日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の概要
公的年金の受給額計算(老齢基礎年金と老齢厚生年金)
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 公的年金加入歴 / 報酬比例部分
設例のAさん(1974年4月25日生まれ、65歳到達時に勇退予定)の年金加入歴に基づき、原則として65歳から受給できる老齢基礎年金および老齢厚生年金の計算式における空欄①~③に入る数値を求めなさい(2019年度価額、経過的加算は考慮しない)。 <計算式> ・老齢基礎年金の年金額 780,100円 × ( ① )月/480月 = □□□円 ・老齢厚生年金の年金額 □□□円 × 7.125/1,000 × □□□月 + ( ② )円 × 5.481/1,000 × ( ③ )月 = □□□円
解答・解説を表示
解答
① 444(月) ② 700,000(円) ③ 432(月)
解説
老齢基礎年金の受給額は原則として20歳以上60歳未満の480月を分母とし、保険料納付済月数などを分子として比例計算します。老齢厚生年金の報酬比例部分は総報酬制導入(2003年4月)前後で計算式が分かれ、2003年4月以後は賞与を含めた平均標準報酬額に所定の乗率と月数を乗じて求めます。
解き方
- 老齢基礎年金の分子となる月数を求めるため、20歳から60歳までの480月から保険料未納期間36月を控除して444月を算出する。
- 老齢厚生年金の計算式のうち、乗率5.481/1,000に対応する2003年4月以後の平均標準報酬額(700,000円)と加入月数(432月)を資料から読み取る。
答えの内訳
- ①:444
- 老齢基礎年金の額面計算において分子となる月数は、20歳以上60歳未満の40年間(480月)のうち保険料納付済月数等です。Aさんは未納期間が36月あるため、480月-36月=444月となります(60歳以後の厚生年金加入期間は老齢基礎年金の分子には算入されません)。
- ②:700,000
- 2003年4月以後の厚生年金被保険者期間に係る報酬比例部分の計算式は「平均標準報酬額×5.481/1,000×2003年4月以後の加入月数」です。設例の資料より、2003年4月以後の平均標準報酬額は70万円(700,000円)です。
- ③:432
- 計算式の後半部分に乗じる月数は2003年4月以後の厚生年金加入期間です。設例の資料に示されている2003年4月以後の被保険者期間は432月です。
覚えるポイント
- 老齢基礎年金の計算の分子に算入されるのは、原則として20歳以上60歳未満の納付済月数・免除月数である点。
- 老齢厚生年金の報酬比例部分は2003年4月を境に平均標準報酬月額(7.125/1,000)と平均標準報酬額(5.481/1,000)で区分される点。
間違えやすいところ
- 60歳から65歳までの厚生年金加入期間を老齢基礎年金の満額計算(480月上限)の分子に加えてしまう誤り。
- 2003年3月以前(40万円・72月)と2003年4月以後(70万円・432月)の数値を取り違えて代入するミス。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令および2019年度年金額(老齢基礎年金満額780,100円)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定拠出年金(企業型年金)の仕組みと税務
ライフプランニングと資金計画 · 確定拠出年金 / 企業型DC / 拠出限度額 / 老齢給付金 / 退職所得
確定拠出年金の企業型年金に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 他の企業年金制度を導入していない企業型年金の場合、拠出限度額は加入者1人当たり最大で年間66万円である。 ② 老齢給付金は、通算加入者等期間が5年以上あれば、60歳から受け取ることができる。 ③ 老齢給付金を年金として受け取る場合は雑所得、一時金として受け取る場合は一時所得として所得税の課税対象となる。
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解答
① ○ ② × ③ ×
解説
確定拠出年金(企業型年金)は事業主が掛金を拠出し加入者自身が運用する制度です。掛金の拠出限度額は他の企業年金制度の有無により異なり、老齢給付金の受給開始可能年齢は通算加入者等期間に応じて定まります。また、受給形態により退職所得控除または公的年金等控除が適用される税制優遇があります。
解き方
- 他の企業年金制度がない場合の企業型確定拠出年金の拠出限度額(月額5.5万円・年額66万円)を確認し、記述①の正誤を判定する。
- 60歳から老齢給付金を受給するために必要な通算加入者等期間(10年以上)を確認し、記述②の誤りを指摘する。
- 一時金受給時の所得税法上の所得区分が退職所得(一時所得ではない)であることを確認し、記述③の誤りを指摘する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 他の企業年金(確定給付企業年金や厚生年金基金など)を実施していない事業主の企業型年金における掛金拠出限度額は、加入者1人当たり月額5.5万円(年額66万円)です。
- 小問 ②:×
- 企業型年金の老齢給付金を60歳から受給するためには、通算加入者等期間が10年以上必要です。5年以上10年未満の場合は受給可能開始年齢が61歳〜63歳へと繰り下げられます。
- 小問 ③:×
- 老齢給付金を一時金として受給した場合の所得区分は「退職所得」(退職所得控除が適用)であり、一時所得ではありません。なお、年金として受給する場合は公的年金等控除が適用される「雑所得」となります。
覚えるポイント
- 他の企業年金がない企業型DCの掛金限度額は月額5.5万円(年間66万円)。
- DCの老齢給付金を60歳から受け取るには10年以上の通算加入者等期間が必要。
- DCの老齢給付金は年金受取なら「公的年金等控除のある雑所得」、一時金受取なら「退職所得控除のある退職所得」。
間違えやすいところ
- 一時金受取時の所得税課税区分を「一時所得」と混同するミス。
- 通算加入者等期間の要件を「5年」と誤認してしまうミス(10年以上で60歳受給可能)。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の確定拠出年金法および所得税法等の規定に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業退職金共済制度(中退共)の概要
リスク管理・年金 · 中小企業退職金共済制度 / 掛金月額 / 掛金助成制度 / 退職金受取方法
