日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の概要
老齢給付の支給額(老齢基礎年金および老齢厚生年金)の計算
公的年金・社会保険 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算 / 加給年金
設例のAさん(1971年5月12日生まれ・48歳)とその家族に関する資料および計算式に基づき、Aさんが65歳から原則として受給することができる、①老齢基礎年金の年金額、②老齢厚生年金の年金額をそれぞれ求めなさい。なお、年金額は2019年度価額に基づき、端数処理は円未満四捨五入とすること。
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解答
① 723,218円 ② 1,063,905円
解説
老齢基礎年金は20歳から60歳までの480月を基準に保険料納付月数等に応じて計算され、老齢厚生年金は報酬比例部分に加えて定額部分との差額を調整する経過的加算、および厚生年金被保険者期間20年以上の受給権者が生計を維持する配偶者等を有する場合に支給される加給年金額で構成されます。
解き方
- 老齢基礎年金の月数を整理し、20歳以上60歳未満の厚生年金期間(第2号被保険者期間)と国民年金第1号納付期間を合算して満額基準から按分計算する。
- 報酬比例部分を総報酬制導入前(2003年3月以前)と導入後(2003年4月以後)に分けて算出し合算する。
- 経過的加算を公式に当てはめて計算し、厚生年金被保険者期間が240月以上かつ生計維持関係にある65歳未満配偶者がいるため加給年金額を加算する。
答えの内訳
- ①:723,218円
- 老齢基礎年金額は「780,100円×(保険料納付済月数/480)」で算出します。Aさんの保険料納付済月数は、厚生年金保険被保険者期間307月(108月+199月)と国民年金保険料納付予定期間138月の合計445月です(480月-未納35月=445月)。したがって、780,100円×(445月/480月)=723,217.708…円となり、円未満を四捨五入して723,218円となります。
- ②:1,063,905円
- 老齢厚生年金額は「報酬比例部分+経過的加算+加給年金額」で計算します。 1. 報酬比例部分: ⓐ 2003年3月以前分=280,000円×(7.125/1,000)×108月=215,460円 ⓑ 2003年4月以後分=420,000円×(5.481/1,000)×199月=458,101.98円 合計=215,460円+458,101.98円=673,561.98円(円未満四捨五入して673,562円) 2. 経過的加算額: 1,626円×307月-780,100円×(307月/480月)=499,182円-498,938.958…円=243.041…円(円未満四捨五入して243円) 3. 加給年金額: 厚生年金被保険者期間が20年以上(307月≧240月)あり、65歳到達時に生計を維持している65歳未満の配偶者(妻Bさん)がいるため、390,100円が加算されます。 以上より、673,562円+243円+390,100円=1,063,905円となります。
覚えるポイント
- 厚生年金の被保険者期間(20歳以上60歳未満)は、老齢基礎年金の保険料納付済月数(第2号被保険者期間)に含まれる。
- 加給年金の受給要件は、被保険者期間が原則20年(240月)以上であること。
間違えやすいところ
- 経過的加算の計算において、引き算の年金額端数処理や乗除の順序で端数ずれを起こしやすい。
- 厚生年金期間が20年以上あることを見落とし、加給年金額390,100円の加算を忘れてしまう。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等および2019年度価額に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
退職に伴う公的年金被保険者種別の変更手続きおよび保険料の納付・前納制度
公的年金・社会保険 · 国民年金被保険者種別変更 / 国民年金保険料 / 保険料の前納
MさんがAさんに対して説明した、X社退職後におけるAさん夫妻の公的年金制度の取扱いに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を付しなさい。 ① 「Aさんは国民年金の第2号被保険者から第1号被保険者へ、妻Bさんは国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更の届出を行う必要があります」 ② 「Aさんの退職に伴い、Aさんおよび妻Bさんは、国民年金の保険料を納付することになります。2019年度の国民年金の保険料は、月額13,580円となります」 ③ 「国民年金の毎月の保険料は翌月末日までに納付しなければなりませんが、将来の一定期間の保険料を前納することもできます。前納した場合、前納期間に応じて保険料の割引があり、前納できる期間は1年が上限となります」
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解答
① ○ ② × ③ ×
解説
会社を退職した第2号被保険者およびその被扶養配偶者である第3号被保険者は、退職に伴い国民年金の第1号被保険者へ種別変更する届出が必要となり、以後は各自が毎年度定められた国民年金保険料を負担します。保険料には納付負担を軽減するための前納割引制度(最大2年分)が設けられています。
解き方
- 第2号被保険者の退職に伴う本人および被扶養配偶者の国民年金被保険者種別の移行要件(第1号被保険者への変更)を確認する。
- 出題年度(2019年度)の国民年金保険料月額の数値を判定する。
- 国民年金保険料の前納可能期間の上限(最長2年間)に関する規定を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 会社員(第2号被保険者)が退職して個人事業主等になる場合、第1号被保険者への種別変更手続きが必要です。また、その扶養に入っていた配偶者(第3号被保険者)も第3号の資格を喪失し、第1号被保険者への種別変更手続きを行う必要があります。
- 小問 ②:×
- 2019年度(平成31年度)の国民年金保険料(第1号被保険者)は月額16,410円です。記述の「13,580円」は誤りです。
- 小問 ③:×
- 国民年金保険料の前納制度では、6カ月前納、1年前納のほか、最大で「2年分」の前納(2年前納)が認められており割引が適用されます。「1年が上限」とする記述は誤りです。
