日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
特別支給の老齢厚生年金と老齢年金の繰上げ支給
ライフプランニングと資金計画 · 公的年金 / 特別支給の老齢厚生年金 / 繰上げ支給 / 減額率
MさんがAさんに対して説明した、公的年金制度からの老齢給付に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 「報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は、順次引き上げられており、( ① )年4月2日以後生まれの男性からは支給がありません。Aさんは、原則として、65歳から老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給することになります。なお、Aさんが希望すれば、60歳以上65歳未満の間に老齢基礎年金の繰上げ支給を請求することができます。仮に、Aさんが62歳0カ月で老齢基礎年金の繰上げ支給を請求した場合の減額率は( ② )%となります。Aさんが老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をする場合、同時に老齢厚生年金の繰上げ支給の請求を( ③ )」 〈語句群〉 イ.12.0 ロ.18.0 ハ.25.2 ニ.1961(昭和36) ホ.1966(昭和41) ヘ.行わなければなりません ト.する必要はありません
- イ
- 12.0
- ロ
- 18.0
- ハ
- 25.2
- ニ
- 1961(昭和36)
- ホ
- 1966(昭和41)
- ヘ
- 行わなければなりません
- ト
- する必要はありません
解答・解説を表示
解答
① ニ ② ロ ③ ヘ
解説
公的年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、生年月日に応じて特別支給の老齢厚生年金が存在します。男性は昭和36年4月1日以前生まれまでが対象で、昭和36年4月2日以後生まれには支給がありません。また、60歳から65歳未満の繰上げ請求を行うと生涯減額され、基礎年金と厚生年金は同時に請求する必要があります。
解き方
- 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の男性の支給終了となる生年月日区分(1961年4月2日以後)を確認し、①を選択する。
- 62歳0カ月から65歳到達月までの繰上げ月数(36カ月)に、出題基準日(2019年4月)現在の月当たり減額率0.5%を乗じて減額率18.0%を算出し、②を選択する。
- 年金の繰上げ請求において、老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に行わなければならない規定を確認し、③を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ニ
- 男性の場合、1961(昭和36)年4月2日以後生まれからは報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金も支給されず、65歳からの年金受給となります。
- 小問 ②:ロ
- 2019年4月1日現在の法令において、繰上げ減額率は1カ月あたり0.5%です。62歳0カ月で請求した場合、繰上げ月数は36カ月(65歳までの3年間)となるため、0.5%×36カ月=18.0%となります。
- 小問 ③:ヘ
- 老齢基礎年金の繰上げ支給を請求する場合、同時に老齢厚生年金の繰上げ支給の請求も行わなければなりません。
覚えるポイント
- 特別支給の支給終了生年月日は男性:昭和36年4月2日以後、女性:昭和41年4月2日以後。
- 繰上げ請求は老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に行わなければならない。
間違えやすいところ
- 2022年4月改正の繰上げ減額率0.4%と、本試験当時の法令基準日(2019年4月)の減額率0.5%を混同しないように注意する。
- 男女で特別支給の支給開始年齢のスケジュールが5年ずれている点を取り違えやすい。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等(国民年金法、厚生年金保険法)
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
定年退職時の社会保険(国民年金種別変更・任意継続被保険者・雇用保険基本手当)
ライフプランニングと資金計画 · 第3号被保険者の種別変更 / 健康保険の任意継続 / 雇用保険の基本手当 / 所定給付日数
X社の継続雇用制度を利用しなかった場合の社会保険の取扱い等に関するMさんの次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「Aさんが60歳でX社を定年退職し、厚生年金保険の被保険者でなくなった場合、妻Bさんは、国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更の届出を行い、60歳になるまでの間、国民年金の保険料を納付することになります」 ② 「Aさんは、所定の手続を行うことにより、退職日の翌日から最長で2年間、全国健康保険協会管掌健康保険に任意継続被保険者として加入することができます。任意継続被保険者の保険料は、在職時と同様、事業主と被保険者の折半となります」 ③ 「Aさんが60歳でX社を定年退職し、雇用保険から基本手当を受給する場合、基本手当の所定給付日数は300日となります。基本手当の受給期間は、原則として、離職した日の翌日から1年間ですが、定年退職の場合は最長1年間の受給期間延長を申し出ることができます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
退職によって公的社会保険の立場が変わります。被扶養配偶者は第2号被保険者の退職に伴い第1号被保険者へ種別変更が必要です。健康保険の任意継続は最長2年間可能ですが保険料は全額自己負担となります。雇用保険の定年退職者は自己都合退職等と同じ一般離職者の所定給付日数(被保険者期間20年以上で150日)が適用されます。
解き方
- 記述①:扶養者である夫が退職して第2号被保険者でなくなった場合、60歳未満の妻が第1号被保険者へ種別変更して保険料納付が必要となる規定を照合し、「○」と判定する。
- 記述②:任意継続被保険者の保険料負担が事業主折半ではなく「全額自己負担」となるルールを照合し、「×」と判定する。