中小企業退職金共済制度(中退共)に関する次の説明文の空欄①~④に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 「中退共は、中小事業主が雇用する従業員を被共済者とする退職金共済契約を独立行政法人勤労者退職金共済機構との間で締結し、退職金を社外に積み立てる共済制度です。 掛金は、被共済者(従業員)1人につき月額5,000円から( ① )までの範囲から選択し、( ② )負担します。短時間労働者(パート従業員等)については、1人につき月額2,000円、3,000円、4,000円の掛金を選択することもできます。また、中退共に新たに加入する事業主に対して、原則として、掛金月額の2分の1(被共済者1人ごとに5,000円が上限)を加入後4カ月目から( ③ )、国が助成する制度があります。 被共済者が退職したときは、勤労者退職金共済機構から被共済者本人に対して、退職金が原則として一時金払いで支給されますが、退職金が所定の金額以上、退職日の年齢が( ④ )以上などの要件を満たした場合は、退職金の全部または一部を分割払いにすることもできます」 〈語句群〉 イ.2万円 ロ.3万円 ハ.5万円 ニ.事業主と被共済者が折半して ホ.事業主が全額を ヘ.被共済者が全額を ト.1年間 チ.1年6カ月間 リ.2年間 ヌ.55歳 ル.60歳 ヲ.65歳
- イ
- 2万円
- ロ
- 3万円
- ハ
- 5万円
- ニ
- 事業主と被共済者が折半して
- ホ
- 事業主が全額を
- ヘ
- 被共済者が全額を
- ト
- 1年間
- チ
- 1年6カ月間
- リ
- 2年間
- ヌ
- 55歳
- ル
- 60歳
- ヲ
- 65歳
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解答
① ロ ② ホ ③ ト ④ ル
解説
中小企業退職金共済制度(中退共)は、単独では退職金制度を設けることが困難な中小企業のために設けられた共済制度です。事業主が掛金を全額負担し、その掛金は法人税法上損金(個人事業主は必要経費)に算入できます。給付は勤労者退職金共済機構から退職した従業員へ直接支払われます。
解き方
- 一般従業員における掛金月額の選択範囲(月額5,000円~3万円)および事業主の全額負担義務を確認する。
- 新規加入助成の助成期間が加入後4カ月目から「1年間」であることを確認する。
- 退職金受取方法において、分割払い(年金払)を選択できる退職時年齢要件が「60歳以上」であることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 中退共の一般従業員の掛金月額は、5,000円から3万円までの16種類から選択するため、空欄①には「ロ(3万円)」が入ります。
- 小問 ②:ホ
- 中退共の掛金は事業主が全額を負担することとされており、従業員に負担させることはできないため、空欄②には「ホ(事業主が全額を)」が入ります。
- 小問 ③:ト
- 新規加入助成は、新しく中退共制度に加入する事業主に対し、掛金月額の2分の1(従業員ごとに上限5,000円)を加入後4カ月目から1年間助成するため、空欄③には「ト(1年間)」が入ります。
- 小問 ④:ル
- 中退共の退職金を分割払いで受給するためには、退職日の年齢が60歳以上で、かつ一定額以上の退職金額があること等の要件を満たす必要があるため、空欄④には「ル(60歳)」が入ります。
覚えるポイント
- 中退共の一般従業員の掛金は月額5,000円~3万円(16種類)、短時間労働者は2,000円~4,000円も選択可能。
- 掛金は事業主が全額負担し全額損金算入、新規加入助成は加入4カ月目から1年間。
間違えやすいところ
- 掛金を労使折半と誤認しやすいが、中退共は事業主全額負担である。
- 分割払いの要件を年金支給開始年齢の原則である65歳と混同しやすいが、60歳以上である。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等(中小企業退職金共済法)
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の売買注文・受渡期日および固定利付債券の価格変動特性
金融資産運用 · 指値注文 / 株式の受渡期日(T+2) / 金利と債券価格の関係 / 債券の残存期間と価格変動性
株式取引の仕組みや固定利付債券(個人向け国債を除く)の特徴に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 Ⅰ 「上場株式の注文方法のうち、( ① )注文では、高い値段の買い注文が低い値段の買い注文に優先し、原則として、同じ値段の注文については、先に出された注文が後に出された注文に優先して売買が成立します。 また、2019年7月16日約定分から、上場株式を証券取引所の普通取引で売買したときの受渡しは、約定日(売買成立日)から起算して( ② )目に行われます」 Ⅱ 「債券の表面利率は一定であるため、市場金利が上昇すると、一般に、債券の利回りは上昇し、債券価格は( ③ )することになり、この債券価格の変動は、満期までの期間が長い債券ほど( ④ )なります」 〈語句群〉 イ.成行 ロ.指値 ハ.2営業日 ニ.3営業日 ホ.4営業日 ヘ.上昇 ト.下落 チ.大きく リ.小さく
- イ
- 成行
- ロ
- 指値
- ハ
- 2営業日
- ニ
- 3営業日
- ホ
- 4営業日
- ヘ
- 上昇
- ト
- 下落
- チ
- 大きく
- リ
- 小さく
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ニ ③ ト ④ チ
解説
上場株式の取引では「成行注文」が「指値注文」に優先し、同一種類の注文同士では「価格優先の原則」と「時間優先の原則」に従って売買が成立します。また、株式受渡期日は2019年7月に「約定日から起算して3営業日目(T+2)」に短縮されました。債券においては、市場金利と価格はシーソーのように逆の動きを示し、残存期間が長いほど金利変動に対する価格感応度が大きくなります。
解き方
- 注文方法のうち、価格を指定して同価格内で時間優先となる注文形式が「指値」であることを確認する。
- 2019年7月16日からの受渡日数変更について、約定日を含めて起算する場合は「3営業日目(T+2)」であることを導く。
- 市場金利上昇時には固定利付債の価格が「下落」することを確認する。
- 債券価格の金利感応度は満期までの残存期間が長いほど「大きく」なるという特性を適用する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 売買値段を指定して注文を出す「指値注文」では、価格優先の原則(買いは高値優先、売りは安値優先)および時間優先の原則が適用されるため、空欄①には「ロ(指値)」が入ります。