覚えるポイント
- 第2号被保険者が退職して第1号被保険者になると、その被扶養配偶者(第3号被保険者)も第1号被保険者への種別変更が必要となる。
- 国民年金保険料の前納は最長「2年間(2年前納)」まで可能である。
間違えやすいところ
- 退職した夫だけが第1号被保険者になり、専業主婦の妻は第3号のままでいられると誤認しやすい。
- 前納期間の上限を1年(12カ月)までと誤解しやすい。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
国民年金の第1号被保険者の年金上乗せ制度
ライフプランニングと資金計画 · 付加年金 / 国民年金基金 / 個人型確定拠出年金(iDeCo)
会社員を退職して個人事業主(国民年金第1号被保険者)となるAさんに対し、老後の年金収入を増やす各種制度について説明した次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 「老後の年金収入を増やすために、国民年金の付加保険料を納付することができます。仮に、Aさんが付加保険料を120月納付し、65歳から老齢基礎年金を受け取る場合、老齢基礎年金の額に付加年金として48,000円が上乗せされます」 ② 「老後の年金収入を増やすために、国民年金基金に加入することができます。ただし、60歳から給付を受けるためには、通算加入者等期間が10年以上なければならないため、50歳までに加入する必要があります」 ③ 「老後の年金収入を増やすために、確定拠出年金の個人型年金に加入することができます。Aさんが拠出することができる掛金の限度額は、年額81万6,000円(月額68,000円)となり、拠出した掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象となります」
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解答
① × ② × ③ ○
解説
自営業者等の国民年金第1号被保険者は、老齢厚生年金がないため、付加年金、国民年金基金、個人型確定拠出年金(iDeCo)などを利用して自助努力で老後年金を上乗せする仕組みが用意されています。
解き方
- 付加年金の受給額計算式(年額=200円×納付月数)に基づき、金額が正しいか検算する。
- 国民年金基金の制度設計や加入条件を確認し、確定拠出年金の受給要件等と混同していないか判断する。
- 国民年金第1号被保険者のiDeCo掛金限度額(月額68,000円)と税制適格(全額所得控除)の正誤を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 付加年金の年金額は「200円×付加保険料納付済月数」で計算されるため、120月納付したときの受給額は年額24,000円となります。記述の48,000円は付加保険料(月額400円×120月)の納付総額です。
- 小問 ②:×
- 国民年金基金には確定拠出年金のような「通算加入者等期間10年以上でなければ60歳から受給できないため50歳までに加入必須」という一律の受給要件はありません。国民年金の第1号被保険者であれば原則として加入できます。
- 小問 ③:○
- 自営業者等の国民年金第1号被保険者が個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する場合、掛金限度額は月額68,000円(年額816,000円)であり、拠出した全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となります。
覚えるポイント
- 付加保険料は月額400円、受取年金額は年額「200円×納付月数」で2年受給すれば元が取れる。
- 第1号被保険者のiDeCoと国民年金基金の掛金は合算して月額68,000円が限度枠となる。
間違えやすいところ
- 付加年金の受給額計算で、月額保険料である400円を掛けて計算してしまうミスに注意する。
- 確定拠出年金の通算加入者等期間要件(通算10年未満だと受給開始年齢が繰り下がる規定)を国民年金基金の加入資格と混同しない。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の公的年金制度および私的年金制度の関連法令
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険の特約と保険料払込方法
リスク管理 · 就業不能保障 / 先進医療特約 / 保険料払込期間(終身払と有期払)
生命保険の提案を受けているAさん(35歳)に対し、FPのMさんが保障内容等について説明した次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 「Aさんが病気やケガ等で重度の障害状態となって働けなくなった場合、通常の生活費に加え、療養費等の出費もかさみ、支出が収入を上回る可能性があります。提案を受けている就業不能サポート特約など、就業不能時に備えることができる保険に加入することは検討に値します」 ② 「先進医療特約では、療養を受けた時点において厚生労働大臣により定められている先進医療が給付の対象となります」 ③ 「提案を受けている無配当終身介護保障保険の保険料払込期間を有期払込にすることで、毎月の保険料負担は減少し、保険料の払込総額も少なくなります。保険料負担を軽減するために有期払込を選択することをお勧めします」
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解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
生命保険契約では、保障対象の判定基準(療養時点判定など)や、保険料払込方式(有期払と終身払の毎回の保険料と総額の違い)の基本原理を正確に理解しておく必要があります。
解き方
- 生活リスクに対する就業不能保障の必要性を評価する。
- 先進医療特約の支払対象となる先進医療の判定基準時(療養を受けた時点)を確認する。
- 終身払込と有期払込における払込期間・毎回の保険料負担額の差異を比較検討する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 病気やケガ等で長期にわたり就労不能となった場合、収入減少と医療・療養費用の増加が重なるため、就業不能特約等の検討は適切です。
- 小問 ②:○