- 記述③:定年退職者の雇用保険基本手当の所定給付日数(被保険者期間20年以上で150日)を確認し、300日とする誤りを特定して「×」と判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 配偶者が第2号被保険者の資格を喪失したため、第3号被保険者であった60歳未満の妻Bさんは第1号被保険者への種別変更届を提出し、自身で国民年金保険料を納付する必要があります。
- 小問 ②:×
- 健康保険の任意継続被保険者の保険料は全額自己負担となり、事業主との折半ではなくなるため不適切です。
- 小問 ③:×
- 定年退職による離職は一般離職者として扱われ、算定基礎期間20年以上の所定給付日数は150日であるため、300日とする記述は不適切です。
覚えるポイント
- 健康保険の任意継続被保険者の保険料は全額被保険者負担(上限あり)。
- 定年退職者の雇用保険の基本手当は「一般離職者」扱いとなり、被保険者期間20年以上で150日。
間違えやすいところ
- 任意継続被保険者の保険料が在職中と同じく労使折半であると思い込んでしまう。
- 定年退職者を会社都合などの特定受給資格者と混同し、所定給付日数を多く見積もってしまう。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等(国民年金法、健康保険法、雇用保険法)
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金からの老齢給付の年金額計算(老齢基礎年金・老齢厚生年金)
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 報酬比例部分 / 経過的加算 / 加給年金
会社員Aさん(1966年11月生まれ)が60歳で定年退職し、その後再就職等を行わない前提で、65歳から原則として受給できる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2019年度価額)を計算する。次の<計算の手順>の空欄①~④に入る数値を求めなさい。 <計算の手順> 1.老齢基礎年金の年金額(円未満四捨五入):( ① )円 2.老齢厚生年金の年金額 (1)報酬比例部分の額:( ② )円(円未満四捨五入) (2)経過的加算額:( ③ )円(円未満四捨五入) (3)基本年金額(②+③):□□□円 (4)加給年金額(要件を満たしている場合のみ加算) (5)老齢厚生年金の年金額:( ④ )円
解答・解説を表示
解答
① 780,100(円)、② 1,051,369(円)、③ 380(円)、④ 1,441,849(円)
解説
老齢厚生年金の額は、報酬比例部分に加えて経過的加算額を合算して基本年金額を求め、厚生年金保険の被保険者期間が原則20年以上あり生計を維持している65歳未満の配偶者等がいる場合には加給年金額が加算されます。
解き方
- 老齢基礎年金は20歳以上60歳未満の納付済月数(480月)を用いて満額受給できることを確認する。
- 報酬比例部分は2003年3月以前(平均標準報酬月額×7.125/1,000×月数)と2003年4月以後(平均標準報酬額×5.481/1,000×月数)を別々に計算し合算する。
- 経過的加算額は定額部分(上限480月)から20歳以上60歳未満の厚生年金加入期間に対応する老齢基礎年金額を差し引いて算出する。
- 厚生年金加入期間が240月以上あり、65歳未満の生計維持配偶者がいるため、加給年金額を加算して老齢厚生年金の合計額を求める。
小問ごとの答え
- 小問 ①:780,100
- 20歳から60歳までの480月間すべて厚生年金保険(第2号被保険者)に加入しているため、保険料納付済月数は480月となり、老齢基礎年金は満額の780,100円(780,100円×480月/480月)となります。
- 小問 ②:1,051,369
- 報酬比例部分はⓐ2003年3月以前:280,000円×(7.125/1,000)×216月=430,920円、ⓑ2003年4月以後:400,000円×(5.481/1,000)×283月=620,449.2円となり、合計すると1,051,369.2円、円未満四捨五入で1,051,369円となります。
- 小問 ③:380
- 経過的加算額は定額部分「1,626円×480月(被保険者期間の上限480月)=780,480円」から老齢基礎年金相当額「780,100円×(480月/480月)=780,100円」を控除して算定するため、780,480円-780,100円=380円となります。
- 小問 ④:1,441,849
- 被保険者期間が20年以上あるAさんには、65歳到達時に生計維持されている65歳未満の妻Bさんがいるため加給年金額390,100円が加算されます。よって、報酬比例部分1,051,369円+経過的加算380円+加給年金390,100円=1,441,849円となります。
覚えるポイント
- 経過的加算の計算における厚生年金被保険者期間の上限は原則480月である点
- 加給年金の支給要件として厚生年金等の被保険者期間が原則20年(240月)以上必要である点
間違えやすいところ
- 経過的加算の定額部分の乗じる月数に499月をそのまま使ってしまう誤り(上限480月)
- 配偶者の生計維持要件を満たしているのに加給年金額を加算し忘れる誤り
出題の前提:2019年4月1日現在施行法令・2019年度年金額基準
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の財務データに基づく投資指標の算出(ROE・PER・配当性向)
金融資産運用 · ROE / PER / 配当性向 / 投資指標の比較
設例の財務データおよび株価データに基づき、X社およびY社の投資指標に関する次の文章の空欄①、③、④に入る数値(小数点以下第3位を四捨五入し第2位まで)および空欄②に該当する企業名を答えなさい。 「ROEが高い水準で推移していれば、一般に当該企業の収益性は高いと判断できます。X社のROEは( ① )%であり、Y社との比較では、( ② )のほうが収益性は高いと判断できます。 X社のPERは( ③ )倍です。一般にPERが高いほど、株価は割高といえます。 株主還元率として一般に用いられる指標に配当性向がありますが、X社の配当性向は( ④ )%であり、Y社がX社を上回ります。また、株式投資の利回りの指標となる配当利回りについても、Y社がX社を上回ります」
解答・解説を表示
解答
① 13.33(%)、② X社、③ 10.43(倍)、④ 28.57(%)
解説
株式の主要な投資指標として、自己資本に対する収益性を示すROE(当期純利益÷自己資本)、株価の割高・割安を測るPER(株価÷1株当たり当期純利益)、利益からどれだけ配当に充てたかを示す配当性向(配当金総額÷当期純利益)が用いられます。
解き方