- 小問 ②:ニ
- 2019年7月16日約定分より決済期間短縮(T+2)が実施され、上場株式の普通取引の受渡日は「約定日から起算して3営業日目(約定日の2営業日後)」となったため、空欄②には「ニ(3営業日)」が入ります。
- 小問 ③:ト
- 固定利付債券の表面利率は一定であるため、市場金利が上昇すると、債券の相対的魅力が低下して債券価格は下落(利回りは上昇)するため、空欄③には「ト(下落)」が入ります。
- 小問 ④:チ
- 金利変動に伴う債券価格の変動幅は、満期(償還)までの期間が長い銘柄ほど大きくなる(デュレーションが長くなる)ため、空欄④には「チ(大きく)」が入ります。
覚えるポイント
- 株式普通取引の受渡日は2019年7月16日以降「約定日から起算して3営業日目(T+2)」。
- 市場金利上昇=債券価格下落。残存期間が長いほど金利変動に対する価格変動幅は大きくなる。
間違えやすいところ
- 約定日を含めて数える「3営業日目」と、約定日の翌日以降を数える「2営業日後(T+2)」の表現の違いを混同しやすい。
- 市場金利と債券価格の関係を正相関(金利上昇で価格上昇)と逆に思い込んでしまう誤りが多い。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等および2019年7月16日実施の株式決済期間短縮(T+2)規則
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の投資指標の比較とサスティナブル成長率の計算
金融資産運用 · PER / PBR / 配当利回り / 配当性向 / サスティナブル成長率
設例のX社およびY社の財務データ等に基づき、株式投資指標に関する記述①~③の正誤を判定しなさい。なお、計算にあたっては表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。 <X社データ>純資産20,000億円、当期純利益2,400億円、配当金総額960億円、発行済株式数10億株、株価2,850円 <Y社データ>純資産5,400億円、当期純利益740億円、配当金総額220億円、発行済株式数2億株、株価2,900円
- ①
- X社株式とY社株式をPERとPBRで比較すると、いずれもX社株式のほうが低いため、Y社株式よりもX社株式のほうが相対的に割安であるといえる。
- ②
- X社とY社を配当性向と配当利回りで比較すると、いずれもX社のほうが高いため、Y社よりもX社のほうが相対的に株主への利益還元が高いといえる。
- ③
- サスティナブル成長率は、企業の今後の成長率を予測する際に用いられる指標であり、X社のサスティナブル成長率は7.20%と算出される。
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解答
① × ② × ③ ○
解説
投資指標は割安性(PER・PBR)や株主還元性(配当性向・配当利回り)、内部資金による成長性(サスティナブル成長率=ROE×内部留保率)を多角的に評価する基準です。
解き方
- 1株当たり純利益(EPS)と1株当たり純資産(BPS)を算出し、株価を割ってPERとPBRを比較します。
- 配当金総額と当期純利益から配当性向を、1株当たり配当金と株価から配当利回りを算出して比較します。
- 自己資本利益率(ROE)と内部留保率(1-配当性向)を算出し、その積からサスティナブル成長率を導きます。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- PERはX社が約11.88倍、Y社が約7.84倍であり、PBRはX社が約1.43倍、Y社が約1.07倍であるため、いずれもY社株式のほうが低く割安です。
- 小問 ②:×
- 配当性向はX社が40.00%、Y社が約29.73%でX社が高いですが、配当利回りはX社が約3.37%、Y社が約3.79%でありY社のほうが高くなります。
- 小問 ③:○
- X社のROEは12.00%、内部留保率は60.00%であるため、サスティナブル成長率は12.00%×60.00%=7.20%となり適切です。
覚えるポイント
- PER=株価÷EPS、PBR=株価÷BPS(数値が低いほど割安)
- サスティナブル成長率=ROE×内部留保率=ROE×(1-配当性向)
間違えやすいところ
- 配当性向(配当金÷利益)と配当利回り(配当金÷株価)の分母の違いによる混同
- PERやPBRの高低と割安・割高の関係の逆転(低いほうが割安)
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
固定利付債券の各種利回り(単利)の計算
金融資産運用 · 直接利回り / 最終利回り / 所有期間利回り / 債券計算
設例の<Z社社債の条件>に基づき、①直接利回り、②償還まで保有した場合の最終利回り(単利)、③2年後に額面100円当たり100.25円で売却した場合の所有期間利回り(単利)をそれぞれ求めなさい。なお、%表示の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで解答すること。 <条件>購入価格:100.50円(額面100円当たり)、表面利率:0.45%、残存期間:5年
解答・解説を表示
解答
① 0.45(%) ② 0.35(%) ③ 0.32(%)
解説
債券の単利利回り計算では、毎年のインカムゲイン(表面利率)と、年換算したキャピタルゲイン/ロス(償還価格または売却価格と購入価格の差額を保有年数で除したもの)の合計を投資元本(購入価格)で除して求めます。
解き方
- 直接利回りは償還差損益を考慮せず、表面利率を購入価格で除して算出します。
- 最終利回りは額面100円での満期償還損益を年換算し、インカムゲインに加味して購入価格で除します。
- 所有期間利回りは売却価格(100.25円)と購入価格の差額を保有年数(2年)で年換算し、インカムゲインに加味して購入価格で除します。
答えの内訳
- ①:0.45(%)
- 直接利回り=表面利率÷購入価格×100=0.45÷100.50×100≒0.4477…%より、四捨五入して0.45%となります。
- ②:0.35(%)
- 最終利回り=〔表面利率+(償還価格-購入価格)÷残存年数〕÷購入価格×100=〔0.45+(100-100.50)÷5〕÷100.50×100=0.35÷100.50×100≒0.3482…%より、四捨五入して0.35%となります。
- ③:0.32(%)
- 所有期間利回り=〔表面利率+(売却価格-購入価格)÷所有年数〕÷購入価格×100=〔0.45+(100.25-100.50)÷2〕÷100.50×100=0.325÷100.50×100≒0.3233…%より、四捨五入して0.32%となります。