- 生命保険の先進医療特約において、給付対象となる先進医療は「契約時点」ではなく「療養を受けた時点」で厚生労働大臣に承認・指定されている技術です。
- 小問 ③:×
- 終身払込から有期払込に変更すると、払込期間が短縮されるため毎回の保険料負担は増加します。また払込総額も生存期間によって異なるため、毎回の負担が減少するという説明は不適切です。
覚えるポイント
- 先進医療特約の対象は「療養を受けた時点」で厚生労働大臣が認めている技術であること。
- 有期払込は終身払込よりも払込期間が短い分、毎回の保険料負担額は高くなること。
間違えやすいところ
- 先進医療の判定時期を「保険契約時」と誤解してしまう。
- 有期払込にすると毎月の支払額まで減少すると勘違いしてしまう。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の生命保険契約実務基準
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的介護保険の被保険者・給付要件・自己負担割合・保険料徴収
リスク管理 · 公的介護保険 / 要介護認定 / 自己負担割合 / 特別徴収
公的介護保険制度に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。
- ①
- 介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の医療保険加入者である第2号被保険者に区分されます。保険給付を受けるためには、市町村(特別区を含む)から要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。
- ②
- 介護保険の第1号被保険者は、要介護状態または要支援状態となった原因が特定疾病である場合に限り、介護給付または予防給付を受けることができます。
- ③
- 介護保険の第1号被保険者が、保険給付を受けた場合の自己負担割合は、合計所得金額の多寡にかかわらず、実際にかかった費用(食費、居住費等を除く)の1割となります。
- ④
- 介護保険の第1号被保険者が、公的年金制度から年額18万円以上の老齢年金を受給している場合、介護保険料は原則として公的年金から特別徴収されます。
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解答
① ○ ② × ③ × ④ ○
解説
公的介護保険は40歳以上の国民が加入する社会保険制度であり、65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の第2号被保険者で受給要件や保険料徴収方法が異なります。
解き方
- 各記述の対象が第1号被保険者か第2号被保険者かを確認し、受給要件(特定疾病要件の有無)を照合する。
- 自己負担割合の所得区分(1〜3割)および年金天引き(年額18万円基準の特別徴収)のルールに適合しているかを判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 公的介護保険の被保険者は65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の医療保険加入者である第2号被保険者に大別され、給付受給には保険者である市町村(特別区含む)からの要介護・要支援認定が必要です。
- 小問 ②:×
- 原因が加齢に伴う16種類の特定疾病に限定されるのは第2号被保険者です。第1号被保険者は原因を問わず要介護状態または要支援状態になれば給付対象となります。
- 小問 ③:×
- 第1号被保険者の自己負担割合は原則として1割ですが、一定以上の所得がある者はその合計所得金額等に応じて2割または3割負担となるため、所得の多寡にかかわらず1割とする記述は誤りです。
- 小問 ④:○
- 第1号被保険者が受給する老齢・退職年金等の受給額が年額18万円以上である場合、介護保険料は原則として公的年金から天引き(特別徴収)されます。
覚えるポイント
- 特定疾病要件が必要なのは第2号被保険者(40〜64歳)のみである点
- 年額18万円以上の公的年金受給者は介護保険料が特別徴収(年金天引き)となる点
間違えやすいところ
- 第1号被保険者と第2号被保険者の要介護認定要件(特定疾病限定の有無)を取り違えること
- 自己負担割合が所得金額に応じて2割や3割へ引き上げられる現行規定を見落とすこと
出題の前提:2019年4月1日現在施行の介護保険法および関係法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険料控除の限度額および指定代理請求による保険金の課税関係
リスク管理 · 生命保険料控除 / 介護医療保険料控除 / 指定代理請求特約 / 保険金の非課税規定
設例の生命保険の課税関係に関する文章中の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 Ⅰ「<資料1>の5年ごと配当付終身保険の支払保険料のうち、終身保険に係る保険料は一般の生命保険料控除の対象となり、就業不能サポート特約、総合医療特約および先進医療特約に係る保険料は介護医療保険料控除の対象となります。それぞれの控除限度額は、所得税で( ① )円、住民税で( ② )円です」 Ⅱ「<資料2>の無配当終身介護保障保険の被保険者である母Bさんが介護終身年金を請求できない特別な事情がある場合には、Aさんが母Bさんに代わって請求することができ、当該年金は( ③ )となります」
- イ
- 25,000
- ロ
- 28,000
- ハ
- 35,000
- ニ
- 40,000
- ホ
- 50,000
- へ
- 非課税
- ト
- 雑所得
- チ
- 一時所得
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解答
① ニ ② ロ ③ ヘ
解説
新生命保険料控除(平成24年以後締結)の所得税・住民税における各枠の控除限度額、および身体の障害・疾病に起因して支払われる給付金の非課税規定を正確に理解する必要があります。
解き方
- 新契約における所得税および住民税の各控除枠(一般・介護医療・個人年金)ごとの最高限度額(所得税40,000円、住民税28,000円)を確認して空欄①・②に当てはめる。
- 介護年金等の身体傷害に起因する給付金は指定代理請求特約によって代理人が受け取った場合でも被保険者本人と同様に所得税非課税となるルールを適用し空欄③を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ニ