- X社とY社の自己資本および当期純利益からそれぞれのROEを算出し、数値を比較して高い方の企業を選択する。
- X社の当期純利益を発行済株式総数で除して1株当たり当期純利益(EPS)を算出し、株価をEPSで割ってPERを求める。
- X社の配当金総額を当期純利益で除して(または1株当たり配当金をEPSで除して)配当性向を算出し、指定された桁数に四捨五入する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:13.33
- X社のROE(自己資本利益率)=当期純利益28,000百万円÷自己資本210,000百万円×100=13.333…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して13.33%となります。
- 小問 ②:X社
- Y社のROEは当期純利益12,000百万円÷自己資本110,000百万円×100=10.909…%です。X社(13.33%)とY社(10.91%)を比較すると、X社のほうが収益性が高いと判断できます。
- 小問 ③:10.43
- X社の1株当たり当期純利益(EPS)=当期純利益28,000百万円÷発行済株式総数400百万株=70円です。PER=株価730円÷EPS70円=10.428…倍となり、小数点以下第3位を四捨五入して10.43倍となります。
- 小問 ④:28.57
- X社の配当性向=配当金総額8,000百万円÷当期純利益28,000百万円×100(または1株当たり配当金20円÷EPS70円×100)=28.571…%となり、四捨五入して28.57%となります。
覚えるポイント
- ROE=当期純利益÷自己資本×100
- PER=株価÷EPS(1株当たり当期純利益)
- 配当性向=配当金総額÷当期純利益×100=1株当たり配当金÷EPS×100
間違えやすいところ
- ROEの計算で分母に総資産(資産の部合計)を誤って使用してしまうミス(それはROAの計算式)
- 端数処理において小数点以下第3位の四捨五入の指示を見落として切り捨ててしまうミス
出題の前提:2019年4月1日現在施行法令および出題資料記載の財務データ
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
NISAのロールオーバーおよび特定口座への移管時の取扱い
金融資産運用 · 一般NISA / ロールオーバー / 課税口座への移管
Aさんの一般NISA口座におけるロールオーバー等の取扱いに関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 「Aさんは、開設1年目にNISA口座で購入した上場株式を2019年1月にNISA口座に設定された非課税管理勘定にロールオーバーし、引き続き、当該株式をNISA口座で保有しています。一般NISAの2014年分の非課税投資枠は( ① )万円が上限でした。仮に、2014年中にNISA口座で購入した上場株式の非課税期間終了時の時価が70万円であったとした場合、ロールオーバー後に2019年分の非課税管理勘定に新規投資で受け入れることができる金額の上限は( ② )万円となります」 「Aさんは、ロールオーバーせずに、当該上場株式を特定口座に移管することもできました。仮に、2014年分の非課税管理勘定で購入した上場株式を特定口座に移管していた場合、当該特定口座における取得価額は( ③ )の時価となっていました」
- イ
- 30
- ロ
- 40
- ハ
- 50
- ニ
- 80
- ホ
- 100
- ヘ
- 120
- ト
- 当初購入時
- チ
- 非課税期間終了時
解答・解説を表示
解答
① ホ ② ハ ③ チ
解説
一般NISAの非課税投資枠は制度開始当初(2014~2015年)は年100万円でしたが、2016年以降は年120万円に変更されました。5年間の非課税期間終了時には翌年の非課税枠へのロールオーバーか課税口座への移管を選択でき、移管時の取得価額は非課税期間終了時の時価となります。
解き方
- 2014年導入当初の一般NISA年間非課税投資枠の上限が100万円であることを確認して空欄①を特定する。
- 2019年分の非課税投資枠(120万円)からロールオーバー時の時価(70万円)を控除し、新規投資可能額(50万円)を算出して空欄②を特定する。
- 非課税期間満了に伴い特定口座へ払い出す際の取得価額が「非課税期間終了時の時価」となる税務上のルールを適用して空欄③を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ホ
- 一般NISAが導入された2014年および2015年分の年間非課税投資枠の上限は100万円でした(2016年分以降は年間120万円に拡充されています)。したがって空欄①には「100(ホ)」が入ります。
- 小問 ②:ハ
- 2019年分の一般NISA非課税投資枠は年間120万円です。ロールオーバー時の時価が70万円の場合、投資枠120万円から時価70万円を差し引いた残りの50万円が、新規投資で利用できる上限額となります。したがって空欄②には「50(ハ)」が入ります。
- 小問 ③:チ
- NISA口座内の上場株式等を非課税期間満了時に特定口座等の課税口座へ移管する場合、その課税口座での取得価額は「非課税期間終了時(年末)」の時価となります。したがって空欄③には「非課税期間終了時(チ)」が入ります。
覚えるポイント
- 一般NISAの枠は2014~2015年が100万円、2016年以降は120万円であること
間違えやすいところ
- 課税口座への払出時の取得価額を当初の買付金額と混同しないように注意する
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
財務分析およびNISA制度の留意点
金融資産運用 · 自己資本比率 / つみたてNISA / 損益通算
FPのMさんがAさんに対して行ったアドバイスに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「<財務データ>から自己資本比率は、X社よりもY社のほうが高いと判断できます。一般に、自己資本比率が高いことは、総資本に対する負債の比率が低いことでもあり、財務基盤の強さを示しているといえます」 ② 「長期の積立・分散投資を前提とした資産運用の方法として、つみたてNISAの利用が考えられます。つみたてNISAを利用してX社株式を購入する場合、非課税投資枠は年間40万円となります」 ③ 「NISA口座内の上場株式を課税口座に払い出せば、その後、当該株式の譲渡損益は損益通算の対象になります。課税口座に払い出すことが有利であるか否かは、その後の価格変動や他の取引等の状況により異なります」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
