)。
- 買換資産の取得価額が譲渡対価未満の場合の圧縮限度額計算で、取得価額と譲渡対価の比率(買換割合)を掛け忘れること。
出題の前提:租税特別措置法第65条の7(特定の資産の買換えの場合の課税の特例)および2019年10月1日現在施行の法令基準に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
類似業種比準価額および併用方式による株式評価額の計算
相続・事業承継 · 取引相場のない株式の評価 / 類似業種比準方式 / 中会社の評価
設例の<X社の概要>に基づき、X社株式の1株当たりの「類似業種比準価額」と「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による相続税評価額」を求める下記の<計算式>の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。 <計算式> ・類似業種比準価額 □□□円 × {(6.0円/5.0円 + 30円/25円 + 240円/200円)/( ① )} × ( ② ) × (50円/50円) = ( ③ )円 ・類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による相続税評価額 ( ③ )円 × ( ④ ) + 540円 × {1 - ( ④ )} = □□□円
解答・解説を表示
解答
① 3 ② 0.6 ③ 324(円) ④ 0.90
解説
財産評価基本通達において、中会社の株式の評価は原則として類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式により行われます。類似業種比準価額の算定では、配当・利益・純資産の3要素の比準割合の平均に中会社の斟酌割合(0.6)を乗じます。また、併用方式における類似業種比準価額の割合(L値)は中会社の区分(大:0.90、中:0.75、小:0.60)に応じて適用されます。
解き方
- 類似業種比準価額の算定式を確認し、3要素の平均(除数3)および中会社の斟酌割合(0.6)を特定して計算式から1株当たり類似業種比準価額(324円)を算出する。
- 中会社の規模区分「中会社の大」に応じたL値(0.90)を特定し、併用方式の計算式の空欄を埋める。
答えの内訳
- ①:3
- 類似業種比準価額の計算において、配当・利益・純資産の3要素の比準割合を合計したものを3で除して平均を求めるため、空欄①に入る数値は「3」となります。
- ②:0.6
- 会社規模区分が中会社の場合、類似業種比準価額の計算における斟酌割合は「0.6」(大会社は0.7、小会社は0.5)となるため、空欄②に入る数値は「0.6」です。
- ③:324
- 類似業種株価450円 × {(6.0/5.0 + 30/25 + 240/200) / 3} × 0.6 × (50/50) = 450円 × {(1.2 + 1.2 + 1.2) / 3} × 0.6 × 1 = 450円 × 1.2 × 0.6 = 324円となります。
- ④:0.90
- 中会社の類似業種比準割合(Lの割合)は、中会社の大が「0.90」、中会社の中が「0.75」、中会社の小が「0.60」と定められているため、空欄④は「0.90」となります。
覚えるポイント
- 斟酌割合は大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5であること。
- 中会社のL値は大が0.90、中が0.75、小が0.60であること。
間違えやすいところ
- 大会社の斟酌割合(0.7)や小会社の斟酌割合(0.5)と混同して0.6を誤ること。
- 中会社の規模区分(大・中・小)によるL値(0.90、0.75、0.60)を取り違えること。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の財産評価基本通達
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自己株式の取得手続きおよび税務上の取扱い
相続・事業承継 · 自己株式の取得 / 会社法の手続き / みなし配当 / 分配可能額
X社の自己株式の買取りに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① X社が二男DさんからX社株式を買い取るためには、特定の株主からの取得となるため、X社の株主総会の特別決議が必要となる。 ② X社が取得することができる自己株式の対価の総額は、会社法の定める利益準備金の範囲内でなければならない。 ③ 二男Dさんが、X社株式をX社に譲渡した場合、その譲渡価額のうち当該株式に対応する資本金等の額を超える部分の金額については、一時所得として総合課税の対象となる。
- ①
- X社が二男DさんからX社株式を買い取るためには、特定の株主からの取得となるため、X社の株主総会の特別決議が必要となる。
- ②
- X社が取得することができる自己株式の対価の総額は、会社法の定める利益準備金の範囲内でなければならない。
- ③
- 二男Dさんが、X社株式をX社に譲渡した場合、その譲渡価額のうち当該株式に対応する資本金等の額を超える部分の金額については、一時所得として総合課税の対象となる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
会社法上、特定の株主からの自己株式取得には株主総会の特別決議が必要であり、交付する対価の総額は効力発生日における分配可能額を超えてはなりません。税法上、非上場会社への自己株式譲渡により個人株主が受ける対価のうち、資本金等の額を超える部分は利益の配当とみなされ配当所得(みなし配当)として課税されます。
解き方
- 特定の株主からの自己株式取得における会社法上の決議要件(株主総会の特別決議)を確認する。
- 自己株式の取得財源の制限が「分配可能額」であるかを確認し、誤った規定を排除する。
- 自己株式売却時の課税関係を整理し、資本金等の額を超える部分は一時所得ではなく「みなし配当(配当所得)」となることを確認する。
- 選択肢 ①正解
- 特定の株主から自己株式を取得する場合、株主平等の原則の観点から、株主総会の特別決議による承認が必要です。