覚えるポイント
- 債券利回りの分母は常に「購入価格」である点(額面100円ではない)
- キャピタル損益の計算順序は「(手放した価格-購入価格)÷年数」である点
間違えやすいところ
- 利回り計算の分母に購入価格(100.50円)ではなく額面(100円)を使用してしまう誤り
- 償還損益や売却損益の年換算で残存期間と保有年数を混同してしまう誤り
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小法人における交際費等の損金不算入制度
タックスプランニング · 交際費等 / 定額控除限度額 / 接待飲食費 / 少額飲食費
資本金3,000万円の中小法人であるX社(青色申告法人)の法人税における交際費等の取扱いに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を付しなさい。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
法人の交際費等は原則として全額が損金不算入ですが、資本金1億円以下の中小法人等には「年800万円までの定額控除」または「接待飲食費の50%損金算入」のいずれかの選択適用が認められています。また、参加者1人当たり5,000円以下の飲食費で要件を満たすものは交際費等の範囲から除外されます。
解き方
- 中小法人における交際費等の定額控除限度額が年800万円であることを確認し、①の正誤を判定する。
- 接待飲食費に係る損金算入割合が50%であることを確認し、②の正誤を判定する。
- 1人当たり5,000円以下の少額飲食費が書類保存を要件に交際費等から除かれる規定を確認し、③の正誤を判定する。
答えの内訳
- ①:×
- 中小法人(資本金の額が1億円以下の法人等)における交際費等の定額控除限度額は事業年度ごとに年800万円までであるため、1,000万円とする記述は誤りです。
- ②:×
- 法人が交際費等の損金算入において接待飲食費の特例を選択する場合、損金算入できるのは接待飲食費の額の50%相当額であるため、90%とする記述は誤りです。
- ③:○
- 飲食等のために要した費用で、参加者1人当たり5,000円以下であり、かつ所定の事項を記載した書類を保存しているものについては、交際費等から除外されます。
覚えるポイント
- 中小法人の交際費等の定額控除限度額は年800万円である。
- 接待飲食費の特例による損金算入割合は50%である。
- 1人当たり5,000円以下の飲食費(社内飲食費を除く)は交際費等から除外される。
間違えやすいところ
- 中小法人の定額控除限度額を1,000万円などと誤認する。
- 接待飲食費の損金算入割合を50%ではなく全額や高割合と混同する。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の税法
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の課税所得金額および法人税額の計算
タックスプランニング · 課税所得金額 / 申告調整 / 法人税率 / 中小法人の軽減税率
X社の当期の確定申告に係る資料(当期利益1,800万円、益金算入380万円、益金不算入200万円、損金算入250万円、損金不算入2,770万円)に基づき、法人税額を求める<計算式>の空欄①~③に入る数値を求めなさい。 <計算式> ・課税所得金額 ( ① )万円 ・法人税額 ( ② )万円×( ③ )%+{( ① )万円-( ② )万円}×23.2% = □□□万円
解答・解説を表示
解答
① 4,500(万円) ② 800(万円) ③ 15.0(%)
解説
法人の課税所得金額は、当期利益の額に申告調整(加算項目である益金算入・損金不算入、および減算項目である益金不算入・損金算入)を行って算出します。中小法人の普通税率は23.2%ですが、所得金額のうち年800万円以下の部分については15.0%の軽減税率が適用されます。
解き方
- 申告調整を行い、課税所得金額=1,800万円+380万円+2,770万円-200万円-250万円=4,500万円を算出する。
- 中小法人の軽減税率が適用される上限所得金額が年800万円であることを確認し、②を800と特定する。
- 年800万円以下の部分に適用される軽減税率が15.0%であることを確認し、③を15.0と特定する。
答えの内訳
- ①:4,500
- 課税所得金額は、当期利益1,800万円+加算項目(益金算入380万円+損金不算入2,770万円)-減算項目(益金不算入200万円+損金算入250万円)=4,500万円と計算されます。
- ②:800
- 中小法人(資本金1億円以下)の法人税率において、年800万円以下の所得金額に対して軽減税率が適用されるため、空欄②には800が入ります。
- ③:15.0
- 中小法人の年800万円以下の所得金額に対する法人税の軽減税率は15.0%(本則19%に対する特例税率)であるため、空欄③には15.0が入ります。
覚えるポイント
- 課税所得金額=当期純利益+加算項目(益金算入・損金不算入)-減算項目(益金不算入・損金算入)。
- 中小法人(資本金1億円以下)の年800万円以下の所得金額に対する法人税率は15.0%、800万円超の部分は23.2%。
間違えやすいところ
- 益金・損金の加算・減算の符号を逆にして課税所得を誤算定する。
- 軽減税率の適用基準額(800万円)や適用税率(15.0%)を取り違える。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の税法
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業経営強化税制の要件と税制措置
タックスプランニング · 中小企業経営強化税制 / 即時償却 / 税額控除 / 収益力強化設備
中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 「本制度は、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた一定の青色申告法人が、特定経営力向上設備等を新規取得等して、国内にある当該法人の事業の用に供した場合に、その事業の用に供した事業年度において、特別償却または税額控除を選択することができるものである。 X社が当期において取得して事業の用に供した機械および装置が、本制度の対象となる中小企業等経営強化法に規定する経営力向上設備等のうち、事業者が策定した投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備(収益力強化設備)に該当するには、投資計画における年平均の投資利益率が( ① )以上となることが見込まれることにつき経済産業大臣の確認を受けるなどの要件を満たす必要がある。 X社が当期において、本制度の適用を受ける場合、X社は、取得価額の( ② )を償却するか、取得価額の( ③ )の税額控除のいずれかを選択することができる。ただし、税額控除額については、当期における法人税額の( ④ )を超える場合には、その( ④ )が限度となる。」