財務諸表から算出する自己資本比率は財務健全性を示す基本指標です。また、つみたてNISAの投資対象は厳選された投資信託等に限定され個別株は対象外です。NISA口座から課税口座への払出後は時価が新たな取得価額となり、通常の損益通算の対象となります。
解き方
- 設例の財務データに基づき両社の自己資本比率を計算(X社:約29.58%、Y社:約22.92%)し、記述の高低関係を判定する。
- つみたてNISAの投資対象商品が公募投信・ETFに限定され個別株が対象外であることを踏まえて正誤を判定する。
- 課税口座払出後の株式の譲渡損益が損益通算の対象になる税務上の原則と、損得の判断要因を確認して判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 自己資本比率は「自己資本(純資産)÷総資産×100」で求められます。X社は210,000÷710,000×100≒29.58%、Y社は110,000÷480,000×100≒22.92%となり、自己資本比率はX社のほうが高いため、記述は不適切です。
- 小問 ②:×
- つみたてNISAの対象商品は、長期・積立・分散投資に適した一定の要件を満たす公募株式投資信託およびETFに限られており、上場株式(個別株式)を購入することはできません。したがって不適切です。
- 小問 ③:○
- NISA口座から課税口座に払い出された後は、その後の譲渡損益が他の上場株式等との損益通算の対象となります。払出時の時価を基準として将来の売却損益が計算されるため、有利・不利は以後の値動きや他口座の損益状況によって異なり、記述は適切です。
覚えるポイント
- つみたてNISAの対象商品は一定の公募株式投資信託とETFのみで個別株式は購入不可
間違えやすいところ
- NISA口座内での譲渡損失は損益通算できないが、課税口座に払い出された後の譲渡損益は損益通算できる点を取り違えやすい
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の計算
Aさん(勤続年数36年5カ月)が受取った退職金2,500万円に係る退職所得の金額を求める計算式に関して、空欄①~③に入る数値を計算しなさい。なお、他に退職手当等の収入はなく、障害者となったことによる退職ではないものとする。 <退職所得控除額> 800万円+( ① )万円×(□□□年-20年)=( ② )万円 <退職所得の金額> (2,500万円-( ② )万円)×□□□=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 70(万円) ② 1,990(万円) ③ 255(万円)
解説
退職所得控除額は勤続年数に応じて計算され、勤続年数に1年未満の端数がある場合は切り上げて1年とします。勤続年数20年超の控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」であり、退職所得の金額は原則として控除後の残額の2分の1となります。
解き方
- 勤続年数36年5カ月を切り上げて37年とし、勤続年数20年超の退職所得控除額の算式「800万円+70万円×(37年-20年)」により退職所得控除額1,990万円を算出します。
- 退職金収入2,500万円から控除額1,990万円を差し引き、その金額に2分の1を乗じて退職所得の金額255万円を算出します。
答えの内訳
- ①:70
- 勤続年数が20年を超える場合の退職所得控除額は、勤続年数1年につき70万円を加算して計算するため、①には70が入ります。
- ②:1,990
- 勤続年数は36年5カ月であり、1年未満の端数は切り上げて37年となります。したがって、退職所得控除額は 800万円+70万円×(37年-20年)=1,990万円となります。
- ③:255
- 退職所得の金額は、(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2で計算されます。(2,500万円-1,990万円)×1/2=255万円となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の端数は1日でもあれば切り上げて1年として計算します。
- 退職所得の金額は原則として「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」で算出します。
間違えやすいところ
- 勤続年数20年超の部分の加算額(70万円)と20年以下の部分(40万円)を取り違えるミスに注意してください。
- 最後に2分の1を掛け忘れて退職所得の金額を過大に算出してしまうミスが多いです。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額および一時所得の計算
タックスプランニング · 一時所得 / 損益通算 / 給与所得 / 総所得金額
Aさんの2019年分の所得について、次の①、②の金額を求めなさい(万円単位)。 <収入・所得等の条件> ・給与収入:700万円(速算表:660万円超1,000万円以下は収入金額×10%+120万円) ・不動産所得:▲100万円(うち土地等の取得に係る負債利子10万円) ・平準払養老保険の満期保険金:満期保険金500万円、払込済保険料400万円(契約・受取ともにAさん) ・退職金:2,500万円(申告書提出済) ① 総所得金額に算入される一時所得の金額 ② 総所得金額
解答・解説を表示
解答
① 25(万円) ② 445(万円)
解説
一時所得は特別控除(最高50万円)を控除した残額の2分の1を総所得金額に算入します。また、不動産所得の赤字のうち土地等を取得するために要した負債の利子部分は損益通算の対象外(切り捨て)となり、退職所得は分離課税のため総所得金額の合算対象には含めません。
解き方
- 一時所得の総収入金額500万円から支出金額400万円および特別控除50万円を差し引いて一時所得50万円を求め、2分の1を乗じて総所得金額算入額25万円を算出します。
- 給与収入700万円から給与所得控除額190万円を差し引き、給与所得510万円を計算します。
- 不動産所得の損失100万円から土地取得に係る負債利子10万円を除いた90万円を損益通算対象とします。
- 給与所得510万円から損益通算90万円を引き、一時所得の2分の1である25万円を加えて総所得金額445万円を求めます。
答えの内訳
- ①:25
- 一時所得の金額は、500万円-400万円-特別控除額50万円=50万円です。総所得金額に算入される額はその2分の1となるため、50万円×1/2=25万円となります。
- ②:445