- 選択肢 ②不正解
- 自己株式の取得対価の総額の限度は、利益準備金ではなく「分配可能額」の範囲内と定められています。
- 選択肢 ③不正解
- 資本金等の額を超える部分の金額は一時所得ではなく、「配当所得(みなし配当)」として総合課税の対象となります。
答えの内訳
- ①:○
- 株式会社が特定の株主から合意により自己株式を取得する場合、株主総会の特別決議(会社法第156条・第160条・第309条2項)が必要です。
- ②:×
- 株式会社が自己株式を取得する際の対価の総額は、会社法に定める「分配可能額」の範囲内でなければならず、利益準備金の範囲内ではありません。
- ③:×
- 個人株主が発行法人に株式を譲渡した場合、交付を受けた金銭等のうち資本金等の額を超える部分は「配当所得」(みなし配当)となり、残りの部分は株式等に係る譲渡所得等となります。
覚えるポイント
- 特定の株主からの自己株式取得は株主総会の特別決議が必要。
- 自己株式取得対価の限度額は「分配可能額」。
- 自己株式を会社に買い取らせた場合の資本金等超過部分は「みなし配当(配当所得)」となる。
間違えやすいところ
- 分配可能額の財源規制を利益準備金や資本金と取り違えること。
- みなし配当を一時所得や譲渡所得と混同すること。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の会社法および所得税法
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
取引相場のない株式の評価額引下げ対策
相続・事業承継 · 類似業種比準価額 / 会社規模区分 / 事業承継対策 / 自社株評価
非上場会社であるX社株式の評価および引下げ対策に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① X社の従業員数が70人以上になり、X社の規模区分が「大会社」となった場合、同族株主が取得するX社株式の価額は、原則として類似業種比準価額によって評価することになるため、相続税評価額を引き下げることができる。 ② 配当を記念配当や特別配当などの非経常的な配当とすることにより、X社の配当金額を引き下げることができ、類似業種比準価額を引き下げる効果が期待できる。 ③ Aさんの勇退にあたり、X社がAさんに対して役員退職金を支給することにより、X社の利益金額および純資産価額を引き下げることができ、類似業種比準価額を引き下げる効果が期待できる。
- ①
- X社の従業員数が70人以上になり「大会社」となった場合、類似業種比準価額で評価することになり相続税評価額を引き下げることができる。
- ②
- 配当を記念配当や特別配当とすることで配当金額を引き下げ、類似業種比準価額を引き下げる効果が期待できる。
- ③
- 役員退職金を支給することで利益金額および純資産価額を引き下げ、類似業種比準価額を引き下げる効果が期待できる。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
取引相場のない株式の類似業種比準方式では、配当・利益・純資産の3要素および会社規模に応じた斟酌割合(大会社0.70、中会社0.60、小会社0.50)を基に計算します。非経常的な配当の除外や退職金支給による利益・純資産の圧縮は評価引下げ対策として有効ですが、規模区分変更による斟酌割合の変化には留意が必要です。
解き方
- 規模区分の変更に伴う斟酌割合(大会社0.70、中会社0.60)とL値の変動による評価額への影響を試算して記述①の正誤を判定する。
- 類似業種比準方式における非経常的配当(記念配当・特別配当)の取扱規則を確認して記述②の正誤を判定する。
- 役員退職金の損金算入および資産流出が3要素(利益・純資産)に与える影響を確認して記述③の正誤を判定する。
- 選択肢 ①不正解
- 大会社になると斟酌割合が0.60から0.70に上昇するため、本問の前提条件では類似業種比準価額が上昇し、結果として相続税評価額が引き上がるため不適切です。
- 選択肢 ②正解
- 記念配当や特別配当などの非経常的な配当は比準要素の年配当金額から除外されるため、類似業種比準価額を引き下げる効果があり適切です。
- 選択肢 ③正解
- 適正な役員退職金の支給は損金算入による利益金額の減少と現金等の流出による純資産価額の減少をもたらすため、類似業種比準価額を引き下げる効果があり適切です。
答えの内訳
- ①:×
- 大会社になると原則として類似業種比準方式で評価しますが、斟酌割合が中会社の0.60から大会社の0.70に引き上がります。本問の数値では中会社(大)の評価額(345.6円)よりも大会社の評価額(378円)の方が高くなるため、評価額を引き下げられるとは限りません。
- ②:○
- 類似業種比準価額の計算において、比準要素の「1株当たりの年配当金額」には特別配当や記念配当などの非経常的な配当は含まれません。普通配当をこれらに振り替えることで比準要素の配当金額が下がり、株価を引き下げる効果があります。
- ③:○
- 役員退職金の支給は損金に算入されることで法人の「利益金額」を押し下げ、資金流出に伴い「純資産価額」も減少させるため、類似業種比準価額を引き下げる効果が期待できます。
覚えるポイント
- 類似業種比準方式の斟酌割合は大会社0.70、中会社0.60、小会社0.50である。
- 比準要素の年配当金額の算定において、記念配当や特別配当などの非経常的な配当は除外される。
間違えやすいところ
- 大会社になると類似業種比準方式が100%適用されるため常に株価が下がると誤認しやすいが、斟酌割合が0.70へ上がることにより逆に評価額が上昇する場合がある点に注意する。
出題の前提:2019年10月1日現在施行の法令等および国税庁「財産評価基本通達」に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2020年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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