- イ
- 3%
- ロ
- 5%
- ハ
- 7%相当額
- ニ
- 10%相当額
- ホ
- 20%相当額
- ヘ
- 25%相当額
- ト
- 50%相当額
- チ
- 75%相当額
- リ
- 全額
解答・解説を表示
解答
① ロ ② リ ③ ニ ④ ホ
解説
中小企業経営強化税制は、経営力向上計画の認定を受けた青色申告中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得して事業供用した場合に、即時償却(全額償却)または最大10%(資本金3,000万円以下の法人等)の税額控除(法人税額の20%が上限)を選択適用できる制度です。
解き方
- 収益力強化設備(投資利益率要件)の基準が「年平均5%以上」であることを確認して①に「ロ」を選択する。
- 特別償却の償却限度額が取得価額の「全額(即時償却)」であることを確認して②に「リ」を選択する。
- 資本金3,000万円のX社に適用される税額控除割合が「10%相当額」であることを確認して③に「ニ」を選択する。
- 税額控除における法人税額に対する上限割合が「20%相当額」であることを確認して④に「ホ」を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 中小企業経営強化税制における収益力強化設備(B類型)は、年平均の投資利益率が5%以上となる投資計画について経済産業大臣(経済産業局)の確認を受ける必要があります。
- 小問 ②:リ
- 本制度の特別償却を選択した場合、基準取得価額の全額(100%)について即時償却を行うことができます。
- 小問 ③:ニ
- 資本金3,000万円以下の法人等(特定中小企業者等)が税額控除を選択する場合、取得価額の10%相当額の税額控除を受けることができます(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)。
- 小問 ④:ホ
- 税額控除限度額は、その事業年度の法人税額の20%相当額が上限とされています(控除しきれなかった金額は1年間の繰越しが可能)。
覚えるポイント
- 中小企業経営強化税制の特別償却は全額即時償却、税額控除は資本金3,000万円以下で10%(上限は法人税額の20%)となる点を押さえましょう。
間違えやすいところ
- 資本金3,000万円超1億円以下の法人の税額控除率は7%ですが、資本金3,000万円以下の法人は10%となります。資本金区分による控除率の混同に注意が必要です。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法(用途地域・建蔽率角地加算・北側斜線制限と日影規制)
不動産 · 用途地域をまたぐ場合の用途規制 / 建蔽率の角地加算 / 日影規制と北側斜線制限
甲土地(全体450㎡、第二種中高層住居専用地域300㎡、第一種中高層住居専用地域150㎡、準防火地域、特定行政庁指定の角地)に関する建築基準法の規定に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 甲土地上に建築物を建築する場合、建築物の用途制限については、その全部について、第二種中高層住居専用地域の建築物の用途に関する規定が適用される。 ② 甲土地上に建築物を建築する場合、建蔽率に10%が加算される角地加算が適用されるのは、甲土地のうち第二種中高層住居専用地域内に属する部分に限られる。 ③ 甲土地上に建築物を建築する場合、甲土地が日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限)の対象区域内にあるときは、北側斜線制限(北側高さ制限)は適用されない。
- ①
- 建築物の用途制限については、その敷地の全部について過半の属する第二種中高層住居専用地域の規定が適用される。
- ②
- 角地加算(建蔽率+10%)が適用されるのは、甲土地のうち第二種中高層住居専用地域内に属する部分に限られる。
- ③
- 甲土地が日影規制の対象区域内にあるときは、北側斜線制限は適用されない。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
敷地が複数の用途地域にまたがる場合、用途制限は過半が属する地域の規定が敷地全体に適用されます。一方、建蔽率や容積率は各大枠の面積による按分計算を行います。また、日影規制の適用区域内では北側斜線制限が適用除外とされます。
解き方
- ①について敷地面積の過半判定(450㎡中300㎡が第二種中高層住居専用地域)を行い、過半主義の用途制限が敷地全体に及ぶため「○」と判定する。
- ②について角地加算が敷地全体を構成する各地域の建蔽率に加算されて加重平均されるルールを確認し、一部地域に限定される記述を「×」と判定する。
- ③について日影規制の対象区域内における北側斜線制限の適用除外(建築基準法第56条)の規定を確認して「○」と判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 建築物の敷地が異なる2つ以上の用途地域にまたがる場合、建築物の用途制限は敷地の過半(過半が属する地域)の用途地域の規定が敷地全体に適用されます。甲土地は450㎡中300㎡が第二種中高層住居専用地域であり過半を占めるため、その全部に同地域の規定が適用され適切です。
- 小問 ②:×
- 敷地が建蔽率の異なる地域にまたがっており、特定行政庁が指定する角地に該当する場合、角地加算(+10%)はそれぞれの地域ごとの指定建蔽率に対して一律に加算した上で按分計算するため、一部の地域に限定されるわけではなく不適切です。
- 小問 ③:○
- 第一種・第二種中高層住居専用地域等において、建築物が日影規制の対象区域内にある場合は、北側斜線制限に関する規定は適用除外となるため適切です。
覚えるポイント
- 用途地域のまたがりは「過半主義」、建蔽率・容積率・防火規制は「それぞれ按分または厳しい方(防火)」、日影規制適用区域では「北側斜線制限適用除外」を整理して覚えましょう。
間違えやすいところ
- 建蔽率や容積率も用途制限と同様に過半の地域の数値が全体に適用されると誤認しないように注意が必要です(建蔽率・容積率は按分計算)。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における容積率の上限および延べ面積の限度計算