- 給与所得控除額は700万円×10%+120万円=190万円、給与所得は700万円-190万円=510万円です。不動産所得の赤字のうち土地取得に係る利子10万円は損益通算対象外となるため、通算できる損失は▲90万円です。退職所得は分離課税のため含めず、総所得金額は給与所得510万円-通算可能な不動産所得の損失90万円+一時所得の算入額25万円=445万円となります。
覚えるポイント
- 不動産所得の損失のうち、土地等の取得に要した負債の利子に相当する部分は損益通算できません。
- 一時所得を総所得金額に合算する際は「2分の1」にすることを忘れないようにします。
- 退職所得は申告分離課税であり、総所得金額には合算されません。
間違えやすいところ
- 一時所得の特別控除50万円を引いた後の金額(50万円)をそのまま①に記入してしまうミスに注意してください。
- 不動産所得の損失100万円全額を損益通算して総所得金額を435万円と誤算するケースが見られます。
- 退職所得の金額を総所得金額に合算してしまう誤りに注意してください。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の課税関係(退職所得の源泉徴収・配偶者控除・扶養控除)
タックスプランニング · 退職所得の源泉徴収 / 配偶者控除 / 扶養控除
会社員のAさんの2019年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。 ① Aさんは「退職所得の受給に関する申告書」を提出しているため、退職金支給時に20.42%の所得税および復興特別所得税が源泉徴収されるが、確定申告で精算できる。 ② Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の控除額は、38万円である。 ③ Aさんが適用を受けることができる扶養控除の控除額は、63万円である。
- ①
- Aさんは「退職所得の受給に関する申告書」を提出しているため、退職金の支給の際に退職金の額の20.42%の所得税および復興特別所得税が源泉徴収されているが、確定申告をすることにより、当該税額を精算することができる。
- ②
- Aさんが適用を受けることができる配偶者控除の控除額は、38万円である。
- ③
- Aさんが適用を受けることができる扶養控除の控除額は、63万円である。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
所得税の所得控除では、納税者本人の合計所得金額および生計を一にする親族の年齢や合計所得金額に応じて適用要件や控除額が細かく判定されます。
解き方
- 退職所得の受給に関する申告書の提出有無による源泉徴収税額と申告義務の差異を確認する。
- 納税者本人と配偶者の合計所得金額を計算し、配偶者控除の要件と控除額を判定する。
- 扶養親族の所得要件および年齢区分(一般・特定・老人)を確認し、適用可能な扶養控除額を判定する。
- 選択肢 ①不正解
- 申告書を提出した場合は退職所得控除を反映した正規の税額で源泉徴収されるため、20.42%の一律源泉徴収とはならず、確定申告による精算も原則不要です。
- 選択肢 ②正解
- Aさんの合計所得金額は900万円以下、妻Bさんの合計所得金額は0円であるため、配偶者控除の額は38万円となります。
- 選択肢 ③不正解
- 特定扶養親族(63万円)となるのは19歳以上23歳未満です。大学院生の二女Dさんは25歳であるため一般の控除対象扶養親族となり、控除額は38万円です。
答えの内訳
- ①:×
- 「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合、退職所得控除を適用した適正な税額が源泉徴収されて課税関係が終了するため、原則として確定申告は不要です。20.42%の一律源泉徴収が行われるのは、当該申告書を提出しなかった場合です。
- ②:○
- Aさんの合計所得金額は700万円(900万円以下)であり、妻Bさんは収入がなく合計所得金額が38万円以下であるため、一般の控除対象配偶者として配偶者控除38万円の適用を受けることができます。
- ③:×
- 長女Cさんは給与収入180万円(給与所得108万円>38万円)のため扶養控除の対象外です。二女Dさんは25歳で収入がないため控除対象扶養親族に該当しますが、19歳以上23歳未満の特定扶養親族(63万円)ではなく一般の控除対象扶養親族に該当するため、控除額は38万円です。
覚えるポイント
- 特定扶養親族の年齢要件はその年12月31日現在で19歳以上23歳未満であること。
間違えやすいところ
- 大学院生や大学生という身分ではなく、年末時点の実年齢(23歳以上か否か)で一般か特定かを判定することを忘れるミス。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
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被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
不動産 · 空き家の3,000万円特別控除 / 適用要件(建築時期・耐震・売却代金) / 取得費加算の特例との併用可否
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例(空き家特例)に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。 ① 本特例の要件の1つとして、1981年5月31日以前建築の戸建て住宅であることが挙げられ、家屋を取り壊して更地で譲渡するか、耐震リフォームをして家屋のみ又は敷地とともに譲渡する必要がある。 ② 本特例の要件の1つとして敷地の相続税評価額が1億円以下であることが挙げられ、甲土地の評価額は8,000万円なので適用を受けられる。 ③ 本特例と相続税の取得費加算の特例は、重複して適用を受けることができる。
- ①
- 本特例の適用を受けるための要件の1つとして、1981(昭和56)年5月31日以前に建築された戸建て住宅であることが挙げられます。本特例の適用を受けるためには、家屋を取り壊して更地で譲渡するか、家屋を一定の耐震基準でリフォームしてからその家屋のみ、またはその家屋とともに敷地を譲渡しなければなりません。
- ②
- 本特例の適用を受けるための要件の1つとして、敷地の相続税評価額が1億円以下であることが挙げられます。甲土地の相続税評価額は8,000万円になりますので、Aさんは本特例の適用を受けることができます。
- ③