- 平成24年1月1日以後に締結した新契約の生命保険料控除において、各区分(一般・介護医療・個人年金)の所得税における控除限度額はそれぞれ最高40,000円です。
- 小問 ②:ロ
- 新契約の生命保険料控除において、各区分(一般・介護医療・個人年金)の住民税における控除限度額はそれぞれ最高28,000円です(合計適用限度額は70,000円)。
- 小問 ③:へ
- 被保険者の疾病や身体の傷害に起因して受給する介護保険金等は非課税であり、指定代理請求人が代わりに受給した場合であっても課税関係は変わらず非課税として扱われます。
覚えるポイント
- 新生命保険料控除の各枠の控除限度額:所得税4万円、住民税2.8万円
- 入院給付金や介護年金等は指定代理請求人が代わりに受取っても非課税扱い
間違えやすいところ
- 旧契約の限度額(所得税5万円、住民税3.5万円)と新契約の限度額(所得税4万円、住民税2.8万円)を混同すること
- 指定代理請求人が受取人代理として受領した年金について贈与税や雑所得が課税されると誤認すること
出題の前提:2019年4月1日現在施行の所得税法および地方税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金に係る退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の計算 / 勤続年数の端数処理
Aさんが役員在任期間(勤続年数)37年3カ月でX社を退任し、役員退職金として5,000万円の支給を受けた場合における、退職所得の計算式中の空欄①~③に入る適切な数値を求めなさい。なお、Aさんには他に退職手当等の収入はなく、障害を原因とする退職ではないものとする。 <退職所得控除額> ( ① )万円+70万円×(□□□年-20年)=( ② )万円 <退職所得の金額> (5,000万円-( ② )万円)×□□□=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 800(万円)、② 2,060(万円)、③ 1,470(万円)
解説
退職手当等に係る退職所得の控除額は勤続年数20年を境に計算式が異なり、勤続年数に1年未満の端数がある場合は切り上げて計算します。
解き方
- 勤続年数37年3カ月の端数を1年に切り上げ、勤続年数を38年と算定する。
- 20年以下の部分(40万円×20年=800万円)と20年超の部分(70万円×18年=1,260万円)を合計して退職所得控除額2,060万円を求める。
- 退職手当等の収入金額5,000万円から退職所得控除額2,060万円を差し引き、2分の1を乗じて退職所得の金額1,470万円を算出する。
答えの内訳
- ①:800
- 勤続年数20年以下の部分に対する退職所得控除額は「40万円×勤続年数」で計算するため、40万円×20年=800万円となります。
- ②:2,060
- 勤続年数は37年3カ月で端数を切り上げて38年となります。退職所得控除額は、800万円+70万円×(38年-20年)=800万円+1,260万円=2,060万円となります。
- ③:1,470
- 退職所得の金額は「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」で算出するため、(5,000万円-2,060万円)×1/2=2,940万円×1/2=1,470万円となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の1年未満の端数は無条件に切り上げて1年として計算する
- 退職所得控除額は20年以下が40万円×年数、20年超が800万円+70万円×(年数-20年)である
間違えやすいところ
- 勤続年数の月数を切り捨てて37年として計算してしまう誤り
- 退職所得の計算で最後に2分の1を掛け忘れてしまう誤り
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
逓増定期保険の性質と払済終身保険への変更
リスク管理 · 逓増定期保険 / 解約返戻金 / 払済保険への変更 / 経理処理
X社が加入している無配当逓増定期保険(契約者:X社、被保険者:Aさん、受取人:X社)に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 当該生命保険の単純返戻率(解約返戻金額÷払込保険料累計額)は、逓増率変更年度の前後でピークを迎え、その後、単純返戻率は低下し、保険期間満了時には0(ゼロ)になります。現在のキャッシュバリューを確保するには、解約あるいは払済終身保険への変更を検討してください。 ② 当該生命保険を解約した場合にX社が受け取る解約返戻金は、Aさんに支給する役員退職金の原資や設備投資等の事業資金として活用することができます。 ③ 当該生命保険を払済終身保険に変更する場合、その変更時点における解約返戻金相当額とそれまでに支払った保険料の総額との差額を雑損失として損金の額に算入します。 ④ 当該生命保険を払済終身保険に変更する場合、Aさんは改めて健康状態等についての告知または医師の診査を受ける必要があるため、健康状態によっては、払済終身保険に変更できない場合があります。
解答・解説を表示
解答
① ○、② ○、③ ×、④ ×
解説
法人が加入する逓増定期保険はピーク時の返戻率が高く、期間満了時にはゼロとなる特性があります。払済保険へ変更する際は告知・診査が不要であり、資産計上額との差額を経理処理します。
解き方
- 逓増定期保険の解約返戻率の推移特性(ピーク後に低下し満了時はゼロ)を確認し、記述①・②の妥当性を判定する。
- 払済保険へ変更する際の税務上の経理処理(解約返戻金相当額と資産計上済の積立金との差額精算)に基づき、記述③の誤りを判断する。
- 契約変更(払済保険への変更)時の実務上の取扱規定(告知・診査不要)を確認し、記述④の誤りを判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 逓増定期保険は定期保険であるため満了時の解約返戻金はゼロになります。返戻率は逓増率変更前後にピークを迎えるため、ピーク時の解約や払済終身保険への変更で資産価値を確保するのは適切です。
- 小問 ②:○
- 法人が受け取る解約返戻金は法人の資金となるため、退任役員への退職金支給原資や事業資金・設備投資資金として活用することができます。
- 小問 ③:×