不動産 · 建築基準法 / 容積率制限 / 前面道路幅員 / 延べ面積の限度
設例の甲土地(敷地面積450㎡、長方形)において、第二種中高層住居専用地域部分(300㎡・指定容積率300%)および第一種中高層住居専用地域部分(150㎡・指定容積率200%)にまたがる敷地に耐火建築物を建築する場合、容積率の上限となる延べ面積を求める次の計算手順の空欄①〜③に入る最も適切な数値を求めなさい。 <計算の手順> 1.第二種中高層住居専用地域部分の延べ面積の限度 ・容積率の判定 指定容積率:300% 前面道路の幅員による制限を受けた容積率:□□□% したがって、上限となる容積率は□□□%である。 ・延べ面積の限度 300㎡×□□□%=( ① )㎡ 2.第一種中高層住居専用地域部分の延べ面積の限度 ・容積率の判定 指定容積率:200% 前面道路の幅員による制限を受けた容積率:( ② )% したがって、上限となる容積率は□□□%である。 ・延べ面積の限度 150㎡×□□□%=□□□㎡ 3.甲土地の容積率の上限となる延べ面積 ( ① )㎡+□□□㎡=( ③ )㎡
解答・解説を表示
解答
① 720 ② 240 ③ 1,020
解説
建築物の容積率は、都市計画で定められた指定容積率と、前面道路の幅員に法定乗数を乗じて得た数値のいずれか小さい方が上限となります。敷地が2つ以上の道路に接する場合は最も広い道路幅員を採用し、異なる地域にまたがる場合は各地域の延べ面積限度を算出して合算します。
解き方
- 甲土地の前面道路(県道6m・市道4m)のうち広い方の幅員6mを選択し、住居系の法定乗数4/10を乗じて前面道路制限の容積率(240%)を算出する。
- 第二種中高層住居専用地域の上限容積率(240%)から延べ面積の限度(300㎡×240%=720㎡)を求める。
- 第一種中高層住居専用地域の上限容積率(200%)から延べ面積の限度(150㎡×200%=300㎡)を求める。
- 両地域の延べ面積限度を合計して敷地全体の上限(720㎡+300㎡=1,020㎡)を算出する。
答えの内訳
- ①:720
- 前面道路幅員が2つ以上ある場合、最も広い幅員(6m)を基準とします。住居系地域の法定乗数は4/10であるため、前面道路制限による容積率は 6m×4/10=240% となります。指定容積率300%と比較して小さい240%が上限となり、延べ面積の限度は 300㎡×240%=720㎡ と計算されます。
- ②:240
- 第一種中高層住居専用地域部分についても、広い方の前面道路幅員6mを適用します。住居系地域のため法定乗数4/10を乗じて、6m×4/10=240% と求められます。
- ③:1,020
- 第一種中高層住居専用地域の上限容積率は、指定容積率200%と前面道路制限240%のうち小さい方の200%です。当該部分の延べ面積限度は 150㎡×200%=300㎡ となります。敷地全体の延べ面積の上限は、第二種部分720㎡+第一種部分300㎡=1,020㎡ となります。
覚えるポイント
- 敷地が2面以上の道路に接している場合は、最も広い前面道路の幅員を用いて容積率制限を計算する。
間違えやすいところ
- 市道4mに面する部分だからといって4m×4/10=160%で計算してしまう誤りに注意する。
出題の前提:建築基準法第52条(容積率)
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(取得費加算の特例)の適用要件
不動産 · 譲渡所得 / 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例 / 取得費加算 / 適用要件
甲土地をX社に譲渡する場合における「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」(相続税の取得費加算の特例)の適用に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を選択しなさい。
- ①
- 甲土地を譲渡した年のAさんの合計所得金額が3,000万円未満でなければ、本特例の適用を受けることはできない。
- ②
- 甲土地を相続の開始があった日の翌日から3年を経過する日までの間に譲渡しなければ、本特例の適用を受けることはできない。
- ③
- 甲土地の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、収入金額の5%相当額を甲土地の取得費とするときは、本特例の適用を受けることはできない。
- ④
- 仮に、AさんがX社の発行済株式等の50%超を有するなど、X社が特殊な関係のある法人に該当する場合は、本特例の適用を受けることはできない。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ × ④ ×
解説
相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(相続税の取得費加算の特例)は、相続により取得した財産を一定期間内(相続税の申告期限の翌日以後3年以内)に譲渡した場合に、納付した相続税額のうち一定額を譲渡資産の取得費に加算できる制度です。居住用財産の特例と異なり所得制限や特殊関係法人への譲渡制限はありません。
解き方
- 特例の適用要件(相続により財産を取得し相続税が課税されたこと、相続税申告期限の翌日以後3年以内の譲渡であること)を確認する。
- 設問の各記述における所得要件・期限要件・取得費計算・譲渡先制限の有無を精査して正誤を判定する。
- 選択肢 ①不正解
- 相続税の取得費加算の特例には合計所得金額3,000万円以下などの所得制限はありません。
- 選択肢 ②不正解
- 適用期限は「相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで」であり、相続開始翌日から3年ではありません。
- 選択肢 ③不正解
- 収入金額の5%相当額を概算取得費とする場合であっても、本特例による取得費加算を適用できます。
- 選択肢 ④不正解
- 本特例には、譲渡先が特殊な関係のある法人であることを理由とする適用除外規定はありません。
答えの内訳
- ①:×
- 相続税の取得費加算の特例には、譲渡者の合計所得金額に関する制限は設けられていません(居住用財産の買換え特例等の要件と混同しやすい点です)。
- ②:×
- 本特例の譲渡期限は、「相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(実質的に相続開始の翌日から3年10カ月以内)」です。相続開始から3年以内ではありません。
- ③:×