- 本特例と相続税の取得費加算の特例は、重複して適用を受けることができますので、適用を受けるための要件を確認し、適用漏れがないようにしてください。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除は、旧耐震基準の空き家発生を抑制するために設けられた特例であり、建築時期・耐震性・譲渡対価の上限・他特例との併用制限が厳格に定められています。
解き方
- 家屋の建築基準日(昭和56年5月31日以前)および耐震要件・取壊し要件を確認する。
- 1億円の金額基準が「譲渡対価(売却金額)」である点を確認し、相続税評価額との違いを判断する。
- 相続税の取得費加算の特例など、他の譲渡所得特例との重複適用関係(選択適用)を判定する。
- 選択肢 ①正解
- 昭和56年5月31日以前建築の戸建て住宅について、耐震リフォーム後の譲渡または取壊し後の更地譲渡が特例適用の要件とされています。
- 選択肢 ②不正解
- 1億円以下という要件は敷地等の「売却代金(譲渡対価の額)」について判定するものであり、相続税評価額ではありません。
- 選択肢 ③不正解
- 本特例と相続財産を譲渡した場合の相続税額の取得費加算の特例は重複適用できず、有利な方を選択して適用します。
答えの内訳
- ①:○
- 本特例の対象となる家屋は、1981年5月31日以前に建築された旧耐震基準の戸建て住宅です。適用を受けるには、耐震改修を行った上で家屋等を譲渡するか、家屋を取り壊して更地として敷地等を譲渡する必要があります。
- ②:×
- 特例適用の要件として定められている1億円以下の制限は、「売却代金(譲渡対価の額)」であり、「敷地の相続税評価額」ではありません。
- ③:×
- 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例と、相続財産を譲渡した場合の相続税額の取得費加算の特例は、重複適用することができず、いずれか一方の選択適用となります。
覚えるポイント
- 空き家の3,000万円特別控除は売却代金が1億円以下であることが要件であり、相続税の取得費加算特例とは併用不可であること。
間違えやすいところ
- 1億円基準を相続税評価額と取り違えるミスや、取得費加算の特例と重複適用できると誤解するミス。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建設協力金方式の特徴と相続税評価
不動産 · 土地の有効活用 / 建設協力金方式 / 貸家建付地 / 貸付事業用宅地等
建設協力金方式の一般的な特徴および税務上の取扱いに関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、〈語句群〉の中から選びなさい。 「建設協力金方式は、( ① )が建設資金を預託金としてAさんに貸し付け、Aさんがこの資金を利用して店舗を建設し、その建物をY社に賃貸する手法です。建設資金は、賃料の一部で返済していくため、実質的には、Aさんの資金負担はありませんが、契約期間中の撤退のリスクやそれに伴う建設協力金残債務の取扱いなど、契約内容を事前に精査しておくことが必要です」 「建設協力金方式により建設された建物は、相続税額の計算上、貸家として評価され、土地は( ② )として評価されます。また、所定の要件を満たすことで、土地は( ③ )事業用宅地等として、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けることもできます」
- イ
- Y社
- ロ
- 金融機関
- ハ
- 自用地
- ニ
- 貸宅地
- ホ
- 貸家建付地
- ヘ
- 特定
- ト
- 特定同族会社
- チ
- 貸付
解答・解説を表示
解答
① イ、② ホ、③ チ
解説
建設協力金方式はテナントが出店のための建物を地主に建ててもらうため資金(協力金・敷金等)を地主に預託・融資し、地主は完成した建物をテナントに賃貸して賃料から返済していく手法です。土地と建物はいずれも地主名義であるため、相続税評価において土地は貸家建付地、特例上は貸付事業用宅地等に該当します。
解き方
- 建設協力金方式の仕組みを確認し、建設資金を地主に貸し付ける主体がテナント(Y社)であることを特定する。
- 所有地の上に地主が建物を建てて他人に賃貸している状態であるため、土地の相続税評価区分が「貸家建付地」になることを確認する。
- 賃貸事業の用に供されている敷地であることから、小規模宅地等の特例における区分が「貸付事業用宅地等」になることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 建設協力金方式は、テナントとなる事業者(本問では大手ドラッグストアのY社)が入居に際して建設資金の一部または全部を地主に貸し付ける(預託する)方式です。
- 小問 ②:ホ
- 所有する土地上に自己名義で建築した建物を第三者に賃貸している場合、その敷地は相続税の財産評価上「貸家建付地」として評価されます。
- 小問 ③:チ
- 不動産貸付業等の用に供されている宅地等について所定の要件を満たした場合は、小規模宅地等の特例における「貸付事業用宅地等」として200㎡まで50%減額の適用を受けることができます。
覚えるポイント
- 建設協力金方式ではテナントが建設資金を差し入れる
- 自己所有地に建てた賃貸建物の敷地は「貸家建付地」として相続税評価される
- 不動産貸付業等の敷地は小規模宅地等の特例で「貸付事業用宅地等(限度200㎡・減額率50%)」となる
間違えやすいところ
- 借地権を設定して建物を相手に建てさせる事業用定期借地権方式(貸宅地評価)と混同しないこと
- 貸付事業用宅地等(50%減額)を特定事業用宅地等(80%減額)と混同しないこと
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等(建築基準法、相続税法、租税特別措置法)
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく建築面積および延べ面積の限度計算
不動産 · 建蔽率の緩和・適用除外 / 前面道路幅員による容積率制限 / 建築面積の限度 / 延べ面積の限度
甲土地(敷地面積320㎡、近隣商業地域、指定建蔽率80%、指定容積率400%、前面道路幅員6m、市道、道路幅員に乗ずる数値6/10、防火地域)上に耐火建築物を建築する場合における、次の①および②の上限値をそれぞれ求めなさい。 ① 建蔽率の上限となる建築面積(㎡) ② 容積率の上限となる延べ面積(㎡)
解答・解説を表示
解答
① 320(㎡)、② 1,152(㎡)
解説
建築面積の限度は「敷地面積×適用建蔽率」で求めます。指定建蔽率80%地域かつ防火地域内の耐火建築物は建蔽率が100%(無制限)となります。延べ面積の限度は「敷地面積×適用容積率」で求め、前面道路が12m未満の場合は「前面道路幅員×指定乗数」と「指定容積率」のうち小さい方の数値が適用容積率となります。