- 定期保険を払済保険に変更した場合、変更時の解約返戻金相当額と資産計上されていた「保険料積立金(資産計上額)」との差額を雑損失(または雑収入)として処理します。「支払った保険料の総額」との差額ではありません。
- 小問 ④:×
- 払済保険への変更は、保険金額を増額するものではないため、原則として医師の診査や健康状態の告知は不要です。
覚えるポイント
- 払済保険への変更時には告知・診査は不要である
- 払済保険への変更時の経理処理は解約返戻金相当額と既資産計上額の差額を損金(または益金)算入する
間違えやすいところ
- 払済保険変更時の損益計算において、資産計上額ではなく「支払保険料総額」と比較してしまう誤り
- 払済保険への変更時に新規加入と同様に医師の診査が必要であると思い込む誤り
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人契約の無配当低解約返戻金型終身保険の仕組みと経理処理
リスク管理 · 低解約返戻金型終身保険 / 法人保険の経理処理 / 契約者貸付
無配当低解約返戻金型終身保険(契約者・受取人:X社、被保険者:専務取締役長男Bさん、保険料払込期間:65歳満了、死亡保険金額:5,000万円、年払保険料:200万円、65歳までの払込保険料累計額:4,400万円)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。
- ①
- 当該生命保険は低解約返戻金型ではない終身保険に比べて保険料払込期間中の解約返戻金の水準が低く設定されているため、保険料払込期間の途中で解約とならないよう、継続的な支払が可能な保険料を設定してください
- ②
- 当該生命保険の支払保険料は、その全額を資産に計上します。仮に、保険料払込期間満了時に長男Bさんが死亡した場合、X社はそれまで資産計上していた保険料積立金4,400万円を取り崩し、死亡保険金5,000万円との差額600万円を雑収入として経理処理します
- ③
- X社が保険期間中に資金を必要とした場合、契約者貸付制度を利用することにより、当該生命保険を解約することなく、資金を調達することができます。X社が契約者貸付金を受け取った場合、当該生命保険契約は継続しているため、経理処理は必要ありません
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
法人を契約者・死亡保険金受取人、役員を被保険者とする終身保険の保険料は全額を資産(保険料積立金)に計上します。契約者貸付は解約返戻金を担保とした保険会社からの借入れであるため、経理処理が必要となります。
解き方
- 低解約返戻金型終身保険の特徴(払込期間中の解約返戻金が抑制されている点)と途中解約リスクを確認します。
- 契約者・受取人が法人である終身保険の支払保険料(資産計上)および死亡保険金受取時の差額(雑収入)の経理処理を確認します。
- 契約者貸付制度を利用して資金を借り入れた場合の法人における会計処理(借入金としての負債計上)の要否を判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 低解約返戻金型終身保険は、保険料払込期間中の解約返戻金を通常の終身保険より低く抑えることで保険料が割安に設定されています。払込期間途中で解約すると返戻金が低水準となり損失が生じるため、無理のない保険料設定が重要です。
- 小問 ②:○
- 契約者・死亡保険金受取人が法人、被保険者が役員・従業員の終身保険では、支払保険料の全額を資産(保険料積立金)に計上します。被保険者死亡時に法人が受け取った死亡保険金と資産計上済みの保険料積立金との差額は雑収入(益金)として処理します。
- 小問 ③:×
- 法人が契約者貸付制度を利用して資金を受け取った場合、契約は継続しますが、法人にとっては保険会社からの借入金となるため、現預金の増加とともに「借入金」等の負債を計上する経理処理が必要です。
覚えるポイント
- 法人契約・受取人法人の終身保険は支払保険料全額を資産計上する
- 契約者貸付金を受け取った場合は借入金として経理処理を行う
間違えやすいところ
- 契約者貸付を保険の解約や払戻しと混同して保険料積立金を取り崩してしまう誤りに注意する
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の所得控除(セルフメディケーション税制・扶養控除)と確定申告基準
タックスプランニング · セルフメディケーション税制 / 特定扶養親族 / 一時所得 / 給与所得者の確定申告基準
Aさんの2019年分の所得税の計算における所得控除等に関する文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、〈数値群〉のイ~リのなかから選びなさい。 Ⅰ「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の適用を受ける場合、特定一般用医薬品等購入費の支払額(保険金などで補填される金額を除く)が( ① )円を超えるときに、その超える部分の金額(最高88,000円)を総所得金額等から控除することができます」 Ⅱ「長男Cさんの合計所得金額は38万円以下となりますので、Aさんは長男Cさんに係る扶養控除の適用を受けることができます。長男Cさんは特定扶養親族に該当しますので、長男Cさんに係る扶養控除の額は( ② )万円となります」 Ⅲ「総所得金額に算入される一時所得の金額が( ③ )万円を超えるため、Aさんは所得税の確定申告をしなければなりません」 〈数値群〉 イ.10 ロ.15 ハ.20 ニ.38 ホ.48 へ.63 ト.12,000 チ.40,000 リ.68,000
- イ
- 10
- ロ
- 15
- ハ
- 20
- ニ
- 38
- ホ
- 48
- へ
- 63
- ト
- 12,000
- チ
- 40,000
- リ
- 68,000
解答・解説を表示
解答
① ト ② ヘ ③ ハ
解説
セルフメディケーション税制の控除額は対象医薬品購入費から12,000円を差し引いて計算します。19歳以上23歳未満の特定扶養親族の控除額は63万円です。また、給与所得者で給与・退職所得以外の所得が年間20万円を超える場合は確定申告義務が生じます。
解き方
- セルフメディケーション税制における足切り額(特定一般用医薬品等購入費から差し引く基準額12,000円)を確認します。
- 長男Cさんの年齢(20歳)から扶養親族の区分(特定扶養親族:19歳以上23歳未満)を特定し、控除額(63万円)を求めます。