- 譲渡所得の計算上、概算取得費(譲渡収入金額の5%相当額)を適用する場合であっても、本特例により算出された相続税額を取得費に加算することができます。
- ④:×
- 本特例には同族会社等の同族関係者・特殊関係法人への譲渡を排除する規定はなく、特殊関係法人への譲渡であっても適正な対価による取引であれば適用を受けることができます。
覚えるポイント
- 相続税の取得費加算の期限は「相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(相続開始から3年10カ月)」である。
間違えやすいところ
- 居住用財産の各種特例(3,000万円特別控除や買換え特例など)にある所得制限や特殊関係者への譲渡制限と混同しないよう区別する。
出題の前提:租税特別措置法第39条(相続財産に係る譲渡所得の課税の特例)
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の類似業種比準価額および併用方式の計算
中小事業主資産相談業務 · 取引相場のない株式の評価 / 類似業種比準方式 / 中会社の評価方式(併用方式)
設例の<X社の概要>に基づき、X社株式の1株当たりの「類似業種比準価額」と「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による相続税評価額」を求める計算式の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 0.6、② 500、③ 0.90
解説
取引相場のない株式の評価において、中会社に区分される会社は原則として類似業種比準方式と純資産価額方式を併用して計算します。類似業種比準価額の算定では、中会社の斟酌割合(0.6)を乗じ、1株当たりの資本金等の額(50円換算の調整)を反映させます。さらに中会社の規模(大・中・小)に応じた比準割合(L割合)を用いて純資産価額と加重平均を行います。
解き方
- X社の規模区分が「中会社」であることを確認し、類似業種比準価額の計算式における斟酌割合を0.6と決定します。
- 資本金等の額5,000万円を発行済株式総数100,000株で除して、X社の1株当たりの資本金等の額が500円であることを計算します。
- 中会社の規模区分が「大」であることから、併用方式において類似業種比準価額に乗じるL割合を0.90と特定します。
答えの内訳
- ①:0.6
- 類似業種比準方式における斟酌割合は、大会社が0.7、中会社が0.6、小会社が0.5と定められています。X社は規模区分が「中会社の大」であるため、斟酌割合は0.6となります。
- ②:500
- X社の資本金等の額は5,000万円、発行済株式総数は100,000株であるため、1株当たりの資本金等の額は「5,000万円 ÷ 100,000株 = 500円」となります。
- ③:0.90
- 中会社の株式の評価において、類似業種比準価額に乗じる割合(L)は、大が0.90、中が0.75、小が0.60です。X社は「中会社の大」に該当するため、L割合は0.90となります。
覚えるポイント
- 類似業種比準方式の斟酌割合は大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5です。
- 中会社のL割合は大が0.90、中が0.75、小が0.60です。
間違えやすいところ
- 中会社の大の斟酌割合を大会社の0.7と取り違えないように注意が必要です。
- 1株当たりの資本金等の額を計算する際に、額面相当額の50円と混同しないようにします。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の財産評価基本通達に基づいて解答
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺留分の計算と経営承継円滑化法における民法の特例
中小事業主資産相談業務 · 遺留分の算定 / 中小企業経営承継円滑化法 / 遺留分に関する民法の特例
遺留分および中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)の「遺留分に関する民法の特例」に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 「Aさんが、長男Cさんへの事業承継にあたって、X社株式を長男Cさんに贈与した場合、当該X社株式は、将来のAさんの相続開始時に、相続開始時の価額により遺留分を算定するための財産に含まれる可能性がある。仮に、将来のAさんの相続における相続人が妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんおよび二女Eさんの4人であり、遺留分を算定する財産の価額が3億6,000万円である場合、長女Dさんおよび二女Eさんの遺留分の額はそれぞれ( ① )となる。 ただし、長男Cさんが、Aさんから贈与を受けるX社株式について「遺留分に関する民法の特例」の適用を受けた場合、贈与を受けたX社株式について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しないこと、または遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を合意の時における価額とすることができる。長男Cさんが本特例の適用を受けるためには、Aさんからの贈与によりX社株式を取得したことによりX社の総株主の議決権の( ② )を有するなどの要件を満たしたうえで、妻Bさん、長女Dさんおよび二女Eさんと書面によって合意し、経済産業大臣の確認を受け、( ③ )の許可を受ける必要がある。」
- イ
- 3,000万円
- ロ
- 4,500万円
- ハ
- 6,000万円
- ニ
- 3分の1超
- ホ
- 過半数
- ヘ
- 3分の2超
- ト
- 経済産業大臣
- チ
- 都道府県知事
- リ
- 家庭裁判所
- ヌ
- 所轄税務署長
解答・解説を表示
解答
① イ、② ホ、③ リ
解説
民法上の遺留分は、法定相続人(兄弟姉妹を除く)に最低限保障された相続財産の受取割合です。配偶者と子が相続人の場合、総遺留分は財産の2分の1となり、これに各相続人の法定相続分を乗じて個別の遺留分を算出します。後継者への事業承継で株式を一括贈与すると遺留分侵害が生じやすいため、経営承継円滑化法では後継者が過半数の議決権を有すること等を要件に、推定相続人全員の合意、経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可を経て、株式を遺留分算定基礎から除外または評価額を合意時に固定する特例が設けられています。
解き方