解き方
- 甲土地の地域区分(近隣商業地域・指定建蔽率80%・防火地域)と計画建物(耐火建築物)から建蔽率を判定し、制限除外により建蔽率100%となることを確認して建築面積の上限(320㎡×100%=320㎡)を算出する。
- 前面道路幅員(6m)に法定乗数(6/10)を乗じて道路幅員制限による容積率(360%)を算出し、指定容積率(400%)と比較して低い方の360%を適用容積率とする。
- 敷地面積320㎡に適用容積率360%を乗じて、延べ面積の上限(320㎡×360%=1,152㎡)を算出する。
答えの内訳
- ①:320(㎡)
- 指定建蔽率が80%の地域内で、かつ防火地域内にある耐火建築物であるため、建築基準法第53条第6項の規定により建蔽率の制限が撤廃され、建蔽率は100%となります。したがって、建築面積の最高限度は 320㎡ × 100% = 320㎡ です。
- ②:1,152(㎡)
- 前面道路幅員が12m未満であるため、前面道路幅員による制限容積率は 6m × (6/10) = 360% となります。指定容積率400%と道路幅員制限容積率360%のいずれか低い方である360%が上限容積率となり、延べ面積の最高限度は 320㎡ × 360% = 1,152㎡ です。
覚えるポイント
- 「指定建蔽率80%の地域」かつ「防火地域内の耐火建築物」は建蔽率の制限を受けず100%となる
- 前面道路幅員が12m未満の敷地では、指定容積率と前面道路幅員による制限容積率のいずれか小さい方が適用される
間違えやすいところ
- 建蔽率80%に防火地域緩和の10%を加算して90%としてしまう誤り(80%+防火地域+耐火建築物は100%となる)
- 前面道路幅員による制限を適用し忘れ、指定容積率400%のまま延べ面積を計算してしまう誤り
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等(建築基準法第52条・第53条)
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人版事業承継税制と特定事業用宅地等の適用要件
相続・事業承継 · 個人版事業承継税制 / 小規模宅地等の特例
個人事業主の事業承継に関する次の文章の空欄①〜④に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 「2019年度税制改正において、個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予および免除の特例(以下、「本特例」という)が創設されました。本特例の適用を受けた場合、後継者が先代事業者から贈与または相続等により取得した特定事業用資産に係る贈与税・相続税の( ① )の納税が猶予されます。後継者は、2019年4月1日から2024年3月31日までの5年間に個人事業承継計画を( ② )に提出し、確認を受ける必要があります。また、特定事業用資産とは、先代事業者の事業の用に供されていた宅地等(( ③ )㎡まで)、建物(床面積800㎡まで)、その他一定の減価償却資産で青色申告書の貸借対照表に計上されていたものをさします」 「長男CさんがAさんの相続によりX屋店舗敷地を取得した場合、所定の要件を満たすことで、特定事業用宅地等として、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けることができます。特定事業用宅地等に該当するX屋店舗敷地は、( ③ )㎡までの部分について、通常の価額から80%相当額を減額した金額を、相続税の課税価格に算入すべき価額とすることができます」 「本特例の適用を受けて相続等により取得した事業用の宅地は、特定事業用宅地等に係る小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の対象( ④ )」
- イ
- 240
- ロ
- 330
- ハ
- 400
- ニ
- 75%相当額
- ホ
- 90%相当額
- ヘ
- 全額
- ト
- 経済産業大臣
- チ
- 都道府県知事
- リ
- 所轄税務署長
- ヌ
- となります
- ル
- とはなりません
解答・解説を表示
解答
① ヘ ② チ ③ ハ ④ ル
解説
個人版事業承継税制は、青色申告を行う個人事業者の事業用資産を後継者が承継した際、一定の要件のもとで贈与税・相続税の100%(全額)を納税猶予する制度です。事前に都道府県知事へ事業承継計画を提出することが要件とされ、対象宅地の面積上限は400㎡です。なお、同一の宅地について小規模宅地等の特例(特定事業用宅地等)と重ねて適用を受けることは認められていません。
解き方
- 個人版事業承継税制の猶予割合(100%=全額)と計画の提出先(都道府県知事)を確認する。
- 対象となる事業用宅地の限度面積が小規模宅地等の特定事業用宅地等と同じ400㎡であることを把握する。
- 納税猶予特例と小規模宅地等の特例(特定事業用)が重複適用できない(対象とはならない)関係を当てはめる。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ヘ
- 個人版事業承継税制では、特定事業用資産に係る贈与税・相続税の「全額(100%)」の納税が猶予されます。
- 小問 ②:チ
- 本特例の適用を受けるためには、個人事業承継計画を作成し「都道府県知事」に提出して確認を受ける必要があります。
- 小問 ③:ハ
- 個人版事業承継税制の対象となる宅地等、および小規模宅地等の特例における特定事業用宅地等の限度面積はともに「400」㎡です。
- 小問 ④:ル
- 個人版事業承継税制(納税猶予)の適用を受けた事業用宅地は、小規模宅地等の特例(特定事業用宅地等)との重複適用はできず、対象「とはなりません」。
覚えるポイント
- 個人版事業承継税制の納税猶予割合は全額(100%)
- 個人事業承継計画の提出先は都道府県知事
- 特定事業用宅地の限度面積は400㎡(減額率80%)
- 個人版事業承継税制と特定事業用宅地等の小規模宅地特例は重複適用不可
間違えやすいところ
- 提出先を所轄税務署長や経済産業大臣と混同しやすい
- 特定居住用宅地等の限度面積(330㎡)と特定事業用宅地等(400㎡)を取り違えるミス
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自筆証書遺言の方式緩和・遺留分・小規模宅地等の併用限度面積
相続・事業承継 · 自筆証書遺言 / 遺留分 / 小規模宅地等の特例