- 給与所得者が所得税の確定申告を要する基準となる給与・退職所得以外の所得金額基準(20万円超)を適用します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ト
- セルフメディケーション税制では、年間の特定一般用医薬品等購入費の自己負担額が12,000円を超える場合に、その超える部分の金額(上限88,000円)を所得控除できます。したがって空欄①には12,000(ト)が入ります。
- 小問 ②:へ
- 扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の者は「特定扶養親族」となり、扶養控除額は63万円です。20歳の長男Cさんはこれに該当するため、空欄②には63(へ)が入ります。
- 小問 ③:ハ
- 給与を1カ所から受けていて年末調整を受けている給与所得者は、給与所得および退職所得以外の各種所得金額の合計が20万円を超える場合に確定申告が必要です。したがって空欄③には20(ハ)が入ります。
覚えるポイント
- セルフメディケーション税制は支払額12,000円超が対象で上限は88,000円
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の扶養控除額は63万円
- 給与所得者の給与以外の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要
間違えやすいところ
- 一般の扶養控除額(38万円)と特定扶養親族の控除額(63万円)を混同しないこと
- 総所得金額に算入される一時所得の金額は「(総収入金額-支出金額-特別控除50万円)×1/2」であることを忘れて満期保険金の差額をそのまま比較しないこと
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
給与所得者の所得税における各種所得の取扱いと申告手続き
タックスプランニング · 一時所得 / 配偶者控除 / 確定申告の手続き
会社員Aさんの2019年分の所得税の課税関係や申告手続きに関する次の記述①~③について、適切・不適切な判断を答えなさい。 ① 契約者および満期保険金受取人がAさんである養老保険(30年満期)の満期保険金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象となる。 ② Aさんの合計所得金額が900万円以下である場合、控除対象配偶者に該当する妻Bさんについて38万円の配偶者控除の適用を受けることができる。 ③ 所得税の確定申告書の提出方法には、税務署への持参や送付のほかに、e-Taxを利用する方法がある。
- ①
- Aさんが受け取った養老保険の満期保険金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象となります。
- ②
- Aさんの合計所得金額は900万円以下であるため、Aさんは38万円の配偶者控除の適用を受けることができます。
- ③
- 所得税の確定申告書を提出する方法として、確定申告書を税務署に持参または送付して提出する方法のほかに、e-Taxを利用する方法があります。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ○
解説
所得税において、契約者と受取人が同一の一時金は一時所得として総合課税され、配偶者控除は納税者本人および配偶者の合計所得金額の要件を満たすことで所定の控除が受けられます。
解き方
- 養老保険の契約形態(契約者=受取人)および満期までの期間(30年)を確認し、金融類似商品(源泉分離課税)に該当せず総合課税の一時所得となることを判定する。
- Aさんの合計所得金額が900万円以下であり、妻Bさんの所得要件を満たすことから配偶者控除38万円が適用できることを確認する。
- 確定申告書の提出方法として窓口持参、郵送等、e-Taxの利用が認められていることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 保険料負担者と満期保険金受取人が同一人である養老保険の満期保険金(保険期間5年超)は一時所得となり、総合課税の対象となります。
- 小問 ②:○
- 控除を受ける本人の合計所得金額が900万円以下で、生計を一にする配偶者の合計所得金額が38万円以下である場合、配偶者控除の額は38万円となります。
- 小問 ③:○
- 所得税の確定申告書は、所轄税務署への持参や郵送等の送付による提出のほか、国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用して提出することができます。
覚えるポイント
- 契約者=受取人の満期保険金・解約返戻金は一時所得(5年以下の一時払養老保険等を除く)。
- 配偶者控除の満額38万円の適用は、納税者本人の合計所得金額が900万円以下かつ配偶者の合計所得金額が38万円以下(2019年分)。
間違えやすいところ
- 保険期間5年以下または5年以内に解約された一時払養老保険等の差益は源泉分離課税となる点と混同しないようにする。
- 配偶者の給与収入が103万円以下であれば、本人の所得制限(900万円超で逓減、1,000万円超で不適用)を見落とさないように注意する。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額、扶養控除および所得税の算出税額の計算
タックスプランニング · 総所得金額の計算 / 給与所得控除 / 一時所得の計算 / 扶養控除 / 所得税の速算表
設例の資料に基づき、Aさんの2019年分の所得税の計算における空欄①~③に入る数値を求めなさい。 ・給与収入金額:1,050万円 ・養老保険の満期保険金:500万円(払込保険料380万円、30年満期) ・一時払終身保険の解約返戻金:490万円(一時払保険料500万円) ・長男Cさん(20歳、給与収入100万円)、二男Dさん(17歳、収入なし) ・所得控除の額の合計額:3,200,000円 求める数値: ① 総所得金額(円) ② 扶養控除額(円) ③ 課税総所得金額に対する算出税額(円)
解答・解説を表示
解答
① 8,600,000(円) ② 1,010,000(円) ③ 652,500(円)
解説
総所得金額は給与所得等の各種所得と一時所得の金額(1/2後)を合算して求め、そこから各種所得控除を差し引いた課税総所得金額に超過累進税率を適用して算出税額を計算します。
解き方
- 給与所得控除額(収入1,000万円超は220万円)を差し引いて給与所得の金額を算出する。