- 相続人が配偶者と子3人であるときの総遺留分割合(1/2)と各子の法定相続分(1/6)を掛け合わせ、遺留分算定基礎財産3億6,000万円に適用して各自の遺留分額を計算します。
- 経営承継円滑化法上の後継者要件として、贈与により議決権の「過半数」を取得・保有することを確認します。
- 特例合意の効力発生手続きとして、推定相続人全員の合意から経済産業大臣の確認を経て、「家庭裁判所」の許可が必要であることを特定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 相続人が配偶者と子である場合の全体の遺留分割合は財産の2分の1です。子の法定相続分は各6分の1(配偶者2分の1、子3人で各6分の1)となるため、長女Dおよび二女Eの個別の遺留分は「3億6,000万円 × 1/2 × 1/6 = 3,000万円」となります。
- 小問 ②:ホ
- 経営承継円滑化法における遺留分に関する民法の特例の対象となる後継者は、株式の贈与等を受けたことにより総株主の議決権の「過半数」を有すること等の要件を満たす必要があります。
- 小問 ③:リ
- 遺留分に関する民法の特例を有効にするためには、推定相続人全員の書面による合意の後、1カ月以内に経済産業大臣の確認を受け、さらに確認を受けた日から1カ月以内に「家庭裁判所」の許可を受ける必要があります。
覚えるポイント
- 配偶者と子が相続人の場合、全体の遺留分割合は2分の1です。
- 除外合意・固定合意の特例要件は「議決権の過半数」「経済産業大臣の確認」「家庭裁判所の許可」です。
間違えやすいところ
- 遺留分の計算において法定相続分(1/6)をそのまま掛けてしまい、総遺留分割合の2分の1を掛け忘れるミスが多いです。
- 行政手続きの確認者(経済産業大臣)と最終許可者(家庭裁判所)を混同しないように整理が必要です。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の民法および中小企業経営承継円滑化法に基づいて解答
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税特例
相続・事業承継 · 贈与税の非課税の特例 / 教育資金の一括贈与 / 租税特別措置法
「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例」に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 本特例の適用を受けるためには、教育資金の贈与を受けた年の前年分の受贈者の所得税に係る合計所得金額が1,000万円以下でなければならない。 ② 本特例の適用を受けた場合、贈与により取得した教育資金について、受贈者1人につき2,000万円までは贈与税が課されない。 ③ 本特例の適用を受けた受贈者が30歳に達した日において学校等に在学している場合は、その時点で当該贈与財産から教育資金に充当した金額を控除した残額があったとしても、当該残額に対して贈与税は課されない。 ④ 贈与者が本特例の適用を受けた贈与財産の贈与後3年以内に死亡し、受贈者が贈与者の死亡の日において23歳未満である場合は、死亡の日において当該贈与財産から教育資金に充当した金額を控除した残額を相続財産には加算しない。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○ ④ ○
解説
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税特例は、祖父母等から30歳未満の受贈者へ拠出された教育資金のうち1,500万円までを非課税とする制度です。税制改正によって受贈者の所得要件、30歳以降の在学特例、贈与者死亡時の残額加算とその適用除外要件が細かく規定されています。
解き方
- 受贈者の要件(前年合計所得金額1,000万円以下、30歳未満)および非課税限度額(1人につき1,500万円)を確認する。
- 30歳到達時の取り扱い(学校等に在学している場合の契約延長・課税猶予)と贈与者死亡時の相続税加算の例外(23歳未満等)の要件を照合して各正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 2019年度税制改正により、2019年4月1日以後の信託等から、特例の適用を受ける年の前年分の受贈者の合計所得金額が1,000万円以下であることという所得制限が導入されたため適切です。
- 小問 ②:×
- 本特例により贈与税が非課税となる限度額は、受贈者1人につき最大1,500万円(学校等以外の習い事等への支払いは500万円が上限)であるため、「2,000万円」とする記述は不適切です。
- 小問 ③:○
- 受贈者が30歳に達した日において学校等に在学している場合や教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合は、契約終了が延長されるため、30歳到達時点で使い切れなかった残額があっても贈与税は課されません(適切です)。
- 小問 ④:○
- 贈与者の死亡前3年以内に取得した教育資金の残額は原則として相続税の課税対象となりますが、受贈者が死亡日において23歳未満である場合や学校等に在学している場合は、残額を相続財産に加算しない例外規定があるため適切です。
覚えるポイント
- 非課税限度額は受贈者1人あたり1,500万円(学校等以外は500万円)
- 受贈者の前年合計所得金額要件は1,000万円以下
- 30歳到達時でも学校等在学中は課税が猶予され最長40歳まで延長可能
- 贈与後3年以内の贈与者死亡時でも受贈者が23歳未満や在学中であれば相続税加算の対象外
間違えやすいところ
- 結婚・子育て資金の一括贈与(上限1,000万円)と教育資金の一括贈与(上限1,500万円)の限度額を取り違えやすい。
- 贈与者死亡時の残額加算の例外対象となる年齢要件(23歳未満)を、特例自体の対象年齢上限(30歳未満)と混同しやすい。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等(平成31年度税制改正後の租税特別措置法第70条の2の2に基づく出題)
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2019年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の問題・解答資料です。
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- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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