Aさんの相続等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「遺産分割をめぐる争いを防ぐ手段として、遺言の作成をお勧めします。自筆証書遺言は、遺言者が、その遺言の全文、日付および氏名を自書し、これに押印して作成するものでしたが、自筆証書遺言の方式が緩和され、自筆証書遺言に添付する財産目録をパソコン等で作成することが可能となりました」 ② 「遺言により、相続財産の大半を妻Bさんおよび長男Cさんが相続により取得した場合、長女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分算定の基礎となる財産を4億円とした場合、長女Dさんの遺留分の金額は5,000万円となります」 ③ 「自宅の敷地と賃貸アパートの敷地について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けようとする場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの宅地の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
自筆証書遺言の添付目録はパソコン等で作成可能に方式が緩和されています。遺留分は直系尊属のみが相続人である場合を除き全体で2分の1となり、各相続人の遺留分は総遺留分に法定相続分を乗じて求めます。また、小規模宅地等の特例において貸付事業用宅地等と他の宅地を併用する場合には完全併用が認められず、限度面積の調整計算が必要です。
解き方
- 民法改正による自筆証書遺言の財産目録の作成要件(パソコン作成可)を確認する。
- 遺留分の基礎財産4億円に対し、総遺留分割合(1/2)および長女Dさんの法定相続分(1/4)を乗じて遺留分額を計算する(4億円 × 1/2 × 1/4 = 5,000万円)。
- 小規模宅地等の特例において、特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等を併用する際の調整計算の要否(無調整の完全併用は不可)を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 2019年1月13日施行の民法改正により、自筆証書遺言に添付する財産目録については自書によらずパソコン作成や通帳のコピー等で作成することが可能となりました(ただし各ページへの署名・押印は必要です)。記述は適切です。
- 小問 ②:○
- 相続人が配偶者と子の場合、総遺留分は財産の2分の1(4億円×1/2=2億円)です。長女Dさんの法定相続分は1/4(子全体の1/2を子2人で按分)となるため、遺留分は2億円×1/4=5,000万円となり、記述は適切です。
- 小問 ③:×
- 貸付事業用宅地等が含まれる併用の場合、特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等をそれぞれ限度面積まで無調整で適用することはできず、所定の調整計算式により適用対象面積が制限されます。したがって記述は不適切です。
覚えるポイント
- 自筆証書遺言の財産目録は自書不要(パソコン作成可、各ページに署名押印が必要)
- 遺留分算定:法定相続人が配偶者と子の場合は総遺留分1/2に各法定相続分を乗じる
- 特定居住用(330㎡)と特定事業用(400㎡)は完全併用(最大730㎡)可能だが、貸付事業用が絡む併用は限度面積の調整計算が必要
間違えやすいところ
- 長女の遺留分計算で、子の総取り分(1/2)を考慮せず法定相続分を1/2と誤認して計算するミス
- 小規模宅地等の特例で、特定事業用と特定居住用の完全併用ルールと、貸付事業用宅地等が含まれる場合の制限を混同するミス
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等(2019年1月施行の民法改正を含む)
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 遺産に係る基礎控除額 / 相続税の総額の計算 / 法定相続分
Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額の試算について、空欄①~③に入る数値を求めなさい。なお、Aさんの法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの計3人であり、相続税の課税価格の合計額は3億円とする。
解答・解説を表示
解答
① 4,800(万円) ② 1,190(万円) ③ 5,720(万円)
解説
相続税の総額は、課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求め、それを民法上の法定相続分で按分した各取得金額に超過累進税率を適用して各人の仮の税額を計算し、これらを合算して求めます。
解き方
- 法定相続人の数(妻・長男・長女の計3人)を確認し、基礎控除額(3,000万円+600万円×3人=4,800万円)を算出する。
- 課税価格の合計額(3億円)から基礎控除額を引いて課税遺産総額(2億5,200万円)を求める。
- 課税遺産総額を法定相続分(配偶者1/2、子各1/4)に応じて按分し、速算表を適用して各人の仮の税額を計算・合算する。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:1,190
- 課税遺産総額は3億円-4,800万円=2億5,200万円です。長男Cさんの法定相続分は4分の1であり、法定相続分に応ずる取得金額は2億5,200万円×1/4=6,300万円となります。速算表より「6,300万円×30%-700万円=1,190万円」と算出されます。
- ③:5,720
- 各法定相続人の相続税額は、妻Bさんが2億5,200万円×1/2=1億2,600万円に対し「1億2,600万円×40%-1,700万円=3,340万円」、長女Dさんが長男Cさんと同様に1,190万円となります。これらを合計した相続税の総額は「3,340万円+1,190万円+1,190万円=5,720万円」となります。
覚えるポイント
- 基礎控除額の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」であること。
- 相続税の総額は、実際の遺産分割割合ではなく法定相続分に応じて按分して計算すること。
間違えやすいところ
- 法定相続人の数に被相続人自身を含めて計算してしまう誤り。
- 基礎控除額を差し引く前の課税価格の合計額に直接法定相続分や税率を掛けてしまう誤り。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2019年9月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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