- 同一年に生じた一時所得の収入金額と支出金額を合算(内部通算)し、特別控除50万円を引いて得た一時所得の金額を1/2にして給与所得と合算し総所得金額を求める。
- 扶養親族の年齢区分に応じて特定扶養親族(63万円)と一般控除対象扶養親族(38万円)を判定して扶養控除の合計額を計算する。
- 総所得金額から所得控除の合計額を差し引いて課税総所得金額を求め、速算表の税率・控除額を用いて算出税額を計算する。
答えの内訳
- ①:8,600,000
- 給与所得=1,050万円-220万円=830万円。一時所得の総収入金額は500万円+490万円=990万円、支出金額は380万円+500万円=880万円となり、差益は110万円。特別控除額50万円を控除すると一時所得の金額は60万円となり、総所得金額への算入額はその1/2である30万円となります。よって、総所得金額は830万円+30万円=860万円(8,600,000円)です。
- ②:1,010,000
- 長男Cさん(20歳)は19歳以上23歳未満の特定扶養親族に該当するため控除額63万円、二男Dさん(17歳)は16歳以上19歳未満の一般の控除対象扶養親族に該当するため控除額38万円となります。合計の扶養控除額は63万円+38万円=101万円(1,010,000円)です。
- ③:652,500
- 課税総所得金額は、総所得金額860万円-所得控除合計320万円=540万円です。速算表より税率20%、控除額42万7,500円を適用し、5,400,000円×20%-427,500円=652,500円となります。
覚えるポイント
- 一時所得の内部通算:同一年に複数の一時所得がある場合、収入と支出をそれぞれ合算して差益を求める。
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の控除額は63万円、一般の控除対象扶養親族(16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満)は38万円。
間違えやすいところ
- 一時払終身保険の解約損(▲10万円)を切り捨ててしまい、一時所得の差益を120万円として計算を誤るミス。
- 一時所得の金額(60万円)をそのまま給与所得に足してしまい、1/2にするのを忘れるミス。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
死亡保険金の非課税限度額と小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)
相続・事業承継 · 生命保険金の非課税限度額 / 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 / 特定居住用宅地等
被相続人である父Cさんの相続に関して、次の空欄①~③に当てはまる数値を語句群(イ~リ)から選びなさい。 ⅰ)『死亡保険金』 「Aさんが受け取る死亡保険金(2,000万円)のうち、相続税の課税価格に算入される金額は( ① )万円です」 ⅱ)『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』 「弟Bさんが自宅(実家)の敷地を相続により取得し、特定居住用宅地等に係る小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた場合、その敷地のうち( ② )㎡までを限度面積として、評価額の( ③ )%相当額を減額した金額を、相続税の課税価格に算入すべき価額とすることができます」
- イ
- 50
- ロ
- 75
- ハ
- 80
- ニ
- 200
- ホ
- 330
- ヘ
- 400
- ト
- 500
- チ
- 1,000
- リ
- 1,500
解答・解説を表示
解答
① チ、② ホ、③ ハ
解説
相続人が受け取る生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額があります。また、小規模宅地等の特例における特定居住用宅地等は、居住の継続に配慮して330㎡まで評価額が80%減額されます。
解き方
- 被相続人の法定相続人の人数を数え、死亡保険金の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)を算出し、課税価格算入額を求める。
- 小規模宅地等の特例における特定居住用宅地等の限度面積(330㎡)および減額割合(80%)を当てはめる。
小問ごとの答え
- 小問 ①:チ
- 法定相続人は長男Aさんと弟Bさんの2人であるため、死亡保険金の非課税限度額は「500万円×2人=1,000万円」です。したがって、受け取った死亡保険金2,000万円から非課税限度額1,000万円を差し引いた1,000万円が課税価格に算入されます。
- 小問 ②:ホ
- 小規模宅地等の特例において、特定居住用宅地等に該当する場合の限度面積は330㎡となります。
- 小問 ③:ハ
- 小規模宅地等の特例において、特定居住用宅地等に該当する場合の減額割合は評価額の80%相当額となります。
覚えるポイント
- 死亡保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
- 特定居住用宅地等の限度面積は330㎡、減額割合は80%
間違えやすいところ
- 特定事業用宅地等の限度面積(400㎡)や貸付事業用宅地等の限度面積(200㎡・減額割合50%)と混同しないようにする。
- 死亡保険金の非課税限度額の計算において、相続放棄者がいた場合でも放棄がなかったものとした法定相続人の数を用いる点に注意する。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
不動産・タックスプランニング · 空き家に係る譲渡所得の特別控除 / 特別控除3,000万円 / 小規模宅地等の特例との併用 / 共有名義
「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(本特例)に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 「本特例の適用を受けるためには、相続税の申告期限までに譲渡を行う必要があります」 ② 「自宅(実家)の建物を解体して更地で譲渡した場合には、本特例の適用を受けることができません。本特例の適用を受けるためには、そのほかの要件もありますので、税理士等の専門職業家に相談してください」 ③ 「自宅(実家)の敷地について『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、本特例の適用を受けることはできません」 ④ 「仮に、自宅(実家)の敷地および建物をAさんと弟Bさんが共有名義で取得し、本特例の適用を受けた場合、各人がそれぞれ最高3,000万円の特別控除の適用を受けることができます」
解答・解説を表示
解答
① ×、② ×、③ ×、④ ○
解説
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除は、昭和56年5月31日以前に建築された居住用家屋等を相続した者が、耐震基準に適合させて譲渡するか、または取り壊して更地として譲渡した場合に、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例です。小規模宅地等の特例との併用も可能です。
解き方
- 譲渡期限(相続開始日以後3年を経過する日の属する年の12月31日まで)を確認し、申告期限とする記述を誤りと判定する。
- 家屋を取り壊した更地譲渡も対象となることを確認し、更地譲渡不可とする記述を誤りと判定する。
- 小規模宅地等の特例との併用可否を確認し、併用不可とする記述を誤りと判定する。
- 共有名義で取得・譲渡した場合の適用限度額が各人最高3,000万円である点を確認し、適切と判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 本特例の適用を受けるための譲渡期限は、相続の開始があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までです。相続税の申告期限(10か月以内)ではありません。
- 小問 ②:×
- 被相続人居住用家屋を取り壊して、その敷地等のみを譲渡する場合であっても、一定要件を満たせば本特例の適用を受けることができます。
- 小問 ③:×
- 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けていた場合であっても、本特例と併用して適用を受けることができます。
- 小問 ④:○
- 相続人が複数で家屋および敷地を共有名義で取得して譲渡した場合、各共有者がそれぞれ要件を満たせば、各人について最高3,000万円の特別控除の適用を受けることができます。
覚えるポイント
- 空き家特例の譲渡期限は「相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」
- 家屋を取り壊して更地で譲渡した場合も特例の対象となる
- 相続税の「小規模宅地等の特例」と空き家の「3,000万円特別控除」は併用可能
間違えやすいところ
- 相続税の申告期限(10か月以内)と譲渡所得の特例の期限(3年経過日の年の12月31日まで)を混同しないようにする。
- 居住用財産の3,000万円特別控除と異なり、空き家特例は更地化しての売却も認められている点を見落とさないようにする。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺産に係る基礎控除額・相続税の申告期限・相続税の総額の計算
資産承継・相続設計 · 遺産に係る基礎控除額 / 相続税の申告期限 / 相続税の総額の計算
父Cさんの相続に関して、以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 Ⅰ 「父Cさんの相続における遺産に係る基礎控除額は、( ① )万円です。課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を上回りますので、相続税の申告が必要となります。相続税の申告書は、相続の開始があったことを知った日の翌日から( ② )カ月以内に、父Cさんの死亡の時における住所地の所轄税務署長に提出してください」 Ⅱ 「仮に、課税遺産総額(課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)を8,100万円として計算した場合の相続税の総額は、( ③ )万円となります」
解答・解説を表示
解答
① 4,200(万円)、② 10(カ月)、③ 1,220(万円)
解説
相続税の税額計算では、法定相続人の数に応じた基礎控除額を控除した課税遺産総額を、実際の遺産分割割合にかかわらず一旦法定相続分どおりに按分し、速算表の税率を乗じて各人の税額を求めたうえで合算して総額を算出します。
解き方
- 法定相続人の数(2人)を確認し、基礎控除額の計算式(3,000万円+600万円×2人)にあてはめて①を求め、法令で定められた相続税の申告期限から②を特定する。
- 課税遺産総額8,100万円を各法定相続人へ法定相続分1/2ずつ按分し、各取得金額4,050万円に対する税額を速算表から計算(4,050万円×20%-200万円=610万円)して2人分を合算し③を求める。
答えの内訳
- ①:4,200
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。被相続人Cさんの配偶者は既に死亡しており、法定相続人は長男Aさんと弟Bさんの2人であるため、3,000万円+600万円×2人=4,200万円となります。
- ②:10
- 相続税の申告書の提出および納付期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から「10カ月以内」と定められています。
- ③:1,220
- 課税遺産総額8,100万円を各法定相続人の法定相続分(Aさん1/2、Bさん1/2)で按分すると、それぞれ4,050万円となります。速算表より各人の算出税額は「4,050万円×20%-200万円=610万円」となり、これを合算した相続税の総額は「610万円×2=1,220万円」となります。
覚えるポイント
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」である。
- 相続税の申告・納期限は「相続開始を知った日の翌日から10カ月以内」である。
間違えやすいところ
- 相続税の申告期限を所得税の準確定申告の期限(4カ月以内)と混同しないように注意する。
- 相続税の総額を計算する際、課税遺産総額に直接速算表の税率を乗じるのではなく、必ず一度法定相続分で按分した金額に税率を乗じる手順を踏む必要がある。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2019年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

